JP4373553B2 - 車体用エネルギー吸収部材構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に車体衝突時のエネルギー吸収性能に優れたアルミニウム合金製(以下、アルミニウムを単にAlと言う)押出形材からなる車体用エネルギー吸収部材構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体には、バンパー補強材やドアビーム等の車体用エネルギー吸収部材が設けられている。この内、例えば、車体の前端および後端に取り付けられているバンパーの内部には、強度補強部材としてのバンパー補強材 (バンパーリインフォースメント、或いはバンパーレインフォースなどとも言う) が設けられている。このバンパー補強材は、周知の通り、バンパーステイなどの車体連結用部材を介して、フロントサイドメンバやリヤサイドメンバ等、車体前後方向の骨格部材の車体フレーム (車体メンバ) に連結、固定されて、車体用エネルギー吸収部材構造を構成している。また、前記ドアビームなどはブラケットやフレームなどの車体連結用部材を介して、車体としてのドアフレームに連結、固定されて、車体用エネルギー吸収部材構造を構成している。
【0003】
今、バンパー補強材の場合を例にすると、より具体的には、例えば特開平4-31152 号公報等に開示されているように、車体長手方向に延在するフロントサイドメンバの前部に、断面形状が略矩形 (口形) の中空構造のバンパーステイーを介して、同じく中空構造のバンパー補強材を略車幅方向 (略水平方向) 固定、延在させる構造である。そして、このような構造とすることによって、車体の前方からの衝突に対し、バンパー補強材が横方向( 略水平方向) に圧壊、およびバンパーステイーが軸方向に圧壊して衝突エネルギーを吸収する。
【0004】
したがって、これら車体用エネルギー吸収部材としてのバンパー補強材と、車体連結用部材としてのバンパーステイとの結合構造には、車体の衝突により加わった外力のエネルギー (衝突エネルギー) を、自らの塑性変形 (座屈変形) により吸収し、前記車体メンバ等を保護する性能が求められる。
【0005】
近年、これらバンパー補強材やバンパーステイ、或いはフロントサイドメンバやリヤサイドメンバ等に、軽量化のために、従来使用されていた鋼材に代わって、5000系、6000系、7000系等の高強度Al合金製の押出形材 (長手方向に同一断面形状を有する形材) が使用され始めている。
【0006】
Al合金は、鋼などに比して、前記エネルギー吸収性能に優れる。また、長手方向に同一断面形状を有するAl合金製押出形材は、バンパー補強材、バンパーステイなどに汎用されている、剛性に優れた断面形状が略矩形の中空構造を、効率的に、かつ大量に製造することが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような断面形状が略矩形の中空構造を有し、Al合金製押出形材からなるバンパー補強材およびバンパーステイを結合した車体用エネルギー吸収部材の場合、バンパー補強部材に対する略水平方向からの荷重 (車両の衝突時の) に対し、衝突エネルギーの要求吸収性能が不足する場合があるという問題を生じる。
【0008】
例えば、図16(a) に具体例を示す通り、従来のAl合金製押出形材からなるバンパー補強材101 は、前壁部104 と後壁部105 とを2 つのウエブ (側壁)103 a、103 b により接続した断面形状が口形の形状を有している。そして、図示しないフロントサイドメンバの前部に、同じくAl合金製押出形材からなる、断面形状が略矩形の中空構造のバンパーステイ102 を介して固定されている。なお、バンパー補強材101 とバンパーステイ102 とは、溶接あるいはボルト等の締結具107 等により互いに固定されている。
【0009】
図16(b) に示す通り、車両の衝突時に、バンパー補強材101 に対し、略水平方向から大きな荷重F が加わった場合、バンパー補強材101 は横圧壊 (水平方向に変形) 状態となる。この時、バンパー補強材101 の中空構造におけるウエブ103 a 、103 b には、ウエブの立脚方向 (水平方向) に力がかかる結果、通常、曲げ変形箇所107 を起点に、ウエブ103 a 、103 b が中空構造の外側方向に変形、座屈する。この結果、バンパー補強材101 が衝突エネルギーの吸収を行い、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類が圧壊するのを保護する。
【0010】
ここにおいて、車両の衝突時に、バンパー補強材101 に対し、略水平方向から大きな荷重F が加わった場合、バンパー補強材101 は横圧壊状態となる。この時、バンパー補強材101 の中空構造におけるウエブ103 a 、103 b には、ウエブの立脚方向 (水平方向) に力がかかる結果、通常、曲げ変形箇所107 を起点に、ウエブが中空構造の外側方向に変形乃至座屈する。そして、更にこの中空構造の外側方向への変形が進と、図16(b) に示す通り、ウエブ103 a 、103 b と後壁部105 との接続箇所 (コーナー部)106や、曲げ変形箇所107 等で割れが生じる。
【0011】
この結果、更に荷重F が加わっても、これより後では、バンパー補強材101 の変形が生じず、バンパー補強材101 によるエネルギー吸収が行われないことになる。したがって、車両の衝突時において、Al合金製押出形材からなるバンパー補強材では、車両の衝突エネルギー等の大きさによって、衝突のエネルギー吸収量が不足して、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与えることにつながる。
【0012】
