JP4387145B2 - 開口制御機構、撮像装置および開口制御方法 - Google Patents

開口制御機構、撮像装置および開口制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、スチルカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、その他のカメラの光学系において光が通過する開口量を制御する開口制御機構、撮像装置および開口制御方法に関する。
特許文献1には、シャッタの開口制御機構が開示されている。この特許文献1の開口制御機構では、先羽板と後羽板との2つの羽板を用い、形状記憶合金に通電することで各羽板を係止位置にセットし、さらに、他の別々の形状記憶合金に通電することで各羽板の係止を順番に解除している。そして、その係止が解除されると、各羽板は、スプリングの復元力で回転する。これにより、先羽板を回転させてから後羽板を回転させるまでの期間において、レンズからの光が通過する開口が形成される。
特許文献2には、たとえば異なる大きさの2つの開口が形成された絞り羽板に板バネを接続し、さらにこの板バネに互いに逆方向に伸在させて2つの形状記憶合金を接続する絞りの開口制御機構が開示されている。そして、この特許文献2の開口制御機構では、2つの形状記憶合金の中のいずれか一方に通電することで、2つの開口の中の一方をレンズからの光が通過する位置に配置させ、2つの形状記憶合金の中の他方に通電することで、2つの開口の中の他方をレンズからの光が通過する位置に配置させる。これにより、絞りの開口を二段階に切り替えることができる。
また、特許文献2には、形状記憶合金の通電時間のデューティー比を制御することで、形状記憶合金の回復変位量を制御し、絞り羽板を2点間の任意の位置に制御可能であることが開示されている。
特開平10−123583号公報(発明の詳細な説明、図1、図2) 特開平6−230457号公報(発明の詳細な説明、図面)
上述したように、従来の開口制御機構では、形状記憶合金の収縮を利用して、シャッタや絞りの開口を制御している。
ところで、形状記憶合金は、通電によって加熱することで早い速度で収縮させることができ、シャッタや絞りの開口制御に利用することができる。
しかしながら、上述のように形状記憶合金を使用すると、形状記憶合金は、その収縮速度がシャッタや絞りの開口を制御することができる程度に早いものの、通電を停止してから元の長さに伸張するまでに時間がかかってしまうため、従来の開口制御機構では、開口を拡げる動作と閉じる動作の両方を実行するために複雑な機構が必要となる。
本発明は、上述した課題に基づいてなされたものであり、形状記憶合金などの通電収縮部材を使用しても簡単な構成でシャッタや絞りの開口を制御することができる開口制御機構、撮像装置および開口制御方法を得ることを目的とする。
本発明に係る開口制御機構は、少なくともシャッタ用の羽板と、羽板の開口を閉じる方向に、羽板を付勢する弾性部材と、通電により収縮し、その収縮により羽板を弾性部材の付勢力に抗して付勢し開口させる通電収縮部材と、通電収縮部材による羽板の開口後に、通電収縮部材の端部を通電収縮部材による付勢力が解放される方向に移動させて通電収縮部材による付勢力を解放する解放手段と、を備えるものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材の伸張に時間がかかったとしても、その伸張の時間に関係なく開口を制御することができる。したがって、簡単な構成で、通電収縮部材への通電によりシャッタや絞りの開口を制御することができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、回転可能あるいは移動可能に配設されて、この回転あるいは移動によってレンズからの光が通過する開口を形成する羽板と、開口が最も小さくなる状態の羽板あるいは開口がなくなる状態の羽板と当接する規制部材と、羽板を規制部材に当接させる力を羽板に加える第一弾性部材と、回転可能あるいは移動可能に配設される可動部材と、通電により可動部材を所定の位置に保持する保持手段と、羽板の動きと可動部材とを連動可能に接続し、通電により第一弾性部材による付勢方向に対抗する方向に収縮する通電収縮部材と、保持手段および通電収縮部材に通電することで、規制部材から離間させる方向に羽板を回転あるいは移動させて所定量だけ開口させ、その後、保持手段への通電を停止することで、第一弾性部材の復元力によって規制部材に当接させる方向に羽板を回転あるいは移動させる制御手段と、を有するものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材の伸張に時間がかかったとしても、制御手段の制御に基づく保持手段の動作により、その伸張の時間に関係なく開口を制御することができる。したがって、簡単な構成で、通電収縮部材への通電によりシャッタや絞りの開口を制御することができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した発明の構成に加えて、通電収縮部材が、その非通電時に、羽板が規制部材に当接しつつ、保持手段によって可動部材が所定の位置に保持可能な長さに形成され、保持手段を通電していない状態で可動部材を所定の位置まで引張る第二弾性部材を有するものである。
この構成を採用すれば、可動部材は移動しないので、たとえばステッピングモータやアイリスモータなどの回転子を回転させることで開口を制御する場合のように、回転子の慣性モーメントなどに起因するチャタリングなどが発生してしまうことはなく、羽板を安定に駆動することができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した各発明の構成に加えて、通電収縮部材に流れる電流を検出電流として検出する検出器を有し、通電収縮部材が、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が増加あるいは減少する形状記憶合金であり、羽板が、開口がなくなる状態まで回転可能あるいは移動可能に配設され、制御手段が、検出電流の値に基づき開口量を判定し、開口が形成され始めるタイミングを基準として、保持手段への通電を停止するタイミングを制御するものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材がその環境温度によって収縮したとしても開口が形成されないように通電収縮部材を形成することができる。これにより、不用意な露光を防止することができる。また、開口が形成され始めるタイミングを基準として、保持手段への通電を停止するタイミングを制御しているので、通電収縮部材に通電を開始してから開口が形成され始めるまでの期間が環境温度によって変動したとしても、開口時間や露出量を正確にすることができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した各発明の構成に加えて、制御手段が、検出電流が、開口が形成され始めるときの電流となるタイミングから時間を計測し、その時間が予め決められた露光量に対応する時間になったら、保持手段への通電を停止するものである。
この構成を採用すれば、不用意な露光を防止しつつ、正確に露出量を所望の量にすることができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した各発明の構成に加えて、通電収縮部材に流れる電流を検出電流として検出する検出器を有し、通電収縮部材が、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が増加あるいは減少する形状記憶合金であり、制御手段が、検出電流の値に基づき開口量を判定し、開口量が所望の大きさになったら、通電収縮部材の通電を停止するものである。
この構成を採用すれば、開口量を所望の大きさに制御することができる。これにより、絞りの開口量を検出電流に基づいてたとえば無段階に制御することができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した各発明の構成に加えて、制御手段が、通電収縮部材の通電を停止した後に周期的にパルス状の通電を通電収縮部材に行い、この周期的な通電による検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流より小さい場合には、検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流となるまで通電収縮部材に通電するものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材の収縮による開口量を、所望の大きさに維持することができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した各発明の構成に加えて、制御手段が、通電収縮部材が周囲温度による冷却で収縮し、所望の開口量が保てなくなる時間より短い周期で、通電収縮部材に周期的な通電を行うものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材が冷却によって収縮しはじめるまえに、通電収縮部材を所定の温度に加熱し、通電収縮部材の収縮による開口量を、所望の一定の大きさに維持することができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した各発明の構成に加えて、複数の開口の大きさに対応する複数の電流値を記憶する不揮発性メモリを有し、制御手段が、検出電流の値と、この複数の電流値の中から選択された電流値との比較に基づいて通電収縮部材の通電を制御するものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材の収縮による開口量を、所定の複数の開口量のいずれかに制御することができる。また、不揮発性メモリに複数の開口量に対応する複数の電流値を記憶させるので、この不揮発性メモリを交換あるいは書き換えるだけでカメラの仕様変更などに簡単に対応することができる。
本発明に係る他の開口制御機構は、上述した各発明の構成に加えて、通電収縮部材に流れる電流を検出電流として検出する検出器と、フラッシュ光を発光するフラッシュ回路とを有し、通電収縮部材が、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が増加あるいは減少する形状記憶合金であり、制御手段が、検出電流が、開口の大きさが所望の大きさとなるときの電流になったら、フラッシュ回路にフラッシュ光を発光させるものである。
この構成を採用すれば、所望の大きさに開口している状態で、フラッシュ光を確実に発光させることができる。したがって、シャッタが所望の大きさまで開き切っていないタイミングにおいてフラッシュ回路を発光させる場合に比べて、開口を通過するフラッシュ光の光量は、計算どおりの適切な光量にすることができる。
本発明に係るさらに他の開口制御機構は、少なくともシャッタ用の羽板と、羽板の開口を開く方向に、羽板を付勢する弾性部材と、通電により収縮し、その収縮により羽板を弾性部材の付勢力に抗して付勢し閉口させる通電収縮部材と、通電収縮部材による羽板の閉口後に、通電収縮部材の端部を移動させて通電収縮部材による付勢力を解放する解放手段と、を備えるものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材の伸張に時間がかかったとしても、その伸張の時間に関係なく開口を制御することができる。したがって、簡単な構成で、通電収縮部材への通電によりシャッタや絞りの開口を制御することができる。
本発明に係るさらに他の開口制御機構は、羽板と、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が増加または減少し、羽板を駆動して開口量を調節する形状記憶合金と、通電時に形状記憶合金に流れる電流を検出する検出器と、検出器により検出された電流の値と所望の開口量に対応する電流値とに基づいて、開口量が所望の開口量になるように形状記憶合金に通電する電流値を制御する制御手段と、を備えるものである。
この構成を採用すれば、羽板の位置検出や、周囲温度の検出をしなくても、開口量を制御できるため、簡単な構成で開口制御を行うことができる。しかも、形状記憶合金の収縮量をその通電時の抵抗値によってリアルタイムに実測することができる。
本発明に係る撮像装置は、撮像用の光学系と、光学系を介して得られる像を受光する受光部と、光学系を透過する光による受光部への露出を制御する上述したいずれか1つの開口制御機構と、を備えるものである。
この構成を採用すれば、通電収縮部材の伸張に時間がかかったとしても、制御手段の制御に基づく保持手段の動作により、その伸張の時間に関係なく開口を制御することができる。したがって、簡単な構成で、通電収縮部材への通電によりシャッタや絞りの開口を制御することができる。
本発明に係る開口制御方法は、少なくともシャッタ用である羽板の開口を閉じる方向に弾性部材で付勢し、通電により収縮する通電収縮部材を使用してその収縮により羽板を弾性部材の付勢力に抗して付勢し開口させ、通電収縮部材による羽板の開口後に、通電収縮部材の端部を移動させて通電収縮部材による付勢力を解放するものである。
この方法を採用すれば、通電収縮部材の伸張に時間がかかったとしても、保持手段の動作により、その伸張の時間に関係なく開口を制御することができる。したがって、簡単な構成で、通電収縮部材への通電によりシャッタや絞りの開口を制御することができる。
本発明では、形状記憶合金などの通電収縮部材を使用しても簡単な構成でシャッタや絞りの開口を制御することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る開口制御機構、撮像装置および開口制御方法を、図面に基づいて説明する。以下の実施の形態では、スチルカメラを撮像装置の一例として説明する。開口制御機構は、そのスチルカメラの構成の一部として説明する。開口制御方法は、そのスチルカメラの動作の一部として説明する。
実施の形態1.
