JP4358964B2 - 走行車両の操向装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラトラクタやコンバイン等の走行車両の操向装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、丸型の操向ハンドルを装着して旋回機構と連動連結し、該操向ハンドルの回動によってクローラー式走行装置の左右のクローラーの回転数を調整して旋回するようにした技術は公知となっている。このようなステアリング装置において、操向ハンドルのハンドル軸を支持してカバーするステアリングコラムは一体的に構成され、操向ハンドルの回転を減速する機構はステアリングコラム下方に配置していた。例えば、特開平11−78954号である。また、減速機構にウォームギヤを用いた技術も特開平9−39828号で公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、減速機構がステアリングコラムの下方に配置されていると、メンテナンス時にはステアリングコラムを外す必要があり、面倒な作業となっていた。また、組立時には下方より作業をする必要があり、面倒な作業となっていた。また、減速機構にウォームギヤを用いると中立方向に戻す力が発生せず操作フィーリングが悪くなっていたのである。また、組立も複雑となる。また、操向ハンドルの中立位置(直進位置)がわかり難く、操向ハンドル側に中立位置の位置決め装置が設けられても、減速機構の出力側で中立位置がズレると直進性が悪くなるという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いる。
【0005】
請求項1においては、操向ハンドル(7)の操作にて旋回用HST(20)及び走行用HST(22)の出力を調整して旋回可能とする走行車両のステアリングコラム(2)において、該操向ハンドル(7)のハンドル軸(71)上に減速機構を設け、該減速機構は、前記ハンドル軸(71)を構成する上ハンドル軸(71a)と下ハンドル軸(71b)と平行に、減速軸(73)を回転自在に該ステアリングコラム(2)に支持し、該上ハンドル軸(71a)と減速軸(73)と下ハンドル軸(71b)の上に複数の歯車を配置して構成し、該減速機構の上下において、該上ハンドル軸(71a)と下ハンドル軸(71b)の中途部には、それぞれニュートラルデテント機構と中立戻し機構を一体的に設け、該ニュートラルデテント機構と中立戻し機構は、該上ハンドル軸(71a)上に、カム(84)を固設し、該カム(84)の大径部(84a)に、ローラー(85)が当接するように配置し、該ローラー(85)はアーム(86)に枢支し、該アーム(86)はバネによって付勢し、該下ハンドル軸(71b)上にも、カム(79)を固設し、該カム(79)の大径部(79a)の中央に構成した凹部(79b)にローラー(82)を当接し、該ローラー(82)はアーム(80)に枢支し、該アーム(80)はバネによって付勢し、該ローラー(82)が凹部(79b)に嵌まるようにしてニュートラルデテント機構を構成し、該凹部(79b)から徐々に半径が大きくなるように大径部(79a)を構成し、ローラー(82)で付勢することで中立方向へ戻すようにして中立戻し機構を構成したものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載の走行車両の操向装置において、中立戻し機構を前記上下いずれかのニュートラルデテント機構に設けたものである。
【0007】
請求項3においては、請求項1記載の走行車両の操向装置において、前記ステアリングコラム(2)を上下に分割し、上コラム(2a)を下コラム(2b)に対して着脱可能に構成し、前記ニュートラルデテント機構と中立戻し機構を、上コラム(2a)内に収納したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の解決すべき課題及び手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した本発明の一実施例を説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施例であるクローラトラクタの側面図、図2はエンジンとHSTとミッションケースの配置を示す側面図、図3は駆動伝達経路を示すスケルトン図、図4は操向変速用円錐リンク機構と操向ハンドルと主変速レバーと変速アームの連係機構を示す側面図、図5は上コラム内の減速機構を示す側面断面図、図6はニュートラルデテント機構と中立戻し機構を示す平面図である。
【0010】
図7は操向変速用円錐リンク機構の模式斜視図、図8は操向変速用円錐リンク機構とブレーキペダルとの連結を示す後面断面図、図9は同じく拡大後面断面図、図10はパンタグラフ式リンク機構の平面図、図11はブレーキペダルの連結を示す側面図、図12は融通機構の側面図、図13は同じく後面断面図、図14は操向変速用円錐リンク機構の作動を示す模式図、図15はハンドル角度と走行速度の関係を示す図である。
【0011】
まず、本発明に係る操向装置を具備した一実施例であるクローラトラクタの概略構成について説明する。図1に示すように、クローラ式走行装置1の前部上方にはエンジン3が配置され、後部上方にはリアミッションケース5が配置されている。エンジン3はボンネット4に覆われ、該エンジン3は左右下側のエンジンブラケット6・6間に固定されている。ボンネット4の後部には本発明のステアリングコラム2を設け、該ステアリングコラム2上に操向操作を行う丸型の操向ハンドル7を配置し、該操向ハンドル7の後方にシート8を配設し、該ステアリングコラム2とシート8の間の下方にステップ18を配置して、運転部を構成している。これら運転部はキャビン9によって覆っている。また、車両後端部には、各種作業機を装着するための三点リンク式の装着装置10が設けられている。
