JP4385084B2 - 血液成分の分離方法及び血液成分の分離装置 - Google Patents

血液成分の分離方法及び血液成分の分離装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の手法を用いずに全血から血漿または血清を得ることが可能な方法及び該装置に関する。また全血から血漿または血清を得る方法として、血球成分の沈降を亢進する溶液を用いることを特徴とする分離方法及びそれを容易に行うよう工夫された装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在血液検査は健康診断や疾患の治療経過を診断する手段として汎用され、検査用の分析装置の精度や稼動能力は日々向上しているものの、分析する血液検体を調整する作業はあまり改善されておらず煩雑で時間がかかる。第一に検体の採取となる採血は医者、看護婦や臨床検査技師といった有資格者のみが行える医療行為であり、検体採取の為に医療施設に出向かなければならない。次に、血液中の赤血球、白血球及び血小板が検査項目に影響することがあるため、生化学的検査の対象のほとんどが血漿や血清である。まず全血量で10mL近い血液が必要で、血清は血餅が生じるまでに時間を要し、更に遠心操作が必要になる。また抗凝固処理をした血漿は遠心操作のみであるが、遠心後血球成分が混在しないように注意深く血漿を分離する必要があるなど、血漿も血清もその調整過程は煩雑で時間を要する作業のため検査する側にとって大きな負担となる。
また作業上不可欠な遠心装置のない比較的小さな病院では検査を他の検査機関に依頼するため検査結果確認に時間を要するといった問題点もある。
このような方法では検査を受ける側行う側の両方の負担が大きく、更に検査を行う側には検体処理中の感染という危険性もある。
近年、分析装置の精度向上にともなって、微量の血漿又は血清で従来の血液検査を行うことが可能になり、更に全血から血漿又は血清を簡便に分離する手法が発明されてきた。
例えば多層の不織布フィルターを用いて全血から血漿を分離する手法が開発された(特開平11-295302)が、微量の血漿量を得るために3mL以上の全血が必要で検査を受ける側の負担は変わらず、またこのフィルターは特定の分析装置仕様であるため他の分析装置には使用できないため汎用には至っていない。
また指先をランセット等の針で傷つけて得られる微量の血液をペーパークロマトの原理で血球と血漿または血清に分離する方法(特開2001-188066)が発明されているが、分離後展開した血漿または血清の成分を界面活性剤等で抽出する必要があり、実際の測定に至るまでの工程が煩雑である上、抽出等で影響を受ける成分の測定は困難でやはり汎用には至っていない。
その他に中空糸を用いて全血から血漿を分離する方法が発明されているが、測定可能な量の血漿を得るためにはある程度の血液量が必要で、この方法でも受ける側に負担が生じる。
本発明者らは上述の課題を解決すべく鋭利検討を重ねた結果、少量の血液より血漿また血清成分を分離可能な方法を発明した。血球成分の内赤血球は電解質溶液と混合したとき、膜成分脂質のシアル酸が負に帯電する為、電離している陽イオンを血球周辺に引き寄せ、互いに反発することで血球成分同士の凝集を抑制していることが知られている(「輸血の副作用,合併症」輸血学第2版 遠山 博著 1989,p333〜334)。そこで、血球同士の凝集を亢進させる為、電解質ではない糖等の水溶液に血液を添加し、血球成分を沈降させ血漿又は血清成分を分離させたところ、10分以内で血球の沈降が認められた。また糖以外のアミノ酸等でも同様の試験を実施したところ、同様の結果を得ることができた。この方法を利用することでμL単位の血液から血漿が分離可能となり、微量な検体でも測定可能な分析装置を用いることで基本的な生化学検査が十分に可能となった。
また、沈降させた血球成分は崩壊していない為、緩衝液に再溶解することで、血球を試験対象とした形態・細胞性免疫検査・遺伝子関連検査等の検査も可能である。
【0003】
【課題を解決するための手段】
]本発明は、
血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(3)と、
当該混合容器(3)内に装着され、かつ当該混合容器(3)内を上下に駆動し、かつ分離後の上澄みの血漿(血清)成分を採取する駆動部兼採取容器(5)とから構成され、
前記混合容器(3)は、上部が開口され、下部が密閉され、前記上部の開口にキャップ(6B)が装着され、
前記駆動部兼採取容器(5)は、上部が開口され、下部に前記混合容器(3)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(2)が装着され、前記上部の開口には、キャップ(6A)が装着され、
前記混合容器(3)内に上部から前記駆動部兼採取容器(5)の下部を挿入し、当該駆動部兼採取容器(5)を下方に駆動させて、前記混合容器(3)内の溶液を加圧して、
当該溶液を前記分離手段(2)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を駆動部兼採取容器(5)内に分離採集することができるように形成した、血液成分分離装置(1)を提供する。
]本発明は、
血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(13)と、
当該混合容器(13)内に装着され、かつ当該混合容器(13)内を上下に駆動し、かつ分離後の液状成分を採取する駆動部兼採取容器(15)とから構成され、
前記混合容器(13)は、上部が開口され、下部が密閉され、前記上部の開口にはキャップ(16B)が装着され、
前記駆動部兼採取容器(15)は上部が開口され、下部に、前記混合容器(13)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(12)を装着し、
前記駆動部兼採取容器(15)内の長さ方向の側壁に通液溝(18)を形成し、かつ当該駆動部兼採取容器(15)内の下部に栓体止め(19)を形成し、
前記駆動部兼採取容器(15)のキャップ(16A)の下部に支持竿(16A2)を装着し、当該支持竿(16A2)の先端に、栓体(17)を装着し
前記混合容器(13)の上部の開口から前記駆動部兼採取容器(15)を挿入し、当該駆動部兼採取容器(15)を下方に駆動させて、前記混合容器(13)内の溶液を加圧して、
当該溶液を前記分離手段(12)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を駆動部兼採取容器(15)内に分離採集することができるように形成した、血液成分分離装置(11)を提供する。
]本発明は、
血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(23)と、分離後の液状成分を採取する採取容器(25)と、
