JP4367815B2 - 復水脱塩装置の運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、復水脱塩装置の運転方法に関し、とくに、加圧水型原子力発電所(以下、PWR原子力発電所と略称することもある。)の2次系統における復水浄化処理を行うに際し、処理水質の向上をはかりつつイオン交換樹脂を効率よく再生できるようにした復水脱塩装置の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、原子力発電所の復水の処理においては、H型強酸性陽イオン交換樹脂とOH型強塩基性陰イオン交換樹脂の混合樹脂で復水を処理するH−OH型復水脱塩装置が用いられている。また、火力発電所の復水の処理においては、NH4 型強酸性陽イオン交換樹脂とOH型陰イオン交換樹脂の混合樹脂で復水を処理するアンモニア型復水脱塩装置が用いられている。
【0003】
原子力発電所では、発生させた高温高圧の蒸気を蒸気タービンに供給し、タービンを駆動させ発電を行っている。タービンを駆動させ仕事を終了した蒸気は、復水器により冷却し、水の状態に戻した後、再び加温しながらボイラ、原子炉等に供給し再使用循環される。復水器で冷却された水は復水というが、この復水には蒸気配管等の系統から発生する酸化鉄等の不純物が混入するため、復水濾過装置あるいは復水脱塩装置により浄化処理されている。
【0004】
原子力発電所の原子炉の炉内構造物はステンレス鋼であり、また蒸気発生器の細管はニッケル合金であるため、アルカリと酸成分により応力腐食割れを起こすおそれがある。このため、原子力発電所では、水質管理を特に厳しく行っている。
【0005】
浄化装置である復水脱塩装置から、腐食因子成分を微量でも溶出させることはプラント安全対策上極力避けなければならず、浄化装置であるなら本来溶出物はゼロにする必要がある。このため、従来から原子力発電所ではH−OH型復水脱塩装置が用いられている。
【0006】
PWR原子力発電所では、蒸気系統の配管、機器の腐食防止のため2次系統内の水にアンモニアを添加してpH9.2程度に調整するとともに、ヒドラジンをも添加し脱酸素処理をも行っている。
【0007】
このような運用においては、pH9.2に設定した場合、アンモニア濃度は約1ppm程度となるため、復水脱塩装置で復水処理を行ったとき、通常復水脱塩装置は複数の脱塩塔を備えているから、一つの脱塩塔については約10日に一度薬品再生処理を行う必要が生じる。一般的な発電プラントにおける脱塩塔の塔数は6〜10基であることから、1〜2日毎に再生が行われることになる。
【0008】
そして、復水脱塩装置に使用する強酸性型陽イオン交換樹脂は、通常、スチレン−ジビニルベンゼンの共重合体をスルホン化したものである。母体ポリマーは酸・アルカリあるいは有機溶媒にも強い安定した材料である。しかしながら、有機高分子材料の宿命である酸化劣化に関してはこの母体ポリマーも例外ではない。
【0009】
復水脱塩装置の陽イオン交換樹脂には、復水中に含まれる鉄、銅のイオンあるいはその酸化物を除去するため、それらの金属が付着している。また、アンモニアとともにヒドラジンもイオン交換により吸着している。
【0010】
前記陽イオン交換樹脂の酸化は、主に再生時の操作で使用する水、空気との接触により発生するが、特に、酸素、金属の存在下におけるヒドラジンの自己酸化により発生する過酸化水素の影響が大きい。陽イオン交換樹脂からは、酸化劣化により母体ポリマーより脱離したポリスチレンスルホン酸が溶出する。溶出したポリスチレンスルホン酸は、熱分解により硫酸イオンを放出する。このため、復水脱塩装置から流出したポリスチレンスルホン酸は、蒸気発生器において熱分解し、硫酸イオンとなる。この硫酸イオンは、ニッケル基合金の応力腐食に多大な影響を及ぼし、その影響度は塩素イオン以上であることが判明している。従って、蒸気発生器にニッケル基合金であるインコネル等の伝熱管を使用しているPWR原子力発電所では、腐食損傷防止、安全対策から硫酸イオンの低減は水質管理上最も重要な項目の一つとなっている。