【0012】
前記クローラ式走行装置1は、クローラフレーム15に支持されており、該クローラフレーム15の前端部にフロントミッションケース16を固設して駆動スプロケット11を支持し、後端部にアイドラ12、及び、駆動スプロケット11とアイドラ12との間に転輪13・13・・・を回転自在に支持し、該駆動スプロケット11とアイドラ12と転輪13・13・・・の周囲をクローラベルト14で巻回している。
【0013】
次に、クローラトラクタの駆動伝達系について、図2、図3を用いて説明する。前記エンジン3の後部にダンパーケース19を介して走行用油圧式無段変速装置(以下走行用HST)22が付設され、該走行用HST22の後方に副変速装置43やPTO変速装置44等を収納したリアミッションケース5が配置され、副変速装置43には前記走行用HST22の出力が、副変速入力軸48を介して伝えられ、PTO変速装置44へは伝動軸42を介して伝えられる。該伝動軸42、副変速入力軸48は走行用HST22とリアミッションケース5とを連結する連結ケース17によって覆われている。
【0014】
また、エンジン3の前方に旋回用油圧式無段変速装置(以下旋回用HST)20を前面に付設したフロントミッションケース16が配置され、エンジンブラケット6の前部に支持され、機体の前部位置に配置している。そして、エンジン3からの動力により旋回用HST20を駆動し、該旋回用のHST20の出力と前記副変速装置43からの出力を合成して駆動スプロケット11を駆動する構成としている。このように、走行用HST22と、副変速装置43とPTO変速装置44を収納したリアミッションケース5と、旋回用HST20はそれぞれ独立して配置され、メンテナンス等を個別にでき、また、仕様毎の変更も容易にできるようにしている。
【0015】
次に、動力伝達構成の具体的構成を説明する。前記エンジン3のクランク軸は前後方向水平に配置されて、前方及び後方に突出されている。後方の出力軸3aはダンパー21を介して走行用HST22に入力され、該走行用HST22はエンジン3の後部にダンパーケース19を介して連結され、該走行用HST22はステアリングコラム2の下方、つまり、ステップ18の下方に配置され、ステップ18下方の空間を有効に利用している。前記走行用HST22の入力軸23は走行用HST22を貫通して後方へ延設され、該入力軸23の後端がリアミッションケース5内に収容したPTOクラッチ24に入力され、該PTOクラッチ24の出力は伝動軸25を介してPTO入力軸26に伝えられ、該PTO入力軸26上にはPTO1速ギヤ27、PTO2速ギヤ28、PTO逆転ギヤ29が固設されている。
【0016】
また、前記PTO入力軸26と平行に逆転軸30、PTO変速軸31、カウンター軸33、PTO軸34が支持され、PTO変速軸31上にはPTO1速従動ギヤ35、PTO2速従動ギヤ36、PTO逆転従動ギヤ37が遊嵌され、PTO1速従動ギヤ35は前記PTO1速ギヤ27と、PTO2速従動ギヤ36はPTO2速ギヤ28と、PTO逆転従動ギヤ37は逆転軸30上の逆転歯車38を介してPTO逆転ギヤ29とそれぞれ噛合している。
【0017】
そして、前記PTO変速軸31上には摺動ギヤ39が摺動自在にスプライン嵌合され、前記PTO1速従動ギヤ35、PTO2速従動ギヤ36、PTO逆転従動ギヤ37とそれぞれPTO変速レバーの回動によって噛合可能とし、PTO変速を可能としてPTO変速装置44を構成している。そして、前記PTO変速軸31上には更に伝動ギヤ40が固設され、該伝動ギヤ40はカウンター軸33軸上のカウンターギヤを介してPTO軸32上に固設したギヤ41に動力を伝達可能としている。該PTO軸32は後方に突出され、走行車両後端に接続される作業機を駆動可能としている。
【0018】
また、前記走行用HST22は可変容量型の油圧ポンプ45と定容量型の油圧モータ46からなり、油圧ポンプ45の可動斜板は走行用HST22のケース側面に設けた変速アーム63と連結され、該変速アーム63はリンク機構を介して運転部に設けた主変速レバー65と連動連結され、該主変速レバー65の回動により油圧ポンプ45からの吐出量と吐出方向を変更して、油圧モータ46の回転数と回転方向を変更可能としている。つまり、主変速を可能としている。
【0019】
前記油圧モータ46の出力軸47は、リアミッションケース5に軸支した副変速入力軸48と連結され、該副変速入力軸48上には高速ギヤ50と低速歯ギヤ51が固設され、副変速軸48と平行に軸架した副変速軸52上に遊嵌した高速従動ギヤ53と低速従動ギヤ54にそれぞれ噛合している。そして、前記副変速軸52上の高速従動ギヤ53と低速従動ギヤ54との間には摺動ギヤ55がスプライン嵌合されて、図示しない副変速レバーまたはスイッチ等の操作で高低変速を可能とし、副変速装置43を構成している。
【0020】
そして、副変速軸52上に伝動ギヤ56が固設され、該伝動ギヤ56は出力軸57上に固設したギヤ58と噛合されている。該出力軸57の前端はリヤミッションケース5より前方に突出され、ユニバーサルジョイント60及び伝動軸を介してフロントミッションケース16より後方に突出した入力軸61に伝えられる。該フロントミッションケース16内の入力軸61上には機体のブレーキ装置62が配置され、該入力軸61の他端にはベベルギヤ141が固設され、該ベベルギヤ141は遊星歯車機構140で構成される差動装置のサンギヤ軸143上に固設したベベルギヤ142と噛合されている。
【0021】
一方、前記フロントミッションケース16はエンジンブラケット6の前後中途部に固設され、該フロントミッションケース16は遊星歯車機構140と左右の最終減速装置133・133と入力減速機構132を収容し、フロントミッションケース16の前面に旋回用HST20を付設している。前記最終減速装置133・133から突出した出力軸上にはそれぞれ駆動スプロケット11・11が固設されている。
