JP4359799B2 - 不織布、その製法およびその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、湿潤時にも充分な強度を有する水解性の不織布、その製法およびの用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、介護用品、尿取りパット、生理用ナプキン、おむつ、清拭布など(以下これらを総称して、「衛生用品」と記載することもある。)には布等が使用されていたが、近時、布等に代わって紙、不織布が使用されることが多くなってきている。こうした紙、不織布からなる上記衛生用品は一回使い切りで衛生的であり、非常に便利であることから、今後益々その需要の増大が予想される。
【0003】
こうした衛生用品は、例えば尿等の水分を良好に吸収する必要がある。このため、こうした衛生用品として使用される紙、不織布類は、吸水性が高く、水分を含有しても形態を維持することが必要である。
このため実際にこうした衛生用品を形成する紙、不織布類は、耐水性を有し、水中でも解繊せず水に分散しないため、これらを使用したのちに水洗トイレなどに流して処理することはできず、一般ゴミとして処理されていた。
【0004】
しかしながら、一度使用された衛生用品は体液等の汚物を含んでおり、使用後はできるだけ速やかに処理することが望まれる。こうした使用後の衛生用品を処理する方法として、水洗トイレに流して処理することができれば非常に好適である。このように衛生用品を使用後に水洗トイレに流して処理するためには、衛生用品が水中で解繊する水解性を有することが肝要である。
【0005】
ところが、上述のように衛生用品は使用する段階では耐水性が必要であることから、使用された後の衛生用品にも当然優れた耐水性があり、こうした優れた耐水性を有する衛生用品を水洗トイレに流して処理することはできなかった。
このように、衛生用品において、使用時に必要となる耐水性と使用後に必要となる水解性とは、相反する特性であり、両特性を有する衛生用品の製造は非常に困難であるとされていた。
【0006】
これに対して、特開平4−216889号公報には、上水及び体液などに対して溶解しにくく、下水に対して溶解しやすい、水崩壊性の不織布及びバインダーが開示されている。
この公報には、具体的に以下のような組成のバインダーが開示されている。
エチレン性不飽和カルボン酸あるいはその無水物と、架橋性単量体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを必須成分とする平均分子量5000〜10000の共重合体であって、カルボキシル基を一価のアルカリで中和したバインダー。ここで架橋性不飽和単量体は、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはそのエーテル化合物であることが示されている。
【0007】
しかしながら、このバインダーは、カルボキシル基が一価のアルカリで中和されているために、含水するとこの一価のアルカリ成分が解離し、この解離した一価のアルカリ成分は皮膚に対する刺激性を有している。また、下水に対して崩壊可能にするためには、上記の重合体の塩を用いる場合には、形成される架橋構造の量および構造が極めて重要な要素となり、こうした樹脂の溶解性を制御するための架橋構造の形成は著しく難しい。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、衛生用品に好適に使用でき、湿潤時にも充分な強度を有し、かつ、水解性を有する不織布を提供することを目的とする。
また、本発明は、上述のような性質を有する不織布を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
さらに本発明は、上述のような性質を有する不織布を用いてなる体液吸収体を提供することを目的とする。
【0010】
【発明の概要】
本発明の不織布は、不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における捲縮弾性率を100%としたとき、200重量%の水分含有時の該繊維の捲縮弾性率が、該乾燥時の捲縮弾性率に対して20〜75%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されていることを特徴としている。
【0011】
そして、本発明の不織布は、不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の不織布は、乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されていることが好ましい。
【0013】
この不織布の平均厚さは、0.1〜1.0mmの範囲内にあることが好ましく、また、この不織布の目付が2〜80g/m2の範囲内にあることが好ましい。
この不織布の乾燥時におけるMD方向の平均引張り強度は0.3〜10kgfの範囲内にあり、かつ200重量%の水分を含有したときのこの不織布のMD方向の平均引っ張り強度が0.2〜6kgfの範囲内にあることが好ましい。
【0014】
またこの不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にあることが好ましい。
さらに、本発明の不織布を構成する水解性繊維の平均長さは、20mm以上であって、不織布を、この不織布の重量に対して100000重量%以上の水に投入にして、30秒間以上振盪することにより不織布を構成している繊維相互の拘束力低下して、繊維状に解繊して繊維が水に分散する。
【0015】
この不織布は、上記のような水解性繊維から形成されているが、さらに他の繊維を含有していてもよく、この場合、不織布中に水解性繊維は25重量%以上の量で含有されていることが好ましい。さらに、この場合において、不織布を形成する水解繊繊維以外の繊維としては繊維長さ20mm未満の短繊維を用いることが好ましい。
