JP4380011B2 - 球状シリカの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状シリカの製造方法に関し、本発明により得られる球状シリカは樹脂成形用充填剤、特に半導体封止剤に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高密度化に伴い、電子部品のパッケージも小型化、薄型化が進むと共に、BGA,フリップチップなどと呼ばれる新しい構造のパッケージの開発が進んでいる。このため、薄い樹脂層でチップを保護したり、基板と接着させるなどの機能が求められるようになり、封止剤の品質に対する要求はますます厳しくなっている。
【0003】
かかる要求としては、まず耐熱応力性が挙げられる。すなわち、シリコンチップと封止剤それぞれの熱膨張率の差によって熱応力が生じるため、熱応力を可及的に小さくすることが求められる。そこで、封止剤の熱膨張率をシリコンチップのそれにできるだけ近づけるために、熱膨張率の小さいシリカを充填材としてできるだけ多く樹脂に加える方法が採用されている。
【0004】
充填材シリカとして、従来は粉砕して製造された形状が不規則で鋭い角を有する破砕体シリカが広く用いられていた。しかし、このような破砕体シリカの充填率の高い封止剤はその粘度が高まって成形時の流動性が悪化し、所定の特性を有する均質なパッケージが得られなくなる。また、鋭い角を有する破砕体シリカは、成形用金型を摩耗させるとともに、アルミ配線やワイヤ配線を傷つける恐れがある。このようなことから、封止剤用成形材料の流動性を低下させることが少ない、鋭い角のない球状シリカを封止剤の充填材として使用することが種々提案された。
【0005】
従来、かかる封止剤用充填材として用いられる球状シリカの製造方法としては、以下の方法が提案されている。
1)天然あるいは合成シリカの破砕体を火炎中で溶融する方法
2)アルキルシリケートを加水分解して得られたゾル状溶液を加熱媒体中に噴霧して乾燥造粒し、次いで火炎中で溶融する方法
3)アルキルシリケートを加水分解して得られた部分重合体ゾルからアルコールを除去した後、これを水に分散させることにより得られたシリカゾルを焼成する方法
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術のうち、1)及び2)及びそれに類する方法では、その製造方法から必然的にシリカは溶融するほどの高温にさらされるため、シラノール基は実質上存在し得なかった。また、3)あるいはそれに類する製法においても、焼結体の強度を上げ、不純物等の溶出を抑え、吸湿性をなくすために、やはり高温で焼成されるのが普通であり、シラノール基は実質上存在し得なかった。
しかし、シラノール基が消失するほどの高温で焼成されたシリカは表面活性が低いため、樹脂とのなじみが悪く接着強度が劣り、パッケージの割れの原因となりやすいという問題や、粉体が凝集し易く、樹脂に配合したときの分散が悪いとか、シランカップリング剤を作用させたとしても、シリカ表面にカップリング剤と反応できるシラノール基がないため、その効果が不十分であるなどの問題があった。
【0007】
3)の製造方法の改良法として、テトラアルコキシシランを部分加水分解した混合溶液を、油性媒体中に添加して乳化させ、テトラアルコキシシランの縮合を進めて球状シリカを合成する方法が知られている(例えば、特開平1−145318号公報)。この方法は、原料に高純度のテトラアルコキシシランを用いることにより、高温で焼成しなくても不純物の溶出の問題はなかったが、粒度分布が広く、また、粒径の再現性が得られないという欠点があった。
【0008】
その原因は、この方法では部分加水分解が進行中の混合溶液と言う、組成の定まらない原料を直接油性媒体中に投入して乳化させるため、たとえ乳化条件を厳密に規定したとしても、液滴側の組成、粘度等が定まらないために粗大粒子や微小粒子が生成して粒度分布が広くなり、また、ロット間での粒径の再現性を得ることが困難だった。
本発明は、シラノール基を有し、かつ今までには実現困難だった厳密に制御された粒度分布と粒径とを有する球状シリカを製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、水と有機溶媒を含む乳化系中にメトキシポリシロキサンと親水性有機溶媒を投入する製造方法により、粒径および粒度分布が厳密に制御された球状シリカを再現性良く得ることができることを知り、本発明を完成するにいたった。