また、更に大きな荷重F が加わって前記変形が進むと、図16(c) に示す通り、バンパー補強材101 を支持するバンパーステイ102 が、その前端部で接しているバンパー補強材101 の後壁部105 を突き抜けて、バンパー補強材101 の中空構造内に侵入する、いわゆるステイの打ち抜き現象が生じる可能性もある。
【0013】
このステイの打ち抜き現象が生じた場合、これより後では、バンパー補強材101 の変形が生じず、バンパー補強材101 によるエネルギー吸収が行われないことになる。したがって、このステイの打ち抜き現象が生じた場合、車両の高速衝突時における、バンパー補強材101 のエネルギー吸収量が不足して、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与えることにつながる。
【0014】
これに対し、衝突のエネルギー吸収量を大きくするために、或いは、更にこれに加えてステイの打ち抜き現象を防止して衝突のエネルギー吸収量をより大きくするために、バンパー補強材101 を構成するAl合金自体を高強度化する、或いはウエブ103 a 、103 b や後壁部105 のAl合金の厚みを厚くする、バンパー補強材に、断面形状が目形、日形、田形等の中リブを設けて補強する等の方法が考えられる。
【0015】
しかし、Al合金材を高強度化した場合に、押出等の形材製造や曲げ等の形材の成形加工が難しくなるとともに、割れが生じやすく、却って、衝突のエネルギー吸収量を小さくしたり、ステイの打ち抜き現象を助長することにもつながる。また、単にAl合金材の厚みを厚くしたり、前記中リブを設けた場合、重量が増加して、Al合金による軽量化の利点が損なわれるとともに、バンパー補強材が塑性変形しにくくなり、却って、車両の衝突時におけるエネルギー吸収量が不足する。更に、単にAl合金材の厚みを厚くしたり、前記中リブを設けた場合、バンパー補強材圧壊時の最大荷重が、サイドメンバーの許容荷重以上に高くなり、却って、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与える可能性も高い。
【0016】
したがって、これまで以上に、バンパー補強材構造に対して、衝突エネルギー吸収量の増大およびステイの打ち抜き現象の防止が求められている。そして、これに対し、バンパー補強材構造の構造面や設計面からの改善が求められている (ドアビーム等の他のAl合金製車体用エネルギー部材でも同様) 。にも拘わらず、バンパー補強材の構造や設計を大幅に変更した場合には、他の車体メンバやバンパーステイ等の設計変更や車体自体の設計変更につながる可能性もあり、このような変更は許容できない。
【0017】
この点、現行のバンパー補強材構造のデザインや設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善により、前記衝突エネルギー吸収量の増大、更に打ち抜き現象の防止をはかることができれば、それにこしたことはないが、効果的かつ効率的な改善策はこれまでに無かったのが実情である。
【0018】
したがって、本発明の目的は、現行のバンパー補強材やドアビーム等のエネルギー吸収部材構造のデザインや設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善により、車両の衝突時のエネルギー吸収性能を高めることができ、好ましくは前記打ち抜き現象の防止も達成できる、断面形状が略矩形の中空構造を有するAl合金製押出形材からなるエネルギー吸収部材構造を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の要旨は、略水平方向に延在して用いられる車体用エネルギー吸収部材と、その両端部に結合された車体連結用部材とからなる車体用エネルギー吸収部材構造であって、車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材とを、断面形状が略矩形の中空構造を有するアルミニウム(Al)合金製押出形材から各々構成し、車体結合用部材の前端に凸部を設け、かつ、前記車体連結用部材の前端に対応する車体用エネルギー吸収部材の後壁部面に、前記凸部に対応する部分的なスリットまたは凹部を設け、これらの部分的なスリットまたは凹部を通じて、前記凸部を車体用エネルギー吸収部材の中空構造空間内に突出させて、車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材とを結合したことである。
【0020】
車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材とを、断面形状が略矩形の中空構造を有するAl合金製押出形材から各々構成し、車体結合用部材の前端に凸部を設け、該凸部を車体用エネルギー吸収部材の中空構造空間内に突出させて、車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材とを結合している。この結果、現行の車体用エネルギー吸収部材構造のデザインや設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善により、車体用エネルギー吸収部材構造に対する略水平方向からの荷重に対して、衝突エネルギーの吸収性能を高めることが可能となる。また、凸部の設け方により、バンパー補強材圧壊時の最大荷重の調節も可能となる。
【0021】
また、前記車体連結用部材の前端に対応する車体用エネルギー吸収部材の後壁部面に、前記凸部に対応するスリット (後壁部に設けた貫通孔) または凹部を設けている。この結果、車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材との結合における位置決めや、結合自体も容易となって、バンパー補強構造の組み立てが容易となった上で、衝突エネルギーの吸収性能も高めることが可能となる。
【0022】
更に、前記車体連結用部材の前端と結合される車体用エネルギー吸収部材の両端部分のウエブの両外壁面に、部分的な凹みを予め設け、車体用エネルギー吸収部材に対する略水平方向からの荷重に対して、前記部分的な凹みを起点に、前記両端部分のウエブが中空構造の内側に屈曲するように構成している。この結果、現行の車体用エネルギー吸収部材構造のデザインや設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善により、車体用エネルギー吸収部材構造に対する略水平方向からの荷重に対して、ステイの打ち抜き現象防止等による衝突エネルギーの吸収量が大きくなる効果や、衝突初期のピーク荷重を一定以下に抑制する効果を有し、衝突時に、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与えることがなくなる。
【0023】
また、ウエブの両外壁面に設けた部分的な前記凹みが、車体用エネルギー吸収部材の長手方向が長軸、車体用エネルギー吸収部材の幅方向が短軸となるような略楕円形の形状であるため、車体用エネルギー吸収部材構造に対する略水平方向からの荷重に対して、該凹みを起点に前記両端部分のウエブが中空構造の内側に、より屈曲しやすくすることができる。この結果、前記効果をより高めることができる。
【0024】
更に、前記効果を得る凹みを、エンボス加工により、ウエブの両外壁面に、部分的に、かつ簡便に設けることが可能となる。
【0025】
そして、Al合金として、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系から選択される、成形性が良くかつ高強度の規格Al合金を用いるので、押出加工等、車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材への製造がしやすく、かつ、衝突エネルギー吸収性能を高めることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、バンパー補強部材構造の場合について、図面を用いて説明する。
【0027】
本発明では、前記した通り、現行の車体用エネルギー吸収部材構造のデザインや設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善により、前記打ち抜き現象を防止し、車体の衝突時のエネルギー吸収性能を高める。このため、断面形状が略口形の中空構造を有するAl合金製押出形材からなるバンパー補強部材の基本的な構造は、前記した図16(a) の従来技術と、基本的に同じである。
【0028】
即ち、図1 、図6 、図9 、図10に、本発明に係るバンパー補強部材1a〜1eの各実施態様を斜視図に示す。これら各図の通り、バンパー補強部材1a〜1eは、前壁部4 と後壁部5 とを、2 つのウエブ 3 a、3 b により接続した断面形状が略口形の中空一体構造を有している。そして、この中空一体構造は、Al合金製押出形材からなり、長手方向に渡って略口形の断面形状は同一である。本発明に係るバンパー補強部材の断面形状は、軽量化の点からは、口形の中空構造が好ましいし、口形の軽量中空構造で可能である。ただ、車種によって要求強度が異なり、また、軽量化よりも高強度が要求されるような場合もある。したがって、このような場合には、バンパー補強部材をより補強するために、例えば、中空構造内に補強用の中リブを入れて、断面形状を日形、田形、目形等にすることなども可能である。
【0029】
また、本発明車体用エネルギー吸収部材構造を構成する、車体連結用部材としてのバンパーステイは、2a〜2kとして、図2 、図7 、図9(本発明バンパー補強構造を示す) 、図11に正面図で各実施態様を示す通り、バンパー補強部材と同様に、断面形状は基本的に、口形、日形等の、略矩形の中空一体構造を有している。断面形状はこの他、田形、目形等でも良い。そして、この中空一体構造は、Al合金製押出形材からなり、長手方向に渡って断面形状は同一である。そして、これらのバンパーステイ2a〜2kは、後述する通り、各々対応するバンパー補強部材1a〜1eと結合、固定されて、図3 、図8 、図9 、図12に正面図で各実施態様を示す、本発明バンパー補強構造を構成する。これらバンパーステイのいずれの態様でも、吸収すべき衝突エネルギー量に大きな相違はないため、主として、デザインや製造のし易さ等の問題から適宜選択される。
【0030】
なお、図3 、図8 、図9 、図12の本発明車体用エネルギー吸収部材構造に係るバンパー補強構造は、バンパーステイを介して、各々のフロントサイドメンバ8 等の車体メンバ類の前端部にボルト等の適宜の締結具10により固定される。また、バンパー補強部材1 とバンパーステイ2 とは、従来と同じく、溶接あるいはボルト等の適宜の締結具等により互いに固定する。
【0031】
次に、より具体的に、各図を用いて、本発明のバンパー補強構造を説明する。図1 は、バンパー補強部材1aの後壁部5 の面で、バンパーステイとの接続面にバンパー補強部材1aの長手方向で、かつ水平方向に延在するスリット6 (横スリット) を設けた例を示す斜視図である。このスリット6 は、バンパーステイの前端 (端部先端) の凸部を、バンパー補強部材の中空構造空間内に突出させるためのものである。この図1 のように、水平方向に延在する1 個のスリット6 を設けた例では、図2(a)か図2(d)、または図2(f)に正面図を示す、1 個の凸部7aか7d、または7fを有するバンパーステイ2a (断面日形、但し凸部以外の断面、以下同じ) か2d (断面口形) 、または2f (断面日形) を用いる。
【0032】
前記スリット6 を通じて、バンパーステイの凸部をバンパー補強部材の中空構造空間内に突出させるように、バンパー補強部材とバンパーステイとを結合させるために、バンパーステイの凸部7a、7d、7fの大きさ (厚み×幅) と、スリット6 の大きさ (厚み×幅) 、更には、バンパー補強部材1aのウエブ3a、3bの長さとバンパーステイの凸部7a、7d、7fの長さ、そしてスリット6 の大きさと数、更には位置を調節して、各々対応させる。