【0016】
こうした構成を有する本発明の不織布は、通常は良好な水解性を有している。このような特性を有する本発明の不織布は、不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における捲縮弾性率を100%としたとき、200重量%の水分含有時の該繊維の捲縮弾性率が、該乾燥時の捲縮弾性率に対して20〜75%の範囲内にある水解性繊維を用いてウエブを形成し、該水解性繊維を含むウエブに高圧水を用いて該ウエブに交絡を形成することにより製造することができる。
【0017】
また、上記のような特性を有する本発明の不織布は、乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維を用いてウエブを形成し、該水解性繊維を含むウエブに高圧水を用いて該ウエブに交絡を形成することにより製造することができる。
【0018】
また、本発明の清拭布は、不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における捲縮弾性率を100%としたとき、200重量%の水分含有時の該繊維の捲縮弾性率が、該乾燥時の捲縮弾性率に対して20〜75%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されている不織布が、連続して取り出し可能に収納体に収容されていることを特徴としており、さらに、乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されている不織布が、連続して取り出し可能に収納体に収容されていることが好ましい。この清拭布は水性液体と共に収納体に収容することができる。
【0019】
このような清拭布は、大過剰の水と接触することにより水解性を示す。
【0020】
【発明の具体的説明】
次に、本発明の不織布、その製造方法および清拭布について具体的に説明する。
本出願人は、特願平8−345226号明細書において、水溶解分散性を有する不織布の繊維を特定のバインダー樹脂で接合することによって、含水時に一価のアルカリ成分が解離せず、通常は耐水性を示すがアルカリ領域では解繊する不織布を得ており、従来の不織布用バインダーに起因する問題点を解決し、アルカリ水中での処理を可能にしている。しかしながら、不織布を中性領域の水洗トイレに直接流して処理したいという更なる要望があった。
【0021】
本発明の不織布は、衛生用品として使用する際の湿潤時にも充分な強度を有し、かつ、多量の水には水解性を有するという特性を有している。
ここでいう不織布とは、規則的な糸の交差を形成せず、多数の繊維が相互に不規則に係合することにより形成された布状物である。また、不織布を形成する繊維は、一種類であっても、多種の繊維から構成されていてもよい。
【0022】
本発明の不織布は水解性を有する。ここでいう水解性とは、不織布が水中で解繊し、水に分散することが可能な性質をいう。不織布の水解性が低すぎる場合には、水中に不織布を投入した際に解繊に長時間を要したり、部分的に解繊しないことがあるため、不織布を水洗トイレなどの下水に流して処理する際に、管がつまるなどの問題を生じる虞がある。また、不織布の水解性が高すぎる場合には、使用されるまでの間に不織布の形態が損なわれる虞がある。
以下、水解性を有する不織布について説明する。
【0023】
本発明の不織布は、乾燥時と200重量%湿潤時(繊維に対して200重量%の水分を含有した時)との捲縮弾性率の比、平均伸び率の比、平均引張り強度の比および好適には引抜摩擦抵抗値の比が特定の範囲内にある水解性繊維を用いて形成されている。
即ち、本発明の不織布は、この不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における捲縮弾性率を100%としたとき、200重量%の水分含有時の該繊維の捲縮弾性率が、該乾燥時の捲縮弾性率に対して20〜75%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されていることを特徴としている。
【0024】
また、本発明の不織布を形成する水解性繊維について乾燥時における平均伸び率を100%としたとき、この水解性繊維として、200重量%の水分を含有した時の平均伸び率が、100〜300%の範囲内にあり、さらに好ましくは150〜200%の範囲内にある繊維を使用する。本発明において、乾燥した繊維について予めその長さを測定し、この繊維に荷重をかけて破断に至る直前の長さを測定してこの繊維の乾燥時における伸び率を測定すると、この繊維の乾燥時における平均伸び率は、その繊維太さによっても異なるが、通常は5〜30%、好ましくは10〜20%の範囲内になる。そして、本発明の不織布を形成する繊維の重量に対して200重量%の水分を含有させて同様にして測定した200重量%含水時における平均伸び率は、乾燥時に対して100〜300%、好ましくは150〜200%の範囲内の値を示すのである。200重量%含水時における平均伸び率が上記のような値を示すことにより、本発明の不織布を形成する繊維を用いて製造された不織布は、この不織布に薬液を含浸させてウエットティッシュとしたときに薬液が含有されることによる形態の変化が少なく、しかも引き出しの際に各葉が独立した形態を維持することができる。
【0025】