即ち、本発明は、水及び疎水性有機溶媒からなるW/O型乳化系においてアルコキシポリシロキサンを親水性有機溶媒の存在下で加水分解縮合させることを特徴とする球状シリカの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
○W/O型乳化系
本発明における乳化系は、疎水性有機溶媒からなるマトリックス中に水が乳化したW/O型である。
疎水性有機溶媒は、水と相溶しないものであればよい。好ましい疎水性有機溶媒は、アルコキシポリシロキサンの加水分解反応で副生するアルコールより沸点が高いものである。例えば、脂肪族炭化水素系のものとしてドデカン(沸点:216℃)等があり、芳香族炭化水素系のものとしてベンゼン(沸点:80℃)、トルエン(沸点:111℃)、キシレン(沸点:138〜144℃)、ドデシルベンゼン(沸点:350℃)等があり、ハロゲン系のものとしてトリクロロエチレン(沸点:87℃)、テトラクロロエチレン(沸点:121℃)等がある。
これらの中から選ばれる少なくとも1種類を使用することが好ましい。
【0011】
水と疎水性有機溶媒からなるW/O型乳化液の調製に際しては、乳化剤を用いることができる。好ましい乳化剤としては以下のものがある。すなわち、ソルビタン脂肪酸エステル系のものとしてソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレン、ソルビタン脂肪酸エステル系のものとしてポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル系のものとしてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル系のものとしてはポリオキシエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンジオレート等、グリセリン脂肪酸エステル系のものとしてステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリドなど、ポリグリセリン脂肪酸エステル系のものとしてはジステアリン酸トリグリセリド、ジオレイン酸トリグリセリド、トリステアリン酸デカグリセリド、トリオレイン酸デカグリセリド等の非イオン性界面活性剤があり、また、アルキルベンゼンスルホン酸やアエロジルOTなどのアニオン系界面活性剤も好ましく用いられる。これらの中から選ばれる少なくとも1種、あるいは複数を使用するのが好ましい。
【0012】
○乳化系の調製方法
乳化液における水の量はアルコキシポリシロキサンの加水分解と縮合を行うのに必要な量、すなわち、アルコキシポリシロキサンにおけるアルコキシド基と当量以上であることが好ましい。
乳化剤を加える場合の添加量は目的とする球状シリカの粒径に応じて適宜調整すればよく、好ましくは水に対する濃度が0.1〜5重量%となるように調整する。
疎水性有機溶媒と水との割合はW/O型乳化系を形成できる範囲であれば、特に制限はない。
例えば、特開平1−145318号公報に開示されているような、触媒や副生アルコール等を含んだままのアルコキシシラン部分加水分解混合物を疎水性有機溶媒に混合した後に始めて乳化させる方法では、部分加水分解混合物のほんの少しの縮合度の差によって液滴の粘度が変わり、乳化系の粒度分布が大きく変動するのに対して、本発明では、水/油系の均一な乳化系をあらかじめ作っておき、投入したアルコキシポリシロキサンをミセル中に取り込ませた後に縮合を進めることによって、均一な粒度分布の球状シリカを得ることができる。
【0013】
○アルコシキポリシロキサン
アルコキシポリシロキサンとしては特に制限はないが、加水分解時に副生するアルコールを反応系外へ容易に除去できる観点から副生アルコールの沸点が水の沸点より低いものがよい。好ましいアルコキシポリシロキサンは、例えば、メトキシポリシロキサン、エトキシポリシロキサン、イソプロポキシポリシロキサン等の低級アルコキシポリシロキサンであり、これらの中から選ばれる少なくとも1種を使用するのが好ましい。
例えば、特開平1−145318号公報に開示されているような、触媒や副生アルコール等を含んだままのアルコキシシラン部分加水分解混合物を用いる方法との差は、アルコキシポリシロキサンとして単離されたものを原料として用いる点にあり、この事によって、ロット間の粒径の再現性を容易に得ることができる。
