JP4351091B2 - 排気ガス浄化システム - Google Patents

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この発明は,エンジン,特に,ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOX )を還元反応させると共に粒子状物質(PM)を酸化反応させて排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムに関する。
エンジン,特に,ディーゼルエンジンは,軽油,天然ガス,重油等を燃料としてディーゼル燃焼させるものであるが,シリンダ内に導入した空気をピストンで圧縮し,高温高圧の空気に燃料を噴射して燃焼させるものである。従って,ディーゼルエンジンは,極めて短い時間に燃料と空気とを混合させなければならず,燃料と空気との均一な混合が難しく,燃料が過濃となった部分を中心に粒子状物質(PM)が多く発生する。ディーゼルエンジンは,空気と燃料との混合が悪いため,理論空燃比で燃焼させることが難しく,空気過剰率になって排気ガス中には燃焼に寄与しなかった多くの酸素が存在している。従って,ディーゼルエンジンは,排気ガス中に多くの酸素が存在しているため,ガソリンエンジンに用いられるNOX を低減する三元触媒方式による排気ガス浄化装置を用いることができない。そこで,ディーゼルエンジンでは,上記の有害物質を含む排気ガスを浄化するため,燃料噴射圧力を高圧化し,短時間に均一な混合気を生成させる試みが行われているが,ガソリンエンジンに比較すると,排気ガスには有害物質が多く含まれている。
一方,排気ガスを浄化するため,NOX に関してアンモニアを用いる脱硝システムが知られている。該脱硝システムは,車両では安全な尿素水を用いて,後処理装置によって尿素からアンモニアを生成し,そのアンモニアによりNOX の酸素を還元する選択還元システムが有効である。しかしながら,該NOX 浄化システムは,燃料以外の物質を定期的に補給する必要があり,エンジンを搭載した車両では,燃料以外の物質を補給するためのシステム,即ちインフラが必要であって実用化が困難であり,しかも装置そのものも高価なものになるという問題がある。また,車両用の排気ガス浄化装置として,アンモニアの代わりに軽油を還元剤として用いるNOX 低減装置の開発が行われているが,装置そのものが複雑になるわりにはNOX 低減率が低く,実用化されていないのが現状である。
また,排気ガス浄化装置では,排気ガス中のNOX を低減すると共に,粒子状物質(PM)を低減することが重要である。排気ガス中のPMを低減する排気ガス浄化装置は,各種のものが実用化されており,代表的なものとしてコージライト製ハニカムを互い違いに目封した構造に形成し,ハニカム構造体の壁面でPMを捕集し,壁面に担持している触媒によって燃焼させるものが知られている。しかしながら,ディーゼルエンジンでは,ガソリンエンジンに比較して排気ガス温度が低温であるため,排気ガス温度が触媒活性温度域に上がる頻度が少なく,触媒によりPMを浄化することが不十分であり,ハニカム構造体の詰まり現象が発生するトラブルがある。一般に,ディーゼルエンジンでは,触媒を用いて連続してPMを燃焼させて排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置は,排気ガスが高温である高速走行では良好であるが,排気ガスが低温になる市街地走行ではハニカム構造体の詰まりによるトラブルが発生するのが現状である。
また,排気ガス浄化装置として,セラミックスフイルタでPMを捕集し,捕集したPMを定期的に電気エネルギを用いて強制的に燃焼させるシステムが実用化されているが,装置そのものが複雑で高価なため,多くの車両に安価に搭載することが難しいのが現状である。また,ディーゼルエンジンでは,後処理装置に要求される特性は,NOX とPMとの両方とも低減できる装置であり,一方のみが低減されても実用上は好ましくなく,排気ガス浄化装置として採用することは好ましくない。排気ガス浄化装置では,NOX とPMとを同時に低減する装置としては,触媒を担持させたコージライト製ハニカム構造体の表面にPMとNOX を吸着させ,瞬間的に燃料を過濃にしてNOX を還元し,同時にPMも燃焼させるシステムが開発されているが,エンジンの制御が複雑になり,多種多様の使用状態では,PMによる詰まり現象が発生し,試験的に販売されているに留まっているのが現状である。
従来,ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置として,粒子状物質やNOX を低減するものが知られている。該排気ガス浄化装置は,ディーゼルエンジンの排気通路の途中に,排気ガスの流れに対し,上流側から酸化触媒,排気ガス中の微粒子を捕集するパティキュレートフイルタ及びNOX 触媒を直列に設けると共に,パティキュレートフイルタとNOX 触媒との間に,排気ガス中のNOX を還元するための添加剤を噴射する添加装置を設けたものである(例えば,特許文献1参照)。
また,浄化機能を運転条件によらずに再生させる排気ガス浄化装置が知られている。該排気ガス浄化装置は,基幹通路,該基幹通路に接続された環状通路と,基幹通路と環状通路との接続部分に設けられ且つ排気ガスの経路を変更するための切替弁を含む経路変更部とを備えている。環状通路には,排気ガス中に含まれる含炭素微粒子とNOX とを浄化する浄化部が設けられ,下流側の部分基幹通路には,排気ガス中に含まれるNOX を浄化する浄化部が設けられている。浄化ユニットは,2つの浄化部の浄化機能を再生させるための還元剤を部分環状通路内に供給する還元剤噴射ノズルを備えている(例えば,特許文献2参照)。
特開2000−199423号公報 特開2003−41927号公報
