以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の地図情報提供装置及び方法が適用された本発明の実施の形態のシステム構成を示している。
この図1において、各構成要素はメインバスを介して例えばCPU(中央処理装置)からなるコントローラ1に接続されている。以下、これらコントローラ1及び各構成要素について順番に説明する。
上記コントローラ1は、例えばハードディスク3に格納されているOS(オペレーティングシステム)及びアプリケーションソフトやROM5に格納されている各種プログラムに応じて動作し、メインバスを介して接続される各構成要素の動作制御等を行う。
上記ハードディスク3は、上記OS及びアプリケーションソフトを格納すると共に、テキストデータや画像データ、音声データ、その他の各種ファイルデータの記録及び再生用として設けられている。本実施例の地図情報提供装置では、特に地図のようなデータ量の大きい画像データを記録し再生する際にも使用されている。
RAM7は、主にコントローラ1におけるデータ処理の際に、当該データを一時的に格納するワークRAMであり、また、必要に応じて後述する経路計算モジュール等の各部にいて使用するデータをも一時的に格納する。
入力装置2は、いわゆるマウスやキーボード或いはタッチスイッチ,ペン入力装置等からなり、使用者からの入力を装置内部にて使用可能なデータに変換するものである。本実施例の地図情報提供装置においては、当該入力装置2から、特に後述するような自動経路探索に必要な出発地,目的地,経由地などの指定ポイントの設定情報や、当該自動経路探索において距離優先か又は時間優先かなどの計算条件の設定情報の入力に使用される。なお、距離優先とは上記自動経路探索時に例えば最も距離が短いルートを探索することであり、時間優先とは上記自動経路探索時に例えば最も時間が短くなるルートを探索することである。
ディスクドライブ装置9は、例えばいわゆるCD−ROMやフロッピィディスク21のようなディスク状記録媒体を駆動すると共に、当該ディスク状記録媒体に記録されているデータの読み込み、さらに当該ディスク状記録媒体が記録可能なものであるときにはデータの書き込み等を行うものである。本実施例においては、ディジタル地図データが記録されたいわゆるCD−ROMディスク(以下、地図ディスク30とする)が当該ディスクドライブ装置9に装填され、この地図ディスク30に記録されているディジタル地図データの読み取りを行う。なお、この地図ディスク30には、地図の画像データだけでなく、地図上の距離や道路の法定制限速度,道路上の信号機の数,道路の車線数,交差点のリストなどの情報、さらには観光ガイドやショッピング用ガイド情報、ルートガイダンス用の音声情報やその他の音情報、文字のテキスト情報等のように、近年のナビゲーション用ディスクに記録されている全ての情報が記録されてなるものである。また、上記ディスク状記録媒体には、上述のCD−ROM等の他に、最近になって実用化されつつあるいわゆるDVD(ディジタル・ビデオ・ディスク)等の光ディスクも含まれる。
データ入出力ポート12は、例えばディジタルデータの入出力用の端子のみならず、例えばいわゆるメモリカード32のような半導体記憶素子が挿入される挿入部等をも備えてなるものである。本実施例においては、このデータ入出力ポート12によって、例えば上記データ入出力用の端子や上記メモリカードを介したデータの入力及び出力や、いわゆるディスプレイ付きの携帯型電子ツール等に対するデータ入出力等を行う。なお、前記ディジタル地図データは、上記地図ディスク30から供給される場合のみならず、上記データ入出力ポート12を介して例えば通信によって供給される場合もある。
ここで、上記ディスクドライブ装置9に挿入されるフロッピィディスク31や上記データ入出力ポート12に挿入されるメモリカード32は、本発明の記録媒体として後述するような所定シーケンスの地図画像データと自己再生ドライバソフトとを少なくとも有してなる自己再生ファイルが記録されるものである。これら本発明の記録媒体に記録される自己再生ファイルについては後述する。
表示装置11は、例えばCRT(陰極線管)或いは液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種の表示手段のうち何れかが適用されるものであり、後述するようにして生成された画像データやテキストデータに基づいて画像信号を生成し、この画像信号に応じた画像や文字等を表示する。本実施例の地図情報提供装置の表示装置11の表示画面上には、主として地図画像や文字等が表示されることになる。
