JP4375542B2 - 防汚性オレフィン系樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、防汚性に優れたオレフィン系樹脂シートに関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は、防汚性に優れ、かつ中・大型テント、テント倉庫、日除けテント、インクジェット印刷用シートなどの産業資材用膜材料として有用なオレフィン系樹脂シートに関するものである。
従来、中・大型テント、テント倉庫、日除けテント、インクジェット印刷用シートなどの産業資材用膜材料としては、繊維布帛の片面又は両面に塩化ビニル樹脂を積層したものが広く使用されている。しかしながら、塩化ビニル樹脂を積層したタイプのシートでは、焼却の際に塩素化ダイオキシン等の有害物質を発生する可能性が指摘され、このことが問題になっている。近年、この問題に対する対応策として、塩化ビニル樹脂の代わりに、オレフィン樹脂を積層したシートが使われ始めている(例えば、特許文献1参照)。これらのオレフィン樹脂積層シートは、焼却の際に塩素化ダイオキシン等の有害物質を生成することがない。しかしながら、これらを長期間屋外で使用した場合、工場から排出される煤煙及び、自動車の排気ガス等の影響により表面が汚れ易く、使用初期の美観を長期間にわたり維持できないという問題があり、また防汚性の面では十分な性能を有していない。シート表面の汚れを防ぐには、塩化ビニル樹脂からなる被覆層を有するタイプのシートの場合には、防汚性に優れた表面処理、例えば、フッ素樹脂(例えば、特許文献2参照)や、親水性を有する表面処理(例えば、特許文献3参照)、汚染物分解性を有する表面処理(例えば、特許文献4参照)を行うことにより改良がなされている。しかし、オレフィン樹脂からなる被覆層を有するシートの場合、前記防汚層と前記オレフィン樹脂被覆層との密着性が十分に得られないため、使用中に防汚層が脱落してしまうという問題がある。防汚層の密着性を改善したオレフィン系樹脂シートの例としては、アクリル系樹脂またはフッ素系樹脂からなる防汚層とオレフィン系樹脂被覆層の間に、変性エチレン酢酸ビニル樹脂または変性ポリプロピレン樹脂からなるプライマー層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開平9−31848号公報、2頁〔005〕 特開平06−155669号公報、2頁〔002〕〜〔004〕 特開2001−71427号公報、2頁〔002〕〜〔006〕 特開2001−113640号公報、2〜3頁〔004〕〜〔009〕 特開2001−277446号公報、2頁〔004〕
本発明は、オレフィン系樹脂被覆層と、その上に形成した防汚層との密着性を改善し、かつ良好な防汚性を有する防汚性オレフィン系樹脂シートを提供しようとするものである。
上記問題点について検討した結果、オレフィン系樹脂被覆層と防汚層の間に、スチレン系ブロック共重合体と櫛型共重合体を含む接着層を形成することにより、オレフィン系樹脂被覆層と防汚層との密着性が良好で、防汚層が使用中に脱落することがない防汚性オレフィン系樹脂シートを得るに至った。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートは、繊維布帛を含む基布と、その少なくとも1面上に形成されたオレフィン系樹脂被覆層とを含むシート状基材、並びに前記シート状基材のオレフィン系樹脂被覆層上に形成された防汚層を含み、前記オレフィン系樹脂被覆層と防汚層の間に、スチレン系ブロック共重合体及び櫛型共重合体を含む接着層が形成されており、前記スチレンブロック共重合体がスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SIS)、スチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SVIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEPS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂(SI)、及びスチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体樹脂(SEB)、及びスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)から選ばれた少なくとも一種を含むことを特徴とするものである。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、前記接着層に含まれる櫛型共重合体は、主鎖セグメント及び/又は枝鎖セグメントが、それぞれスチレン系モノマー及び又はアクリル系モノマーから形成されていることが好ましい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、前記防汚層は、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、前記防汚層は、微粒子シリカを含んでいてもよい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、前記防汚層は、光触媒を含んでいてもよい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、前記防汚層は、有機シリケートを含んでいてもよい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートは、オレフィン系樹脂被覆層と防汚層の間にスチレン系ブロック共重合体と櫛型共重合体とを含む接着層が形成されているので、屋外で使用しても防汚層が脱落することがなく、優れた防汚性を示す。