本実施の形態1に係るスチルカメラは、ハウジングを有する。また、本実施の形態1に係るスチルカメラは、このハウジング内に、レンズ装置と、フィルム装置と、シャッタ装置と、を有する。
レンズ装置は、1枚あるいは複数枚のレンズで構成される光学系を有するものであり、それらのレンズの光軸方向から入射する光を、それらレンズにより結像するものである。
フィルム装置は、フィルムホルダに巻きつけられている受光部としてのフィルムを、巻取りレバーの回転にしたがってレンズ装置の焦点面あるいはその焦点面の前後に配置するものである。なお、このフィルム装置に替えて、たとえばCCD(Charge Coupled Device)といった電子受光素子を受光部としてレンズ装置の焦点面あるいはその焦点面の前後に配置してもよい。
シャッタ装置は、後述のシャッタ機構1(図1参照)と、シャッタ駆動回路35(図3参照)と、シャッタ制御部と、を有する。この実施の形態1のシャッタ制御部は、後述するカメラ制御部71の一部として実現される。
図1は、本発明の実施の形態1に係るスチルカメラのシャッタ機構を示す正面図である。
シャッタ機構1は、平板形状のシャッタ基準板11を有する。シャッタ基準板11には、円形にシャッタ開口部12が形成される。シャッタ開口部12は、このスチルカメラの最大の開口での絞り値に応じた大きさに形成される。シャッタ基準板11は、シャッタ開口部12の円形の中心がレンズ装置の光軸と一致し、かつ、シャッタ開口部12がレンズ装置の光軸と垂直になるように、レンズ装置とフィルム装置との間に配設される。
シャッタ基準板11には、シャッタ開口部12の円形の中心から等距離となる位置に、2つの回転軸13,14が互いに平行な状態で立設される。この2つの回転軸は、図1においては、シャッタ開口部12の左側に位置している。
2つの回転軸13,14の中の一方の回転軸(図1において上側となる回転軸。これを以下、第一回転軸という。)13には、羽板としての第一シャッタ羽板15が回転可能に軸支される。2つの回転軸の中の他方の回転軸(図1において下側となる回転軸。これを以下、第二回転軸という。)14には、羽板としての第二シャッタ羽板16が回転可能に軸支される。
第一シャッタ羽板15は、半円環部15aと、連結部15bと、丸孔15cと、長孔15dと、切欠部15eと、を有する。半円環部15aは、たとえば、シャッタ開口部12と略同じ半径の内径とその半径の3倍以上の外径とを有する円環を基本形状とし、その円環の略半分〜略1/4を切り欠いた形状を有する。
第一シャッタ羽板15の連結部15bは、略長方形形状を有し、その長尺方向一端側の隅に丸孔15cが形成されるとともに、その長尺方向他端において半円環部15aへと連続する。半円環部15aは、開口部15fの切り欠き方向(すなわち半円環部15aが向いている方向)が連結部15bの短尺方向に沿った方向となるように連結部15bに一体化されている。連結部15bの長尺方向の長さは、丸孔15cを第一回転軸13に取り付け回転させると、半円環部15aによる開口部15fがシャッタ開口部12と重なるように形成される。
第一シャッタ羽板15の長孔15dは、連結部15bに形成される。具体的には、第一シャッタ羽板15の長孔15dは、丸孔15cよりも半円環部15a寄りの部位において、連結部15bの略短尺方向に沿って形成される。切欠部15eは、半円環部15aに形成される。具体的には、切欠部15eは、半円環部15aの中心を通る連結部15bの短尺方向と平行な線分に沿って、半円環部15aの内径から外側に向かって先細りとなるように形成される。
第二シャッタ羽板16は、半円環部16aと、連結部16bと、丸孔16cと、長孔16dと、切欠部16eと、を有し、第二シャッタ羽板16の外形形状は第一シャッタ羽板15と同一の外形形状に形成される。そして、第一シャッタ羽板15は、半円環部15aの開口部15fが図1において上向きとなる姿勢で第一回転軸13に回転可能に軸支され、第二シャッタ羽板16は、半円環部15aの開口部16fが図1において下向きとなる姿勢で第二回転軸14に回転可能に軸支される。
第二回転軸14には、第二シャッタ羽板16の他に、羽駆動レバー17が回転可能に軸支される。羽駆動レバー17は、第二回転軸14には固着されておらず、第二回転軸14によって第二シャッタ羽板16と連動することはない。羽駆動レバー17は、第二回転軸14が挿入される回転部17aと、この回転部17aを中心として三方へ伸在する3本のリンク部17b,17c,17dと、を有する。第一リンク部17bおよび第三リンク部17dは、回転部17aを中心にして略対向しており、第二リンク部17cは、回転部17aを中心として第一リンク部17bと第三リンク部17dに対して略垂直方向に延びている。
第一リンク部17bには、羽駆動ピン17eが立設される。羽駆動レバー17を第二回転軸14に取り付けた状態で、羽駆動ピン17eは、第一シャッタ羽板15の長孔15dおよび第二シャッタ羽板16の長孔16dに挿通される。
したがって、羽駆動レバー17が第二回転軸14の周囲で回転すると、第一シャッタ羽板15は第一回転軸13の周囲で回転し、且つ、第二シャッタ羽板16は第二回転軸14の周囲で、第一シャッタ羽板15とは逆回りに回転する。具体的には、羽駆動レバー17が図1の紙面において左回りに回転すると、第一シャッタ羽板15は図1の紙面において右回りに回転し、かつ、第二シャッタ羽板16は図1の紙面において左回りに回転する。これにより、シャッタ開口部12上で第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16との間に開口が形成される。また、羽駆動レバー17が図1の紙面において右回りに回転すると、第一シャッタ羽板15は図1の紙面において左回りに回転し、かつ、第二シャッタ羽板16は図1の紙面において右回りに回転する。これにより、シャッタ開口部12上で第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16とは重なり、先の開口は塞がれる。
第二リンク部17cは、図1に示すように、第一シャッタ羽板15の半円環部15aと第二シャッタ羽板16の半円環部16aとがシャッタ開口部12上で重なり合い、開口のない状態において、シャッタ基準板11に設けられた規制部材としての回転止めピン18に当接する。具体的には、第二リンク部17cは、図1においてその右側面に回転止めピン18が当接する。したがって、羽駆動レバー17は、回転止めピン18に第二リンク部17cが当接している状態からは、右方向に回転することはできず、左方向のみに回転することができる。
また、第二リンク部17cの先端には、貫通孔17fが形成される。シャッタ基準板11の回転止めピン18よりも図1において上方には固定ピン19が形成される。この貫通孔17fと固定ピン19との間には、弾性部材あるいは第一弾性部材としての閉バネ20が配設される。第二リンク部17cが回転止めピン18に当接している状態でのこの貫通孔17fと固定ピン19との間隔は、閉バネ20の自然長の長さよりも広い。そのため、閉バネ20は、常に伸張された状態で貫通孔17fと固定ピン19との間に掛け渡され、第二リンク部17cが回転止めピン18に当接している状態においても羽駆動レバー17を右向きに回転させる力を羽駆動レバー17に加える。
第三リンク部17dの先端には、繊維状形状記憶合金21の一端が固定される。繊維状形状記憶合金21は、加熱され高温になると収縮する特性を有する。繊維状形状記憶合金21は、低温(常温域)では糸のように柔らかいが、加熱されて収縮した状態では硬くなる。
図2は、図1に示す繊維状形状記憶合金21の収縮特性を示す温度収縮特性図である。この温度収縮特性図には、繊維状形状記憶合金21の加熱収縮過程曲線および冷却伸張過程曲線が示される。横軸は、繊維状形状記憶合金21の温度であり、縦軸は、繊維状形状記憶合金21の収縮ひずみ(%)である。繊維状形状記憶合金21の収縮ひずみ(%)は、繊維状形状記憶合金21の温度が0度であるときを基準としている。繊維状形状記憶合金21の0度での長さをLとしたとき、収縮ひずみ(%)がx%であるとは、繊維状形状記憶合金21の長さが(100−x)×L÷100の長さになっていることを意味する。
加熱収縮過程曲線は、繊維状形状記憶合金21を加熱しているときの温度と収縮ひずみ率との関係を示す特性曲線である。そして、この繊維状形状記憶合金21は、0度から約70度まで加熱すると約1.0%程度の収縮ひずみまでゆっくりと収縮し、約70度から約80度まで加熱すると約5.0%の収縮ひずみまで急激に収縮し、約80度から約100度まで加熱すると約6.0%の収縮ひずみまでゆっくりと収縮する特性を示す。
冷却収縮過程曲線は、繊維状形状記憶合金21を冷却しているときの温度と収縮ひずみ率との関係を示す特性曲線である。そして、この繊維状形状記憶合金21は、約100度から約75度まで冷却すると約6.0%の収縮ひずみから約5.0%の収縮ひずみまでゆっくりと伸張し、約75度から約65度まで冷却すると約1.0%の収縮ひずみまで急激に伸張し、約65度から0度まで冷却すると0%程度の収縮ひずみまでゆっくりと伸張する特性を示す。
図1に戻り、繊維状形状記憶合金21の他端は、解放手段あるいは可動部材としての可動片22の一端に固定される。可動片22は、直線状の金属製部材であり、可動片22の他端部には、貫通孔22aが形成される。この貫通孔22aには、第二回転軸14と平行となるようにハウジングに形成された第三回転軸23が挿入される。可動片22は、第三回転軸23の周囲で回転可能に軸支される。また、可動片22は、繊維状形状記憶合金21がシャッタ基準板11と略平行となる位置に配置される。
なお、この実施の形態1では、可動片22と羽駆動ピン17eは、同一平面内で回転し、繊維状形状記憶合金21は、可動片22と羽駆動レバー17との間で一直線状に配設される。なお、可動片22と羽駆動ピン17eとを互いに平行な2つの回転面においてそれぞれ回転させるとともに、この2つの回転面の間に配設されたプーリなどの支持機構で繊維状形状記憶合金21を屈曲あるいは湾曲させるように構成してもよい。繊維状形状記憶合金21をレンズ装置の鏡筒の周囲に沿って配置するように構成してもよい。
可動片22の一端近傍には、解放手段あるいは保持手段としての保持マグネット24が配設される。保持マグネット24は、U字型の鉄心24aにコイル24bを巻きつけたものである。なお、この実施の形態1において、保持マグネット24のU字型の鉄心24aは、可動片22の回転面に配設される。保持マグネット24のコイル24bに通電がなされると、可動片22は、磁気的な吸引力によって、保持マグネット24のU字型の鉄心24aに吸着する。