地図ビューイングモジュール14は、本実施例にて使用する地図表示ソフトウェアの基本的な画面として、広域地図を上記表示装置11の表示画面上に表示する。すなわち、上記地図ディスク30から上記広域地図のデータを読み出して上記表示装置11に表示させる。以下、当該広域地図が表示された画面をガイダンスウィンドウと呼ぶことにする。このガイダンスウィンドウ上では、前記入力装置2の例えばマウスによって前記出発地や目的地等の情報を設定したり、地図をスクロールしたり、ズーム(拡大/縮小)することができる。
発音装置13では、例えばコントローラ1にて生成された音データからアナログの音信号を生成し、スピーカから発音する。本実施例の地図情報提供装置では、この発音装置13から主にルートガイダンスのための音声が発生されることになる。
経路計算モジュール4では、上記地図ディスク30から読み出された前記距離情報や法定制限速度,信号機の数,車線数,一方通行や侵入禁止情報などの各種パラメータを参照し、自動経路探索において上記入力装置2から入力された前記時間優先か又は距離優先の何れかの計算条件パラメータに基づいて、最適なルートを計算する。もちろん、このような自動車用のルートのみならず、歩行する人間用,走行する自転車用などの最適なルートを計算することもできる。この場合は、上記地図ディスク30から人間の歩行速度や自転車の走行速度などのパラメータを参照することになる。また、これら人間や自転車用のルートを求める場合には、自動車が通ることのできないルートを求めることも可能となる。
ナビゲーションガイダンス生成モジュール6では、上記経路計算モジュール4にて計算されたルートデータに基づき、当該ルートのナビゲーションガイダンスに必要な全ての情報を生成する。具体的にいうと、当該ナビゲーションガイダンス生成モジュール6では、上記地図ディスク30内に記録された地図データ等を参照しながら、上記経路計算モジュール4にて計算されたルートデータに基づいて、当該ルートのナビゲーションガイダンスに必要な各交差点の拡大図(交差点の形状等),目印になるランドマーク,信号機,進行方向を示す矢印,侵入禁止等の道路標識などの描画データと、ルートのガイダンスに必要なガイダンス情報とを生成する。さらに、このナビゲーションガイダンス生成モジュール6では、前記広域地図が表されたガイダンスウィンドウ上に、さらにポップアップされる交差点の拡大図表示用のウィンドウ(以下、ナビゲーションウィンドウと呼ぶ)を形成して上記表示画面上に表示するための情報を生成する。すなわちこのときのナビゲーションガイダンス生成モジュール6では、先に生成した各交差点の拡大図やランドマーク等の描画データと上記ガイダンス情報とを参照しながら、ルート順に表れる各交差点毎の上記ナビゲーションウィンドウに表示するための情報を構成する。なお、上記ガイダンス情報とは、例えば、交差点の位置情報(おおよその位置),交差点名,交差点間の距離,道路の名称,それぞれの分岐点における進むべき方向,地図上に表示されるランドマークを表す文字などのテキスト情報や、これらを音声にてガイダンスする場合の合成音声情報などからなる。上記各交差点の拡大地図等の描画データとガイダンス情報は、一旦RAM7或いはハードディスク3に格納される。
自己再生ファイル生成モジュール18では、上記ナビゲーションガイダンス生成モジュール6にて生成された上記ルートのナビゲーションに必要な全ての情報のうち、当該ルートのナビゲーションに必要な各交差点の拡大図,目印になるランドマーク,信号機,進行方向を示す矢印,侵入禁止等の道路標識などの描画データと、上記音声情報を除くガイダンス情報とを抽出し、さらにこれら情報に後述するコントロールパネル表示用の情報と自己再生ドライバソフト等を添付し、これら情報及び前記広域地図に対して最適な圧縮処理を施した自己再生ファイルを生成する。
さらに、この自己再生ファイル生成モジュール18では、上述のようにして生成した自己再生ファイルに自己解凍ドライバソフトを付加する。
この自己再生ファイル生成モジュール18にて生成された自己再生ファイルは上記自己解凍ドライバソフトと共に、上記ディスクドライブ装置9或いはデータ入出力ポート12に送られ、フロッピィディスク31或いはメモリカード32に記録されたり、通信回線を介した例えばいわゆる電子メール等として送信される。
上述した図1の構成を有する地図情報提供装置においては、上記自動経路探索から自己再生ファイルの生成までの動作を、図2に示すフローチャートの流れに沿って実現している。
この図2に示すフローチャートにおいて、先ず、ステップST30では、前記地図ビューイングモジュール14が前記表示装置2に前記広域地図を表示する。
次のステップST31では、上記入力装置2から前記距離優先か又は時間優先かなどの計算条件の設定入力を行うと共に、自動経路探索に必要な前記出発地,目的地,経由地などの指定ポイントの設定入力を行う。