前記混合容器(23)に着脱可能な第1接続部(22A1)と、前記採取容器(25)に着脱可能な第2接続部(22A2)を有し、前記混合容器(23)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(22)とから構成され、
前記混合容器(23)は、上部と下部が開口され、上部の開口にキャップ(26B)を装着し、当該混合容器(23)の内部に上下に駆動する駆動部(27)を装着し、
前記採取容器(25)は、上部と下部が開口し、上部の開口にキャップ(26A)を装着し、
前記分離手段(22)の第1接続部(22A1)に、前記混合容器(23)の上部の開口を接続し、前記分離手段(22)の第2接続部(22A2)に前記採取容器(25)の下部の開口を接続し、
前記駆動部(27)を駆動させて、前記混合容器(23)内の溶液を加圧して、当該溶液を前記分離手段(22)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を前記採取容器(25)内に分離採集することができるように形成した、血液成分分離装置(21)を提供する。
]本発明は、
血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(33)と、分離後の液状成分を採取する採取容器(35)と、
前記混合容器(33)に着脱可能な第1接続部(32A)と、前記採取容器(35)に着脱可能な第2接続部(32D)を有し、前記混合容器(23)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(32)とから構成され、
前記混合容器(33)は上部と下部が開口され、上部の開口に、キャップ(36B)を装着し、当該混合容器(33)の内部に上下に駆動する駆動部(37)を装着し、
前記採取容器(35)は、上部に、前記分離手段(32)の第2接続部(32D)との連結部(38A)を装着し、当該連結部(38A)に、キャップ(36A)を装着し、下部は閉塞し、
前記分離手段(32)の第1接続部(32A)に前記混合容器(33)を接続し、第2接続部(32D)に前記採取容器(35)を接続し、
前記駆動部(37)を駆動させて、前記混合容器(33)内の溶液を加圧して、当該溶液を前記分離手段(32)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を採取容器(35)内に分離採集することができるように形成した、血液成分分離装置(31)を提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明の血液成分の分離方法は、(1)血液(BL)と、非電解質または両性電解質または電荷し難い物質からなる群より選択される少なくとも一つの化学物質またはこれらの化学物質の組み合わせからなる化学物質(CS)を、水または電解質を全く或いはほとんど含まない溶媒(SL)より選択される少なくとも一つの溶媒(SL)またはこれらの溶媒(SL)の組み合わせからなる溶媒(SL)に溶かした液体とを混合するステップと、(2)血液成分を分離するステップの少なくとも以上の2つのステップを含む。
本発明で血液(BL)とは、血球成分(BLC)と液状成分(BLS)の双方を含む血液である。
本発明で血液成分とは、主に赤血球または白血球または血小板からなる群より選択される少なくとも一つの成分またはこれらの成分の組み合わせからなる血球成分(BLC)と、主に血漿または血清からなる群より選択される少なくとも一つの液状成分(BLS)であり、血球成分(BLC)は主に赤血球、白血球及び血小板からなる血球成分を含み、液状成分(BLS)は主に血漿または血清からなる成分を含む。
本発明では、前記非電解質または両性電解質または電荷し難い化学物質(CS)を水または電解質を全く或いはほとんど含まない溶媒(SL)に溶解した水溶液(WSL)を調整し、当該水溶液(WSL)を血液成分のうち主に血球が含まれる成分を沈降させる手段として使用する。
前記水溶液(WSL)は血球表面に正電荷の層が形成し血球同士互いに反発しあうことを抑制する。さらに詳述すれば前記水溶液(WSL)は、前記ステップ(1)において、血球表面へ正電荷層が形成されるのを抑制し、当該水溶液(WSL)中に血液を添加すると血球同士の作用によって主に血球成分(BLC)のみの沈降を亢進させる。
前記化学物質(CS)と前記溶媒(SL)は、血球表面の正電荷層の形成を抑制し、血球の沈降を亢進させることのできる前記水溶液(WSL)を調整できるものであれば何でも良い。
例えば、前記血球沈降を亢進させる化学物質(CS)として、非電解質または糖またはポリマーからなる群より選択される少なくとも一つの物質またはこれらの二種類上の物質の組み合わせからなる物質を使用することができる。
また前記化学物質(CS)として、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、緩衝剤、水溶性のポリマー類からなる群より選択される少なくとも一つの物質またはこれらの二種類以上の物質の組み合わせからなる物質を使用することができる。
【0005】
前記化学物質(CS)として、ブドウ糖,フルクトース,ラクト−ス,ガラクトース,サッカロース(ショ糖),マンノース,マンニトール,メビリオース,ソルビトール,キシリトール,キシロース,マルトース,マンノビオース,アラビノース,マンノケトヘプノース,グルコケトヘプトース,ガラクタン,ガラクトマンナン,デンプン,セルロース,デオキシリボース,セロビオース,ラムノース,リボース.マンノース,スクロース,フコース,ラフィノース,スタキオース,デキストラン,マルトリオース,マルチェロ−ス,グリセロース,プルラン,グリセロール,マルチトール,アドニール,アラビトール,ポリビニルピロリドン、ゼラチン,N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸,N,Nビス(2-ヒドロキシエチル)-2アミノエタンスルホン酸,N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン,2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-2,2’,2’’-ニトリロトリエタノール,1,3-ビス〔トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ〕プロパン,3-〔N,Nビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ〕-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸,2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸,2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸ナトリウム,N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-3-プロパンスルホン酸,N-(2-ヒドロキシルエチル)ピペラジン-N’-2-ヒドロキシプロパン-3-スルホン酸,2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸,2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム,3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸,3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸ナトリウム,3-(N-モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸,ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸),ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)一ナトリウム,N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸,N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸,N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸,N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム,N-〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン,ポリブレン,メチルセルロースからなる群より選択される少なくとも一つの物質またはこれらの二種類以上の物質の組み合わせからなる物質を使用することができる。
【0006】
また前記化学物質(CS)は単独または二種類以上組み合わせて、水または電解質を全くあるいはほとんど含まない溶媒(SL)で、前記水溶液(WSL)として、細胞に影響しない浸透圧(例えば260〜290mOsm)およびpH内(例えば6〜8)に調整される。
さらに本発明では、前記化学物質(CS)に加えて、前記水溶液(WSL)中に血球成分の沈降を補助し更に早く沈澱させる補助物質(AS)を添加しても良い。
前記補助物質(AS)は、血球に特異的に相互作用する物質またはそれ自体が化学的に修飾された物質で、血球成分(BLC)の沈降をさらに亢進させる物質である。
前記補助物質(AS)として、グリシン,レクチン,アガロース結合型レクチン,コラーゲン,アデノシン5’−二リン酸,エピネフリン,トロンビン,アラキドン酸、リストセチンまたは2価の陽イオンでありかつ血液凝固作用を有するマグネシウムもしくはカルシウムからなる群より選択される少なくとも一つの物質またはこれらの二種類以上の物質の組み合わせからなる血球成分(BLC)に特異的に働く物質を使用することができる。
【0007】
前記ステップ(1)において、血液(BL)と前記水溶液(WSL)とを混合した後、0.5〜5分間放置することによって、少なくとも主に赤血球、白血球及び血小板を含む血球成分(BLC)と、主に希釈された血漿または血清を含む液状成分(BLS)とに分離することができる。
また本発明では、前記液状成分(BLS)中に含まれる夾雑細胞成分が崩壊することなく捕捉可能な性能を有する分離手段により、前記液状成分(BLS)と前記血球成分(BLC)を分離することもできる。
前記分離手段として、炭素質もしくはシリカ炭素質もしくは金属化合物質もしくはガラス質からなる群より選択される少なくとも一つの材質またはこれらの二種類以上の材質の組み合わせからなる無機質体またはポリマー系もしくは繊維質もしくは紙質からなる群より選択される少なくとも一つの材質またはこれらの二種類以上の材質の組み合わせからなる有機体の中空糸膜または一層ないし多層からなる平膜またはろ紙または管状膜またはスポンジ質の樹脂発泡体または前記無機質体もしくは前記有機質体から構成される粒子状の樹脂を積層したカラムを使用することができる。
【0008】
また前記分離手段の材質として、セルロースアセテート,ニトロセルロース,酢酸セルロース,セルロース,ポリビニリデンジフロライド,ポリテトラフロロエチレン,ポリカーボネイト,ポリエーテルスルホン,ポリ塩化ビニリデン,ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロン,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリ塩化ビニル,ポリアミド,ポリイミド,アクリル共重合体,ポリウレタン,ポリアクロニトリル,ポリメタクリル酸メチル,エチレン,ビニルアルコール共重合体,ポリオレフィン,ポリスチレン,銀メンブレン,グラスファイバー,ガラスウール,ガラス繊維,石英繊維,アルミナ,ガラス,シリカ,フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの材質またはこれらの二種類以上の材質の組み合わせからなる材質を使用することができる。
【0009】
また血球成分を沈降させた後、粗分離して得られる希釈された血漿または血清成分を含む液状成分(BLS)を加圧若しくは引圧にて前記分離手段を通し、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分(BLS)以外の成分を捕獲することができる。
前記分離手段は、血球成分を沈降させた後、液状成分中に混在し得る夾雑細胞成分が崩壊すること無く捕獲することが可能な性能(形態・材質)を有するものであれば何でも使用することができる。
【0010】
本発明の血液成分の分離装置は、少なくとも化学物質(CS)と血液(BL)とを混合し、静置する手段を有し、また静置後分離した液状成分(BLS)中に混在し得る夾雑細胞成分を捕獲するための分離手段を有することもある。
前記化学物質(CS)と血液(BL)を混合する手段として、少なくとも(1)血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)とを混合し、静置することが可能な手段を有し、少なくと(1)血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)とを混合する手段中に、前記血液成分中の血漿又は血清成分が希釈されて含まれる液状成分(BLS)を分離する為に血液成分中に主に血球成分を沈降させる化学物質(CS)を含む水溶液(WSL)を収納(装填或いは充填ともいう)している。