また、微粒子シリカ、光触媒、有機シリケートから選ばれた少なくとも1種を防汚層に含有させることによって、より防汚性に優れた防汚性オレフィン系樹脂シートを得ることができる。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートに用いられる繊維布帛としては、木綿、麻などの天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの無機繊維、ビスコースレーヨン、キュプラなどの再生繊維、ジ−及びトリアセテート繊維など半合成繊維、及び、合成繊維、例えば、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド繊維、ケブラーなどのアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル繊維(飽和ポリエステル繊維)及びポリ乳酸繊維などの脂肪族ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、芳香族ポリエーテル繊維、ポリイミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維、などから選ばれた少なくとも1種からなるものを用いることができる。
また前記基布中の繊維布帛を形成している繊維材料は、短繊維紡績糸、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなど、いずれの形状でもよい。また基布用繊維布帛の組織は、織物、編物、不織布又はこれらの複合体のいずれであってもよい。基布の強度については格別の制限はないが、張力下に固定されるような展張膜材として使用される用途については、基布用繊維布帛が392N/3cmの引張強さを有することが好ましい。これらの基布は、予め、パラフィン系化合物、フッ素系化合物、又はシリコーン系化合物などの撥水剤を用いて撥水処理されていてもよい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートに用いられるオレフィン系樹脂被覆層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体などのオレフィン系樹脂を用いることができる。オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC)やポリプロピレン/エチレンプロピレンジエンゴム系ポリマーアロイなどのオレフィン系エラストマーであってもよい。また、オレフィン系樹脂被覆層には、柔軟性を調整するなどの目的で、スチレン系ブロック共重合体や液状アクリル系樹脂などを添加していてもよい。オレフィン系樹脂被覆層は、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、難燃剤、抗菌剤、防かび剤等の各種添加剤を含んでいてもよく、特に難燃剤を含んでいることが好ましい。難燃剤としては、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、赤燐等の無機系難燃剤、ポリ燐酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、メラミンイソシアヌレート、NOR型HALS(過酸化処理した4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンと2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、及びシクロヘキサン、N-N’-エタン-1,2-ジイルビス(1,3-プロパンジアミン)との反応物生成物など)、縮合リン酸エステル(1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)など)、テトラブロモジフェニルエーテル等の有機系難燃剤を挙げることができる。
本発明において、オレフィン系樹脂被覆層は、基布の目付け、及び用途に合わせて、その厚さを適宜に設定することができるが、この厚さは、得られるシートに所望の防水性や機械的強度を与えるのに十分な厚さ、例えば、0.01〜2.0mmに調整されることが好ましく、0.05〜1.5mmに調整されることがより好ましい。また、オレフィン系樹脂被覆層は、基布上に、同一樹脂からなる1層以上、あるいは、互に異なる樹脂からなる2層以上から構成されていてもよく、基布の表裏に、同一、又は互に異なる樹脂を用いてもよい。オレフィン系樹脂被覆層は、上記合成樹脂からなるフィルム、溶液、エマルジョンなどを用い、例えば、トッピング、コーティング、ディッピングなどの方法によって、基布上に形成することができる。