さらに、本発明の不織布を形成する繊維について乾燥時における引張り強度を100%としたときに、200%の水分を含有した時の平均引張り強度を測定すると、この乾燥時における平均引張り強度に対して25〜200、好ましくは25〜100%、好ましくは30〜50%の範囲内の値を示す。即ち、本発明の不織布を形成する繊維について乾燥時における平均引張り強度を測定すると、その繊維太さによっても異なるが、通常は1.0〜3.0g/d、好ましくは1.5〜2.0g/dの引張り強度を有している。この平均引張り強度を100%としたときに、繊維重量に対して200重量%の水分を含有させてこの繊維の平均引張り強度を測定すると上記範囲内になる。このような200重量%含水時の平均引張り強度を有する繊維を用いて不織布を形成することにより、例えば200重量%程度の水分を含有するウエットティッシュとした場合に、水分を含有しているにも拘わらず、良好な形態保持性(不織布としての形態保持性)を有すると共に、この不織布を大過剰の水(200重量%を遥かに超える水)と接触して、好ましくは攪拌、水流などによって外的に応力が加えられることにより、この不織布が解繊して大過剰の水に単繊維として分散する。即ち、本発明の不織布を水洗処理することが可能になる。
【0026】
ここでいう乾燥時とは、繊維あるいは不織布を120℃の温風を当てて、この繊維に含有されている水分を実質的に全量除去することにより乾燥させた状態を指す。
このように本発明の不織布を形成する繊維は、乾燥時の繊維重量を100%としたとき、および、この乾燥時の繊維重量に対して200重量%の水分を含有した場合であっても充分な引っ張り強度を示す。しかしながら、200重量%をはるかに超える多量の水、特に流動する水と接触すると、湿潤時において上記のような引張り強度を有する繊維は、水流になどの物理的な応力によって解繊する。従って、この繊維から製造された不織布は例えば水流中に投入することにより、良好な解繊性を示すようになる。
【0027】
このような不織布の水解性は、繊維の湿潤時における引抜摩擦抵抗値を調整することによりさらに良好になる。即ち、本発明の不織布を形成する繊維は、乾燥時における滑り抵抗を100%としたとき、200重量%の水分を含有した時の平均引抜摩擦抵抗(湿潤時滑り抵抗)は、この乾燥時における平均引抜摩擦抵抗に対して、通常50%以上300%未満の範囲内にある。さらに、この湿潤時平均摩擦抵抗が、乾燥時の平均引抜摩擦抵抗に対して、75〜240%の範囲内にあることが好ましい。このような乾燥時平均引抜摩擦抵抗に対して湿潤時平均引抜摩擦抵抗の値を有することにより、本発明の不織布が多量の水と接触することにより解繊しやすくなる。
【0028】
このようにして測定した本発明の不織布を形成する繊維の乾燥時における平均引抜摩擦抵抗値は、繊維太さによっても異なるが1.5〜3デニールの繊維を用いて測定すると、通常は0.3〜1.5g、好ましくは0.5〜1.0gの範囲内にある。
なお、本発明において、不織布を形成する繊維の引抜摩擦抵抗は、図1に示すような繊維相互間の引き抜き摩擦抵抗測定装置を用いて測定した値である。
【0029】
即ち、ここで使用される引抜摩擦抵抗測定装置1は、上部固定基台10と、この上部固定基台10に対して移動可能な下部移動基台20とを有している。そしてこの上部固定基台10の下端部にはクリップ12が設けられており、試験される繊維(上糸)40の両端部を挟持して繊維のループ42を形成することができるようにされている。他方、下部移動基台20は、上部固定基台10に対して下方に移動可能に形成されており、この下部移動基台20の上端部には、試験される繊維(下糸)50の一端部を挟持することができるようにクリップ32が設けられている。この滑り抵抗を測定するに際しては、2本の繊維(同一種類)を用意する。
【0030】
そして、1本の繊維(上糸)40の両端部を上記上部固定基台10にクリップ12に挟持してループ42を形成し、他の一本の繊維(下糸)50の一端部を下移動基台20のクリップ32に挟持させて固定すると共に、この下糸50の他端を、上記上糸40によって形成されているループ42に通し、さらにこの他端部に200mgの重り55をくくりつける。
【0031】
乾燥時の滑り抵抗を測定する場合には、上記のように上糸40と下糸50とをセットし、下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸40と下糸50との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定し、この抵抗値を滑り抵抗とする。
一方、この装置には、上記上糸40および下糸50をセットした後、これらの上糸40と下糸50とを含浸することができる浴槽60が設けられており、この浴槽60に水などの液体62を充填して上糸40と下糸50とを液に5分間含浸させた後、浴槽60を取り外し、余剰の液体を除去した後、上記と同様にして下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸40と下糸50との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定ことにより、湿潤時における繊維の滑り抵抗とする。
【0032】
なお、上記のようにして測定した湿潤時の繊維について、その重量を測定すると、この繊維の水分含有率は乾燥繊維重量に対して200重量%でほぼ一定する。
本発明の不織布を形成する繊維は、さらに、通常は20〜50mm以上、好ましくは35〜45mmの平均単繊維長を有している。不織布を形成する繊維の単繊維長が上記範囲内であると、不織布を形成する用途に用いる場合に特に好適である。即ち、不織布の製造が容易になると共に、大過剰の水が存在した場合に、各単繊維が多数の交絡を有する不織布の形態から単繊維の形態になって水に分散しやすくなる。
【0033】
さらにまた、本発明の不織布を形成する繊維の平均繊維径は、通常1.0〜5デニール、好ましくは1.5〜5デニール、特に好ましくは1.6〜5デニール、さらに好ましくは2〜5デニールである。
本発明の不織布を形成する繊維は、上述した伸び率および引っ張り強度を持つ繊維であれば、どのような材質、製法によるものでもよいが、例えば、再生セルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(メタ)アクリル酸などを原料とすることができる。
【0034】