本発明の血液成分の分離装置は、少なくとも(1)血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)とを混合し静置する手段と、当該手段(1)に加えて、(2)静置後、沈降した血球成分(BLC)から上澄として分離されることにより、主に前記溶媒(SL)中で希釈された血漿または血清成分を含む液状成分(BLS)中に含まれる可能性がある血球成分(BLC)(夾雑細胞成分ともいう)を捕獲する分離手段、(3)前記の液状成分を分離手段へと導く手段として加圧や引圧を生じさせることが可能な或いは自然力にて稼動する駆動手段、(4)分離される前記液状成分(BLS)を収納する手段を有する。
前記液状成分(BLS)に残存する血球成分(BLC)を捕獲する為の分離手段は、次のいずれかの形態を採用することができる。前記化学物質(CS)と血液(BL)とを混合し静置する手段と連結及び/又は取り外しが可能な形態、または前記分離手段それ自体が前記分離される液状成分を収納する手段自体に固定した形態。
本発明で前記(1)血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液とを混合し静置する手段とは、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の高分子材料或いはガラス等の無機材料で成型された密閉性を有する容器3、13、23、33(本願明細書では「混合容器」とういう場合もある)等であり、その形状は本発明の目的を達成することができるものであれば何でも採用することができる。但し、前記容器のうち23、33(例えば後述する図3、図4参照)は、その上部に分離手段22、32が接続可能なものである。
前記(2)静置後、沈降した血球成分(BLC)から上澄として分離されることにより、主に前記溶媒(SL)中で希釈された血漿または血清成分を含む液状成分(BLS)中に含まれる可能性がある血球成分(夾雑細胞成分ともいう)(BLC)を捕獲する分離手段2、12、22、32とは前記段落番号[0007]に記載の分離手段そのもの(例えば平膜或いはろ紙や中空糸やスポンジ状の樹脂発泡体等)、または同分離手段を血液の出口と入口を有するハウジング内に配置されるもの(例えば後述する図3、図4参照)、また容器(筒体ともいう)の下部(口部ともいう)に固定されたもの(例えば後述する図1、図2参照)で、分離手段そのものやハウジングや容器(筒体ともいう)の形状は本発明の目的を達成することが可能なものであれば何でも採用することができる。またハウジングや容器(筒体ともいう)内のフィルターの形状や配置は本発明の目的を達成することが可能なものであれば何でも採用することができる。
前記(3)液状成分を分離する手段として加圧や引圧を生じさせることが可能な駆動部(駆動手段ともいう)或いは自然力にて稼動する駆動部(駆動手段ともいう)5、15、27、37とは、例えば、シリンジのピストン27、37や前記容器に収まる容器(筒体)5、15等であり、ピストンは加圧する方向に、容器(筒体)は前記容器内に挿入する方向に押すことで、容器3、13、23、33内の液体を加圧する機能を有するものであれば何でも採用することができる。また前記(4)静置後分離される前記液状成分を収納する手段5、15、25、35(例えば後述する図1から4参照)とは液状成分内に希釈されて含まれる血漿または血清成分に影響しないもので分離される前記液状成分を採取することができる容器等である。例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の高分子材料或いはガラス等の無機材料で成型された密閉性を有する容器等であり、これらの形状は、本発明の目的を達成することができるものであれば何でも採用することができる。但し、収納手段5、15は前記(3)記載の駆動手段および前記(2)記載の分離手段としての両手段の機能を併せ持つ。
また収納手段(容器ともいう)15は前記液状成分を収納した後、栓体17にて下部を密閉することが可能である。
以上説明した各手段5、15、25、35の機能等により、本願明細書では、収納手段5、15は、「駆動部兼採取容器」、収納手段25、35は、「採取容器」という場合がある。
【0011】
図1から4は本発明の血液成分分離装置の一例を示す概略図であり、以下これらに基づいて説明する。図1から4の血液成分分離装置はあくまでも例示であり、同様の作用効果を奏する血液成分分離装置は、全て本発明に含まれる。
図1の血液成分分離装置1は、血液成分と化学物質を含む水溶液Sとを混合する容器3と分離手段2、駆動部および分離後の液状成分を採取する容器5から構成される。
容器5は、人工的な加圧力で駆動或いは自然力による降下の何れによっても容器3内に挿入可能な構造(例えば容器5の外径を容器3の内径と同じかまたは若干小さく形成する)を有し、その下部(口部ともいう)に分離手段2が固定される構造(例えば分離手段2の装着溝を形成する)を有する。また、容器3内に駆動部および分離後の液状成分を採取する容器5が挿入されることで、容器3内の溶液が加圧され、分離手段2を通すことによって、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を分離することが可能な装置である。
容器3の上部、駆動部および分離後の液状成分を採取する容器5の上部と下部には密閉性を維持する為に、ポリプロピレンやポリエチレン等の高分子材料やガラス等の無機材料から成型されるキャップ6A、6B等が装着される。分離手段2とは例えば、平膜2M(或いはろ紙や中空糸)を駆動部および分離される液状成分を採取する容器5の下部に固定したものである。
図1の血液成分分離装置1は例えば次の順序で血液成分を分離することができる。
(1)化学物質が含まれる水溶液の入った容器3の上部キャップ6Bを外し、血液を同容器3内に添加する。
(2)再び容器3にキャップ6Bを装着し、転倒して血液と化学物質を含む水溶液とを混合し、静置する。
(3)静置することにより容器3内で、沈降した血球成分と、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分とに分離される。
(4)容器5上部のキャップ6Aを外し、人工的に加圧し或いは自然的に降下させ、容器3内に挿入する。
(5)容器5に固定されている分離手段2によって主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分が膜2Mを介し、容器5内に採取される。
(6)容器5が容器3内に完全に挿入された後、同容器5上部に、再びキャップ6Aを装着し、容器内を密閉する。
【0012】
図2の血液成分分離装置11は人工的な加圧或いは自然力による降下によって分離を行う装置である。図2(A)は装置1の概略図(断面図)で、図2(B)は、容器15の平面図である。血液成分分離装置11は図1の血液成分分離装置1と比較して、新たに分離される主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分と沈降した血球成分とを完全に分離する為に、キャップ16Aの下部に支持竿16A2を装着し、該支持竿16A2の先端に栓体17を装着したものである。これらの支持竿16A2及び栓体17は、図3、図4のシリンジのピストン27、37と同様の役割を果たす。