しかしながら,従来の排気ガス浄化装置は,構造そのもの,制御システム等が複雑であったり,また,複雑な構造であるため製造が容易ではなく,製造コストが高価である等の問題を有していた。
この発明の目的は,上記の問題を解決するため,エンジンからの排気ガスを排出する排気通路に容易に取り付けることができるものであり,一体構造のキットに構成され,新車のエンジン又は既存車のエンジンの排気管にも容易に取り付けることができ,NOX 還元に必要な還元剤として燃料タンクから炭化水素系燃料を取り出し,該炭化水素系燃料を排気ガス温度と排気ガス中に含まれるNOX 濃度に適した燃料流量だけNOX 還元触媒の上流の噴射弁から排気通路に噴射してNOX を還元浄化すると共に,NOX 還元触媒の後流に順次設けた2種の酸化触媒で排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を酸化反応させて排気ガスを浄化させる排気ガス浄化システムを提供することである。
この発明は,エンジンから排気通路を通じて排出される排気ガスに含まれる有害物質を反応除去して前記排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムにおいて,
前記排気通路における上流側に配置されて排気ガス中のNOX を還元反応させるNOX 還元触媒,前記NOX 還元触媒の下流側に順次配置されて排気ガス中の粒子状物質を酸化反応させる2種類の酸化触媒,前記排気通路における前記NOX 還元触媒の上流に配置されてNOX と反応させる炭化水素系燃料を前記排気通路に噴射する噴射弁,並びに排気ガス温度,排気ガス流量及びNOX 濃度の情報に応答して前記噴射弁の噴射量を制御するコントローラをし,
前記NO X 還元触媒は,セラミックス製又は金属製ハニカム構造体,或いはセラミックス製繊維又は金属製ワイヤをランダムに重ねたり編んだりして構成され,前記NO X 還元触媒には,前記炭化水素系燃料によるNO X 選択還元を行うため少なくとも銀及び/又はコバルトの触媒が担持されているか,或いはZn−Ga−Al−Oのスピネル構造を有する触媒が担持されており,
前記2種類の酸化触媒は,少なくとも未燃燃料やSOFの粒子状物質を酸化反応させるセラミックス製又は金属製ハニカム構造体と,少なくともスートの粒子状物質を捕集して酸化反応させるセラミックス製繊維又は金属製ワイヤをランダムに重ねたり編んだりしたフイルタ触媒とから構成され,前記ハニカム構造体は前記フイルタ触媒の上流に配置されており,前記ハニカム構造体には白金,パラジウム,マンガン,銅及びニッケルの少なくとも1種の酸化触媒が担持され,前記フイルタ触媒にはカリウム,リチウム,ナトリウム等のアルカリ金属類及びその化合物の少なくとも1種の酸化触媒が担持されており,
前記フイルタ触媒は,前記排気ガスの多数の出口を周壁に備えた出口通路を構成する中央筒体,前記中央筒体の前記出口間で外周側にそれぞれ配設された多数の板状フイルタから成るフイルタ部材,及び前記フイルタ部材の上流側と下流側とに配設され前記排気ガスを前記上流側から前記下流側へガイドするため前記中央筒体にそれぞれ支持されたガイド仕切板から構成され,
前記コントローラは,前記排気ガス流量を前記排気通路に設けられた絞り又はノズルの部位で得られた圧力差と温度センサによる前記排気ガス温度とから求め,前記排気ガス流量に前記NO X 濃度を乗じてNO X 排出質量を求め,前記NO X 排出質量に対応した予め決められた所定の流量の前記炭化水素系燃料を前記噴射弁から噴射する制御をすることを特徴とする排気ガス浄化システムに関する。
前記NOX 濃度の情報は,前記排気通路に配置されたNOX 濃度センサにより検出されたNOX 濃度,又はエンジン回転速度と負荷とを基にして予測されたNOX 排出量によるNOX 濃度としたものである
前記コントローラは,前記NOX 還元触媒の上流と下流の前記排気通路にそれぞれ配置されたNOX 濃度センサによるNOX 濃度によって得られたNOX 低減量に応答して前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射量を制御する。
前記コントローラは,温度センサで測定された前記排気ガス温度が予め決められた所定の排気ガス温度以上である状態が予め決められた所定の時間以上経過したことに応答して前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を噴射し,前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射は,前記所定の排気ガス温度以下に低下して前記所定の時間経過後に停止させる制御をする。
前記コントローラは,前記エンジンが自然吸気タイプである場合に,回転速度と排気量とから吸入空気量を算出し,前記吸入空気量に前記NOX 濃度を乗じて算出されたNOX 排出質量に対して,前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を予め決められた所定の割合の噴射量だけ噴射させる制御をする。
前記コントローラは,前記エンジンが過給機付きタイプである場合に,回転速度及び前記過給機の下流の吸気温度及び/又は排気ガス圧力と排気量とから吸入空気量を算出し,前記吸入空気量に前記NOX 濃度を乗じて算出されたNOX 排出質量に対して,前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を予め決められた所定の割合の噴射量だけ噴射させる制御をする。
前記コントローラは,前記排気ガス温度に応答して前記NOX 排出質量に対する前記噴射弁から噴射される前記炭化水素系燃料の質量の比率を制御する。