【0033】
ここにおいて、図2(b)か図2(e)、または図2(c)に正面図を示す、2 個の凸部7b、7e、または3 個の凸部7cを有するバンパーステイ2b (断面日形) か2e (断面口形) 、または2c( 断面日形) を用いる場合には、これに対応するバンパー補強部材のスリット6 を、2 個または3 個設けるように適宜調節する。そして、これらスリットおよびバンパーステイの凸部の大きさと形状は、後述するごとく、バンパーステイの凸部に負担させるべき、衝突荷重の大きさによって、基本的に定まる。
【0034】
図3 に、バンパー補強部材とバンパーステイとを結合させた本発明のバンパー補強構造の正面図を示す。図3 は、前記バンパー補強部材1aを、スリット6 を通じて、図2 (a) のバンパーステイ2aを結合させた例である。本例では、バンパーステイ2aの凸部7aの先端を、バンパー補強部材1aの後壁部5 に設けたスリット6 を通じて、バンパー補強部材の中空構造空間内に突出させ、前壁部4 の内壁面に当接させている。バンパーステイ2aの凸部7aの先端は、後述するように、必ずしも、前壁部4 の内壁面に当接させる必要はなく、前壁部4 の内壁面に当接させず、中空構造空間内に臨ませるだけでも良い。
【0035】
なお、バンパーステイ2aは、その係止片20を通じて、フロントサイドメンバ8 等の車体メンバ類の前端部にボルト等の適宜の締結具10により固定され、バンパー補強部材を車体メンバ類に連結する機能も有している。即ち、バンパー補強部材1aは、車体の前方のバンパーの態様を例に示すと、自動車の車幅方向に間隔を空けて、かつ車体の長手 (走行) 方向に延在する2 本のフロントサイドメンバ8 (図示は1 本) の各々の前端部に、各々バンパーステイ2aを介して、略水平方向 (車幅方向) に延在するように、その両端部において、固定されている。なお、車体後方のバンパーの態様も、基本的にはこれと同じである。
【0036】
なお、この内壁面の当接部分には、バンパーステイ2aの凸部7aの先端を係り止める、凸部7aの先端の位置決めと固定のための係止部9aを、選択的に設けている。これら係止片の形状は、図4(a)〜(e) の正面図に示す、バンパーステイ2 の凸部7a〜7iの先端形状のバリエーションの選択に応じて適宜選択される。図5 は、バンパーステイの凸部の先端部形状と、前壁部4 の内壁面の係止部9 との関係を正面図で示したもので、図5(a)は、図4 (b) のT 字形凸部7gのT 字部分を前壁部4 の内壁面に係止部を設けずに当接させたもの、図5(b)は、図4 (c) のU 字形凸部7hのU 字部分を前壁部4 の内壁面に設けた係止部9bに当接させたものを示している。これら、前壁部4 の内壁面に係止部を設けるか否か、また設ける場合の形状は、バンパーステイの凸部の先端形状と、この先端の位置決めと固定のための必要性や必要条件から適宜選択される。
【0037】
このような本発明のバンパー補強構造の作用について以下に説明する。図3 において、今、車両の衝突によって、矢印F1で示す水平方向の衝撃荷重が、バンパー補強部材1aの全面 (前壁部4)にかかった場合、バンパー補強部材1aの2 つのウエブ 3 a、3 b に荷重がかかるとともに、前壁部4 の内壁面に当接しているバンパーステイ2aの凸部7aにも荷重がかかる。このことによりウエブ 3 a、3 b の荷重負担が軽減され、割れ等の破壊を生じずに、変形して、エネルギー吸収が行われることになる。したがって、車両の高速衝突時において、Al合金製押出形材からなるバンパー補強部材でも、衝突のエネルギー吸収量が不足せず、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与えることが防止できる。
【0038】
このような作用は、前壁部4 の内壁面に当接させず、中空構造空間内に臨ませた場合も同様である。但し、この場合は、当初の水平方向の衝撃初期荷重はウエブ 3 a、3 b のみで負担するものの、衝撃荷重によるバンパー補強部材1aの前壁部4 の後面側に向かう変形に伴って、前壁部4 がバンパーステイ2aの凸部7aに当接し、すぐに荷重を分担する。そして、これ以後は、前記の場合と同様の作用効果を有する。
【0039】
また、一方、バンパーステイの凸部の個数や大きさ等の設け方により、バンパー補強部材の圧壊時の最大荷重を調節することができる。通常、断面形状が略矩形の中空構造のバンパー補強部材の前記圧壊時の最大荷重は必然的に高い。したがって、この最大荷重が、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類の、車種等によって異なる、許容荷重 (強度) よりも高い場合には、車両の衝突時において、バンパー補強部材構造の変形による十分なエネルギー吸収が行われるよりも先に、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に衝突時の荷重がかかり、これら車体メンバ類に損傷を与えることにつながる。このため、バンパーステイの前記凸部の個数や大きさ等の設け方は、バンパー補強部材の前記スリットの設け方と合わせて、バンパー補強部材構造、特にバンパー補強部材の圧壊時の最大荷重を、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類の許容荷重 (強度) よりも高くならないように設けることが好ましい。
【0040】
次に、図6 は、バンパー補強部材1bの後壁部5 の面で、バンパーステイとの接続面に、バンパー補強部材1bの幅方向で、かつ垂直方向に延在するスリット9 (縦スリット) を3 本設けた例を示す斜視図である。このスリット9 も、バンパーステイの前端の凸部を、バンパー補強部材の中空構造空間内に突出させるためのものである。図6 のように、垂直方向に延在する3 個のスリット9 を設けた例では、図7(c)に示す、3 個の凸部7lを有するバンパーステイ2i (断面日形) を用いる。スリット9 を1 本、または2 本設ける場合には、図7(a)か図7(b)に正面図を示す、2 個、または3 個の凸部7jか7hを有するバンパーステイ2h (断面日形) か2k (断面口形) を用いる。
