人間は、右目と左目の網膜に写った像の違い、すなわち、両眼視差を脳内で処理することにより、奥行きを知覚すると考えられている。従来、これを利用して、立体表示装置において、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイ上に、レンチキュラーレンズやパララックスバリアを設けることにより、左右両眼視差を利用して、観察者が画像の奥行き感を感じることができる立体画像が表示するようになされていた。
立体画像を表示する場合、2枚(またはそれ以上)の視差像を上下方向に長く切って交互に並べ、その画像の手前に、画像を並べた周期と同じ周期を持ち、焦点が画像面となるようなレンチキュラーレンズが設置されるか、または、画像を並べた周期と同じ周期を持ち、開口部の幅が要素画像と同一であるパララックスバリアが設置される。この画像を、レンチキュラーレンズ、または、パララックスバリアを介して、所定の距離から観察すると、観察者の左右の目に別々の画像(交互に並べられた視差像のそれぞれ)を分離して提示することができ、両眼視差が発生する。
パララックスバリアを利用して立体画像を表示する場合、バリア部分で光が遮られるので、レンチキュラーレンズを用いた場合と比較して、像が暗くなる。特に、視点数が多い立体表示が可能な場合、すなわち、異なる視点で撮像される画像の枚数が多い場合においては、パララックスバリアにより遮蔽された光を補うため、バックライトが必須となる。カラー画像を表示させる場合、レンチキュラー方式およびパララックスバリア方式のいずれの場合においても、加色の3原色、または、光の3原色と称される、赤、緑、青(RGB)の輝度情報を1単位、すなわち、1画素として、左右の眼に対して異なる視点の画像を表示させることで、立体表示を行うことができる。
図1に、従来の立体表示装置の第1の例のパネル構造を示す。立体表示装置は、レンチキュラーレンズ1と表示デバイス2とにより立体画像を表示することができるようになされている。表示デバイス2上には、一般的な観察者の両眼の距離である約6cm離れた左右の視点(すなわち、左右の眼)に対して右視点(右眼)には右視点により見えるべき画像情報、左視点(左眼)には左視点により見えるべき画像情報だけが観察されるような構造を有するレンチキュラーレンズ1が配置されている。表示デバイス2は、RGBの輝度情報で1単位(1画素)を表示するようになされている。
図2は、図1の立体表示装置が1視点の立体表示を行う場合のレンチキュラーレンズ1−1と表示デバイス2−1の水平断面と、観察者の左右の視点を示す図である。表示デバイス2−1は、RGBで1単位(1画素)を表示するようになされており、左目11により見えるべき画像情報(図中Lで示される画素rgb)と右目12により見えるべき画像情報(図中Rで示される画素rgb)が、交互に配置されて表示されるようになされている。レンチキュラーレンズ1−1を構成するシリンドリカルレンズのピッチは、表示デバイス2−1の2画素分のピッチと等しいように設定され、その焦点は、例えば、観察者が60cm離れた位置から立体表示装置を見ると、表示デバイス2−1の表面となり、左目11には、左視点により見えるべき画像情報(図中Lで示される画素rgb)がレンチキュラーレンズ1−1を構成するそれぞれのシリンドリカルレンズにより横方向に2倍に拡大されて見え、右目12には、右視点により見えるべき画像情報(図中Rで示される画素rgb)がレンチキュラーレンズ1−1を構成するそれぞれのシリンドリカルレンズにより横方向に2倍に拡大されて見えるように設計される。
すなわち、左目11には、レンチキュラーレンズ1−1を構成するシリンドリカルレンズのうち、図中Aで示したシリンドリカルレンズにより2倍に拡大されて見える図中Lで示される画素rgbと、図中Bで示したシリンドリカルレンズにより2倍に拡大されて見える図中Lで示される画素rgbと、図中Cで示したシリンドリカルレンズにより2倍に拡大されて見える図中Lで示される画素rgbとが、連続して観察され、右目12には、レンチキュラーレンズ1−1を構成するシリンドリカルレンズのうち、図中Aで示したシリンドリカルレンズにより2倍に拡大されて見える図中Rで示される画素rgbと、図中Bで示したシリンドリカルレンズにより2倍に拡大されて見える図中Rで示される画素rgbと、図中Cで示したシリンドリカルレンズにより2倍に拡大されて見える図中Rで示される画素rgbとが、連続して観察される。したがって、観察者の左右の目の両眼視差により、観察者は、立体映像を観察することができる。
図2の立体表示装置においては、所定の1箇所から画像を観察したときのみ、立体映像を観察することができるようになされているが、これに対して、立体画像を観察可能な視点を2箇所設けることができるようにする技術がある。