【0022】
前記入力減速機構132の入力軸134はユニバーサルジョイント135を介して、エンジン3より前方へ突出した出力軸3bと連結され、該入力減速機構132は複数の歯車により減速して、その出力は旋回用HST20の油圧ポンプ121の入力軸122に伝えられて入力され、該旋回用HST20は可変容量型の油圧ポンプ121と固定容量型の油圧モータ124より構成して、該油圧ポンプ121の可動斜板は旋回用HST20のケース側面に設けた変速アーム64と連結されて、該変速アーム64は前記操向ハンドル7と連動連結されて、該操向ハンドル7の操作量に応じて油圧ポンプ121からの吐出量が調整され、該油圧ポンプ121の吐出量に応じて駆動する油圧モータ124の出力軸125の回転数と回転方向を変更して駆動させるのである。
【0023】
前記油圧モータ124の出力軸125は旋回用HST20の後部側に延設してその先端にベベルギヤ126を固設し、該ベベルギヤ126は左右ベベルギヤ127・127と噛合し、左右に逆回転の動力を伝える。該ベベルギヤ127・127から回転駆動力を遊星歯車機構140に伝達している。
【0024】
次に、前記遊星歯車機構140の構成について説明する。尚、左右対称に構成されているので、一方について説明する。エンジン3の出力は前記リアミッションケース5よりフロントミッションケース16に入力される。入力軸61の駆動力はベベルギヤ141・142を介してサンギヤ軸143に伝達される。そして、サンギヤ軸143の回転出力が左右に伝達され、左右の遊星歯車機構140・140に入力される。左右一方の遊星歯車機構140は、サンギヤ144、プラネタリアギヤ145、キャリア146及び出力ギヤ147等で構成されている。
【0025】
前記サンギヤ軸143の回転出力は、サンギヤ軸143の左右端に固設されたサンギヤ144を同方向、同回転数で回転駆動する。そして、サンギヤ144はプラネタリアギヤ145に刻設された2つのギヤの内の一方であるギヤ145aに噛合し、さらに他方のギヤ145bは出力ギヤ147に噛合している。ここでプラネタリアギヤ145は、サンギヤ軸143上に遊嵌されたキャリア146より突設した軸に回転自在に軸支されており、該キャリア146はサンギヤ軸143(駆動出力軸149)の外周上を回転する。また、前記キャリア146の外周に歯車155を形成し、該歯車155は前記ベベルギヤ127を固定する軸153上に固設した歯車154と噛合している。
【0026】
以上の構成において、前記操向ハンドル7による操作が中立位置を維持している場合には、前記旋回用HST20の油圧モータ124の出力軸125が回転駆動しないため、該出力軸125上に固設されたベベルギヤ126が固定され(回転することができない)、さらに軸153・153上にそれぞれ固設されたベベルギヤ127・127及び歯車154・154も固定され、該歯車154・154に噛合する左右のキャリア146・146にブレーキ作用を発生させる。これにより該キャリア146・146はサンギヤ軸143上で回転することなく略固定状態を維持する。
【0027】
これにより、サンギヤ144の回転駆動は、固定されたキャリア146で回転自在に支持されるプラネタリアギヤ145を介して伝達されるのである。そして、プラネタリアギヤ145のギヤ145bに噛合する出力ギヤ147を回転駆動させることにより、左右の駆動出力軸149・149を回転駆動する。つまり、前記操向ハンドル7が中立位置を保持している場合には、エンジン3からはリアミッションケース5を介した出力のみが遊星歯車機構140に入力され、左右の駆動出力軸149・149を同方向、同回転数で回転駆動するのである。
【0028】
一方、操向ハンドル7の左右旋回操作時には、該操向ハンドル7の操作量に応じて前記旋回用HST20の油圧ポンプ124の吐出量が調整され、これに従って油圧モータ124の出力軸125が回転駆動される。そして、前記出力軸125により遊星歯車機構140に入力された回転出力は、前記ベベルギヤ126を介して、左右の旋回逆転軸153・153上に固設されたベベルギヤ152・152を互いに逆回転、同回転数で回転駆動させる。
【0029】
これにより、歯車154・154に噛合する左右のキャリア146・146も逆回転、同回転数でサンギヤ軸143の外周を回転運動するのである。そしてキャリア146・146の回転により前記プラネタリアギヤ145・145がキャリア146・146と一体となってサンギヤ軸143の外周上を逆回転、同回転数で回転運動する。そして、前記プラネタリアギヤ145・145のキャリア146・146に対する回転方向と、該プラネタリアギヤ145・145のサンギヤ軸143に対する回転方向が逆方向であれば、出力ギヤ149・149の回転数は加算され、同方向であれば出力ギヤ149・149の回転数は減算される。
【0030】
つまり、前記走行用HST22及び副変速装置43で変速された後のエンジン3からの出力と、前記旋回用HST20を介するエンジン3の出力が遊星歯車機構140で合成され、操向ハンドル7が中立では直進し、左右に回転すると、左右の駆動出力軸149・149に回転差を生じさせ、これにより左右のクローラ式走行装置1の駆動スプロケット11・11に回転差が生じ、左方向若しくは右方向への旋回走行が行えるのである。このようにして、主変速レバー65で設定した走行速度で前進または後進し、操向ハンドル7の回転操作で左右のクローラーの回転数を変更して、左右一側の駆動が停止されることなく、略両側のクローラーが回転した状態で旋回できるのである。
【0031】
次に、操向装置の構成について説明する。図4に示すように、ステアリングコラム2は上コラム2aと下コラム2bからなり、上コラム2aを下コラム2bに対して着脱可能として分割できるようにしている。該上コラム2aの中央にハンドル軸71が上下方向に回転自在に支持され、本実施例では上コラム2aに固定したブラケット70に支持され、該ハンドル軸71は上ハンドル軸71aと下ハンドル軸71bからなり、該上ハンドル軸71aの上端は操向ハンドル7が固設されて入力軸とし、下端が下ハンドル軸71bの上端に回転自在に嵌合されて同一軸心上に配置している。
