JP4350391B2 - ベンジルイソニトリルの製法 - Google Patents
ベンジルイソニトリルの製法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4350391B2 JP4350391B2 JP2003038336A JP2003038336A JP4350391B2 JP 4350391 B2 JP4350391 B2 JP 4350391B2 JP 2003038336 A JP2003038336 A JP 2003038336A JP 2003038336 A JP2003038336 A JP 2003038336A JP 4350391 B2 JP4350391 B2 JP 4350391B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- manufactured
- isonitrile
- cdcl3
- group
- nmr
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一段階でベンジルイソニトリルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソニトリル類は医薬品、ファインケミカルズの中間体として有用な化合物であり、付着阻害活性、抗マラリア活性などの様々な生理活性を有することが知られていることから、極めて有用な化合物である。
イソニトリル類の製法として、N−置換ホルムアミドの脱水反応による方法(特許文献1)やランタノイド系金属ハロゲン化物にイソチアナートを反応させる方法(特許文献2)が知られている。しかし、例えば、従来法に従って、ベンジルハライド類からイソニトリル類を製造する場合、このN−置換ホルムアミドの脱水反応を用いようとすると、一度アミン類へ変換し、それからN−置換ホルムアミドヘと変換し、その後脱水反応を行うというように多段階の反応が必要とされ、また場合によっては厳しい条件(例えば、100℃以上の高温)を必要としていた。そのため、他の物質からの効率的な製法が強く望まれていた。
【0003】
また、本発明で用いたベンジル基を含む基質以外の基質を用いてイソニトリルを合成する方法として、三級アルキルを基質としてトリメチルシリルシアニド(TMSCN)と四塩化チタンを作用させてイソニトリルを合成する方法(非特許文献1)や、三級アルコールを基質としてTMSCNと本発明と同じ銀塩を用いて三級イソニトリルを合成する方法(非特許文献2)等が報告されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−215942
【特許文献2】
特開平5−246975
【非特許文献1】
J. Org. Chem. 1981, 46, 5445-5447
【非特許文献2】
Synthesis, 2001, No.3, 437-443
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、穏やかな条件下で一段階にてベンジルイソニトリルを製造する新規な方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式 YCH3−n(C6H5)n(式中、Yは臭素又は塩素を表し、nは1〜3の整数を表し、該ベンゼン環は置換されていてもよい。)で表されるベンジルハライドとトリアルキルシリルシアニドとを、過塩素酸銀の存在下において、液相で反応させることから成るベンジルイソニトリルの製法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるベンジルハライドは一般式 YCH3−n(C6H5)nで表される。ここでYは臭素又は塩素である。nは1〜3の整数、好ましくは2又は3である。このベンゼン環は置換されていてもよく、置換基としてはアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基などが挙げられるが、炭素数が10以下、特に4〜6のアルキル基、ハロゲン、又はベンジルオキシ基が好ましい。ベンジル基あたり置換基の数は1が好ましく、置換基の位置はYCH3−n基に対してパラ位が好ましい。
【0008】
また、トリアルキルシリルシアニドのアルキル基としては、メチル基やエチル基が好ましく、最も好ましくはトリメチルシリルシアニド(TMSCN)である。
【0009】
また、反応系に炭酸水素ナトリウム水溶液やテトラブチルアンモニウムフルオライドを加えてもよい。炭酸水素ナトリウム水溶液は飽和溶液、テトラブチルアンモニウムフルオライドは1MのTHF溶液が好ましい。これら添加物は、中間体として生成していることが予想されるケイ素化合物を分解するため好ましいと考えられる。
【0010】
本発明の反応は液相で行う。溶媒としては、ハロゲン系溶媒、特に塩化メチレンが好ましい。反応溶液中のベンジルハライド及びトリアルキルシリルシアニドの濃度はそれぞれ0.1〜0.5M、0.3〜1.2Mが好ましい。更に、無機酸の銀塩の添加量は1.2〜5.0当量が好ましい。
反応温度は氷冷〜室温(約20〜25℃)が好ましい。雰囲気に特に制限はないが、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0011】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
アルゴン雰囲気下室温にて、4-t-ブチルベンジルブロミド(113 mg, 0.5 mmol、アクロス社製)を塩化メチレン(2 mL)に溶解し、トリメチルシリルシアニド(100 μL、アクロス社製)、過塩素酸銀(155 mg、関東化学製)を加え12時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2 mL、和光純薬製)を加えた後、ジエチルエーテルで抽出した。抽出液は水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物70 mg(収率:80%)を得た。
分析の結果、生成物は4-t-ブチルベンジルイソニトリルであった。分析結果を下記に示す。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 7.44-7.41 (2H, m), 7.30-7.27 (2H, m), 4.60 (2H, bt, J = 2.0 Hz), 1.33 (9H, s); 13C-NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 157.25 (t, J = 6.2 Hz), 151.64, 129.40, 126.45, 125.92, 45.28 (t, J = 6.2 Hz), 34.63, 31.29.