可動片22の中央部には貫通孔22bが形成される。ハウジングには保持マグネット24の近傍に固定ピン25が形成される。この貫通孔22bと固定ピン25との間には、第二弾性部材としてのマグネットバネ26が配設される。可動片22がU字型の鉄心24aに当接している状態でのこの貫通孔22bと固定ピン25との間隔は、マグネットバネ26の自然長の長さよりも広い。そのため、マグネットバネ26は、常に伸張された状態で貫通孔22bと固定ピン25との間に掛け渡され、可動片22がU字型の鉄心24aに当接している状態においても可動片22を右向きに回転させる力を可動片22に加える。
マグネットバネ26が可動片22に加える力は、閉バネ20が羽駆動レバー17に加える力よりも小さい。そのため、マグネットバネ26が可動片22に加える力は、繊維状形状記憶合金21に軽い引張力を与えるものの、その力で羽駆動レバー17の第二リンク部17cが回転止めピン18から離間してしまうことはない。
なお、たとえば保持マグネット24のU字型の鉄心24aと可動片22との間に固定ピンを設け、保持マグネット24が可動片22を吸着することで可動片22がこの固定ピンに当接するように構成してもよい。この場合には、マグネットバネ26の自然長は、可動片22が固定ピンに当接している状態で、可動片22の中央部の貫通孔と固定ピンとの間隔よりも短くすればよい。このように可動ピンが当接する固定ピンを保持マグネット24とは別に設けた場合には、保持マグネット24のU字型の鉄心24aは、単に磁気的な吸引力を可動片22に作用させることができればよいので、可動片22の回転面に配設されていなくてもよい。
また、繊維状形状記憶合金21の常温での長さは、保持マグネット24が可動片22を吸着していなくても、可動片22が保持マグネット24に当接する長さに形成される。つまり、繊維状形状記憶合金21の長さは、第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16とによる開口がない状態で、可動片22が保持マグネット24に当接する長さに形成されている。これにより、繊維状形状記憶合金21が収縮していないときには、常に、可動片22が保持マグネット24に当接することになる。
図3は、本発明の実施の形態1に係るスチルカメラの電子回路を示す回路構成図である。
スチルカメラの電子回路は、主に、バッテリ31と、昇圧回路32と、フラッシュ回路33と、シャッタ駆動回路35と、マイクロコンピュータ36と、不揮発性メモリとしてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)37と、フィルム感度などを示すISO情報読取回路38と、測距回路39と、測光回路40と、レリーズボタン41と、を有する。
バッテリ31は、たとえば充電電池、一次電池などの蓄電池が利用される。バッテリ31のマイナス端子は、グランド42に接続される。
昇圧回路32は、バッテリ31の電源電圧を所定の電圧に昇圧する。昇圧回路32が生成する電圧は、バッテリ31の電圧が低下したとしても、略一定の電圧に安定する。
フラッシュ回路33は、コンデンサと、放電ランプとを有する。そして、フラッシュ回路33は、マイクロコンピュータ36からのチャージセット信号に応じた電位にコンデンサを充電し、フラッシュトリガ信号によりこのコンデンサの充電電圧を放電ランプに印加する。放電ランプは、この充電電圧の印加によって点灯する。放電ランプの光がフラッシュ光として被写体へ放射される。また、フラッシュ回路33は、コンデンサの充電電圧を充電信号として出力する。
シャッタ駆動回路35は、マグネットトランジスタ51と、第一抵抗52と、通電トランジスタ53と、第二抵抗54と、検出抵抗55と、を有する。
マグネットトランジスタ51は、PNPトランジスタである。マグネットトランジスタ51のエミッタは、バッテリ31のプラス端子に接続される。マグネットトランジスタ51のコレクタは、保持マグネット24のコイル24bの一端に接続される。保持マグネット24のコイル24bの他端は、グランド42(バッテリ31のマイナス端子などが接続される接地点)に接続される。また、マグネットトランジスタ51のベースは、第一抵抗52の一端に接続される。第一抵抗52の他端は、マイクロコンピュータ36に接続される。すなわち、マグネットトランジスタ51とコイル24bの直列回路が、バッテリ31に接続される。
通電トランジスタ53は、PNPトランジスタである。通電トランジスタ53のエミッタは、昇圧回路32に接続される。通電トランジスタ53のコレクタは、繊維状形状記憶合金21の一端に接続される。繊維状形状記憶合金21の他端は、検出抵抗55の一端に接続されている。検出抵抗55の他端は、グランド42に接続されている。また、通電トランジスタ53のベースは、第二抵抗54の一端に接続される。第二抵抗54の他端は、マイクロコンピュータ36に接続される。すなわち、通電トランジスタ53と繊維状形状記憶合金21と検出抵抗55の直列回路が、昇圧回路32に接続される。
ISO情報読取回路38は、フィルム装置に装填されたフィルムパトローネからISO情報を読み取るものである。そして、ISO情報読取回路38は、読み取ったISO情報をマイクロコンピュータ36へ出力する。
測距回路39は、スチルカメラの正面方向の被写体までの距離を測定するものである。そして、測距回路39は、測定した被写体までの距離情報をマイクロコンピュータ36へ出力する。
測光回路40は、スチルカメラの正面方向の明るさを測定する。そして、測光回路40は、測定した明るさの情報をマイクロコンピュータ36へ出力する。
レリーズボタン41は、第一スイッチ41aと、第二スイッチ41bと、を有する。第一スイッチ41aは、レリーズボタン41が半分押されると、オフ状態からオン状態になる。第二スイッチ41bは、レリーズボタン41がすべて押されると、オフ状態からオン状態になる。第一スイッチ41aの一端および第二スイッチ41bの一端はグランド42に接続される。第一スイッチ41aの他端は、プルアップ抵抗43にてプルアップされるとともに、マイクロコンピュータ36に接続されている。第二スイッチ41bの他端は、プルアップ抵抗44にてプルアップされるとともに、マイクロコンピュータ36に接続されている。
EEPROM37は、撮影設定選択テーブル61と、ピンホール電流値63と、を記憶する。
撮影設定選択テーブル61は、シャッタスピードの各値と、露出値およびスチルカメラの絞り値との対応関係の情報を有するテーブルである。このように撮影設定選択テーブル61などのスチルカメラに固有の情報を、マイクロコンピュータ36とは別体のEEPROM37に記憶させることで、スチルカメラの仕様変更などがあったとしても、マイクロコンピュータ36や電子回路に変更を加えることなく、EEPROM37を交換あるいは書換えるだけで簡単にその変更に対応することができる。なお、EEPROM37は、予めスチルカメラに固有の情報を書き込んだものを使用しても、マイクロコンピュータ36でスチルカメラに固有の情報を書き込むようにしてもよい。
ピンホール電流値63は、第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16との間に開口が形成され始めるときに繊維状形状記憶合金21に流れる電流値である。繊維状形状記憶合金21は、加熱されているときには、後述する図6のtpからtFの期間の電流波形に例示するように、その加熱による温度上昇に伴ってその抵抗値が単調に減少する特性を示す。つまり、繊維状形状記憶合金21の加熱時の温度と繊維状形状記憶合金21の抵抗値とは、1対1対応の関係にある。したがって、通電の際に繊維状形状記憶合金21に流れる電流値は、繊維状形状記憶合金21の長さと1対1対応の関係にある。そして、このピンホール電流値63は、後述する図6のtpのタイミングにおいて繊維状形状記憶合金21に流れる電流値であり、この実施の形態1に係るスチルカメラではこのtpのタイミングにおいて第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16との間に開口が形成され始める。
マイクロコンピュータ36は、不揮発性のメモリ36aと、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)36bと、検出器としてのADコンバータ36cと、を有する。ADコンバータ36cは、入力されるアナログ電圧をデジタル値へ変換するものである。ADコンバータ36cには、検出抵抗55の他端が接続される。メモリ36aには、スチルカメラ制御プログラム62が記憶されている。中央処理装置36bは、メモリ36aからスチルカメラ制御プログラム62を読み込んで実行する。これにより、マイクロコンピュータ36により、制御手段としてのカメラ制御部71(図4参照)が実現される。なお、このスチルカメラ制御プログラム62は、出荷時に予め記憶されるが、CD−ROMなどの記録媒体や、通信回線などの伝送媒体を介して、マイクロコンピュータ36のメモリ36aに記憶するようにしてもよい。
図4は、図3のスチルカメラの電子回路によって実現されるカメラ制御部71の一例およびその周辺回路を示すブロック図である。カメラ制御部71は、露出設定部72と、タイミング制御部73と、通電トランジスタ制御部74と、マグネット制御部75と、フラッシュ制御部76と、ピンホール検出部77と、を有する。
通電トランジスタ制御部74は、反転バッファ81を有する。反転バッファ81の出力は、第二抵抗54の他端に接続される。
マグネット制御部75は、反転バッファ91を有する。反転バッファ91の出力は、第一抵抗52の他端に接続される。
ピンホール検出部77は、乗算器111と、コンダクタンスレジスタ112と、レジスタ113と、コンパレータ114と、を有する。レジスタ113には、露出設定部72によってピンホール電流値63が記憶される。コンダクタンスレジスタ112には、検出抵抗55の抵抗値の逆数が記憶される。乗算器111は、コンダクタンスレジスタ112の値をADコンバータ36cのデジタル値に乗算する。コンパレータ114は、その反転入力の値より非反転入力の値のほうが大きいときにはハイレベルを出力し、大きくないときにはローレベルを出力する。コンパレータ114の非反転入力には、乗算器111の出力が入力され、コンパレータ114の反転入力には、レジスタ113に記憶されている電流値が入力される。
