JP4349849B2 - 預金自動預け払い機及び紙幣の追跡方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に偽造通貨のトレース（追跡）に関しさらに詳しくは認識装置を用いた偽造通貨のトレースに関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば警察当局が銀行に対して銀行の自動預金預け払い機（ATM）へ払い込まれた偽造銀行券のトランザクションログを報告するように要求することがある。銀行券（紙幣）は銀行で認識されるあらゆる形の通貨である。警察の要求に対処するため、銀行はATM機へ払い込まれた銀行券をトレースするための手順をもつのが普通である。
【０００３】
図１は警察当局に偽造銀行券を通知するための従来のトレースシステム１００のブロック図である。第１の銀行券１０４は銀行の支店１０３のＡＴＭ１０２に預けられる。この時点で銀行は第１の銀行券１０４が偽造紙幣かどうかは分からない。
【０００４】
ＡＴＭ１０２は全ての払い込まれた銀行券のトランザクションログを記録するための装置を含み、これには本例の第１の銀行券１０４のトランザクションログも含む。第１の銀行券１０４はＡＴＭ１０２の紙幣識別ユニットへ入り紙幣の額面金額を識別される。第１の銀行券１０４は次に通し番号読み取りユニットへ入り第１の銀行券１０４の記番号を読み取られる。第１の銀行券１０４は他の払い込まれた紙幣と一緒にＡＴＭ１０２のカートリッジに保存される。第１の銀行券１０４の記番号はＡＴＭ１０２のカートリッジ・メモリ内に記憶される。
【０００５】
カートリッジをＡＴＭ１０２から取り出して銀行本店１０７へ輸送する。銀行本店１０７では、第１の銀行券１０４に高レベルの照合１０５を行なう。第１の銀行券１０４が偽造紙幣であると分かった場合、第１の銀行券は再取得の銀行券１１８として後続の手順にしたがう。再取得の銀行券１１８は第１の銀行券１０４と物理的に同一の銀行券であるが、ここでは再取得の銀行券１１８と呼んで再取得の手順が行なわれることを表わすことにする。
【０００６】
再取得の銀行券１１８は銀行支店１０３へ戻される。再取得の銀行券１１８の記番号がカートリッジのメモリから読み出されて銀行券が過去に通過した経路をトレースし、トランザクションログ１１４を銀行支店１０３から入手する。トレースの方法としては、例えば銀行券の記番号の情報を使用するもの（例えば、特許文献１参照）や、記番号と顧客の指紋画像を組み合わせて使用するものがある（例えば、特許文献２参照）。トランザクションログ１１４には銀行券が最初に預け入れられた日付、顧客の身元、および預け入れ総額の情報が少なくとも含まれる。トランザクションログ１１４は警察１１０と銀行本店１０７へ報告される。
【０００７】
【特許文献１】
特開平１１−３２８４９３号公報
【特許文献２】
特開２０００−３２２６３２号公報
【発明が解決しようとする課題】
従来のトレースシステム１００は偽造紙幣を識別してトレースするには複数の問題がある。たとえば、 従来技術にある銀行券の識別に記番号だけを使用することには問題が伴う。記番号を使用することに伴う問題の一つは、偽造紙幣が正規銀行券と同じ記番号を持つことが多いことである。その結果、従来のトレースシステム１００は同一の記番号を有する正規銀行券と偽造銀行券の識別ができない。さらに、同一の記番号を有する多数の偽造銀行券同士の識別ができない。つまり、従来のトレースシステム１００は偽造銀行券を正確にトレースすること関して上記課題がある。
【０００８】
又、記番号の画像を取り込む装置には別の問題が伴う。従来のイメージング装置は銀行券の記番号の画像を高信頼度で取り込むのに充分な精度がないため、例えば記番号を比較の情報に用いる場合では、記番号の読み取り精度が充分ではなく、照合精度が良くないという課題がある。本願は以上の課題をふまえて、より精度よく銀行券の追跡を行うことを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本願で開示する代表的な発明は以下の通りである。
