JP4358960B2 - レンズシート用樹脂組成物、レンズシート及び透過型スクリーン - Google Patents

レンズシート用樹脂組成物、レンズシート及び透過型スクリーン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電離放射線硬化型樹脂を用いて少なくともレンズ部を成形するためのレンズシート用樹脂組成物、その樹脂組成物からなるレンズシート、及び、そのレンズシートを含む透過型スクリーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の透過型スクリーンは、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとを組み合わせた2枚構成のものが一般的であり、レンズ部の接触部分が存在する。この透過型スクリーンは、フレネルレンズが断面鋸刃形状であり、レンチキュラーレンズが半円柱形状(蒲鉾形状)をしているので、レンズ部の接触部分で生じる擦れや衝撃などによって、フレネルレンズの突端部が変形又は破壊されたり、レンチキュラーレンズが削れて白い粉が発生したりする状況が生じる。
【0003】
また、レンチキュラーレンズシートは、レンズ部を構成する樹脂に、温度による伸縮変化の大きい活性エネルギー線硬化樹脂を用いていることが多いので、温度変化が生じた場合にも、耐擦れ性能も備えている必要がある。
【0004】
特開平10−10647号は、レンズシートのレンズ部に用いられる活性エネルギー線硬化樹脂の弾性率を、−20〜40°Cの温度範囲で80〜20000kg/cm2 の範囲となるようして、広い温度範囲で形状安定性に優れ、光学特性の維持が図れるレンズシートを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、弾性率は、静的な力を与えたときに得られる特性であり、レンズシートに振動、すなわち動的な力が加わった場合に、そのレンズシートに及ぼされる状態を必ずしも反映しておらず、十分適切なレンズシートとしての設計がなされれいるとはいえなかった。このため、特開平10−10647号で規定する弾性率の数値範囲においても、レンズシートは、いわゆる擦れを生じてしまう、という問題点があった。
【0006】
この問題点は、単純に、添加剤を混入して、滑り性を付与することによっては解消することはできず、本質的に、材料特性及びレンズシートとしての滑り性を適切に設計する必要があった。
【0007】
本発明の目的は、前述した課題を解決して、様々な衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換して、歪みをため込まないようにするともに、柔軟で復元性にすぐれたレンズシート用樹脂組成物、レンズシート及び透過型スクリーンを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、レンズシートの少なくともレンズ部を、電離放射線硬化型樹脂によって成形するためのレンズシート用樹脂組成物において、硬化後の動的粘弾性の散逸率tanδが、−20〜40℃の温度範囲において、0.020<tanδ<1.0であり、弾性変形率ηeが、15≦ηe≦30であり、かつ、動摩擦係数μが0<μ<0.1であることを特徴とするレンズシート用樹脂組成物である。
【0009】
請求項2の発明は、少なくともレンズ部を電離放射線硬化型樹脂により形成したレンズシートであって、前記樹脂の動的粘弾性の散逸率tanδが、−20〜40℃の温度範囲において、0.020<tanδ<1.0であり、弾性変形率ηeが、15≦ηe≦30であり、かつ、動摩擦係数μが0<μ<0.1であることを特徴とするレンズシートである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載のレンズシートにおいて、架橋密度ρが0.40×108 <ρ<1.0×108 であることを特徴とするレンズシートである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載のレンズシートにおいて、前記レンズ部に滑り剤を含有することを特徴とするレンズシートである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシートにおいて、透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面に形成された前記レンズ部と、を備えたことを特徴とするレンズシートである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のレンズシートにおいて、前記レンズ部は、フレネルレンズであることを特徴とするレンズシートである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載のフレネルレンズシートを有することを特徴とする透過型スクリーンである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面などを参照しながら、本発明の実施の形態をあげて、さらに詳細に説明する。
