以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明の化学増幅型レジスト材料は、下記式(2)で示される繰り返し単位からなる高分子化合物、下記式(2)で示される繰り返し単位と下記式(4)で示される繰り返し単位とからなる高分子化合物、下記式(3)で示される繰り返し単位からなる高分子化合物、及び下記式(4)で示される繰り返し単位からなる高分子化合物から選ばれる高分子化合物のうち、下記式(3)で示される繰り返し単位からなる高分子化合物を含有する。
(但し、式中R
2は水素原子又はメチル基、R
3は炭素数4〜30の3級炭化水素基を表わす。)
(但し、式中R
4は炭素数4〜30の3級炭化水素基を表わし、R
5〜R
8はそれぞれ単独に水素原子、エステル基、アルコキシカルボニルアルキル基、ラクトン基、カルボキシル基、又は環状酸無水物基を示し、あるいはR
5〜R
8のいずれか2つが結合して環状のラクトン基又は酸無水物基を形成してもよい。rは正数、sは0又は正数であり、0<r/(r+s)≦1を満足する数である。)
(但し、式中R
9は炭素数4〜30の3級炭化水素基を表わし、nは0又は1である。)
ここで、R3、R4、R9の3級炭化水素基は、炭素数4〜30、好ましくは4〜20の3級アルキル基、シクロアルキル基の1位の水素原子がアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、シアノ基、アセチル基等のアシル基などで置換された1−置換シクロアルキル基などが好ましく、具体的には、tert−ブチル、1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−ビニルシクロペンチル、1−アセチルシクロペンチル、1−フェニルシクロペンチル、1−シアノシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、1−イソプロピルシクロヘキシル、1−ビニルシクロヘキシル、1−アセチルシクロヘキシル、1−フェニルシクロヘキシル、1−シアノシクロヘキシルなどが挙げられる。
更に、R5〜R8のエステル基としては、メチルエステル、エチルエステル等が例示される。アルコキシカルボニルアルキル基としては炭素数3〜10、特に3〜6のもの、例えばメトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。ラクトン基としては5員環ラクトン、6員環ラクトン、7員環ラクトン等が例示できる。環状酸無水物基としては、スクシン酸無水物基、グルタル酸無水物基などが挙げられる。
なお、rは正数、sは0又は正数であり、r/(r+s)は0<r/(r+s)≦1、好ましくは0.1≦r/(r+s)≦0.9、更に好ましくは0.4≦r/(r+s)≦0.6である。
本発明で用いる高分子化合物は、重量平均分子量が500〜10,000,000、特に5,000〜20,000が好ましい。
本発明において、上記高分子化合物は、分子量分布(Mw/Mn=重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.4、更に好ましくは1.0〜1.35である。
上記のような分子量分布の高分子化合物を得るためには、分子量分布が1.5を超える高分子化合物を用い、この高分子化合物の良溶媒と貧溶媒に対する分子量による溶解性を利用して、低分子量成分を除去することによる分画を行う方法を採用することができる。
この場合、低分子量成分の除去に用いられる良溶媒と貧溶媒を、水、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルアセテート、乳酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレンのなかから、分画する高分子化合物にあわせて選択し、用いることができる。
具体的には、低分子量成分を比較的多く含有し、分子量分布が1.5を超える高分子化合物の良溶媒を用い、この良溶媒に該高分子化合物を投入し、上記高分子化合物を良溶媒に溶解し、次いでこの高分子化合物の貧溶媒に上記良溶媒溶液を投入する。これにより、上記高分子化合物中の低分子量成分は上記貧溶媒に溶解して2層分離するので、高分子量成分と分別できる。次いでこの高分子量成分を溶解している層を再度貧溶媒中に投入して、晶出濾過するか、又は濃縮して晶出濾過する等の方法により、上記低分子量成分が分画、除去された分子量分布が1.0〜1.5、特に1.0〜1.4の高分子化合物が得られるもので、本発明においては、かかる分画方法によって得られた分子量分布の狭い高分子化合物を使用することが好ましい。
本発明の化学増幅型レジスト材料は、特にポジ型として好適に用いられるが、上記高分子化合物をベースポリマーとして用いるほかは、有機溶剤、光酸発生剤、溶解阻止剤、塩基性化合物などの常用成分を配合することができる。
ここで、有機溶剤は、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3−メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジアセトンアルコール、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、テトラメチレンスルホン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。特に好ましいものはプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、乳酸アルキルエステルである。
なお、上記プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、中でもメチル基、エチル基が好適である。また、このプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートには1,2置換体と1,3置換体があり、置換位置の組合わせで3種の異性体があるが、単独あるいは混合いずれの場合でもよい。また、上記の乳酸アルキルエステルのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、中でもメチル基、エチル基が好適である。これらの溶剤は単独でも2種以上混合してもよい。好ましい混合溶剤の例はプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルである。混合比も任意であるが、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート50〜99重量部に対して乳酸アルキルエステルを1〜50重量部の割合で混合することが望ましい。更に好ましくは、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60〜95重量%、乳酸アルキルエステルを5〜40重量%の割合とすることが好ましい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートが少ないと、塗布性劣化等の問題があり、多すぎると溶解性不十分、パーティクル、異物の発生の問題がある。乳酸アルキルエステルが少ないと溶解性不十分、パーティクル、異物の増加等の問題があり、多すぎると粘度が高くなり塗布性が悪くなる、保存安定性の劣化等の問題がある。有機溶剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して300〜2,000重量部、特に400〜1,000重量部が一般的である。
次に、高エネルギー線照射により酸を発生する光酸発生剤としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