１つまたはそれ以上の装置と電気的に接続された預金自動預け払い機（ATM）を提供する。１つまたはそれ以上の装置は第１の銀行券を受け入れるように構成された預金装置、第１の銀行券から１枚又はそれ以上の初期画像を抽出するように構成された画像抽出装置、１枚又はそれ以上の初期画像にトランザクションログを添付するように構成されたトランザクションログ装置を含み、預金装置は更に再取得の銀行券を受け入れるように構成され、画像抽出装置は更に再取得の銀行券から１枚又はそれ以上の再取得の画像を抽出するように構成され、また１枚又はそれ以上の初期画像と１枚又はそれ以上の再取得の画像を比較して比較結果を得られるように構成された比較装置を更に含む。
【００１０】
別の実施例において、銀行の預金自動預け払い機（ATM）へのインタフェースが提供される。インタフェースは１つまたはそれ以上の画面が預金自動預け払い機のディスプレイ上に表示されるように構成されている。１つまたはそれ以上の画面には、トレーシング・モードを含み、このトレーシング・モードを使用するには銀行による特別な認証を必要とする。またトレーシング・モードの種類オプションを含み、種類オプションは選択されてから特定の種類の再取得銀行券を入力する要求を表示する指令を開始するように構成される。トレーシング・モードの検索開始オプションを含み、検索開始オプションは選択されてから再取得の銀行券の再取得の画像と第１の銀行券の第１の画像との間の比較をはじめるように指令を開始するように構成される。さらにトレーシング・モードの比較結果画面を含み、比較結果画面は比較完了時に比較結果を表示するように構成される。
【００１１】
更に別の実施例では、銀行券をトレースする方法が提供される。本方法は第１の銀行券の預金を受け入れ、第１の銀行券から１枚又はそれ以上の第１の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像に開始トランザクションログを添付し、再取得の銀行券の預金を受け入れ、再取得の銀行券から１枚又はそれ以上の再取得の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像と１枚又はそれ以上の再取得の画像を比較して比較結果を得るステップを含む。
【００１２】
本発明のトレーシング・システムは高レベルの精度で銀行券をトレースし、したがって巧妙な犯罪の追跡中にも信頼することができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明は認識装置を用いて銀行券をトレースするシステム及び方法を提供することにより上記目的を果たすものである。本発明はプロセス、装置、システム、デバイス又は方法を含む様々な方法で実現できることは理解されるべきである。本発明のトレーシング・システムは単なる記番号以上を用いることで銀行券を識別する。したがって、トレーシング・システムは同一の記番号を有する２枚の別個の銀行券同士を識別可能である。
本発明は、前述したように構成されるシステム、方法、装置、コンピュータで読み取り可能な媒体のその他の実施例を包含するものである。
【００１４】
以下、銀行券をトレースするシステム及び方法の発明を開示する。本発明の全体的な理解を提供する目的で実施例を説明する。しかし本発明はこれらの実施例には限られないことは当業者には理解されよう。
【００１５】
図２は本発明の実施例による銀行券をトレースするトレーシング・システム２００の模式図である。第１の銀行券２０４が第１の銀行券２０４を受け入れるように構成された預金装置２０６に預け入れられる。預金装置２０６は銀行支店（図示していない）の預金自動預け払い機（ATM）の内部に配置してあり、顧客又はその他の使用者が容易にアクセスできるようになっている。ＡＴＭ２０２は更に複数の異なる銀行券を受け入れられるようにも構成してある。しかし、ここでは説明の目的で単一の第１の銀行券２０４についての説明を行なう。
【００１６】
第１の銀行券は画像抽出装置２０８へ搬送される。本実施例では、画像抽出装置２０８はＡＴＭ２０２の一部であるように図示してある。しかし本発明はこれに限定されるものではない。これ以外に画像抽出装置２０８はＡＴＭ２０２の外部に配置されていても良い。
【００１７】
画像抽出装置２０８は第１の銀行券２０４から１枚又はそれ以上の第１の画像２１６を抽出するように構成される。画像抽出装置２０８は銀行券のアナログ画像をこれに対応して希望どおりに処理可能なデジタル画像へ変換するアナログ−デジタル（Ａ／Ｄ）コンバータを含む。
【００１８】
