JP4361174B2 - 振動型ジャイロスコープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動型ジャイロスコープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電振動型ジャイロスコープは、振動している物体に角速度が加わると、その振動と直角方向にコリオリ力が生じることを利用している。そして、その原理は力学的モデルで解析される(例えば、「弾性波素子技術ハンドブック」、オーム社、第491〜497頁)。そして、圧電型振動ジャイロスコープとしては、これまでに種々のものが提案されている。例えば、スペリー音叉型ジャイロスコープ、ワトソン音叉型ジャイロスコープ、正三角柱型音片ジャイロスコープ、円筒型音片ジャイロスコープ等が知られている。
【0003】
本発明者は、振動型ジャイロスコープの応用について種々検討を進めており、例えば自動車の車体回転速度フィードバック式の車両制御方法に用いる回転速度センサーに振動型ジャイロスコープを使用することを検討した。こうしたシステムにおいては、操舵輪の方向自身は、ハンドルの回転角度によって検出する。これと同時に、実際に車体が回転している回転速度を振動ジャイロスコープによって検出する。そして、操舵輪の方向と実際の車体の回転速度を比較して差を求め、この差に基づいて車輪トルク、操舵角に補正を加えることによって、安定した車体制御を実現する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の圧電振動型ジャイロスコープは、いずれの例でも、振動子を回転軸に対して平行に配置(いわゆる縦置き)しなければ、回転角速度を検出することができない。しかし、通常、測定したい回転系の回転軸は、装着部に対して垂直である。従って、このような圧電振動型ジャイロスコープを実装する際、圧電振動型ジャイロスコープの低背化を達成すること、即ち、振動型ジャイロスコープを回転軸方向に見たときの寸法を減少させることができなかった。
【0005】
近年になって、振動子を回転軸に対して垂直に配置(いわゆる横置き)しても、回転角速度を検出できる圧電振動型ジャイロスコープが、特開平8−128833号公報において提案されている。
【0006】
また、本発明者は、この問題を解決するために、特願平10−306434号明細書において、主として平面内に延びる振動子を用いた、横置き型に適した振動型ジャイロスコープを提案した。
【0007】
しかし、車体制御システムにおいては、振動型ジャイロスコープおよびその振動子は、幅広い環境温度、即ち高温と低温とにさらされる。このような使用温度範囲は、通常は−40℃−+80℃の範囲にわたっている。特に、振動子を圧電性単結晶によって形成した場合には、圧電性単結晶の有する温度特性の影響がある。このように、−40℃−+80℃の温度範囲における温度ドリフトを削減することが求められている。
【0008】
本発明の課題は、所定面に沿って形成されており、駆動振動系、検出振動系および駆動振動系と検出振動系とを連結する連結部を備えている振動子を用いた振動型ジャイロスコープにおいて、その温度ドリフトを低減することである。
【0009】
本発明は、回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、所定面に沿って形成されており、2つの駆動振動系、2つの検出振動系および前記駆動振動系と前記検出振動系とを連結する連結部を備えており、前記連結部内に前記振動子の重心が位置しており、前記連結部は振動子の重心を中心として4回対称の正方形であり、前記各駆動振動系が、前記連結部の外縁の相対向する2辺のうち一方の辺から垂直且つ前記辺の中央から突出する屈曲振動片と、前記屈曲振動片から突出し、前記屈曲振動片の長手方向に直交する方向に延びる2つの駆動振動片とを備えており、前記各検出振動系が前記連結部の外縁の相対向する2辺であって前記駆動振動系の屈曲振動片が突出した辺とは異なる2辺のうち一方の辺から垂直且つ前記辺の中央から突出する屈曲振動片を備えている、圧電性単結晶からなる振動子、前記振動子の前記駆動振動系を構成する前記駆動振動片に設けた駆動電極から構成される、前記所定面内の駆動モードの振動を励起するための駆動手段、および前記振動子の前記検出振動系を構成する前記屈曲振動片に設けた検出電極から構成される、前記所定面内の回転が与えられたときに前記振動子に励起される前記所定面内の検出モードの振動を検出するための検出手段を備えており、前記振動子に前記所定面内の回転が与えられたときに、前記振動子にスプリアスモードの振動が励起され、下記の関係を満足することを特徴とする、振動型ジャイロスコープに係るものである。