【0041】
前記スリット9 を通じて、図1 の横スリットの場合と同様に、バンパーステイの凸部をバンパー補強部材の中空構造空間内に突出させるように、バンパーステイの凸部とスリット9 の大きさと数、更には位置を調節して、バンパー補強部材とバンパーステイとを結合させる。そして、これらスリットおよびバンパーステイの凸部の大きさと形状は、前記したごとく、バンパーステイの凸部に負担させるべき、衝突荷重の大きさによって、基本的に定まる。
【0042】
図8 に、前記縦スリット9 を通じて、バンパー補強部材とバンパーステイとを結合させた本発明のバンパー補強構造の正面図を示す。図8 は、前記バンパー補強部材1bを、スリット9 を通じて、図7 (a) のバンパーステイ2gを結合させた例である。本例では、バンパーステイ2gの凸部7jの先端を、バンパー補強部材1bの後壁部5 に設けたスリット9 を通じて、バンパー補強部材の中空構造空間内に突出させ、前壁部4 の内壁面に当接させている。この場合も、バンパーステイ2gの凸部7jの先端を必ずしも、前壁部4 の内壁面に当接させる必要はないのは、前記した通りである。なお、バンパーステイ2gは、その係止片19を通じて、フロントサイドメンバ8 等の車体メンバ類の前端部にボルト等の適宜の締結具10により固定され、バンパー補強部材を車体メンバ類に連結する機能も有している。
【0043】
このような縦スリットタイプの本発明のバンパー補強構造の作用は、前記横スリットタイプの本発明のバンパー補強構造の作用と全く同じである。
【0044】
図9 (a) は、縦スリット11を用いた例を示す平面図であるが、図1 や図6 のようなバンパー補強部材が真っ直ぐな場合ではなく、両端部が内側に湾曲したタイプのバンパー補強部材の屈曲部とバンパーステイとを結合させた本発明のバンパー補強構造を示す。本例では、バンパーステイ2jの凸部7mの先端を、前記図8 と同様に、バンパー補強部材1cの後壁部5 に設けた1 本の縦スリット11を通じて、バンパー補強部材の中空構造空間内に突出させ、前壁部4 の内壁面に当接させている。この場合、バンパーステイ2jの前面13は、バンパー補強部材の後壁部5 の傾斜面に対応した傾斜面を有している。
【0045】
これに対して、図9 (b) は、前記図9 (a) の場合と同じく、両端部が内側に湾曲したタイプのバンパー補強部材の屈曲部とバンパーステイとを結合させた本発明のバンパー補強構造の平面図を示している。ただ図9 (b) の場合には、横 (水平) スリット14を用いた例であり、バンパーステイ2kの凸部7nの先端を、前記図9 (a) と同様に、バンパー補強部材1dの後壁部5 に設けた1 本の横スリット14を通じて、バンパー補強部材の中空構造空間内に突出させ、前壁部4 の内壁面に当接させている。しかし、このような形状のバンパーステイ2kは押出により一体に製造することができず、切削等によって形状を出す必要があるので、本発明では不適である。したがって、両端部が内側に湾曲したタイプのバンパー補強部材では、バンパーステイを押出加工により効率的に製造使用とすると、前記図9 (a) で示した縦スリット9 を用いる必要があることが分かる。
【0046】
更に、図10は、バンパー補強部材1eの後壁部5 の面で、バンパーステイとの接続面に、凹部15を設けた例を示す斜視図である。この凹部15も、バンパーステイの前端の凸部を、バンパー補強部材の中空構造空間内に突出させるためのものである。図10のように、凹部15を設けた例では、図11(a) 、(b) に示す、前記凹部15に対応する形状を有する凸部2dや2fを有するバンパーステイ2d (断面口形) 、か2f (断面日形) を用いる。
【0047】
図12に、前記凹部15を通じて、バンパー補強部材とバンパーステイとを結合させた本発明のバンパー補強構造の正面図を示す。本例では、バンパーステイ2dや2fの凸部2dや2fを、凹部15の空間内に嵌め合わせて、バンパー補強部材とバンパーステイとを結合させる。
【0048】
このような凹部タイプの本発明のバンパー補強構造の作用は、前記スリットタイプの本発明のバンパー補強構造の作用と全く同様に、凹部と凹部内に収容されたバンパーステイの凸部が、衝撃荷重を分担して負担することにより、衝撃エネルギーの吸収量を大きくするものである。
【0049】
更に、大きな衝撃荷重が加わった場合の前記ステイの打ち抜き現象を防止するための、また、バンパー補強部材の圧壊時の最大荷重を、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類の許容荷重 (強度) よりも高くならないように下げるための、本発明の好ましい実施態様を以下に説明する。
【0050】
図13は、前記ステイの打ち抜き現象を防止するための部分的な凹み16a 、16b を、バンパー補強部材1aのウエブ3 a 、3 b の、ステイと連結される両端部分のウエブの両外壁面 (スリット6 に対応して) に予め設けた状態を示す斜視図である。この凹み16a 、16 bは、バンパー補強部材1 に対する略水平方向からの荷重に対して、前記凹み6 a 、6 b を起点に、前記両端部分のウエブ3 a 、3 b のみが部分的に中空構造の内側に屈曲するようにするもので、凹み6 a 、6 b のウエブ3 a 、3 b に設ける位置、その大きさ (幅と長さ) と深さ等は、車種等によって決まる、バンパー補強材圧壊時の要求最大荷重量 (最大荷重の低減度合い) や、衝突エネルギー吸収量の要求程度、そして、打ち抜き現象の防止に必要な中空構造の内側への屈曲程度等の観点から、適宜選択される。
【0051】