[透過型スクリーン及びレンズシート]
図1は、本発明による透過型スクリーンの実施形態を示す図である。
この実施形態の透過型スクリーン1は、フレネルレンズシート2と、レンチキュラーレンズシート3とを組み合わせた2枚構成のスクリーンである。
また、フレネルレンズシート2は、紫外線又は電子線などの電離放射線で硬化する電離放射線硬化型樹脂によるレンズ部4を、透明基材5の一方の面に形成したものである。
【0016】
[レンズシート用樹脂組成物]
電離放射線硬化型樹脂により成形されたレンズ部4(以下、レンズシート用樹脂組成物ということがある)は、動的粘弾性の散逸率tanδ、弾性変形率ηe(%)、架橋密度ρ、動摩擦係数μなどの数値がトータルの樹脂性能を示す指標となる。
【0017】
すなわち、動的粘弾性の散逸率tanδは、振動エネルギーを緩和させる指標となる。弾性変形率ηeは、柔軟性の言葉から見られる復元性を示す指標となる。架橋密度ρは、物理的な変形力がなるべく塑性成分に働くのを防ぎ、柔らかさを表す指標となる。動摩擦係数μは、レンズシートの表面を滑らせる表面滑り性を表す指標となる。以下、これらの樹脂性能について詳細に説明する。
【0018】
(動的粘弾性の散逸率tanδ)
動的粘弾性とは、動的に作用する力に変形速度が比例するような粘性液体と、動的に作用する力に変形が比例する純弾性固体との両者に類似した性質をいう。また、動的粘弾性の散逸率(tanδ)とは、弾性の不完全さを評価する値であって、材料を変形させるのに使用されるエネルギーが直接熱として散逸される値をいい、損失弾性率(虚数弾性率J”)と貯蔵弾性率(実数弾性率J’)との比で表される。
tanδ=J”/J’ …(1)
この散逸率(tanδ)は、力学的減衰項であり、振動エネルギーを緩和し(減らし)、共振振動によって振幅が危険な大きさになることを妨げる目安となる。
【0019】
レンズシート用樹脂組成物は、減衰のピーク(一般に、ガラス点移転温度(Tg)とされる)では、高分子の構造が部分的に緩められて、原子団や小さい分子鎖セグメントが運動できるようになり、十分に低い温度では、減衰は小さくなる。すなわち、分子間のすべりその他の運動は、凍結されるので、この樹脂組成物の変形中に蓄積された殆どすべてのエネルギーは、応力を除去するときに、急速に熱に取り替えられる。
【0020】
このとき、分子鎖セグメントは、凍結されてはいるが依然として応力を受けながら自由に運動できるので、まず、応力が加えられているとするならば、その分子鎖セグメントは、作用している応力を減らすように働き、蓄積エネルギーは少なくなる。このような遅延した応答の結果として、変形は、応力より位相角δだけ遅れることとなる。
【0021】
(tanδの範囲)
このレンズシート用樹脂組成物は、その動的粘弾性の散逸率tanδが、−20〜40℃の温度範囲において、0.020<tanδ<1.0のものを使用でき、より好ましくは、0.025<tanδ<1.0のものを使用することができる。
【0022】
(tanδの測定)
このtanδは、照射波長200[μm]、照射光量2.5[J/cm2 ]の条件で空気雰囲気中で硬化させたフィルムを、20×3[mm]の短冊状の試験片に作製し、動的粘弾性測定装置(オリエンティック社製)を用いて測定することができる。
この動的粘弾性測定装置は、強制共振振動型(長軸方向に一定周期で振動)であって、以下のような条件で測定する。
▲1▼ 振動周波数:1〜30Hz
▲2▼ 測定温度 :−100〜100℃
▲3▼ 昇温速度 :2℃/分
ここで、振動周波数は、後述する実際の振動試験での共振点付近(11〜13Hz)である10Hzを基本とした。
【0023】
(弾性変形率ηe)
また、レンズシート用樹脂組成物は、樹脂硬化物系全体に、「柔軟で復元性がない」と、系全体で振動変形を緩和したことにはならない。「柔軟で復元性がある」という現象は、一般に変形がもとに戻るということであると考えると、全硬化物中に力学的変形を緩和できる構造がなければならないし、それがなるべく塑性成分に力を及ぼさないように、マトリックス中に存在していなければならない。よって、柔軟性と復元性の指標となる別の何らかの指標が必要となり、それが弾性変形率ηeで表される。