【0011】
一方復水脱塩装置では、イオン交換樹脂を再生するために脱塩塔の他に再生設備が設けられている。再生するにあたり、イオン交換樹脂と水と空気力を利用し脱塩塔から再生設備に移送し、再生設備で付着物を物理的に剥離除去するとともに通常酸・アルカリで再生を行い、洗浄した後再び再生設備から脱塩塔にイオン交換樹脂を移送する。脱塩塔に移送された再生済イオン交換樹脂は、脱塩塔で再度充分混合し、洗浄を行った後通水する。イオン交換樹脂はこのような再生操作により、機械的損傷、化学的酸化を繰返し受けるため、再生回数が多いと劣化により樹脂寿命が短くなる、あるいは溶出物等が再生直後の通水時に流出し易くなり、水質悪化を引き起こす等種々の問題を発生させている。
【0012】
再生時の酸化劣化を防止する方法として、空気の代りに窒素ガスを使用する等種々の対策があるが、再生操作そのものによる機械的損傷等を低減し水質悪化を防止するには、再生回数を低減することが最も近道である。再生回数を低減する方法には、例えば復水を全量処理しないでバイパスし脱塩塔の通水量を低減する方法、陽イオン交換樹脂量あるいはイオン交換容量の増加等が考えられる。しかしながら、バイパス通水する方法は、復水器伝熱管の損傷により海水リークが発生した場合、特別な緊急操作が必要となり、元々全量を処理することで設計された復水脱塩装置の設計思想にも反する。また、イオン交換樹脂量の増加等による方法には、製造コスト、設置スペースから限度がある。
【0013】
そこで、再生回数を低減する他の方法として、火力発電所の復水処理に適用されているNH4 型陽イオン交換樹脂とOH型陰イオン交換樹脂の混合樹脂で復水を処理するアンモニア型運転が挙げられる。
【0014】
しかしながら、プラントの水質管理で、火力発電所と同様にアンモニアによるpH制御を行っているにもかかわらず、PWR原子力発電所で復水脱塩装置のアンモニア型運転が従来から用いられてこなかった理由は、再生後の陽イオン交換樹脂中のナトリウム分率(全交換基に対するNa型交換基のモル分率)と復水中のアンモニア濃度とのイオン交換平衡により溶出するNaイオン量が大きいため、蒸気発生器のNa水質管理基準値を満足できなかったためである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、とくにPWR原子力発電所の復水処理において、イオン交換樹脂の再生回数を低減するとともに処理水質の向上を可能とするために、蒸気発生器のNa水質管理基準値を満足させながら復水脱塩装置を主としてアンモニア型で運転できるようにした復水脱塩装置の運転方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る復水脱塩装置の運転方法は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混合したイオン交換樹脂を充填した複数の脱塩塔を備えた加圧水型原子力発電所の復水脱塩装置に復水を通水して復水の処理を行うようにした復水脱塩装置の運転方法において、任意に選定した1ないし2塔の脱塩塔はH−OH型運転を行って、繰返し酸とアルカリで再生するとともに、他の脱塩塔はアンモニア型運転を行い、該アンモニア型運転を行った脱塩塔に対しては、直接アンモニア水により陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の両樹脂を再生し、前記H−OH型に選定した脱塩塔の1塔の復水処理流量を、前記アンモニア型に選定した脱塩塔のうちのいずれの1塔の復水処理流量よりも小さく設定することを特徴とする方法からなる。
【0017】