キャップ16Aを容器15上部に装着することによって、栓体17は、駆動部および分離された液状成分を採取する容器15下部を塞ぎ、容器13内で沈降している血球成分と液状成分とを完全に分離することが可能となる。また容器15は、キャップ16Aと栓体17によって密閉性を有し、容器13から取り外すことが可能となる。
また図1と比較して、新たに容器13は内部に、栓体17を挿入する時、分離された液状成分を栓体17上部に通液するための通液溝18と、栓体17で容器13内を密閉するための栓体止め19を有する。分離手段12とは例えば、平膜12M(或いはろ紙や中空糸等)を駆動部および分離される液状成分を採取する容器15の下部に固定したものである。
図2の血液成分分離装置11は、例えば次の順序で血液成分を分離することができる。
(1)化学物質が含まれる水溶液が入った容器13上部のキャップ16Bを外し、血液を同容器13に添加する。
(2)再び容器13にキャップ16Bを装着し、転倒して血液と化学物質を含む水溶液とを混合し、静置する。
(3)静置することにより容器13内で、沈降した血球成分と、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分とに分画される。
(4)容器15の上部キャップ16Aを外し、人工的に加圧し或いは自然的に降下させ、容器13内に挿入する。
(5)容器15に固定されている分離手段12によって、主に希釈された血漿または血清成分が膜12Mを介して、同容器15内に採取される。
(6)駆動部および容器15が容器13内に完全に挿入されたのち、同容器15上部にキャップ16Aをゆっくりと装着しながら、栓体17を容器15内に挿入する。
(7)容器15内の通液溝18によって、分離された液状成分は栓体17上部に通液される。
(8)栓体17を容器15内下部の栓体止め19に届くまで挿入する。
【0013】
図3の血液成分分離装置21は、加圧力を用い、容器23内の主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を分離することが可能な装置である。
図2の血液成分分離装置11と比較して、新たに化学物質と血液とを混合する容器23内に上下に動するピストン等の駆動部27を有する。分離手段22とは、例えば、液状成分の入口と出口を有するハウジング23H内に平膜23M(或いはろ紙や中空糸等)を配置したものである。またハウジング23Hは、容器23と容器25のそれぞれの口部に装着および取り外しが可能な構造を有している。
図3の血液成分分離装置21は、例えば次の順序で血液成分の分離ができる。
(1)化学物質が含まれる水溶液の入った容器23のキャップ26Bを外し、血液を同容器26内に添加する。
(2)再び容器23にキャップ26Bを装着し、転倒して血液と化学物質を含む水溶液とを混合し、静置する。
(3)静置することにより容器26内で、沈降した血球成分と、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分とに分画される。
(4)容器25上部のキャップ26Aを外す。
(5)分離手段22の第1接続部22A1と第2接続部22A2を、容器23の上部および容器25の下部と装着する。
(6)駆動部27を押して容器23内を加圧し、分離手段22内によって、主に希釈された血漿または血清成分が膜22Mを介して容器25内に採取される。
【0014】
図4の血液成分分離装置31は、加圧力により、容器33内の主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を分離することが可能な装置である。
図3の血液成分分離装置21と比較して、分離された液状成分を採取する容器35上部にキャップ36Aが装着された連結針38Aを有する連結部38を配置したものである。
分離手段32は、図3に例示した分離手段21の膜22Mの平膜やろ紙等に代えて、中空糸膜32Mを容器33内で分離された主に液状成分の入口と分離膜32Mを介して分離される液状成分の出口を有するハウジング内32Hに配置した実施例である。
図4の例示に従って詳細に説明すると、ハウジング32Hの下部には、容33内で分離される内溶液の入口(液体通路を有し液体を中空糸膜32M内側に導入する第1接続部32A)、右側部には中空糸32Mにて分離された液状成分を排出する為の出口(液体通路を有し液体を容器35に排出する第2接続部32D)がそれぞれ装着されている。また左側部と上部にはそれぞれ分離手段32に通液する容器33の内溶液或いは分離手段32外に排出される液状成分を透過しない材質・構造を有する通気部32B、32Cが装着されている。さらに同通気部32B、32Cにはそれぞれ、シート状等の封止部材34A、34Bが装着され、ハウジング32H内を外気と通気するまでは同通気部32Bと32Cは封止材34A、34Bによって密閉された状態である。
以上説明したように、図1から図8に例示した血液成分分離装置1、11、21において、各分離手段2、12、22ないしハウジング22H(内部には平膜やろ紙等が配置される)に代えて、本実施例のハウジング32H(中空糸膜32Mが配置される形態)を使用することも可能である。逆に、本実施例の血液成分分離装置31において、分離手段32のハウジング32H(中空糸膜32Mが配置される形態)に代えて、図1から図3に例示した血液成分分離装置1、11、21ないし前記ハウジング22H(内部には平膜やろ紙等が配置される)を使用することも可能である。
図4の血液成分分離装置31は例えば次の順序で血清成分を分離することができる。
(1)化学物質が含まれる水溶液の入った容器33の上部キャップ36Bを外し、血液を同容器33内に添加する。
(2)再び容器33にキャップ36Bを装着し、転倒して血液と化学物質を含む水溶液とを混合し、静置する。
(3)静置することにより、容器33内で、沈降した血球成分と、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分とに分画される。
(4)容器33に分離手段32を装着する。
(5)分離手段32上部の通気部32Bの封止材34Aを外して、通気可能な状態にする。
(6)駆動部37を押して容器33内の溶液を加圧し、分離手段32に通液する。
(7)分離手段32内によって、主に希釈された血漿または血清成分が膜32Mを介して容器35内に採取される。
(8)分離手段32上部の通気部32Bを封止材34Bで再び密閉し、隣接した通気部32Cの封止材34Aを外す。
(9)容器35上部のキャップ36Aを外し、同容器35の連結部38と分離手段32の第2接続部32Dを装着し、分離手段32内で分離された液状成分を同容器35内に採取する。
(10)分離手段32と容器35とを取り外し、容器35を同容器35から外してキャップ36Aで同容器35を再び密閉する。
【0015】
実施例1.
