JP4383128B2 - 抗原検出装置 - Google Patents
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Description
前記キャリア液を流通させる流通配管群と、前記キャリア液を前記流通配管群内に流通させる送液手段と、前記抗原検出用チップの反応部に存在する抗原の量及び/又は種類を検出する検出手段と、を備え、前記抗原検出用チップの抽出部と反応部との間に、キャリア液中の不溶性物質を留める分離手段が設けられ、前記抗原検出用チップの導入部と導出部とに、前記流通配管群が連結され、前記送液手段により、前記キャリア液が前記抽出部から前記反応部に向かう順路方向に循環して流通する循環流路が形成される、ことを特徴とする抗原検出装置である。
図1は、実施の形態1に係る抗原検出用チップ及びこれを用いた抗原検出装置を示す概念図である。図1に示すように、実施の形態1に係る抗原検出装置は、検出用チップ101と、装置本体(チップを除く部分)201とから構成されている。
まず、図1に示すように、装置本体201のコック48cから導出した流通配管51aをチップ101の導入部41の導入口に連結するとともに、導出部42の導出口に流通配管51bを連結する。
コック48a、48b、48cを調整し、導入部41、流路45、抽出部43、流路46、反応部44、流路47、導出部42、流通配管51b、流通配管51c、ポンプ52、流通配管51aからなる循環流路を形成する。ポンプ52を駆動させるとともに、コック48dを開放しキャリア液タンク53内のキャリア液を循環流路に供給し、循環流路内をキャリア液で満たす。この工程は、流路内の空気を追い出す工程であり、これによりチップ内への空気の混入を防止することができる。
次に、抽出部43の上部開口からスギ花粉を取り込んだ後、ポンプ52を駆動させることにより、抽出部43にキャリアが導入され、キャリア液中に花粉表面や内部のアレルゲンタンパク質が抽出される。この抽出キャリア液を少なくとも2周り以上流路内を循環させる。所望回数だけキャリア液を循環させた後、コック48aを操作して、チップ内のキャリア液を廃液タンク内に流すようにするとともに、コック48dを開きキャリア液タンク53から新鮮なキャリア液が供給されるようにする。この状態で数分間かけてチップ内のキャリア液を廃液タンクに廃液しつつ、流路内を新しいキャリア液に入れ替える。
次に、コック48b、48cを操作して、標識物質付認識物質タンク54に貯蔵されている標識物質付認識物質を流路内に導入し、上記と同様に操作して、標識物質付認識物質(標識抗体)を含むキャリア液を流路内に循環させる。これにより、工程1〜3で反応部に結合されたアレルゲンタンパク質と標識物質付認識物質とが反応する。ここで、標識物質付認識物質としては、例えば蛍光色素標識物質をつけたCry j−1のモノクローム抗体等を用いる。なお、Cry j−1はスギ花粉に含まれるアレルゲンタンパク質である。
標識抗体を含むキャリア液を所望回数だけ循環させた後、コック48aを操作して、チップ内のキャリア液が廃液タンクに流れるようするとともに、キャリア液タンク53から新鮮なキャリア液が供給されるようにして、反応部に残存した過剰な標識付き抗体を洗い流す。
反応部44上に設けた検出手段55より反応部44に紫外線を照射し、蛍光強度を測定する。これによりアレルゲンタンパク質の量が定量できる。
以上により1回の測定が終了する。次の測定を新しいチップで行う場合には、チップ101を入れ代える。
他方、同一のチップを用いて、引き続いて測定を行う場合には、抽出部43に残っている花粉殻等を除去する。なお、同一のチップを用いて複数回の測定を行う方式を採用する場合には、チップ101に残留した花粉殻を取り除く手段を設けるのが好ましい。この手段としては、例えば抽出部43に大開口をもった花粉殻除去口を付設し、かつ抽出部43と花粉殻除去口との間に開閉バルブを設けて、バルブ開放状態で洗浄用キャリア液を流すことにより、花粉殻を花粉殻除去口から洗い流す方法が例示できる。
花粉殻を除去後、導入部41の導入口から、反応部に結合している認識物質−アレルゲンタンパク質複合体および認識物質−標識物質付きアレルゲンタンパク質複合体からアレルゲンタンパク質(抗原)及び標識物質付きアレルゲンタンパク質(標識抗体)を分離するイオン濃度の溶液を流し、導出部42を通じて廃液タンク56に排出する。この作業の後、キャリア液を流して、抽出部、反応部、及び関連する流路を洗浄する。これにより、反応に用いた標識抗体は全て除去されるので、連続測定を行うためには、標識物質付き認識物質タンク54に再び標識物質付き標識物質を加えるか、もしくは標識物質付認識物質タンクを複数設けておく必要がある。上記工程7−2,7−3は、順序が逆であってもよい。