【0032】
該下ハンドル軸71bは出力軸として、その下端はユニバーサルジョイント72を介して後述する操向変速用円錐リンク機構66及び連結リンク機構を介して、前記走行用HST22の変速アーム63及び旋回用HST20の変速アーム64と連結されている。そして、下ハンドル軸71bの下端をスプラインに構成して、ユニバーサルジョイント72の上部にスプライン嵌合して、上コラム2aと共に容易に着脱可能としている。
【0033】
また、前記ハンドル軸71と平行に減速軸73が回転自在に上コラム2aに支持され、この軸上に減速機構を設けている。つまり、上ハンドル軸71aの下部には減速歯車74が固設され、該減速歯車74は減速軸73に固設した歯車75と噛合している。そして、該歯車75の下方の減速軸73上に歯車76が固設され、該歯車76は下ハンドル軸71bの上部に固設した歯車77と噛合させている。このようにして二段の減速を行い減速比を大きくし、ホイルトラクタや乗用車等と同様の操作フィーリングで操向ハンドル7を約360°の回転で緩旋回からスピンターンまでできるようにしている。
【0034】
そして、図5、図6に示すように、上ハンドル軸71aと下ハンドル軸71bの中途部にはそれぞれニュートラルデテント機構と中立戻し機構が一体的に設けられている。このニュートラルデテント機構と中立戻し機構を下ハンドル軸71bに設けた実施例について説明すると、下ハンドル軸71b上にカム79が固設され、該カム79は平面視において大径の略半円と小径の略半円を組み合わせたもので、大径部79aの外側に平面視「く」字状のアーム80が配置されて、該アーム80の一端が枢支軸81によって枢支され、中央部にはローラー82が回転自在に配置され、他端がバネ83に係止されて、該バネ83によってローラー82が大径部79aに当接するようにアーム80が付勢されて配置している。
【0035】
そして、前記カム79の大径部79aの中央に凹部79bが形成され、ローラー82が嵌まるようにしてニュートラルデテント機構を構成し、該凹部79bから徐々に半径が大きくなるように大径部79aを構成し、ローラー82で付勢することで中立方向へ戻すようにして中立戻し機構を構成している。また、上ハンドル軸71a上にも前記と同様にカム84が固設され、該カム84の大径部84aにローラー85が当接するように配置し、該ローラー85はアーム86に枢支され、該アーム86はバネによって付勢されている。
【0036】
このように構成することによって、前記減速歯車74と歯車75及び歯車76と歯車77の間にはバックラッシュによってガタが生じているが、操向ハンドル7の入力側の軸(上ハンドル軸71a)と出力側の軸(下ハンドル軸71b)上にそれぞれデテント機構を設けているので、軸におけるガタはなくなり、操向ハンドル7は何もしていないときでもフラツクことはなく、遊びはガタで発生させ、中立位置も容易に判る。そして、中立戻し機構によって、入力側では操向ハンドル7を直進位置から旋回するために回動して手を放すと中立に戻り、出力軸側においては操向ハンドル7の回動力をなくすことで旋回用HST20の変速アーム64を中立に戻し、操作フィーリングを向上することができるのである。
【0037】
但し、前記中立戻し機構は上下一方だけでもよく、他方は単にデテントとするだけでもよい。つまり、他方のカムには大径部を設けずカムを円形として、その一部に凹部だけを設けて中立位置だけ判るようにするだけでもよい。こうして、上コラム2a内に減速機構とニュートラルデテントと中立戻し機構をコンパクトに配置して、該上コラム2aを着脱可能とすることで、組立が容易となるばかりでなく、メンテナンスも容易にできるのである。
【0038】
また、前記ユニバーサルジョイント72の屈曲中心は、前記上コラム2aと下コラム2bの連結軸89と一致させており、該連結軸89の軸心は左右方向として、前記上コラム2aは前後方向にチルト可能に構成して、オペレーターの伸長に合わせて操向ハンドル7を前後に傾倒可能に構成している。
【0039】
次に、下コラム2b内に配置する操向変速用円錐リンク機構66について、図4、図7、図8、図9により説明する。前記ユニバーサルジョイント72の下部には操向入力軸90が連結され、該操向入力軸90の下端はユニバーサルジョイント104を介して旋回方向を前後進変速に合わせる変更機構の揺動部材101と連結され、該揺動部材101は略円錐状に構成して、中央部を軸受を介して揺動軸92の端部に設けた受部92aに支持されている。該揺動部材101は前記操向ハンドル7の回動とともに操向入力軸90を中心回動でき、かつ、揺動軸92を中心に傾倒可能としている。該揺動軸92は軸受を介して下コラム2bの内壁部に左右水平方向を軸心として回動自在に支持されている。
【0040】
そして、該揺動部材101からアーム部101aが側方に延出され、該アーム部101aの先端に連結体106が連結され、該連結体106の一端にユニバーサルジョイント等のジョイント103aを介して操向用リンク103と連結され、連結体106の他端に後述するジョイント111aを介して走行用リンク111と連結している。前記ジョイント103aは操向ハンドル7が直進位置のとき前記揺動軸92の軸心の延長上に位置し、該揺動軸92は左右方向で中立時の前記受部92aの軸心O1の延長線上と交差するように配置している。また、前記操向用リンク103の下端は球形ジョイント103bを介してアーム107aと連結され、該アーム107aより後述する融通機構130やワイヤー116等を介して前記旋回用HST20の変速アーム64と連結されている。
【0041】