画像抽出装置２０８の重要な目的は、充分な枚数の第１の画像２１６を抽出して銀行券のユニークな特徴を撮影し、銀行券を唯一のものとして同定することである。抽出された第１の画像２１６はこのような銀行券のユニークな特徴の幾つかの組み合わせであるのが望ましい。抽出された第１の画像２１６は第１の銀行券２０４の表面又は裏面の少なくとも一部を撮影する。画像抽出装置２０８は写真技術を利用して特徴たとえば色、輝度、彩度、濃度、ユニークなマーキング、血痕、インクの染み、鉛筆書きの印、変退色、異常な発色、損傷部分、折れ目、穴、破れ目等を検出するのが望ましい。その他の撮像技術を使用してこのような特徴を検出することもできる。たとえば、その他の撮像技術としては赤外線、紫外線、Ｘ線、光ルミネセンス、化学ルミネセンス、蛍光、磁気共鳴イメージング（MRI）、化学薬品等を使用することも含まれる。つまり、抽出される画像は写真画像、赤外線画像、紫外線画像、Ｘ線画像、光ルミネセンス画像、化学ルミネセンス画像、蛍光画像、磁気共鳴画像、化学画像、またはその他の種類の画像のうちの一つ，または複数である。
【００１９】
尚、第１の画像２１６は上記説明した第１の銀行券２０４を複数含み、各々の異なる画像が第１の銀行券２０４のユニークな特徴であると同時に別の姿勢に配置されている特徴を捕えるものであってもよい。又、これらの異なる画像は表面の画像と裏面の画像とを含む。表面画像の姿勢と裏面画像の姿勢は第１の銀行券が預け入れられた方向によって変化する。
【００２０】
又、第１の画像２１６はたとえば第１の銀行券２０４の４箇所の異なる姿勢の画像を含むようにすることもできる。この場合を含めて、第１の画像は該姿勢に応じたグループに分割されておくこともできる。姿勢第１の姿勢は表面順方向の姿勢である。第２の姿勢は表面逆方向の姿勢である。第３の姿勢は裏面順方向の姿勢である。第４の姿勢は裏面逆方向の姿勢である。多数の異なる姿勢から画像を抽出することの重要な目的は、トレーシング・システム２００の精度を向上させることであり、さらにグループ化しておくことで、トレースする全体的精度を向上させると同時にトレースにかかる時間を減らすことができる。
【００２１】
第１の画像はトランザクションログ２１４を第１の画像２１６に添付するように構成されたトランザクションログ装置２１０へ搬送される。トランザクションログは第１の預け入れの日時、顧客の身元、預け入れ金額、顧客の画像、およびその他の有用な情報を含む。トランザクションログ２１４とこれに対応する第１の画像２１６はＡＴＭ２０２の記憶装置２１２に記憶される。本実施例では記憶装置２１２がＡＴＭ２０２の一部であるように図示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【００２２】
これ以外に、記憶装置２１２はＡＴＭ２０２の外部に配置することがあり、ＡＴＭ２０２のネットワーク・リンクが外部記憶装置（図示していない）へ電気的に接続される。外部記憶装置へのネットワーク・リンクを使用して、第１の画像２１６のコピーを外部記憶装置へ送信する。外部記憶装置は第１の画像と再取得の画像を含めた何らかの画像を記憶するように構成される。
【００２３】
初めの第１の預金２０４に使用される第１のＡＴＭ２０２は再取得の手順で使用される同一の画像抽出装置２０８を備えた同一のＡＴＭ２０２であるのが望ましい。同一のＡＴＭ２０２を使用することによる利点の一つは同一のＡＴＭ２０２が第１の銀行券２０４に関係したＡＴＭ２０２と実質的に同じ方法、つまり物理的に同じセンサ等を用いて画像を抽出することができることである。これにより再取得の手順でより良い精度を提供することが可能で、特に比較結果２２４の計算がより正確になる。これら再取得の手順については後述する。これ以外に、初めの第１の銀行券２０４の顧客によって第１の預金２０４に使用された第１のＡＴＭ２０２は再取得の手順で使用されるのと同じＡＴＭではないことがある。別のＡＴＭを使用することで、たとえば再取得の手順を銀行が実行するのに一層利便性が増す。
【００２４】
第１の銀行券２０４は更に処理を行なうため銀行本店（図示していない）へ運搬される。銀行本店では、高レベルの照合を行なう。第１の銀行券２０４が偽造紙幣であると分かった場合、第１の銀行券２０４は該銀行券のトレースの手続きを受ける。以降銀行券２１８は物理的には第１の銀行券２０４と同一の銀行券であるが、ＡＴＭで再取得されトレースの手順が実施されることを表わすため再取得の銀行券２１８と呼ぶことにする。