【0024】
ここで、弾性変形率ηeなどの材料特性値の評価は、ユニバーサル硬さ試験によって行うことができる。つまり、圧子を試料面に押し込み、荷重をかけた状態で、くぼみの押し込み深さを直読し、硬さ(ユニバーサル硬さ)を求める測定方法を応用できる。具体的には、圧子での押し込み深さを1点だけ測定するのではなく、設定した荷重まで徐々に荷重を増加又は減少させることによって、樹脂膜の様々な物性を求める[ユニバーサル硬さ試験による材料特性値の評価(材料試験技術Vol.43 No. 2 1998年4月)参照]。
【0025】
図2は、荷重−侵入深さ曲線を示したグラフである。弾性変形率ηeは、全負荷エネルギー中の弾性変形エネルギーの割合を求めたものであり、図2の荷重−侵入深さ曲線から求めることができる。図2において、
A:初期状態
B:最大加重負荷時、最大変形時
C:除荷重後
C−A:残留変形量
max −C:回復変形量
とすると、弾性変形の割合ηeは、
ηe=Welastic /Wtotal
で表すことができる。ただし、
Wtotal =∫F1(h)dh
Welastic =∫F2(h)dh
【0026】
(弾性変形率の範囲)
この樹脂組成物は、その弾性変形率ηeが、15.0≦ηe≦30.0のものを使用でき、さらに好ましくは、1 5.0≦ηe≦28.0のものを使用でき、最も好ましくは、15.0≦ηe≦25.0のものを使用できる。
この理由は、上限値より大きい場合には、硬くなり、この樹脂組成物であるフレネルレンズシート2のレンズ部4と重なったものを傷つけてしまい、下限値より小さい場合には、柔らかくなり、変形力が加わったときに、そのレンズ部4がつぶれてしまうからである。
【0027】
(弾性変形率の測定方法)
この弾性変形率は、以下のようにして測定することができる。
(1) 測定機器:超微小硬さ試験装置(フィッシャー製,フィシャースコープH−100)
(2) 測定法:ポール圧子(0.4mmφ)を用いて歪み一荷重をプロット
(3) 測定条件:
▲1▼ 0.1s間隔、100ステップで200mN(=20g)まで圧縮
▲2▼ 200mNで60秒間保持するクリープ変形
▲3▼ 0.1s間隔、40ステップで荷重0.4mNまで圧子引き上げ
▲4▼ 荷重0.4mNで60秒間保持する弾性回復測定
【0028】
圧子により試験を行った理由は、レンチキュラーレンズとフレネルレンズの組み合わせで擦れる(又は、つぶれる)部分は、レンチキュラーレンズ形状が縦であるのに対して、フレネルレンズ形状が横になっている点接触する部分であり、点荷重が実際に則した現象であるからである。
【0029】
200mNに設定した理由は、振動時の圧力が測定できないために、適宜に設定したものである。荷重0.4mNかけたまま歪みを回復した理由は、レンチキュラーレンズと接触したままの復元挙動が実際に即しているからであり、実際の接触圧の圧力レベルにも則したものである。
【0030】
よって、UV樹脂物性の設計は、最も厳しい条件を基本に設計を行っている。中心部分は、フレネルレンズ山形状が低いために、材料力学的にも、レンチキュラーレンズとの接触圧力の影響が少ない。
【0031】
(架橋密度)
動的粘弾性の散逸率tanδがピークを過ぎると、セグメントが緩和しきった状態となり、そのときの貯蔵弾性率成分が結合部分となる。よって、ゴム状弾性領域の貯蔵弾性率(E’=平衡弾性率)を、架橋密度として考えることができる。
【0032】
(架橋密度の範囲)
このレンズシート用樹脂組成物は、その架橋密度ρが0.40×108 <ρ<1.0×108 のものを使用でき、さらに好ましくは、0.50×108 ≦ρ<1.0×108 のものを使用でき、最も好ましくは、0.55×108 ≦ρ<1.0×108 のものを使用できる。
【0033】
(表面滑り性/動摩擦係数)
このレンズシート用樹脂組成物は、前述した各樹脂性能を持つことに合せて、表面滑り性も有することが好ましい。この理由は、表面滑り性を上げることにより、擦れ現象における外力を分散することができるからである。この表面滑り性を表す指標として、動摩擦係数があげられる。
【0034】
(動摩擦係数の範囲)
このレンズシート用樹脂組成物は、動摩擦係数μが0<μ<0.1のものを好適に使用することができる。
【0035】
表面滑り性を上げるための具体的方法は、レンズ部4内に適当な添加剤を混入することが挙げられる。
【0036】
この添加剤は、以下の性質を備えるものを好ましく使用することができる。
(1) 光学的阻害(透過率の減少、高温環境試験におけるブリードアウト)がなく、
(2) 樹脂本体との相溶性が良好であり、
(3) 成型時に、表面にマイグレーションをし、しかも、硬化後には、ブリードアウトをしないものであり、