フラッシュ制御部76は、露出設定部72からの設定信号に基づいて、チャージセット信号をフラッシュ回路33へ出力する。また、フラッシュ制御部76は、充電信号を検出して、コンデンサの充電電圧が所定の電圧になっているか否かを確認する。さらに、フラッシュ制御部76は、繊維状形状記憶合金21に流れる電流値に基づいて各時点での開口量を取得し、所望の開口量となっているときに、フラッシュ回路33へフラッシュトリガ信号を出力する。
タイミング制御部73は、レジスタ101と、タイマ102と、コンパレータ103と、第一論理積回路104と、第二論理積回路105と、反転回路106と、を有する。
反転回路106は、その入力レベルを反転して出力する。反転回路106の入力には、第二スイッチ41bの他端が接続される。
タイマ102は、カウント開始信号が入力されたら、時間の計測を開始する。タイマ102には、コンパレータ114の出力がカウント開始信号として入力される。また、この時間計測前のタイマ102のカウント値(初期値)は0である。
レジスタ101は、シャッタスピードに基づき得られる露出量に応じて決定されるシャッタを開いている期間に相当する露光時間を記憶する。コンパレータ103は、その反転入力の値より非反転入力の値のほうが大きいときにはハイレベルを出力し、大きくないときにはローレベルを出力する。コンパレータ103の非反転入力には、レジスタ101に記憶されている値が入力され、コンパレータ103の反転入力には、タイマ102の計測時間が入力される。
第一論理積回路104は、2つの入力がともにハイレベルである期間のみにハイレベルを出力するものである。第一論理積回路104の2つの入力の中の一方には、コンパレータ103の出力が入力され、第一論理積回路104の2つの入力の中の他方には、反転回路106の出力が接続される。第一論理積回路104の出力は、反転バッファ81の入力に接続される。
第二論理積回路105は、2つの入力がともにハイレベルである期間のみにハイレベルを出力するものである。第二論理積回路105の2つの入力の中の一方には、コンパレータ103の出力が入力され、第二論理積回路105の2つの入力の中の他方には、反転回路106の出力が接続される。第二論理積回路105の出力は、反転バッファ91の入力に接続される。
露出設定部72は、レリーズボタン41の第一スイッチ41aの他端が接続される。露出設定部72には、測光回路40の明るさ情報と、ISO情報読取回路38のISO情報と、測距回路39の距離情報と、撮影設定選択テーブル61とが入力される。露出設定部72は、フラッシュ制御部76へ設定信号を出力し、レジスタ101にシャッタスピードを設定する。
次に、この実施の形態1に係るスチルカメラの動作を説明する。
レリーズボタン41が押されていない状態では、第一スイッチ41aおよび第二スイッチ41bはオフ状態にある。第二スイッチ41bがオフ状態であると、反転回路106はローレベルを出力し、第一論理積回路104および第二論理積回路105もローレベルを出力する。したがって、通電トランジスタ制御部74の反転バッファ81はハイレベルを出力し、通電トランジスタ53はオフ状態である。同様に、マグネット制御部75の反転バッファ91はハイレベルを出力し、マグネットトランジスタ51はオフ状態である。
マグネットトランジスタ51がオフ状態になっている場合、保持マグネット24は磁気的な吸引力を発揮しない。そのため、可動片22は、第三回転軸23の周囲で自由に回転することができる状態にある。但し、マグネットバネ26の力によって、可動片22は、保持マグネット24のU字型の鉄心24aの近傍あるいは当接した状態に保持される。また、マグネットバネ26の力によって、繊維状形状記憶合金21には軽い引張力が加えられ、たわみのない状態となっている。
また、マグネットトランジスタ51とともに通電トランジスタ53がオフ状態になっている場合、閉バネ20の力によって、羽駆動レバー17の第二リンク部17cは回転止めピン18に当接している。この第二リンク部17cが回転止めピン18に当接している状態では、第一シャッタ羽板15の半円環部15aと第二シャッタ羽板16の半円環部15aとがシャッタ開口部12上で重なり合う。これにより、レンズ装置に入射された光は、第一シャッタ羽板15および第二シャッタ羽板16によって遮られ、フィルムが感光してしまうことはない。また、繊維状形状記憶合金21の温度が環境温度によって若干上昇しても、第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16との間に開口は形成されない。その結果、不用意な露出を防止することができる。
そして、スチルカメラの利用者は、レンズの光軸方向を被写体にむけた姿勢でスチルカメラを保持し、その状態でレリーズボタン41を押す。
レリーズボタン41が押されると、まず、第一スイッチ41aがオン状態に変化する。第一スイッチ41aがオン状態になると、露出設定部72は、測光回路40の明るさ情報とISO情報読取回路38のISO情報とに基づいて露出値を演算する。また、露出設定部72は、演算した露出値とカメラの絞り値とに対応したシャッタスピードを撮影設定選択テーブル61から選択する。なお、レンズ装置が自動焦点合わせを必要とする場合には、この第一スイッチ41aがオン状態に変化した後に、測距回路39の距離情報に基づいて制御すればよい。
そして、露出設定部72は、選択したシャッタスピードをレジスタ101に設定し、フラッシュ発光を必要とする場合にはさらにフラッシュ制御部76へ設定信号を出力する。選択したシャッタスピードがレジスタ101に設定されることで、コンパレータ103は、ハイレベルを出力する。また、フラッシュ制御部76は、露出設定部72からの設定信号に基づいて、チャージセット信号をフラッシュ回路33へ出力した後、充電信号に基づいてコンデンサの充電電圧が所望の電圧になっているか否かを確認する。なお、コンデンサの充電電圧が所望の電圧にならない場合には、フラッシュ制御部76は、たとえば警告音や警告表示を行うとよい。
さらにレリーズボタン41が押されて第二スイッチ41bがオン状態に変化すると、反転回路106の出力がハイレベルへ変化する。したがって、第一論理積回路104の出力および第二論理積回路105の出力はともに、ローレベルからハイレベルへ変化する。この時点では、コンパレータ103がハイレベルを出力しているので、第二論理積回路105の出力がハイレベルになると、反転バッファ91はローレベルを出力し、マグネットトランジスタ51はオン状態になる。マグネットトランジスタ51がオン状態になると保持マグネット24のコイル24bに電流が流れ、この電流によって鉄心24aに発生する磁気的な吸引力によって、可動片22は、保持マグネット24のU字型の鉄心24aに吸着して保持される。図5は、図1のシャッタ機構1において、可動片22が保持マグネット24に吸着保持されている状態を示す図である。繊維状形状記憶合金21が常温ではほとんど収縮していないので、図1に示すように、可動片22はもともとマグネットバネ26の力によって保持マグネット24に当接している。したがって、保持マグネット24に通電しても、シャッタ機構1の各部品は動かない。
また、第一論理積回路104の出力がハイレベルになると、コンパレータ103がハイレベルを出力しているので、反転バッファ81はローレベルを出力し、通電トランジスタ53はオン状態になる。通電トランジスタ53がオン状態になると、昇圧回路32から通電トランジスタ53を介して繊維状形状記憶合金21に電流が流れる。
繊維状形状記憶合金21は、通電によってジュール熱を発生し、その発熱によって温度が上昇する。
図6は、繊維状形状記憶合金21に流れる電流波形とシャッタの開口状態との関係を示す特性図である。横軸は時間であり、縦軸は、電流値あるいは開口量である。時刻tONは、第二スイッチ41bがオン状態になって、繊維状形状記憶合金21に電流が流れ始めたタイミングである。
繊維状形状記憶合金21への通電に起因する温度上昇によって、繊維状形状記憶合金21は、縮み始める。繊維状形状記憶合金21の他端は、可動片22とともに保持マグネット24によって固定されている。したがって、繊維状形状記憶合金21が縮むことで羽駆動レバー17の第三リンク部17dが引っ張られ、羽駆動レバー17は、右に回転する。図7は、図1のシャッタ機構1において、繊維状形状記憶合金21が縮むことで羽駆動レバー17が右に一定量回転した状態を示す図である。そして、羽駆動レバー17が右に回転することで、第一シャッタ羽板15は左に回転し、第二シャッタ羽板16は右に回転する。
ところで、ピンホール検出部77は、繊維状形状記憶合金21の通電電流値に基づき、開口がピンホール状に形成されたか否かを監視しており、開口が形成されたタイミングで、タイマ102への信号をハイレベルとする。これにより、タイマ102は、時間の計測を開始する。
繊維状形状記憶合金21がさらに縮むと、第一シャッタ羽板15の半円環部15aと第二シャッタ羽板16の半円環部15aとがシャッタ開口部12上から離脱し、シャッタ開口部12の全域が露出する。図8は、図1のシャッタ機構1において、シャッタを開き切った状態を示す図である。このタイミングは、図6ではtFのタイミングである。
このように繊維状形状記憶合金21は、通電を開始してからの経過時間が長くなるほど縮んでゆき、図6に示すように、それにしたがって第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16とに形成される開口も大きくなってゆく。
なお、フラッシュ回路33は、検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流になったら、フラッシュ光を発光させる。
その後、タイマ102の計測時間がレジスタ101に記憶されている露光時間より大きくなると、コンパレータ103は、その出力をローレベルへ変化させる。コンパレータ103の出力がローレベルへ変化すると、第二論理積回路105の出力はローレベルへ変化し、反転バッファ91の出力はハイレベルへ変化する。反転バッファ91の出力がハイレベルになると、マグネットトランジスタ51はオフ状態へ変化し、保持マグネット24のコイル24bへの通電が停止する。このタイミングは、図6ではtOFFのタイミングである。コイル24bへの通電が停止されると、保持マグネット24は磁気的な吸引力を発揮しないので、可動片22は、閉バネ20による復元力とマグネットバネ26による復元力との不平衡により回動する。すなわち、閉バネ20の力がマグネットバネ26の力よりも大きいので、可動片22は、保持マグネット24から離れ、羽駆動レバー17は、その羽駆動レバー17の第二リンク部17cが回転止めピン18に当接するまで右回りに回転する。図9は、図1のシャッタ機構1において、コイル24bへの通電を停止した直後の状態を示す図である。これにしたがって、第一シャッタ羽板15は右に回転し、第二シャッタ羽板16は左に回転し、シャッタ開口部12を、第一シャッタ羽板15および第二シャッタ羽板16が覆う。これにより、シャッタは閉じられる。