【００２５】
再取得の銀行券２１８は銀行の支店（図示していない）のＡＴＭ２０２へ返送される。本実施例では再取得の紙幣が同一のＡＴＭ２０２に預け入れられることを示している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。上述のように、これらのトレースの手順は特定の銀行のいずれかの選択したＡＴＭで実施することができる。選択されたＡＴＭは画像抽出装置へまた記憶装置２１２へのネットワーク・リンク（図示していない）へ接続される。
【００２６】
権限を有する従業員６２０が預金装置２０６を使用してトレースモードにあるＡＴＭ２０２へ再取得の銀行券２１８を投入する。再取得の銀行券２１８は画像抽出装置２０８へ搬送される。画像抽出装置２０８はさらに再取得の銀行券２１８から１枚又は複数の再取得の画像２２０を抽出するように構成してある。再取得の画像２２０はこれに対応する第１の画像２１６とを対応付けられ、第１の銀行券２０４をトレースが行われる。したがって、画像抽出装置２０８のは充分な枚数の再取得の画像２２０を抽出して再取得の画像２２０と第１の画像２１６とを関連付けられるようにすることが大切ある。抽出された再取得の画像は再取得の銀行券２１８の表面又は裏面の少なくとも一部を撮影したものである。
【００２７】
再取得の画像２２０は前述の第１の銀行券と同様に複数の画像を含むことがあり、各々異なる画像が再取得の銀行券２１８のユニークな特徴であると同時に別の姿勢に配置された特徴を捕捉するようにしても良い。さらに、上述した第１〜４の姿勢に応じた画像を含むようにしても良い。
【００２８】
ＡＴＭ２０２は第１の画像２１６と再取得の画像２２０とを比較するように構成してある比較装置２２２を含むかまたはこれに接続してある。比較結果２２４は比較演算から取得される。比較結果２２４が一致を示している場合、これに対応する第１の銀行券２０４へ添付されたトランザクションログが取り出される。
【００２９】
次にトレーシング・システムの更なる詳細を説明する。
【００３０】
図３は本発明の実施例による、銀行券をトレースするトレーシング方法３００のフローチャートである。このフローチャートは図２を参照して前述したに対応する。
【００３１】
第１の銀行券２０４がステップ３０１で受け入れられる。ステップ３０２では、第１の銀行券２０４から第１の画像２１６を抽出する。ステップ３０４では、第１の銀行券２０４について紙幣鑑別を行なって第１の銀行券が本物かどうかを判定する。この紙幣鑑別は銀行券の種類たとえば１ドル、５ドル、２０ドル、又は１００ドルの判定も含む。紙幣鑑別はさらに第１の銀行券２０４の第１の偽造スクリーニングも含む。この第１のスクリーニングは銀行の本店で後に実行されるより包括的なスクリーニングほど確実なものではない。さらに、予備照合はＡＴＭ２０２に銀行券を受け入れた方向又は姿勢の判定も含む。
【００３２】
ステップ３０６で、抽出された第１の画像２１６にトランザクションログ２１４を添付する。ステップ３０８では、トランザクションログ２１４と第１の画像２１６が記憶装置２１２に記憶される。
【００３３】
上記トランザクションの終了後に第１の銀行券２０４が偽造であると分かった場合を想定する。ステップ３１０で再取得の銀行券２１８がＡＴＭにより受け入れられる。ステップ３１２では、再取得の画像２２０が再取得の銀行券２１８から抽出される。ステップ３１４では、第１の画像が記憶装置２１２から選択され、同様に再取得の画像のグループからも選択される。これらの選択された画像がステップ３１６のスコア計算演算を用いて比較される。たとえば、特定の第１の銀行券に対応する第１の画像が特定のスコアを得る。別の特定の第１の銀行券に対応する別の第１の画像は別の特定のスコアを得る、というようにする。ステップ３１８ではスコア全部を類似性の度合でソートし、最高のスコアが最高の類似度を表わすようにする。最高のスコアに関連付けられたトランザクションログ２１４がステップ３２０で取り出される。
【００３４】
図４は本発明の実施例による画像抽出装置２０８の動作の模式図である。本実施例では説明の目的で再取得の銀行券２１８の画像抽出操作を図示している。これらの操作は一般に第１の銀行券２０４からの画像抽出にも同様に適用される。図４は再取得の銀行券２１８の様々の部分の画像抽出を示す。しかし、本発明はこれらの特定部分に限定されるものではなく、その他の適当な部分を使用することもできる。