例えば、酵素標識の場合、標識として例えばグルコース分解酵素を用いるときには、上記の工程5の後に、反応部44にグルコース溶液を流して、反応部44に形成された抗体−抗原−標識抗体複合体とグルコースとを反応させる。この方法を実施するには、例えば、予め装置本体201にグルコース溶液を入れたタンクを設けておき、これと送液手段を接続して、キャリア液の場合と同様にしてグルコース溶液を循環させ、抗体−抗原−標識抗体複合体と反応させる。そして、この反応によって生じた過酸化水素を反応部に設けた過酸化水素検出電極により検出し、検出した電圧又は電流を本体201に設けた検出手段で必要に応じて増幅すればよい。この工程では、循環中に電流又は電圧をモニタリングすることで、反応の完了を判定することができる。
なお、例えば水晶振動子法を用いる場合には、標識物質付き認識物質は必要でないので、標識物質付認識物質タンク54がなくてもよい。
本発明の実施の形態2を図2に基づいて説明する。図2に示すように、実施の形態2の抗原検出装置は、少なくとも、抗原検出用チップ102と装置本体202から構成され、上記実施の形態1と同様に、抗原検出用チップ102と装置本体202とは脱着自在に構成されている。
実施の形態2の検出用チップ102は、大気中から花粉を収集することのできる開口を有し、取り込まれた花粉から抗原(アレルゲンタンパク質)を抽出する抽出部10と、検出目的物である抗原に特異的に反応する抗体(認識物質)が流去しない状態で保持させられた反応部11と、抗原−抗体複合体と特異的に反応し、反応により抗原−抗体−標識抗体複合体を形成する標識抗体が保存されている標識物質付き認識物質一時貯蔵部12と、装置本体202からチップ102内にキャリア液を流入させるための導入口を備えた導入部13aと、装置本体202からチップ102内の標識物質付き認識物質貯蔵部12にキャリア液を流入させるための導入口を備えた第2の導入部13cと、チップ102からキャリア液を装置本体202側に流出させるための導出口を備えた導出部13b、13dと、チップ102内にキャリア液を流す流路14a、14b、14c、14d、14e、14fが基板40上に形成され、更にチップ内の液の流れを遮断または通過させる開閉手段としてのマイクロバルブ15a、15bが基板40上に設けられている。
なお、ここでは標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に含まれる標識物質付き認識物質(標識抗体)が不溶性担体に固定されているとして説明する。
まず、チップ102を装置本体202に装着する。装着に際しては、チップ102の導入部・導出部13a、13b、13c、13dの導入口および導出口と、それらに対応する装置本体側の配管群5a、5b、5c、5dとを連結手段6a〜dを介して連結する。
次に、マイクロバルブ15aを開け、15bを閉じて、貯蔵手段2内のキャリア液を経路2bから配管5bに供給し、導入部13a、13cを介して抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に流入させる。この場合、キャリア液の流れが、装置本体202内の貯蔵手段2から配管5bを通り、導入部13aの導入口を介してチップ102に入り、更に流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14c、導出部13bを通って装置本体202内の配管5に流れ込み、送液手段3を経て貯蔵手段2のバイパス2aに戻るルートと、貯蔵手段2から配管5bを通り、コック22cで分流されて、コック22bを経て、5cをとおり、第2の導入部13cからチップ102に入り、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14f、導出部13dを通って本体202内の配管5dに入り、送液手段3を経て貯蔵手段2のバイパス2aに戻るルートとなるように、制御装置4により、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを制御する。2つのルートに沿って流す操作は同時に行ってもよく、また一方のルートに沿って流した後、もう1つのルートに沿って流す方法としてもよい。予め、抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12などの容積は分かっているので、制御手段4により必要量だけ流入して、流入を止める。
次に、マイクロバルブ15bを閉じた状態で、キャリア液が、送液手段3により、貯蔵手段2、配管5b、導入部13a、流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14cを通って装置本体202内の配管5に戻して循環するように、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作する。