また、他方で、コンパレータ103の出力がローレベルへ変化すると、第一論理積回路104の出力はローレベルへ変化し、反転バッファ81の出力はハイレベルへ変化する。反転バッファ81の出力がハイレベルになると、通電トランジスタ53はオフ状態へ変化し、繊維状形状記憶合金21への通電が停止する。繊維状形状記憶合金21の通電が停止されると、繊維状形状記憶合金21は、自然に冷却されはじめる。通電が停止された直後では、繊維状形状記憶合金21は、収縮した状態にある。そのため、図9に示すように、通電が停止された直後では、可動片22は、保持マグネット24の鉄心24aから離間した状態になっている。
その後、繊維状形状記憶合金21の自然冷却が進むと、繊維状形状記憶合金21は、徐々に伸張して元の長さに戻り、図5に示すように、可動片22が保持マグネット24の鉄心24aに当接した状態に戻る。冷却伸張過程では、図2で示したように伸張が急峻に進行する温度が低いこともあり、元の長さに戻るまでの時間は長くなるが、本実施の形態1では、可動片22および保持マグネット24により繊維状形状記憶合金21の他端を開放することで、高速にシャッタを閉じている。
以上のように、この実施の形態1に係るスチルカメラでは、繊維状形状記憶合金21を通電して発熱させ、繊維状形状記憶合金21の通電による収縮を利用して、シャッタ装置を開閉することができる。
実施の形態1によれば、シャッタ用である第一シャッタ羽板15および第二シャッタ羽板16の間の開口を閉じる方向に閉じバネ20で付勢し、通電により収縮する繊維状形状記憶合金21を使用してその収縮により第一シャッタ羽板15および第二シャッタ羽板16を閉じバネ20の付勢力に抗して付勢し開口させ、繊維状形状記憶合金21による第一シャッタ羽板15および第二シャッタ羽板16の間の開口後に、繊維状形状記憶合金21の他端を移動させて繊維状形状記憶合金21による付勢力を解放している。そのため、繊維状形状記憶合金21の伸張に時間がかかったとしても、繊維状形状記憶合金21による付勢力を解放することで、その伸張の時間に関係なく開口を制御することができる。したがって、簡単な構成で、繊維状形状記憶合金21への通電によりシャッタの開口を制御することができる。
また、実施の形態1によれば、繊維状形状記憶合金21が、その非通電時に、羽駆動レバー17が回転止めピン18に当接しつつ、保持マグネット24によって可動片22が所定の保持位置に保持可能な長さに形成され、保持マグネット24のコイル24bを通電していない状態で可動片22を所定の位置まで引張るマグネットバネ26を有する。これにより、可動片22は移動しないので、たとえばステッピングモータやアイリスモータなどの回転子を回転させることで開口を制御する場合のように、回転子の慣性モーメントなどに起因するチャタリングなどが発生してしまうことはなく、羽板を安定に駆動することができる。
また、実施の形態1によれば、繊維状形状記憶合金21に流れる電流を検出電流として検出するADコンバータ36cを有し、繊維状形状記憶合金21が、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が減少する形状記憶合金であり、第一シャッタ羽板15および第二シャッタ羽板16が、開口がなくなる状態まで回転可能に配設され、カメラ制御部71が、検出電流の値に基づき開口量を判定し、開口が形成され始めるタイミングを基準として、保持マグネット24への通電を停止するタイミングを制御している。具体的には、カメラ制御部71は、検出電流が、ピンホール電流値63となるタイミングから時間を計測し、その時間が予め決められた露光量に対応する時間になったら、保持マグネット24への通電を停止している。これにより、繊維状形状記憶合金21がその環境温度によって収縮したとしても開口が形成されないように繊維状形状記憶合金21を形成することができる。これにより、不用意な露光を防止することができる。また、開口が形成され始めるタイミングを基準として、保持マグネット24への通電を停止するタイミングを制御しているので、繊維状形状記憶合金21に通電を開始してから開口が形成され始めるまでの期間が環境温度によって変動したとしても、開口時間や露出量を正確にすることができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係るスチルカメラは、実施の形態1におけるシャッタ装置を、プログラムシャッタ装置としたものである。実施の形態2におけるプログラムシャッタ装置は、実施の形態1のシャッタ装置と同様の機械的構成を有するが、両者の制御方法は異なる。
図10は、実施の形態2に係るスチルカメラの電子回路を示す回路構成図である。EEPROM37は、撮影設定選択テーブル65と、ピンホール電流値63と、F−Iテーブル64と、を記憶する。
撮影設定選択テーブル65は、シャッタスピードおよび絞り値が、露出値に対応付けられているテーブルである。
F−Iテーブル64は、複数の絞り値(F値)のそれぞれに対して繊維状形状記憶合金21に通電する電流値を対応付けたテーブルである。F値は、シャッタの開口量を示す値である。複数のF値の組み合わせとしては、たとえば、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16などがある。Fに続く番号が小さくなると絞り値は開放値に近くなる。そして、F−Iテーブル64には、この各絞り値に対する電流値が対応付けられている。
実施の形態2におけるカメラ制御プログラム62aは、プログラムシャッタに対応した制御を行うためのカメラ制御プログラムである。
なお、図10におけるその他の構成については、実施の形態1の場合と同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
図11は、実施の形態2における繊維状形状記憶合金21に流れる電流波形とシャッタの開口状態との関係を示す特性図である。横軸は時間であり、左の縦軸は電流値であり、右の縦軸は開口量である。この実施の形態2のスチルカメラでは、F2.8からF16までの6個の絞り値が図11に示すように開口量と対応している。そして、F−Iテーブル64には、この6個の絞り値と、それぞれの絞り値に対応する6個の電流値とが対応付けられている。以下において、それぞれの電流値は、図11に示すようにI2.8、I4、I5.6、I8、I11、I16と記載する。
図12は、実施の形態2に係るスチルカメラの電子回路によって実現されるカメラ制御部71Aの一例およびその周辺回路を示すブロック図である。カメラ制御部71Aは、露出設定部72と、ピンホール検出部77と、タイミング制御部73と、通電トランジスタ制御部74と、マグネット制御部75と、フラッシュ制御部76と、を有する。これら露出設定部72と、ピンホール検出部77と、タイミング制御部73と、マグネット制御部75と、フラッシュ制御部76とは、実施の形態1に係るスチルカメラの同名の構成と同じ機能を有するものであり、同一の符号を付してその説明を省略する。
通電トランジスタ制御部74は、レジスタ82と、周期タイマ83と、コンパレータ84と、反転バッファ81と、を有する。レジスタ82には、露出設定部72によってF−Iテーブル64から選択された電流値が記憶される。周期タイマ83は、所定の周期毎にコンパレータ84を起動させる。
コンパレータ84は、起動されたときにはその出力をハイレベルに切り換え、さらにその反転入力の値よりも非反転入力の値のほうが大きいときにはハイレベルを継続して出力し続ける。また、コンパレータ84は、反転入力の値よりも非反転入力の値のほうが小さくなると、その出力をローレベルへ切り換えるとともに、反転入力の値と非反転入力の値との比較を停止する。コンパレータ84の非反転入力には、レジスタ82に記憶されている値が入力され、コンパレータ84の反転入力には、乗算器111の出力が入力される。コンパレータ84の出力は、反転バッファ81の入力に接続される。
次に、この実施の形態2に係るスチルカメラの動作を説明する。
レリーズボタン41が押されていない状態は、実施の形態1のスチルカメラと同様であり説明を省略する。
レリーズボタン41が押されて第一スイッチ41aがオン状態に変化すると、露出設定部72は、測光回路40の明るさ情報とISO情報読取回路38のISO情報とに基づいて露出値を演算する。また、露出設定部72は、演算した露出値に対応した絞り値およびシャッタスピードを撮影設定選択テーブル65から選択する。この際、フラッシュ発光を必要とする場合には、露出設定部72は、測距回路39の距離情報とフラッシュガイドナンバーとを参照して絞り値を演算する。さらに、露出設定部72は、演算した絞り値に対応する電流値をF−Iテーブル64から選択する。
そして、露出設定部72は、選択したシャッタスピードをレジスタ101に設定し、選択した電流値をレジスタ82に設定し、フラッシュ発光を必要とする場合にはさらにフラッシュ制御部76へ設定信号を出力する。これにより、フラッシュ制御部76は、チャージセット信号をフラッシュ回路33へ出力する。
さらにレリーズボタン41が押されて第二スイッチ41bがオン状態に変化すると、カメラ制御部71Aによって反転回路106の出力がハイレベルへ変化し、第一論理積回路104の出力および第二論理積回路105の出力もハイレベルへ変化する。第二論理積回路105の出力がハイレベルへ変化すると、カメラ制御部71Aによってマグネットトランジスタ51はオン状態とされ、可動片22が保持マグネット24のU字型の鉄心24aに吸着して保持される。
また、第一論理積回路104の出力がハイレベルになると、通電トランジスタ制御部74は、動作を開始する。通電トランジスタ制御部74が動作を開始すると、周期タイマ83は、通電トランジスタ制御部74を起動する。これにより、通電トランジスタ制御部74は動作し、その出力をハイレベルとする。
コンパレータ84の出力がハイレベルになると、反転バッファ81の出力がローレベルとなり、通電トランジスタ53はオン状態になり、繊維状形状記憶合金21に電流が流れ始める。これにより、繊維状形状記憶合金21は、縮み始める。可動片22が保持マグネット24のU字型の鉄心24aに吸着して保持されているので、繊維状形状記憶合金21が縮むことで、第一シャッタ羽板15と第二シャッタ羽板16との間に開口が形成される。なお、実施の形態1と同様に、開口がピンホール状に形成されたタイミングtPから、露光時間が計時される。