なお、本実施態様では、凹み6 a 、6 b は、ウエブ3 a 、3 b の両外壁面のうちの、ステイ側後方に、バンパー補強部材1 の長手方向に延在するように設けている。この方が、外壁面の前方側に設けるよりも、ウエブ3 a 、3 b を中空構造の内側に屈曲させやすい。
【0052】
そして、凹み6 a 、6 b は、バンパー補強部材1 の長手方向の径L1が長軸、バンパー補強部材1 の幅方向の径L2が短軸となるような略楕円形に設けている。凹み6 a 、6 b をこのような略楕円形とすることにより、まず、凹み6 a 、6 b の深さとともに凹み6 a 、6 b の幅方向の径L2の大きさによって、バンパー補強部材1 への略水平方向からの荷重に対する、ウエブ3 a 、3 b の中空構造の内側への屈曲の起点となることを確保する。凹み6 a 、6 b の深さと幅方向の径L2があまり小さすぎると、略水平方向からの荷重の大きさにもよるが、前記屈曲の起点となり得ず、結果として、前記バンパー補強材圧壊時の最大荷重量の低減やエネルギー吸収量の向上およびステイの打ち抜き防止効果が弱まる。
【0053】
また、凹み6 a 、6 b の深さとともに、凹み6 a 、6 b の長手方向の径L1や幅方向の径L2の大きさによって、バンパー補強部材1 への略水平方向からの荷重に対する、ウエブ3 a 、3 b の中空構造の内側へ屈曲する部分の、バンパー補強部材1 における長手方向の長さを規定できる。この凹み6 a 、6 b の深さ、長手方向の径L1や幅方向の径L2があまり小さすぎると、ウエブ3 a 、3 b の中空構造の内側へ屈曲する効果を発揮できないで、従来技術のように、ウエブ3 a 、3 b が中空構造の外側方向に変形乃至座屈する。また、ウエブ3 a 、3 b が中空構造の内側へ屈曲する部分を十分確保できず、前記バンパー補強材圧壊時の最大荷重量やエネルギー吸収量の向上およびステイの打ち抜き防止効果が弱まる。
【0054】
この点は、凹みが楕円形でなくても、円形等の他の形状を有していても同じであり、要は、凹みを予め設けるに際しては、バンパー補強部材に対する略水平方向からの荷重に対して、前記部分的な凹みを起点に、前記両端部分のウエブが中空構造の内側に屈曲するように設けることが重要となる。
【0055】
なお、凹み6 a 、6 b の他の設け方として、前記凹みの効果を阻害しない範囲で、前記図13の通り、凹みをウエブの両外壁面に1 個ずつ、また凹みの長さL1をバンパーステイの幅と同じ長さとせずとも、凹みの長さL1をバンパーステイの幅より多少長くしても、或いは短くしても、更には、バンパー補強部材の長手方向に分割して、2 個以上設けても良い。
【0056】
(凹みの作用)
図14(a) 、(b) に、上記に説明した本発明における凹み6 a 、6 b の作用を示す。なお、図14(a) 、(b) は、図13に示した本発明バンパー補強部材の実施態様の正面図である。
【0057】
今、バンパー補強部材1 a に対し、略水平方向からの衝突荷重F が加わった場合、凹み16 a、16 bを起点として、前記両端部分のウエブ3 a 、3 b を中空構造の内側に屈曲しやすくする。この結果、前記バンパー補強材圧壊時の最大荷重量の低減が図れる。また、更に、変形が進んだとしても、ウエブと後壁部5 との接続箇所 (コーナー部) や、曲げ変形箇所等で割れが生じる可能性が少ない。この結果、エネルギー吸収量の向上が図れる。
【0058】
そして、前記箇所に割れが生じない場合でも、あるいは割れが生じた場合でも、このウエブが内側に座屈した部分17a 、17b によって後壁部5 を保持することによって、或いは、ウエブが内側に座屈した部分17a 、17b と後壁部5 との干渉作用によって、バンパーステイ2 による後壁部5 の突き抜けを防止して、ステイの打ち抜き現象を防止する。
【0059】
この結果は、前記割れやステイの打ち抜き現象による衝突エネルギー吸収量の低下を防止し、ウエブの内側への座屈後も、バンパー補強部材1 の変形による、エネルギー吸収が継続して行われ、衝突エネルギーの吸収量が大きくなる効果をもたらす。したがって、本発明における好ましい要件である前記凹みは、バンパー補強部材の荷重変位特性における、衝突初期のピーク荷重を一定以下に抑制する効果、ステイの打ち抜き現象防止等による衝突エネルギーの吸収量が大きくなる効果を有し、衝突時に、フロントサイドメンバ等の車体メンバ類に損傷を与えることがなくなる。
【0060】
(適用Al合金)
次に、本発明で用いるAl合金について説明する。本発明で用いるAl合金自体は、前記した通り、本発明の目的が、特殊なAl合金を用いず、汎用 (規格)Al 合金材を用いることであるから、使用するAl合金の種類は、通常、この種構造部材用途に汎用される、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高いAl合金の適用が好適に用いられる。特に、これら7000系 (Al-Zn-Mg系) Al合金や6000系(Al-Mg-Si 系)Al 合金を、押出加工後人工時効処理したT5や押出加工後更に溶体化処理した後に人工時効硬化処理したT6等の調質処理材が好ましい。
【0061】
しかし、一方で、前記した材料側から種々提案されている成分や組織を制御した特殊なAl合金であっても、本発明の構成をとることによって、当然エネルギー吸収性能も優れたものとなる。したがって、コスト的には、従来の汎用 (規格)Al 合金材が有望であるものの、従来の特殊なAl合金であっても、勿論、本発明のバンパーステイには使用可能である。
【0062】
(Al合金製中空形材の製造)
また、本発明に係る断面が略矩形形状のAl合金製中空形材の製造自体は、鋳造、均質化熱処理、熱間押出、調質熱処理等を、主要工程とする常法により製造される。
【0063】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。図1 に示した断面形状が口形の中空構造の、JIS 6N01Al合金押出形材のT5材 (耐力240N/mm2) 製のバンパー補強部材1aを準備した。また、図2(a)に示した断面形状が口形の中空構造の、JIS 6N01Al合金押出形材のT5材 (耐力240N/mm2) 製のバンパーステイ2aを準備した。なお、この6N01Al合金押出形材のT5材は、車体用のエネルギー吸収材として汎用されており、同じく汎用されているJIS 7003Al合金等の7000系Al合金に比べると、衝突荷重時に割れやすいという特性を有する。したがって、本実施例における6N01Al合金押出形材での良好な結果は、JIS 7003Al合金等の7000系Al合金押出形材の結果にも反映させることが可能である。
【0064】
ここにおいて、バンパー補強部材1aとバンパーステイ2aの両者に貫通穴を設けて、図16(a) に示すように、ボルト、ナット (但し、本実施例では凸部7aを挟んだ2 箇所) により結合し、図3 に各々示した断面形状を有する本発明のバンパー補強構造を製作し、発明例1 とした。
【0065】
発明例1 のバンパー補強部材1aの仕様は、前壁部と後壁部の幅を50mm、ウエブ3 a 、3 b の高さを40mm、これら各肉厚を1.5mm とした。そして、発明例1 は、バンパー補強部材の両端部から水平方向に50 mm 内側で、高さ25 mm の位置の後壁部5 の箇所各々2 箇所に、長さ方向の中心がくるように、中空構造内に貫通する横スリットを設けた。横スリットの長さは後述するバンパーステイの凸部7aの幅より、また、横スリットの幅は後述するバンパーステイの凸部7aの厚みより、若干大きめとした。
【0066】
また、バンパーステイ2aの仕様は、前壁部と後壁部の幅を60mm、ウエブ3 a 、3 b の高さを35mm、これら各肉厚を2.5mm とした。そして、バンパーステイの凸部7aの長さ (水平方向の長さ) はウエブ3 a 、3 b の高さに対応させて40mmとし、前記スリットを介して装入された先端部がバンパー補強部材の前壁部4 の内面壁に当接するようにした。また、バンパーステイの凸部7aの幅 (図における奥行き) は60mm、バンパーステイの凸部7aの厚みは1.5mm とした。
【0067】
更に、発明例1 において、ウエブ3 a 、3 b の両外壁面のうちの、バンパー補強部材の前端部から27.5 mm ステイ側後方の位置に、バンパー補強部材の長手方向に延在するように凹みをエンポス加工により2 箇所設けた例を、発明例2 とした。凹みの条件は、バンパー補強部材の長手方向の径L1が70 mm 、バンパー補強部材の幅方向の径L2が 15mm 、中心深さが5mm となるような楕円形とした。
【0068】
また、比較のために、本発明1 のバンパー補強部材のスリットと、バンパーステイの凸部を設けない、或いはウエブの凹みを設けない以外は、全て発明例1 に各々対応して同じ条件とした比較例を準備した。
【0069】
そして、これら発明例1 、2 と比較例バンパー補強部材とバンパーステイの構造体の衝突時のエネルギー吸収性を評価した。
【0070】
評価方法は、これら組み立て体中空材のバリア試験を行い、車両の衝突時を想定して、バンパー補強部材を略水平方向に配置した前記組み立て体を固定壁に衝突させ、この際の衝突時のエネルギー吸収性とステイの打ち抜き性を調査した。衝突は、固定壁に対し、組み立て体をバンパー補強部材の前面全てが均一に固定壁に当たるように、軽衝突のカナダ等の規格である、2.22m/sec (8km/hr)の速度で衝突させ、バンパー補強部材の前面に、また略水平方向に衝撃力 (衝突荷重) が加わるようにした。
【0071】
この結果、まず、バリア試験を行ったバンパー補強部材の目視観察を行った結果、比較例の方は、ウエブが中空構造の外側方向に変形、座屈しており、ウエブと後壁部との接続箇所や、曲げ変形箇所等で割れが生じているとともに、ステイがその前端部で接しているバンパー補強部材の後壁部を突き抜けて、バンパー補強部材の中空構造内に侵入しており、ステイの打ち抜きが生じていた。
【0072】
これに対し、発明例1 は、比較例と同様に、ウエブが中空構造の外側方向に変形、座屈しているものの、ウエブと後壁部との接続箇所や、曲げ変形箇所等での割れは生じておらず、ステイの打ち抜きも生じていなかった。
また、発明例2 の方は、予めウエブに設けた凹みを起点として、バンパー補強部材の、ステイの前端部に対応する、両端部分のウエブが中空構造の内側に屈曲しており、ウエブと後壁部との接続箇所や、曲げ変形箇所等での割れや、ステイの打ち抜きは生じていなかった。
【0073】
バリア試験における、発明例1 、2 と比較例の衝突時のエネルギー吸収性を図15に荷重変位特性として示す。図15から分かる通り、細かい点線で示す比較例は、横軸の変位が約1 〜2mm 部分の衝突初期のピーク荷重が高い。また、ウエブと後壁部との接続箇所や、曲げ変形箇所等での割れにより、横軸の変位が約14mm部分を越えるあたりから荷重 (エネルギー吸収量) が低下し、更に、横軸の変位が約16〜18mmの部分で、ステイの打ち抜きが生じた結果、これより後では、バンパー補強部材の変形が生じず、バンパー補強部材によるエネルギー吸収が行われず、荷重 (エネルギー吸収量) が著しく低下している。
【0074】
これに対し、太い点線で示す発明例1 は、横軸の変位が約1 〜2mm 部分の衝突初期のピーク荷重が、比較例に比して、著しく高くなっている。また、比較例でウエブと後壁部との接続箇所や曲げ変形箇所等での割れが生じた、横軸の変位が約14mm部分を越えるあたりでも荷重 (エネルギー吸収量) は低下していない。更に、比較例でステイの打ち抜きが生じた、横軸の変位が約16〜18mm部分以降の荷重 (エネルギー吸収量) も高い。
【0075】