また、前記操向変速用円錐リンク機構66の揺動部材101に設けた連結体106の他端に、ジョイント111aを介して走行用リンク111が連結され、該ジョイント111aは前記軸心O1を中心として前記ジョイント103aと90度離れた位置に配置され、本実施例では軸心O1の前方に配置している。そして、該走行用リンク111の下端はジョイント111bを介してアーム112aに連結され、該アーム112aを固設したパイプ軸112bはステアリングコラム2に回転自在に支持された切換軸113に遊嵌され、後述するアームやパンタグラフ式リンク機構を介して走行用HST22の変速アーム63と連結されている。そして、前記操向用リンク103の下端のジョイント103bと、走行用リンク111の下端のジョイント111bは軸心O1の延長上に配置されている。
【0042】
また、前記揺動軸92の受部92aには前記ジョイント111aと反対方向に(180°ズラした位置)アーム92bが突出され、該アーム92bの先端に主変速用リンク160の上端のジョイント160aが連結され、該主変速用リンク160の下端がアーム161と連結され、該アーム161より後述するリンクやアーム等を介して主変速レバー65と連結されている。
【0043】
このような構成において、図14に示すように、主変速レバー65を例えば前進側(F)へ回動して変速操作を行うと、図14(a)の如く、リンクやアーム等を介して主変速用リンク160が上方へ持ち上げられ、アーム92bの回動と共に受部92aと揺動部材101(アーム部101a)が傾倒され、走行用リンク111が下方へ下げられて、アーム112やリンク等を介して走行用HST22の変速アーム63が前進側へ回動されて走行変速される。
【0044】
この揺動部材101が傾倒された状態で操向ハンドル7を例えば左側へ旋回するように回動すると、主変速レバー65で設定された傾斜の状態で回動し、操向用リンク103を下方へ押し下げるのである。しかし、前記連結体106によって操向用リンク103の上端と走行用リンク111の上端が連結されていることによって、操向用リンク103は中立側から下方へ押し下げるが、走行用リンク111は90度位相が異なっているので、最下降位置から中立側に向かって上げられることになり、走行速度が減少されるのである。言い換えれば、主変速レバー65で設定した走行速度で機体は走行しているが、操向ハンドル7の回動に従って徐々に走行速度(機体中心速度)は低下し、急ハンドルをきっても機体の速度が低下されて機体が大きく傾くことがないようにしている。
【0045】
つまり、図15に示すように、旋回中心側の速度は二点鎖線で示し、旋回外側の速度は破線で示し、機体中心速度は一点鎖線で示しており、旋回角度が大きくなるほど、機体の中心速度が徐々に低下するようにしているのである。そして更に、操向ハンドル7を回動すると内側のクローラーの回転数が減少して、逆転するようになり、遊星歯車機構を左右互いに同回転数で逆方向に駆動するようになると、芯地旋回をさせることができるのである。
【0046】
また、前記主変速レバー14を逆に後進側へ回動して、操向ハンドル7を左に回転した場合には、図14(b)の如く、走行用リンク111は持ち上げられ、操向ハンドル7の左回転によって操向用リンク103は持ち上げられ、前記と同様に変速される。つまり、前進と後進では操向ハンドル7を同方向に回動しても、操向用HST90は前進と後進で逆方向に駆動するようにして、旋回方向を一致させているのである。
【0047】
また、前記主変速レバー65を中立の状態で操向ハンドル7を回動した場合、ジョイント103b・111bは軸心O1の延長上の定点に位置した状態のまま操向用リンク103、走行用リンク111が回動されるだけであり、言い換えれば、ジョイント103b・111bは逆円錐状の下端の頂点に位置し、ジョイント103a・111aは逆円錐状の上部に位置する底面の円周外周上に位置することとなり、該底面は中立時に軸心O1に対して直角となり、ジョイント103a・111aが外周上を移動するだけで、操向用リンク103、及び、走行用リンク111は上下に移動することがなく、機体は停止したままとなるのである。よって、走行中立位置で操向ハンドル7を回動しても、旋回用HST20は駆動されず、不意に芯地旋回するようなことがないようにしている。このように構成した操向変速用円錐リンク機構66が下コラム2b内に収納されているのである。
【0048】
次に、主変速レバー65と操向変速用円錐リンク機構66とフロントミッションケース16内に設けた機体のブレーキ装置62との連係機構を説明する。図9に示すように、前記主変速用リンク160の下端に連結されたアーム161はパイプ軸162に固定され、該パイプ軸162は前記軸102に回転自在に遊嵌されている。該軸102の一端は下コラム2bより突出して主変速位置保持機構150を構成するブレーキ装置165に連結され、該ブレーキ装置165を制動操作するブレーキアーム166は緩衝部材となるダンパー167を介してブレーキペダル軸168に固定したアームに連結されている。該ブレーキペダル軸168からブレーキペダル169が下コラム2bの側部のステップ18上方まで延設されている。但し、前記ブレーキ装置165はドラム式に限定するものではない。こうして、ブレーキペダル169を踏むことにより、主変速位置保持機構150を作動させ、ダンパー167によって更に踏み込めるようにしている。
【0049】
また、前記軸102の他端は前記と反対方向に下コラム2aより突出して、アーム164を固設し、図4に示すように、リンク170、ベルクランクアーム171、リンク172を介して主変速レバー65と連結されている。そして、前記パイプ軸162の端部にアーム162aを突設して、該アーム162aと前記アーム164を対向させてそれぞれピン162c・164aを突設して、軸102に外嵌したトルクバネ163の両端を前記ピン162c・164aを挟むように配置している。こうして連結部151を構成している。
【0050】