0.70×α≦Δf/Δfs≦1.30×α
α=1.7a/b×1 但し、1.1≦α≦2.2 且つ 0.25≦a/b≦1.5
(Δfは、前記駆動モードの振動の固有共振周波数と前記検出モードの振動の固有共振周波数との差であり、 Δfsは、前記駆動モードの固有共振周波数と前記スプリアスモードの固有共振周波数との差であり、aは、前記検出振動系中の前記屈曲振動片の幅であり、 bは、前記駆動振動系中の前記屈曲振動片の幅である)
【0010】
本発明者は、駆動モードの振動の固有共振周波数fdと検出モードの振動の固有共振周波数fpとの差Δfを、駆動モードの固有共振周波数fdとスプリアスモードの固有共振周波数fsとの差Δfsの1.7倍に近づけることによって、具体的には1.7倍の±30%以内に調節することによって、−40℃−+80℃の温度範囲における温度ドリフトを著しく低減し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
スプリアスモードとは、前記の振動子において、駆動モードの振動および検出モードの振動の各固有共振周波数に近く、かつ検出モードとは異なる一定した振動形態を有する振動モードである。
【0012】
ただし、前記したαには、a、b、c、dの四つの変数がある(α=1.7の(a/b)乗×(c/d)の3/2乗)。これは、使用する振動子の形態によって、最適のΔf/Δfsが変動するからである。αは、1.7を基本値とし、前記の四つの変数に係る振動子の形態を反映している。
【0013】
本発明においては、Δf/Δfsをαの0.70−1.30倍とする必要があるが、αの0.90−1.10倍とすることが更に好ましく、0.95−1.05倍とすることがもっとも好ましい。
【0014】
このように、Δf/Δfsをαの近傍に調節することによって、−40℃−+80℃の温度範囲における温度ドリフトを抑制できる理由は、明確ではない。しかし、これによって、振動子の検出モードにおいて、振動子の連結部中の変位が小さい領域(微小変位領域)の面積が広くなることを確認した。また、通常、振動子の微小変位領域に対して、外部の支持部材が接触している。なぜなら、振動子のうち検出振動の変位が大きい領域に支持部材を接触させると、検出振動のQ値が低下するからである。この結果、連結部の微小変位領域に対して接触する支持部材が、温度ドリフトに影響しているものと思われる。そして、本発明によって、検出モードにおいて、連結部中の微小変位領域の面積が拡大することによって、温度が変動するときに、検出信号に対する支持部材の影響が減少するものと思われる。
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
図1、図2は、振動子1Aの形態を模式的に示す図である。図1、図2の振動子1Aは、二つの駆動振動系3A、3Bと、二つの検出振動系4A、4Bと、これらの各振動系を連結部する連結部2Aとを備えている。本例では、連結部2の内部に振動子1Aの重心GO(非振動時)が存在しており、連結部2Aの外周縁2aから、各振動系が突出している。
【0017】
各駆動振動系3A、3Bには、それぞれ、連結部2Aの外周縁2aから突出する屈曲振動片5A、5Bが設けられている。各屈曲振動片5A、5Bには、それぞれ、一対の駆動振動片7A、7B、7C、7Dが設けられている。各検出振動系4A、4Bには、それぞれ、連結部2Aの外周縁2aから突出する径方向屈曲振動片6A、6Bが設けられている。
【0018】
各駆動振動片7A、7B、7C、7Dに、それぞれ、図示しない駆動手段を設け、各屈曲振動片を矢印8A、8Bのように振動させる。この際、屈曲振動片7Aと7Bとが同位相で共振し、屈曲振動片7Cと7Dとが同位相で共振し、屈曲振動片7A−7Dの駆動振動の全体の重心GDが、振動子の重心GO上か、またはその近傍に位置するようにする。
【0019】
駆動振動の重心GDが、振動子の重心GOの近傍領域に位置しているとは、重心GOから直径1mmの円内に存在している場合を含む。