図13は、実施の形態2における繊維状形状記憶合金21に流れる電流波形とシャッタの開口状態の一例を示す特性図である。横軸は時間であり、縦軸は、電流値あるいは開口量である。tONは、第二スイッチ41bがオン状態になって、繊維状形状記憶合金21に電流が流れ始めたタイミングである。通電トランジスタ制御部74が動作を開始するときには繊維状形状記憶合金21に電流が流れていないので、乗算器111は、繊維状形状記憶合金21の電流値として0を出力する。したがって、通電トランジスタ制御部74が動作を開始すると、コンパレータ84は、その出力をハイレベルに制御する。
そして、乗算器111の電流値がレジスタ82の値より大きくなると、すなわち目標とする絞り値に対応した電流値より大きくなると、コンパレータ84は、その出力をローレベルに切り換える。これにより、繊維状形状記憶合金21の通電が停止する。そして、繊維状形状記憶合金21は、その通電が停止すると、収縮を停止する。図13は目標の絞り値がF5.6である場合を示しており、乗算器111の電流値がレジスタ82に記憶されているI5.6となった時刻t5.6において、繊維状形状記憶合金21の通電が、停止している。このとき、シャッタ機構1の開口量は、目標とする絞り値のF5.6になっている。繊維状形状記憶合金21は、通電が停止されるとその温度上昇が止まるので、その通電が停止されたときの縮み量以上には縮むことはない。
その後、繊維状形状記憶合金21への通電を停止した状態では、繊維状形状記憶合金21は、自然冷却によって放熱し、繊維状形状記憶合金21の温度は低下し始め、伸張を開始する。ただし、繊維状形状記憶合金21の縮み量は、通電が停止されたときから暫らくの間(図13では約77度から約69度に低下するまでの間)はほとんど変化せず、シャッタの開口の大きさもほとんど変化しない。
繊維状形状記憶合金21への通電停止後、周期タイマ83は、周期的にコンパレータ84を起動し、コンパレータ84の出力を強制的にハイレベルに切り換える。このため、繊維状形状記憶合金21には周期的に電流が流れる。この電流は、ADコンバータ36cおよびピンホール検出部77で検出される。そして、乗算器111の電流値が目標電流値よりも低ければ、コンパレータ84は、ハイレベルを出力し続けて、繊維状形状記憶合金21に電流が流れつづける。逆に、乗算器111の電流値が目標電流値よりも高ければ、コンパレータ84は、ローレベルを出力して繊維状形状記憶合金21の通電が停止する。
つまり、図13のaに示すように、コンパレータ84を起動して繊維状形状記憶合金21の通電を開始したときの電流値が、目標電流値とほぼ同じ場合には、繊維状形状記憶合金21の長さを電流値として検出するための短い期間のみ繊維状形状記憶合金21に通電がなされる。図13のbに示すように、コンパレータ84を起動して繊維状形状記憶合金21の通電を開始したときの電流値が、目標電流値よりも低い場合には、繊維状形状記憶合金21の電流値が目標電流値となるまでの比較的に長い期間にわたって繊維状形状記憶合金21に通電がなされる。図13のcに示すように、コンパレータ84を起動して繊維状形状記憶合金21の通電を開始したときの電流値が、目標電流値より高い場合には、繊維状形状記憶合金21の通電は直ちに停止される。
このような繊維状形状記憶合金21の通電制御により、繊維状形状記憶合金21の長さは、通電したときの電流値が目標電流値となる状態に維持されることになる。つまり、シャッタ機構1の開口量は、目標とする絞り値(図13ではF5.6)に維持されることになる。
そして、フラッシュ動作が実行される場合、フラッシュ制御部76は、上記のように所望の絞り値となっている状態のときに、フラッシュ回路33へフラッシュトリガ信号を出力し、フラッシュ回路33から発光がなされる。
タイマ102の計測時間がレジスタ101に記憶されている露光時間よりも大きくなると、コンパレータ103は、その出力をローレベルへ変化させる。コンパレータ103の出力がローレベルへ変化すると、反転バッファ91の出力はハイレベルへ変化し、保持マグネット24のコイル24bへの通電が停止する。このタイミングは、図13ではtOFFのタイミングである。これにより、可動片22は自由に回転できる状態となり、閉バネ20の力によってシャッタは閉じられる。
また、他方で、コンパレータ103の出力がローレベルへ変化すると、通電トランジスタ制御部74はその動作を停止し、反転バッファ81の出力はハイレベルへ変化する。これにより、繊維状形状記憶合金21への通電が停止する。その後、繊維状形状記憶合金21の自然冷却が進むと、繊維状形状記憶合金21は伸張して元の長さに戻り、マグネットバネ26の力によって可動片22は保持マグネット24の鉄心24aに当接する状態に戻る。
ところで、この実施の形態2に係るスチルカメラでは、周期タイマ83がコンパレータ84を周期的に起動し、コンパレータ84が周期的に繊維状形状記憶合金21を通電することで、繊維状形状記憶合金21の電流値を検出し、絞り値を所望の絞り値に制御している。そのため、この間欠的な通電によって繊維状形状記憶合金21が冷却され過ぎないようにしなければならない。したがって、周期タイマ83がコンパレータ84を周期的に起動する周期は、繊維状形状記憶合金21の環境温度が最も低くて冷却されやすいスチルカメラの使用条件下で、繊維状形状記憶合金21の温度が絞り値に応じた開口を維持することができる最低の冷却温度になるまでの時間以下の周期とすればよい。このような周期としては、たとえば5ms以上、20ms以下とすればよい。特に、繊維状形状記憶合金21のヒステリシス特性に基づいて、冷却時の伸張が急峻に進行する温度(図2では約75度)以上の温度を維持できる周期とすることで、繊維状形状記憶合金21の縮み量を一定に保つことができ、シャッタの開口量を良好に制御することができる。
また、この実施の形態2に係るスチルカメラでは、コンパレータ84が周期的に繊維状形状記憶合金21を通電することで、繊維状形状記憶合金21の電流値を検出し、絞り値を制御している。そのため、この繊維状形状記憶合金21の電流値の検出のための通電が周期的に発生することになるが、この状態検出のための周期的な通電によって繊維状形状記憶合金21の温度が累積的に上昇し続けてしまわないようにしなければならない。したがって、コンパレータ84の周期的な通電の電流値および/または最低通電時間は、繊維状形状記憶合金21の環境温度が最も高くて冷却され難いスチルカメラの使用条件下で、繊維状形状記憶合金21の温度が所定の温度(すなわち、加熱時の収縮が急峻に進行する温度、図2では約75度)を大きく超えてしまわない値、望ましくはその使用条件下でも繊維状形状記憶合金21が冷却される値とすればよい。たとえば10msの周期などでコンパレータ84を起動する場合であれば、たとえば0.05ms以上、5ms以下の通電時間に流れる電流値とすればよい。
なお、1つの起動周期内において、コンパレータ84は、所定の周期毎に比較処理を繰り返している。そして、その比較処理の周期は、1つの起動周期内においてたとえば0.1msなどの均一な周期毎であっても、最初は0.1msであるとともに2回目以降はたとえば0.05ms毎などの他の周期であってもよい。
以上のように、この実施の形態2に係るスチルカメラでは、繊維状形状記憶合金21の通電による収縮を利用して、プログラムシャッタ装置を開閉することができる。
実施の形態2によれば、繊維状形状記憶合金21に流れる電流を検出電流として検出するADコンバータ36cを有し、繊維状形状記憶合金21が、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が減少する形状記憶合金であり、カメラ制御部71が、検出電流の値に基づき開口量を判定し、開口量が所望の大きさになったら、繊維状形状記憶合金21の通電を停止する。これにより、開口量を所望の大きさに制御することができ、プログラムシャッタ装置として利用することができる。また、絞りの開口量を検出電流に基づいてたとえば無段階に制御することができる。
また、実施の形態2によれば、カメラ制御部71が、繊維状形状記憶合金21の通電を停止した後に周期的にパルス状の通電を繊維状形状記憶合金21に行い、この周期的な通電による検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流より小さい場合には、検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流となるまで繊維状形状記憶合金21に通電する。これにより、繊維状形状記憶合金21の収縮による開口量を、所望の大きさに維持することができる。特に、カメラ制御部71が、繊維状形状記憶合金21が周囲温度による冷却で収縮し、所望の開口量が保てなくなる時間より短い周期で、繊維状形状記憶合金21に周期的な通電を行うので、繊維状形状記憶合金21が冷却によって収縮しはじめるまえに、繊維状形状記憶合金21を所定の温度に加熱し、繊維状形状記憶合金21の収縮による開口量を、所望の一定の大きさに維持することができる。
また、実施の形態2によれば、複数の開口の大きさに対応する複数の電流値を記憶するEEPROM37を有し、カメラ制御部71が、検出電流の値と、この複数の電流値の中から選択された電流値との比較に基づいて繊維状形状記憶合金21の通電を制御する。これにより、繊維状形状記憶合金21の収縮による開口量を、所定の複数の開口量のいずれかに制御することができる。また、EEPROM37に複数の開口量に対応する複数の電流値を記憶させるので、このEEPROM37を交換あるいは書き換えるだけでカメラの仕様変更などに簡単に対応することができる。
また、実施の形態2によれば、第一シャッタ羽板15と、第二シャッタ羽板16と、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が減少し、これら羽板を駆動して開口量を調節する繊維状形状記憶合金21と、通電時に繊維状形状記憶合金21に流れる電流を検出するADコンバータ36cと、ADコンバータ36cにより検出された電流の値と所望の開口量に対応する電流値とに基づいて、開口量が所望の開口量になるように繊維状形状記憶合金21に通電する電流値を制御するカメラ制御部と、を備える。これにより、第一シャッタ羽板15や第二シャッタ羽板16の位置検出や、繊維状形状記憶合金21の周囲温度の検出をしなくても、開口量を制御できるため、簡単な構成で開口制御を行うことができる。しかも、繊維状形状記憶合金21の収縮量をその通電時の電流値によってリアルタイムに実測することができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係るスチルカメラは、実施の形態2における開口制御機構を絞り装置に適用したものである。