【0012】
参考例1
アルゴン雰囲気下室温にて、4-t-ブチルベンジルブロミド(50 mg,0.22 mmol、アクロス社製)を塩化メチレン(2 mL)に溶解し、トリメチルシリルシアニド(46 μL、アクロス社製)、テトラフルオロホウ酸銀(64 mg、アルドリッチ社製)を加え1時間攪拌した。反応液にテトラブチルアンモニウムフルオライド(0.5 mL)を加えることによって、生成物(GLC収率:98%)を得た。
分析の結果、生成物は4-t-ブチルベンジルイソニトリルであった。分析結果を下記に示す。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 7.44-7.41 (2H, m), 7.30-7.27 (2H, m), 4.60 (2H, bt, J = 2.0 Hz), 1.33 (9H, s); 13C-NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 157.25 (t, J = 6.2 Hz), 151.64, 129.40, 126.45, 125.92, 45.28 (t, J = 6.2 Hz), 34.63, 31.29.
【0013】
参考例2
アルゴン雰囲気下室温にて、4-t-ブチルベンジルブロミド(50 mg,0.22 mmol、アクロス社製)を塩化メチレン(2 mL)に溶解し、トリメチルシリルシアニド(92 μL、アクロス社製)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(170 mg、アクロス社製)を加え17時間攪拌した。反応液にテトラブチルアンモニウムフルオライド(0.5 mL)を加えることによって、生成物(GLC収率:99%)を得た。
分析の結果、生成物は4-t-ブチルベンジルイソニトリルであった。分析結果を下記に示す。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 7.44-7.41 (2H, m), 7.30-7.27 (2H, m), 4.60 (2H, bt, J = 2.0 Hz), 1.33 (9H, s); 13C-NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 157.25 (t, J = 6.2 Hz), 151.64, 129.40, 126.45, 125.92, 45.28 (t, J = 6.2 Hz), 34.63, 31.29.
【0014】
実施例2
アルゴン雰囲気下室温にて、4-t-ブチルベンジルクロリド(50 mg,0.22 mmol、東京化成製)を塩化メチレン(2 mL)に溶解し、トリメチルシリルシアニド(105 μL、アクロス社製)、過塩素酸銀(155 mg、関東化学製)を加え50時間攪拌した。反応液にテトラブチルアンモニウムフルオライド(0.5 mL)を加えることによって、生成物(GLC収率:61%)を得た。
分析の結果、生成物は4-t-ブチルベンジルイソニトリルであった。分析結果を下記に示す。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 7.44-7.41 (2H, m), 7.30-7.27 (2H, m), 4.60 (2H, bt, J = 2.0 Hz), 1.33 (9H, s); 13C-NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 157.25 (t, J = 6.2 Hz), 151.64, 129.40, 126.45, 125.92, 45.28 (t, J = 6.2 Hz), 34.63, 31.29.
【0015】
実施例3
アルゴン雰囲気下室温にて、4-ベンゾイルオキシベンジルブロミド(143 mg,0.49 mmol、4-t-ブチルベンジルクロリド(東京化成製)から調整)を塩化メチレン(2 mL)に溶解し、トリメチルシリルシアニド(92 μL、アクロス社製)、過塩素酸銀(170 mg、関東化学製)を加え40時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2 mL、和光純薬製)を加えた後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物83 mg(収率:71%)を得た。
分析の結果、生成物は4-ベンゾイルオキシベンジルイソニトリルであった。分析結果を下記に示す。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 8.21-8.20 (2H, m), 7.67-7.64 (1H, m), 7.54-7.44 (2H, m), 7.44-7.42 (2H, m), 7.28-7.27 (2H, m), 4.68 (2H, bs); 13C-NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 165.04, 158.13 (t, J = 5.0 Hz), 151.02, 133.79, 130.23, 129.95, 129.28, 128.65, 127.89, 127.42, 45.08 (t, J = 7.4 Hz).
【0016】
実施例4
アルゴン雰囲気下室温にて、4-クロロベンジルブロミド(50 mg,0.24 mmol、東京化成製)を塩化メチレン(2 mL)に溶解し、トリメチルシリルシアニド(102 μL、アクロス社製)、過塩素酸銀(151 mg、関東化学製)を加え52時間攪拌した。反応液にテトラブチルアンモニウムフルオライド(0.5 mL、アルドリッチ社製)を加えることによって、目的とする4-クロロベンジルイソニトリル(GLC収率:54%)を得た。
分析の結果、生成物は4-クロロベンジルイソニトリルであった。分析結果を下記に示す。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 7.40-7.36 (2H, m), 7.30-7.27 (2H, m), 4.62 (2H, bt, J = 2.1 Hz); 13C-NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 158.19 (t, J = 5.4 Hz), 134.47, 130.76, 129.20, 128.00, 44.96 (t, J = 7.3 Hz).