【0020】
この状態で、振動子1Aを所定面(X−Y面)内でωのように回転させると、回転中にコリオリ力が振動子1Aに作用する結果、検出モードの振動が振動子に励起される。検出モードにおいては、各屈曲振動片5A、5Bが、矢印9A、9Bのように、その連結部2Aへの付け根を中心として屈曲振動し、これに応答して、各屈曲振動片6A、6Bが、矢印9A、9Bのように、その連結部2Aへの付け根を中心として屈曲振動する。この際、駆動振動系の各屈曲振動片5A、5Bが、重心GOを中心として周方向に見たときに同位相で共振し、検出振動系の各屈曲振動片6A、6Bが、周方向に見たときに、駆動振動系内の各屈曲振動片とは逆位相で共振する。
【0021】
従って、検出振動系4A、4B内の各屈曲振動片6A、6Bにそれぞれ検出手段を設けることによって、矢印9A、9Bのような屈曲振動を電気的信号として取り出すことができる。
【0022】
一方、この振動子においては、通常の設計では、図2に示すようなスプリアスモードの振動が発生する。スプリアスモードにおいては、各駆動振動系3A、3B内の各駆動振動片7A、7B、7C、7Dが、矢印10A、10Bのように、それぞれ屈曲振動片5A、5Bへの付け根を中心として屈曲振動する。この際、駆動振動系3A内の駆動振動片7A、7Bと、駆動振動系3B内の駆動振動片7C、7Dとは共振しており、かつ、いずれの時点においても、振動子の重心GOを中心として同じ方向に向かって変形している。従って、振動子の駆動振動全体の重心GDも、GOに対して、矢印30A、30Bのように振動する。
【0023】
一方、各検出振動系4A、4B内の各屈曲振動片6A、6Bは、それぞれ、矢印10A、10Bのように、その連結部への付け根を中心として屈曲振動する。この際、いずれの時点においても、屈曲振動片6Aと6Bとは、駆動振動全体の重心GDの振動の方向とは逆方向に向かって振動しており、これによって駆動振動片7A−7Dの振動を相殺し、連結部2が全体として並進、回転しないようになっている。
【0024】
本発明においては、連結部として、中空部分が設けられた枠部を設けることができる。この場合には、中空部分内に重心が位置しており、枠部の内側面または外側面から各屈曲振動片が突出している。図3、図4は、この実施形態に係る振動子11Aを示す模式図である。
【0025】
振動子11Aは、枠部12Aと、枠部12Aの内側面12bから中空部分13へと向かって突出する、2つの駆動振動系3C、3Dと、2つの検出振動系4C、4Dとを備えている。各駆動振動系、検出振動系は、枠部12Aの外側面12aから放射状に突出するように、設けることもできる。各駆動振動系3C、3D内には、それぞれ、屈曲振動片5C、5Dが設けられており、各検出振動系4C、4D内には、それぞれ、屈曲振動片6C、6Dが設けられている。各屈曲振動片5C、5Dには、それぞれ、一対の駆動振動片7A、7B、7C、7Dが設けられている。
【0026】
各駆動振動片7A、7B、7C、7Dに、それぞれ、図示しない駆動手段を設け、各屈曲振動片を矢印8A、8Bのように振動させる。この際、屈曲振動片7Aと7Bとが同位相で共振し、屈曲振動片7Cと7Dとが同位相で共振し、屈曲振動片7A−7Dの駆動振動の全体の重心GDが、振動子の重心GO上か、またはその近傍に位置するようにする。
【0027】
この状態で、振動子11Aを所定面(X−Y面)内でωのように回転させると、回転中にコリオリ力が振動子11Aに作用する結果、検出モードの振動が振動子に励起される。検出モードにおいては、各屈曲振動片5C、5Dが、矢印9A、9Bのように、枠部12Aへの付け根を中心として屈曲振動し、これに応答して、各屈曲振動片6C、6Dが、矢印9A、9Bのように、枠部12Aへの付け根を中心として屈曲振動する。この際、駆動振動系の各屈曲振動片5C、5Dが、重心GOを中心として周方向に見たときに同位相で共振し、検出振動系の各屈曲振動片6C、6Dが、周方向に見たときに、駆動振動系内の各屈曲振動片とは逆位相で共振する。
【0028】
従って、検出振動系4C、4D内の各屈曲振動片6C、6Dにそれぞれ検出手段を設けることによって、矢印9A、9Bのような屈曲振動を電気的信号として取り出すことができる。
【0029】