前記コントローラは,最上流又は少なくとも前記フイルタ触媒の上流に設けられた圧力センサによる排気ガス圧,圧力差及び前記排気ガス温度から算出された前記排気ガス流量から詰まり状態を判定し,予め決められた温度域で前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を噴射し,触媒領域の温度又は前記排気ガス温度を上昇させる制御をする。
前記コントローラは,前記触媒の上下流で設けられた温度センサによる温度差と前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射量とから燃焼状態を確認し,燃焼状態でないことを確認すると,前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射を停止させる制御をする。
この排気ガス浄化装置は,上記のように構成されているので,構造そのもの及び制御そのものが簡単であって,既存車のエンジンや新車のエンジンの排気通路に対して容易に組み込むことができ,コントローラが排気ガス温度,排気ガス流量及びNOX 濃度の情報に応答して排気ガス中に含まれるNOX の還元剤である炭化水素系燃料を燃料タンクから分流させて適正な流量だけ噴射弁より噴射し,NOX を還元すると共に,NOX 触媒の後流に設けた2種の酸化触媒で排気ガス中に含まれる未燃燃料,SOF,カーボン,スート等の粒子状物質(PM)を酸化反応させて排気ガスを浄化する。
以下,図面を参照して,この発明による排気ガス浄化システムの一実施例を説明する。この排気ガス浄化システムは,例えば,自動車のエンジン,特にディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化するのに適用される。この排気ガス浄化システムは,エンジンから排気管等の排気通路18を通じて排出される排気ガスに含まれるNOX (窒素酸化物)を還元反応させると共に,PM(粒子状物質)を酸化反応させて排気ガスを浄化するものであり,排気通路18の適宜の場所,例えば,マフラの上流側又は下流側の排気通路18に,一体構造のキット等として容易に組み込むことができるものである。
この排気ガス浄化システムは,特に,エンジンから排気通路18を通じて排出される排気ガスに含まれる有害物質を反応除去して排気ガスを浄化するものであり,排気通路18における上流側のNOX 還元触媒20,及びNOX 還元触媒20の下流側の2種の酸化触媒としての酸化触媒14とフイルタ触媒21(図1),34(図2),35(図3)から成る総計で3種類の触媒を排気通路18に直列に配置し,NOX 還元触媒20の上流にNOX と反応させる還元剤としての炭化水素系燃料を噴射する噴射弁22を配置したことを特徴としている。特に,コントローラ30は,排気ガス温度,排気ガス流量及びNOX 濃度の情報に応答して噴射弁22からの炭化水素系燃料の適正な噴射量を制御し,排気ガス中のNOX を還元すると共に,PMを酸化反応させて排気ガスを浄化することを特徴とする。NOX 還元触媒20は,排気ガス中のNOX を還元反応させて排気ガスを浄化する。以下に説明する各実施例では,2種類の酸化触媒14は,酸化触媒14とフイルタ触媒21,34又は35とを一体型の構造に構成したものでもよく又は別体型の構造に構成したものでもよいことは勿論である。酸化触媒14は,少なくとも未燃燃料,SOF(可溶性有機成分)等の粒子状物質を酸化反応させて排気ガスを浄化するものであり,大部分のスートを通過させる構造である。また,フイルタ触媒21,34,35は,少なくともスート(すす)等の粒子状物質を捕集してそこで時間をかけて酸化反応させて排気ガスを浄化するものである。
図1を参照して,この発明による排気ガス浄化システムの第1実施例を説明する。第1実施例では,この排気ガス浄化システムは,排気通路18に接続されるキットを構成する金属製ケース1,ケース1内に収容された上流側のNOX を還元反応させる機能を持つNOX 還元触媒20,下流側に設けられた未燃燃料,SOF等のPMを酸化反応させる機能を持つ酸化触媒14,酸化触媒14の下流側に設けられたスート等のPMを一旦捕集してそこで時間をかけて酸化反応させる機能を持つフイルタ触媒21,NOX 還元触媒20の上流側の排気通路18に設けたケース1の入口部4に配置された噴射弁22,及び噴射弁22の燃料噴射量を制御するためのコントローラ30から構成されている。第1実施例では,ケース1の入口部4及び出口部9は,縮径に形成されているが,必ずしも縮径に形成することなく,排気通路18の排気管のサイズに合わせた適正な形状に構成できることは勿論である。
NOX 還元触媒20の上流側の排気通路18の入口部4には,排気ガス中のNOX の濃度を測定するNOX 濃度センサ23,排気ガスの温度を測定する温度センサ24,及び排気ガスの圧力値を測定するための圧力センサ27が設けられている。また,NOX 還元触媒20の下流側の排気通路18の出口部9には,温度センサ19,絞り又はノズル16の部位に差圧計5が設けられている。また,NOX 濃度センサ23とNOX 濃度センサ44との差によってNOX 低減量が測定できる。また,回転センサ33はエンジンに対して設けられ,車内モニタ32は車内に設けられ,噴射弁22に噴射される炭化水素系燃料の噴射量は,燃料噴射量センサ26によって検出される。コントローラ30には,NOX 濃度センサ23,温度センサ19,24,圧力センサ27,差圧計5,回転センサ33,車内モニタ32及び燃料噴射量センサ26からの各信号即ち情報が入力されるように構成されている。また,燃料ポンプ25は,噴射弁22に供給管31を通じて送り込むように作動され,炭化水素系燃料は,車両の燃料タンク28からエンジンへ燃料を供給する燃料配管42から分岐管29によって分岐された供給管31を通じて噴射弁22に供給される。第1実施例では,フイルタ触媒21としてはセラミックスや金属材料から成るハニカム構造体で構成されている。図1では,噴射弁22が設けられた排気通路18の領域が縮径に形成されているが,必ずしも縮径である必要はなく,ケース1や排気管を考慮したサイズに形成されてもよいものである。