本発明の不織布を形成する繊維は、例えば、上記のような原料繊維となる樹脂に例えばカチオン基およびアニオン基などの極性基を導入し、必要により他の樹脂を添加して紡糸することにより製造することができる。
例えば、従来から知られているレーヨンなどの水分を吸収する繊維は200重量%吸水時における乾燥繊維との比較における伸び率が上記のような範囲内になく、また引張り強度も上記範囲内にはない。また、ポリオレフィン繊維のような繊維は、200%の吸水性を有していない。
【0035】
そして、特に湿潤繊維の引き抜き抵抗が上記の範囲内にあることにより、本発明の繊維を例えば不織布にしたときに、この不織布を大過剰の水に投入すると短時間で解繊して水洗処理が可能となる。しかもこのように水洗処理しても水洗トイレなどの詰まることがない。
例えば、本発明の不織布50×50mmを大過剰の水、例えば300mlの水に投入して、これをストローク40mm、260rpmで10秒以上、好適には30秒間以上振盪して、脚の部分の内径が10mm、脚長さが130mmのロートに水と共に流し込むと、本発明の不織布は15秒以内にこの脚部を通過する。即ち、本発明の不織布を大過剰の水に投入することにより、この不織布は、水洗処理可能な程度まで解繊するため、水洗処理によって繊維のつまりは生じない。即ち、本発明の繊維を用いて製造された不織布は、例えば水洗トイレに投入して処理することが可能であり、その際水洗トイレに詰まりは生じない。
【0036】
上記のような特性を有する水解性繊維を用いて形成された不織布は、大過剰の水と接触し、好ましくは攪拌あるいは水流などの外的応力を付与しながら大過剰の水と接触することにより、良好に解繊すると共に、少量の水が共存する環境(例えば包装されたウエットティッシュ)においては、不織布の形態を長期間維持することができる程度の形態保持性を有している。即ち、本発明の不織布は、湿潤時にも、充分な強度を有しており、使用中の吸湿では不織布が解繊して崩壊することはないが、流水下などの大過剰の水中に容易に水解する。従来から市販されている水解性不織布は、繊維長さを調整することによって水に対して分散可能にされていたが、本発明の不織布は、使用する繊維の特性を選定することにより、少量の水が存在する環境において良好な形態保持性を確保すると共に、大過剰の水の存在下で解繊するという特性を有するようにしている。
【0037】
本発明の不織布は、厚さが通常0.1〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.6、特に好ましくは0.3〜0.6mmである。また、この不織布の目付けは、通常は20〜80g/m2、好ましくは20〜40g/m2の範囲内にある。厚さおよび目付が上記範囲にある本発明の不織布は、良好な吸水性を示すと共に、大過剰の水と接触した場合に解繊しやすい。
【0038】
本発明の不織布は、例えばウォータージェットパンチ法(water jet punch)、特に好適にはスパンレーン法(spun lace)などを採用して製造することができる。このような方法で製造された不織布は、MD方向とCD方向とで強度が異なり、本発明の不織布は、乾燥時におけるMD方向の平均引張り強度が通常は0.3〜10kgf、好ましくは1〜5kgfの範囲内にあり、そして、不織布重量に対して200重量%の水を含有した時のMD方向の平均引張り強度は通常は0.2〜6kgf、好ましくは0.2〜2.5kgfの範囲内にある。さらに、CD方向の引張り強度は、乾燥時および湿潤時共に、MD方向の引張り強度よりも小さく、通常は、MD方向の引張り強度の90〜5%程度、好ましくは50〜10%程度になる。乾燥時および湿潤時におけるMD方向およびCD方向の引張り強度に上記のような差のある本発明の不織布は、少量の水が存在しても充分な強度を有すると共に、多量の水が存在する状況下では短時間に解繊する。また、MD方向に強度が上記範囲内にあることにより、製造時に不織布が切れにくく、効率よく本発明の不織布を製造することができる。
【0039】
本発明の不織布は、上記詳述した水解性繊維を用いてウエブを形成し、この水解性繊維を含むウエブに高圧水を用いて交絡を形成することにより製造することができる。
即ち、例えば本発明の不織布は、これを形成する繊維として、上記詳述したように、乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維を使用し、この水解性繊維を用いてウエブ形成装置でウエブを形成し、このウエブ内の繊維に高圧水を用いて交絡を形成し、次いで乾燥して巻き取ることにより本発明の不織布を製造することができる。
【0040】
この際、交絡を形成するために用いる高圧水の水圧は、5〜100kg/cm2、好ましくは10〜50kg/cm2の範囲内で適宜設定することができる。
このような方法は、スパンレース(spun lace)方式と呼ばれており、この方法で製造された本発明の不織布は、柔らかで強く、しかも毛羽が少なく、高い吸水性を有しており、例えば清拭用不織布、体液吸収不織布のように、人の皮膚に直接接触する用途に使用される不織布として非常に好適な風合いを有する。しかも吸水率が高いので、清拭液などを充分に含有することができる。しかも、充分に吸水することから、この不織布が多量の水と接触した場合に、この不織布を容易に解繊させることができる。
【0041】