ステップST32では、上記計算条件が計算条件パラメータとして、また上記指定ポイントが緯度経度データとして、前記経路計算モジュール4に送られる。
ステップST33では、上記経路計算モジュール4において、上記計算条件パラメータと緯度経度データとを用いて最適な経路データ(ルートデータ)を抽出する。なお、ここで使用する経路データとは、具体的には上記経路(ルート)上の各交差点のリストからなるものである。
ステップST34では、上記抽出された最適なルートデータ(すなわちルート上の各交差点のリストデータ)を前記ナビゲーションガイダンス生成モジュール6に転送する。
ステップST35では、上記ナビゲーションガイダンス生成モジュール6において、上記経路計算モジュール4にて計算された最適なルートデータに基づき、当該ルートのナビゲーションに必要な全ての情報を生成する。すなわち、当該ナビゲーションガイダンス生成モジュール6では、上記地図ディスク30内に記録された地図データ等を参照し、上記経路計算モジュール4から得られた最適なルートの各交差点のリストの中から、特にナビゲーションガイダンスに必要な各交差点の選定を行い、各選択した交差点の拡大図,目印になるランドマーク,信号機,進行方向を示す矢印,侵入禁止等の道路標識などの描画データと、ルートのガイダンスに必要な前記ガイダンス情報とを抽出する。また、このステップST35では、上記ナビゲーションガイダンス生成モジュール6において、前記ナビゲーションウィンドウ表示を行うための情報をも生成する。使用者は、このガイダンスウィンドウ及びナビゲーションウィンドウが表示画面上に表示されることで広域地図上でのルートを認識することができ、また交差点の拡大図を見ることが可能となる。
ここで、図3には、前記表示装置11の表示画面200上に、前記ガイダンスウィンドウ201と上記ナビゲーションウィンドウ202とが表示された一例を示す。すなわちこの図3において、例えばガイダンスウィンドウ201は、表示画面200上にポップアップされたものであり、このガイダンスウィンドウ201内には上記ルートを含む広域地図と目的地の緯度,経度を示す数字列220とが表示されている。上記ナビゲーションウィンドウ202は、当該ガイダンスウィンドウ201上にさらにポップアップされたものであり、このナビゲーションウィンドウ202内には、ルート順に表される各交差点の内の一つの交差点の拡大図画像206が表示されている。また、このナビゲーションウィンドウ202の交差点の拡大図画像206内には例えば「郵便局」のランドマーク208が描画され、さらに進行方向を示す矢印マーク210も描画されている。当該拡大図画像206外には、次の交差点までの情報として例えば「山手警察署前まで300m」というような次の交差点までの距離情報を表す文字列216が表示され、道路の名称として例えば「国道1号」の文字列213が表示され、交差点名として例えば「原宿」の文字列214が表示され、目的地までの距離として例えば「23km」の文字列215が表示されている。
図2に戻って、ステップST36では、上記ナビゲーションガイダンス生成モジュール6にて生成されたデータが、自己再生ファイル生成モジュール18に転送される。
ステップST37では、当該自己再生ファイル生成モジュール18において、上記ナビゲーションガイダンス生成モジュール6にて生成された情報に基づいて、出発地を中心とした所定範囲(例えばQメートル×Pメートル)内の地図画像と、目的地を中心とした所定範囲(例えばQメートル×Pメートル)内の地図画像と、上記出発地から目的地までのルート上でナビゲーションガイダンスの対象となる各交差点の拡大図画像と、これら出発地,各交差点,目的地のそれぞれの間における所定距離(例えばRメートル、本実施例では例えば200メートル)毎の地図画像からなる簡易アニメーション画像(後述するスライドショーとして表示される地図画像)とをそれぞれ生成する。同時に、この自己再生ファイル生成モジュール18では、これらルート上で順番に(すなわちルート順)に表示されることになる上記出発地の地図画像と上記各交差点の拡大図画像と上記目的地の地図画像と上記アニメーション画像を構成する各地図画像とのそれぞれに、ナンバリングを施す(番号を付加する)。なお、上記QメートルとPメートルは同じ値すなわち上記所定範囲が正方形であっても、また異なる値すなわち上記所定範囲が長方形であってもよい。このステップST37の処理の詳細は後述する。
ステップST38では、この自己再生ファイル生成モジュール18において、上記ステップST37にて生成した各地図及び拡大図の画像情報に、自己再生ドライバソフトと、後述するコントロールパネル表示用の情報等を組み込んだ自己再生ファイルを生成する。
次のステップST38では、当該自己再生ファイル生成モジュール18において、さらに上記自己再生ファイルに最適な圧縮処理を施し、次のステップST39では、上記圧縮された自己再生ファイルに自動解凍ドライバソフトを付加する。