この排気ガス浄化システムでは,NOX 還元触媒20は,銀及び/又はコバルトの触媒が担持されているか,或いはZn−Ga−Al−Oのスピネル構造を有する触媒が担持されているものである。また,酸化触媒14は,例えば,セラミックス製又は金属製ハニカム構造体であり,上流側の酸化触媒14が金属製ハニカム2であり,Pt(白金),Pd(パラジウム),Mn(マンガン),Cu(銅),Ni(ニッケル)の少なくとも1種の触媒が担持されている。また,下流側のフイルタ触媒21(図1),34(図2)又は35(図3)には,酸化触媒として,K(カリウム),Li(リチウム),Na(ナトリウム)等のアルカリ金属類及びその化合物の少なくとも1種が担持されている。また,この排気ガス浄化システムでは,NOX 還元触媒20は,例えば,セラミックス製又は金属製ハニカム構造体,或いはセラミックス製繊維又は金属製ワイヤをランダムに重ねたり編んだりしたフイルタ構造体である。また,フイルタ触媒21,34又は35は,例えば,セラミックス繊維又は金属製ワイヤをランダムに重ねたり編んだりしたフイルタ構造体又はセラミックス製ハニカムのウォールフロー構造体である。ウォールフロー構造体は,ハニカムの薄い壁を排気ガスが通り抜けて排気ガスを濾過するタイプのフイルタ構造体のことである。この排気ガス浄化システムでは,フイルタ触媒21,34又は35を構成するフイルタ構造体は,表面積をアップさせ,厚みを低減したものがコンパクト化に好ましいので,例えば,円形多段構造,蛇腹状構造,金網をドーナツ状に巻き上げた構造,金網と波板とを複合させた構造,円盤型に巻き上げた構造等に構成することができる。また,NOX 還元触媒20,酸化触媒14,及びフイルタ触媒21,34,35を構成する材料は,鉄,クロム,アルミニウム,銅,亜鉛,錫,それらの合金が使用され,排気ガスに対する腐食等を避けるためには,アルミナ等で被覆することが好ましく,或いは,セラミックスを使用できるものである。
また,酸化触媒14は,例えば,図6〜図8に示す構造のものを使用できる。酸化触媒14は,図6に示すように,金属製ハニカム2によって作製されている。金属製ハニカム2は,図7及び図8に示すように,平らな薄い金属平板10と,金属平板10に重ねられた凹凸の波状に折り曲げられた薄い金属波板11とを螺旋状に巻き上げて形成された構造を有している。酸化触媒14は,金属平板10と金属波板11との表面にそれぞれ担持されている。金属平板10と金属波板11とは,具体的には,図8に示すように,主成分をFe(鉄)としてAl(アルミニウム)やCr(クロム)を含有する合金からなる金属芯板12,金属芯板12の両面にコーティングされたAl2 3 (アルミナ)等から成る被覆層13,及び被覆層13に多数担持された酸化触媒14から構成されている。金属芯板12の両面には,アルミナ等の被覆層13が被覆されているので,排気ガスによる腐食が防止され,金属芯板12が,例えば,Alを含有していると,アルミナとの結合が良好になる。また,酸化触媒14は,金属芯板12に直接ではなく,アルミナ等の被覆層13に担持し易いものである。
この排気ガス浄化システムは,金属製ハニカム2に担持された酸化触媒14が粒子状物質(PM)の酸化作用を効率的に達成し,しかも酸化触媒14そのものを安価にして低コストに作製するため,酸化触媒14のうちPtの含有量が適正値に設定されている。酸化触媒14は,金属製ハニカム2の占める1リットルの体積に対する分散されたPtの重量g(グラム)で表すとすると,金属製ハニカム2に担持されている酸化触媒14のうちPtの含有量(g/リットル)は,0.70g/リットル〜1.50g/リットルの範囲であり,酸化反応の機能上では,0.75g/リットル以上の範囲に調整されていることが好ましい。図9には,酸化触媒14としてのPtの含有量に対する排気ガス中の粒子状物質(PM)の低減率に及ぼす影響が示されている。図9に示すように,酸化触媒14としてのPtの含有量が0.6g/リットル程度では,排気ガス中の粒子状物質(PM)の低減率が20%以下であるので,Ptの含有量が0.70g/リットル程度は含有されていることが必要である。また,酸化触媒14のうちでPtの含有量が多い方が,排気ガス中の粒子状物質(PM)の酸化反応を低温領域でも確実に促進できるが,ある範囲以上になると,粒子状物質(PM)の酸化反応の低減率がほぼ横ばいになるので,Ptが無駄になることになる。従って,Ptの含有量は,多くても1.50g/リットルであれば,所定の粒子状物質(PM)の低減率を確保できることになる。従って,この排気ガス浄化装置では,金属製ハニカム2に担持された酸化触媒14のうちPtの含有量は,0.75g/リットル〜1.45g/リットルの範囲に調整することが好ましい。
この排気ガス浄化システムは,上記の構成において,金属製ハニカム2を構成する金属平板10と金属波板11とは,板厚が0.025mm〜0.035mmの範囲,好ましくは,0.026mm〜0.034mmの範囲に設定されている。金属製ハニカム2の金属平板10と金属波板11の板厚を上記のように設定することにより,金属製ハニカム2中で粒子状物質(PM)が酸化反応する場合に,熱伝導が良好になり,熱容量を大幅に小さく構成でき,金属製ハニカム2の全体にわたって粒子状物質(PM)の酸化反応に最適の温度範囲が確保されると共に均一な温度分布が確保され,即ち,排気ガス温度は酸化反応温度に対する応答性を高くでき,粒子状物質(PM)の酸化反応を良好に行うことができる。また,金属製ハニカム2の芯板12を上記のように薄肉に形成することにより,酸化触媒14の表面積を大きく形成することができ,粒子状物質(PM)の酸化反応を促進できる。更に,金属製ハニカム2は,コージライト製ハニカムに比較して,板厚を薄く形成することができるので,排気ガス流れの圧力損失を小さくできる。金属製ハニカム2について,排気ガスが金属平板10と金属波板11とで形成される開口17を通過することになるが,金属平板10と金属波板11の板厚が薄く形成されているので,排気ガスが通過する開口率,即ち,単位面積あたりの開口17の数即ちセル数(開口数/cm2 )を大きく形成することができ,従って,排気ガスが触れる表面積が大きく形成できる。