本実施例は、数種類の化学物質を用いて水溶液を調整し、血液を添加した後血球成分の沈降が亢進し約10分程度で、主に血球を含む成分と主に血漿又は血清である液状成分とに分離可能か否かの検討を行う為に実施した。
本実施例では、以下の材料を使用した。
人血液を用い、化学物質を含む水溶液として10%マルトース水溶液,5%及び20%マンニトール水溶液,2.25%グリシン水溶液,3.6%トリスアミノメタン水溶液,20%ポリビニルピロリドン水溶液,3%ポリビニルピロリドン/5%ソルビトール水溶液,2.45%ポリビニルピロリドン/4.25%ソルビトール水溶液,0.1%メチルセルロース/5%マンニトール水溶液,0.1%メチルセルロース/5%HEPES(2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスリルホン酸)水溶液,5%ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)緩衝液,5%MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)緩衝液,6%BES緩衝液((N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸),7%HEPES(2-〔4-2(ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸)緩衝液,10%デキストラン10%マルトース/リン酸緩衝液,5%及び20%マンニトール/リン酸緩衝液を調整して使用した。また市販の生理的リン酸緩衝食塩水(PBS(-)),生理食塩液,10%デキストラン注射液,赤血球保存液MAP液,全血用液保存液ACD液,CPD液又はCPDA-1液をそのまま使用した。
また必要に応じ、化学物資を含む水溶液と血液を混合する容器としてプラスチ
ック製の容器(栄研チューブ1号/栄研機材)、混合した溶液を放置するものとして1mLのシリンジ(テルモ社製)を用いた。
血液を様々な水溶液中に添加したとき、血球成分に加わる重力によって放置することでどのような水溶液を用いた場合でも血球成分と血漿または血清成分に分離する。しかし時間が経つにつれ血漿或いは血清中の成分は影響を受ける為、短時間での分離が必要となる。
従って血液と化学物質を含む溶液を混合したときから約10分内で血球成分が沈降する条件を検討し、分離可能であったと判断した。10分以上かかった物は分離不可能と判断した。
【0016】
具体的な血液分離方法は以下のとおりである。
1.検討する化学物質を用いそれぞれの水溶液を調整した。
2.1.で調整した水溶液を栄研チューブに分注した。
3.2.の栄研チューブ内に、水溶液と血液とが1:5の比率となるように血液を添加した。
4.1mLのシリンジを用い3.で混合した溶液を採取した。
5.シリンジを立てて静置し、分離の可不可を判断した。
結果を表1に示す。(分離可能を○、分離不可を×とした。)
13種類の水溶液で血球成分沈降が確認され10分内で血球成分と血漿成分に分離した。但し同じ物質をリン酸緩衝液に溶かすと緩衝液中の電解質による為か分離を確認することができなかった。また市販の水溶液も同様でも電解質を含むためか、分離されなかった。
【0017】
【表1】
Figure 0004385084
【0018】
実施例2.
本実施例では血球沈降を促す補助物質を、血球沈降させる化学物質と混合して水溶液とし、補助物質の添加未添加によってその沈降に差異が見られるか否かの検討を行う為に実施した。
本実施例では以下の材料を使用した。
人血液を用い、化学物質として5%マンニトール水溶液に、補助物質として塩化マグネシウムをマグネシウムイオン濃度で0.5,1,2,5,7.5,10meq/Lとなるように添加した。
また必要に応じ化学物質及び補助物質と血液を混合し、静置する容器としてプラスチック製の容器(栄研チューブ1号/栄研機材)を用いた。
補助物質の未添加時の沈降時間と比較し、それよりも早かった場合、沈降時間を早める補助物質として効果があると判断した。
具体的な血液分離方法は以下のとおりである。
1.血球成分を沈降させる化学物質のマンニトールと補助物質の塩化マグネシウムを混合し、マンニトール終濃度は5%で固定し、塩化マグネシウムをマグネシウムイオン濃度で0.5,1,2,5,7.5,10meq/Lとなるような水溶液をそれぞれ調整した。また対照として5%マンニトールのみの水溶液を調整した。
2.1.で調整した水溶液を栄研チューブに分注した。
3.2.の栄研チューブ内に、水溶液と血液とが1:5の比率となるように血液を添加した。
4.そのまま栄研チューブを静置し、塩化マグネシウム未添加のものと沈降速度との比較をした。
結果は表2に示す。
塩化マグネシウムを添加した全ての水溶液では血球成分の沈降が、塩化マグネシウム未添加のものよりも早いことが確認された。
【0019】
【表2】
Figure 0004385084

【0020】
実施例3.