図3は、立体画像を観察可能な視点を2箇所設けることができるようにした立体表示装置のレンチキュラーレンズ1−2と表示デバイス2−2の水平断面と、観察者の左右の視点を示す図である。表示デバイス2−2は、RGBで1単位(1画素)を表示するようになされており、第1の視点により見えるべき画像情報(図中αで示される画素rgb)、第2の視点により見えるべき画像情報(図中βで示される画素rgb)、および、第3の視点により見えるべき画像情報(図中γで示される画素rgb)が、順番に配置されて、表示されるようになされている。レンチキュラーレンズ1−2のピッチは、表示デバイス2−2の3画素分のピッチと等しいように設定され、その焦点は、例えば観察者が60cm離れた位置から立体表示装置を見ると、表示デバイス2−2の表面となるようになされ、一方の視点である左視点左目31には、第1の視点により見えるべき画像情報(図中γで示される画素rgb)がレンチキュラーレンズ1−2により横方向に3倍に拡大されて見え、左視点右目32には、第2の視点により見えるべき画像情報(図中βで示される画素rgb)がレンチキュラーレンズ1−2により横方向に3倍に拡大されて見えるように設計され、他方の視点である右視点左目33には、第2の視点により見えるべき画像情報(図中βで示される画素rgb)がレンチキュラーレンズ1−2により横方向に3倍に拡大されて見え、右視点右目34には、第3の視点により見えるべき画像情報(図中αで示される画素rgb)がレンチキュラーレンズ1−2により横方向に3倍に拡大されて見えるように設計される。
すなわち、左視点左目31、左視点右目32、右視点左目33、および、右視点右目34のいずれにおいても、レンチキュラーレンズ1−2を構成するシリンドリカルレンズのうち、図中Aで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える図中α、β、または、γで示される画素rgbと、図中Bで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える図中α、β、または、γで示される画素rgbと、図中Cで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える図中α、β、または、γで示される画素rgbとが、連続して観察される。したがって、観察者の左右の目の両眼視差により、観察者は、2箇所の視点から立体映像を観察することができる。
図3を用いて説明したように、立体画像を観察可能な視点を2箇所設けることができるようにした立体表示装置の表示デバイス2−2に供給される画像信号は、例えば、図4に示されるように、第1のカメラ61、第2のカメラ62、および第3のカメラ63の3つのカメラのそれぞれの視点において、被写体51およびその背景のrgbの輝度レベルが撮像され、それぞれのカメラにおいて撮像された被写体51およびその背景のrgbを一組にして1画素とし、レンチキュラーレンズ1−2により両眼視差が発生するように、それぞれの視点において撮像された画像データを上下方向に長く切って順次並べた画像信号である。
また、図2を用いて説明したレンチキュラーレンズ1−1、または、図3を用いて説明したレンチキュラーレンズ1−2に代わって、スリット状のシートであるパララックスバリアが用いられた場合にも、同様にして、両眼視差を利用した立体画像を表示させることが可能である。
図5を用いて、図3のレンチキュラーレンズ1−2に代わって、スリット状のシートであるパララックスバリア71が用いられる場合について説明する。図5における場合においても、2視点の立体画像を表示させる場合、表示デバイス2−2に表示される画像は、図3を用いて説明したレンチキュラーレンズ1−2が用いられる場合と同様であり、図4を用いて説明した第1のカメラ61、第2のカメラ62、および第3のカメラ63の3つのカメラのそれぞれの視点において、被写体51およびその背景のrgbの輝度レベルが撮像され、それぞれのカメラにおいて撮像された被写体51およびその背景のrgbを一組にして1画素として、パララックスバリア71により両眼視差が発生するようにそれぞれの視点において撮像された画像データを上下方向に長く切って順次並べた画像である。
2視点のレンチキュラーレンズ方式では、1画素を、レンチキュラーレンズ1−2を用いて横倍率3倍に拡大し、レンズの1周期において、レンズの幅の1/3の幅の情報が観察者の片側の目に観察されるようになされていたが、2視点のパララックスバリア方式では、スリット状のシートを画素の上に設けることで、観察者の片側の目から見える画素を3分の1に遮蔽している。パララックスバリア71のピッチは、表示デバイス2−2の3画素分のピッチと等しいように設定される。すなわち、2視点のパララックスバリア方式においては、スリット状のシートであるパララックスバリア71を表示デバイス2-2に所定の配列で表示されている画素の上に設けることで、観察者の片側の目から見える画素を3分の1に遮蔽している。