すなわち、本発明は、次のような技術思想に基づくものである。アンモニア型復水脱塩装置に使用する陽イオン交換樹脂のNa分率は、2次系統水質管理pHと蒸気発生器のNa水質管理基準値により異なる。一般的に、pH=9.2では0.01%以下、pH=9.8では0.001%以下のNa分率とする必要がある。また、陰イオン交換樹脂の塩化物イオン(Cl)分率は、同様に0.1%以下、0.01%以下とする必要がある。
【0018】
この必要とされるNa分率、Cl分率は極めて小さく、復水脱塩装置の再生設備で従来方法により再生を行った場合、通常、達成できる値ではない。したがって、必要とされるNa分率等を達成するためには、イオン交換樹脂の製造、精製段階でNa分率並びにCl分率を目標値以下に低減した陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂を復水脱塩塔に充填するとともに、アンモニア型で運転する脱塩塔については、使用済のイオン交換樹脂を塩酸あるいは苛性ソーダ等の酸とアルカリ薬品で再生せず、濃アンモニア水のみで再生を行うことにより達成可能となり、この思想を利用したのが本発明方法である。
【0019】
従来のアンモニア型復水脱塩装置では、イオン交換樹脂の再生はH−OH型復水脱塩装置と同様に再生設備で陽および陰イオン交換樹脂を分離した後、陽イオン交換樹脂は硫酸あるいは塩酸、陰イオン交換樹脂は苛性ソーダで再生している。このため、分離操作時の陰イオン交換樹脂中への陽イオン交換樹脂の混入は避けられず、また薬品を充分洗浄しても洗いきれずに残留する酸・アルカリをゼロにすることは不可能である。このため、陽イオン交換樹脂のNa分率は、再生を繰返すと、上昇して0.001%以下に保持することができなくなり、とくにPWR原子力発電所においては復水脱塩装置のアンモニア型運転ができなくなる。再生を繰返しても、陽イオン交換樹脂のNa分率が上昇しないようにするためには、再生に、直接アンモニア水、とくに濃アンモニア水を使用し、陽イオン交換樹脂に吸着された微量のNaイオン、金属イオン等を再生除去することにより達成される。また、このとき、混合樹脂における陰イオン交換樹脂が濃アンモニア水により再生が可能であることは言うまでもない。
【0020】
一方、復水脱塩装置の複数の脱塩塔全塔をアンモニア型で運転すると、復水脱塩装置ではアンモニアを除去しないため、脱酸素剤として2次系統に添加したヒドラジンが分解しアンモニアとなることから、プラント運転を継続すれば2次系統のアンモニア濃度が増加し、pH調整ができなくなって、通常の復水処理におけるアンモニア型運用ができなくなるという問題が生じる。
【0021】
プラント2次系統からアンモニアを除去し、pH調整を行う方法として、復水脱塩装置以外の系統で、アンモニアを除去する装置、たとえば電気式脱塩装置、逆浸透膜装置等を蒸気発生器ブローダウン系統に設置することが考えられるが、設備の増加とコストアップを伴うため好ましくない。
【0022】
本発明では、このような設備の増加、コスト増をもたらさないで2次系統からアンモニアを除去することを、複数の復水脱塩塔のうちの1塔ないしは2塔をアンモニア型運転でなく、H−OH型運転とすることで達成している。つまり、このH−OH型運転を行う脱塩塔で復水中のアンモニアを吸着除去し、吸着量が飽和に達した陽イオン交換樹脂を再生設備により薬品再生を行い、アンモニアを除去したのち再使用するのである。ここでH−OH型運転を継続する脱塩塔は、再生により陽イオン交換樹脂中のNa分率が増加するため、アンモニア型運転をしないことを原則とし、H−OH型運転専用の脱塩塔として限定する必要がある。
【0023】
このように、本発明に係る方法では、複数の復水脱塩塔の内1塔ないしは2塔以上をH−OH型復水脱塩装置の運転に限定し、残りの脱塩塔をアンモニア型復水脱塩装置の運転に限定し、しかもアンモニア型運転を行う脱塩塔のイオン交換樹脂は濃アンモニア水で再生を行う。
【0024】
アンモニア型で運転される脱塩塔は、再生回数が大幅に低減するとともに従来のような再生でないため(つまり、直接アンモニア水による再生であるため)、再生による陽イオン交換樹脂の酸化劣化がなくなり、再生後の溶出物が発生せず、硫酸イオン成分を排出しない復水脱塩装置となる。