上記自動解凍ドライバソフトが付加された自己再生ファイルは、その後、前記フロッピィディスク31或いはメモリカード32に記録、若しくは通信回線を介して伝送されることになる。
ここで、上述のようにして生成された自己再生ファイルは、図4に示すようなファイル構造を有するものとなる。なお、この図4では、出発地をS、目的値をEにて表すと共に、上記ルート上における上記ナビゲーションガイダンスに必要な各交差点を変数Nで表し、これら各交差点の個数が全部で例えばL個あるとし、また、交差点の拡大図画像データを変数Cで表し、各交差点間における所定距離をRメートル(例えば200メートル)としている。
この図4において、上記自己再生ファイル300は、大別して各交差点の拡大図画像データ302〜304と、アニメーション用地図画像データ群305〜308と、これら画像データをパーソナルコンピュータにて画面上に描画する際の描画ドライバソフト310と、コントロールパネルの映像をパーソナルコンピュータにて画面上に表示すると共に当該コントロールパネル上の操作に応じた動作を行うための再生制御(コントロールパネル)ドライバソフト309と、自己再生ドライバソフト311とからなる。上記フロッピィディスク31或いはメモリカード32に記録、若しくは通信回線を介して伝送されることになるファイル301は、上記自己再生ファイル300に自己解凍ドライバソフト312を付加したものとなる。
上記各交差点の拡大画像データ302〜304においては、各交差点の変数Nが1〜Lまでの値をとり、全部でL個存在する。上記アニメーション用地図画像データ群は、出発地Sの地図画像とこの出発地Sから最初の交差点(N=1)までの間の各地図画像で構成されるアニメーション用地図画像データ群305と、上記1〜L個まで各交差点間においてそれぞれ上記アニメーション用の各地図画像を構成するアニメーション用地図画像データ群306〜307(全部でL−1個となる)と、最後の交差点(N=L)から目的値Eまでの間の各地図画像で構成されるアニメーション用地図画像データ群308とからなる。なお、上記各アニメーション用地図画像データ群305〜308内に存在する各地図画像データの個数nは、それぞれ出発地Sから最初の交差点間の距離、各交差点間の距離、最後の交差点から目的地までの距離に応じて変わることになる。
次に、図5を用いて、上記図2のフローチャートのステップST37での処理、すなわち、上記自己再生ファイル生成モジュール18における出発地の地図画像,各交差点の拡大図画像,目的地の地図画像,これらの間の各アニメーション用地図画像の生成、及びこれら各画像に対するナンバリング処理の詳細を説明する。なお、この図5のフローチャートにおいても、図4同様に、出発地をS、目的値をE、各交差点を変数N、交差点の拡大図画像データを変数C、アニメーション用としての各地図画像を変数nにて表している。
この図5のフローチャートにおいて、ステップST50では、出発地Sを中心とした例えば前記Qメートル×Pメートルの範囲の地図画像を取り込み、この出発地Sを中心とした地図画像にナンバリングを行う(番号を割り当てる)。本実施例では当該出発地Sを中心とした地図画像に対してNo.[S,0]を割り当てる。なお、以下の各地図画像の取り込みは、例えば前記地図ディスク30から読み出されて前記RAM7或いはハードディスク3に格納された地図情報から取り込む。なお、当該出発地Sを中心とした地図画像は拡大図画像とすることもできる。
ステップST51では、前記各交差点を示す変数Nと、アニメーション用地図画像を示す変数nとを、共に1に初期化する。
ステップST52では、前記探索されたルート上で上記出発地SからRメートル(例えば200メートル)先までの地点を確認する。
ステップST53では、上記出発地SからRメートル先までの間に、ルートガイダンスの対象となる最初の交差点(N=1)があるか否かの判断を行う。このステップST53において、上記出発地SからRメートル先に最初の交差点(N=1)が無い(ノー)と判断したときには、ステップST55に進む。
このステップST55では、上記出発地Sの周辺からRメートル先を中心としたQメートル×Pメートルの地図画像を取り込み、この地図画像に対してナンバリングを行う。本実施例では当該地図画像の番号としてNo.[S,n]を割り当てる。このときの地図画像は、上記出発地SからRメートル先の変数n=1のアニメーション用地図画像であるため上記番号としてNo.[S-1]が割り当てられる。また、当該アニメーション用地図画像は、データ量を削減することを目的として、例えば参照画像として上記出発地Sを中心とする地図画像に対する変化分の画像、すなわち差分地図画像とする。