この連結部151は下コラム2bの進行方向左側下部に配置し、コラムカバー156(図8)によって覆っている。該下コラム2bはコラムベース157上に載置固定され、前記連結部151の下方のコラムベース157には開口が設けられて、前記アーム164を臨ませて、後述するパンタグラフ式リンク機構と連結できるようにしている。そして、前記コラムカバー156を外すことによって容易に前記リンク長やアーム長等を調整できるようにしている。
【0051】
更に、前記パイプ軸162よりアーム162bを突設して、図11に示すように、該アーム162bの先端にピン162dを突設し、該ピン162dを緩衝部材となるダンパー173の先端に設けた長孔173aに挿入している。こうして中立戻し機構152を構成している。該ダンパー173の他端は前記ブレーキペダル軸168より突設したアーム174の先端に枢結されて、ダンパー173で無理な力がかからないようにしている。そして更に、ブレーキペダル軸168よりアーム175を突設して、該アーム175先端にリンク176が連結され、該リンク176からさらにリンク機構を介して前記フロントミッションケース16内に設けた機体のブレーキ装置62を制動させるアームと連結している。
【0052】
このような構成において、主変速レバー65を回動して前進速または後進速に変速すると、図8、図11において、主変速レバー65にリンク機構を介して連結されるアーム164が回動して、バネ163を介してアーム162bも回動され、ピン162aは長孔173a内を摺動してダンパー173は上部の枢支部を中心に回動する。そして走行しているときに、ブレーキペダル169を踏むと、ストローク途中の第一段階では、前記アーム174を介してダンパー173が引き上げられて、該ダンパー173に設けた長孔173a内の端部でピン162aを引っ張り、図11の二点鎖線の如く、アーム162bを中立方向に回動し、該アーム162bに連結されるアーム161、主変速用リンク160を介して揺動軸92のアーム92bを中立方向に回動して走行用リンク111等を介して走行用HST22の変速アーム63を中立に戻し、クラッチ「切」と同様の作用をさせて走行を停止させる。
【0053】
この第一段階では、同時に、ダンパー167を介してブレーキアーム166を引っ張って、ブレーキ装置165を作動させて軸102を回動しないように固定し、アーム162bの回動に対してはバネ163が撓むようにする。つまり、ブレーキペダル169を踏んでも、軸102他端のアーム164に連結される主変速レバー65の位置は固定維持されて、変速レバー65は中立に戻ることがなく、ブレーキペダル169を離すと、バネ163の付勢力によって、アーム162aを元の位置まで回動して、変速アーム63を回動して、元の変速位置に戻すのである。こうして、ブレーキペダル169を踏む度に主変速レバー169を再設定する必要がなく、その手間を省くようにして操作性を向上している。
【0054】
そしてブレーキペダル169を更に踏み込む第二段階では、主変速位置保持機構150はそのままで、アーム175、リンク176を介して機体のブレーキ装置62を作動させて、機体を停止ロックさせるのである。ブレーキペダル169の踏み込みを開放すると前述のように、主変速レバー65を回動した変速位置まで変速アーム63は戻される。
【0055】
次に、操向変速用円錐リンク機構66の走行用リンク111と走行用HST22の変速アーム63を連結するパンタグラフ式リンク機構を説明する。図4、図8、図10において、前記走行用リンク111に連結される切換軸113にはアーム114が固設され、該アーム114の端部は下方に延設されてリンク115の一端と連結されている。該リンク115は後方へ延設されて、該リンク115の他端はアーム135の上部に枢支され、該アーム135の基部はリアミッションケース5または連結ケース17の側面より突設したカウンター軸137に枢支され、該アーム135の中途部には更にリンク136が枢支され、該リンク136の他端を前方に延設して、走行用HST22の変速アーム63と枢結させている。こうして該リンク115とアーム135とカウンター軸137とリンク136をステップ18下方の連結ケース17側方に配置して、ステップ18下方の空間を有効利用している。但し、カウンター軸137の位置は限定されるものではなく、操向変速用円錐リンク機構66の出力側と変速アーム63とを連結するリンク機構の上下方向の途中から、水平方向に離れた位置にカウンター軸137を配置する構成であれば、前方に配置することも側方に配置することも可能である。
【0056】
このような構成において、操向変速用円錐リンク機構66や主変速レバー65等はキャビン9に取り付けられ、アーム135、変速アーム63はリアミッションケース5や連結ケース17や走行HST22等の機体フレーム側に取り付けられている。そして、キャビン9は機体フレームに防振機構等を介して取り付けられている。従って、キャビン9はエンジンやミッションケース等からの振動は伝わり難くなっているのであるが、相対的に上下動するのでズレが生じることになる。よって、主変速レバー65を止めた位置で作業を行うと、機体フレームとキャビン9との間で振動する度にズレが生じて、そのズレは変速位置のズレとなって現れることになり、振動の度に走行速度が変わるおそれがあった。そこで、前述のように、パンタグラフ式のリンク機構を設けることで、上下の振動はリンク115・136の上下回動により吸収して、変速位置がかわらないようにしている。
【0057】
そして、前記リンク136と変速アーム63との連結部分において、変速アーム63の先端にはリンク136の移動方向と略平行に長孔63aが開口され、該長孔63aにリンク136から突出した枢支ピン136aを枢支して、該長孔63aによって不感帯を構成している。このように構成することによって、中立位置が拡大されるとともに、低速走行時における旋回速度が低下しないようにしている。即ち、主変速レバー65を中立位置から若干回動した、つまり、長孔63aの範囲内は不感帯となっており、操向変速用円錐リンク機構66における揺動部材101は傾倒されるが、変速アーム63は回動されず、機体は停止したままとなる。