スルホニウム塩はスルホニウムカチオンとスルホネートの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、メチル−2−オキソプロピルフェニルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
ヨードニウム塩はヨードニウムカチオンとスルホネートの塩であり、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンとスルホネートとしてトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
スルホニルジアゾメタンとしては、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tertブチルカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン、2−ナフチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニル2−ナフトイルジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tertブトキシカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタンとスルホニル−カルボニルジアゾメタンが挙げられる。
N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸イミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等の組合わせの化合物が挙げられる。
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレートベンゾインブタンスルホネート等が挙げられる。
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、ピロガロール、フロログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンのヒドロキシル基のすべてをトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等で置換した化合物が挙げられる。
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートが挙げられ、スルホネートとしては、具体的にトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられる。またベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
スルホン型光酸発生剤の例としては、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等が挙げられる。
グリオキシム誘導体型の光酸発生剤の例としては、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキシルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
中でも好ましく用いられる光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ビススルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミドである。ポリマーに用いられる酸不安定基の切れ易さ等により最適な発生酸のアニオンは異なるが、一般的には揮発性がないもの、極端に拡散性の高くないものが選ばれる。この場合好適であるアニオンは、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンである。
上記光酸発生剤の添加量としては、レジスト材料中のベースポリマー100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。上記光酸発生剤は単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
また、本発明のレジスト材料に、酸により分解し酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物についてはJ.Photopolym.Sci.and Tech.,8.43−44,45−46(1995)、J.Photopolym.Sci.and Tech.,9.29−30(1996)において記載されている。
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル2−メチル2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル2−(2−トシロキシエチル)1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
本発明のレジスト材料における酸増殖化合物の添加量としては、レジスト材料中のベースポリマー100重量部に対して2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
溶解阻止剤は、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化する分子量3,000以下の化合物を用いることができ、特に2,500以下の低分子量のフェノールあるいはカルボン酸誘導体の一部あるいは全部を酸に不安定な置換基で置換した化合物を添加することもできる。
分子量2,500以下のフェノールあるいはカルボン酸誘導体としては、ビスフェノールA、ビスフェノールH、ビスフェノールS、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン等が挙げられ、酸に不安定な置換基としては上記ポリマーの酸不安定基として例示したものを再び挙げることができる。
好適に用いられる溶解阻止剤の例としては、ビス(4−(2’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ))プロパン、2,2−ビス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、4,4−ビス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、トリス(4−(2’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(2’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシメチルフェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)エタン等が挙げられる。
本発明のレジスト材料中の溶解阻止剤の添加量としては、レジスト材料中のベースポリマー100重量部に対して20重量部以下、好ましくは15重量部以下である。20重量部より多いとモノマー成分が増えるためレジスト材料の耐熱性が低下する。
塩基性化合物は、光酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適しており、このような塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
また、混成アミン類としては、例えば、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチリピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