【0014】
○親水性有機溶媒
本発明における親水性有機溶媒は、水およびアルコキシポリシロキサンと相溶性があるので、W/O型乳化系に添加すると、水滴相に移動し易い性質がある。この性質により、アルコキシポリシロキサンの加水分解・縮合反応が起こる水滴相の粘度を適切に調節することができ、その結果水滴相で生成する粒子の形状を所望に応じて制御できる。好ましい親水性有機溶媒の濃度は、アルコキシポリシロキサン100重量部当たりの含有割合が5〜120重量部(以下、部と略す)であり、より好ましくは25〜90部であり、更に好ましくは30〜65部である。アルコシキポリシロキサンのみでは液滴粘度が高すぎるため、攪拌によってミセルが紡錘状に変形し易く、得られるシリカゲルも棒状になる。逆に、親水性有機溶媒の添加量が多すぎると球状シリカは得られるものの、膨潤ゲル同士の凝集付着が起き易くなり、単独粒子が得難くなる。
親水性有機溶媒の具体例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホシファミドなどが挙げられるが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の炭素数5以下の低級アルキルアルコールは比較的毒性も少なく、工業的に安価で利用できるので好ましい。
【0015】
○アルコキシポリシロキサンの加水分解と縮合
アルコキシポリシロキサンはW/O型乳化系における水により容易に加水分解と縮合反応を起こすが、乳化系に触媒として酢酸等の酸やアンモニア等の塩基を適宜添加して加水分解と縮合反応を促進させることができる。
好ましい反応温度は室温〜200℃であり、一定温度で反応させたり、徐々に昇温したりあるいは降温したりなどの温度変化をさせて反応させることもできるが、通常は縮合反応の進行に合わせて徐々に反応温度を上げていく方法が異常粒子の発生を抑えて、反応時間を短くすることができ、効率的である。
好ましい反応時間は1〜10時間である。
加水分解と縮合により、乳化液中で球状シリカが生成し、乳化液はスラリー状となる。
【0016】
○後処理
上記のようにして得られたスラリーをそのまま、後述する焼成工程で処理しても良いが、生成物の純度や製造効率を高めたりする目的で、スラリーの分離洗浄および乾燥を行うことが好ましい。
例えば、スラリーをろ過した後、アルコールやアセトン等、合成に使用した有機溶媒を溶解する溶剤で繰り返し洗浄することにより、乳化液に使用した有機溶剤や乳化剤を除去することができる。
なお、後述の焼成により有機分はほとんど揮発、分解されるため、上記の分解洗浄を省くことも可能である。
【0017】
上記のようにして得た球状シリカを焼成することにより、球状シリカのシラノール基の量を制御することができ、高温で焼成するに従い、シラノール基が減少する。
焼成に際しては、温度を1050℃未満とすることが好ましい。より好ましい焼成温度は300℃以上かつ1050℃以下であり、更に好ましくは700℃以上1050℃以下である。好ましい焼成時間は数時間以上であり、より好ましくは2時間以上8時間以下である。また、熱源は電気によるジュール熱、石油やガス等の燃焼熱でも構わない。
【0018】
○球状シリカ
本発明により得られる球状シリカは、シラノール基を有している。
球状シリカにおけるシラノール基は、カップリングとの反応性に富むため、本発明の球状シリカとカップリング剤を混合すると速やかに反応が進み、球状シリカの表面はカップリング剤で被覆される。
好ましいシラノール基の量は、球状シリカ1g当たり6μmol以上5mmol以下であり、より好ましくは10μmol以上1mmol以下である。6μmol/g未満ではシラノール基による効果が不十分であり、5mmol/gを超えると、吸湿性が高くなるために電子材料としては不向きである。
【0019】