すなわち、一方の視点である左視点において、ユーザの左視点左目31には、第1の視点により見えるべき画像情報(図中γで示される画素rgb)以外の画像情報は、パララックスバリア71により遮蔽され、左視点右目32には、第2の視点により見えるべき画像情報(図中βで示される画素rgb)以外の画像情報は、パララックスバリア71により遮蔽されるように設計され、他方の視点である右視点において、右視点左目33には、第2の視点により見えるべき画像情報(図中βで示される画素rgb)以外の画像情報は、パララックスバリア71により遮蔽され、右視点右目34には、第3の視点により見えるべき画像情報(図中αで示される画素rgb)以外の画像情報は、パララックスバリア71により遮蔽されて見えるように設計される。したがって、パララックスバリア方式によりユーザにより観察される画像は、レンチキュラー方式よりも輝度が低くなる。なお、1視点の立体画像を表示させる場合、パララックスバリアのピッチは、表示デバイス2−1の2画素分のピッチと等しいように設定されるので、観察者の片側の目から見える画素は2分の1に遮蔽される。
パララックスバリア方式により輝度が低くなることを防止するために、パララックスバリア71において視界を遮るブラックマトリックス部分の面積を小さくし、開口部の面積を大きくすると、右目により観察されるべき画像と左目により観察されるべき画像が少なくともいずれかの目により一度に観察されてしまうクロストークが発生しやすくなってしまい、観察者は2重像を観察してしまう。
このような問題を解決するために、例えば、カラー液晶パネルに各画素に1対1に対応させて所定の色順に並べられた3原色の色フィルタからなるカラーフィルタを内蔵することにより、クロストークを防止するようにした技術がある(例えば、特許文献1)。
この技術によれば、内蔵されたカラーフィルタによって、パララックスバリアと同様の効果を得ることができるので、輝度を落とすことなく、立体画像を表示させることが可能となる。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図9に、本発明を適用した立体表示装置の第1の例のパネル構造を示す。立体表示装置は、複数のシリンドリカルレンズにより構成されるレンチキュラーレンズ101と表示デバイス102とにより立体画像を表示することができるようになされている。表示デバイス102上には、一般的な観察者の両眼の距離である約6cm離れた左右の視点(すなわち、左右の眼)に対して右視点(右眼)には右視点により見えるべき画像情報、左視点(左眼)には左視点により見えるべき画像情報だけが入るような構造を有するレンチキュラーレンズ101が配置されている。表示デバイス102は、RGBで1単位(1画素)を表示するようになされている。
図10は、立体画像を観察可能な視点を2箇所設けることができるようにした、本発明を適用した立体表示装置のレンチキュラーレンズ101と表示デバイス102の水平断面と、観察者の左右の視点を示す図である。表示デバイス102は、RGBで1単位(1画素)を表示するようになされており、第1の視点により見えるべき画像情報(図中1r、2g、3bで示される画素)、第2の視点により見えるべき画像情報(図中4r、5g、6bで示される画素)、および、第3の視点により見えるべき画像情報(図中7r、8g、9bで示される画素)が、所定の配列で順番に配置されて、表示されるようになされている。レンチキュラーレンズ101のピッチは、表示デバイス102の3画素分のピッチと等しいように設定され、その焦点は、例えば観察者が60cm離れた位置から立体表示装置を見ると、表示デバイス102の表示面の表面となるようになされ、一方の視点である左視点左目31には、図中7r、8g、9bで示される画素がレンチキュラーレンズ101により横方向に3倍に拡大されて見え、ユーザの一方の視点である左視点において、左視点右目32には、図中4r、5g、6bで示される画素がレンチキュラーレンズ101により横方向に3倍に拡大されて見えるように設計され、他方の視点である右視点において、右視点左目33には、図中4r、5g、6bで示される画素がレンチキュラーレンズ101により横方向に3倍に拡大されて見え、右視点右目34には、1r、2g、3bで示される画素がレンチキュラーレンズ101により横方向に3倍に拡大されて見えるように設計される。
すなわち、左視点左目31において、レンチキュラーレンズ101を構成するシリンドリカルレンズのうち、図中Aで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素7r8g9bと、図中Bで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素7r8g9bと、図中Cで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素7r8g9bとが、連続して観察され、左視点右目32、または、右視点左目33において、レンチキュラーレンズ101を構成するシリンドリカルレンズのうち、図中Aで