工程3の循環を停止した後、バルブ15aを閉じて、バルブ15bを開放し、本体202内のバルブ23a、23cを閉じて、バルブ23bを開放することで、キャリア液が装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2から配管5a、5cを通り、第2の導入部13cからチップ102内に入り込み、流路14d、標識物質付き認識物質(標識抗体)一時貯蔵部12、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bから装置本体202の配管5へ戻る循環ルートを通して循環させる。反応する標識抗体の量は、抗原の量により変化するので、全ての抗体−抗原複合体と反応させるために、標識抗体は予め過剰に保存していることが好ましい。
また、反応部で形成された抗体−抗原−標識抗体複合体の量を検出するためには、反応部に残っている未反応の標識抗体を取り除く必要がある。このため、装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2、配管5b、5cを通り、導入部13cからチップ内に入り、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻し、コック22dを経て廃液溜め24に入るように、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作し、未反応標識抗体含有キャリア液を、本体202内に設けた廃液タンク24に流す。
次に、反応部11に形成された抗体−抗原−標識抗体複合体の検出を、装置本体202内に設けた検出手段7で行う。例えば、標識として蛍光材料を用いた場合では、検出手段7に設けた紫外線光源から紫外線を検出手段7に設けた光学系を介して反応部の抗体−抗原−標識抗体複合体に照射し、標識である蛍光材料から発光される蛍光を検出手段7に設けたディテクターにより検出することで、抗原の有無、抗原の量を測定することができる。
以上により1回の測定が終了する。次の測定を新しいチップで行う場合には、チップ102を入れ代える。
他方、同一のチップを用いて、引き続いて測定を行う場合には、抽出部10に残っている花粉殻等を除去する。なお、同一のチップを用いて複数回の測定を行う方式を採用する場合には、チップ102に残留した花粉殻を取り除く手段を設けるのが好ましい。この手段としては、例えば抽出部10に大開口をもった花粉殻除去口を付設し、かつ抽出部40と花粉殻除去口との間に開閉バルブを設けて、バルブ開放状態で洗浄用キャリア液を流すことにより、花粉殻を花粉殻除去口から洗い流す方法が例示できる。
花粉殻を除去後、導入部13aの導入口から、反応部に結合している認識物質−アレルゲンタンパク質複合体および認識物質−標識物質付きアレルゲンタンパク質複合体からアレルゲンタンパク質(抗原)及び標識物質付きアレルゲンタンパク質(標識抗体)を分離するイオン濃度の溶液を流し、導出部13bを通じて廃液溜24に排出する。この作業の後、キャリア液を流して、抽出部、反応部、及び関連する流路を洗浄する。上記工程7−2,7−3は、順序が逆であってもよい。
次に、マイクロバルブ15aを開け、15bを閉じて、送液手段3により、貯蔵手段2内のキャリア液を導入部13a、13cを介して抽出部、反応部、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に流入する。
この時、装置本体202では、キャリア液が配管5と配管5bを通る送液ルート及び配管5、5b、5c、5dのルートを流れるように、コック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作する。キャリア液は、装置本体202内の貯蔵手段2から配管5bを通り、導入部13aからチップ102に入る。チップ内では、流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11に入り、その後流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に流れ込み、送液手段3を経て貯蔵手段2に戻る。
これは、予め標識物質付き認識物質一時貯蔵部12及び配管の容積が分かっているので、流速から計算した時間制御でも制御できる。また、標識として、蛍光色素など光学的に検出できる標識を用いた場合は、例えば、装置本体202の導出部13d付近に光学的検出手段を設けて、配管5d内の標識抗体を検出することと、バルブ23bの操作を連動させることでも実現できる。導入部13aからキャリア液を入れる工程と第2の導入部13cから入れる操作は、同時に行っても、一方の操作を行った後、もう1つの操作を行ってもよい。