このステップST55の次のステップST56では、上記変数nを1増加(インクリメント、n=2となる)し、ステップST52に戻る。したがって、ステップST52では、上記出発地SからRメートル先のさらに次のRメートル(2Rm)先を確認することになり、ステップST53では、当該出発地Sから上記2Rm先に前記N=1の交差点があるか否かの判断が行われる。当該ステップST53にて上述同様にノーと判断されると、ステップST55では、上記出発地Sの周辺から上記2Rm先を中心とした地図画像を取り込み、この地図画像に対してナンバリング(No.[S,2]となる)を行う。
以下同様にして、ステップST53にてN=1の交差点が見つかるまで処理を繰り返すことにより、前記出発地Sから最初の交差点(N=1)までの間のRメートル毎の地図画像からなる前記図4のアニメーション用地図画像データ群305が求められることになる。
ステップST53にてN=1の交差点が見つかり、イエスと判断されると、ステップST54に進む。このステップST54では、当該変数N=1の交差点拡大図画像データの取り込みを行うと共に、当該交差点拡大図画像データにナンバリングを施す。このときの交差点拡大図画像データの変数Cは前記変数NすなわちC=1となり、当該交差点拡大図画像データの番号は例えばNo.[N,0]となされる。
次のステップST57では、上記アニメーション用地図画像を示す変数nを初期値1に戻しておく。
ステップST58では、上記交差点(N=1の交差点)からRメートル(例えば200メートル)先までの地点を確認する。
ステップST59では、当該交差点(N=1)からRメートル先までの間に、ルートガイダンスの対象となる変数N+1(=2)の交差点があるか否かの判断を行う。このステップST59において、上記N+1(=2)の交差点が無い(ノー)と判断したときには、ステップST61に進む。
このステップST61では、上記交差点(N=1の交差点)からRメートル先を中心としたQメートル×Pメートルの地図画像を取り込み、この地図画像に対してナンバリングを行う。このときの地図画像の番号としてはNo.[N,n]を割り当てる。このときの地図画像は、上記交差点(N=1の交差点)からRメートル先の変数n=1のアニメーション用地図画像であるため上記番号としてNo.[N,1]が割り当てられる。また、このときのアニメーション用地図画像も、前述同様にデータ量を削減することを目的として、例えば先の地図画像に対する変化分の画像、すなわち差分地図画像とする。なお、当該差分地図画像は交差点Nを中心とする地図画像に対する差分を用いることも可能である。
このステップST61の次のステップST62では、上記変数nを1増加(インクリメント、n=2となる)し、ステップST58に戻る。したがって、ステップST58では、上記交差点(N=1)からRメートル先のさらに次のRメートル(2Rm)先を確認することになり、ステップST59では、当該交差点から2Rm先に前記N+1(=2)の交差点があるか否かの判断が行われる。当該ステップST59にて上述同様にノーと判断されると、ステップST61では、上記交差点(N=1)の周辺から2Rm先を中心とした地図画像を取り込み、この地図画像に対してナンバリング(No.[N,2]となる)を行う。
以下同様にして、ステップST59にてN+1(=2)の交差点が見つかるまで処理を繰り返すことにより、前記N=1の交差点から次のN+1(=2)の交差点までの間のRメートル毎の地図画像からなる前記図4のアニメーション用地図画像データ群306が求められることになる。
ステップST59にてN+1(=2)の交差点が見つかり、イエスと判断されると、ステップST63に進む。このステップST63では、当該変数N+1(=2)の交差点拡大図画像データの取り込みを行うと共に、当該交差点拡大図画像データにナンバリングを施す。このときの交差点拡大図画像データの変数Cは前記変数N+1となり、当該交差点拡大図画像データの番号は例えばNo.[N+1,0]となされる。
次に、ステップST63では、当該N+1(=2)の交差点からRメートル(例えば200メートル)以内に、目的地Eがあるか否かの判断を行う。当該ステップST63において目的地Eが無い(ノー)と判断したときには、ステップST64に進み、ここで上記交差点の変数Nを1増加(インクリメント)してステップST57に戻る。このステップST57では、前述同様に上記アニメーション用地図画像を示す変数nを初期値1に戻しておく。
次のステップST58以降では、上記ステップST64にてインクリメントされた変数Nの交差点(すなわちN=2の交差点)に対して前述同様の処理を行う。