【0058】
そして、長孔63aを少し越えた位置の低速走行時においては、走行HST22の変速アーム63の回動よりも揺動部材101のほうが大きく回動されていることになり、この状態で操向ハンドル7を回動すると、長孔63aなしで同じ走行速度の場合と比べて、旋回HST20の出力が大きくなり、旋回速度を速くすることができ、スムースな旋回ができるのである。つまり、低速走行変速位置で旋回するときに機体中心速度が低下して、機体を旋回するときの速度が遅くなりすぎてしまうことがあり、旋回性能が低下する。これを前記長孔63aで回避して低速位置でもスタックすることなく旋回できるようにするものである。
【0059】
次に、操向変速用円錐リンク機構66と旋回用HST20の変速アーム64との連結機構を説明する。前記走行用リンク103に連結されるアーム107aのボスは軸102に回転自在に支持され、該ボスからはさらにアーム107bが突設され、該アーム107b先端に連結ロッド108が枢結され、該連結ロッド108の他端は融通機構130、ワイヤー116を介して前記旋回用HST20の変速アーム64と連結され、操向ハンドル7の回動により旋回用HST20を作動させて、左右のクローラーの回転数を変更して旋回できるようにしている。
【0060】
前記融通機構130は図12、図13に示すように、前記連結ロッド108の他端がアーム109の先端に枢結され、該アーム109はそのボス部109aが機体側に固定したブラケット117に軸支された支持軸118に遊嵌され、更に、該ボス部109aからアーム110が突設されている。一方、アーム120のボス部120aが前記ブラケット117内の支持軸118上に遊嵌され、該アーム120と前記アーム110には前記ボス部120aに外嵌したトルクバネ119の両端部119a・119bのそれぞれ両側から挟むように係合させている。そして、前記アーム120の先端にワイヤー116の一端が枢支され、該ワイヤー116の他端が前記旋回用HST20の変速アーム64に連結されている。但し、融通機構130は前記操向変速用円錐リンク機構66の出力部、例えばアーム107と、旋回用HST20の変速アーム64の間であれば、取付位置は限定するものではない。
【0061】
そして、前記操向変速用円錐リンク機構66から旋回HST20の変速アーム64までのリンクと、操向変速用円錐リンク機構66から主変速レバー65までのリンクとの比は、旋回用HST20の変速アーム64の回動に対して走行用HST22の主変速レバー65の操作がオーバーストロークするリンク比に設定している。つまり、旋回用HST20の変速アーム64の操作範囲は、走行HST22の変速アーム63の操作範囲より大きくなるようにリンク機構を構成しているのである。
【0062】
このように構成することによって、旋回時において旋回用HST20の変速アーム64がストロークエンドに位置しているとき、更に、操向ハンドル7を回動したり、或いは、操向ハンドル7を最大回転した状態で主変速レバー65を増速側に回動すると、更に変速アーム64を回動することはできないので、リンクやアーム等を破損するおそれがあるが、このとき、トルクバネ119が撓んで逃げるようにしているのである。つまり、オーバーストロークをトルクバネ119で吸収するようにしているのである。
【0063】
また、前記操向変速用円錐リンク機構66と変速アーム64の間にストローク誤差調整部131を設けている。尚、本実施例では融通機構130に配置するアームを利用してストローク誤差調整ができるようにしており、操向変速用円錐リンク機構66と融通機構130の間にストローク誤差調整部131を設けている。即ち、該ストローク誤差調整部131は前記アーム107bとアーム109を連結する連結ロッド108からなり、該連結ロッド108の長さを調節することによって簡単にストローク誤差をなくすように調整できるようにしているのである。
【0064】
つまり、前記操向変速用円錐リンク機構66において、主変速レバー65を回動して変速し、揺動部材101を傾倒させた状態で、操向ハンドル7を同じ角度回動しても、図16に示すように、右側に操向ハンドル7を回動してアーム107aを上方に回動した距離H1は、左側に操向ハンドル7を回動してアーム107aが下方に回動した距離H2に比べて長くなってしまう。つまり、操向ハンドル7を左右同じだけ回転しても、左右で旋回速度が異なってしまい操作フィーリングが悪くなってしまうのである。
【0065】
そこで、上記左右の回転誤差を調整できるように、融通機構130の入力部のアーム109を連結ロッド108の移動方向に対して傾斜させることで、前記揺動部材101の傾斜によって生じた上下方向の誤差を補正するようにして、ストローク誤差調整部131を形成し、操作フィーリングの向上を図っている。
【0066】
即ち、操向ハンドルの操作にて旋回用HST及び走行用HSTの出力を調整して旋回可能とする走行車両のステアリングコラムにおいて、該ステアリングコラムを上下に分割し、上コラムを下コラムに対して着脱可能に構成したので、操向ハンドルの組立が簡単にでき、上コラムを外してその内部の部品のメンテナンスが容易にできる。
【0067】
また、前記上コラム内に操向ハンドルの減速機構を設けたので、減速機構の組立が容易にでき、メンテナンスも容易にできる。また、仕様の変更や減速機構の減速比の変更等も容易にできる。
【0068】
また、前記下コラム内に変速用円錐リンク機構を設けたので、上コラムを外して操向変速用円錐リンク機構のメンテナンスが容易にでき、操向変速用円錐リンク機構を別に組み立てて、組み付けが容易にできる。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果が得られる。