この振動子においては、通常の設計では、図4に示すようなスプリアスモードの振動が発生する。スプリアスモードにおいては、各駆動振動片7A、7B、7C、7Dが、矢印10A、10Bのように、それぞれ屈曲振動片5C、5Dへの付け根を中心として屈曲振動する。この際、駆動振動系3C内の駆動振動片7A、7Bと、駆動振動系3D内の駆動振動片7C、7Dとは共振しており、かつ、いずれの時点においても、振動子の重心GOを中心として同じ方向に向かって変形している。従って、振動子の駆動振動全体の重心GDも、GOに対して、矢印30A、30Bのように振動する。
【0030】
一方、各検出振動系4C、4D内の各屈曲振動片6C、6Dは、それぞれ、矢印10A、10Bのように、その連結部への付け根を中心として屈曲振動する。この際、いずれの時点においても、屈曲振動片6Cと6Dとは、駆動振動全体の重心GDの振動の方向とは逆方向に向かって振動しており、これによって駆動振動片の振動を相殺し、枠部12Aが全体として並進、回転しないようにしている。
【0031】
このような振動型ジャイロスコープによれば、振動子の駆動および検出のための振動が、いずれも所定面内で行われ、振動子の振動アームが回転軸に対して交差する方向に延びるように、振動子を設置した場合にも、十分に高い感度で回転角速度を検出できる。
【0032】
しかも、従来の振動型ジャイロスコープにおいては、いずれも駆動振動アームの駆動振動が、何らかの形で検出アームにも歪みとして影響を及ぼし、検出信号にノイズを発生させていた。しかし、本実施形態によれば、検出振動系には駆動振動の影響が伝達されにくい。この結果、検出信号に不可避的に発生していたノイズを、抑制ないし防止することができる。
【0033】
本発明の振動子は所定面内に延びているが、これは厚さにして1mm以下の範囲内に複数の振動系が形成されている場合を含む。
【0034】
本発明の振動子の変位は、所定面内で生ずる。このため、振動子の全体を、同一の圧電単結晶によって形成することができる。この場合には、まず圧電単結晶の薄板を作製し、この薄板をエッチング、研削により加工することによって、振動子を作製できる。振動子の各部分は、別の部材によってそれぞれ形成することもできるが、一体で構成することが特に好ましい。
【0035】
振動子の材質は特に限定するものでないが、水晶、LiNbO3 、LiTaO3 、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体(Li(Nb,Ta)O3 )単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶等からなる圧電単結晶を使用することが好ましい。前記した単結晶の中では、LiNbO3 単結晶、LiTaO3 単結晶、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体単結晶が、電気機械結合係数が特に大きい。
【0036】
圧電単結晶を使用すると、検出感度を良好にすることができるとともに、検出ノイズを小さくできる。しかも、圧電単結晶を使用すると、温度変化に対して特に鈍感な振動子を作製でき、このような振動子は、温度安定性を必要とする車載用として好適である。
【0037】
なぜなら、本発明におけるように振動子の全体を所定面内で振動するようにし、かつ振動子を圧電単結晶によって形成することで、単結晶の最も温度特性の良い結晶面のみを振動子において利用できるようになった。
【0038】
即ち、振動子の全体が所定平面内で振動するように設計されていることから、圧電単結晶のうち振動周波数の温度変化がほとんどない結晶面のみを利用して、振動子を製造することができる。これによって、温度安定性の高い振動型ジャイロスコープを提供できる。
【0039】
本発明の振動子を圧電性材料によって形成した場合には、この振動子に駆動電極および検出電極を設ける。圧電性材料としては、圧電単結晶の他に、PZT等の圧電セラミックスがある。
【0040】
また、本発明の振動子を、エリンバー等の恒弾性金属によって形成することもできる。この場合には、振動子の所定箇所に、駆動手段および/または検出手段として、圧電体を取り付ける必要がある。
【0041】
本発明においては、駆動振動系を複数設け、各駆動振動系を、重心GOを中心として互いに回転対称の位置に設けることができる。例えば図1−図4の振動子においては、2つの駆動振動系が、重心GOを中心として二回対称の位置に設けられている。
