JP4370550B2 - 多段ショットピ−ニング加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,ショットピーニング方法に関する。より詳しくは,複数回のショットピーニング処理を用いた多段ショットピーニング処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯車やばねなど疲労強度を必要とする部品において,完成品の表面粗さが大きい場合,粗さに起因する表面クラックにより悪影響を及ぼし疲労強度を下げる原因となることが知られている(図7参照)。これまで様々な研究により,ある特定の条件の製品に対し,特定条件のショットピーニング加工で粗さを低減する方法が知られている。
ショットピーニング加工による表面粗さへの効果は,速度を持った投射粒が微細な凸部を削り取り,また押しつぶすことによって表面粗さを低減する効果がある(例えば、特許第3033638号公報参照)。
しかし、一般的に比較的弱いショットピーニング加工を施すと,打痕形状の大きさから投射材粒径に応じた粗さとなる場合が多いが,製品表面と投射材の硬度差,処理条件,初期粗さにより処理後の表面粗さは様々に変化し,その挙動は明確ではなかった。
特に,処理前の表面状態にうねりがある場合,比較的弱いピーニングでは製品初期のうねり成分が残ってしまうため,粗さ改善が困難である問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は,ショットピーニング加工によって金属製品のうねりや表面粗さを改善するためになされたものである。
【0004】
【課題を解決する為の手段】
上記の目的を達成するため、本発明の多段ショットピ−ニング加工方法は、マルテンサイト変態を有する熱処理を施した部品の表面にうねりなどの大きな凹凸がある場合,初めにショットピーニング加工によりピークカウント値を製品表面初期のそれより大きくする,つまり表面の初期状態より荒れる様に比較的強いショットピーニング加工を施し、その後、処理製品の表面がこの状態から次段のショットピーニング加工を施す。この時のショットピーニング処理条件は一様に荒れた表面を平滑にする為,投射速度を遅くし,投射材粒径を小さくし,投射材硬度を低くすることを特徴とする。
【0005】
本発明によれば,ショットピーニング加工においてピーニング効果による疲労強度向上を阻害する事無く,表面粗さを低減させクラックなどの疲労破壊を抑制し,製品の寿命を延ばすことができる。ショットピーニング加工後の研摩工程を必要とする場合には,その工数低減させることが可能である。
【0006】
本発明において、第一段目のショットピ−ニング加工条件は、製品表面の硬度が750〜900HVの浸炭熱処理品であれば,投射材硬度は製品表面のそれと同等またはそれ以上のものを使用し,重力式エアショットピーニング処理装置の場合、0.4MPa以上のエア噴射圧力で処理すれば良い。それにより,うねりが一様な粗さに表面加工される。
次段若しくはその後のショットピーニング加工は、処理製品の表面がこの状態からを施す。この時のショットピーニング処理条件は一様に荒れた表面を平滑にする為,投射速度を遅くし,または投射材粒径を小さくし,または投射材硬度を低くする事により,前段より表面粗さの低減を図る事が出来る。
この時,ショットピーニング処理段数はうねりの大きさに応じ2段以上を必要とし,段数が多いほど,平滑化の効果は高くなる(図1参照)。
【0007】
ただし、2段目以降のショットピ−ニング加工は、必ずしも一段目と段として格差のあるものでなくてよい。すなわち、1段目の処理により、うねりを一様な粗さにした後、漸次連続的にショットピ−ニングを緩やかにして入っても良い。この場合は、使用する投射材が同一で、投射速度のみを漸次低速にしていくことで実現ができる(図2参照)。投射材が同一である場合には、複数段の投射装置を必要とせず、単に投射速度のみを変えればよいため、投射装置を複数設置する必要がないという利点を有する。
【0008】
本発明において,多段ショットピーニングとは投射材粒径,硬度,投射速度,時間あたり投射量などのショットピーニング条件を変化させた処理を組み合わせてショットピーニング処理することで,そのショットピーニング条件の組み合わせが連続に変化しても構わない。ここで、図1、図2に示す条件は、投射速度などの条件を総称したものである。
【0009】
また、本発明において、処理をおこなうショットピーニング装置はショットピーニング加工の装置に限定せず,投射材を任意の速度で投射することのできる装置をそなえていれば,遠心投射式,エア投射式などの投射方法を問わない。また,本発明において,うねりとは製品表面に200μm以上の周期での凹凸をいい,一般的な表面粗さと分けている。さらに、ピ−クカウントとは、粗さ曲線の平均線から,正負両方向に一定の基準レベルを設け,負の基準レベルを超えた後,正の基準レベルを表面の抽出曲線が超えた時1カウントし,このカウントを測定長さに達するまで繰り返し,数えたカウント数で表したものをいう。表面粗さの波長を表すパラメータとして使用される場合が多い。なお、ピ−クカウントは、ISO規格(468-1982),ANSI規格(B46.1),SAE規格(J911-1986)等にて規格化されている。