【００３５】
第１の銀行券２０４と再取得の銀行券２１８の両方について銀行券の全姿勢の比較を実行すれば更に良い照合結果が実現される。これらの方向には第１の銀行券をＡＴＭ２０２に受け入れることのできる全ての姿勢を含む。更に、再取得の画像のグループを同じ姿勢にある第１の画像と比較したときに比較速度の向上が実現できる。言い換えれば、第１の画像が特定の姿勢である場合、別の特定姿勢の再取得画像を比較しないことで時間を節約できる。
【００３６】
ステップ４０１では、再取得の銀行券２１８を表面順方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れている。表面順方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた係員６２０が別に数回預け入れるのが望ましい。各々の別の預け入れで、異なった再取得の画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００３７】
ステップ４０２で、再取得の銀行券２１８は表面逆方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れられている。表面逆方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた係員６２０が別々に数回預け入れるのが望ましい。各々別の預け入れごとに、異なった再取得画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００３８】
ステップ４０３で、再取得の銀行券２１８は裏面順方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れている。裏面順方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた権限ある係員６２０が別に数回預け入れるのが望ましい。各々の別の預け入れで、異なった再取得の画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００３９】
これ以外に、ＡＴＭ２０２は再取得の銀行券２１８が１回だけ入力されれば良いように構成することができる。再取得の銀行券２１８の姿勢を自動的に変更するようにＡＴＭ２０２の装置を構成すれば良い。
【００４０】
ステップ４０４で、再取得の銀行券２１８は裏面逆方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れられている。裏面逆方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた係員６２０が別々に数回預け入れるのが望ましい。各々別の預け入れごとに、異なった再取得画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００４１】
図５は本発明の実施例によるトランザクション情報と画像データのデータ構造５００を示している。データ構造５００は図５に示してあるように関連づけられたデータリストである。データ構造５００はＡＴＭ情報５０１と銀行券情報５０５に適用できる。これ以外に、データ構造５００を各々の銀行券情報５０５が独立していてＡＴＭ情報５０１に関連づけられるようになっていても良い。ＡＴＭ情報５０１はＡＴＭ固有の情報たとえばＡＴＭ識別５０２やＡＴＭ２０２に預け入れられて記録された銀行券の枚数５０４等を含む。銀行券情報５０５は銀行券固有の情報たとえば銀行券の種類５０６、銀行券の姿勢５０８、預け入れ日時５１０、使用者の身元５１２、通常券かあるいは偽造券かを示すモードフラグ５１４、第１の画像２１６又は再取得の画像２２０を含む画像データ５１６を含む。
【００４２】
図６は本発明の実施例によるＡＴＭ２０２のインタフェース６００の例を示している。インタフェース６００はＡＴＭ２０２のディスプレイ上に表示するように構成された１枚又はそれ以上の画面によって構成される。画面は通常トランザクションモード６０１とトレーシング・モード６０３を表示するものであって、通常トランザクションモード６０１では、ＡＴＭ２０２は通常モード画面６０２を表示して銀行の顧客と通常の取引を行なうように構成される。通常モード画面６０２は銀行の顧客が通常の取引、たとえば第１の銀行券２０４の預け入れ、引き出し、外貨の預け入れ、信用照会などを行なうことができるインタフェース６００の一部を提供する。
