JP4374830B2 - 浄化水供給システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄化水供給システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原油タンカー、天然ガス運搬船や鉱石運搬船等は荷揚げ後、船が軽くなってしまいバランスがとれなくなってしまう。従って、荷揚げを行った水域の海水や淡水(以下、バラスト水という)を空になった船内に注入して積荷の積載状態に戻して帰港している。注入されたバラスト水は次の寄港地、或いは帰港地で次の積荷を積荷する直前に海に放出している。
【0003】
しかし、放出するバラスト水の中には油分や、積載したバラスト水中のバクテリアやプランクトン等の汚濁物が含まれており、これらの汚濁物が寄港水域に放出されると、油分で物理的に汚染されたり、異種のバクテリアやプランクトンが異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、魚や貝の養殖等に漁業被害が発生する国際的な問題が発生する可能性がある。
【0004】
これを回避するためには、船内バラスト水中の汚濁物を除去するために、船内にバラスト水専用の浄化装置を設ける場合や、船内のバラスト水を水深2000m以上の洋上で、プランクトンが比較的少ないその洋上海水と、船内のバラスト水を交換する場合がある。
【0005】
また、船内で浄化処理を行わないバラスト水を放水された水域では、水域の水で希釈された水を持ち込まれた汚濁物を除去する浄化処理方法がある。
【0006】
尚、この種の従来技術として例えば特開2001−293474号公報がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の処理方法において船内で浄化する方法では、前記浄化装置は高価であり、また運転を行うには船員に浄化作業や装置メンテナンス等の労働負担が発生する問題がある。
【0008】
また、船内の電力を使用して浄化運転を行うため、場合によっては船内の電源設備を増設する必要があり、さらに浄化装置設置コストが増大する問題が発生する。
【0009】
いっぽう、従来の処理方法において、船内のバラスト水を水深2000m以上の洋上で、プランクトンが比較的少ないその洋上海水と、船内のバラスト水を交換する方法では、水深2000m以上の海域まで航行する必要があり、航路途中に該当する海域がない場合には、その海域移動する費用が必要となりまた航行日数が増加し、商用航海の効率が低下する問題が発生する。
【0010】
また、前記の船内のバラスト水を交換する方法では、航行の上で天候が穏やかな場合でないと危険であるため実施できない問題や、通常交換方法は船内のバラスト水に追加して洋上海水を注入し、オーバーフローさせながらバラスト水を希釈して浄化する方法が一般的であり、元の汚濁物の濃度が20%から30%程度の濃度にしか浄化できない問題が発生する。
【0011】
いっぽう、船内で浄化処理を行わないバラスト水を放水された水域では、水産業への被害を防止するために、水域の水で希釈された水を持ち込まれた汚濁物を除去する浄化処理を行う方法があるが、放水して水域で薄まった多量の水を浄化する必要があり、多大の浄化費用が発生する問題がある。
【0012】
また、軟水をバラスト水として使用しなければならない場合には、水深が2000mを超える水域が存在しないので、上述した従来の処理方法において船内で浄化する方法しか採れず、浄化装置は高価であり、また運転を行うには船員に浄化作業や装置メンテナンス等の労働負担が発生する問題がある。また、船内の電力を使用して浄化運転を行うため、場合によっては船内の電源設備を増設する必要があり、さらに浄化装置設置コストが増大する問題が発生する。
【0013】
本発明の目的は、油やプランクトン等の汚濁物で海洋汚染されにくい浄化水供給システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、汚濁したバラスト水を搭載してきた船舶に対し、第1の配管からポンプを介して前記汚濁したバラスト水を水槽に保留し、この水槽から浄化装置にくみ上げて浄化し、浄化された浄化水は第2の配管で前記船舶が停泊する水域に放流することにより達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1により説明する。
図1において、プランクトンや有害微生物が存在する水域1内に、浄化手段となる浄化装置2を有する浄化水供給システム3を配置する。浄化水供給システム3は、水域の原水を導入する配管4と、この原水を浄化処理し、浄化処理によって生じる汚泥を減容化処理する浄化装置2と、浄化水5を排出する配管6と、この浄化水5を保留する水槽7と、この水槽7内の浄化水5を水槽7外に供給するための配管8と、ポンプ9と、配管10から構成される。
【0016】
浄化水5は、配管10により、例えばバラスト水としてポンプ9で加圧され配管10を通じて水域1内に停泊する船舶11に例えば有料で供給される。浄化手段となる浄化装置2の浄化方式としては、凝集沈殿方式、紫外線殺菌式と沈殿方式の組み合わせや、超音波による殺菌式と沈殿方式の組み合わせや、水圧噴射による殺菌式と沈殿方式の組み合わせや、加圧浮上による凝集浮上分離方式や、紐状の生物膜処理方式や、磁気分離を組み合わせた凝集分離方式等の物理的、生物的浄化方式の浄化装置が適用される。
