JP4365663B2 - ポリイミド金属積層板 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブル配線板やハードディスクドライブのワイアレスサスペンション等に用いられるポリイミド金属積層板に関するものである。さらに詳しくは、ポリイミド及び/またはポリイミドと金属箔界面における耐熱性が良好であり、引き剥がし強度が高く、且つアルカリ水溶液によるウェットエッチング性が容易であるため、高温での部品アッセンブリーが可能であり、且つ微細加工が可能な高密度回路基板材料に適するポリイミド金属積層板及びその用途に関するものである。
近年、ハードディスクドライブの小型化・高性能化が急激に進み、ハードディスクサスペンションも軽量且つ小型化に有効なハードディスクサスペンションが用いられている。このサスペンションの材料としては、銅合金/ポリイミド/SUS304からなる金属積層体がこれまで広く用いられてきた。
上記のようなポリイミド金属積層体を用いてワイアレスサスペンションを製造する方法として、例えば、セミアディティブ法により配線部を形成した後に、絶縁層であるポリイミド樹脂をプラズマエッチング法により加工する方法が開示されている(特許文献1参照)。このプラズマエッチングという手法により、ポリイミドを加工精度よくエッチングすることが可能であり、且つフライングリードの形成が容易であるため、多様な形状のサスペンションを設計することが可能である。しかし、プラズマエッチング工程は枚葉式であり、且つエッチング速度が遅いため生産性が悪く、さらに装置コストも非常に高いという難点があった。
上記のようなプラズマエッチングの欠点を補う手法として、従来より検討されてきたアルカリ水溶液によるウェットエッチングがある。ウェットエッチングはプラズマエッチングよりもエッチング速度が速く、且つプロセスコストが非常に低いという利点がある。特許文献2にはポリイミド金属積層板において、ポリイミド系樹脂にアルカリエッチングが可能で、金属との接着性を有するものを用いることで、ウェットエッチングが可能なポリイミド金属積層板が提案されている。しかしながら、耐熱性として主にガラス転移点については留意しているものの、ポリイミド樹脂及び/又はポリイミド金属箔界面との熱変化による剥がれについては言及されず、ポリイミド金属板を加工する際に、300 ℃以上の高温下において、ポリイミド樹脂/およびその金属箔界面近傍に剥がれが生じやすいという問題があった。また金属箔との接着性は高いが、ポリイミド樹脂の化学構造との相関に関しては言及していないものであった。
特開2002-25027号公報 特開2002-245609号公報
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、ポリイミドと金属箔界面及び、その近傍における耐熱性を向上し、金属箔との接着性が高く、かつウェットエッチング加工に優れた熱可塑性ポリイミドを有するポリイミド金属積層板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、金属箔の少なくとも片面にポリイミド系樹脂が形成された積層板において、ポリイミド系樹脂として特定特性を有するジアミンを原料として製造されるポリイミドを用いることで、ポリイミド金属積層板を加工する際に曝される、350℃、5〜10分の加熱に対し、ポリイミド系樹脂と金属箔の剥がれが生じないウェットエッチング可能なポリイミド金属積層板が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、以下に関するものである。
1)金属箔の少なくとも片面にポリイミド系樹脂が形成されたポリイミド金属積層板において、金属箔に接するポリイミド樹脂が、全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1−0.45であるジアミンとテトラカルボン酸二無水物から得られるものであることを特徴とするポリイミド金属積層板。
2)全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1−0.45であるジアミンが、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−1−ベンゾイル)ベンゼン、3,3’−ビス(3−アミノ−1−ベンゾイル)ベンゾフェノンより選ばれた少なくとも一種のジアミンを含むものである1)記載のポリイミド金属積層板。
3)テトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物を含むものである1)記載のポリイミド金属積層板。
4)1)〜3)記載のポリイミド金属積層板から製造されるフレキシブルプリント基板。
5)1)〜3)記載のポリイミド金属積層板から製造されるハードディスクサスペンション。
本発明によれば、ポリイミドと金属箔界面及び、その近傍における耐熱性を向上し、金属箔との接着性が高く、かつウェットエッチング加工に優れた熱可塑性ポリイミドを有するポリイミド金属積層板を得ることができる。