【0025】
また、H−OH型で運転される脱塩塔は、通常約10日に1回薬品再生をするように設計されている。したがって、このH−OH型脱塩塔の通水量をたとえば1/2にすると、20日に1回の再生となり、再生頻度を大幅に低減することも可能である。ただし、通水量は、2次系統のpH即ちアンモニア濃度と除去を必要とするアンモニア量の関係から決められる量であり、ヒドラジンの分解によるアンモニア量が少ない場合には、通水量はさらに大幅に低減することができる。
【0026】
また、本発明に係る方法によれば、2次系統を現状のpH9.2以上にする高pH水質管理にも対応が可能である。pHの増加によりH−OH型脱塩塔へのアンモニアの負荷が大きくなり、再生頻度が従来の10日より短くなるが、上記のようにH−OH型脱塩塔への通水量を低減することにより再生頻度(再生周期)を延ばすことが可能である。
【0027】
このように、本発明に係る方法においては、Na分率、Cl分率の低いイオン交換樹脂を充填して運転することにより、まず基本的に蒸気発生器のNa水質管理基準値を満たすことができる。そして、アンモニア型運転を行う脱塩塔は、従来と比較し再生回数は大幅に低減され、しかも濃アンモニア水でのみ再生が行われるために、イオン交換樹脂の酸化劣化が少なく、イオン交換樹脂の寿命が大幅に延長され、しかも、硫酸イオン成分の放出のない復水脱塩塔になる。また、H−OH型で運転する脱塩塔の数は、従来の1/3〜1/10(たとえば、6塔のうちの2塔〜10塔のうちの1塔)に減少し、しかも、通水流量の調整(低減)により再生頻度も大幅に低減できるから、再生の度に発生する硫酸イオン成分の放出も大幅に低減される。加えて、再生回数が大幅に低減することから、再生による陽イオン交換樹脂の酸化劣化が防止され、樹脂寿命が大幅に延長する利点がもたらされる。その結果、復水脱塩装置全体として、イオン交換樹脂の再生頻度、再生量、交換量が大幅に低減されるとともに、処理水質が向上される。
【0028】
なお、本発明に係る復水脱塩装置の運転方法では、以下のような考慮をはらうことが望ましい。復水器から海水が漏洩し復水に海水が混入するケースを海水リークと呼んでいるが、海水リークが発生した場合、Naイオン、Clイオンの脱塩塔イオン交換樹脂への負荷が増加し、Na分率、Cl分率が上昇するため、復水脱塩装置はアンモニア型運転を長時間継続することができなくなる。このため、一般的にはアンモニア型復水脱塩装置で海水リークが発生したときは、速やかにH−OH型運転に切り替え、また海水リークが無くなった場合には再びアンモニア型運転に戻す対応を行うのが通常である。しかしながら、本発明で対象とするPWR原子力発電所の復水脱塩装置では、処理水質を極めて高純度に保つ必要があることから、アンモニア型脱塩塔を海水リークがあった後、H−OH型運転に切り替えても、再びアンモニア型運転に戻すことができない。再びアンモニア型運転を行う場合は、新たにNa分率0.001%以下、Cl分率0.1%以下の陽および陰イオン交換樹脂を用意し、充填する必要がある。
【0029】
pHを9.2以上の高い値で2次系統の水質管理を行っているときに海水リークが発生すると、Na分率が僅かに上がっても脱塩塔からNaがリークし易くなるため、可及的すみやかに、2次系統のpHを下げる必要がある。pHを下げるには、2次系統への調整用に添加しているアンモニアの注入を停止するとともに、H−OH型脱塩塔の塔数を増加させアンモニアの除去量を増やす必要があり、このためにはたとえば再生設備や予備塔にH−OH型運転に用いるイオン交換樹脂を保管しておき、海水リークが発生した場合、速やかにアンモニア型脱塩塔のイオン交換樹脂と交換することが好ましい。
【0030】