【００４３】
一方、トレーシング・モード６０３へのアクセスには、偽造紙幣追跡という特別なモードであることを考えると、ＡＴＭ２０２に対する権利を有する銀行からの特別な認証を必要とするようにすることが好ましい。ＡＴＭ２０２はたとえばトレーシング・モード６０３にアクセスするための認証コードを入力するように要求するよう構成できる。トレーシング・モード６０３は、認証を受けた係員６２０が再取得の銀行券２１８をＡＴＭ２０２へ預け入れるのに必要な場合にアクセスする。言い換えれば、第１の銀行券２０４が銀行本店４１０で偽造であると判定された場合、トランザクションログ２１４を取り出すために、その銀行券は再取得の銀行券２１８としてＡＴＭ２０２へ送り戻される。
【００４４】
トレーシング・モード６０３では、ＡＴＭ２０２はトレーシング・モード画面６０４，６０６，６０８，６１０，６１２を表示しトレーシング操作を実行するように構成される。トレーシング・モード画面は認証を受けた係員６２０がトランザクションログ２１４を取り出す手続きを実行できるようにするインタフェース６００の部分を提供する。図６は説明の目的で５種類のトレーシング・モード画面６０４，６０６，６０８，６１０，６１２を図示してある。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。インタフェース６００の特定の設計にあわせて、更に多く又は少ないトレーシング・モード画面を提供することができる。
【００４５】
オプション画面６０４は再取得の銀行券２１８の特定の種類の金額を選択する金額オプション６２２を含む。図６には１０ドル、２０ドル、５０ドル、１００ドルの種類オプション６２２が図示してある。金額オプション６２２は選択されてから預け入れ要求画面６０６を表示する指令を開始するように構成される。種類オプション６２２はディスプレイ９０４のタッチパネル部分へ電気的に接続してある。これ以外に、種類オプション６２２はＡＴＭ２０２の機械式ボタン（図示していない）へ電気的に接続してあっても良い。
【００４６】
預け入れ要求画面６０６は再取得の銀行券２１８（偽造銀行券）を入力する要求を表示する。図６は表面順方向に５回偽造銀行券を差し入れるように促す預け入れ要求画面６０６を示している。認証を受けた係員は再取得の銀行券２１８（偽造銀行券）を差し入れる。図６の破線は更に数回預け入れ要求画面が含まれ、それぞれで何らかの方向に同一の偽造銀行券を差し入れるように促すことを示している。図４を参照しての説明では再取得の銀行券２１８から再取得の画像２２０を抽出する手順を説明している。預け入れ要求画面６０８は預け入れ手順が終了したことの表示を表示する。
【００４７】
インタフェース６００はこの後検索開始画面６１０を表示するように構成してある。検索開始画面６１０は選択されてから再取得の画像２２０と第１の画像２１６との比較を開始する指令を開始するように構成された検索開始オプション６２４を含む。図６において、検索開始オプション６２４は「はい」ボタンであり、これはディスプレイ９０４のタッチパネル部分へ電気的に接続されている。これ以外に、検索開始オプション６２４はＡＴＭ２０２の機械式ボタン（図示していない）へ電気的に接続しても良い。
【００４８】
比較演算が完了した後、インタフェース６００は比較結果画面６１２を表示するように構成してある。比較結果画面６１２は再取得の画像２２０と第１の画像２１６との比較の比較結果を表示するように構成される。図６はトランザクションログ２１４の表示として比較結果画面６１２を示す。
【００４９】
図７は本発明の実施例による比較装置２２２によって実行される比較演算７００の模式図である。図７は再取得の画像２２０と第１の画像２１６との間の比較演算７００を示している。銀行券はセンサにより，デジタルデータへ変換される。本実施例において、再取得の画像２２０の観察ポイントは観察ポイント値７０６を含む。同様に、第１の画像２１６の観察ポイントも観察ポイント値７０４を含む。観察ポイント値を組み合わせて画像特性たとえば色、輝度、彩度、濃度、ユニークなマーキング、血痕、インクの染み、鉛筆書きの印、変退色、異常な発色、損傷部分、折れ目、穴、破れ目等を記述する。観察ポイント値を取得するために使用される撮像技術には、赤外線、紫外線、Ｘ線、光ルミネセンス、化学ルミネセンス、蛍光、磁気共鳴イメージング（MRI）、化学薬品等を使用することも含まれる。