また、本発明の積層板を用いることにより、高温での部品実装に対応でき、超微細加工が可能となるためハードディスクドライブのサスペンション加工し、使用される。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリイミド金属積層板は、金属箔の少なくとも片面にポリイミド系樹脂が形成されたものであり、好ましくはポリイミド系樹脂層の両面または片面にバネ特性を有する金属箔が形成されたものである。金属箔としてはバネ特性を有するものが好ましく、金属の種類は問わないが、好ましくはステンレス箔、銅合金箔、ニッケル合金箔、モリブデン箔、4,2アロイ箔、チタン箔等が挙げられる。さらに好ましくはステンレス箔、銅合金箔である。
本発明において、金属箔を薄くすることより、ポリイミド金属積層板が使用される電気機器の小型・軽量化が測れることから好ましい。金属箔の厚みは好ましくは2〜150μmであり、より好ましくは2〜100μmである。
本発明のポリイミド金属積層板におけるポリイミド系樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。好ましくはポリイミドである。ポリイミド系樹脂層は単層、多層を問わないが、製造が容易であり、また特性の制御がしやすいことから2〜3層が好ましい。
金属箔と接するポリイミド樹脂はジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるものであり、本発明においては全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1-0.45であるジアミンとテトラカルボン酸二無水物から得られるものであることが必須である。金属箔と接するポリイミド樹脂は、上記条件を満たせば特に限定はされないが、熱可塑性ポリイミドであることが好ましい。
ここで、全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1-0.45であるジアミンとは、ポリイミド樹脂に用いる全ジアミンに含まれるベンゼン環の総個数を1とした時のカルボニル基の個数を示したものである。
上記、金属箔に接するポリイミド樹脂の原料となる全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1−0.45であるジアミンは、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−1−ベンゾイル)ベンゼン、3,3’−ビス(3−アミノ−1−ベンゾイル)ベンゾフェノンから選ばれた少なくとも一種のジアミンを用いることが好ましいが、ポリイミド系樹脂の特性を損なわない範囲で任意のジアミンを添加することもできる。また、使用するテトラカルボン酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物を含むものが好ましい。
前述のポリイミド樹脂を製造する際に、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分の反応モル比は0.75〜1.25の場合、反応の制御が容易であること、且つ合成されるポリイミド系樹脂の加熱流動性が良好であることから好ましく、さらに好ましくは0.90〜1.10である。
ポリイミド系樹脂の厚みも金属箔と同様に薄くすることより、ポリイミド金属積層板を使用する電気機器の小型化・軽量化が可能となるため0.5〜50μmが好ましく、さらに好ましくは1〜10μmである。
金属箔に直接接しないポリイミド系樹脂としては、前述の熱可塑性ポリイミド以外に、市販の非熱可塑性ポリイミドフィルムが利用できる。特に鐘淵化学工業(株)社製、アピカル(登録商標)NPI、アピカル(登録商標)HP、東レ・デュポン(株)社製、Kapton(登録商標)ENが好ましく用いられる。またポリイミド金属積層板の特性を損なわない範囲内で、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られる任意のポリイミドも利用することができる。
上記ポリイミド系樹脂の合成は、一般的にはN-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、硫酸ジメチル、スルホラン、ブチロラクトン、クレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノール、シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジグライム、トリグライム等の溶媒中において、上記カルボン酸二無水物と上記ジアミンを所定の割合で混合し、反応温度0〜100 ℃の範囲内で反応させることにより、ポリイミド系樹脂の前駆体であるポリアミド酸が得られる。さらに、この溶液を200〜500℃で熱処理することによりポリイミド系樹脂が生成することができる。
本発明のポリイミド金属積層板は、ポリイミド系樹脂と金属箔とを加熱圧着することにより製造することができる。以下にポリイミド系樹脂と金属箔とを加熱圧着する方法を述べる。代表的な方法として、加熱プレス法及び/又は熱ラミネート法がある。例えば加熱プレス法は、ポリイミド系樹脂と金属箔を所定の大きさに切り出し、重ね合わせた状態で加熱プレスを行い、両者を接着することができる。加熱温度としては150〜600℃の温度範囲が好ましい。加圧力の制限はないが、好ましくは0.1〜500 kg/cm2で製造することが好ましい。加圧時間については特に制限はない。