Claims (3)
- 一般式 YCH3−n(C6H5)n(式中、Yは臭素又は塩素を表し、nは1〜3の整数を表し、該ベンゼン環は置換されていてもよい。)で表されるベンジルハライドとトリアルキルシリルシアニドとを、過塩素酸銀の存在下において、液相で反応させることから成るベンジルイソニトリルの製法。
- nが1である請求項1に記載の製法。
- トリアルキルシリルシアニドがトリメチルシリルシアニドである請求項1又は2に記載の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003038336A JP4350391B2 (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | ベンジルイソニトリルの製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003038336A JP4350391B2 (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | ベンジルイソニトリルの製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004244398A JP2004244398A (ja) | 2004-09-02 |
JP4350391B2 true JP4350391B2 (ja) | 2009-10-21 |
Family
ID=33022889
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003038336A Expired - Fee Related JP4350391B2 (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | ベンジルイソニトリルの製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4350391B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015044177A1 (en) * | 2013-09-24 | 2015-04-02 | Universität Zu Köln | Compounds useful in the treatment of neoplastic diseases |
JP6871540B2 (ja) * | 2017-02-27 | 2021-05-12 | 国立大学法人北海道大学 | アリルイソシアニド類の製造方法 |
-
2003
- 2003-02-17 JP JP2003038336A patent/JP4350391B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004244398A (ja) | 2004-09-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
PT2307393E (pt) | Processo para a preparação do promotor de apoptose abt-263 | |
JP2014139151A (ja) | (e)−1−ハロ−エナミド誘導体又はその塩を製造する方法及び(e)−1−ハロ−エナミド誘導体又はその塩。 | |
JP4350391B2 (ja) | ベンジルイソニトリルの製法 | |
TWI623520B (zh) | 製備雙(3-胺基苯基)二硫化物及3-胺基硫醇之方法 | |
WO2012060232A1 (ja) | 5-トリフルオロメチル-4-ニトロ-2-イソキサゾリン化合物およびその製造方法 | |
JP2016198736A (ja) | アミノサリチルアルジミン配位子を金属に配位させた触媒及びこれを用いたヨード環化体の製造方法 | |
JP4879907B2 (ja) | フェニル2−ピリミジニルケトン類の製造方法及びその新規中間体 | |
CN109438299B (zh) | 一种苯磺酰肼类衍生物与三乙胺无金属催化合成苯磺酰烯胺类化合物的方法 | |
JP2019503377A (ja) | 置換された2−アリール−エタノール類の製造方法 | |
JP3868534B2 (ja) | スルホンアミド誘導体の製造法および中間体 | |
JP4649733B2 (ja) | トリフルオロメチル基含有アセトフェノン化合物の製造方法 | |
JP4899385B2 (ja) | 3−アミノメチルオキセタン化合物の製法 | |
CN117430542B (zh) | 一种三氟甲基吲哚衍生物的合成方法 | |
JP4258658B2 (ja) | アセチレン化合物の製造方法 | |
JP2000080082A (ja) | 5−ハロゲノ−2−置換ピリジンの製造方法 | |
KR102671723B1 (ko) | 치환된 2-아릴에탄올의 제조 방법 | |
JP4538993B2 (ja) | β−ケトニトリル誘導体の製法 | |
JPH07252205A (ja) | オキシアミン類の製造方法 | |
JP5151180B2 (ja) | 3,3’,4,4’−シクロヘキセニルフェニルテトラカルボン酸化合物群及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸化合物の製法 | |
JP3965704B2 (ja) | 光学活性な5−ヒドロキシ−3−オキソ−6−ヘプチン酸エステル誘導体の製造方法 | |
KR100543345B1 (ko) | 6-클로로벤족사졸-2-온의 새로운 제조방법 | |
WO2017170884A1 (ja) | 新規なヒドロキサム酸誘導体の製造方法およびその中間体 | |
JP2010209017A (ja) | 芳香族アミン化合物の製造方法 | |
JPH10182523A (ja) | 1位置換−2,2−ジフロロ−3−ブテン−1−オール類の製造法 | |
JP2006182739A (ja) | 有機ビスマス化合物およびその製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050407 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080806 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081104 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081204 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090713 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090722 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130731 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |