JP4371653B2 - 体内埋込医療器具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管、胆管、気管、食道、腸管、尿道などの生体内の管腔に生じた狭窄部の改善に使用される体内埋込医療器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体内の管腔に生じた狭窄部を改善するためにステントが多く使用されている。ステントは、血管あるいはその他の生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張させた状態に維持するための管状の器具であり、例えば心臓の冠状動脈においては、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭窄防止に用いられている。そして、PTCAにより狭窄部を拡張させた後、金属製のメッシュ構造からなるステントを留置することによって再狭窄率を低下させることに成功したが、ステント留置後も、20%前後の割合で再狭窄が認められ、再狭窄の問題は依然として解決していない。
【0003】
再狭窄が起こる原因は、これまで様々な説が考えられているが、現在はステントを留置することによりステント周囲の平滑筋細胞のフェノタイプが収縮型から合成型へと変化し、ステント内腔側へ遊走・増殖することにより内膜肥厚が起こり、その結果再狭窄現象が起こるという考え方が主流になっている。
【0004】
そこでこの平滑筋細胞の遊走・増殖を抑制し得る薬剤をステントに担持することにより、再狭窄を予防する検討が種々なされている。このような薬剤の具体的な例としては、タキソール(特許文献1参照)、マイトマシンC、アドリアマイシン、ゲニステイン、チルフォスチン(特許文献2参照)、サイトカラシン(特許文献3参照)、HMG−CoA還元酵素阻害薬(特許文献4参照)などが挙げられている。
【0005】
特に、HMG−CoA還元酵素阻害薬は、従来、肝臓でのコレステロール合成をブロックすることから、高脂血症治療薬として使用されているが、最近、血管壁に直接適用することによって、血管内膜の肥厚抑制に関係する効果がある事が報告されている。具体的には、LDLの酸化抑制(非特許文献1参照)、炎症反応の抑制(非特許文献2参照)、平滑筋細胞・マクロファジーの泡沫化抑制(非特許文献3参照)等の効果が、それぞれ報告されている。
【0006】
そして、最近ではHMG−CoA還元酵素阻害薬のNO産性作用が注目されている(非特許文献4参照)。血管内皮細胞においてNO産生が促進することにより、内皮細胞の機能が改善し、血管の内皮化が促進すると考えられている。そして、血管の内皮化促進により、平滑筋細胞の内膜側への遊走が抑制されると考えられている。
【0007】
これらの薬剤をステントに担持させるには、一般にそれぞれの溶媒に薬剤を溶解し、単独もしくは高分子材料などとともに噴霧もしくは浸漬などの方法によりステントの表面にコーティングされるが、その際、溶媒または薬剤単体により当初の血漿状態が損なわれ、一部もしくはほとんどが非晶質の状態となるのが現状である。そして、この非晶質状態部分は化学的に不安定であり、経時的に分解・劣化が起こりやすく、その薬剤が本来持っている効果が損なわれる傾向にある。
【0008】
したがって、これらの薬剤をコートしたステントを生体内に留置した際に、薬剤が分解を起して、その薬剤が本来持っている効果が低下することになる。この傾向は、これらの薬剤全てにあり、特にHMG−CoA還元酵素阻害薬、とりわけシンバスタチンはその可能性が高い。
【0009】
【特許文献1】
特表平9−503488号公報
【特許文献2】
特開平9−56807号公報
【特許文献3】
特表平11−500635号公報
【特許文献4】
特願2002−200712
【非特許文献1】
Massy Ziad A.,et al.,Biochem Biophys Res Commun 267 536−540(2000)
【非特許文献2】
Sakai M.,et al.,Atherosclerosis 133 51−59(1997)
【非特許文献3】
Bellosta S.,et al.,Atherosclerosis137 Suppl. S101−109(1998)
【非特許文献4】
Laufs U et al、Circulation (97) 1129−1135(1998)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、生物学的生理活性物質の経時的な分解・劣化が防止され、生物学的生理活性物質を安定的に保持することが可能な体内埋込医療器具を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(3)の本発明により達成される。
【0012】
(1)医療器具本体と、前記医療器具本体に搭載された再結晶化された生物学的生理活性物質から構成されていることを特徴とする生体内の管腔に留置するための体内埋込医療器具であって、
前記生物学的生理活性物質が、HMG−CoA還元酵素阻害薬であり、
前記HMG−CoA還元酵素阻害薬が、シンバスタチンであることを特徴とする体内埋込医療用具。
【0013】
(2)前記シンバスタチンが、40〜60℃の温度範囲で再結晶化されたことを特徴とする(1)に記載の体内埋込医療用具。
【0014】
(3)前記医療器具本体が、ステントであることを特徴とする(1)ないし(2)に記載の体内埋込医療器具。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の体内埋込医療器具について詳細に説明する。
【0020】
本発明の体内埋込医療器具は、医療器具本体と、医療器具本体に搭載された再結晶化された生物学的生理活性物質で構成されている。
【0021】
再結晶化された生物学的生理活性物質の医療器具本体への搭載の形態は、特に限定されず、例えば医療器具本体の表面に再結晶化された生物学的生理活性物質をコートしても良く、また医療器具本体の内側に再結晶化された生物学的生理活性物質を含有させても良い。
【0022】
医療器具本体は、例えばステント、カテーテル、バルーン、血管補綴材、人工血管等が挙げられ、中でも生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張し、その拡張された内腔を確保するためにそこに長期間留置することが可能であるステントが好ましい様態である。以下、医療器具本体がステントである場合について添付図面に示す好適な実施の形態に基づいてより詳細に説明する。
【0023】
図1はステントの一様態を示す側面図、図2は図1の線A−Aに沿って切断した拡大横断面図、図3は図2と同様の図であって、再結晶化された生物学的生理活性物質のコートの形態が異なる様態を示す。
【0024】
ステントは、血管、胆管、気管、食道、腸管、尿道などの生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張し、かつそこに留置することができれば、その材料、形状、大きさ等は特に限定されない。
【0025】
ステントを形成する材料は、適用箇所に応じて適宜選択すれば良く、例えば金属材料、高分子材料、セラミックス等が挙げられる。ステントを金属材料で形成した場合、金属材料は強度に優れているため、ステントを狭窄部に確実に留置することが可能である。また、ステントを高分子材料で形成した場合、高分子材料は柔軟性に優れているため、ステントの狭窄部への到達性(デリバリー性)という点で優れた効果を発揮する。
【0026】
金属材料としては、例えばステンレス鋼、Ni−Ti合金、タンタル、チタン、金、プラチナ、インコネル、イリジウム、タングステン、コバルト系合金等が挙げられる。そしてステンレス鋼の中では、耐食性が良好であるSUS316Lが好適である。
【0027】
高分子材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、セルロースナイトレート等が挙げられる。
【0028】
ステントの形状は、生体内の管腔に生じた狭窄部に安定して留置するに足る強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、金属材料のワイヤーや高分子材料の繊維をネット状にすることにより構成される円筒体等の任意の形状体や、図1に示すような金属材料や高分子材料で構成される円筒体に細孔を設けたものが好適に挙げられる。
【0029】
ステントは、バルーンエクスパンダブルタイプ、セルフエクスパンダブルタイプのいずれであってもよい。また、ステントの大きさは適用箇所に応じて適宜選択すれば良い。例えば、心臓の冠状動脈に用いる場合は、通常拡張前における外径は1.0〜3.0mm、長さは5〜50mmが好ましい。
【0030】
ステントの表面には再結晶化された生物学的生理活性物質がコートされている。生物学的生理活性物質は再結晶化されているため、経時的な分解・劣化が防止され、安定的な状態でステントの表面に保持される。この再結晶化された生物学的生理活性物質は、ステントを生体内の管腔の狭窄部に留置した際に、ステントの留置部位およびその周辺組織内に放出される。
【0031】
生物学的生理活性物質は、予め再結晶化処理を施したものをステントの表面にコートしても良く、またステントの表面にコートした後に再結晶化処理を施しても良い。
【0032】
生物学的生理活性物質は、再結晶化されたものであれば特に限定されないが、例えばNO産生作用を有するHMG−CoA還元酵素阻害薬が挙げられ、さらにHMG−CoA還元酵素阻害薬の中では、入手が比較的容易であるシンバスタチンが特に好ましい。
【0033】
ステントの表面にコートされる生物学的生理活性物質の量は、その生物学的生理活性物質が本来持っている効果を発揮し得る量、すなわち血管内の再狭窄を抑制できる量であれば特に限定されない。
【0034】
生物学的生理活性物質のステントへのコートの形態は特に限定されず、例えば図2に示すように生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層中に生物学的生理活性物質を含有(混合)させた形態にしてステントにコートしても良く、また図3に示すようにステントの表面に生物学的生理活性物質を直接コートして生物学的生理活性物質単独の層を設け、さらにその外側を、生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層で覆っても良い。
【0035】
生物学的生理活性物質が生分解性ポリマーからなるポリマー層中に含有されている場合、あるいは生物学的生理活性物質の外側が生分解性ポリマーからなるポリマー層で覆われている場合は、生分解性ポリマーが分解することによって、生物学的生理活性物質がステントの留置部位およびその周辺組織内に直接放出される。
【0036】
生分解性ポリマーは、生体内で酵素的、非酵素的に分解され、分解産物が毒性を示さず、生物学的生理活性物質の放出が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、ポリα−アミノ酸、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、キトサンセルロース、セルロースアセテートなどが挙げられ、中でも長期間にわたって生物学的生理活性物質を放出することが可能であるポリ乳酸が特に好ましい。
【0037】
生物学的生理活性物質が生体適合性ポリマーからなるポリマー層中に含有されている場合、あるいは生物学的生理活性物質の外側が生体適合性ポリマーからなるポリマー層で覆われている場合は、生物学的生理活性物質が生体適合性ポリマーの外表面に浸出することによって、生物学的生理活性物質がステントの留置部位およびその周辺組織に直接放出される。
【0038】
生体適合性ポリマーは、本質的に血小板が付着し難く、組織に対しても刺激性を示さず、生物学的生理活性物質の浸出が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンブチルアセテート共重合体(PEVA)、ポリブチルメチルアクリレート(PBMA)などのアクリレート類、ポリアクリルアミド(PA)などのアクリルアミド類、シリコーン、ポリエーテル型ポリウレタンとジメチルシリコーンのブレンドもしくはブロック共重合体、セグメント化ポリウレタン等のポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートなどのポリカーボネート等、各種合成ポリマーが挙げられる。
【0039】
生物学的生理活性物質が生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層中に含有されている場合、含有の様態は特に限定されず、生物学的生理活性物質がポリマー層中に均一または不均一に存在していてもよく、また局所的に存在していても良い。
【0040】
本発明の体内埋込医療器具を製造する方法は特に限定されず。例えば、医療器具本体としてステントを、生物学的生理活性物質としてシンバスタチンを、生体適合性ポリマーとしてポリエチレンブチルアセテート共重合体(PEVA)を、それぞれ用いた場合、シンバスタチンとPEVAをテトラヒドロフランに溶解した溶液をステントにスプレーして、図2に示すようなシンバスタチンを含有させたPEVA層(ポリマー層)をステント表面に設けたものを作製し、さらにこのPEVA層を設けたステントを密閉空間内に設置して、好適な温度・圧力を加えることによってシンバスタチンを再結晶化する方法や、シンバスタチンをテトラヒドロフランに溶解した溶液をステントにスプレーして、ステント表面にシンバスタチンの層を設けた後、そのシンバスタチン層の表面にPEVAをテトラヒドロフランに溶解した溶液をスプレーして、図3に示すようなシンバスタチン層の外側にPEVA層(ポリマー層)を設けたものを作製し、さらにこのPEVA層を設けたものを密閉空間内に設置して、好適な温度・圧力を加えることによってシンバスタチンを再結晶化する方法等が挙げられる。
【0041】
シンバスタチンを再結晶化する際の温度は、40〜60℃が好ましい。温度が40℃未満であると、シンバスタチンの分解を防止することができなくなる。また温度が60℃を超えると、図3に示すようなコートの形態にした場合に、シンバスタチン層の膜厚が厚くなる。
【0042】
シンバスタチンを再結晶化する際の圧力は、特に限定されないが、真空度1000パスカル以下が好ましく、100パスカル以下が特に好ましい。圧力を100パスカル以下にすることにより、より容易に再結晶化が促進される。
【0043】
このようにして得られた本発明の体内埋込医療器具は、生体内の管腔に直接、留置して用いることができる。そして、再結晶化された生物学的生理活性物質がステントの留置部位およびその周辺組織内に放出される。このような生物学的生理活性物質は経時的な分解・劣化が防止されているため、その生物学的生理活性物質が本来持っている効果を発揮することができ、その結果、血管等の再狭窄を確実に抑制することが可能である。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