【0010】
【実施例1】
以下、実施例に基づき発明を説明する。初期表面粗さ4.5〜5.5μmの浸炭熱処理した平鋼(SCr420H)35x75x15mm,表面硬度約750HVのテストピースを図3に示すエア噴射式ショットピーニング装置1により,下表1の条件にて処理を行ない,表面粗さRzを測定した。
ここで、エア式ショットピ−ニング装置1は、投射材回収ホッパ2の中に溜められた投射材3が、エア配管4からの圧縮空気によりノズル5に吸引されると共にワ−クWに向かって投射される。ワ−クWはテ−ブルTに支えられており、テ−ブルTの下はホッパ5になっていて、投射材3が回収されて、投射材回収ホッパ2に循環する。なお、投射材3に混入した異物や粉塵はサイクロン6を介して図示していない集塵機に回収される。
本実施例1に用いる投射材としては、各段とも同一であり、超硬ショットで、材質はタングステンカ−バイト、硬度は1400HVを使用した。粒径は平均粒径50μmであった。なお、粒度分布は40〜200μmであった。
【0011】
【表1】
【0012】
図4に実施例1における各処理ごとの表面あらさプロファイルを示す。図4から明らかなように、4段目処理の後,表面粗さは2.9μmまで低下することができた。
【0013】
【実施例2】
実施例1と同様な条件で,初期粗さが5.0〜6.0μm,表面硬度760HV,材質SCM420Hの浸炭歯車について処理した結果を下表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】
図5に実施例2における各処理ごとの表面あらさプロファイルを示す。実施例2では形状が複雑になり,投射角の差や各歯の相互干渉による影響も含んだ検討を行ったが、その影響は小さく、実施例1と同様の結果が得られた。また、図6に各処理ごとのピークカウント値の推移を示す。図6から明らかなように、ピ−クカウントが一度上昇した後、順次段階的にピ−クカウントが減少している。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のショットピ−ニング加工方法は、マルテンサイト変態を有する熱処理を施した部品の表面を多段ショットピーニング処理した時にこの処理面の表面粗さを極小にする方法であって,処理製品の表面粗さまたはピークカウント値が製品表面の初期状態より大きくなるようなショットピーニング加工条件でショットピ−ニング加工する工程と、それ以降に遅い投射速度および小さい粒径および硬度の低い投射材のショットピーニング加工条件でショットピ−ニング加工する工程を有することから、ショットピーニング加工によって金属製品のうねりや表面粗さを改善することができる。このように、ショット加工において疲労強度向上を目的にしたピーニング効果と表面研掃を目的にしたブラスト効果を利用し,共に満足する効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示す概要図である。
【図2】本発明の別の概要を示す概要図である。
【図3】本発明の実施に用いる実験装置の概要図である。
【図4】本発明の実施例1における各処理ごとの表面粗さのプロフィ−ルである。
【図5】本発明の実施例2における各処理ごとの表面粗さのプロフィ−ルである。
【図6】本発明の実施例2におけるピ−クカウント値の推移である。
【図7】従来の知見を示す表面粗さと疲れ強さの関係である。
Claims (3)
- マルテンサイト変態を有する熱処理を施した部品の表面を多段ショットピーニング処理した時にこの処理面の表面粗さを極小にする方法であって,
処理製品のピークカウント値が製品表面の初期状態より大きくなるようなショットピーニング加工条件でショットピ−ニング加工する工程と、それ以降に遅い投射速度および小さい粒径および硬度の低い投射材のショットピーニング加工条件でショットピ−ニング加工する工程を有すること
を特徴とする多段ショットピーニング加工方法。 - マルテンサイト変態を有する熱処理を施した部品の表面を多段ショットピーニング処理した時にこの処理面の表面粗さを極小にする方法であって,
実際のショットピ−ニング前に予め処理製品のピークカウント値が製品表面の初期状態より大きくなるようにショットピーニング加工条件を設定する工程と、
この設定されたショットピーニング加工条件によりショットピ−ニング加工する工程と、
それ以降に遅い投射速度および小さい粒径および硬度の低い投射材のショットピーニング加工条件を有することを特徴とする多段ショットピーニング加工方法。 - 前記ピークカウント値が製品表面の初期状態より大きくなるショットピーニング加工条件が、投射材の硬度が処理製品の表面硬度とほぼ同等または高いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多段ショットピーニング加工方法。
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