上記サンドイッチ法と同様でよい。
次に、マイクロバルブ15a、15bを開放した状態で、キャリア液が、送液手段3により、貯蔵手段2、配管5a、導入部13a、流路14a、抽出部10、14b、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻すルートと、送液手段3により、貯蔵手段2、配管5a、5cを通り、導入部13c、流路14d、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17、14e、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻すルートを通して、同時に循環するように、本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作する。
工程4は行わずに、未反応の標識抗体を取り除く必要があるため、装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2、配管5b、5cを通り、導入部13cからチップ内に入り、流路14d、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻し、コック22dを経て廃液溜め24に入るように、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作し、未反応標識抗体含有のキャリア液を、本体202内に設けた廃液タンク24に流す。
サンドイッチ法と同様に工程6,7を行う。
以下に、実施の形態3を図4を参照して詳細に説明する。図4に示すように、実施の形態2の抗原検出装置は、少なくとも、抗原検出用チップ103と装置本体203から構成され、上記実施の形態1と同様に、抗原検出用チップ103と装置本体203とは脱着自在に構成されている。
実施の形態3の検出用チップ103は、大気中から花粉を収集することのできる開口を有し、取り込まれた花粉から抗原(アレルゲンタンパク質)を抽出する抽出部10と、検出目的物である抗原に特異的に反応する抗体(認識物質)が流去しない状態で保持させられた反応部11と、抗原−抗体複合体と特異的に反応し、反応により抗原−抗体−標識抗体複合体を形成する標識抗体が保存されている標識物質付き認識物質一時貯蔵部12と、装置本体203からチップ103内にキャリア液を流入させるための導入口を備えた導入部13a、13cと、装置本体203からチップ103内の標識物質付き認識物質貯蔵部12にキャリア液を流入させるための導入口を備えた第2の導入部13eと、チップ103からキャリア液を装置本体203側に流出させるための導出口を備えた導出部13b、13dと、チップ103内にキャリア液を流す流路14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hと、抽出部10から導入されるアレルゲンタンパク質を含むキャリア液を、流路14hを通って導入されるキャリア液で希釈する希釈部18が基板40上に形成され、更にチップ内の液の流れを遮断または通過させる開閉手段としてのマイクロバルブ15a、15b、15cが基板40上に設けられている。
但し、以下では、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12の標識抗体が不溶性担体に固定されているとして説明を行う。不溶性担体に固定されていない場合は、下記工程2を、上記実施の形態2の工程2’と同様にすればよい。
花粉の抗原を検出する場合、まずチップ103が装置本体(本体)203に装着される。装着時に、チップ103に設けられた導入・導出部13a、13b、13c、13d、13eとそれらと対応した本体203の連結手段6により、本体に設けられた配管5と連結する。
次に、マイクロバルブ15a、15cを開け、15bを閉じて、送液手段3により、貯蔵手段2内のキャリア液を導入・導出部13a、13e、13cを介して抽出部、反応部、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に流入する。
本体203のマイクロバルブ駆動手段によりマイクロバルブ15aを開放し、マイクロバルブ15c、15bを閉じる。その状態で送液手段3により、キャリア液が、装置本体203内の貯蔵手段2から配管5a、5eを通って、導入部13eから入り、流路14hを通って、希釈部18、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に流れ込み循環を行い、この時、導入部13aからは、キャリア液が入らないよう、本体203内の流量調整バルブ23a、23b、23c、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。上記ルートでキャリア液を循環させながら、一定時間花粉をチップに設けた取込穴9から収集する。一定時間後、取り込み穴に蓋(図示せず)をして花粉が入らないようにする。