熱ラミネート法には様々な手法が存在するが、ポリイミド系樹脂と金属箔をロールとロールの間に挟み、張り合わせる方法が好ましい。ロールの種類には金属ロールとゴムロールがある。ゴムロールには耐熱性を有するシリコンゴム、フッ素系ゴムを使用するのが好ましい。金属ロールには鋼材やステンレス材料が使用されており、表面にクロムメッキ等が施されたロールを使用するのが好ましい。ラミネートの温度としては100〜300℃の温度範囲が好ましい。加熱方式は伝導加熱、輻射加熱、誘導加熱方式がある。
熱ラミネート後、加熱アニールすることも好ましい。加熱装置として、通常の加熱炉、オートクレーブ等が利用できる。加熱雰囲気として、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。加熱方法としてはフィルムを連続的に加熱する方法、又はフィルムを巻き軸に巻いた状態で加熱炉に放置する方法が好ましい。加熱方式としては、伝導加熱方式、輻射加熱方式、及びこれらの併用方式が好ましい。加熱温度は200〜600℃の温度領域が好ましい。加熱時間は0.05〜5000分の時間が好ましい。
また、本発明のポリイミド金属積層板は、ポリイミド系樹脂の前駆体のワニスを金属箔に塗布した後、乾燥することにより製造することもできる。金属箔上に熱可塑性ポリイミドの溶液またはポリアミドの前駆体であるポリアミック酸溶液(以下、これらを総称してワニスという)を直接塗布・乾燥することより製造することができる。ワニスは、上記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られた溶液である。
金属箔上に直接塗工する方法としては、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法が利用できる。これらの方法を塗布厚み、ワニス等に応じて選択することができる。
塗布したワニスを乾燥・キュアする方法として、通常の加熱乾燥炉を利用することができる。乾燥炉の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥の温度としては、溶媒の沸点により適宜選択するが60〜600℃の温度範囲が好ましい。乾燥時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択するが0.5〜500分で行うのが好ましい。
ポリイミド金属積層板のポリイミド系樹脂の耐熱性として、雰囲気下350℃のオーブン中にて5〜10分加熱したとき、ポリイミド系樹脂中及び/又はポリイミド系樹脂と金属箔の界面に100μm以上の剥がれが発生しないことが必要である。本発明のポリイミド金属積層板はフレキシブル配線板やハードディスクドライブ用サスペンションに加工され、チップやスライダをポリイミド金属積層板上にアッセンブルする際に、350℃程度の加熱雰囲気下に曝されるため、その際に剥がれが生じないことが好ましい。また作業中の安全性のため、オーブン中は、窒素やアルゴンといった不活性ガス雰囲気が好ましい。雰囲気温度とはオーブン中の温度ではなく、ポリイミド金属積層板の温度である。耐熱性の測定の際、オーブン中にて5〜10分加熱するが、出来るだけ長時間の耐熱性が必要とされるため、10分以上の加熱が好ましい。オーブン中にて加熱及び/又は加熱後、ポリイミド系樹脂及び/又は金属箔とポリイミド系樹脂界面において100μm以上の剥がれが発生しないことが必要である。剥がれの大きさは100μm未満の大きさであれば外観上問題ないが、好ましくは50μm未満、より好ましくは0.1μm未満である。
本発明のポリイミド金属積層板のポリイミド系樹脂は、80℃、33 wt%の水酸化カリウム水溶液によるエッチング速度の平均が1.0μm/min以上であることが好ましい。エッチング速度が大きいほど、ポリイミド系樹脂の加工形状や生産性が良くなることからである。ポリイミド系樹脂が二層以上のポリイミド系樹脂で形成されている場合、全ての層のポリイミド系樹脂のエッチング速度の平均値が1.0μm/min以上であればよく、各々の層のエッチング速度の値は特に限定されない。
ポリイミド系樹脂層のエッチング速度は、上記方法により測定した場合は1.0μm/min以上であることが好ましいが、上記方法とは異なる方法によりエッチング速度を測定した場合、1.0μm/min未満となっても問題ない。
本発明のポリイミド金属積層板のポリイミド系樹脂をエッチング加工する場合、エッチング液はアルカリ水溶液であればよく、上記80℃、33wt%水酸化カリウム水溶液に限定されるものではない。エッチング液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムを用いることができる。またアルカリ水溶液とポリイミド樹脂の親和性を増大させるため、アルカリ水溶液にモノエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ヒドラジン1水和物、エチレンジアミン、ジメチルアミンを含有させることも好ましい。
本発明によれば、耐熱性、ポリイミドエッチング速度に優れたポリイミド金属積層板が得られる。そのため、本発明のポリイミド金属積層板は特に、ハードディスク用サスペンションとして好ましい。