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素4r5g6bと、図中Bで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素4r5g6bと、図中Cで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素4r5g6bとが、連続して観察され、右視点右目34において、レンチキュラーレンズ101を構成するシリンドリカルレンズのうち、図中Aで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素1r2g3bと、図中Bで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素1r2g3bと、図中Cで示したシリンドリカルレンズにより3倍に拡大されて見える画素1r2g3bとが、連続して観察される。したがって、観察者の左右の目の両眼視差により、観察者は、立体表示装置に立体映像を観察することができる。
図10を用いて説明したように、立体画像を観察可能な視点を2箇所設けることができるようにした本発明の立体表示装置の表示デバイス102に供給される画像信号は、例えば、図11に示されるように、9つのカメラ121乃至カメラ129によって、それぞれ異なる視点において撮像された画像データにより生成される。すなわち、2視点の立体表示における左視点左目31、左視点右目32または右視点左目33、並びに、右視点右目34の3箇所に対応する6cmの2倍の12cmの幅に、均等に9つのカメラ121乃至カメラ129が配置されて、被写体51およびその背景のRGBの輝度レベルが撮像されるので、それぞれのカメラにおいて撮像された輝度信号RGBのうち、視点と画像の表示位置に対応する所定の配列の画像信号が表示デバイス102に表示され、レンチキュラーレンズ101により両眼視差が発生するように、屈折および拡大されて、ユーザに立体表示として観察される。
なお、画像信号は、視点と画像の表示位置に対応する色の輝度情報のみでよいので、9つのカメラ121乃至カメラ129によってそれぞれ撮像される輝度信号RGBから、カメラ121においては赤(r)、カメラ122においては緑(g)、カメラ123においては青(b)、以下、赤(r)、緑(g)、青(b)の輝度情報が順次抽出されて、画像信号に用いられるようにしても良いし、9つのカメラ121乃至カメラ129においては、それぞれ対応する色の輝度信号のみが撮像されるように、具体的には、カメラ121においては赤(r)、カメラ122においては緑(g)、カメラ123においては青(b)、以下、赤(r)、緑(g)、青(b)の単色の輝度情報のみが撮像されるようにして、表示デバイス102に表示される画像信号が生成されるようにしても良い。
従来においては、図4を用いて説明したように、3つのカメラを用いて3つの視点により記録された画像信号を用いて、図3または図7を用いて説明した表示デバイス2−2に表示される画像が作成されていたが、本発明を適用した立体表示装置においては、画素を構成する色情報ごとに、異なる視点において撮像された画像情報が用いられて、所定の配列で表示デバイス102に表示されるようになされている。例えば、図10に示される場合において、右視点右目34によって観察される画素情報は、1r、2g、3bとなり、3つのカメラの合成画像となるが、カメラ121、カメラ122、および、カメラ123のそれぞれのカメラの視点は、わずかしか異ならないため、それぞれの画像の相関が高い。したがって、観察者から、右視点右目34によって画素情報1r、2g、3bが観察され、右視点左目33によって4r5g6bが観察されたとき、その立体画像は2重像には見えず、ほぼ本来の画像と認識される。更に、図12に示されるように、図10の右視点に対して、図中左側に2cm観察者の視点がずれてしまった場合において、左目81および右目82に見える画素は、図3の右視点に対して、図中右に1/3画素ずれてしまい、左目81により観察される画素は、5g6b7rとなり、右目82により観察される画素は2g3b4rとなるが、それぞれの輝度信号に対応するカメラの視点がわずかしか異ならないため、それらの画像は相関が高い。したがって、観察者には、2重像には見えずに、ほぼ本来の画像と認識される。
このことから、観察者の視点がある一定幅以内でずれたときも、クロストークの発生を抑制することができる。具体的には、観察者は、図12における場合では、左目81により観察される画素が、右視点左目32の位置から見える画素4r5g6bから、左視点左目31の位置から見える画素7r8g9bに達するまで、視点が異なる映像を連続的に、クロストークが発生することなく観察することが可能となる。ただし、左目81が左視点左目31の位置から更に左側にずれると、左目81により観察される画素情報は8g9g1rとなり、左目81に画素情報8g9gとは相関のない隣の画素情報1rが見えてしまうため、クロストークが発生し、2重像が見えてしまう。しかしながら、従来における場合と比較して、クロストークを発生せずに立体画像を観察可能な観察者の目の位置のずれ幅が大幅に広がる。