本発明の不織布は、上記のような水解性繊維から形成されているが、この不織布の特性を損なわない範囲内で他の繊維と共に不織布を形成していてもよい。この場合、上記水解性繊維の含有率は通常は15重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%である。ここで上記水解性繊維と共に使用することができる繊維の例としては、パルプ繊維、再生セルロース繊維(例:ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュブラ、鹸化アセテート)、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維。ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維、天然繊維および再生繊維を挙げることができる。このような繊維の中でも再生セルロース繊維を使用することが好ましい。再生セルロース繊維を使用することにより、不織布の風合いおよび肌触りが著しく改善される。また、これらの繊維の平均繊維長さは、通常は80mm以下、好ましくは40mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、特にこのような繊維は通常は0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上の平均繊維長を有していることが望ましい。このような平均繊維長さを有する繊維を併用することにより、不織布の水解性が著しく低下することがなく、また、不織布の製造に問題を生ずることもない。
【0042】
例えば上記のような方法により製造された本発明の不織布は、非常にやわらかく、良好な風合いを有しており、このような特性を利用して、本発明の不織布は、清拭布として好適に使用することができる。
本発明の清拭布は、上記詳述した不織布、即ち、乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、この繊維が200重量%の水分を含有時のこの繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時のこの繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されている不織布を用いて、この不織布を連続して取り出すことができるように収納体に収容されている。
【0043】
このような清拭布は大過剰の水と接触することにより水解するので、使用後に水洗トイレなどに流して処理することができる。この清拭布は、乾燥した状態で使用することができるし、また少量の水性媒体(水など)を含浸させて使用することもできる。そして、この清拭布を形成する不織布は、少量(具体的には不織布に対して200重量%程度)の水性媒体を含有しても、その形態が損なわれるほどには強度が低下しない。従って、乾燥状態で包装された清拭布に少量の水を含浸させて、種々の汚れを拭い取ることができる。特に本発明の清拭布を構成する不織布は、人体に対する刺激性がないことから、人の体等を拭くための清拭布として使用することが好ましい。殊に本発明の清拭布は、乳幼児、老人あるいは皮膚疾患を有する人など皮膚の抵抗力が低い人が使用したとしても、刺激性がなく、清拭布を使用することによる皮膚疾患を引き起こす虞が著しく低い。
【0044】
本発明の清拭布は、上記のように乾燥状態で包装体に収納して使用することもできるが、さらに本発明の清拭布は、水性液体と共に収納体に収容することもでいる。即ち、本発明の清拭布は、所謂ウエットティッシュとして包装して使用することができる。
本発明の清拭布をウエットティッシュとして使用する場合、不織布に含浸させる液剤は、ウエットティッシュの用途により適宜選定することができるが、例えば、水、水-アルコールを挙げることができる。このような液剤には、防腐剤(例:安息香酸ナトリウムなどの芳香族系防腐剤など)、保湿剤(例:エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールなど)、界面活性剤、芳香剤、殺菌剤、抗生物質などを配合することができる。
【0045】
このような液剤は、不織布に対して、通常は1〜5倍(重量)、好ましくは2〜3倍(重量)の量で配合される。
このような清拭布、好ましくはウエットティッシュは、水不透過性の包装袋(例:ポリオレフィンフィルム製包装袋、ポリエステル製包装袋、ポリ塩化ビニル製包装袋、金属蒸着フィルム製包装袋など)に封入して供給することができる。
【0046】
このような清拭布、好ましくはウエットティッシュを一葉づつ取り出し可能にするために、不織布の各葉が互いに重なりを有して折り畳まれて包装袋に収容する。また、連続した不織布に各葉に相当する大きさ毎にミシン目を形成してこのミシン目で不織布を切断して連続的に清拭布を取り出せるようにすることもできる。
【0047】
こうして一葉づつ取り出して使用された清拭布は、被清拭体である人の皮膚(例えば乳幼児の臀部など)、器具表面(例:哺乳瓶の人工乳首)などを清拭した後、多量の水に投入することにより、短時間で水解する。従って、この清拭布を使用後、水洗トイレなどに投入して流すことにより、解繊して処理することができる。
【0048】
このように本発明の不織布は、少量の分を含有した湿潤時にも、充分な強度を有しており、使用中の吸湿では不織布が開繊して崩壊することはないが、大過剰の水と接触すると解繊する。
したがって、本発明の不織布は、使用時には水分を含有しても崩壊することなく好適に使用することができ、使用後には水洗トイレなどの下水に流して処理することができる。また、本発明の不織布を用いた清拭布は、使用時には崩壊せずに好適に使用でき、使用後は水洗トイレなどの下水に流して、速やかに衛生的に処理することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の不織布は、少量の水分を含有した湿潤時においては充分な強度を有しており、他方、大過剰の水と接触すると解繊して崩壊する。従って、本発明の不織布は、例えば清拭布のように水を含有して使用し、使用後は速やかに処理する用途に好適に使用することができる。
【0050】
また、本発明の不織布は、スパンレース方式など方法により通常の不織布の製造に採用されている方法を利用して容易に製造することができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に示す実施例等で作成された繊維および不織布の各物性は、以下の方法によって測定あるいは評価を行った。