【0042】
また、検出振動系を複数設け、各検出振動系を、重心GOを中心として互いに回転対称の位置に設けることが好ましい。例えば、図1−図4の振動子においては、2つの検出振動系が、重心GOを中心として二回対称の位置に設けられている。
【0043】
各振動系が重心GOを中心として回転対称の位置にあるとは、重心GOを中心として、問題とする複数の振動系がそれぞれ所定面内で同じ所定角度離れている状態を意味する。従って、一つの振動系を所定面内で所定角度回転させる操作を行うと、他の振動系の位置に位置する。
【0044】
回転対称は、具体的には2回対称、3回対称、4回対称であることが好ましい。また、複数の駆動振動系を重心GOを中心として回転対称の位置に設けることによって、特に比較的微小な検出振動への影響を抑制できることから、効果が大きい。
【0045】
振動子の駆動モード、検出モード、スプリアスモードの各固有共振周波数fd、fp、fsを調節するためには、振動子の材質、厚さ、連結部の寸法(例えば連結部の一片の長さ)、屈曲振動片の長さ、屈曲振動片の幅を調節することが好適である。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態に係る圧電単結晶製の振動子1Bを備えた振動型ジャイロスコープを、概略的に示す平面図である。この振動子1Bは、図1、図2に模式的に示した形態の振動子に属しているので、振動子1Bの既に説明した構成部分には図1、図2と同じ符号を付け、その説明は省略する。
【0047】
連結部2Bは、振動子の重心GOを中心として、4回対称の正方形をしている。連結部2Bの周縁部の相対向する2辺2bから、二つの駆動振動系3A、3Bが突出しており、周縁部の相対向する2辺2cから、二つの検出振動系4A、4Bが突出している。
【0048】
各駆動振動系3A、3Bは、連結部2Bから突出する屈曲振動片5A、5Bと、屈曲振動片の先端側から屈曲振動片5A、5Bに直交する方向に延びる駆動振動片7A、7B、7C、7Dとを備えている。各屈曲振動片には、それぞれ駆動電極15が設けられている。検出振動系の各屈曲振動片6A、6Bには、それぞれ、検出電極16が設けられている。
【0049】
この振動子の駆動モードを図6に示す。各駆動振動片7A、7B、7C、7Dが、その付け根(各屈曲振動片5A、5Bの先端部分)18を支点として、矢印8A、8Bのように屈曲振動していることがわかる。
【0050】
この振動子の検出モードを図7に示す。各屈曲振動片5A、5Bが、その固定部17を支点として、重心GOを中心として周方向に見たときに、同位相で屈曲振動している。これに対応して、各屈曲振動片6A、6Bが、矢印9A、9Bのように、固定部19を中心として同位相で屈曲振動している。
【0051】
この振動子のスプリアスモードを図8に示す。各駆動振動片7A−7Dが、その付け根18を中心として矢印10A、10Bのように屈曲振動し、これに応答して、各屈曲振動片6A、6Bが矢印10A、10Bのように振動している。
【0052】
図9は、図3、図4に模式的に示した振動子11Bを更に具体化したものである。振動子11Bは、図3、図4に模式的に示した形態の振動子に属しているので、振動子11Bの既に説明した構成部分には図3、図4と同じ符号を付け、その説明は省略する。振動子11Bの駆動モード、検出モード、スプリアスモードは、前述したとおりである。
【0053】
以下、具体的な実験結果について述べる。
【0054】
(実験A)
図5に示す形態の振動型ジャイロスコープを作製した。具体的には、厚さ0.3mmの水晶のZ板のウエハーに、スパッタ法によって、所定位置に、厚さ200オングストロームのクロム膜と、厚さ5000オングストロームの金膜とを形成した。ウエハーの両面にレジストをコーティングした。
【0055】
このウエハーを、ヨウ素とヨウ化カリウムとの水溶液に浸漬し、余分な金膜をエッチングによって除去し、更に硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸との水溶液にウエハーを浸漬し、余分なクロム膜をエッチングして除去した。温度80℃の重フッ化アンモニウムに20時間ウエハーを浸漬し、ウエハーをエッチングし、振動子の外形を形成した。メタルマスクを使用して、厚さ2000オングストロームのアルミニウム膜を電極膜として形成した。