【００５０】
再取得の画像２２０の観察ポイント値７０６はこれに対応する第１の画像２１６の観察ポイント値７０４と比較される。画像比較での計算技術の一つとしてはユークリッド距離の使用がある。たとえば、図７の画像間のユークリッド距離は次の式（数１）のようになる：
【００５１】
【数１】
【００５２】
相対的に大きなユークリッド距離は再取得の銀行券２１８が第１の銀行券２０４と同一である可能性が低いことを表わしている。相対的に小さなユークリッド距離は再取得の銀行券２１８が第１の銀行券２０４と同一である可能性が高いことを表わす。このような技術を用いると、ある範囲の類似性をあらかじめ決定しておき、その類似性範囲内に納まる何らかのユークリッド距離をしきい値として画像が一致するものであるかを判断することができる。ユークリッド距離の算出式は画像データを比較する技術の一つであって他の技術を採用できることはいうまでもない。
【００５３】
図８は本発明の実施例によるユークリッド距離計算を使用した全体比較処理８００のフローチャートである。比較処理は少なくとも比較装置２２２及びその他のシステム装置９００を含むトレーシング・システム２００で実行される。
【００５４】
ステップ８０１で再取得の画像２２０を受信する。トレーシング・システム２００は再取得の銀行券２１８の方向（又は位置）を判定する。次に、第１の銀行券２０４からの第１の画像２１６を選択する必要がある。そのため、ステップ８０４で、第１の画像と同じ方向を選択して預け入れられた再取得の銀行券２１８の方向と一致させる。次に、ステップ８０６で画像を正規化し、画像の輝度値の最大と最小を揃える。ステップ８０８で位置を補正する。位置補正は画像のデジタルフォーマットの位置調整を行ない，再取得の画像２２０と第１の画像２１６の微小な位置ずれを無くすことが目的である。
【００５５】
ステップ８１０で画像間のユークリッド距離を計算する。ユークリッド距離計算の例は図７を参照してすでに説明した。ステップ８１２では比較した画像データが記録される第１の銀行券の最後のデータであるか判定する。違う場合、比較処理８００はステップ８０６に戻り、別の第１の画像を再取得の画像２２０に対して正規化する。しかし、比較される第１の画像が最後の第１の画像２１６の場合、決定演算８１４では比較される再取得の画像が比較しようとする最後の再取得の画像２２０であるかどうかを判定する。違う場合、比較処理はステップ８０２に戻る。この場合、ステップ８１６で、全比較からのユークリッド距離の全部を一致の可能性の順序にソートする。比較結果はステップ８１８で提供される。比較結果は必ずしも一致を表わすものではないことに注意する。比較結果は第１の銀行券２０４が一致の最大の可能性を有していることを表わす。
【００５６】
次にシステム及び方法の実施について説明する。
【００５７】
本発明の一部は、当業者には明らかであるように、従来の汎用又は専用デジタルコンピュータ又は本開示の教示にしたがってプログラムしたマイクロプロセッサを使用して便利に実現することができる。
【００５８】
図９は本発明の実施例による、トレーシング・システム２００の装置９００のブロック図である。装置９００はバス９１２によって電気的に接続されている。トレーシング・システム２００は預金装置２０６，画像抽出装置２０８，トランザクションログ装置２１０，記憶装置２１２，比較装置２２２を含む。トレーシング・システム２００は又入力装置９０２，表示装置９０４，メモリ９０８，ＣＰＵ９０８，およびＵＳＢポート９１０を含む。これらの装置９００はハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせから構成される。
【００５９】
本発明はコンピュータに本発明の処理のいずれかを実行させるか、そのように制御するために使用可能な命令を媒体上に格納した記憶媒体であるコンピュータ・プログラム製品を含む。記憶媒体は、フロッピー（登録商標）・ディスク、ミニディスク（MD）、光ディスク、ＤＶＤ、ＣＤＲＯＭ、マイクロドライブ、光磁気ディスクを含むあらゆる種類のディスク、ＲＯＭ、ＲＡＭ、ＥＰＲＯＭ、ＥＥＰＲＯＭ、ＤＲＡＭ、ＶＲＡＭ、フラッシュメモリ装置（フラッシュカードを含む）、磁気又は光カード、ナノシステム（分子メモリＩＣを含む）、ＲＡＩＤ装置、リモートデータストレージ／アーカイブ／保管、または命令および／またはデータを格納するのに好適な何らかの種類の媒体又は装置を含みこれに限定されない。