【0052】
なお、本発明において、捲縮弾性率、伸び率、引張り強度、引抜摩擦抵抗などの数値の平均値は、特に限定しない限り、サンプル数5の平均値である。
[捲縮弾性率]
JIS-L-1015の7.12の記載の基づいて、表面が滑らかな紙に空間距離25mmの区分線をつくり、これに損なわれていない部分から採取した試料を1本づつ区分内のはり付表に対して25±5%の緩みを持たせて両端を接着剤ではりつけ固定して25mm当たりの捲縮数を測定する。この試料を1本づつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重をかけた時のつかみ間の距離(空間距離)(mm)を読みとり初荷重をかけた時の長さaとした。次に1デニール当たり50mgの荷重をかけた時の長さをもとめてbとした。次に荷重を除き、2分間放置後初荷重をかけて長さを読み取り、この値をcとした。次に記載する式から捲縮弾性率(%)を求めた。
【0053】
捲縮弾性率(%)=[(b−c)/(b−a)]×100
200%含水時(湿潤時)の捲縮弾性率は上記のような試料に筆で水分を充分に付着させて、上記と同様にして測定した。
〔伸び率〕
試験片とする繊維の長さを測定し、次いでこの繊維の両端部を伸び率測定装置にセットして通常の条件に従って20mm/分間の速度で引っ張り破断に至るまでの長さを測定し、下記式(1)に基づいて伸び率を測定した。
【0054】
【数1】
Figure 0004359799
【0055】
〔引張り強度〕
試験片とする繊維を、市販の引張り強度測定装置にセットして、この繊維に過重をかけてこの繊維に順次荷重加えていって、この繊維が破断に至ったときの最大荷重を測定して引張り強度とした。
〔引抜摩擦抵抗〕
図1に示す繊維の引抜摩擦抵抗測定装置1を用いて下記のようにして得られた繊維の滑り抵抗値を求めた。この引抜摩擦抵抗測定装置1は、上部固定基台10と、この上部固定基台10に対して移動可能な下部移動基台20とを有している。そしてこの上部固定基台10の下端部にはクリップ12が設けられており、試験される繊維(上糸)40の両端部を挟持して繊維のループを形成することができるようにされている。他方、下部移動基台20は、上部固定基台10に対して下方に移動可能に形成されており、この下部移動基台20の上端部には、試験される繊維(下糸)50の一端部を挟持することができるようにクリップ32が設けられている。この滑り抵抗を測定するに際しては、2本の繊維(同一種類)を用意する。
【0056】
そして、1本の繊維(上糸)40の両端部を上記上部固定基台にクリップ12に挟持してループ42を形成し、他の一本の繊維(下糸)50の一端部を下移動基台のクリップ32に挟持させて固定すると共に、この下糸50の他端を、上記上糸40によって形成されているループ42に通し、さらにこの他端部に200mgの重りをくくりつける。
【0057】
乾燥時の滑り抵抗を測定する場合には、上記のように上糸40と下糸50とをセットし、下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸と下糸との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定し、この抵抗値を滑り抵抗とする。
一方、この装置1には、上記上糸40および下糸50をセットした後、これらの上糸40と下糸50とを含浸することができる浴槽60が設けられており、この浴槽60に水あるいはアルカリ水などの液体62を充填して上糸40と下糸50とを液に5分間含浸させた後、浴槽60を取り外し、余剰の液体62を除去した後、上記と同様にして下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸40と下糸50との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定ことにより、湿潤時における繊維の滑り抵抗とした。
【0058】
なお、上記のようにして測定した湿潤時の繊維について、その重量を測定すると、この繊維の水分含有率は乾燥繊維重量に対して200重量%でほぼ一定する。
〔繊維径〕
レンチング社製、商品名:バイブロスコプを用いて、振動法により単繊維の径(デニール)を求めた。
〔厚さ〕
アスカー中型測厚器を用いて、不織布10枚重ねの厚さを測定し、1枚分の厚さを算出した。
〔繊維の平均長さ〕
不織布を構成する繊維10本の長さを測定し、平均値を求めた。
〔水解性〕
容量1リットルの分液ロートに水道水300ミリリットルを入れ、さらに、この分液ロートに100×100mmの不織布を入れ、すばやく振盪機(イワキ社製KMシェイカーV-S)にセットし、ストローク40mm260rpmにて30秒間振盪して、不織布を解繊させた。
【0059】
これとは別に、上部の直径が145mm、斜面の長さが130mm、脚部の内径が10mm、長さが130mmの三角ロートを用意し、上記のようにして振盪させることにより解繊した不織布を水道水と共に、上記三角ロートに移し、10秒以内に水道水が解繊した不織布と共に三角ロートの脚部を通過してものを「水解性良好」とし、水道水のみが脚部から排出され、繊維が三角ロート内に残ったものを「水解性不十分」とした。水解性繊維としては、「水解性良好」であることが好ましく、実際の水洗トイレによる処理ではトイレのつまりは殆ど生じない。
【0060】
【実施例1】
カチオン化セルロースと、ポリアクリル酸ナトリウムとを1:1の重量比で混合したイオン性樹脂30重量部とレーヨン70重量部とをビスコース溶液中で均一に混合した。
次いで、この混合物を凝固浴中に加圧下に押し出して紡糸することにより、極性基を有する高分子が30重量%練り込まれたレーヨン繊維を製造した。この繊維の平均繊維径は3.0デニールであり、平均繊維長は38mmであった。
【0061】
この繊維について、乾燥時、繊維重量に対して200重量%の水分を含有した時の捲縮弾性率、平均伸び率および平均引張り強度を測定した。