次に、マイクロバルブ15cを開放し、キャリア液が、本体203内の貯蔵手段2から配管5a、5fを通って、導入部13aから入り、流路14a、抽出部10、希釈部18、流路14gを通って希釈部18に入るように、装置本体203内の流量調整バルブ23a、23b、23c、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。希釈部18では、導入部13eからのキャリア液と、抗原を含んだ抽出部10からのキャリア液とが混合され、反応部11に流入するキャリア液のアレルゲンタンパク質濃度が薄められる。この後、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に流れ込み、循環される。花粉の殻等の不溶物質と、抗原などキャリア液に溶解している溶解物質との分離は、実施の形態1に記載の方法で行うことができる。
一定時間この循環を行った後、工程3−1に戻る。
上記工程3−1から工程3−3までの工程を数回繰り返す。
実施の形態3の構成によれば、花粉数の比較的少ない状態で抗原抗体反応を行うことができ、また、花粉収集中も抗原抗体反応を何回も行うことができるので、抗原抗体反応をより確実に行うことができる。
工程3−1から3−3の繰返しを終了した後、マイクロバルブ15aを閉じて、マイクロバルブ15bを開放し、本体203内の送液手段3により、キャリア液が、貯蔵手段2から配管5a、5cを通り、第2の導入部13cからチップ103内に入り込み、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bから装置本体203の配管5へ戻る循環ルートを通して循環させるように装置本体203内の流量調整バルブ23a、23b、23c、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。
以下に、実施の形態4を図5を参照して詳細に説明する。
但し、以下では、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17の標識抗原が不溶性担体に固定されているとして説明を行う。不溶性担体に固定されていない場合は、上記実施の形態2の工程2’と同様にすればよい。
13eと連結を行わないことを除けば、上記実施の形態3と同様に行う。
次に、マイクロバルブ15a、15cを開け、15bを閉じて、送液手段3により、貯蔵手段2内のキャリア液を導入部13a、13cを介して抽出部10、反応部11、標識物質アレルゲンタンパク質一時貯蔵部17に流入する。
以上の操作により、チップ内の各流路、抽出部、反応部、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17をキャリア液で満たすことができ、以降の工程で、キャリア液中に空気などの気体が混入を防ぐことができ、反応を確実に行わせる事ができる。
次に本体のマイクロバルブ駆動手段によりマイクロバルブ15c及び装置本体204内のバルブ23aを閉じて、抽出部10を孤立させ、一定時間、花粉の収集及び花粉からの抗原の抽出を行う。この時、抽出部10内に磁性粒子を設けて、別途装置本体204に設けた磁石などにより磁性粒子を攪拌させてもよい。こうすることで、抽出効率を高めることができる効果がある。一定時間後、装置本体204に設けた蓋を閉めて、花粉の収集を終了する。
次に、マイクロバルブ15b、15cを開ける。その状態で送液手段3により、キャリア液が、装置本体204内の貯蔵手段2から配管5a、5fを通って導入部13aからチップ104に入り、流路14a、抽出部10、流路14g、混合部16、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体204内の配管5に流れ込むルートと、貯蔵手段2から配管5a、5cを通り、導入部13cからチップ104内に入り込み、流路14d、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17、流路14e、混合部16、流路14b、反応部11、流路14c、導出部13bから装置本体204の配管5へ戻るルートを流れるように、装置本体204内の流量調整バルブ23a、23b、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。