以下にフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例について簡単に記す。フレキシブルプリント基板に用いられるポリイミド金属積層板の製造は公知の製造方法により製造することが出来るが、好ましい製造方法としては、金属箔上に熱可塑性ポリイミド系樹脂の前駆体であるポリアミック酸を塗布・乾燥した後、順次、非熱可塑性、熱可塑性ポリイミド樹脂を塗布・乾燥し、200℃以上の高温で熱処理した後に、必要な場合にはスルーホール及び/又はビアホールを形成し、その後金属箔とラミネートする。または非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド系樹脂を塗布・乾燥し、両面に金属箔を加熱圧着することにより製造することが出来る。
上記で得られたポリイミド金属積層板を原料として用いて、フレキシブルプリント配線板を製造するに際し、両面の金属箔にフォトレジストにより所定のパターンを形成し、露光・現像する。次いで両面の金属箔をエッチング処理により除去し、回路を作成する。金属箔上に残留物として存在するフォトレジストを除去した後に、エッチング加工後の金属箔に金等の金属をメッキすることにより、所定の回路パターンを作成することが出来、フレキシブルプリント配線板として利用することが出来る。
以下にハードディスク用サスペンションの製造方法について簡単に記す。ハードディスクサスペンションに用いられるポリイミド金属積層板の製造は公知の方法により製造することが出来るが、好ましい製造方法としては、銅箔上に熱可塑性ポリイミド系樹脂の前駆体であるポリアミック酸を塗布・乾燥した後、順次、非熱可塑性、熱可塑性ポリイミド樹脂を塗布・乾燥し、200℃以上の高温で熱処理した後に、ステンレス箔とラミネートする。または非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミド系樹脂を塗布・乾燥し、両面にステンレス箔を加熱圧着することにより製造することが出来る。
以上のポリイミド金属積層板を原料としてハードディスク用サスペンションを製造することが出来る。ハードディスク用サスペンションとは、磁気読み取り機能を有するヘッド部を搭載するバネ性を持つ部品である。
上記のポリイミド金属積層板を原料としてハードディスク用サスペンションを製造するに際して、ステンレス箔及び金属箔をエッチング処理により、所定の回路パターンを作成し、ポリイミド樹脂膜表面に残留した前記ステンレス箔及び金属箔をマスクとして露出した部分のポリイミド樹脂をエッチング処理し、次いで前記金属箔にエッチングレジストあるいはフォトレジスト層を形成して該金属箔を所定の形状にエッチング処理することにより回路を形成することが出来、サスペンションとして用いることが出来る。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。なお実施例における各種特性の評価は以下の方法による。
[ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数の定義]
ジアミン成分中のベンゼン環一つに対するカルボニル基の個数である。二種、三種のジアミンを混合した場合は、各ジアミンの
混合モル比と各ジアミンのカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数を乗じた数値の合計で表す。
[片面ポリイミド金属積層板のエッチング速度測定]
金属箔上にポリイミド樹脂を形成し、ポリイミド樹脂の厚みを測定した。金属箔を残したままの状態で80℃の33%水酸化カリウム水溶液に浸漬し、水洗後、一定時間毎に厚みを測定した。時間ごとの厚み量の変化からエッチング速度を算出した。
[両面ポリイミド金属積層板のエッチング速度測定]
銅合金箔上に三層のポリイミド系樹脂層を形成し、ステンレス箔と熱プレスを行い、ポリイミド金属積層板を作成した。銅箔面を塩化第二鉄水溶液により、エッチング除去した後に、一方のステンレス箔を残したままの状態で80℃の33%wt水酸化カリウム水溶液に浸漬し、水洗後、一定時間毎に厚みを測定した。時間ごとの厚み量の変化からエッチング速度を算出した。
[接着性の測定]
銅合金箔上に三層のポリイミド系樹脂層を形成し、ステンレス箔とプレスを行い、ポリイミド金属積層板を作成した。銅合金箔の全体に感光性材料であるレジスト層を作成した後に、露光機(オーク製作所製)により、所定のパターンを銅合金箔上に作成し、現像を行った。次いで塩化第二鉄水溶液により、不要な銅箔をエッチング除去し、銅箔幅47および75μmの測定サンプルを作成した。作成した銅箔回路の先端を引き剥がし、引張試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、金属箔を90°方向に引き剥がし強さを測定した。表に示した値は引き剥がし強さの平均値である。
[耐熱性の評価]
銅合箔上に三層のポリイミド系樹脂層を形成し、ステンレス箔と熱プレスを行い、ポリイミド金属積層板を作成した。次いで雰囲気温度が350℃となっているイナートオーブン(ヤマト科学製)中にポリイミド金属積層板を10分間静置した。その後、当該ポリイミド金属積層板をイナートオーブンから取り出し、室温まで冷却した。銅合金箔側を塩化第二鉄水溶液によりエッチング除去した後に、ポリイミド系樹脂の表面から100倍の実体顕微鏡にて剥がれが発生していないか確認を行った。また剥がれが存在していた場合、剥がれの大きさを測定し、100μm以上のものがあった場合は不合格、100μm以上のものがなかった場合は合格と判定した。
また、実施例に用いた溶剤、酸二無水物、ジアミンの略称を以下に示す。