また、アンモニア型運転を実施した脱塩塔のイオン交換樹脂は、前述の如く従来法による再生を実施しないため、酸化劣化を受け難く、長寿命である。しかしながら、長期使用に伴い樹脂中のNa分率が増加し、アンモニア型運転ができなくなった場合には、特別な再生設備によりNa分率を0.001%以下にして再使用するか、あるいは、H−OH型で使用した脱塩塔の樹脂は酸化劣化から定期的に交換が必要となり、アンモニア型運転の樹脂よりも交換頻度が高いから、アンモニア型脱塩塔で使用したイオン交換樹脂をH−OH型脱塩塔用樹脂として充当することも可能である。後者の場合には、アンモニア型脱塩塔で使用済のNa分率の高くなったイオン交換樹脂を酸・アルカリで再生処理した後、H−OH型脱塩塔に充填すればよい。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る復水脱塩装置の運転方法を実施するための復水浄化系を示している。図1において、1は複数の脱塩塔2を有する復水脱塩装置を示しており、図示を省略した復水器から送液されてくる復水の脱塩処理を行う。各脱塩塔2には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混合したイオン交換樹脂が充填されるが、このうち任意に選定した1塔以上の脱塩塔2(図1における脱塩塔d)は、H−OH型運転が行われ、使用済のイオン交換樹脂が繰返し酸とアルカリで再生される。残りの脱塩塔2(図1における脱塩塔a、b、c)は、アンモニア型運転が行われ、使用済のイオン交換樹脂が直接アンモニア水、とくに濃アンモニア水で再生処理される。
【0032】
復水器からの復水は、ライン3を介して各脱塩塔2に送られ、脱塩処理後にライン4を介して蒸気発生器へと循環される。
【0033】
5はイオン交換樹脂の再生設備を示しており、本実施態様では、再生設備5は、混合樹脂受入槽6、カチオン再生塔7、アニオン再生塔8を有している。
【0034】
アンモニア型運転を行う脱塩塔2a、b、cで使用済のイオン交換樹脂は、いずれかの脱塩塔出口弁9を開き、ライン10を介してカチオン再生塔7に移送される。カチオン再生塔7には、濃アンモニア水が送液され、酸や苛性ソーダ等のアルカリを使用せずに再生処理される。再生済のイオン交換樹脂は、弁11、いずれかの脱塩塔入口弁12を開き、ライン13を介して脱塩塔2a、b、cのいずれかに戻される。
【0035】
H−OH型運転の脱塩塔2dからの使用済のイオン交換樹脂は、脱塩塔出口弁14、受入槽入口弁15を開いて一旦混合樹脂受入槽6に送られ、該槽6内に残存していた混合樹脂とともに、混合樹脂受入槽6内に一旦収容される。混合樹脂受入槽6からは、弁16を開いてカチオン再生塔7に送られ、ここで陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂が分離され、上層側が陰イオン交換樹脂、下層側が陽イオン交換樹脂となる。この時、上層の陰イオン交換樹脂と下層の陽イオン交換樹脂との境界部分には、不完全分離の混合樹脂層が残る。分離された陰イオン交換樹脂は弁17を開きライン18を介してアニオン再生塔8に送られ、陽イオン交換樹脂層の上部に位置していた不完全分離樹脂層の混合樹脂は、ライン22を介して混合樹脂受入槽6に戻され、次の再生用樹脂の受け入れに備えられる。一方、下層の陽イオン交換樹脂はカチオン再生塔7内に残される。この状態でカチオン再生塔7に酸が注入され、陽イオン交換樹脂が再生されるとともに、アニオン再生塔8に苛性ソーダ(アルカリ)が注入され、陰イオン交換樹脂が再生される。再生済の陰イオン交換樹脂は、弁19を開きライン20を介してカチオン再生塔7に送られ、再生済の陽イオン交換樹脂と混合された後、ライン12を介して脱塩塔2dに戻される。
【0036】
アンモニア型脱塩塔2a、b、c、H−OH型脱塩塔2dのいずれについても、再生済のイオン交換樹脂はカチオン再生塔7から移送されるようになっているので、アンモニア型脱塩塔で使用済のイオン交換樹脂を再生後H−OH型脱塩塔2dに移送、充填することもできるようになっている。