系内から未反応の抗原・標識抗原を取り除くため、キャリア液が装置本体204内のコック22dを経て廃液溜め24に入るように、装置本体204内のコック22a、22b、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作し、未反応標識抗原含有キャリア液を、本体204内に設けた廃液タンク24に流すことで実現できる。
上記実施の形態1に記載の方法と同様に行えばよい。
実施例1にかかる抗原検出装置を製作しその性能を確かめた。実施例1の基本構成は上記実施の形態1と同様であるので、実施の形態1で説明した内容は省略し、より具体的内容のみについて以下に説明する。
なお、上記プラスチックビーズの直径が流路47の幅(0.04mm)よりも大きいので、ビーズが流路47側に流去することはない。また、ビーズ直径が流路47の深さ方向長(0.1mm)よりも小さいので、流路47を塞いでしまうこともない。
〈被検出用抗原〉
Cry j−1をキャリア液に1.5マイクロモル濃度で溶解した抗原溶液を用意し、この溶液2μlを抽出部43に入れた。
〈固定抗体〉
上記したプラスチックビーズに固定保持された抗Cry j−1モノクローム抗体を用いた。なお、反応部44に配置した抗体数が、上記被検出用の抗原数よりも十分に多くなるようにした。
〈キャリア液〉
リン酸濃度0.01モル、pH7.4のリン酸緩衝液を用いた。
〈標識抗体〉
キャリア液に3モル濃度で溶解した蛍光色素をつけた抗Cry j−1モノクローム抗体を用いた。
キャリア液の循環速度を2μl/秒とし、10分間循環(約4回循環)させた。抽出反応工程が終了後に新鮮なキャリア液による3〜5分間の洗浄運転を行った(実施の形態1の工程3参照)。その後、標識物質付認識物質タンク54に入っている蛍光色素をつけた抗Cry j−1モノクローム抗体溶液を導入部41からチップ内に導入し、2μl/秒で10分間循環(約4回循環)させ、その後上記と同様にして新鮮なキャリア液による3〜5分間の洗浄運転を行った(実施の形態1の工程4,5参照)。この後、検出手段55から反応部44に紫外線光を照射して蛍光強度を測定した(実施の形態1の工程6参照)。なお、ここに記載していない事項については実施の形態1と同様である。
上記実施例1と同じ装置を用い、抽出反応工程(実施の形態1の工程3)において反応部43に抗原と固定化抗体とを存在させた状態で、キャリア液が流出しないようにバルブ48cを調整し、抽出部43にキャリア液を静止させた状態で10分間の反応を行った。また、標識物質付認識物質との反応工程(実施の形態1における工程4)において標識抗体を導入して、抗Cry j−1モノクローム抗体溶液が流出しないようにバルブ48cを調整し、液の流れを止め抗Cry j−1モノクローム抗体とアレルゲンタンパク質複合体とを10分間反応させた。これら以外については上記実施例1と同様にして、アレルゲンタンパク質の検出試験を4回行った。
2 貯蔵手段
3 送液手段
4 制御手段
5、5a、5b、5c、5d、5f 配管
6a、6b、6c、6d、6e 連結手段
7、55 検出手段
8 磁性粒子
9 取込穴
10、43 抽出部
11、44 反応部
12 標識物質付き認識物質一時貯蔵部
13a、13c、13e、41 導入部(第2の導入部)
13b、13d、13f、42 導出部
14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、
14h、45、46、47 流路
15a、15b、15c マイクロバルブ
16 混合部
17 標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部(標識物質付抗原一時貯蔵部)
18 希釈部
201、202、203、204 装置本体
22a、22b、22c、22d、48 コック
23a、23b、23c、23d バルブ
24 廃液溜
31 蓋
40 基板
49 分離部
51 流通配管
52 ポンプ
53 キャリア液タンク
54 標識物質付認識物質溶液タンク
56 廃液タンク
57 標識物質付アレルゲンタンパク質溶液タンク(標識物質付抗原溶液タンク)
Claims (17)
- チップ外からチップ内にキャリア液を導入するための導入口を備える導入部と、前記導入部からキャリア液が流入可能なように前記導入部と連通された抗原を抽出する抽出部と、前記抽出部からキャリア液が流入可能なように前記抽出部と連通され、かつ抗原に特異的に反応する認識物質が流去しない状態で保持された反応部と、前記反応部の下流側に位置し、キャリア液をチップ外に導出するための導出口を備えた導出部と、が一枚の基板上に形成されてなる抗原検出用チップと、
前記キャリア液を流通させる流通配管群と、
前記キャリア液を前記流通配管群内に流通させる送液手段と、
前記抗原検出用チップの反応部に存在する抗原の量及び/又は種類を検出する検出手段と、を備え、