シンバスタチン100mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーして、ステント表面にシンバスタチンの層を設けた。そして、このシンバスタチン層を設けたステントを加熱真空乾燥装置に入れて不活性ガスであるアルゴン(Ar)で3回置換した後、真空ポンプで真空度100パスカル(Pa)以下になるまで吸引し、60℃で72時間加熱してシンバスタチンを再結晶化させて、本発明の体内埋込医療器具を作製した。
次に、本発明の体内埋込医療器具を加速試験(80℃、1時間、大気圧)で処理して、アセトニトリル1mlに溶解して、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いてシンバスタチンの分解率(%)を測定した。測定の結果、シンバスタチンは2%のみの分解であった。
【0046】
(比較例1)
シンバスタチン100mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーして、ステント表面にシンバスタチンの層を設けて、体内埋込医療器具を作製した。
次に、この体内埋込医療器具について実施例1と同様の方法でシンバスタチンの分解率(%)を測定した。測定の結果、シンバスタチンは30%分解されていた。
【0047】
(実施例2)
シンバスタチン100mgとポリエチレンブチルアセテート共重合体(PEVA)200mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーして、シンバスタチンを含有させたPEVA層(ポリマー層)をステント表面に設けた。そして、このPEVA層を設けたステントを加熱真空乾燥装置に入れて不活性ガスであるアルゴン(Ar)で3回置換した後、真空ポンプで真空度100パスカル(Pa)以下になるまで吸引し、60℃で72時間加熱してシンバスタチンを再結晶化させて、本発明の体内埋込医療器具を作製した。
次に、この体内埋込医療器具について実施例1と同様の方法でシンバスタチンの分解率(%)を測定した。測定の結果、シンバスタチンは2%のみの分解であった。
【0048】
(比較例2)
シンバスタチン100mgとポリエチレンブチルアセテート共重合体(PEVA)200mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーして、シンバスタチンを含有させたPEVA層(ポリマー層)をステント表面に設けて、体内埋込医療器具を作製した。
次に、この体内埋込医療器具について実施例1と同様の方法でシンバスタチンの分解率(%)を測定した。測定の結果、シンバスタチンは30%分解されていた。
【0049】
(実施例3)
シンバスタチン100mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーして、ステント表面にシンバスタチンの層を設けた後、そのシンバスタチン層の表面にポリエチレンブチルアセテート共重合体(PEVA)200mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液をスプレーして、PEVA層(ポリマー層)を設けた。そして、このPEVA層を設けたステントを加熱真空乾燥装置に入れて不活性ガスであるアルゴン(Ar)で3回置換した後、真空ポンプで真空度100パスカル(Pa)以下になるまで吸引し、60℃で72時間加熱してシンバスタチンを再結晶化させて、本発明の体内埋込医療器具を作製した。
次に、この体内埋込医療器具について実施例1と同様の方法でシンバスタチンの分解率(%)を測定した。測定の結果、シンバスタチンは2%のみの分解であった。
【0050】
(比較例3)
シンバスタチン100mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーして、ステント表面にシンバスタチンの層を設けた後、そのシンバスタチンの表面にポリエチレンブチルアセテート共重合体(PEVA)200mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液をスプレーして、PEVA層(ポリマー層)を設けて、体内埋込医療器具を作製した。
次に、この体内埋込医療器具について実施例1と同様の方法でシンバスタチンの分解率(%)を測定した。測定の結果、シンバスタチンは30%分解されていた。
【0051】
実施例1〜3より、シンバスタチンのステントへのコートの形態に関らず、シンバスタチンが再結晶化されて分解が防止されることが確認された。
【0052】
(実施例4)
シンバスタチン100mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーすることにより、ステント表面にシンバスタチンの層を設けた。そして、このシンバスタチン層を設けたステントを加熱真空乾燥装置に入れて不活性ガスであるアルゴン(Ar)で3回置換した後、真空ポンプで真空度100パスカル(Pa)以下になるまで吸引し、60℃で72時間加熱してシンバスタチンを再結晶化させて、本発明の体内埋込医療器具を作製した。