すなわち、ステップST58では、当該N=2の交差点からRメートル先までの地点を確認し、ステップST59では、当該交差点(N=2)からRメートル先までの間に変数N+1(=3)の交差点があるか否かの判断を行う。このステップST59において、上記N+1(=3)の交差点が無い(ノー)と判断したときにはステップST61に進み、このステップST61では上記交差点(N=2の交差点)からRメートル先の前記地図画像を取り込み、この地図画像に対してナンバリング(No.[N,1]となる)を行う。
次に、ステップST62にて上記変数nを1増加(インクリメント)し、ステップST58に戻ることで、ステップST58では上記交差点(N=2)の2Rmの先を確認することになり、ステップST59では当該交差点から2Rm先に前記N+1(=3)の交差点があるか否かの判断が行われる。当該ステップST59にて上述同様にノーと判断されると、ステップST61では、上記交差点(N=2)の周辺から2Rm先を中心とした地図画像を取り込み、この地図画像に対してナンバリング(No.[N,2]となる)を行う。
以下同様にして、ステップST59にてN+1(=3)の交差点が見つかるまで処理を繰り返す。その後も、同様の処理を繰り返すことにより、N=L−1の交差点から最後のN=Lの交差点までの間の各地図画像からなる前記図4のアニメーション用地図画像データ群307までが求められ、さらに、上記最後のN=Lの交差点から目的地Eの手前Rメートル(200メートル)以遠の前記図4のアニメーション用地図画像データ群308までが求められることになる。
最後に、ステップST63にて目的地Eが見つかると、ステップST65に進む。このステップST65では、当該目的地Eを中心とした前記Qメートル×Pメートルの範囲の地図画像を取り込み、この目的地Eを中心とした地図画像にナンバリングを行う。本実施例では当該目的地Eを中心とした地図画像に対してNo.[E]を割り当てる。この目的地Eの地図画像も前述同様に先の地図画像に対する差分画像とすることもできるが、当該目的地Eを中心とした拡大図画像とすることもできる。
次に、上述のような自動解凍ドライバソフトが付加された自己再生ファイルが記録されたフロッピィディスク31或いはメモリカード32を、別のパーソナルコンピュータにて再生、若しくは通信回線を介して送信されてきたものを別のパーソナルコンピュータにて受信する。このときのパーソナルコンピュータは、地図表示及びルート探索を行うアプリケーションソフトを備えないものとする。以下の説明では、当該アプリケーションソフトを備えるパーソナルコンピュータと区別するため、これ以降、別のパーソナルコンピュータと呼ぶことにする。
当該別のパーソナルコンピュータでは、前記図4にて示したような自己再生ファイルを受け取ることにより、図6のフローチャートに示すように動作する。なお、この図6のフローチャートの処理は、上記別のパーソナルコンピュータのコントローラが主に行う。
この図6において、ステップST70では、前記図4に示した自己再生ファイルを起動すべき旨の入力がユーザからなされたか否かの判断を行っており、当該ステップST70にて自己再生ファイルの起動が開始された時、ステップST71では、当該自己再生ファイルに付加されている自動解凍ドライバが起動する。
次のステップST72では、解凍すべきディレクトリの選択がなされた否かの判断を行っており、当該解凍すべきディレクトリとして圧縮された自己再生ファイルのディレクトリが選択されたとき、ステップST73にて当該圧縮を解凍する処理を行う。
ステップST74では、自己再生ファイルの前記自動再生ドライバが起動し、前記描画ドライバと前記再生制御(コントロールパネル)ドライバをロードする。
ステップST75では、上記描画ドライバにより出発地周辺の地図画像(前記No.[S,0]の番号が付けられた地図画像)をロードし、当該出発地周辺の地図画像を表示する。
次のステップST76では、前記コントロールパネルからの制御入力があったか否かの判断を行っており、制御入力があったときにはステップST77の処理を行う。
ステップST77では、当該コントロールパネルからの入力に応じて、例えばt秒毎の単位で前記自己再生ファイル内の各地図画像及び交差点の拡大図画像が、前述したナンバリングの順序(すなわちルート順)で表示されることになる。
ここで、上記図6のフローチャートのステップST74からステップST77までの流れを、図7のフローチャート及び図8〜図10の表示例を用いて、より詳細に説明する。
この図7において、ステップST80では前記図6のステップST74のように自己再生ドライバが起動(自己再生アプリケーションが起動)すると、前述のように当該別のパーソナルコンピュータのディスプレイ上には、例えば図8に示すような表示がなされる。