【0037】
また、本実施態様では、H−OH型脱塩塔2dの1塔の復水処理流量は、アンモニア型脱塩塔2a、b、cの1塔の復水処理流量よりも小さく設定されている。
【0038】
さらに、本実施態様では、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂の予備樹脂を待機、充填しておく予備塔21が設けられている。この予備塔21には、H−OH型脱塩塔の1塔分のイオン交換樹脂が充填され、前述の如く海水リーク等の緊急時に備えられている。
【0039】
このようなPWR原子力発電所の復水処理系においては、たとえば、Na分率0.01%以下の陽イオン交換樹脂、Cl分率0.1%以下の陰イオン交換樹脂が脱塩塔2a、b、cに充填されてアンモニア型運転が行われ、再生は濃アンモニア水で実施される。また、脱塩塔2dの1塔以上が限定され、その脱塩塔2dだけはH−OH型運転が行われて、通常の酸・アルカリで再生が行われる。
【0040】
アンモニア型運転を行う脱塩塔2a、b、cは、従来法と比較し再生回数は大幅に低減され、しかも濃アンモニア水でのみ再生が行われるために、イオン交換樹脂の酸化劣化が少なく、イオン交換樹脂の寿命が大幅に延長し、しかも、硫酸イオン成分の放出のない復水脱塩塔になる。H−OH型で運転する脱塩塔2dについては、その数が従来の1/3〜1/10と少なくなることから、硫酸イオン成分の放出も塔数に比例して抑制され、処理水質が向上するとともに、イオン交換樹脂交換量も1/3〜1/10に低減される。また、通水量の調整(低減)により、再生頻度も低減される。
【0041】
さらに、予備塔21に待機されているイオン交換樹脂により、海水リーク時に対しても、迅速な対応が可能になる。
【0042】
上記のような本発明に係る復水脱塩装置の運転方法における、とくに直接アンモニア水によるイオン交換樹脂の再生処理を行うことの効果を確認するために、以下のような比較試験を行った(実施例1、比較例1)。
【0043】
実施例1
図2に示す装置で脱塩塔カラム101の通水を行った。脱塩塔カラム101にはNa分率を0.001%に調整した陽イオン交換樹脂とCl分率を0.1%に調整した陰イオン交換樹脂を樹脂比2:1で混合し、充填した(混合樹脂102)。循環水タンク103に収容した通水液には、アンモニア540μg/Lとヒドラジン250μg/Lとナトリウムイオン10ng/Lを薬液タンク104からポンプ105を介してそれぞれ純水に添加し、pH9.2に調整した液を用いた。また、処理水路106を、循環ポンプ107、各弁V1 、V2 、V3 を介して通水し、通水流速は80m/hrとした。
【0044】
予備のサイクルとしての第1通水サイクルについては、処理水中にアンモニアがリークし始めた時点で通水を終了し、その樹脂を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とに分離することなく両イオン交換樹脂の混合状態のままで12%アンモニア水により再生した。この再生した樹脂を再び脱塩塔カラム101に充填、混合し、通水を行った。第2通水サイクルは、処理水中にアンモニアがリークする状態で通水を継続し、このアンモニア型運転塔の通水結果をみるために、処理水の分析を行った。処理水の分析は紫外線照射装置により有機成分を紫外線分解した後にイオンクロマト装置により行った。結果を表1に示した。
【0045】
比較例1
図2に示す装置で脱塩塔カラム101の通水を行った。脱塩塔カラム101の充填樹脂、樹脂比、通水液、通水流速は実施例1と同様とした。実施例1と同様に、第1通水サイクルはアンモニアがリークした時点で通水を終了し、その後陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を分離し、陽イオン交換樹脂は7%塩酸で、陰イオン交換樹脂は7%苛性ソーダにより各々再生した後、再び脱塩塔カラムに充填、混合し通水を行った。第2通水サイクルは、陽イオン交換樹脂がアンモニウムイオンで飽和し、アンモニアブレークした後も通水を継続し、その時の処理水の分析を行った。アンモニアブレーク後の処理水の分析は実施例1と同様とした。結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