次に、本発明の体内埋込医療器具を室温(25℃、大気圧)に放置して、1日後、5日後、10日後、20日後、30日後のシンバスタチンの分解率(%)を、それぞれ高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0053】
(比較例4)
シンバスタチン100mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーすることにより、ステント表面にシンバスタチンの層を設けて、体内埋込医療器具を作製した。
次に、体内埋込医療器具を室温(25℃、大気圧)に放置して、1日後、5日後、10日後、20日後、30日後のシンバスタチンの分解率(%)を、それぞれ高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004371653
【0055】
表1より、シンバスタチンを再結晶化させない場合、1日あたり平均1%ずつシンバスタチンが分解することが確認された。また、シンバスタチンを再結晶化させた場合、30日経過後もシンバスタチンの分解が抑制されていることが確認された。
【0056】
(実施例5)
シンバスタチン100mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmのステントにスプレーして、ステント表面にシンバスタチンの層を設けた後、そのシンバスタチン層の外側にポリエチレンブチルアセテート共重合体(PEVA)200mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解した溶液をスプレーして、PEVA層(ポリマー層)を設けた。そして、このPEVA層を設けたステントを加熱真空乾燥装置に入れて不活性ガスであるアルゴン(Ar)で3回置換した後、真空ポンプで真空度100パスカル(Pa)以下になるまで吸引し、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃でそれぞれ72時間加熱してシンバスタチンを再結晶化させて、本発明の体内埋込医療器具を作製した。そして、これらの体内埋込医療器具について、シンバスタチン層の膜厚を測定した。結果を表2に示す。
【0057】
(実施例6)
実施例5で作製した体内埋込医療器具について、実施例1と同様の方法でシンバスタチンの分解率(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
Figure 0004371653
【0059】
表2より、再結晶化温度30℃の時はシンバスタチンが55%分解したため再結晶化条件として不適合であった。また、再結晶化温度70℃の場合はシンバスタチンの分解率が3%と少ないが、シンバスタチン層の膜厚が15μmとかなり厚くなるため再結晶条件として不適合であった。したがって、良好な再結晶化温度は40〜60℃の範囲であった。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、生体内の管腔に留置するための体内埋込医療器具であって、医療器具本体と、前記医療器具本体に搭載された再結晶化された生物学的生理活性物質から構成されていることを特徴とするため、生物学的生理活性物質の経時的な分解・劣化が防止され、生物学的生理活性物質を安定的に保持することが可能である。
【0061】
また、前記医療器具本体が、ステントであることを特徴とする場合、生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張し、その拡張された内腔を確保するためにそこに長期間留置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステントの一様態を示す側面図である。
【図2】 図1の線A−Aに沿って切断した拡大横断面図である。
【図3】 図2と同様の図であって、生物学的生理活性物質のコートの形態が異なる様態を示す。
【符号の説明】
1 ステント
2 ポリマー層(PEVA層)
3 生物学的生理活性物質(シンバスタチン)
4 ポリマー層(PEVA層)
5 生物学的生理活性物質(シンバスタチン)

Claims (3)

  1. 医療器具本体と、前記医療器具本体に搭載された再結晶化された生物学的生理活性物質から構成されていることを特徴とする生体内の管腔に留置するための体内埋込医療器具であって、
    前記生物学的生理活性物質が、HMG−CoA還元酵素阻害薬であり、
    前記HMG−CoA還元酵素阻害薬が、シンバスタチンであることを特徴とする体内埋込医療用具。
  2. 前記シンバスタチンが、40〜60℃の温度範囲で再結晶化されたことを特徴とする請求項1に記載の体内埋込医療用具。
  3. 前記医療器具本体が、ステントであることを特徴とする請求項1ないし2に記載の体内埋込医療器具。
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