絞り装置は、絞り機構2(図14参照)と、絞り駆動回路45(図15参照)と、絞り制御部と、を有する。絞り制御部は、後述するカメラ制御部71の一部として実現される。
図14は、本発明の実施の形態3に係るスチルカメラの絞り機構2を示す正面図である。絞り機構2は、絞り基準板27、絞り開口部28、羽板としての第一絞り羽板29、羽板としての第二絞り羽板30、2つの回転軸13,14、羽駆動レバー17、回転止めピン18、閉バネ20、繊維状形状記憶合金21および繊維状形状記憶合金21固定用のピン3を有する。なお、絞り基準板27は、図1のシャッタ基準板11と同等の機能を有するものであり、絞り開口部28は、図1のシャッタ開口部12と同等の機能を有するものであり、第一絞り羽板29は、図1の第一シャッタ羽板15と同等の機能を有するものであり、第二絞り羽板30は、図1の第二シャッタ羽板16と同等の機能を有するものである。また、これ以外の絞り機構2の構成要素は、図1に示す同名の構成と同一であり、同一の符号を付して説明を省略する。
図15は、実施の形態3に係るスチルカメラの電子回路を示す回路構成図である。
スチルカメラの電子回路は、主に、バッテリ31、昇圧回路32、フラッシュ回路33、ISO情報読取回路38、測距回路39、測光回路40、レリーズボタン41、絞り装置の絞り駆動回路45、EEPROM37、マイクロコンピュータ36を有する。これらバッテリ31、昇圧回路32、フラッシュ回路33、ISO情報読取回路38、測距回路39、測光回路40、レリーズボタン41、絞り装置の絞り駆動回路45、EEPROM37およびマイクロコンピュータ36は、図10に示す同名の構成と同じ機能を有するものであり、同一の符号を付して説明を省略する。
絞り駆動回路45は、マグネットトランジスタ51と、第一抵抗52と、通電トランジスタ53と、第二抵抗54と、検出抵抗55と、を有する。これらの構成要素は、図10に示す同名の構成要素と同じ機能を有するものであり、同一の符号を付して説明を省略する。
EEPROM37は、撮影設定選択テーブル66と、F−Iテーブル64と、を記憶する。F−Iテーブル64は、図13に示す同名の構成要素と同じ機能を有するものであり、同一の符号を付して説明を省略する。
撮影設定選択テーブル66は、絞り値が、露出値およびスチルカメラのシャッタスピードに対応付けられているテーブルである。
マイクロコンピュータ36は、ADコンバータ36cと、メモリ36aと、中央処理装置36bと、を有する。メモリ36aには、スチルカメラ制御プログラム62が記憶されている。これらの構成要素は、図10に示す同名の構成と同じ機能を有するものであり、同一の符号を付して説明を省略する。
中央処理装置36bがスチルカメラ制御プログラム62Bを実行することで、カメラ制御部71Bが実現される。図16は、図15に示すスチルカメラの電子回路によって実現されるカメラ制御部71Bの一例およびその周辺回路を示すブロック図である。カメラ制御部71Bは、露出設定部72と、通電トランジスタ制御部74Aと、シャッタ制御部201と、を有する。これらの構成要素のうち、図12に示す同名の構成と同じ機能を有するものは、同一の符号を付して説明を省略する。
通電トランジスタ制御部74Aは、レジスタ82と、周期タイマ83と、コンパレータ84と、反転バッファ81と、コンダクタンスレジスタ85と、乗算器86と、を有する。コンダクタンスレジスタ85には、検出抵抗55の抵抗値の逆数が記憶される。乗算器86は、ADコンバータ36cの出力に、コンダクタンスレジスタ85の値を乗算する。コンパレータ84は、レジスタ82の値と乗算器86の出力とを比較する。レジスタ82、周期タイマ83、コンパレータ84、反転バッファ81は、図12に示す同名の構成と同じ機能を有するものであり、同一の符号を付して説明を省略する。
露出設定部72には、レリーズボタン41の第一スイッチ41aの他端が接続される。露出設定部72には、測光回路40の明るさ情報と、ISO情報読取回路38のISO情報と、測距回路39の距離情報と、撮影設定選択テーブル66と、F−Iテーブル64とが入力される。露出設定部72は、通電トランジスタ制御部74Aのレジスタ82に、絞り値に応じた電流値を設定する。
なお、シャッタ制御部201は、スイッチ41bに対する操作に応じて、図示せぬシャッタ装置を制御するものである。
次に、この実施の形態3に係るスチルカメラの動作を説明する。
レリーズボタン41が押されていない状態は、実施の形態2に係るスチルカメラと同様の状態にあり、その説明を省略する。
レリーズボタン41が押されて第一スイッチ41aがオン状態に変化すると、露出設定部72は、測光回路40の明るさ情報とISO情報読取回路38のISO情報とに基づいて露出値を演算する。また、露出設定部72は、演算した露出値に対応した絞り値を撮影設定選択テーブル66から選択する。
通電トランジスタ制御部74Aが動作を開始すると、周期タイマ83は、コンパレータ84を起動し、コンパレータ84は、その出力をハイレベルとする。コンパレータ84の出力がハイレベルに制御されると、反転バッファ81の出力がローレベルとなり、通電トランジスタ53はオン状態になり、繊維状形状記憶合金21に電流が流れ始める。これにより、繊維状形状記憶合金21は、収縮を開始する。繊維状形状記憶合金21の収縮によって第一絞り羽板29および第二絞り羽板30とが回転し始める。第一絞り羽板29および第二絞り羽板30とが回転することで、第一絞り羽板29と第二絞り羽板30との間に開口が形成される。
乗算器86の電流値がレジスタ82の値より大きくなると、すなわち目標とする絞り値に対応した電流値より大きくなると、コンパレータ84は、その出力をローレベルに切り換える。これにより、繊維状形状記憶合金21の通電が停止する。繊維状形状記憶合金21は、通電が停止されるとその温度上昇が止まるので、その通電が停止されたときの縮み量以上には縮むことはない。
その後、繊維状形状記憶合金21への通電を停止した状態では、自然冷却によって繊維状形状記憶合金21の温度は低下し伸張を開始する。ただし、繊維状形状記憶合金21の縮み量は、通電が停止されてから暫らくの間はほとんど変化しない。
また、周期タイマ83は、周期的にコンパレータ84を起動し、コンパレータ84の出力を強制的にハイレベルに切り換える。このため、繊維状形状記憶合金21には周期的に電流が流れ、繊維状形状記憶合金21に流れる電流は、ADコンバータ36cおよびコンダクタンスレジスタ85および乗算器86で検出される。そして、乗算器86の電流値が目標電流値より低ければ、コンパレータ84は、ハイレベルを出力し続けて、繊維状形状記憶合金21に電流が流れつづける。逆に、乗算器86の電流値が目標電流値より高ければ、コンパレータ84は、ローレベルを出力して繊維状形状記憶合金21の通電が停止する。
このような、実施の形態2の場合と同様な繊維状形状記憶合金21の通電制御により、繊維状形状記憶合金21は、それに通電したときの電流値が目標電流値となる状態に維持されることになる。これにより、絞り機構2の開口量は、目標とする絞り値に維持するように制御される。
以上のように、この実施の形態3に係るスチルカメラでは、繊維状形状記憶合金21の通電による収縮を利用して絞り装置を開閉することができる。
実施の形態3によれば、繊維状形状記憶合金21に流れる電流を検出電流として検出するADコンバータ36cを有し、繊維状形状記憶合金21が、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が減少する形状記憶合金であり、カメラ制御部71が、検出電流の値に基づき開口量を判定し、開口量が所望の大きさになったら、繊維状形状記憶合金21の通電を停止する。これにより、開口量を所望の大きさに制御することができ、絞り装置として利用することができる。また、絞りの開口量を検出電流に基づいてたとえば無段階に制御することができる。
また、実施の形態3によれば、カメラ制御部71が、繊維状形状記憶合金21の通電を停止した後に周期的にパルス状の通電を繊維状形状記憶合金21に行い、この周期的な通電による検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流より小さい場合には、検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流となるまで繊維状形状記憶合金21に通電する。これにより、繊維状形状記憶合金21の収縮による開口量を、所望の大きさに維持することができる。特に、カメラ制御部71が、繊維状形状記憶合金21が周囲温度による冷却で収縮し、所望の開口量が保てなくなる時間より短い周期で、繊維状形状記憶合金21に周期的な通電を行うので、繊維状形状記憶合金21が冷却によって収縮しはじめるまえに、繊維状形状記憶合金21を所定の温度に加熱し、繊維状形状記憶合金21の収縮による開口量を、所望の一定の大きさに維持することができる。
また、実施の形態3によれば、複数の開口の大きさに対応する複数の電流値を記憶するEEPROM37を有し、カメラ制御部71が、検出電流の値と、この複数の電流値の中から選択された電流値との比較に基づいて繊維状形状記憶合金21の通電を制御する。これにより、繊維状形状記憶合金21の収縮による開口量を、所定の複数の開口量のいずれかに制御することができる。また、EEPROM37に複数の開口量に対応する複数の電流値を記憶させるので、このEEPROM37を交換あるいは書き換えるだけでカメラの仕様変更などに簡単に対応することができる。
また、実施の形態3によれば、第一絞り羽板29と、第二絞り羽板30と、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が減少し、これら羽板を駆動して開口量を調節する繊維状形状記憶合金21と、通電時に繊維状形状記憶合金21に流れる電流を検出するADコンバータ36cと、ADコンバータ36cにより検出された電流の値と所望の開口量に対応する電流値とに基づいて、開口量が所望の開口量になるように繊維状形状記憶合金21に通電する電流値を制御するカメラ制御部と、を備える。これにより、第一絞り羽板29や第二絞り羽板30の位置検出や、繊維状形状記憶合金21の周囲温度の検出をしなくても、開口量を制御できるため、簡単な構成で開口制御を行うことができる。しかも、繊維状形状記憶合金21の収縮量をその通電時の抵抗値によってリアルタイムに実測することができる。
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