図10には,金属製ハニカム2のセル数が排気ガスの粒子状物質(PM)の低減率に及ぼす影響が示されている。この排気ガス浄化装置は,図10に示すように,金属製ハニカム2のセル数は,400セル〜600セル,好ましくは,450セル〜550セルに形成することが好ましい。金属製ハニカム2のセル数を300セル以下に設定すると,排気ガスが接する表面積が小さくなって排気ガス中の粒子状物質(PM)の低減率が下がり,また,金属製ハニカム2のセル数を600セル以上に設定すると,排気ガスが接する表面積が大きくなって排気ガス中の粒子状物質(PM)の低減率は上がるが,その反面,排気ガス中のすすによる金属製ハニカム2の詰まり現象が発生し,好ましくない状態になる。従って,この排気ガス浄化装置は,金属製ハニカム2のセル数(開口数/cm2 )が450セル〜550セルに設定されている。
この排気ガス浄化システムは,上記のように構成されており,次のようにして排気ガスが浄化される。この排気ガス浄化システムでは,エンジンから排出されたNOX とPMを含んでいる排気ガスは,NOX 還元触媒20でNOX が還元剤としての炭化水素系燃料(HC)で還元され,N2 ,CO2 ,H2 Oに分解される。次いで,NOX が分解除去された排気ガスは,酸化触媒14に送り込まれる。酸化触媒14に送り込まれた排気ガスは,排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)である未燃燃料,SOF等が酸化反応され,CO2 やH2 Oに分解される。更に,未燃燃料,SOF等が酸化除去された排気ガスは,フイルタ触媒21に送り込まれる。フイルタ触媒21に送り込まれた排気ガスは,フイルタ触媒21によって排気ガス中に含まれるスート,カーボン等のPMが一旦捕集され,そのPMはフイルタ触媒21において時間をかけて酸化反応してCO2 やH2 Oに分解され,排気ガスが浄化される。
次に,図2を参照して,この発明による排気ガス浄化システムの第2実施例を説明する。第2実施例では,酸化触媒14の後流に配置されたフイルタ触媒34が繊維フイルタで構成されている以外は,第1実施例の排気ガス浄化システムと同様である。フイルタ触媒34は,酸化触媒が担持された金属線やセラミックス繊維がランダムに重ねたり編んだりして絡みあったものであり,排気ガス中のスート等のPMを捕集できる構造である。フイルタ触媒34の外周側から流入し,酸化触媒が担持されたフイルタ触媒34によって排気ガス中のPMが一旦捕集され,内周側の中央筒体39の出口通路43へと排出される。即ち,フイルタ触媒34の捕集されたPMは,時間をかけて酸化触媒の作用で酸化反応し,排気ガスが浄化される。フイルタ触媒34によって捕集されたPMは,フイルタ触媒34に一旦留まるが,時間をかけて酸化反応され,CO2 とH2 Oに分解され,排気ガスが浄化される。
また,図3を参照して,この発明による排気ガス浄化システムの第3実施例を説明する。第3実施例では,酸化触媒14の後流に配置されたフイルタ触媒35が多数の板体から成る板状フイルタで構成されている以外は,第1実施例の排気ガス浄化システムと同様である。図4には,フイルタ触媒35の構造の一部を示す一例が示されている。フイルタ触媒35は,繊維や金網から成る酸化触媒を担持した多数のフイルタ部材36,排気ガスの多数の出口41を周壁に備えた出口通路43を構成する中央筒体39,及びフイルタ部材36を支持する上流側の小径のガイド仕切板38と下流側の大径の支持ガイド仕切板37から構成されている。フイルタ部材36は,中央筒体39の出口41間で外周側にそれぞれ配設されている。ガイド仕切板37,38は,前記フイルタ部材36の上流側と下流側とに配設され排気ガスを上流側から下流側へガイドするため中央筒体39にそれぞれ支持されている。従って,排気ガスはケース1の外周とガイド仕切板38との間に形成される入口40からフイルタ部材36を通過し,次いで支持ガイド仕切板37にガイドされて中央筒体39に設けられた出口41から出口通路43へと流される。その時,排気ガス中に含まれるスート等のPMは,フイルタ触媒35のフイルタ部材36に一旦捕集され,フイルタ触媒35で酸化触媒の作用で時間をかけて酸化反応してCO2 とH2 Oに分解され,排気ガスが浄化される。
図5を参照して,この発明による排気ガス浄化システムの第4実施例を説明する。第4実施例では,NOX 還元触媒20の上流側の排気通路18に組み込まれたケース3内に,排気ガス中の未燃燃料,SOF等の有害物質を酸化させる酸化触媒を有する酸化反応器15が配置されている以外は,第1実施例の排気ガス浄化システムと実質的に同様である。ケース3は,キットとしてケース1と一体構造に構成されても良いことは勿論である。第4実施例では,酸化反応器15を通る排気ガス中から未燃燃料,SOF等の有害物質が除去されることによって,NOX 還元触媒20でのNOX の還元反応が良好に行われ,NOX がN2 ,CO2 ,H2 Oに分解され,排気ガスが浄化される。図5の第4実施例は,第1実施例に示すNOX 還元触媒20の上流側に酸化反応器15を設けたものであるが,酸化反応器15は第2実施例及び第3実施例のものにも同様に取り付けることもできることは勿論である。