【0017】
図1の浄化装置および浄化水供給システムによれば、水域1の原水中に存在する水の中の油分や、バクテリアやプランクトン等の汚濁物は、浄化装置2内を通水させることにより原水中の汚濁物を90%以上の高い除去率で除去して浄化され、浄化水5となって水槽7に貯水され、これがバラスト水として船舶11に使用される。
浄化処理を行った業者からは、浄化水5の水質分析結果を書類で提供されたり、前記浄化水の水質分析データと前記浄化水の量のデータを、インターネットで配信することも可能である。この場合は前記船舶が寄港する水域の水質管理該当者が前記水質分析データと前記浄化水の量のデータを受信でき、前記船舶が寄港する前にバラスト水排出の許可の判断ができるので、バラスト水排出の作業がよりスムースに実施できる。
【0018】
その結果、寄港水域管理者は前記書類、またはインターネット情報により寄港した船舶内のバラスト水の水質が容易に確認できるので当該船舶の入港を許可する確認作業が容易である。当該水域では浄化されたバラスト水が放出されるので、従来のように油分で汚染されたり、バクテリアやプランクトンが異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等に被害が発生を抑えることが可能である。
【0019】
船舶内にはバラスト水専用の浄化装置を設置する必要がないので、追加電源設備の設置や浄化するための作業がなくなるので、船員の労働を増加させない。
【0020】
上述したように、船舶内には浄化されたバラスト水が注水されるので、バラスト水を水深2000m以上の洋上の海水と交換する必要が無く、その海域移動する費用が必要が無くなるので航行日数の増加がなく、商用航海の効率が上がる。
【0021】
本実施例によれば、空荷時に高水質のバラスト水を船内に注入できるので、従来のバラスト水を交換して船内のバラスト水を浄化する方法に比べバラスト水の水質が向上し、当該のバラスト水放出水域の魚や貝の養殖等に対する被害を抑えることができる。
【0022】
一方、船舶内にバラスト水交換作業労働の必要がなくなるので、船員によるバラスト水浄化作業の労働が無くなり、船員の労働が軽減する。
【0023】
また、軟水をバラスト水として使用しなければならない場合には、水深が2000mを超える水域が存在しないので、上述した従来の処理方法において船内で浄化する方法しか採れないが、本実施例による浄化バラスト水を船舶に注水することにより、浄化装置は不要となり、また船員は浄化作業や装置メンテナンス等の労働負担が発生せず、また浄化運転のために船内の電力を使用しないので船内の電源設備を増設する必要が無く、浄化装置設置コスト不要で、船員の労働負担がなく、電源設備の増設コストが不要となる効果がある。
【0024】
尚、どうしても浄化されたバラスト水が搭載できず、汚濁したバラスト水を搭載してくる船舶12に対しては、本発明になる他の実施例として示す図2の浄化装置および浄化水供給システムにて対応が可能である。
【0025】
図2において、配管10からポンプ9を介して水槽7内に、船内バラスト水13を取り出して保留させ、配管6から浄化装置2にくみ上げて浄化し、浄化された水が配管4を通じて水域1に放流させる。
このようにして汚濁したバラスト水を浄化して当該水域に放流することで、バラスト水に汚濁として含まれていた油分でバラスト水の放水水域が汚染されたり、バクテリアやプランクトンが異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等に対する被害が抑えることが可能である。また、本実施例では、船内のバラスト水を希釈せずに浄化処理できるので、少ない浄化費用でバラスト水中の汚濁物を除去できる。
【0026】
一方、水域が海である場合、どうしても浄化された海水のバラスト水を供給する図2の浄化装置および浄化水供給システムが設置できない場合、本発明になる他の実施例として示す図3に示す手段で対応が可能である。
【0027】
図3において、当該水域に近い河川や下水処理水の軟水を浄化水供給システムの水槽7内に配管14で供給し、浄化装置2で大きなごみ等を分離して粗く浄化し、浄化水15は配管6を通じて水槽7に貯水される。本浄化軟水をバラスト水としてポンプ16で加圧され配管17、18を通じて水域1内に停泊する船舶19に例えば有料で供給される。寄港水域管理者は前記書類により寄港した船舶内のバラスト水の水質が軟水であるとの確認ができるので当該船舶の入港を許可する確認作業が容易であり、バラスト水が当該水域で放出されることによっても、軟水中で生息していたバクテリアやプランクトンは海水内ではすべてが死滅するため、異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等への被害を抑えることが可能である。
【0028】
水域が中東域のように軟水が貴重な水資源である海である場合、本発明になる他の実施例として図4に示す手段で対応が可能である。
【0029】
図4において、船舶19の軟水のバラスト水15を、配管10からポンプ9を介して水槽7内に、船内バラスト水15を取り出して保留させ、配管6から浄化装置2にくみ上げて浄化し、浄化水を配管21を通じて、陸上の園芸、農耕用軟水や、飲料水として送水できる。