ここで、出発地周辺の地図画像の表示例としては、図8に示すようなものが挙げられる。なお、この図8の表示例では、出発地周辺の地図画像として前記図3のナビゲーションウィンドウ内に表示したような拡大図画像を使用した例を挙げている。この図8の表示例では、上記別のパーソナルコンピュータのディスプレイの表示画面400上に前記ナビゲーションウィンドウと同様なウィンドウ402がポップアップされており、当該ウィンドウ402内には、出発地周辺の拡大図画像406が表示される。当該拡大図画像406内には、例えば「郵便局」がランドマーク408として描画されると共に、進行方向を示す矢印マーク410も表示されている。当該拡大図画像406外には、次の交差点までの情報として例えば「山手警察署前まで300m」というような当該出発地点から次の交差点までの距離情報を表す文字列416が表示され、道路の名称として例えば「国道1号」の文字列413が表示され、交差点名として例えば「原宿」の文字列414が表示され、目的地までの距離として例えば「23km」の文字列415が表示されている。
また、当該ウィンドウ402内には、前記コントロールパネル420が表示されている。当該コントロールパネル420内には、当該別のパーソナルコンピュータにおいてルートガイダンスに用いられる各地図画像を簡易アニメーション的に再生すること、すなわち静止画像である各地図画像を次々にスライドショー的に再生表示することを指示するための再生ボタン422と、当該スライドショーを停止して最初の画面に戻ることを指示するための停止ボタン421と、スライドショーの一時停止を指示するための一時停止ボタン423とが描画されている。したがって、例えばマウスカーソルにてこれらコントロールパネル420上のボタンが選択されると、これらボタンに対応した動作が行われることになる。
すなわち、図7に戻って、上記ステップST80にて自己再生アプリケーションが起動して図8に示すような表示がなされた状態において、ステップST81では上記再生ボタン421がオンされたか否かの判断を行う。当該ステップST81で再生ボタン421がオンされたと判断すると、ステップST82ではt秒間隔で前記ルート順(ナンバリングの順)に地図画像及び交差点拡大図画像の表示、すなわちルートナビゲーションのために静止画像である地図画像や交差点拡大画像をルート順に次々に表示するスライドショー表示が行われる。なお、当該スライドショー表示の代わりに動画像を表示することも可能である。
次のステップST83では前記停止ボタン421がオンされたか否かの判断が行われ、停止ボタン421がオンされたと判断した場合には、ステップST84にて出発地の地図画面に戻った後、スライドショー表示を停止する。次のステップST85では、再生ボタン422が再びオンされたか否かの判断を行い、再生ボタン422が再びオンされたときには、ステップST82にて上述のように出発地からのルートナビゲーションのためのスライドショー表示を再開する。
一方、ステップST83において停止ボタン421がオンされていないときには、上記ルートナビゲーションのスライドショー表示を続けており、このときはステップST86において一時停止ボタン423のオンがなされたか否かの判断を行っている。当該ステップST86にて一時停止ボタン423がオンされたと判断したときには、ステップST87にて当該一時停止ボタン423がオンされた時点の地図画像または交差点の拡大図画像を表示したまま、スライドショー表示を一時停止する。
次に、ステップST88では一時停止を解除するための再生ボタン422のオン操作がなされたか否かの判断を行っており、再生ボタン422がオンされたと判断したときにはステップST89に進む。
このステップST89では、再生ボタン422が押された時点で上記一時停止を解除し、上記一時停止された時点から以降のスライドショー表示を開始する。その後は、ステップST82に戻って上述同様の処理を行う。
ここで、上記スライドショー表示の一例として、例えば上記一時停止がなされたときのウィンドウ430として、図9に示すような画像が表示されていたとする。すなわちこの図9の例には、上記一時停止されたときに例えば交差点の拡大図画像が表示されていた場合を示しており、当該ウィンドウ430の交差点の拡大図画像436内には、例えば「郵便局」がランドマーク438として描画されていると共に、進行方向を示す矢印マーク440も表示され、さらに「信号機」のランドマーク439と、道路名として例えば「国道1号線」を表す文字列432及び「国道15号線」を表す文字列431と、当該交差点の所在地として例えば「所在地:横浜市港南区」を表す文字列433と、次に進むべき地域として例えば「横浜方面へ」を表す文字列434とが表示されている。また、当該拡大図画像436外には、当該交差点の名称として例えば「下永谷」の文字列446と、当該交差点の手前の交差点の名称として例えば「上永谷」の文字列441とが表示されている。さらに、当該ウィンドウ430内には、コントロールパネル420の再生ボタン422と停止ボタン421と一時停止ボタン423も描画されている。その他、当該ウィンドウ430内には、当該自己再生ファイルアプリケーション自体を閉じるためのボタン424も表示されている。