Figure 0004367815
【0047】
表1より、本発明によれば、濃アンモニア水により陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の再生を行うことで、分離操作時の陰イオン交換樹脂中への陽イオン交換樹脂の混入がなく陰イオン交換樹脂のナトリウム分率が上昇しないため、従来の分離再生でのアンモニア型運転(つまり、酸・アルカリ再生処理を伴う運転)に比べ著しく良好な処理水を得ることができることが明らかになった。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の復水脱塩装置の運転方法によるときは、PWR原子力発電所の復水処理系において、アンモニア型脱塩塔の運転と、限定したH−OH型脱塩塔の運転との併用とするとともに、アンモニア型脱塩塔のイオン交換樹脂の再生をアンモニア水のみで行うようにしたので、処理水質について蒸気発生器のNa水質管理基準値を満足させながら復水脱塩装置を主としてアンモニア型で運転することができ、復水脱塩装置全体に関してイオン交換樹脂の再生頻度を大幅に低減することができるとともに、硫酸イオン成分の放出を抑制して処理水質を向上することができる。再生頻度の低減により、使用するイオン交換樹脂の酸化劣化を抑えて樹脂の寿命を延長することができ、硫酸イオン成分放出の抑制により、PWR原子力発電所での脱塩塔のアンモニア型運転を可能にするとともに、処理復水の水質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る復水脱塩装置の運転方法を実施するための復水処理系の機器系統図である。
【図2】本発明に係るアンモニア型運転の効果を確認するために行った実験装置の機器系統図である。
【符号の説明】
1 復水脱塩装置
2 脱塩塔
5 再生設備
6 混合樹脂受入槽
7 カチオン再生塔
8 アニオン再生塔
21 予備塔
101 脱塩塔カラム
102 混合樹脂
103 循環水タンク
104 薬液タンク
105 ポンプ
106 処理水路
107 循環ポンプ
1 、V2 、V3

Claims (3)

  1. 陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混合したイオン交換樹脂を充填した複数の脱塩塔を備えた加圧水型原子力発電所の復水脱塩装置に復水を通水して復水の処理を行うようにした復水脱塩装置の運転方法において、任意に選定した1ないし2塔の脱塩塔はH−OH型運転を行って、繰返し酸とアルカリで再生するとともに、他の脱塩塔はアンモニア型運転を行い、該アンモニア型運転を行った脱塩塔に対しては、直接アンモニア水により陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の両樹脂を再生し、前記H−OH型に選定した脱塩塔の1塔の復水処理流量を、前記アンモニア型に選定した脱塩塔のうちのいずれの1塔の復水処理流量よりも小さく設定することを特徴とする、復水脱塩装置の運転方法。
  2. アンモニア型運転を行った脱塩塔のイオン交換樹脂を交換するに際し、使用済イオン交換樹脂をH−OH型脱塩塔用のイオン交換樹脂として再使用することを特徴とする、請求項1復水脱塩装置の運転方法。
  3. 混合したイオン交換樹脂の予備樹脂として、H−OH型脱塩塔用の1塔分を保管しておくことを特徴とする、請求項1または2に記載の復水脱塩装置の運転方法。
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