このようにして、汚濁した軟水バラスト水は浄化されて当該水域地区の園芸や農業の用水としてや、さらに高度処理されて飲料水として再利用できる。したがって、当該船舶が寄港する水域でバクテリアやプランクトンが異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等の被害発生がなくなる効果が生じる。
【0030】
本実施例によれば、浄化水供給システムを水域内に配置した場合について説明したが、前記浄化水供給システムの全体もしくはその一部が陸上にあっても同様な効果がある。
【0031】
以上のごとく、船舶に浄化されたバラスト水を注入し、このバラスト水を放出するので、バラスト水放出水域におけるバラスト水放出による水域の高濃度の汚濁物を含む汚染を防止することができる。また、浄化されていないバラスト水を浄化水供給システム内に保留し、浄化装置で浄化した後水域に放出することにより、バラスト水放出水域においてバラスト水放出によって生じる汚染を防止することができる。
【0032】
さらに、本実施例によれば、船舶が寄港水域において、浄化装置で予め浄化された海水もしくは軟水の浄化水を貯留した水槽を有する浄化水供給システムを設け、前浄化水をバラスト水として水質分析検査を示す書類とともに船舶に供給することができる。これにより、寄港水域管理者は前記書類により寄港した船舶内のバラスト水の水質が確認できるので当該船舶の入港を許可する確認作業が容易であり、バラスト水が当該水域で放出されることによって、油分で汚染されたり、バクテリアやプランクトンが異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等に被害が発生しない効果が生じる。
【0033】
また、船舶内にはバラスト水専用の浄化装置を設置する必要がないので、追加電源設備を設置する必要が無く、また浄化するための作業がなくなるので、船員の労働を増加させない効果が生じる。
【0034】
また、汚濁したバラスト水を搭載してくる船舶12に対しては、浄化装置および浄化水供給システムを有する水域において、船内バラスト水を前記システム内に取り出して保留させ、浄化装置で浄化したのち、水域に放流できるので、バラスト水に汚濁として含まれていた油分でバラスト水の放水水域が汚染されたり、バクテリアやプランクトンが異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等に被害が発生しない効果が生じる。また、船内のバラスト水を希釈せずに浄化処理できるので、少ない浄化費用でバラスト水中の汚濁物を除去できる効果がある。
【0035】
また、水域が海である場合、河川や下水処理水の軟水を浄化水供給システムの水槽内に貯留して船舶にバラスト水として軟水としての水質検査の書類とともに供給できるので、寄港水域管理者は前記書類により寄港した船舶内のバラスト水の水質が軟水であるとの確認、バラスト水が当該水域で放出されることによっても、軟水中で生息していたバクテリアやプランクトンは海水内ではすべてが死滅するため、異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等に被害が発生しなくなる効果が生じる。
【0036】
また、水域が中東域のように軟水が貴重な水資源である海である場合、軟水のバラスト水を、浄化装置を有する浄化水供給システム内の水槽内に貯留し、浄化装置で浄化したのち、浄化水を陸上の園芸、農耕用軟水や、飲料水として送水できる。
【0037】
このようにして、汚濁した軟水バラスト水は浄化されて当該水域地区の園芸や農業の用水としてや、さらに高度処理されて飲料水として再利用できる効果がある。したがって、当該船舶が寄港する水域でバクテリアやプランクトンが異常繁殖して赤潮を発生したり、貝毒性のプランクトンが増殖したりして、当該水域の魚や貝の養殖等の被害発生がなくなる効果が生じる。
【0038】
尚、前記浄化水供給システムは、全体若しくは一部が海上を移動する構造であっても同様な効果が生じる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、荷揚げ先のバラスト水放出水域における油やプランクトン等の汚濁物による汚染を抑えことができる浄化水供給システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明になる一実施例を備えた浄化水供給システムのフロー図である。
【図2】 図2は、本発明になる他の実施例を備えた浄化水供給システムのフロー図である。
【図3】 図3は、本発明になる他の実施例を備えた浄化水供給システムのフロー図である。
【図4】 図4は、本発明になる他の実施例を備えた浄化水供給システムのフロー図である。
Claims (1)
- 汚濁したバラスト水を搭載してきた船舶に対し、第1の配管からポンプを介して前記汚濁したバラスト水を水槽に保留し、この水槽から浄化装置にくみ上げて浄化し、浄化された浄化水は第2の配管で前記船舶が停泊する水域に放流することを特徴とする浄化水供給システム。
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