以上の説明においては、2視点の立体画像を表示する場合を例として説明したが、1視点の立体画像を表示する場合においても、本発明は適用可能であることはいうまでもない。
また、以上の説明においては、RGBの3色を用いてカラー立体画像を表示する場合について説明したが、例えば、RGBの3色の組以外の輝度情報を用いたり、3色以上の輝度情報を用いてカラー立体画像を表示する場合においても、本発明は適用可能であることはいうまでもない。
図13は、図9および図10を用いて説明した、本発明を適用した立体表示装置の内部構成を示すブロック図である。ここでは、表示デバイス102は、液晶表示素子により構成されているものとして、本発明を適用した立体表示装置の表示デバイス102への表示信号の供給について説明する。
信号取得部131は、第1の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部132は、第2の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部133は、第3の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部134は、第4の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部135は、第5の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部136は、第6の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部137は、第7の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部138は、第8の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。信号取得部139は、第9の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。
ここで、図12を用いて説明した9つのカメラ121乃至カメラ129のそれぞれの視点において、被写体51およびその背景のrgbの輝度レベルが撮影される場合、信号取得部131乃至信号取得部139は、カメラ121乃至カメラ129が撮像したRGBビデオ信号から、アナログRビデオ信号、アナログGビデオ信号、または、アナログBビデオ信号のうちの、いずれか対応する信号を抽出して取得する。また、9つのカメラ121乃至カメラ129において、被写体51およびその背景のそれぞれの視点に対応するR、G、Bのうちのいずれかの輝度レベルのみが撮影される場合、信号取得部131乃至信号取得部139は、アナログRビデオ信号、アナログGビデオ信号、または、アナログBビデオ信号のうちの、いずれか対応する信号を直接取得する。
信号取得部131乃至信号取得部139は、取得したアナログビデオ信号を、マルチプレクサ151に供給する。マルチプレクサ151は、所定の水平走査期間1Hに供給された9つのRGBのアナログ信号を、表示デバイス102の画素の配列、および、各画素を構成する各色の輝度信号の配列に対応させて、シリアルな水平走査信号に切り替えたアナログRGB合成ビデオ信号を作成する。
具体的には、画像信号の水平走査期間を1Hとし、信号取得部131乃至信号取得部139が、図13に示されるように、赤に対応するアナログRビデオ信号の輝度は、走査開始から走査終了にかけて増加し、緑に対応するアナログGビデオ信号の輝度は、走査開始から走査終了にかけて増減せず、青に対応するアナログBビデオ信号の輝度は、走査開始から走査終了にかけて減少するような、水平走査1ラインごとのビデオ信号を、期間1Hごとにそれぞれ取得するものとした場合、マルチプレクサ151は、図14に示されるように、信号取得部131乃至信号取得部139により取得された9つのRGBのアナログ信号を、表示デバイス102の画素の配列、および、各画素を構成する各色の輝度信号の配列に対応させて、シリアルな水平走査信号に切り替えたアナログRGB合成ビデオ信号を作成し、信号ドライバ152に供給する。
信号ドライバ152と走査ドライバ154とは、コントローラ153によりタイミング制御され、表示デバイス102の液晶表示素子を駆動する。信号ドライバ152は、コントローラ153の制御に基づいて、アナログRGB合成信号の供給を受け、入力された信号を、RGBのそれぞれに対応する画素のタイミングでラッチして、所定の電圧として液晶表示素子の対応する電極に印加する。走査ドライバ154は、コントローラ153の制御に基づいて、表示デバイス102の液晶表示素子のそれぞれの画素に対応する電極に対して、電圧を走査印加する。