本実施例は、血液と化学物質を含む水溶液とを混合し、静置することによって主に血球成分を沈降し、上清には主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分と血球成分が若干残存しており、前記液状成分のみを最終的に分離する為、この残存する血球成分を幾つかの分離手段で捕獲可能か否かを検討したものである。
本実施例では以下の材料を使用した。
人血液を用い、分離手段として多孔質体ポリマーの平膜(親水性ポリビニリデンジフロライド、ニトロセルロース、親水性ポリテトラフロロエチレン):直径13mm,孔径0.65〜2.0μmおよび無機材質のガラスろ紙:直径13mm,保留粒子径0.4〜0.8μm,血球成分を沈降させるための化学物質として5%マンニトール水溶液、駆動手段としてシリンジ(2.5mL)、血液と化学物質を含む水溶液とを混合する手段として先端口部を密閉したシリンジ(5mL)、分離体は駆動手段であるシリンジ(2.5mL)にシリコンゴムを用いて固定した。
具体的な血液成分の分離方法は以下の通りである。
1.5mLのシリンジのピストンを抜き、先端口部を下に向けてセットした。
2.5mLのシリンジ内に5%マンニトール水溶液を入れ、血液を添加した。
3.そのまま5分間静置し、血球成分を沈降させた。
4.分離体を固定した2.5mLのシリンジを、5mLのシリンジ内に押し入れ、分離体を介し主に血漿または血清成分を含む液状成分を2.5mLのシリンジ内に採取した。
5.分離前の液状成分と採取した液状成分の血球計測を行って、分離の可否を確認した。
結果は表3に示す。
【0021】
試験に使用した多孔質分離体の詳細は次の通りである。
1.親水性ポリビニリデンジフロライドフィルター(PVDF):直径13mm,孔径0.65μm
2.ニトロセルロースフィルター:直径13mm,孔径0.8,1.2μm
3.親水性ポリテトラフロロエチレン(PTFE):直径13mm,孔径1.2μm
4.ガラス繊維ろ紙:直径13mm,保留粒子径0.4,0.5,0.6,0.8μm
【0022】
【表3】
Figure 0004385084
【0023】
実施例4.
本実施例は5%マンニトール水溶液及び10%マルトース水溶液を用いて血液から血漿成分を分離し、分離された血漿成分(TP,ALB,GOT,GPT,γ-GTP,T-CHO,TG,HDL-C,BUN,CRNN,UA,GLU)の分析を行った。
本実施例では以下の材料を使用した。
血液成分として人全血を用いた。血液と化学物質を混合する溶液として栄研チューブ(栄研機材社製)、混合後放置する容器として1mLシリンジ(テルモ社製)、分離される血漿中に若干残存する血球成分を捕獲する分離手段として孔サイズ0.25μmのPVDF性メンブランフィルター(Milipore社製)を用いて試験を行った。
また血漿成分の測定装置として、日本電子社製自動分析装置のBM-2000Cを使用した。
【0024】
具体的な血液成分の分離方法は以下のとおりである。
1.各水溶液を調整し、栄研チューブ内に分注した。
2.血液と化学物質を含む水溶液との混合比が1:5となる様、栄研チューブに血液を添加した。
3.1mLのシリンジを用い、2.で混合した溶液を採取し、立てた状態で静置した。
4.血球成分が沈降したらシリンジの先端にフィルターを接続した。
5.シリンジを加圧し、分離された血漿をフィルターに通しながら、分析装置用カップに分注した。
6.血漿成分12項目について自動分析装置BM-2000Cにて測定を行った。
7.化学物質の変わりに生食を用いて同比率で血液を希釈したものを対照とし、その値との一致率を求めた。
結果は表4に示す。
マンニトールで分離した血漿成分は全て対照の測定値との一致率が8割以上近く見られ、分離方法或いは操作による血漿成分の影響は無いと判断した。
一方、マルトースで分離した血漿成分は、TP及びグルコース以外の項目は全て対照の測定との一致率が9割近いが、TP及びグルコースの測定値が対照測定値のTPは130%以上,グルコースは190%以上で測定系に何らかの影響があったことが確認された。マルトースはグルコース2分子が結合した構造を持つ為、グルコース濃度に影響があったと考える。従って実際の仕様ではマンニトールを用いることが望ましいと考えられる。
【0025】
【表4】
Figure 0004385084
【0026】
【発明の作用効果】
(1)本発明を用いることにより、従来の煩雑で検査を受ける側行う側両方に大きな負担となっていた血清分離法や血漿分離法を用いなくとも、基本的な生化学的検査を行うことができるようになった。
(2)例えば従来検査を行う為に必要であった10mL近い血液がμL単位の血液量で検査対照となる血漿や血清が得られ、また微量であるため医療機関に出向く必要も無く、場所・時間を選ばず誰もが検査を受けることが可能になるため被験者の負担が大変軽くなる。
(3)またこれまでのように煩雑な手段でなく大変容易な方法であること、そのため検体処理を有資格者が行う必要も無く被験者自身でも可能となる等検査側の負担もかなり軽くなる。
(4)特に被験者自身が血漿または血清の分離を行った場合、検査者は検体を分析装置のオートサンプラー等に並べるだけとなり、検査費用の低下をも可能とする。
(5)また用いる物質も特殊で無く血球や血漿成分への影響も見られ無い為、従来の検査結果に劣らない信憑性の高い結果を得ることができるようになった。
(6)これまでに発明されたペーパークロマトグラフを用いた在宅用検査用具の方法とは異なり、本方法は前記方法において必要であった検査までの煩雑な手法が全く無く、前述した通り誰もが可能な安易な方法である。
(7)また微量の血漿で分析可能な装置が必要となるものの、今日の分析装置機能向上からすれば将来的に問題とはならず、どのような機械でも測定可能な利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液成分分離装置の一例を示す概略図
【図2】本発明の血液成分分離装置の一例を示す概略図((A)は装置1の概略図(断面図)で、(B)は容器15の平面図)
【図3】本発明の血液成分分離装置の一例を示す概略図
【図4】本発明の血液成分分離装置の一例を示す概略図
【符号の説明】
1、11、21、31 血液成分分離装置
2、12、22、32 分離手段
22A1 第1接続部
22A2 第2接続部
32A 第1接続部
32D 第2接続部
32B、32C 通気部