こうして得られた繊維について測定した乾燥時の捲縮数は22個/インチであった。この繊維について乾燥時に測定した捲縮弾性率は78.3%であり、湿潤時の捲縮弾性率は56.4%であり、乾燥時の捲縮弾性率を100%とすると、湿潤時の捲縮弾性率は、72.0%に相当する。
【0062】
この不織布を形成する繊維について測定した乾燥時の平均引張り強度は2.11g/dであり、200重量%の水分を含有した時の平均引張り強度は0.92g/dであった。この結果から、200重量%水分含有時の平均引張り強度は、乾燥時の平均引張り強度の44%であった。
また、この繊維の乾燥時の平均伸び率は原糸に対して17%であるのに対して200%の水分を含有した時の平均伸び率は原糸に対して24%であった。この結果から、200%水分含有時の平均伸び率は、乾燥時の平均伸び率に対して140%に相当する。
【0063】
さらに、この繊維について、図1に示す引抜摩擦抵抗測定装置を用いて測定したところ、平均引剥摩擦抵抗(引き抜きに要する力)は0.44gであった。また、この繊維に200%の水分を含有させて上記と同様にして測定した平均引抜摩擦抵抗は1.09gであった。この200%含水時の繊維の平均引抜摩擦抵抗は、乾燥時の平均引抜摩擦抵抗100%に対して250%であった。
【0064】
上記のようにして得られた繊維を用いてウエブを形成し、スパンレース方式により不織布を製造した。このときの水圧を25kg/mm2に設定して、平均厚さ0.5mm、目付40g/m2の不織布を製造した。
この不織布の乾燥時のMD方向の引張り強度は、3.19kgfであり、CD方向の引張り強度は1.07kgfであった。また、この不織布の200重量%水分含有時のMD方向の引張り強度は、2.78kgfであり、CD方向の引張り強度は0.84kgfであった。
【0065】
上記の不織布から100×100mmの試験片を切り出し、上記の上記の方法で水解性を測定したところ、この不織布の水解性は、「水解性良好」であった。
【0066】
【実施例2】
カチオン化セルロースと、ポリアクリル酸ナトリウムの1:1の複合系50部とレーヨン50部とを実施例1と同様の方法で練り込みし、水分解性高分子50重量%練り込みレーヨンを得た。これを用いて、実施例1と同様の方法で繊維を得た。この繊維の平均繊維径は3.0デニール、平均繊維長は38mmであった。
【0067】
こうして得られた繊維について乾燥時および湿潤時の捲縮弾性率を測定し、乾燥時の捲縮弾性率を100%としたときの湿潤時の捲縮弾性率は乾燥時の捲縮弾性率の28.0%であった。
この不織布を構成する繊維について測定した乾燥時の平均引張り強度は1.46g/dであり、200重量%の水分を含有した時の平均引張り強度は0.49g/dであった。この結果から、200重量%水分含有時の平均引張り強度は、乾燥時の引張り強度の34%であった。
【0068】
また、この繊維の乾燥時の平均伸び率は原糸に対して14%であるのに対して200重量%の水分を含有した時の平均伸び率は原糸に対して18%であった。この結果から、200重量%水分含有時の平均伸び率は、乾燥時の平均伸び率に対して130%に相当する。
さらに、この繊維について、図1に示す引抜摩擦抵抗測定装置を用いて測定したところ、平均引抜摩擦抵抗(引き抜きに要する力)は1.35gであった。また、この繊維に200重量%の水分を含有させて上記と同様にして測定した平均引抜摩擦抵抗は1.14gであった。この200重量%含水時の繊維の平均引抜摩擦抵抗は、乾燥時に平均引抜摩擦抵抗100%に対して118%であった。
【0069】
この繊維を用いて実施例1と同様にして不織布を製造した。
この不織布の乾燥時のMD方向の引張り強度は、5.07kgfであり、CD方向の引張り強度は0.83kgfであった。また、この不織布の200重量%水分含有時のMD方向の引張り強度は、2.07kgfであり、CD方向の引張り強度は0.18kgfであった。
【0070】
上記の不織布から100×100mmの試験片を切り出し、上記の方法で水解性を測定したところ、この不織布の水解性は、「水解性良好」であった。
【0071】
【実施例3】
実施例1で製造した不織布を200×200mmの大きさに切り出し、これを二つ折りにして各葉の折り返し部分が重なりあうようにして100枚160g重ねてポリエチレン製包装袋に収容した。この包装袋に水480gを注入して包装ウエットティッシュを製造した。
【0072】
このポリエチレン製包装袋の上部には、長さ150mmのスリットを形成可能な易引き裂き部が形成されている。
こうして製造された包装ウエットティッシュを30日間密閉状態で保持した後、スリットを開封して収容されている不織布の形態は維持されており、最初の一葉を取り出すと次の葉の端部がスリットに挟まれていた。上記のような操作を繰り返して行ったが、ウエットティッシュは100枚引きちぎれることなく全部引き抜くことができた。
【0073】
このウエットティッシュはやわらかく非常に肌さわりが良かった。こうして使用し終わったウエットティッシュを水洗トイレに投入して流したが、管詰まりは生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明において、繊維の引抜摩擦抵抗値を用いるの用いた装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1・・・引抜摩擦抵抗測定装置
10・・・上部固定基台
12・・・クリップ
30・・・下部移動基台
32・・・クリップ
40・・・繊維(上糸)
42・・・ループ
50・・・下糸
55・・・重り
60・・・浴槽
62・・・液体

Claims (22)

  1. 平均繊維長さが35〜45mmであり、
    平均繊維径が1.6〜5デニールであり、