(4) 樹脂との屈折率がほぼ同じか、粒子が光の波長以下で見えないものであり、
(5) 透明基材5との密着性を損なわないもの。
【0037】
この添加剤は、具体的には、メチルフェニルシリコーンオイルSH704(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製),メチルフェニルシリコーンオイルHIVACF−4(信越シリコーン(株)製),メチルフェニルシロキサンオリゴマーPDM−704(アズマックス販売)等を使用することができる。
【0038】
このレンズ部(樹脂組成物)4は、前述した樹脂性能に加えて、滑り剤を付与することにより、振動による擦れを回避することができる。すなわち、レンズ部(樹脂組成物)4は、柔らかすぎると、衝撃時の接触面積が広くなって、動摩擦係数も高くなり、添加剤による滑り性の付与にも限界がある(密着・環境試験参照)ため、ある程度の硬さは必要である。また、柔らか過ぎるときには、テレビセットに、レンチキュラーレンズシート3と一緒に組み込んだだけで、レンズ部4がつぶれてしまうので、ある程度の硬さは必要である。
【0039】
また、温度が下がると硬くなるので、滑り性能が最も必要となる常温域の滑り性能が良好に保たれればよい。つまり、温度が下がると硬くなり、脆い要素を含んだ構造であると、滑ってもレンズ部4が欠けてしまい、構造の結合が弱いものであると、ミクロ的に破壊され、つぶれ(永久歪み)が残るからである。しかし、結合を強くし低温で硬くなり過ぎると、常温で滑ってもレンチキュラーレンズ用樹脂も硬くなるため、白粉現象が出やすい。よって、低温で最適な硬さと復元性能を発現する必要がある。
【0040】
従って、理想的には、非常に硬く、復元性があり、滑るものが好ましい。しかし、現状でレンチキュラーレンズの接触圧力でつぶれが発生しない程度に硬いものは、復元性能(弾性変形率)はあるが、クッション状(変形に対する応答が早い性質)に働く要素が少なくなってしまうので、実際には、その程度に柔軟で復元性を有し、滑り性のあるものを使用することとなる。
また、表面滑り性を向上させることができれば、かなり柔らかくして変形に対する復元力、変形に対する応答性にすぐれた物性のものを使用しても回避することはできる。しかし、この場合は、レンチキュラーレンズシートの反り量を適性に施しておかないとレンズがつぶれてしまう可能性がある。
【0041】
【実施例】
次に、具体的な実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
(実施例1)
硬化後の特性の異なる電離放射線硬化型樹脂を用いて、レンズ部を成形した9種類のフレネルレンズシート(サンプル1〜サンプル9)を作製した。
【0042】
これらのフレネルレンズシートと、一般のレンチキュラーレンズシートとを組み合わせた透過型スクリーンについて、後述する各種評価試験を行なった。
表1は、その結果を示したものである。
【0043】
【表1】
Figure 0004358960
【0044】
(評価試験)
実際、フレネルレンズシート2とレンチキュラーレンズシート3とを組み合わせた状態で、透過型スクリーン1を枠にはめ込み、下記条件で試験を行う。
試験▲1▼:振動試験
振動試験機(アイデックスBF50UC)を用いて、−20℃,0℃,25℃,40℃の温度下で、表2の振動条件によって振動試験を行いった。
ここで、この条件設定は、50インチサイズの大きさの透過型スクリーン1で行った。また、図3に示すように、1サイクルをA→B→C→Dとして、振動周波数は、1Hz/10sで、5→50→5(Hz)まで線形掃引を行った。
【0045】
【表2】
Figure 0004358960
【0046】
これは、輸送試験を疑似的に行うラボ振動試験であり、所定の振動モード等で試験を行った。よって、このラボ振動試験では、振動周波数を変化させることによって、現実の状況に対応することとした。その結果、擦れによるレンチキュラーレンズの白粉発生、又は、擦れによるレンチキュラーレンズの白粉発生及びフレネルレンズ先端のつぶれ発生の状態を×、フレネルレンズ先端のつぶれのみ発生の状態を△、なにも発生しない状態を○とする評価を行なった。
【0047】
試験▲2▼:輸送試験
透過型スクリーン1を組み込んだテレビセットを梱包して、トラックに積み、寒冷地を2000km走行して、擦れ状況を見て、擦れによる白粉発生の状態を×、なにも発生しない状態を○、とする評価を行った。
【0048】
試験▲3▼:環境試験
温度60℃,湿度90%の環境下に、168hr放置して、その結果、外観観察で添加剤ブリードアウト等で発生した染みがTVセット状態で観察される状態を×、外観観察し試験前と後で変化なしの状態を○とする評価を行った。