図1〜図3及び図5に示す排気ガス浄化システムについて,ケース1の後流には,排気通路18に絞りやノズル16を設け,上流側の排気通路18にパイプ6を接続してパイプ6に排気ガス圧を測定する上流側の圧力センサ27を設け,また,排気通路18の下流側のノズル16の部位にパイプ7を接続してパイプ7に排気ガス圧を測定する下流側圧力センサを設けて上流側圧力センサと下流側圧力センサとで検出された圧力の差圧を検出する差圧計5が設けられている。また,フイルタ触媒21,34又は35の下流の出口部9の排気通路18には,温度センサ19,NOX 濃度センサ44及び差圧計5が設けられている。
この排気ガス浄化システムは,特に,コントローラ30によって次のようにして制御され,排気ガス中に含まれるNOX が還元除去され,PMが酸化除去され,排気ガスが浄化される。この排気ガス浄化システムは,排気通路18における上流側に配置されたNOX 還元触媒20とNOX 還元触媒20の下流側に配置された2種類の酸化触媒14及びフイルタ触媒21,34又は35から成るケース1内に直列に配置された3種類の触媒から構成され,特に,コントローラ30は,排気通路18における触媒の上流に配置されたNOX と反応させる炭化水素系燃料(HC)を噴射する噴射弁22及び排気ガス温度とNOX 濃度との情報に応答して噴射弁22の噴射量を制御することを特徴としている。NOX 濃度の情報は,NOX 還元触媒20の上下流に配置されたNOX 濃度センサ23,44により検出されたNOX 濃度,又はエンジン回転速度と負荷とを基にして予測されたNOX 排出量によるNOX 濃度で決められる。これらの情報は,コントローラ30に送り込まれ,噴射弁22から排気通路18に噴射されるHCの流量が決定される。
コントローラ30は,排気ガス流量を触媒の上流又は下流の排気通路18に設けられた絞り又はノズル16が出口部9の部位に形成されており,ノズル16で得られた圧力差と排気ガス温度とから排気ガス流量を決定し,該排気ガス流量にNOX 濃度を乗じてNOX 排出質量を求め,NOX 排出質量に対応した予め決められた所定の流量の炭化水素系燃料(HC)を噴射弁22から噴射する制御をするように構成されている。また,コントローラ30は,排気ガスの温度センサ24で測定された排気ガス温度が予め決められた所定の排気ガス温度以上である状態が予め決められた所定の期間以上であることに応答して噴射弁22から燃料を噴射し,また,噴射弁22からの燃料噴射は所定の排気ガス温度以下に低下して所定の時間経過後に停止させる制御をするように構成されている。
この排気ガス浄化システムは,エンジンが自然吸気タイプに構成されている場合に,コントローラ30は,回転速度と排気量とから吸入空気量を算出し,吸入空気量にNOX 濃度を乗じて算出されたNOX 排出質量に対して,噴射弁22から予め決められた所定の割合の噴射量を噴射させる制御をするように構成されている。また,前記エンジンが過給機付きタイプに構成されている場合に,コントローラ30は,回転速度及び過給機の下流の吸気温度及び/又は排気ガス圧と排気量とから吸入空気量を算出し,吸入空気量にNOX 濃度を乗じて算出されたNOX 排出質量に対して,噴射弁22から予め決められた所定の割合の噴射量を噴射させる制御をするように構成されている。
コントローラ30は,上記の触媒の上流又は下流の排気通路18に,上記のような出口部9にノズル16や絞り等を設け,絞りで得られた圧力差と排気ガス温度センサ24による排気ガス温度から排気ガス流量を算出し,排気ガス流量にNOX 濃度を乗じて算出されたNOX 排出質量に対して,噴射弁22から炭化水素系燃料の予め決められた所定の割合の噴射量を噴射させる制御をするように構成されている。また,コントローラ30は,排気ガス温度に応答してNOX 排出質量に対する噴射弁22から噴射される燃料質量の比率を制御するように構成されている。
この排気ガス浄化システムは,NOX 還元触媒20の上流と下流の排気通路18にNOX 濃度センサ23,44がそれぞれ配置され,それらからの情報を受けてコントローラ30は,NOX 濃度センサ23,44によるNOX 濃度の差から得られたNOX 低減量に応答して噴射弁22からの炭化水素系燃料(HC)の噴射量を制御することができる。また,NOX 還元触媒20には,炭化水素によるNOX 選択還元を行うため少なくとも2種類の触媒が担持されている。
コントローラ30は,各触媒より上流の最上流又は少なくともフイルタ触媒21,34又は35の上流に設けた圧力センサ27による排気ガス圧,差圧計5による圧力差及び温度センサ19,24による排気ガス温度から算出された排気ガス流量から詰まり状態を判定し,予め決められた温度域で噴射弁22から炭化水素系燃料を噴射し,触媒領域の温度又は排気ガス温度を上昇させる制御をするように構成されている。また,コントローラ30は,触媒14,20,21,34又は35の上下流で設けられた温度センサ19,24による温度差と噴射弁22からの噴射量とから炭化水素系燃料の燃焼状態を確認し,燃焼状態が確認できない時には,噴射弁22からの炭化水素系燃料の噴射を停止する制御をするように構成されている。
この排気ガス浄化システムは,エンジンが作動し,排気ガス温度が既定値以上になると,噴射弁22から燃料がケース1内に噴射される。噴射弁22から噴射される炭化水素系燃料の噴射量は,噴射量を最も有効に活用できるようにコントローラ30によって制御される。従って,コントローラ30は,エンジンから排出される排気ガスに含まれるNOX の排出量に対して決められた割合の炭化水素系燃料をNOX 還元触媒20の上流の排気通路18に噴射するように制御する。そのために,この排気ガス浄化システムでは,リアルタイムでNOX の排出量がコントローラ30によって演算される。この排気ガス浄化システムでは,コントローラ30は,NOX 濃度センサ23を用いてNOX 濃度を計測し,エンジンの回転速度と排気量によって吸気空気量を計算し,その値にNOX 濃度を乗じてNOX の排出量を算出するように構成されている。