更にこのヒドロキシ基を有する含窒素化合物のヒドロキシル基の一部あるいは全部をメチル基、エチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、アセチル基、エトキシエチル基等で置換した化合物が挙げられ、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのメチル置換体、アセチル置換体、メトキシメチル置換体、メトキシエトキシメチル置換体が好ましく用いられる。具体的にはトリス(2−メトキシエチル)アミン、トリス(2−エトキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス{2−(メトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−メトキシエトキシ)メトキシ}エチル]アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミンが挙げられる。
なお、塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組合わせて用いることができ、その配合量は、レジスト材料中のベースポリマー100重量部に対して0〜2重量部、特に0.01〜1重量部を混合したものが好適である。配合量が2重量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
また、本発明のレジスト材料中には、塗布性を向上させるための界面活性剤、基板からの乱反射を少なくするための吸光性材料などの添加剤を加えることができる。
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303,EF352(トーケムプロダクツ)、メガファックF171,F172,F173(大日本インキ化学工業)、フロラードFC430,FC431(住友スリーエム)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106、サ−フィノ−ルE1004,KH−10,KH−20,KH−30,KH−40(旭硝子)等の沸素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X−70−092,X−70−093(信越化学工業)、アクリル酸系、又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業)が挙げられ、中でもFC430、サーフロンS−381、サ−フィノ−ルE1004が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組合わせで用いることができる。
本発明のレジスト材料中の界面活性剤の添加量としてはレジスト材料組成物中のベースポリマー100重量部に対して2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
更に、本発明のレジスト材料には紫外線吸収剤を配合することができる。
具体的には、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタレン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、ベンゾフェナントレン、アントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、2,7−ジメトキシナフタレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントセラン、9,10−ジメチルアントラセン、9−エトキシアントラセン、1,2−ナフトキノン、9−フルオレン、下記一般式(D1)、(D2)等の縮合多環炭化水素誘導体、チオキサンテン−9−オン、チアントレン、ジベンゾチオフェン等の縮合複素環誘導体、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、スクエアル酸、ジメチルスクエアレート等のスクエアル酸誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホキシド、ビス[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]スルホキシド等のジアリールスルホキシド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホン、ビス[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(1−エトキシプロポキシ)フェニル]スルホン等のジアリールスルホン誘導体、ベンゾキノンジアジド、ナフトキノンジアジド、アントラキノンジアジド、ジアゾフルオレン、ジアゾテトラロン、ジアゾフェナントロン等のジアゾ化合物、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸クロリドと2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとの完全もしくは部分エステル化合物、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロリドと2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノンとの完全もしくは部分エステル化合物等のキノンジアジド基含有化合物等、9−アントラセンカルボン酸tert−ブチル、9−アントラセンカルボン酸tert−アミル、9−アントラセンカルボン酸tert−メトキシメチル、9−アントラセンカルボン酸tert−エトキシエチル、9−アントラセンカルボン酸2−tert−テトラヒドロピラニル、9−アントラセンカルボン酸2−tert−テトラヒドロフラニル等を挙げることができる。
(式中、R
61〜R
63はそれぞれ独立に水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、直鎖状もしくは分岐状のアルコキシアルキル基、直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基又はアリール基である。R
64は酸素原子を含んでいてもよい置換もしくは非置換の2価の脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでいてもよい置換もしくは非置換の2価の脂環式炭化水素基、酸素原子を含んでいてもよい置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基又は酸素原子であり、R
65は上記と同様の酸不安定基である。Jは0又は1である。E、F、Gはそれぞれ0又は1〜9の整数、Hは1〜10の正の整数で、かつE+F+G+H≦10を満足する。)
上記紫外線吸収剤の配合量は、ベースポリマー100重量部に対して0〜10重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、更に好ましくは1〜5重量部である。
本発明の化学増幅型レジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、特に限定されないが、公知のリソグラフィー技術を用いることができる。
集積回路製造用の基板(Si,SiO2,SiN,SiON,TiN,WSi,BPSG,SOG,有機反射防止膜等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布し、ホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜120℃、1〜5分間プリベークするする。次いで紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線などから選ばれる光源好ましくは300nm以下の露光波長で目的とするパターンを所定のマスクを通じて露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