したがって、表示デバイス102においては、第1の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、第2の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、第3の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、第4の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、第5の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、第6の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、第7の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、第8の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号、および、第9の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号に基づいて、それぞれ、対応する画素位置の輝度が制御されるので、レンチキュラーレンズ101および表示デバイス102で構成される表示パネルには、1つの画素を構成する各色の輝度情報がそれぞれ異なる視点により撮像されている画像データに基づいた立体画像が表示される。
次に、図15のフローチャートを参照して、画像表示処理について説明する。
ステップS1において、信号取得部131乃至信号取得部139は、異なるn視点(例えば、RGBの3色によって構成される1視点の立体画像である場合、3×2の6視点、RGBの3色によって構成される2視点の立体画像である場合、3×3の9視点)から得られる画像情報を取得する。
ステップS2において、信号取得部131乃至信号取得部139は、表示デバイス102に所定の配列でそれぞれの画素の輝度信号を表示させるために、取得した画像信号から、視点の位置に対応する色信号を抽出する。具体的には、信号取得部131は、第1の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部132は、第2の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部133は、第3の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部134は、第4の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部135は、第5の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部136は、第6の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部137は、第7の視点により撮像された画像の輝度信号Rに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部138は、第8の視点により撮像された画像の輝度信号Gに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得し、信号取得部139は、第9の視点により撮像された画像の輝度信号Bに対応する水平走査期間1Hのアナログビデオ信号を取得する。
ステップS3において、マルチプレクサ151は、信号取得部131乃至信号取得部139から異なるn視点から得られ、かつ、所定の配列の色信号を取得する。例えば、本発明を適用した立体表示装置に表示される立体画像が、RGBの3色によって構成される2視点の立体画像である場合、マルチプレクサ151は、信号取得部131乃至信号取得部139から、RGBRGBRGBの順の配列であり、隣り合う信号が隣接した視点において取得された輝度信号を取得する。
ステップS4において、マルチプレクサ151は、取得した色信号を、例えば、図14を用いて説明したように、表示デバイス102の画素の配列、および、各画素を構成する各色の輝度信号の配列に対応させて、シリアルな水平走査信号に切り替えたアナログRGB合成ビデオ信号を合成する。
ステップS5において、コントローラ153は、信号ドライバ152および操作ドライバ154を制御し、マルチプレクサ151により生成された合成信号を用いて、表示デバイス102に立体表示画像に対応する画像を表示させ、処理が終了される。
このような処理により、表示デバイス102に表示される画素を構成する輝度信号は、対応する色ごとに異なる視点で撮像されたものとなるので、観察者の視点のずれに対して、従来よりも、クロストークを抑制することができ、レンチキュラーレンズ101を介して観察される立体画像は、従来よりも2重像になりにくいものとなる。