尚、オレフィン系樹脂被覆層を基布上に形成するにあたり、オレフィン系樹脂被覆層と基布の接着性を高める目的で、予め基布に、オレフィン系樹脂、アイオノマー系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、スチレン系ブロック共重合体、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の合成樹脂及びスチレン−ブタジエンゴム等の合成ゴムから選ばれた1種以上を含む下塗り層を形成していてもよい。下塗り層は、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、難燃剤、抗菌剤、防かび剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。下塗り層は、上記合成樹脂及び又は合成ゴムを含む溶液、エマルジョンなどを用い、例えば、コーティング、ディッピングなどの方法によって、基布上に形成することができる。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、防汚層とオレフィン系樹脂被覆層の間には、スチレン系ブロック共重合体及び櫛型共重合体を含む接着層が形成されている。スチレン系ブロック共重合体は、オレフィン系樹脂被覆層との接着性に寄与し、櫛型共重合体は、接着層上に形成される防汚層との接着性に寄与する。本発明において、接着層に用いられるスチレン系ブロック共重合体の質量は、接着層の総質量に対して、10〜99質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。接着層に用いられる櫛型共重合体の質量は、接着層の総質量に対して、1〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。したがって、接着層におけるスチレン系ブロック共重合体と櫛型共重合体の配合比率としては、質量比で99:1〜10:90であることが好ましく、90:10〜30:70であることがより好ましい。接着層の総質量に占めるスチレン系ブロック共重合体量が10質量%未満では、接着層とオレフィン系樹脂被覆層との接着力が低下する。一方、櫛型共重合体量が1質量%未満では、接着層と防汚層の接着力が低下する。本発明の防汚性オレフィンシートにおいて、接着層は、スチレン系ブロック共重合体及び櫛型共重合体の配合量が上記範囲を逸脱しない範囲において、その他の合成樹脂、並びに、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、難燃剤、架橋剤、カップリング剤、抗菌剤、及び/又は防かび剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートの接着層に用いられるスチレン系ブロック共重合体としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SIS)、スチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SVIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEPS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂(SI)、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体樹脂(SEB)、及びスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体樹脂(SEP)から選ばれた少なくとも1種を含むものである。これらのスチレン系ブロック共重合体樹脂は、無水マレイン酸基等を含有する変性スチレン系ブロック共重合体であってもよい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートの接着層に用いられる櫛型共重合体としては、接着層用スチレン系ブロック共重合体と、その表面上に形成される防汚層との相溶性を考慮して、主鎖セグメント及び枝鎖セグメントの種類が選択される。例えば、主鎖セグメント、及び/又は、枝鎖セグメント用モノマーとして、メタクリル酸メチル/スチレン、スチレン/メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸メチル、スチレン/スチレン、メタクリル酸メチル/ジメチルシリコーン、メタクリル酸メチル/パーフルオロアルキルメタクリレートなどの組み合わせによって製造された櫛型共重合体を用いることができる。
本発明において櫛型共重合体は、主鎖セグメント及び側鎖セグメント用モノマーのうちの少なくとも一方のセグメントの主構成モノマーが、アクリル系モノマー及び又はスチレン系モノマーであることが好ましい。主鎖セグメント及び枝鎖セグメントに用いることができるアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類を用いることができる。同様にスチレン系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン置換体を用いることができる。
本発明において、櫛型共重合体の主鎖セグメント、及び/又は、枝鎖セグメントに用いられるアクリル系モノマー及びスチレン系モノマー以外のモノマーとしては、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びこれらのエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類、エチレン及びプロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類、(メタ)アクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル等のグリシジルエステル類、アリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などを用いることができる。とくに、主鎖セグメント及び枝鎖セグメントに用いられるアクリル系モノマー及びスチレン系モノマーと、それ以外のモノマーとして、グリシジルエステル類、及びグリシジルエーテル類を混合して製造された櫛型共重合体は、それを含む接着層の防汚層に対する接着性がさらに向上させることができ、本発明にとって、好ましい態様となる。
本発明に用いられる櫛型共重合体の製造方法としては、連鎖移動法、放射線グラフト法、ポリマー開始剤法、放射線グラフト法、及び機械的化学反応法などが知られているが、グラフト効率及び組成制御に有利なマクロモノマー法を、櫛型共重合体の好ましい製造方法として例示できる。マクロモノマー法とは、重合体分子の片末端に重合性基を有するマクロモノマーと呼称される高分子量モノマーと、他の低分子量モノマーを共重合することにより、マクロモノマーに由来する枝鎖セグメントと低分子量モノマーに由来する幹鎖セグメントを形成する方法である(例えば、特許2551311号公報、特許2718197号公報、11−158393号公報など)。本発明の櫛型共重合体において、主鎖セグメントの分子量は、数平均分子量で1000〜200000であることが好ましく、2000〜100000であることがより好ましい。枝鎖セグメントの分子量は、数平均分子量で1000〜200000であることが好ましく、2000〜100000であることがより好ましい。
本発明において接着層をシート状基材上形成する方法としては、スチレン系ブロック共重合体及び櫛形共重合体を含むフィルム、溶液、エマルジョンなどを用い、例えば、トッピング、ラミネーティング、コーティングなどの方法を用いることができる。接着層の厚さには特に制限はないが、例えば、0.5〜100μmとすることが好ましい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、接着層の上に形成される防汚層としては、防汚性を有する被膜を形成するものである限り格別の制限はないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、アイオノマー系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂などから選ばれた少なくとも1種の合成樹脂を用いることができる。本発明においては、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれた1種以上を用いることが好ましい。また、防汚層は、これらの合成樹脂に、微粒子シリカ、光触媒、有機シリケートから選ばれた1種以上を添加したもの、あるいは、光触媒を含む金属酸化物ゾル(シリカゾル、アルミナゾルなど)及び又は金属水酸化物ゾル(水酸化チタンゾル、水酸化アルミゾルなど)を主体とする原料を、ゾルゲル法等の方法により被膜化した防汚層、有機シリケートの加水分解及び縮合により形成された防汚層であってもよい。防汚層は、1層であっても2層以上であってもよい。防汚層は、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、難燃剤、架橋剤、カップリング剤、抗菌剤、防かび剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートの防汚層に用いられるフッ素樹脂としては、フッ素含有モノマーを主構成モノマーとして製造されたものを用いることができる。フッ素含有モノマーとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、フッ化ビニルなどを用いることができる。フッ素含有モノマーと共重合可能なモノマーとしては、エチレン及びプロピレン等のα−オレフィン類、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びこれらのエステル類、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ヒドロキシアルキルビニルエーテルなどを用いることができる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体などから選ばれた少なくとも1種を例示できる。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートの防汚層に用いられるアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類を主構成モノマーとして製造されたものを用いることができる。