更に、0.1〜5%、好ましくは2〜3%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明材料は、特に高エネルギー線の中でも254〜193nmの遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターンニングに最適である。また、上記範囲を上限及び下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[合成例1]
1Lのフラスコにビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1−エチルシクロペンチルエステル296.2g、無水マレイン酸118.0g、溶媒としてジオキサンを100g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを17.9g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を、イソプロピルアルコール10Lに沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体290gを得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1−エチルシクロペンチルエステル:無水マレイン酸=50:50
重量平均分子量(Mw)=8,700
分子量分布(Mw/Mn)=1.63
これを(poly−1)とする。
(poly−1)50gをアセトン200ml(良溶媒)に溶解し、ジエチルエーテル10L(貧溶媒)に晶出、1時間静置すると2層分離する。この下層(ポリマー層)を分離し、ヘキサン溶媒10Lに沈殿させ、濾過、乾燥を行い、白色重合体39gを得た。
重量平均分子量(Mw)=11,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.35
これを(poly−B1)とする。
[合成例2]
1Lのフラスコにビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1−エチルシクロヘキシルエステル309.5g、無水マレイン酸110.0g、溶媒としてジオキサンを100g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを17.1g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を、イソプロピルアルコール10Lに沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体299gを得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1−エチルシクロヘキシルエステル:無水マレイン酸=50:50
重量平均分子量(Mw)=9,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.71
これを(poly−2)とする。
(poly−2)50gをアセトン200ml(良溶媒)に溶解し、ヘキサン10L/酢酸エチル1.0L(貧溶媒)に晶出、1時間静置すると2層分離する。この下層(ポリマー層)を分離し、ヘキサン溶媒10Lに沈殿させ、濾過、乾燥を行い、白色重合体39gを得た。
重量平均分子量(Mw)=11,700
分子量分布(Mw/Mn)=1.31
これを(poly−B2)とする。
[合成例3]
上記と同様にして下記重合体を得た。
共重合組成比
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1−エチルシクロペンチルエステル:ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸=80:20
重量平均分子量(Mw)=13,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.82
これを(poly−3)とする。
(poly−3)50gをアセトン200ml(良溶媒)に溶解し、ヘキサン10L/酢酸エチル1.0L(貧溶媒)に晶出、1時間静置すると2層分離する。この下層(ポリマー層)を分離し、ヘキサン溶媒10Lに沈殿させ、濾過、乾燥を行い、白色重合体27gを得た。
重量平均分子量(Mw)=15,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.37
これを(poly−B3)とする。
[合成例4]
上記と同様にして下記重合体を得た。
共重合組成比
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1−エチルシクロペンチルエステル:5−メトキシカルボニル−5−メトキシカルボニルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン=60:40
重量平均分子量(Mw)=11,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.77
これを(poly−4)とする。
(poly−4)50gをアセトン200ml(良溶媒)に溶解し、ヘキサン10L/酢酸エチル1.0L(貧溶媒)に晶出、1時間静置すると2層分離する。この下層(ポリマー層)を分離し、ヘキサン溶媒10Lに沈殿させ、濾過、乾燥を行い、白色重合体31gを得た。
重量平均分子量(Mw)=13,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.42
これを(poly−B4)とする。
[実施例1,2、参考例1,2、比較例1〜4]
上記合成例で得られた(poly−B1)〜(poly−B4)をベース樹脂(重量部=80)として使用し、酸発生剤としてトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム誘導体(重量部=3)と、塩基性化合物としてトリスメトキシメトキシエチルアミン(重量部=0.1)と、溶解阻止剤として2,2−ビス(4−t−ブチルカルボキシフェニル)プロパン(重量部=0.2)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/乳酸エチル(重量部=530,7/3)に溶解してレジスト材料を調合し、更に各組成物を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過することにより、レジスト液をそれぞれ調製した。
また、比較のため、(poly−1)〜(poly−4)で示されるポリマーをベース樹脂として使用して上記と同様にレジスト液を調製した。
得られたレジスト液をシリコンウェハー上へスピンコーティングし、0.8μmの厚さに塗布した。次いで、このシリコンウェハーをホットプレートを用いて100℃で120秒間ベークした。これをArFエキシマレーザーステッパー(ニコン社、NA=0.55)を用いて露光し、110℃で90秒間ベークを施し、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。得られたレジストパターンを次のように評価した。結果を表1に示した。
評価方法:
まず、感度(Eth)を求めた。0.25μmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop)として感度(mJ/cm2)とした。次に、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。
また、0.20μmラインアンドスペースの凹凸(パターン形状)を走査型電子顕微鏡にて測定した。
表1の結果より、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料は、高い解像力とパターン形状の改善されたパターンを形成できることが確認された。