シラノール基の定量は、シランカップリング剤との反応量から測定する方法が簡便である。これはシランカップリング剤を溶解したベンゼン等の非水溶媒にシリカを分散し、シランカップリング剤の濃度変化をガスクロマトグラフなどで定量して反応したシラノール量を推定する方法であり、化学反応可能な活性シラノールを選択的に測定できる点では優れている。しかし、化学反応を利用するため1mmol/g以下の低濃度の領域では測定誤差が大きくなるため、1mmol/g以下の領域では、シラノールの赤外線吸収により分光学的に測定する方法がより好ましく利用される。具体的には拡散反射法やペースト法などの既知の粉体試料測定法により、FT−IR,FT−NIR等の赤外吸光分光分析装置によってシラノールによる特定波長の吸収量を測定し、シラノール量を決定する方法である。このうち拡散反射法は粉体を直接測定でき、粉体表面の組成をより選択的に測定できる方法として好ましく利用できる。また、シラノールは幾つかの吸収波長域に赤外吸収を持っていることは公知の事実であるが、このうち、3740〜3750cm-1あるいは7300〜7350 cm-1等に現れるいわゆるフリーシラノールの吸収は水分の影響を受け難く、シラノールの定量には好ましく用いられる。
【0020】
本発明により得られる球状シリカの好ましい平均粒径は0.1〜20μmであり、より好ましくは2〜10μmである。好ましい粒度分布は下式のσ値が1.5以下であるものである(このσ値が小さい程粒度分布が狭いことを示す)。
【0021】
【数1】
【0022】
上式におけるD1およびD2は粒度分布測定結果において粒径0μmから累積した時の粒径である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例によって、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
200L反応器にドデシルベンゼン90kg、乳化剤(日光ケミカル(株)製ヘキサグリンPR−15)0.8kg、純水30kgおよび氷酢酸0.2kgを仕込み、W/O型乳化系を形成させた後、120rpmで攪拌しつつメトキシポリシロキサン(多摩化学(株)製 Mシリケート51)21.5kg、メタノール8.2kgを30分で供給した。その後、2時間保持した後、120℃まで加温した。そして、反応液をろ別、アセトンにより洗浄し、600℃で4時間焼成して白色粉体を得た。この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独立した真球状であった。
【0024】
この粉末を純水に分散してレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製粒度分布計LA500)によって粒度分布を測定したところ、平均粒径は4.9μmでσは1.4であり、カップリング剤(γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン)との反応により測定したシラノール基の含有量は、1.4mmol/gであった。
【0025】
[比較例1]
1Lフラスコにドデシルベンゼン400g、乳化剤(日光ケミカル(株)製ヘキサグリンPR−15)2g、純水98gおよび氷酢酸1gを仕込み、400rpmで攪拌しつつメトキシポリシロキサン(多摩化学(株)製 Mシリケート51)78gのみを30分で供給した。その後、2時間保持した後、120℃まで加温した。そして、反応液をろ別、アセトンにより洗浄し、600℃で4時間焼成して白色粉体を得た。この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独立した棒状であり、真球状粒子は得られなかった。
【0026】
[実施例2]
200L反応器にドデシルベンゼン90kg、乳化剤(日光ケミカル(株)製ヘキサグリンPR−15)0.8kg、純水30kgおよび氷酢酸0.2kgを仕込み、W/O型乳化系を形成させた後、120rpmで攪拌しつつメトキシポリシロキサン(多摩化学(株)製 Mシリケート51)21.5kgと、メタノール13.2kgとの混合物を30分で供給した。その後、2時間保持した後、120℃まで加温した。そして、反応液をろ別、アセトンにより洗浄し、900℃で4時間焼成して白色粉体を得た。この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独立した球状であった。
【0027】
この粉末を純水に分散してレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製粒度分布計LA500)によって粒度分布を測定したところ、平均粒径は15.4μmでσは1.2であった。 FT−IRにより、3740cm-1で測定したシラノール基の含有量は、65μmol/gであった。
【0028】