また,噴射弁22から噴射した燃料は,排気ガスと混合して気化し,NOX 還元触媒20に流入する。NOX 還元触媒20内では,NOX の還元反応は複雑であるが,炭化水素系燃料は,多数の種類の炭化水素,例えば,メタン列,エチレン列,アセチレン列の鎖式炭化水素,及び芳香族,脂環式の環式炭化水素からなっているので,ここでは説明を簡単化するため,これらをHCで示すものとする。排気ガス中のNOX は,HCによって酸素が奪われてNとなり,Nは2個集まりN2 になって安定し,NOX は還元される。この時,Oは,Hと反応してH2 Oになり,また,Cは,酸化されてCO2 又はCOになる。また,排気ガス中の粒子状物質(PM)は,主成分が炭素Cであり,排気ガスが酸化触媒14,及びフイルタ触媒21,34又は35を通過することによって,Cは酸化されてCO2 又はCOになる。
また,噴射弁22から噴射された燃料は,全部がNOX の還元剤として消費されるわけではなく,一部の燃料は排気ガスに含まれる酸素によって酸化されるが,残りの燃料はそのまま下流の酸化触媒14に流入することになる。NOX 還元触媒20の下流の酸化触媒14は,エンジンから排出された排気ガス中のSOFと称される有機溶剤に溶けた成分と,NOX 還元触媒20で消費されずに残った未燃燃料とを酸化させる機能を有している。酸化触媒14では,PMの主成分であるすす(スート)は酸化反応されずに,下流に設置されたフイルタ触媒21,34又は35で時間をかけて酸化反応即ち燃焼させて排気ガスを浄化する。エンジンから排出されるPMは,エンジンによってその成分が異なるが,一般的には,すすが60%前後,SOFが30%前後,その他は燃料中の硫黄が酸化されたSO2 等である。一般に,SOFは,スート(すす)の外側に吸着されていると言われており,未燃燃料やオイル分でなり,比較的に粘性物である。スートの酸化速度は,SOFの酸化速度より比較的に遅いため,スートを有効に酸化させるためには,フイルタ触媒21,34又は35で捕集して酸化させることが有効である。スートをフイルタ触媒21,34又は35で捕集する場合には,スートのPMにSOF分が多く含まれていると,べたつき易く,フイルタ触媒21,34又は35を詰まらせる原因になる。
この排気ガス浄化システムでは,フイルタ触媒21,34又は35の上流側に,金属ワイヤ,金属板等のメッシュの粗いフイルタやハニカム構造体で構成した酸化触媒14を設置してSOF分や未燃燃料を酸化反応させ,次いでSOF等が分解されたスート等をフイルタ触媒21,34又は35に送り込むように構成されている。また,SOFの酸化反応に有効な触媒と,スートの酸化反応に有効な触媒とは異なっているため,それぞれの酸化触媒14とフイルタ触媒21,34又は35に使用する触媒として最適な触媒を選定し,それぞれの触媒を有効に作用させるため,所定以上の温度が必要であるが,その温度は排気ガスの温度のみで判断されるべきでなく,各触媒は排気ガスによって加熱され,冷却されるので,排気ガス温度のみが触媒活性温度に達しても,触媒表面が所定の温度に達していなければ触媒は有効に作用しない。そこで,この排気ガス浄化システムでは,排気ガス温度を温度センサ24で常に監視し,低温から上昇していく場合の燃料噴射開始温度は,触媒活性温度がある期間保持された後に,噴射弁22から燃料の噴射を開始し,燃料噴射を停止する場合は,ある温度以下になった期間が経過した後とし,噴射燃料の無駄を最小限にすると共に,触媒の活性期間を有効に活用するように構成されている。
この発明による排気ガス浄化システムは,新車又は既存車の自動車用エンジン,特に,ディーゼルエンジンからの排気ガスが排出される排気通路に組み込んで使用される。
この発明による排気ガス浄化システムの第1実施例を示す断面図である。 この発明による排気ガス浄化システムの第2実施例を示す断面図である。 この発明による排気ガス浄化システムの第3実施例を示す断面図である。 図3に示すフイルタ触媒の一部を示す断面図である。 この発明による排気ガス浄化システムの第4実施例を示す断面図である。 この排気ガス浄化システムにおける酸化触媒の一例を示す断面図である。 図6の酸化触媒の作製工程を説明するための部分を示す断面図である。 図6の酸化触媒の線材の詳細を示す断面図である。 酸化触媒におけるPtの含有量に対する粒子状物質の酸化反応の関係を示すグラフである。 金属製ハニカムのセル数が排気ガスの粒子状物質の低減率に及ぼす影響を示すグラフである。
1,3 ケース
2 金属製ハニカム
4 入口部
5 差圧計
14 酸化触媒
15 酸化反応器
16 ノズル
18 排気通路
19,24 温度センサ
20 NOX 還元触媒
21,34,35 フイルタ触媒
22 噴射弁
23,44 NOX 濃度センサ
25 燃料ポンプ
26 燃料噴射量センサ
27 圧力センサ
28 燃料タンク
30 コントローラ
33 回転センサ

Claims (9)

  1. エンジンから排気通路を通じて排出される排気ガスに含まれる有害物質を反応除去して前記排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムにおいて,
    前記排気通路における上流側に配置されて排気ガス中のNOX を還元反応させるNOX 還元触媒,前記NOX 還元触媒の下流側に順次配置されて排気ガス中の粒子状物質を酸化反応させる2種類の酸化触媒,前記排気通路における前記NOX 還元触媒の上流に配置されてNOX と反応させる炭化水素系燃料を前記排気通路に噴射する噴射弁,並びに排気ガス温度,排気ガス流量及びNOX 濃度の情報に応答して前記噴射弁の噴射量を制御するコントローラをし,