請求項1の如く、操向ハンドル(7)の操作にて旋回用HST(20)及び走行用HST(22)の出力を調整して旋回可能とする走行車両のステアリングコラム(2)において、該操向ハンドル(7)のハンドル軸(71)上に減速機構を設け、該減速機構は、前記ハンドル軸(71)を構成する上ハンドル軸(71a)と下ハンドル軸(71b)と平行に、減速軸(73)を回転自在に該ステアリングコラム(2)に支持し、該上ハンドル軸(71a)と減速軸(73)と下ハンドル軸(71b)の上に複数の歯車を配置して構成し、該減速機構の上下において、該上ハンドル軸(71a)と下ハンドル軸(71b)の中途部にはそれぞれニュートラルデテント機構と中立戻し機構を一体的に設け、該ニュートラルデテント機構と中立戻し機構は、該上ハンドル軸(71a)上に、カム(84)を固設し、該カム(84)の大径部(84a)に、ローラー(85)が当接するように配置し、該ローラー(85)はアーム(86)に枢支し、該アーム(86)はバネによって付勢し、該下ハンドル軸(71b)上にも、カム(79)を固設し、該カム(79)の大径部(79a)の中央に構成した凹部(79b)にローラー(82)を当接し、該ローラー(82)はアーム(80)に枢支し、該アーム(80)はバネによって付勢し、該ローラー(82)が凹部(79b)に嵌まるようにしてニュートラルデテント機構を構成し、該凹部(79b)から徐々に半径が大きくなるように大径部(79a)を構成し、ローラー(82)で付勢することで中立方向へ戻すようにして中立戻し機構を構成したので、中立位置から左右方向の回動時のハンドルの遊びや操作感覚が略同じとなり、操作フィーリングが向上し、操向ハンドル側と変速側での中立の位置決めがし易くなり、調整も容易にでき、略正確な中立位置が確保できる。
【0070】
請求項2の如く、中立戻し機構を前記上下何れかのニュートラルデテント機構に設けたので、旋回時に中立に容易に戻すことができ、収納スペースを考慮して選択配置ができる。
【0071】
請求項3の如く、前記ステアリングコラム(2)を上下に分割し、上コラム(2a)を下コラム(2b)に対して着脱可能に構成し、前記ニュートラルデテント機構と中立戻し機構を、上コラム(2a)内に収納したので、コンパクトに収納して、メンテナンスが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるクローラトラクタの側面図である。
【図2】 エンジンとHSTとミッションケースの配置を示す側面図である。
【図3】 駆動伝達経路を示すスケルトン図である。
【図4】 操向変速用円錐リンク機構と操向ハンドルと主変速レバーと変速アームの連係機構を示す側面図である。
【図5】 上コラム内の減速機構を示す側面断面図である。
【図6】 ニュートラルデテント機構と中立戻し機構を示す平面図である。
【図7】 操向変速用円錐リンク機構の模式斜視図である。
【図8】 操向変速用円錐リンク機構とブレーキペダルとの連結を示す後面断面図である。
【図9】 同じく拡大後面断面図である。
【図10】 パンタグラフ式リンク機構の平面図である。
【図11】 ブレーキペダルの連結を示す側面図である。
【図12】 融通機構とストローク誤差調整部の側面図である。
【図13】 融通機構の後面断面図である。
【図14】 操向変速用円錐リンク機構の作動を示す模式図である。
【図15】 ハンドル角度と走行速度の関係を示す図である。
【図16】 操向変速用円錐リンク機構の左右旋回時の作動を示す模式図である。
【符号の説明】
2 ステアリングコラム
2a 上コラム
2b 下コラム
7 操向ハンドル
20 旋回用HST
22 走行用HST
71 ハンドル軸
Claims (3)
- 操向ハンドル(7)の操作にて旋回用HST(20)及び走行用HST(22)の出力を調整して旋回可能とする走行車両のステアリングコラム(2)において、該操向ハンドル(7)のハンドル軸(71)上に減速機構を設け、該減速機構は、前記ハンドル軸(71)を構成する上ハンドル軸(71a)と下ハンドル軸(71b)と平行に、減速軸(73)を回転自在に該ステアリングコラム(2)に支持し、該上ハンドル軸(71a)と減速軸(73)と下ハンドル軸(71b)の上に複数の歯車を配置して構成し、該減速機構の上下において、該上ハンドル軸(71a)と下ハンドル軸(71b)の中途部には、それぞれニュートラルデテント機構と中立戻し機構を一体的に設け、該ニュートラルデテント機構と中立戻し機構は、該上ハンドル軸(71a)上に、カム(84)を固設し、該カム(84)の大径部(84a)に、ローラー(85)が当接するように配置し、該ローラー(85)はアーム(86)に枢支し、該アーム(86)はバネによって付勢し、該下ハンドル軸(71b)上にも、カム(79)を固設し、該カム(79)の大径部(79a)の中央に構成した凹部(79b)にローラー(82)を当接し、該ローラー(82)はアーム(80)に枢支し、該アーム(80)はバネによって付勢し、該ローラー(82)が凹部(79b)に嵌まるようにしてニュートラルデテント機構を構成し、該凹部(79b)から徐々に半径が大きくなるように大径部(79a)を構成し、ローラー(82)で付勢することで中立方向へ戻すようにして中立戻し機構を構成したことを特徴とする走行車両の操向装置。
- 請求項1記載の走行車両の操向装置において、中立戻し機構を、前記上下いずれかのニュートラルデテント機構に設けたことを特徴とする走行車両の操向装置。
- 請求項1記載の走行車両の操向装置において、前記ステアリングコラム(2)を上下に分割し、上コラム(2a)を下コラム(2b)に対して着脱可能に構成し、前記ニュートラルデテント機構と中立戻し機構を、上コラム(2a)内に収納したことを特徴とする走行車両の操向装置。
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