[実施例3]
再現性を確認するために、実施例2の翌日、同じ反応器で同じ操作を繰り返し、球状シリカを製造した所、平均粒径は15.3μmでσは1.2であった。 FT−IRにより、3740cm-1で測定したシラノール基の含有量は、68μmol/gと非常に再現性が良いことが確かめられた。
【0029】
[実施例4]
200L反応器にケロシン90kg、乳化剤(和光純薬(株)製アエロゾルOT)1.2kg、純水30kgおよび25%アンモニア水0.1kgを仕込み、W/O型乳化系を形成させた後、400rpmで攪拌しつつメトキシポリシロキサン(多摩化学(株)製 Mシリケート51)21.5kgと、メタノール13.2kgとの混合物を30分で供給した。その後、2時間保持した後、8時間かけて90℃まで加温した。そして、反応液をろ別、アセトンにより洗浄し、毎時200℃で昇温して980℃で4時間焼成して白色粉体を得た。この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独立した真球状であった。
【0030】
この粉末を純水に分散してレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製粒度分布計LA500)によって粒度分布を測定したところ、平均粒径は0.8μmでσは1.3であり、FT−IRにより3740cm-1で測定したシラノール基の含有量は、23μmol/gであった。
【0031】
[比較例2]
メタノールを加えなかった以外は実施例2と同じ条件で反応を行い、得られた反応液をろ別、アセトンにより洗浄し、600℃で4時間焼成して白色粉体を得た。この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独立した棒状であり、真球状粒子は得られなかった。
【0032】
[比較例3]
メトキシポリシロキサン21.5kgの替わりにメチルシリケートを16.4kgを使用した他は実施例2と同じ条件で反応を行い、得られた反応液をろ別、アセトンにより洗浄し、600℃で4時間焼成して白色粉体を得た。この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ球状粒子が葡萄の房状に凝集した粒状物となっており、独立した真球状粒子は得られなかった。
【0033】
[比較例4]
200L反応器にドデシルベンゼン90kg、乳化剤(日光ケミカル(株)製ヘキサグリンPR−15)0.8kgを仕込み、予め乳化系を形成させることなく、120rpmで攪拌しつつメトキシポリシロキサン(多摩化学(株)製 Mシリケート51)21.5kg、純水30kgおよび氷酢酸0.2kg、メタノール8.2kgを30分で供給した。その後、2時間保持した後、120℃まで加温した。そして、反応液をろ別、アセトンにより洗浄し、600℃で4時間焼成して白色粉体を得た。この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところそれぞれ独立した真球状であった。
【0034】
この粉末を純水に分散してレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)製粒度分布計LA500)によって粒度分布を測定したところ、平均粒径は10.0μmでσは3.6であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、シラノール基を有し、厳密に制御された粒度分布と粒径とを有する球状シリカを容易に製造することできる。
従って、真球状で凝集のない球状シリカを、狭い粒度分布で尚且つ再現性良く製造することができる。
本発明により得られる球状シリカは、樹脂成形用充填剤、特に半導体封止剤に適している。
Claims (2)
- 水及び疎水性有機溶媒と加水分解触媒とからなるW/O型乳化系を形成させた後、アルコキシポリシロキサンを投入し、親水性有機溶媒の存在下で加水分解縮合させる、平均粒径0.1〜20μmでσ値が1.5以下の粒度分布を有する球状シリカの製造方法。
- 親水性有機溶媒が、炭素数5以下のアルキルアルコールであり、アルコキシポリシロキサン100重量部当たりの含有割合が5〜120重量部である、請求項1記載の球状シリカの製造方法。
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