    前記NO X 還元触媒は,セラミックス製又は金属製ハニカム構造体,或いはセラミックス製繊維又は金属製ワイヤをランダムに重ねたり編んだりして構成され,前記NO X 還元触媒には,前記炭化水素系燃料によるNO X 選択還元を行うため少なくとも銀及び/又はコバルトの触媒が担持されているか,或いはZn−Ga−Al−Oのスピネル構造を有する触媒が担持されており,
    前記2種類の酸化触媒は,少なくとも未燃燃料やSOFの粒子状物質を酸化反応させるセラミックス製又は金属製ハニカム構造体と,少なくともスートの粒子状物質を捕集して酸化反応させるセラミックス製繊維又は金属製ワイヤをランダムに重ねたり編んだりしたフイルタ触媒とから構成され,前記ハニカム構造体は前記フイルタ触媒の上流に配置されており,前記ハニカム構造体には白金,パラジウム,マンガン,銅及びニッケルの少なくとも1種の酸化触媒が担持され,前記フイルタ触媒にはカリウム,リチウム,ナトリウム等のアルカリ金属類及びその化合物の少なくとも1種の酸化触媒が担持されており,
    前記フイルタ触媒は,前記排気ガスの多数の出口を周壁に備えた出口通路を構成する中央筒体,前記中央筒体の前記出口間で外周側にそれぞれ配設された多数の板状フイルタから成るフイルタ部材,及び前記フイルタ部材の上流側と下流側とに配設され前記排気ガスを前記上流側から前記下流側へガイドするため前記中央筒体にそれぞれ支持されたガイド仕切板から構成され,
    前記コントローラは,前記排気ガス流量を前記排気通路に設けられた絞り又はノズルの部位で得られた圧力差と温度センサによる前記排気ガス温度とから求め,前記排気ガス流量に前記NO X 濃度を乗じてNO X 排出質量を求め,前記NO X 排出質量に対応した予め決められた所定の流量の前記炭化水素系燃料を前記噴射弁から噴射する制御をすることを特徴とする排気ガス浄化システム。
  2. 前記NOX 濃度の情報は,前記排気通路に配置されたNOX 濃度センサにより検出されたNOX 濃度,又はエンジン回転速度と負荷とを基にして予測されたNOX 排出量によるNOX 濃度としたことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
  3. 前記コントローラは,前記NOX 還元触媒の上流と下流の前記排気通路にそれぞれ配置されたNOX 濃度センサによるNOX 濃度によって得られたNOX 低減量に応答して前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化システム。
  4. 前記コントローラは,温度センサで測定された前記排気ガス温度が予め決められた所定の排気ガス温度以上である状態が予め決められた所定の時間以上経過したことに応答して前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を噴射し,前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射は,前記所定の排気ガス温度以下に低下して前記所定の時間経過後に停止させる制御をすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
  5. 前記コントローラは,前記エンジンが自然吸気タイプである場合に,回転速度と排気量とから吸入空気量を算出し,前記吸入空気量に前記NOX 濃度を乗じて算出されたNOX 排出質量に対して,前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を予め決められた所定の割合の噴射量だけ噴射させる制御をすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
  6. 前記コントローラは,前記エンジンが過給機付きタイプである場合に,回転速度及び前記過給機の下流の吸気温度及び/又は排気ガス圧力と排気量とから吸入空気量を算出し,前記吸入空気量に前記NOX 濃度を乗じて算出されたNOX 排出質量に対して,前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を予め決められた所定の割合の噴射量だけ噴射させる制御をすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
  7. 前記コントローラは,前記排気ガス温度に応答して前記NOX 排出質量に対する前記噴射弁から噴射される前記炭化水素系燃料の質量の比率を制御することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
  8. 前記コントローラは,最上流又は少なくとも前記フイルタ触媒の上流に設けられた圧力センサによる排気ガス圧,圧力差及び前記排気ガス温度から算出された前記排気ガス流量から詰まり状態を判定し,予め決められた温度域で前記噴射弁から前記炭化水素系燃料を噴射し,触媒領域の温度又は前記排気ガス温度を上昇させる制御をすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
  9. 前記コントローラは,前記触媒の上下流で設けられた温度センサによる温度差と前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射量とから燃焼状態を確認し,燃焼状態でないことを確認すると,前記噴射弁からの前記炭化水素系燃料の噴射を停止させる制御をすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
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