前記抗原検出用チップの抽出部と反応部との間に、キャリア液中の不溶性物質を留める分離手段が設けられ、
前記抗原検出用チップの導入部と導出部とに、前記流通配管群が連結され、
前記送液手段により、前記キャリア液が前記抽出部から前記反応部に向かう順路方向に循環して流通する循環流路が形成される、
ことを特徴とする抗原検出装置。 - 前記抽出部は、前記導入部に連通する入口とは別に、抗原を含有する粒子を取り込むための開口を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗原検出装置。 - 前記流通配管群は、前記抗原検出装置の導入部および導出部にそれぞれ脱着可能に連結させることのできる連結手段を備える、
請求項1または2に記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出装置は更に、抗原と特異的に反応する標識物質付き認識物質を貯蔵する標識物質付き認識物質一時貯蔵部を前記抗原検出用チップ外に有する、
請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出装置は更に、第2の導入部と、標識物質付き認識物質を一時的に貯蔵する標識物質一時貯蔵部と、を前記抗原検出用チップ内に有し、前記標識物質一時貯蔵部は、チップ外よりチップ内にキャリア液を導入する第2の導入部に連通され、且つ前記第2の導入部より導入されたキャリア液が前記反応部に流入可能なように前記反応部とも連通されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出装置は更に、予め量のわかっている標識物質付き抗原を貯蔵する標識物質付き認識物質一時貯蔵部を有する、
請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出用チップは更に、第2の導入部と、予め量のわかっている標識物質付き抗原を一時的に貯蔵する標識物質付き抗原一時貯蔵部とを有し、前記標識物質付き抗原一時貯蔵部は、チップ外よりチップ内にキャリア液を導入する第2の導入部に連通され、且つ前記第2の導入部より導入されたキャリア液が前記反応部に流入可能なように前記反応部とも連通されており、
前記反応部に存在する認識物質の量が予めわかっている、
請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出用チップは更に、前記抽出部から流出した抗原を含むキャリア液と、前記標識物質付き抗原一時貯蔵部から流出した抗原とを混合する混合部を、前記抽出部と前記反応部との間で、且つ前記標識物質付き抗原一時貯蔵部と前記反応部との間に有する、
請求項7に記載の抗原検出装置。 - 前記抗原がアレルゲンタンパク質である、
請求項1乃至8の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出装置は更に、キャリア液を貯蔵するキャリア液貯蔵部を有する、
請求項1乃至9の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出用チップは更に、前記抽出部から流出したキャリア液と、前記抽出部以外から導入されたキャリア液で希釈する希釈部を、前記抽出部と前記反応部との間に有する、
請求項1乃至10の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出用チップは更に、前記希釈部と前記反応部との間に、キャリア液の流れを遮断または通過させる開閉手段を有する、
請求項11に記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出用チップは更に、前記混合部と前記反応部との間に、キャリア液の流れを遮断または通過させる開閉手段を有する、
請求項8に記載の抗原検出装置。 - 前記分離手段は、抽出部と反応部との間に存在する流路の最小径が、キャリア液中に存在する不溶物質の最大径よりも小さく構成された流路である、
請求項1乃至13の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出装置は更に、流量調整をする流量調整手段を備える、
請求項1乃至14の何れかに記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出装置は更に、流路を変える流路変更手段を備える、
請求項15に記載の抗原検出装置。 - 前記抗原検出装置は更に、前記送液手段、前記流量調整手段、前記流路変更手段の動作を制御する制御手段を備える、
請求項16に記載の抗原検出装置。
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