また、レンチキュラーレンズ101に代わって、図16に示されるように、パララックスバリア201を設けるようにしても、本発明は適用可能である。
すなわち、図16に示される場合において、表示デバイス102には、図12を用いて説明した信号取得部131乃至信号取得部139、マルチプレクサ151、信号ドライバ152、コントローラ153、および、走査ドライバ154の処理により、RGBで1単位(1画素)が表示されるようになされており、第1の視点により見えるべき画像情報(図中1r、2g、3bで示される画素)、第2の視点により見えるべき画像情報(図中4r、5g、6bで示される画素)、および、第3の視点により見えるべき画像情報(図中7r、8g、9bで示される画素)が、順番に配置されて、表示されるようになされている。また、パララックスバリア201のピッチは、表示デバイス102の3画素分のピッチと等しいように設定され、その焦点は、例えば観察者が60cm離れた位置から立体表示装置を見ると、表示デバイス102の表示面の表面となるようになされ、一方の視点である左視点において、左視点左目31には、図中7r、8g、9bで示される画素が、パララックスバリア201の開口部Bを介して観察され、左視点右目32には、図中4r、5g、6bで示される画素が、パララックスバリア201の開口部Bを介して観察されるように設計され、他方の視点である右視点において、右視点左目33には、図中4r、5g、6bで示される画素が、パララックスバリア201の開口部Bを介して観察され、右視点右目34には、1r、2g、3bで示される画素が、パララックスバリア201の開口部Bを介して観察されるように設計される。したがって、観察者の左右の目の両眼視差により、観察者は、立体表示装置に立体映像を観察することができる。
図16における場合においても、立体画像を観察可能な視点を2箇所設けることができるようにした本発明の立体表示装置の表示デバイス102に供給される画像信号は、例えば、図11を用いて説明したように、9つのカメラ121乃至カメラ129によって、それぞれ異なる視点において撮像された画像データにより生成される。すなわち、2視点の立体表示における左視点左目31、左視点右目32または右視点左目33、並びに、右視点右目34の3箇所に対応する6cmの2倍の12cmの幅に、均等に9つのカメラ121乃至カメラ129が配置されて、被写体51およびその背景のRGBの輝度レベルが撮像されるので、それぞれのカメラにおいて撮像された輝度信号RGBのうち、視点と画像の表示位置に対応する所定の配列の画像信号が表示デバイス102に表示され、パララックスバリア201により両眼視差が発生するように所定の画素の発光が遮断されて、ユーザに立体表示として観察される。
なお、画像信号は、視点と画像の表示位置に対応する色の輝度情報のみでよいので、9つのカメラ121乃至カメラ129によってそれぞれ撮像される輝度信号RGBから、カメラ121においては赤(r)、カメラ122においては緑(g)、カメラ123においては青(b)、以下、赤(r)、緑(g)、青(b)の輝度情報画が順次抽出されるようにしても良いし、9つのカメラ121乃至カメラ129においては、それぞれ対応する色の輝度信号のみが撮像されるように、具体的には、カメラ121においては赤(r)、カメラ122においては緑(g)、カメラ123においては青(b)、以下、赤(r)、緑(g)、青(b)の単色の輝度情報が撮像されるようにして、表示デバイス102に表示される画像信号が生成されるようにしても良い。
従来においては、図4を用いて説明したように、3つのカメラを用いて3つの視点により記録された画像信号を用いて、図5を用いて説明した表示デバイス2−2に表示される画像が作成されていたが、本発明を適用した立体表示装置においては、画素を構成する色情報ごとに、異なる視点において撮像された画像情報が用いられるようになされている。例えば、図16に示される場合において、右視点右目34によって観察される画素情報は、1r、2g、3bとなり、3つのカメラの合成画像となるが、カメラ121、カメラ122、および、カメラ123のそれぞれのカメラの視点は、わずかしか異ならないため画像の相関が高く、観察者からは2重像には見えず、ほぼ本来の画像と認識される。したがって、図16に示されるように、図8の右視点に対して、図中左側に2cm視点がずれてしまった場合において、左目81および右目82に見える画素は、図8の右視点に対して、図中右に1/3画素ずれてしまっても、右目82により観察される画素は2g3b4rとなるが、それぞれの画素に対応するカメラの視点がわずかしか異ならないため、ユーザに観察される画像は相関が高く2重像には見えずにほぼ本来の画像と認識される。