【0049】
表1から判るように、サンプル5のものが、全ての評価試験で良好な結果が得られた。
【0050】
(実施例2)
サンプル5の樹脂系で、シリコン系添加剤の添加量を、0.2%,0.5%,0.8%及び1.0%に変え、そのときの動摩擦係数(0.18,0.12,0.10,0.07,0.04)と、高温高湿試験,密着性試験及び振動評価試験(−20℃,0℃及び25℃)を行った。表3は、その結果を示したものである。
密着性試験;JIS−K5400(塗膜の試験方法)における基盤目テープ法の試験を実施した。200μmの膜厚で基板上に樹脂を塗布し、メタルハロイドランプ(照度:250mW/cm2 、2000mJ/cm2 )で硬化させる。
【0051】
各試験での硬化条件は、以下の通りである。
(1)密着性:上記と同様とした
(2)復元性
メタルハロイドランプ(照度:250mW/cm2 ,積算光量2000mJ/cm2 )で硬化させ、200μmの樹脂膜を作製する。
(3)動的粘弾性
メタルハロイドランプ(照度:250mW/cm2 ,積算光量2000mJ/cm2 )で硬化させ、200μmの樹脂膜を作製し、そのフィルムを20×3(mm)の短冊状試験片にする。
(4)動摩擦係数
窒素雰囲気下において、メタルハロイドランプ(照度:250mW/cm2 ,積算光量1000mJ/cm2 )で硬化させ、100μmの樹脂膜を作製する。
【0052】
また、実施例1の評価結果を示す表の中に、各樹脂系でのシリコン系添加剤を1%添加した場合の動摩擦係数を示した。すなわち、動摩擦係数が0.04,0.07,0.10のものが良好であった。
【0053】
【表3】
Figure 0004358960
【0054】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、様々な衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換して、歪みをため込まないようにするともに、柔軟で復元性にすぐれたレンズシート用樹脂組成物、レンズシート及び透過型スクリーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による透過型スクリーンの実施形態を示す図である。
【図2】弾性変形率ηeを求める荷重−侵入深さ曲線を示したグラフである。
【図3】振動試験機の掃引時間と振動周波数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 透過型スクリーン
2 フレネルレンズシート
3 レンチキュラーレンズシート
4 レンズ部
5 透明基材

Claims (7)

  1. レンズシートの少なくともレンズ部を、電離放射線硬化型樹脂によって成形するためのレンズシート用樹脂組成物において、
    硬化後の動的粘弾性の散逸率tanδが、−20〜40℃の温度範囲において、0.020<tanδ<1.0であり、
    弾性変形率ηeが、15≦ηe≦30であり、かつ、
    動摩擦係数μが0<μ<0.1であること
    を特徴とするレンズシート用樹脂組成物。
  2. 少なくともレンズ部を電離放射線硬化型樹脂により形成したレンズシートであって、
    前記樹脂の動的粘弾性の散逸率tanδが、−20〜40℃の温度範囲において、0.020<tanδ<1.0であり、
    弾性変形率ηeが、15≦ηe≦30であり、かつ、
    動摩擦係数μが0<μ<0.1であること
    を特徴とするレンズシート。
  3. 請求項2に記載のレンズシートにおいて、
    架橋密度ρが0.40×108 <ρ<1.0×108 であること
    を特徴とするレンズシート。
  4. 請求項2又は請求項3に記載のレンズシートにおいて、
    前記レンズ部に滑り剤を含有すること
    を特徴とするレンズシート。
  5. 請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシートにおいて、
    透明基材と、
    前記透明基材の少なくとも一方の面に形成された前記レンズ部と、
    を備えたことを特徴とするレンズシート。
  6. 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のレンズシートにおいて、
    前記レンズ部は、フレネルレンズであること
    を特徴とするレンズシート。
  7. 請求項6に記載のフレネルレンズシートを有すること
    を特徴とする透過型スクリーン。
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