【0056】
得られた振動子の連結部2Bの一片の長さ(幅)gは6.0mmとし、各屈曲振動片5A、5Bの長さeは6.0mmとし、各屈曲振動片6A、6Bの長さfは6.0mmとした。各屈曲振動片6A、6Bの幅aと、各屈曲振動片5A、5Bの幅bとは、いずれも1mmとした。各検出電極16の寸法は、幅0.6mm×長さ2.8mmであり、各屈曲振動片の付け根から1.2−4.0mmの位置に形成されていた。各駆動電極15の寸法は、幅0.6mm×長さ2.8mmであった。
【0057】
振動子1Bの中央部に、0.75mm×0.75mmの正方形の支持孔(図示せず)を形成し、この支持孔に直径0.6mmの金属ピンを通し、金属ピンに対して振動子をシリコーン樹脂接着剤によって接着した。
【0058】
この振動子に対して、4ボルトの矩形波による自励振発振駆動を行い、駆動振動を生じさせ、振動子1Bを所定面内で回転させ、検出モードおよびスプリアスモードを励起させた。
【0059】
各振動子について、インピーダンスアナライザの測定端子に所定の端子を接続して、駆動振動の固有共振周波数(fd)、検出モードの固有共振周波数(fp)、スプリアスモードの固有共振周波数(fs)を測定し、Δf、Δfs、Δf/Δfsを算出し、表1に示した。この際、駆動振動系の基部の長さと、検出振動片の長さとを調節することによって、fd、fp、fsを調節した。b/a=1、c/d=1であるから、指標値α=1.7である。
【0060】
各振動子について、指標値αからのずれを百分率で表記した。また、−40−+80℃の温度範囲内の各温度において、角速度に換算した出力(deg/s)を測定した。そして、この温度範囲内における角速度の値の最大値と最小値との差を、「温度ドリフト」として表1に示した。
【0061】
【表1】
Figure 0004361174
【0062】
なお、表1において、指標値からのずれが68%の比較例について、角速度に換算した出力の温度変化を図10に示し、指標値からのずれが2%の本発明例について、角速度に換算した出力の温度変化を図11に示す。
【0063】
(実験B)
実験Aと同様にして前記の各数値を測定した。ただし、a=1.5mm、b=1mmとした。a/b=1.5、c/d=1であるから、指標値α=2.2である。この結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
Figure 0004361174
【0065】
(実験C)
実験Aと同様にして前記の各数値を測定した。ただし、a=0.5mm、b=1mmとした。a/b=0.5、c/d=1であるから、指標値α=1.3である。この結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
Figure 0004361174
【0067】
(実験D)
実験Aと同様にして前記の各数値を測定した。ただし、a=0.25mm、b=1mmとした。a/b=0.25、c/d=1であるから、指標値α=1.1である。この結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
Figure 0004361174
【0069】
(実験E)
実験Aと同様にして前記の各数値を測定した。ただし、a=1.5mm、b=1.0mmとした。また、駆動振動系の数cを1個とした。a/b=1.5、c/d=0.5であるから、指標値α=0.78である。この結果を表5に示す。
【0070】
【表5】
Figure 0004361174
【0071】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、所定面に沿って形成されており、駆動振動系、検出振動系および駆動振動系と検出振動系とを連結する連結部を備えている振動子を用いた振動型ジャイロスコープにおいて、その温度ドリフトを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る振動子1Aおよびその駆動振動、検出振動を示す模式図である。
【図2】振動子1Aのスプリアスモードの振動を示す模式図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る振動子11Aおよびその駆動振動、検出振動を示す模式図である。
【図4】振動子11Aのスプリアスモードの振動を示す模式図である。
【図5】図1、図2の実施形態に係る振動子1Bを示す概略図である。
【図6】図5の振動子1Bの駆動モードの振動を示す線図である。
【図7】図5の振動子1Bの検出モードの振動を示す線図である。
【図8】図5の振動子1Bのスプリアスモードの振動を示す線図である。
【図9】図3、図4の実施形態に係る振動子11Bを示す概略図である。
【図10】比較例の振動型ジャイロスコープの角速度に換算した出力の温度変化を示すグラフである。
【図11】本発明例の振動型ジャイロスコープの角速度に換算した出力の温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1A、1B、11A、11B 振動子 2A、2B 連結部 3A、3B、3C、3D 駆動振動系 4A、4B、4C、4D 検出振動系 5A、5B、5C、5D 駆動振動系の屈曲振動片
6A、6B、6C、6D 検出振動系の屈曲振動片 7A、7B、7C、7D 駆動振動片 8A、8B 駆動モードの振動 9A、9B 検出モードの振動 10A、10B スプリアスモードの振動
12A、12B 枠部 17、19 屈曲振動片の連結部への付け根
18 駆動振動片の屈曲振動片への付け根 GO 振動子の重心(非振動時) GD 駆動振動の全体の重心

Claims (4)

  1. 回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、
    所定面に沿って形成されており、2つの駆動振動系、2つの検出振動系および前記駆動振動系と前記検出振動系とを連結する連結部を備えており、前記連結部内に前記振動子の重心が位置しており、前記連結部は振動子の重心を中心として4回対称の正方形であり、
    前記各駆動振動系が、前記連結部の外縁の相対向する2辺のうち一方の辺から垂直且つ前記辺の中央から突出する屈曲振動片と、前記屈曲振動片から突出し、前記屈曲振動片の長手方向に直交する方向に延びる2つの駆動振動片とを備えており、前記各検出振動系が前記連結部の外縁の相対向する2辺であって前記駆動振動系の屈曲振動片が突出した辺とは異なる2辺のうち一方の辺から垂直且つ前記辺の中央から突出する屈曲振動片を備えている、圧電性単結晶からなる振動子、
    前記振動子の前記駆動振動系を構成する前記駆動振動片に設けた駆動電極から構成される、前記所定面内の駆動モードの振動を励起するための駆動手段、および
    前記振動子の前記検出振動系を構成する前記屈曲振動片に設けた検出電極から構成される、前記所定面内の回転が与えられたときに前記振動子に励起される前記所定面内の検出モードの振動を検出するための検出手段を備えており、
    前記振動子に前記所定面内の回転が与えられたときに、前記振動子にスプリアスモードの振動が励起され、下記の関係を満足することを特徴とする、振動型ジャイロスコープ。
    0.70×α≦Δf/Δfs≦1.30×α
    α=1.7a/b×1 但し、1.1≦α≦2.2 且つ 0.25≦a/b≦1.5
    (Δfは、前記駆動モードの振動の固有共振周波数と前記検出モードの振動の固有共振周波数との差であり、
    Δfsは、前記駆動モードの固有共振周波数と前記スプリアスモードの固有共振周波数との差であり、
    aは、前記検出振動系中の前記屈曲振動片の幅であり、
    bは、前記駆動振動系中の前記屈曲振動片の幅である)
  2. 前記検出モードにおいて、前記駆動振動系中の前記屈曲振動片と、前記検出振動系中の前記屈曲振動片とが、前記振動子の重心を中心として周方向に見たときに前記連結部への付け根を中心として互いに逆位相で共振することを特徴とする、請求項1に記載の振動型ジャイロスコープ。
  3. 前記駆動モードにおいて、前記駆動振動片が前記屈曲振動片への付け根を中心として屈曲振動することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
  4. 前記振動子が前記駆動振動系を2つ備えており、前記駆動モードにおいて、前記各駆動振動片の駆動振動の全体の重心が、前記振動子の重心上またはその近傍にあることを特徴とする、請求項記載の振動型ジャイロスコープ。
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