更に、実線で示す発明例2 は、横軸の変位が約1 〜2mm 部分の衝突初期のピーク荷重が、比較例や発明例1 に比して、著しく低い。また、比較例でウエブと後壁部との接続箇所や曲げ変形箇所等での割れが生じた、横軸の変位が約14mm部分を越えるあたりでも荷重 (エネルギー吸収量) は低下していない。更に、比較例でステイの打ち抜きが生じた、横軸の変位が約16〜18mm部分以降の荷重 (エネルギー吸収量) も、発明例1 よりも高い。したがって、これら荷重変位特性の結果は、前記目視観察結果と良く対応している。また、本発明構造の効果と、更に凹みを設けた効果が裏付けられる。
【0076】
以上の結果から、本発明車体用エネルギー吸収部材構造により、衝突初期の最大荷重を制御することが可能であり、かつ衝突エネルギーの吸収量も大きくなることの効果が裏付けられる。また、好ましい態様におけるバンパーステイの打ち抜き現象を防止効果が裏付けられる。これらの結果は、他のドアビームとブラケットやフレームなどの、車体エネルギー吸収部材構造にも同様に言える。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、現行のバンパー補強材やドアビーム等のエネルギー吸収部材構造のデザインや設計条件を大幅に変更することなく、簡単な改善により、前記打ち抜き現象の防止も達成でき、車両の衝突時のエネルギー吸収性能を高めることができる、断面形状が略矩形の中空構造を有するAl合金製押出形材からなるエネルギー吸収部材構造を提供することができる。このため、バンパー補強部材やバンパーステイ、ドアビームとブラケットやフレームなどの、車体用エネルギー吸収部材構造用に、Al合金材の用途を大きく拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の一実施態様を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の一実施態様を示す正面図である。
【図3】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の一実施態様を示す、一部断面正面図である。
【図4】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造のバンパーステイの凸部の他の実施態様を示す正面図である。
【図5】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の、バンパーステイの凸部の先端部と、バンパー補強材の前壁部内壁面との関係を示す正面図である。
【図6】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す正面図である。
【図8】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す、一部断面正面図である。
【図9】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す正面図である。
【図10】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す正面図である。
【図12】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す正面図である。
【図13】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の他の実施態様を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の作用を示す正面図である。
【図15】本発明に係る車体用エネルギー吸収部材構造の荷重変位曲線を示す説明図である。
【図16】従来の車体用エネルギー吸収部材構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1:バンパー補強材、2:バンパーステイ、3:ウエブ、4:前壁部、5:後壁部、6:スリット、7:凸部、8:フロントサイドメンバ、

Claims (5)

  1. 略水平方向に延在して用いられる車体用エネルギー吸収部材と、その両端部に結合された車体連結用部材とからなる車体用エネルギー吸収部材構造であって、車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材とを、断面形状が略矩形の中空構造を有するアルミニウム合金製押出形材から各々構成し、車体結合用部材の前端に凸部を設け、かつ、前記車体連結用部材の前端に対応する車体用エネルギー吸収部材の後壁部面に、前記凸部に対応する部分的なスリットまたは凹部を設け、これらの部分的なスリットまたは凹部を通じて、前記凸部を車体用エネルギー吸収部材の中空構造空間内に突出させて、車体用エネルギー吸収部材と車体連結用部材とを結合したことを特徴とする車体用エネルギー吸収部材構造。
  2. 前記車体連結用部材の前端と結合される車体用エネルギー吸収部材の両端部分のウエブの両外壁面に、部分的な凹みを予め設け、車体用エネルギー吸収部材に対する略水平方向からの荷重に対して、前記部分的な凹みを起点に、前記両端部分のウエブが中空構造の内側に屈曲するように構成した請求項1に記載の車体用エネルギー吸収部材構造。
  3. 前記凹みが、車体用エネルギー吸収部材の長手方向が長軸、車体用エネルギー吸収部材の幅方向が短軸となるような略楕円形である請求項2に記載の車体用エネルギー吸収部材構造。
  4. 前記凹みがエンボス加工により設けられたものである請求項2または3に記載の車体用エネルギー吸収部材構造。
  5. 前記アルミニウム合金として、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系から選択される規格アルミニウム合金を用いる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車体用エネルギー吸収部材構造。
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