前記(メタ)アクリル酸エステル以外に、防汚層用アクリル樹脂の製造に用いることができるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びこれらのエステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類、エチレン及びプロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類、(メタ)アクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル等のグリシジルエステル類、アリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレート類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、及び2−[ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]などの紫外線吸収性モノマーなどを用いることができる。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートの防汚層に用いられるウレタン系樹脂は、高分子ポリオールとポリイソシアネート、及び必要により鎖延長剤などを反応させて製造されたものを用いることができる。このようなウレタン系樹脂に用いられる高分子ポリオールとしては、分子鎖の両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエステルアミド系ポリオール、あるいはアクリル系ポリオールなどを用いることができる。ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環式ポリイソシアネートを用いることができる。鎖延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどの低分子ポリオール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、ピペラジン、1,4−ジアミノピペラジン、1,3−シクロヘキシレンジアミンなどの脂環式ポリアミン、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン、並びにエタノールアミン、プロパノールアミンなどのアルカノールアミンなどを用いることができる。とくにポリイソシアネート成分として脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートを用いたウレタン系樹脂は、紫外線曝露によって黄変することがなく耐候性が良好なので好適である。
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートにおいて、防汚層は、微粒子シリカを含んでいることが好ましい。防汚層に微粒子シリカを添加することによって、防汚層の防汚性がさらに向上する。微粒子シリカは、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカのいずれであっても良い。とくに合成シリカが好ましい。合成シリカとしては、含水シリカ(主に湿式法シリカ)、無水シリカ(主に乾式法シリカ)等の粉末状シリカ及びコロイダルシリカ等のシリカゾルを用いることができる。防汚層に用いられる微粒子シリカの添加量は、防汚層の総質量に対して10〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。10質量%未満では、十分な防汚性が得られず、60質量%を超えると防汚層の被膜強度低下が著しくなり、傷付きやすくなるので好ましくない。
本発明において、防汚層に用いることができる光触媒としては、TiO2(主にアナターゼ型),ZnO,SrTiO3,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO3,K2NbO3,Fe23,Ta25,WO3,SnO2,Bi23,NiO,Cu2O,SiC,SiO2,MoS2,InPb,RuO2,CeO2等を例示できる。特にTiO2が好ましい。これらの光触媒は、光触媒による防汚層の劣化を防ぐ目的で、ゼオライトやアパタイトなどの無機系多孔質微粒子に担持されたもの、あるいは、アパタイト、アルミナ、シリカ、ゼオライト、Si−H基含有化合物(ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランなど)等で表面処理したものを用いることが好ましい。このときの光触媒の添加量は、防汚層の総質量に対して5〜90質量%であることが好ましい。5質量%未満では十分な効果が得られず、90質量%を超えると防汚層の被膜強度低下が著しくなるので好ましくない。また、これらの光触媒とシリカやアルミナなどの金属酸化物ゲルあるいは水酸化チタンなどの金属水酸化物ゲルとの混合物から形成された防汚層であっても良い。但しこの場合には、光触媒の活性作用が直接接着層に及び劣化を促進してしまうことがあることから、アクリル−シリコーン樹脂等からなる光触媒保護層を接着層と防汚層の間に形成することが好ましい。
本発明において、防汚層に用いることができる有機シリケートとしては、下記一般式(1)で表される化合物を例示することができる。
Figure 0004375542
(前記一般式において、R1〜R4は、それぞれ互いに独立に炭素原子1〜10の炭化水素基を示し、nは1〜20の整数を示す。)