    燥時における捲縮弾性率を100%としたとき、200重量%の水分含有時の捲縮弾性率が、該乾燥時の捲縮弾性率に対して20〜75%の範囲内にあ水解性繊維を用いてウェブを形成し、該水解性繊維を含むウェブに高圧水を用いて該ウェブに交絡をランダムに形成させて得られ、
    該水解性繊維が15重量%以上の量で含有されていることを特徴とする不織布。
  2. 上記不織布が、不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の不織布。
  3. 上記不織布の平均厚さが0.1〜1.0mmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の不織布。
  4. 上記不織布の目付が2〜80g/m2の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第3項のいずれかの項記載の不織布。
  5. 乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されていることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の不織布。
  6. 上記不織布の乾燥時におけるMD方向の平均引張り強度が0.3〜10kgfの範囲内にあり、かつ200重量%の水分を含有したときの該不織布のMD方向の平均引っ張り強度が0.2〜6kgfの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の不織布。
  7. 記不織布を該不織布の重量に対して100000重量%以上の水に投入にして、30秒間以上振盪することにより該不織布が繊維状に解繊して該繊維が水に分散することを特徴とする請求項第1項記載の不織布。
  8. 上記不織布を形成する上記水解性繊維以外の繊維が、繊維長さ20mm未満の短繊維であることを特徴とする請求項第項記載の不織布。
  9. 上記不織布が、水解性を有することを特徴とする請求項1項記載の不織布。
  10. 平均繊維長さが35〜45mmであり、
    平均繊維径が1.6〜5デニールであり、
    燥時における捲縮弾性率を100%としたとき、200重量%の水分含有時の捲縮弾性率が、該乾燥時の捲縮弾性率に対して20〜75%の範囲内にあ水解性繊維を用いてウェブを形成し、該水解性繊維を含むウェブに高圧水を用いて該ウェブに交絡をランダムに形成して得られ、
    該水解性繊維が15重量%以上の量で含有されていることを特徴とする不織布の製造方法。
  11. 不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にある水解性繊維を用いてウェブを形成し、該水解性繊維を含むウェブに高圧水を用いて該ウェブに交絡を形成することを特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  12. 上記不織布の乾燥時における平均厚さが0.1〜1.0mmの範囲内にあることを特徴とする特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  13. 上記不織布の目付が2〜80g/m2の範囲内にあることを特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  14. 乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にあることを特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  15. 上記不織布の乾燥時におけるMD方向の平均引張り強度が0.3〜10kgfの範囲内にあり、かつ200重量%の水分を含有したときの該不織布のMD方向の平均引っ張り強度が0.2〜6kgfの範囲内にあることを特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  16. 記不織布を該不織布の重量に対して100000重量%以上の水に投入にして、30秒間以上振盪することにより該不織布が繊維状に解繊して該繊維が水に分散することを特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  17. 上記不織布を形成する上記水解性繊維以外の繊維が、繊維長さ20mm未満の短繊維であることを特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  18. 上記高圧水の水圧が5〜100kg/cm2の範囲内にあることを特徴とする請求項第10項記載の不織布の製造方法。
  19. 平均繊維長さが35〜45mmであり、
    平均繊維径が1.6〜5デニールであり、
    乾燥時における捲縮弾性率を100%としたとき、200重量%の水分含有時の捲縮弾性率が、該乾燥時の捲縮弾性率に対して20〜75%の範囲内にある水解性繊維を用いてウェブを形成し、該水解性繊維を含むウェブに高圧水を用いて該ウェブに交絡をランダムに形成させて得られ、
    該水解性繊維が15重量%以上の量で含有されている不織布が、連続して取り出し可能に収納体に収容されていることを特徴とする清拭布。
  20. 不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されている不織布が、連続して取り出し可能に収納体に収容されていることを特徴とする請求項第19項記載の清拭布。
  21. 乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されている不織布が、連続して取り出し可能に収納体に収容されていることを特徴とする請求項第19項記載の清拭布。
  22. 上記清拭布が、水性液体と共に収納体に収容されていることを特徴とする請求項第19項記載の清拭布。
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