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
DABP:3,3’−ジアミノベンゾフェノン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
PPD:パラフェニレンジアミン
BPDA:3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
m-BP:4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル
ODA:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
合成例1
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
1000cmのセパラブルフラスコ中、テトラカルボン酸二無水物PMDA0.275モル及びジアミンAPB0.188モル、DABP0.094モルをDMAc404.9gに窒素雰囲気下にて溶解させ、15時間攪拌を行い、ポリアミック酸ワニスを得た。また反応時の固形分濃度は25%であった。得られたポリアミック酸の粘度は25℃において 10000cpsであり、塗工に適したものであった(全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数=0.125)。
合成例2
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
1000cmのセパラブルフラスコ中、テトラカルボン酸二無水物PMDA0.200モルとジアミンAPB0.103モル、1,3−ビス(3−アミノ−1−ベンゾイル)ベンゼン0.103モルを溶媒DMAc317.0g中に窒素下にて溶解させ、15時間攪拌を行い、ポリアミック酸ワニスを得た(全ジアミン中のカルボニルの個数/ベンゼン環の個数=0.33)。
合成例3
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
1000cmのセパラブルフラスコ中、テトラカルボン酸二無水物PMDA0.200モルとジアミンAPB0.103モル、3,3’−ビス(3−アミノ−1−ベンゾイル)ベンゾフェノン0.103モルを溶媒347.8g中に窒素下にて溶解させ、15時間攪拌を行い、ポリアミック酸ワニスを得た(全ジアミン中のカルボニルの個数/ベンゼン環の個数=0.43)。
合成例4
<非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分として、PPDを7.7モルを秤量した。テトラカルボン酸成分として、BPDAを5.4モル、PMDAを2.25モル秤量した。DMAcに溶解し混合した。反応温度、時間は、23℃、6時間であった。また、反応時の固形分濃度は、20重量%である。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は 25℃において30000cps であり、塗工に適したものであった。
合成例5
<非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分としてm-BP を2.3モル、ODAを5.4モル秤量した。テトラカルボン酸成分としてPMDAを7.5モル秤量した。DMAcに溶解し混合した。反応温度、時間は、23℃、6時間であった。また、反応時の固形分濃度は、20重量%である。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は 25℃において20000cps であり、塗工に適したものであった。
合成例6
<非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
合成例4と合成例5のポリアミック酸を77:23で混合し、非熱可塑性ポリアミック酸ワニスを得た。
合成例7
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
1000cm3のセパラブルフラスコ中、テトラカルボン酸二無水物 BTDA 0.138 モルとジアミン DABP 0.140 モルを溶媒DMAc 421.6g中に窒素下にて溶解させ、15時間攪拌を行い、ポリアミック酸ワニスを得た(全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数=0.5)。
合成例8
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
1000cm3のセパラブルフラスコ中、テトラカルボン酸二無水物 PMDA 0.169モルとジアミンAPB 0.171モルを溶媒259.1g中に窒素下にて溶解させ、15時間攪拌を行い、ポリアミック酸ワニスを得た(全ジアミン中のカルボニルの個数/ベンゼン環の個数=0.00)。
実施例1
<片面ポリイミド金属積層板の製造>
市販のステンレス箔(新日鐵社製、商品名:SUS304H-TA、厚み:20μm)上に熱可塑性ポリイミド層として、合成例1-3のポリアミック酸ワニスを塗布した後、乾燥を行った。合成例1のワニスを塗布したものをサンプル1とし、以下合成例2のものをサンプル2、合成例3のものをサンプル3とした。ポリアミック酸ワニスの塗布にはアプリケーター(康井精機社製)を使用し、塗布、乾燥後のポリイミド層の厚みは7.2μmであった。尚、塗布したワニスをオーブン中に静置し、100℃から350℃まで10 ℃/minで乾燥させた。