このことから、観察者の視点がある一定幅以内でずれたときも、クロストークの発生を抑制することができる。具体的には、観察者は、図16における場合では、左目81により観察される画素が、右視点左目32の位置から見える画素4r5g6bから、左視点左目31の位置から見える画素7r8g9bに達するまで、視点が異なる映像を連続的に、クロストークが発生することなく観察することが可能となる。ただし、左目81が左視点左目31の位置から更に左側にずれると、左目81により観察される画素情報は8g9g1rとなり、左目81に画素情報8g9gとは相関のない隣の画素情報1rが見えてしまうため、クロストークが発生し、2重像が見えてしまう。しかしながら、従来における場合と比較して、クロストークを発生せずに立体画像を観察可能な観察者の目の位置のずれ幅が大幅に広がる。
以上の説明においては、2視点の立体画像を表示する場合を例として説明したが、1視点の立体画像を表示する場合においても、本発明は適用可能であることはいうまでもない。
また、以上の説明においては、RGBの3色を用いてカラー立体画像を表示する場合について説明したが、例えば、RGBの3色の組以外の輝度情報を用いたり、3色以上の輝度情報を用いてカラー立体画像を表示する場合においても、本発明は適用可能であることはいうまでもない。
また、本発明は、複数のシリンドリカルレンズにより構成されるレンチキュラーレンズに代わって、複数のトロイダルレンズが水平および垂直方向に並べられて構成されているマイクロレンズを用いた場合においても適用可能である。
図17に、本発明を適用した立体表示装置の第2の例のパネル構造を示す。立体表示装置は、複数のトロイダルレンズにより構成されるマイクロレンズ251と、マイクロレンズ251により立体表示される画像に対応する画素を表示する表示デバイス252とにより立体画像を表示することができるようになされている。
すなわち、図9を用いて説明した、本発明を適用した立体表示装置の第1の例のパネル構造が、水平方向の両眼視差を利用して立体画像を表示するものであるのに対して、図17に示される本発明を適用した立体表示装置の第2の例のパネル構造は、水平方向のみならず、垂直方向に対しても、視差を利用して立体画像を表示するようになされているものである。
トロイダルレンズとは、二つの主経線がそれぞれ異った曲率中心を有する面であるトロイダル面と、水平面により構成されるレンズである。マイクロレンズ251の水平方向または垂直方向のピッチは、表示デバイス252の1画素のピッチの整数倍のピッチと等しいように設定される。換言すれば、表示デバイス252に表示される画像データを撮像するときに必要な視点数、すなわち、立体画像を観察可能な視点数および1画素を構成する輝度情報の数と、マイクロレンズ251を構成するそれぞれのトロイダルレンズの垂直方向および水平方向のピッチとは、対応つけられて設定される。例えば、図17の表示デバイス252が、水平に並んで配置された輝度信号RGBを1単位(1画素)として表示するものとなされ、マイクロレンズ251を構成するトロイダルレンズのピッチを、水平方向2画素、垂直方向6画素としたとき、表示デバイス252に表示される画像データは、36視点により撮像されるものとなる。マイクロレンズ251を構成するそれぞれのトロイダルレンズの垂直方向および水平方向の局率は、その焦点が、例えば観察者が60cm離れた位置から立体表示装置を見ると、表示デバイス252の表示面の表面となるようになされている。
表示デバイス252に立体表示可能な画像データを表示するための立体表示装置の内部構成は、図13を用いて説明した場合と基本的に同様であるので、その説明は省略する。
ただし、マルチプレクサ151により合成される信号は、全ての異なる視点に対応するカメラにより撮像された画像に対応する信号を含むものではなく、1水平ラインのカメラにより撮像された画像に対応する信号により構成される。具体的には、例えば、図17の表示デバイス252が、水平に並んで配置された輝度信号RGBを1単位(1画素)として表示するものとなされ、マイクロレンズ251を構成するトロイダルレンズのピッチを、水平方向2画素、垂直方向6画素としたとき、2×6画素が1つのトロイダルレンズに対応する画素のマトリクスの単位となされ、同一水平ラインの画像を撮像する2画素に対応するRGBそれぞれの輝度情報を撮像する6つのカメラにより撮像された画像が、マルチプレクサ151により合成され、水平方向の合成処理が、垂直方向に6列のカメラにより撮像された画像データの輝度信号を用いて、順次繰り返されることにより、信号ドライバ152に供給されるアナログRGB合成信号が生成される。
このようにして、マイクロレンズ251を用いた立体表示装置においても、本発明は適用可能である。
なお、本発明の表示デバイスは、液晶表示素子により構成されたものに限られるものではなく、フラットパネルのディスプレイであれば、適用可能である。
101 レンチキュラーレンズ, 102 表示デバイス, 121乃至129 カメラ, 131乃至139 信号取得部, 151 マルチプレクサ, 152 信号ドライバ, 153 コントローラ, 154 走査ドライバ, 201 パララックスバリア, 251 マルチレンズ, 252 表示デバイス