前記一般式(1)における化合物に含まれる炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基、トルイル基等のアリール基などを例示できる。具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート及びこれらの縮合体を例示できる。かかる有機シリケートの縮合体には、直鎖状、分岐状あるいは環状に縮合したものが包含され、その縮合度が2〜20であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。縮合度が20を超えると、塗工液にするときの溶媒への溶解性が低下したり、樹脂との相溶性が低下したりするので好ましくない。また、これらの有機シリケートは、側鎖が部分的に加水分解されたものであってもよい。尚、有機シリケートの使用にあたっては、有機シリケートの加水分解及び縮合を促進する目的で、金属アルコキシド、金属キレート、無機酸、有機酸等を触媒として添加することが好ましい。これら有機シリケートの防汚層への添加量は、防汚層の総質量に対して10質量%以上であることが好ましい。10質量%未満では十分な効果が得られない。有機シリケートは、これを水及びアルコール等に溶解して加水分解したものを接着層に直接塗布することによって防汚層を形成することも可能であり、このときには、塗膜形成性を高める目的でシランカップリング剤を添加することが好ましい。
本発明において防汚層を形成する方法としては、防汚性を有する合成樹脂(微粒子シリカ、光触媒、有機シリケートを含んでいてもよい)からなるフィルム、溶液、エマルジョンなどを用い、トッピング、ラミネーティング、コーティングなどの方法によって、接着層上に形成することができる。防汚層の厚みには特に制限はないが、例えば、0.5〜100μmとすることが好ましい。
実施例
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートを下記実施例によりさらに説明する。
(1)防汚層の密着性評価
供試シートの防汚層表面に、互いに直交する斜めの切れ目をつけた後、この上にセロハン粘着テープ(ニチバン(株)製、商標:セロテープ)を貼り、セロハン粘着テープの上から数回強く擦りつけてセロハン粘着テープを防汚層に完全に密着させた。この状態で室温下24時間放置した後、セロハン粘着テープを一方の端部から引き剥がし、セロハン粘着テープの粘着面に防汚層等に由来する剥離の有無を目視判定することによって密着性評価を行った。セロハン粘着テープの粘着面に全く剥離がなかったものを「○」、セロハン粘着テープの粘着面の一部に剥離が認められたものを「△」、セロハン粘着テープの粘着面全面に剥離があったものを「×」と判定表示した。
尚、セロハン粘着テープの粘着面に剥離が認められたサンプルについては、赤外分光光度計(パーキンエルマージャパン(株)製、モデル:パラゴン1000型FT−IR)を用いて剥離界面を特定した。
(2)防汚性評価
供試シートを(埼玉県草加市において)南向きに30度の設置角になるように曝露台に展張し、屋外曝露による防汚性評価を行った。防汚性は、曝露開始から6ヶ月経過後の試料表面の明度を測定し、曝露前の試料表面の明度を基準とした明度差の絶対値(|ΔL|)にて判定した。明度測定には、ミノルタ(株)製、モデル:CR−10型カラーリーダー(測定径8mm)を使用し、|ΔL|=5未満を「◎」と表示し、|ΔL|=5以上10未満を「○」と表示し、|ΔL|=10以上20未満を「△」と表示し、|ΔL|=20以上を「×」と表示した。
(3)シート状基材の作製例1
基布として、下記組織を有するポリエステル繊維織物を用いた。
280dtex×280dtex
ポリエステル織物組織: ─────────────
20本/25.4mm×20本/25.4mm
またオレフィン系樹脂被覆層として、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(出光石油化学(株)製、商標:出光TPO E2640)100質量部、ポリリン酸メラミン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標:melapur200/70)10質量部、縮合リン酸エステル(アクゾノーベル(株)製、商標:ファイロールフレックスRDP)5質量部、光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標:FLAMESTAB NOR−116)1部、滑剤0.2質量部、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標:IRGANOX−3790)0.1質量部、顔料(ルチル型酸化チタン)5質量部を含み、かつ厚さ0.3mmのカレンダー成形フィルムを、前記基布の両面に、加熱ラミネートすることによって形成し、また、シート状基材1とした。
(4)シート状基材の作製例2
基布として、シート状基材1に使用したポリエステル繊維布帛を用いた。またオレフィン系樹脂被覆層として、エチレン−酢酸ビニル樹脂(住友化学工業(株)製、商標:エバテートK2010)100質量部、水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、商標:キスマ5A)50質量部、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標:IRGANOX−1010)0.1質量部、光安定剤(旭電化工業(株)製、商標:LA−77)0.2質量部、滑剤0.1質量部、顔料(ルチル型酸化チタン)5質量部からなる厚さ0.3mmのカレンダー成形フィルムを用い、これを、前記基布の両面上に、加熱ラミネートして、シート状基材2を作製した。