上述したような一時停止がなされているときに、前記ステップST88にて再生ボタン422がオンされると、当該別のパーソナルコンピュータ上の表示は、例えば図10に示すようにスライドショーが再開される。なお、図10の(A)には上記一時停止がなされた時点での交差点拡大図画像を表し、図10の(B)には当該一時停止が解除された後に再開されるスライドショー表示される範囲を地図上で模式的に表しており、図10の(C)には上記図10の(B)の地図上の領域WCとして表示される地図画像の一枚を表し、図10の(D)には上記図10の(B)の地図上の領域WDとして表示される地図画像の一枚を表し、図10の(E)には最終的な目的地の手前200メートル以内になったときに表示される目的地周辺の例えば拡大図画像を表している。
すなわちこの図10において、図10の(A)の一時停止中の表示がなされた後に、再生を再開すると、例えば図10の(C)から図10の(D)に示すよう順番で、図10の(B)の図中矢印aにて示す方向に各地図画像がスライドショーとして表示されてゆき、最終的に目的地の手前200メートル以内になると、図10の(E)に示すような当該目的地周辺の拡大図画像が表示されることになる。
次に、上述したルート探索を行うと共に自己再生ファイルを生成するパーソナルコンピュータと、上記スライドショーのみが可能なパーソナルコンピュータとの機能の差異は、図11に示すようなものとなる。すなわち、上記自己再生ファイルを生成するパーソナルコンピュータ(図中オリジナルとして表している)には、地図情報の全てを表示することが可能なデジタル地図表示機能と、経路計算(探索)を行うことができる機能と、ルートナビゲーションのためのガイダンス情報を生成する機能と、例えば拡大図画像を見やすいように配列して印刷等することができる地図印刷機能と、上記自己再生ファイルを生成する機能と、交差点拡大図及び地図表示を行う機能と、いわゆるカーナビゲーションとしての機能(GPS:Global Positioning Systemの現在地データを利用して随時交差点拡大図を表示する機能)と、各交差点のスライドショーを行う機能と、上記デジタル地図のスライドショー機能と、音声によるガイダンス機能とがある。これに対して、上記別のパーソナルコンピュータ(図中自己再生として表す)では、上記交差点拡大図及び地図表示機能と、交差点拡大図のスライドショー機能と、デジタルマップのスライドショー機能のみとなる。
なお、本発明における自己再生機能とは別に、現存する自己再生アプリケーションとしては、マクロメディア社(MACROMEDIA社)の「ディレクタ(Director、商標)」のプロジェクタ機能などがある。当該「ディレクタ」は、いわゆるCD−ROMのインタラクティブムービー制作に一般的に利用されているオーサンリングソフトである。このソフトは、制作されたインタラクティブムービーをCD−ROMパッケージにするために、「ディレクタ」本体が存在しない環境でも、再生が可能なファイル形式に変換する機能を有している。この「ディレクタ」ではそのファイル形式を「プロジェクター」という名称で定義している。
これに対して、本発明の地図情報提供装置及び方法によれば、自己再生アプリケーションを実現して、自らが地図表示及び経路探索用のアプリケーションソフトを備えないパーソナルコンピュータであっても使用可能にすると同時に、地図情報として例えば経路案内を、気軽にまた解り易い地図を用いたアニメーションという形で提供可能となり、ナビゲーションシステムの使用範囲を拡大することができる。これは従来のいわゆるカーナビゲーションシステムには不可能であり、パーソナルコンピュータ用のアプリケーションならではの機能である。また、同時に、自己再生ファイルを配布することは、当該自己再生ファイルを生成するアプリケーションソフトを広げることができることをも意味し、当該アプリケーションソフトの拡販効果も期待できる。
なお、本発明は、オペレーシィングシステム(OS)レベルで静止画像等をカット・アンド・ペースト(切り貼り)できると共に、動画の編集をも可能とするようなマルチメディア拡張ソフトにも適用可能である。
1 コントローラ、 2 入力装置、 3 ハードディスク、 4 経路計算モジュール、 5 ROM、 6 ナビゲーションガイダンス生成モジュール、 7 RAM、 9 ディスクドライブ装置、 11 表示装置、 12 データ入出力ポート、 13 発音装置、 18 自己再生ファイル生成モジュール、 30 地図ディスク、 31 フロッピィディスク、 32 メモリカード