たとえば、上記各実施の形態では、羽駆動レバー17と可動片22との間に1本の繊維状形状記憶合金21を張り渡している。この他にもたとえば、羽駆動レバー17と可動片22との間に複数本の繊維状形状記憶合金21を張り渡しても、羽駆動レバー17と可動片22との間に薄い板状またはテープ状の形状記憶合金を張り渡してもよい。
上記各実施の形態では、繊維状形状記憶合金21を通電による発熱で加熱して収縮させている。この他にもたとえば、通電により収縮するものであれば、その部材の収縮を利用して開口を制御することができる。
上記各実施の形態では、閉じバネ20は羽板15,16,29,30の開口を閉じる方向に羽板15,16,29,30を付勢し、繊維状形状記憶合金21の収縮により羽板15,16,29,30を閉じバネ20の付勢力に抗して開口し、繊維状形状記憶合金21による羽板15,16,29,30の開口後に、繊維状形状記憶合金21の他端を移動させて繊維状形状記憶合金21による付勢力を解放している。この他にもたとえば、閉じバネ20は羽板15,16,29,30の開口を開く方向に羽板15,16,29,30を付勢し、繊維状形状記憶合金21の収縮により羽板15,16,29,30を閉じバネ20の付勢力に抗して閉口し、繊維状形状記憶合金21による羽板15,16,29,30の閉口後に、繊維状形状記憶合金21の他端を移動させて繊維状形状記憶合金21による付勢力を解放するようにしてもよい。この変形例であっても、繊維状形状記憶合金21の伸張に時間がかかったとしても、その伸張の時間に関係なく開口を制御することができる。したがって、簡単な構成で、繊維状形状記憶合金21への通電によりシャッタや絞りの開口を制御することができる。
上記各実施の形態は、スチルカメラの開口を制御する例である。本発明は、この他にもたとえば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、その他のカメラにも適用可能である。
図1は、本発明の実施の形態1に係るスチルカメラのシャッタ機構を示す正面図である。 図2は、図1に示す繊維状形状記憶合金の収縮特性を示す温度収縮特性図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係るスチルカメラの電子回路を示す回路構成図である。 図4は、図3のスチルカメラの電子回路によって実現されるカメラ制御部の一例およびその周辺回路を示すブロック図である。 図5は、図1のシャッタ機構において、可動片が保持マグネットに吸着保持されている状態を示す図である。 図6は、繊維状形状記憶合金に流れる電流波形とシャッタの開口状態との関係を示す特性図である。 図7は、図1のシャッタ機構において、繊維状形状記憶合金が縮むことで羽駆動レバーが右に一定量回転した状態を示す図である。 図8は、図1のシャッタ機構において、シャッタを開き切った状態を示す図である。 図9は、図1のシャッタ機構において、コイルへの通電を停止した直後の状態を示す図である。 図10は、実施の形態2に係るスチルカメラの電子回路を示す回路構成図である。 図11は、実施の形態2における繊維状形状記憶合金に流れる電流波形とシャッタの開口状態との関係を示す特性図である。 図12は、実施の形態2に係るスチルカメラの電子回路によって実現されるカメラ制御部の一例およびその周辺回路を示すブロック図である。 図13は、実施の形態2における繊維状形状記憶合金に流れる電流波形とシャッタの開口状態の一例を示す特性図である。 図14は、本発明の実施の形態3に係るスチルカメラの絞り機構を示す正面図である。 図15は、実施の形態3に係るスチルカメラの電子回路を示す回路構成図である。 図16は、図15に示すスチルカメラの電子回路によって実現されるカメラ制御部の一例およびその周辺回路を示すブロック図である。
符号の説明
15 第一シャッタ羽板(羽板)
16 第二シャッタ羽板(羽板)
18 回転止めピン(規制部材)
20 閉じバネ(弾性部材、第一弾性部材)
21 通電収縮部材
22 可動片(解放手段、可動部材)
24 保持マグネット(解放手段、保持手段)
26 マグネットバネ(第二弾性部材)
29 第一絞り羽板(羽板)
30 第二絞り羽板(羽板)
33 フラッシュ回路
36c ADコンバータ(検出器)
37 EEPROM(不揮発性メモリ)
71,71A,71B カメラ制御部(制御手段)

Claims (13)

  1. 少なくともシャッタ用の羽板と、
    上記羽板の開口を閉じる方向に、上記羽板を付勢する弾性部材と、
    通電により収縮し、その収縮により上記羽板を上記弾性部材の付勢力に抗して付勢し開口させる通電収縮部材と、
    上記通電収縮部材による上記羽板の開口後に、上記通電収縮部材の端部を上記通電収縮部材による付勢力が解放される方向に移動させて上記通電収縮部材による付勢力を解放する解放手段と、
    を備えることを特徴とする開口制御機構。
  2. 回転可能あるいは移動可能に配設されて、この回転あるいは移動によってレンズからの光が通過する開口を形成する羽板と、
    開口が最も小さくなる状態の上記羽板あるいは開口がなくなる状態の上記羽板と当接する規制部材と、
    上記羽板を上記規制部材に当接させる力を上記羽板に加える第一弾性部材と、
    回転可能あるいは移動可能に配設される可動部材と、
    通電により上記可動部材を所定の位置に保持する保持手段と、
    上記羽板の動きと上記可動部材とを連動可能に接続し、通電により上記第一弾性部材による付勢方向に対抗する方向に収縮する通電収縮部材と、
    上記保持手段および上記通電収縮部材に通電することで、上記規制部材から離間させる方向に上記羽板を回転あるいは移動させて所定量だけ開口させ、その後、上記保持手段への通電を停止することで、上記第一弾性部材の復元力によって上記規制部材に当接させる方向に上記羽板を回転あるいは移動させる制御手段と、
    を有することを特徴とする開口制御機構。
  3. 前記通電収縮部材は、その非通電時に、前記羽板が前記規制部材に当接しつつ、前記保持手段によって前記可動部材が所定の位置に保持可能な長さに形成され、
    前記保持手段を通電していない状態で前記可動部材を上記所定の位置まで引張る第二弾性部材を有することを特徴とする請求項2記載の開口制御機構。
  4. 前記通電収縮部材に流れる電流を検出電流として検出する検出器を有し、
    前記通電収縮部材は、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が増加あるいは減少する形状記憶合金であり、
    前記羽板は、開口がなくなる状態まで回転可能あるいは移動可能に配設され、
    前記制御手段は、上記検出電流の値に基づき開口量を判定し、開口が形成され始めるタイミングを基準として、前記保持手段への通電を停止するタイミングを制御することを特徴とする請求項2記載の開口制御機構。
  5. 前記制御手段は、前記検出電流が、開口が形成され始めるときの電流となるタイミングから時間を計測し、その時間が予め決められた露光量に対応する時間になったら、前記保持手段への通電を停止することを特徴とする請求項4記載の開口制御機構。
  6. 前記通電収縮部材に流れる電流を検出電流として検出する検出器を有し、
    前記通電収縮部材は、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が増加あるいは減少する形状記憶合金であり、
    前記制御手段は、上記検出電流の値に基づき開口量を判定し、開口量が所望の大きさになったら、前記通電収縮部材の通電を停止することを特徴とする請求項2記載の開口制御機構。
  7. 前記制御手段は、前記通電収縮部材の通電を停止した後に周期的にパルス状の通電を前記通電収縮部材に行い、この周期的な通電による前記検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流より小さい場合には、前記検出電流が、開口量が所望の大きさとなるときの電流となるまで前記通電収縮部材に通電することを特徴とする請求項4から6の中のいずれが1項記載の開口制御機構。
  8. 前記制御手段は、前記通電収縮部材が周囲温度による冷却で収縮し、所望の開口量が保てなくなる時間より短い周期で、前記通電収縮部材に周期的な通電を行うことを特徴とする請求項7記載の開口制御機構。
  9. 複数の開口の大きさに対応する複数の電流値を記憶する不揮発性メモリを有し、
    前記制御手段は、前記検出電流の値と、この複数の電流値の中から選択された電流値との比較に基づいて前記通電収縮部材の通電を制御することを特徴とする請求項6から8の中のいずれか1項記載の開口制御機構。
  10. 前記通電収縮部材に流れる電流を検出電流として検出する検出器と、フラッシュ光を発光するフラッシュ回路とを有し、
    前記通電収縮部材は、通電に伴う熱によって収縮するとともに抵抗値が増加あるいは減少する形状記憶合金であり、
    前記制御手段は、上記検出電流が、開口の大きさが所望の大きさとなるときの電流になったら、上記フラッシュ回路にフラッシュ光を発光させることを特徴とする請求項2記載の開口制御機構。
  11. 少なくともシャッタ用の羽板と、
    上記羽板の開口を開く方向に、上記羽板を付勢する弾性部材と、
    通電により収縮し、その収縮により上記羽板を上記弾性部材の付勢力に抗して付勢し閉口させる通電収縮部材と、
    上記通電収縮部材による上記羽板の閉口後に、上記通電収縮部材の端部を移動させて上記通電収縮部材による付勢力を解放する解放手段と、
    を備えることを特徴とする開口制御機構。
  12. 撮像用の光学系と、
    上記光学系を介して得られる像を受光する受光部と、
    上記光学系を透過する光による上記受光部への露出を制御する請求項1から11の中のいずれか1項記載の開口制御機構と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  13. 少なくともシャッタ用である羽板の開口を閉じる方向に弾性部材で付勢し、
    通電により収縮する通電収縮部材を使用してその収縮により上記羽板を上記弾性部材の付勢力に抗して付勢し開口させ、
    上記通電収縮部材による上記羽板の開口後に、上記通電収縮部材の端部を移動させて上記通電収縮部材による付勢力を解放すること、
    を特徴とする開口制御方法。
    以上
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