2M、12M、22M、32M 膜(平膜或いはろ紙或いは中空糸)
22H、32H ハウジング
3、13、23、33 血液と化学物質を含む溶液を混合する手段(容器)
34A、34B 封止材
5、15 分離される主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を採取する手段(駆動部兼採取容器)
25、35 分離される主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を採取する手段(採取容器)
6A、6B、16A、16B、26A、26B、36A、36B キャップ
16A 栓体を挿入する為の駆動部
16A2 支持竿
17 栓体
27、37 駆動部
18 通液溝
28 連結部
19 栓体止め
S 血液と化学物質を含む水溶液

Claims (4)

  1. 血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(3)と、
    当該混合容器(3)内に装着され、かつ当該混合容器(3)内を上下に駆動し、かつ分離後の上澄みの血漿(血清)成分を採取する駆動部兼採取容器(5)とから構成され、
    前記混合容器(3)は、上部が開口され、下部が密閉され、前記上部の開口にキャップ(6B)が装着され、
    前記駆動部兼採取容器(5)は、上部が開口され、下部に前記混合容器(3)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(2)が装着され、前記上部の開口には、キャップ(6A)が装着され、
    前記混合容器(3)内に上部から前記駆動部兼採取容器(5)の下部を挿入し、当該駆動部兼採取容器(5)を下方に駆動させて、前記混合容器(3)内の溶液を加圧して、
    当該溶液を前記分離手段(2)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を駆動部兼採取容器(5)内に分離採集することができるように形成した、ことを特徴とする血液成分分離装置(1)。
  2. 血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(13)と、
    当該混合容器(13)内に装着され、かつ当該混合容器(13)内を上下に駆動し、かつ分離後の液状成分を採取する駆動部兼採取容器(15)とから構成され、
    前記混合容器(13)は、上部が開口され、下部が密閉され、前記上部の開口にはキャップ(16B)が装着され、
    前記駆動部兼採取容器(15)は上部が開口され、下部に、前記混合容器(13)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(12)を装着し、
    前記駆動部兼採取容器(15)内の長さ方向の側壁に通液溝(18)を形成し、かつ当該駆動部兼採取容器(15)内の下部に栓体止め(19)を形成し、
    前記駆動部兼採取容器(15)のキャップ(16A)の下部に支持竿(16A2)を装着し、当該支持竿(16A2)の先端に、栓体(17)を装着し
    前記混合容器(13)の上部の開口から前記駆動部兼採取容器(15)を挿入し、当該駆動部兼採取容器(15)を下方に駆動させて、前記混合容器(13)内の溶液を加圧して、
    当該溶液を前記分離手段(12)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を駆動部兼採取容器(15)内に分離採集することができるように形成した、
    ことを特徴とする血液成分分離装置(11)。
  3. 血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(23)と、分離後の液状成分を採取する採取容器(25)と、
    前記混合容器(23)に着脱可能な第1接続部(22A1)と、前記採取容器(25)に着脱可能な第2接続部(22A2)を有し、前記混合容器(23)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(22)とから構成され、
    前記混合容器(23)は、上部と下部が開口され、上部の開口にキャップ(26B)を装着し、当該混合容器(23)の内部に上下に駆動する駆動部(27)を装着し、
    前記採取容器(25)は、上部と下部が開口し、上部の開口にキャップ(26A)を装着し、
    前記分離手段(22)の第1接続部(22A1)に、前記混合容器(23)の上部の開口を接続し、前記分離手段(22)の第2接続部(22A2)に前記採取容器(25)の下部の開口を接続し、
    前記駆動部(27)を駆動させて、前記混合容器(23)内の溶液を加圧して、当該溶液を前記分離手段(22)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を前記採取容器(25)内に分離採集することができるように形成した、ことを特徴とする血液成分分離装置(21)。
  4. 血液成分(BL)と化学物質(CS)を含む水溶液(S)の混合容器(33)と、分離後の液状成分を採取する採取容器(35)と、
    前記混合容器(33)に着脱可能な第1接続部(32A)と、前記採取容器(35)に着脱可能な第2接続部(32D)を有し、前記混合容器(23)内の上澄みの血漿(血清)成分中に含まれる可能性のある血球成分を捕獲する分離手段(32)とから構成され、
    前記混合容器(33)は上部と下部が開口され、上部の開口に、キャップ(36B)を装着し、当該混合容器(33)の内部に上下に駆動する駆動部(37)を装着し、
    前記採取容器(35)は、上部に、前記分離手段(32)の第2接続部(32D)との連結部(38A)を装着し、当該連結部(38A)に、キャップ(36A)を装着し、下部は閉塞し、
    前記分離手段(32)の第1接続部(32A)に前記混合容器(33)を接続し、第2接続部(32D)に前記採取容器(35)を接続し、
    前記駆動部(37)を駆動させて、前記混合容器(33)内の溶液を加圧して、当該溶液を前記分離手段(32)を通して、主に希釈された血漿または血清成分を含む液状成分を採取容器(35)内に分離採集することができるように形成したことを特徴とする血液成分分離装置(31)。
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