(5)櫛型共重合体の作製例
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取り付けたガラスフラスコに、蒸留水400部、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、商標:ポバール420)の5%水溶液4部、リン酸カルシウム懸濁液(日本化学工業(株)製、商標:スーパータイト10)10部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商標:エマール2F)の5%水溶液0.2部を仕込み、フラスコを窒素雰囲気下で80℃に昇温した。次いで、末端メタクリロイル基を有するポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(東亞合成(株)製、商標:AA−6)30部、スチレン70部、アゾビスイソブチロニトリル2部を含む溶液を、滴下ロートから1分かけてフラスコ内に滴下し、80℃で7時間重合させた。得られた反応生成物を濾過後、乾燥し、91部の櫛型共重合体を得た。
[実施例1〜9及び比較例1〜8]
実施例1〜9及び比較例1〜8の各々において、前記シート状基材の作製例1又は2で作製されたシート状基材1又は2の片面に、表1に示す接着層塗工液を、80メッシュのグラビアコーターで塗工し、115℃で3分間乾燥して接着層を形成した。ついで、この接着層上に、表1に示す防汚層塗工液を80メッシュのグラビアコーターで塗工し、115℃で3分間乾燥して防汚層を形成した。尚、比較例6は接着層を形成せずに直接防汚層を形成し、比較例7は接着層と防汚層を形成しなかった。評価結果を表1に示す。
Figure 0004375542
表1の註
※1:クラレ(株)製、商標:ハイブラー7201(SVIS)
※2:クレイトンポリマージャパン(株)製、商標:クレイトンFG1901(無水マレイン変性SEBS)
※3:櫛型共重合体の作製例で得た櫛型共重合体(主鎖セグメントがポリスチレンで、枝鎖セグメントがポリメタクリル酸メチルからなる櫛型共重合体)
※4:東亞合成(株)製、商標:レゼダGP−305(主鎖セグメントがエポキシ変性ポリスチレンで、枝鎖セグメントがポリメタクリル酸メチルからなる櫛型共重合体)
※5:東亞合成(株)製、商標:レゼダGP−505(主鎖セグメントがエポキシ変性ポリスチレンで、枝鎖セグメントがポリスチレンからなる櫛型共重合体)
※6:東亞合成(株)製、商標:レゼダGP−301(主鎖セグメントがエポキシ変性メタクリル酸メチルで、枝鎖セグメントがメタクリル酸メチルからなる櫛型共重合体)
※7:三菱レーヨン(株)製、商標:ダイヤナールBR−83
※8:東亞合成(株)製、商標:アロンS−1001(固形分濃度:30質量%)
※9:セイコー化成(株)製、商標:ラックスキンZ−290A(固形分濃度:17質量%)
※10:関西ペイント(株)製、商標:レタンPG80SU:(固形分濃度:40質量%)60質量部、関西ペイント(株)製プラスチックマルチ硬化剤(固形分濃度:55質量%)5質量部と、関西ペイント(株)製PGシンナー(希釈溶剤)35質量部との混合物
※11:高松油脂(株)製、商標:ペスレジンS−110G(固形分濃度:25質量%)
※12:東亞合成(株)製、商標:サイマックUS−270(固形分濃度:30質量%)
※13:綜研化学(株)製、商標:ケミトリーLF−700(固形分濃度7.5質量%)
※14:アトフィナ・ジャパン(株)製、商標:カイナー7201(テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体)
※15:「接−防」は接着層−防汚層界面で剥離したことを示し、「樹−接」はオレフィン系樹脂被覆層−接着層界面で剥離したことを示し、「樹−防」はオレフィン系樹脂被覆層と防汚層界面で剥離したことを示す。
Figure 0004375542
実施例1〜9に示された本発明のシートは、スチレン系ブロック共重合体と櫛形共重合体を含む接着層が形成されていたので、防汚層の密着性が良く、防汚性も良好であった。比較例1〜5のシートは、接着層に櫛形共重合体が添加されていなかったので防汚層と接着層の密着性が不良であり、曝露中に防汚層が脱落し、防汚性が不良であった。比較例6のシートは、接着層にスチレン系ブロック共重合体が添加されていなかったので、オレフィン系樹脂被覆層と接着層の密着性が不良であり、曝露中に接着層と防汚層が脱落し、防汚性が不良であった。比較例7のシートは接着層が形成されていなかったので、オレフィン系樹脂被覆層と防汚層の密着性が不良であり、曝露中に防汚層が脱落し、防汚性が不良であった。比較例8のシートは、防汚層が形成されていなかったので、防汚性が不良であった。
[実施例10]
シート状基材の作製例1で作製されたものと同一のシート状基材1の片面に、表1の実施例1と同様の方法で接着層を形成したのち、アクリル樹脂塗料(セイコー化成(株)製、商標:ラックスキンZ−290A)100質量部、微粒子シリカ(日本シリカ工業(株)製、商標:NIPSIL E−1011)5質量部からなる防汚層塗工液を80メッシュのグラビアコーターで塗工し、115℃で3分間乾燥して防汚層を形成した。評価結果を表3に示す。
[実施例11]
実施例10と同様にして本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートを作製した。但し、防汚層塗工液として、ウレタン樹脂塗料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標:DICRYLAN−7656、固形分濃度:40質量%)100部、アパタイト被覆アナターゼ型酸化チタンスラリー(エネックス(株)製、商標:APTT−L20、固形分濃度:20質量%)30質量部、オキサゾリン基含有樹脂(日華化学(株)製、商標:NKアシストOX)3質量部、ノニオン系界面活性剤0.1質量部からなる防汚層塗工液を使用した。評価結果を表3に示す。
[実施例12]
実施例10と同様にして本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートを作製した。但し、防汚層塗工液として、アクリル系樹脂(綜研化学(株)製、商標:ケミトリーL−20、固形分濃度:25質量%)100質量部、メチルシリケート(三菱化学(株)製、商標:MKCシリケートMSH1)50質量部、ルチル型超微粒子酸化チタン(テイカ(株)製、商標:MT−100HD、平均1次粒子径15nm)2質量部、溶剤(イソプロピルアルコール)100質量部からなる防汚層塗工液を使用した。評価結果を表3に示す。
[実施例13]
シート状基材の作製例1で作製したシート状基材の片面に、表1の実施例1と同様の方法で接着層を形成したのち、アクリル−シリコーン樹脂塗料(東亞合成(株)製、商標:サイマックUS−270)100質量部、ポリイソシアヌレート(日本ポリウレタン工業(株)製、商標:コロネートHX)2質量部、コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商標:スノーテックスMEK−ST)50質量部からなる光触媒保護層塗工液を80メッシュのグラビアコーターで塗工し、115℃で3分間乾燥して光触媒保護層を形成した。さらにこの光触媒保護層上に、光触媒含有塗料(ペルオキソチタン酸水溶液とペルオキソ改質アナターゼゾルの混合物、固形分濃度:1質量%)100質量部、メチルシリケート(三菱化学(株)製、商標:MKCシリケートMSH1)1質量部からなる防汚層塗工液を80メッシュのグラビアコーターで塗工し、115℃で3分間乾燥して防汚層を形成した。評価結果を表3に示す。
Figure 0004375542
本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートは、防汚層(微粒子シリカ、光触媒、有機シリケートから選ばれた少なくとも1種を含む。)とオレフィン系樹脂被覆層の間にスチレン系ブロック共重合体と櫛型共重合体を含む特別な接着層が形成されているので、屋外使用した時に防汚層が強固に接着保持され、長期間に渡り優れた防汚性を得ることができるため、本発明の防汚性オレフィン系樹脂シートは、中・大型テント、テント倉庫、日除けテント、インクジェット印刷用シートなどの産業資材用膜材料として、特に塩ビ代替膜材料として適して使用することができる。

Claims (6)

  1. 繊維布帛を含む基布と、その少なくとも1面上に形成されたオレフィン系樹脂被覆層とを含むシート状基材、並びに前記シート状基材のオレフィン系樹脂被覆層上に形成された防汚層を含み、
    前記オレフィン系樹脂被覆層と防汚層の間に、スチレン系ブロック共重合体及び櫛型共重合体を含む接着層が形成されており
    前記スチレン系ブロック共重合体がスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SIS)、スチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SVIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEPS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂(SI)、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体樹脂(SEB)、及びスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体樹脂(SEP)から選ばれた少なくとも一種を含む
    ことを特徴とする防汚性オレフィン系樹脂シート。
  2. 前記接着層に含まれる櫛型共重合体の主鎖セグメント、及び/又は、枝鎖セグメントが、スチレン系モノマー、及び、アクリル系モノマーから選ばれた少なくとも1種により形成されている、請求項1に記載の防汚性オレフィン系樹脂シート。
  3. 前記防汚層が、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた1種以上を、主成分として含む、請求項1に記載の防汚性オレフィン系樹脂シート。
  4. 前記防汚層が、微粒子シリカを含む、請求項1に記載の防汚性オレフィン系樹脂シート。
  5. 前記防汚層が、光触媒を含む、請求項1に記載の防汚性オレフィン系樹脂シート。
  6. 前記防汚層が、有機シリケートを含む、請求項1に記載の防汚性オレフィン系樹脂シート。
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