<ポリイミド金属積層板の評価>
得られた三種のポリイミド金属積層板を用い、エッチング速度を前述のように測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1-0.45であるポリイミド系樹脂はエッチング速度が速いことが明らかである。
Figure 0004365663
実施例2
<片面ポリイミド金属積層板の製造>
三種類のポリイミド金属積層板を作成した。まず市販の銅合金箔(新日鐵社製、商品名:NK120、厚み:12μm)上に熱可塑性ポリイミドとして、合成例7のポリアミック酸ワニスを塗布した後、乾燥を行った。次いで二層目として、非熱可塑性のポリイミドである合成例6のポリアミック酸ワニスを塗布、乾燥を行った。次いで三層目として、それぞれ熱可塑性ポリイミドである合成例1-3のポリアミック酸ワニスを塗布、乾燥を行った。合成例1のワニスを塗布したものをサンプル4、以下合成例2のワニスを塗布したものをサンプル5、合成例3のワニスを塗布したものをサンプル6とした。乾燥・塗布後の厚みは10.5 μmであった。100℃から350℃まで10℃/minで乾燥させた。
<熱プレスの実施>
接着する金属としてステンレス箔(新日鐵社製、商品名:SUS304H-TA、厚み20μm)を使用した。実施例2で得られた片面ポリイミド金属積層体とSUS304H-TA箔を各々重ね合わせたものをクッション材(金陽社製、商品名:キンヨーボードF200)で挟み、加熱プレス機で300℃、100kg/cm2の条件下で、80分間圧着して、SUS304H-TA/熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミド/熱可塑性ポリイミド/NK120の五層よりなるポリイミド金属積層板を作成した。
<両面ポリイミド金属積層体の評価>
得られたポリイミド金属積層板を用い、エッチング速度、耐熱性、且つ、引き剥がし強さを前述のように測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1-0.45であるものは、エッチング速度、耐熱性、引き剥がし強度ともに良好であった。
Figure 0004365663
比較例1
<片面ポリイミド金属積層体の製造及び評価>
実施例1と同様の方法で、合成例8のワニスを用い、片面ポリイミド金属積層板を製造し、評価を行った。合成例8のワニスを用いたものをサンプル7とする。結果を表3に示す。全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1−0.45であるサンプル1−3と比較し、それが0であるサンプル7では、エッチング速度は減少しており、十分でない。
Figure 0004365663
比較例2
<両面ポリイミド金属積層体の製造及び評価>
実施例2と同様の方法で、合成例8のワニスを用い、両面ポリイミド金属積層板を製造し、評価を行った。合成例8のワニスを用いたものをサンプル9とする。結果を表4に示す。全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1−0.45であるサンプル4−6と比較し、サンプル9のものはエッチング速度及び、耐熱性が低い。従って全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1−0.45であるサンプル4−6において全ての物性が良好であり、ポリイミド金属積層板に用いるのに好適である。
Figure 0004365663
本発明の積層板を用いることにより、高温での部品実装に対応でき、超微細化工が可能となるため、ハードディスクドライブのサスペンションへ加工され、使用される。

Claims (5)

  1. ポリイミド系樹脂層と、その両面に配置された金属箔とを含むポリイミド金属積層板であって、
    前記金属箔の一方または両方に接するポリイミドが、全ジアミン中のカルボニル基の個数/ベンゼン環の個数が0.1〜0.45であるジアミンとテトラカルボン酸二無水物から得られ
    前記ジアミン成分は、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノ- 1-ベンゾイル)ベンゼン、3,3'-ビス(3-アミノ-1-ベンゾイル)ベンゾフェノンより選ばれた少なくとも一種のジアミンを含む、
    ポリイミド金属積層板。
  2. テトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物を含む、請求項1記載のポリイミド金属積層板。
  3. ハードディスクサスペンションを製造するための、請求項1または2に記載のポリイミド金属積層板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミド金属積層板から製造されるフレキシブルプリント基板。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミド金属積層板から製造されるハードディスクサスペンション。
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