【００６０】
コンピュータで読み取り可能な記憶媒体のいずれか一つに記憶されると、本発明は汎用／専用コンピュータ又はマイクロプロセッサのハードウェアを制御するためと、コンピュータ又はマイクロプロセッサが本発明の結果を使用する人間の使用者又はその他の機構と相互作用できるようにするためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアはデバイス・ドライバ、オペレーティングシステム、およびユーザアプリケーションを含みこれに限定されない。最終的に、このようなコンピュータで読み取り可能な媒体は更に前述したように本発明を実行するためのソフトウェアを含む。
【００６１】
汎用／専用コンピュータ又はマイクロプロセッサの（ソフトウェア）プログラミングに含まれるのは、本発明の教示を実装するためのソフトウェア・モジュールで、これには、本発明の処理にしたがって、第１の銀行券から１枚又はそれ以上の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像へ第１のトランザクションログを添付し、再取得の銀行券の預け入れを受け入れ、再取得の銀行券から１枚又はそれ以上の再取得の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像と１枚又はそれ以上の再取得の画像とを比較して比較結果を得るステップを含み、これだけに限定されない。
【００６２】
前述の明細書において、本発明はこれの特定の実施例を参照して説明した。しかし本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明には様々な変更及び変化を成すことができることは明らかである。したがって本明細書及び図面は図示を目的としたものであって制限の意味を持つものではない。
【００６３】
【発明の効果】
本発明により，偽造された銀行券が銀行のATMを経由して発見された場合，犯人追跡の手がかりとして，参照すべき取引記録が検索できる。また，銀行券を同定する際に，記番号を手がかりとせず，銀行券表面を特徴とするので，同一記番号の銀行券を区別することが可能である。1枚の銀行券に対し複数回画像を採取することで，比較的低解像度なセンサでも銀行券の同定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】偽造銀行券を警察当局へ通知するための従来のトレーシング・システムのブロック図である。
【図２】本発明の実施例による銀行券をトレースするトレーシング・システムの模式図である。
【図３】本発明の実施例による銀行券をトレースするためのトレース方法のフローチャートである。
【図４】本発明の実施例による画像抽出装置の動作の模式図である。
【図５】本発明の実施例によるトランザクション情報と画像データのデータ構造である。
【図６】本発明の実施例によるATMのインタフェース例である。
【図７】本発明の実施例による比較装置で実行される比較演算の模式図である。
【図８】本発明の実施例による全体比較処理のフローチャートである。
【図９】本発明の実施例によるトレーシング・システムの装置群のブロック図である。
【符号の説明】
２０２・・・ＡＴＭ
２０６・・・預金装置
２０８・・・画像抽出装置
２１０・・・トランザクションログ装置
２１２・・・記憶装置
２１４・・・トランザクションログ
２１６・・・第１の画像
２２２・・・比較装置
２２４・・・比較結果。
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に偽造通貨のトレース（追跡）に関しさらに詳しくは認識装置を用いた偽造通貨のトレースに関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば警察当局が銀行に対して銀行の自動預金預け払い機（ATM）へ払い込まれた偽造銀行券のトランザクションログを報告するように要求することがある。銀行券（紙幣）は銀行で認識されるあらゆる形の通貨である。警察の要求に対処するため、銀行はATM機へ払い込まれた銀行券をトレースするための手順をもつのが普通である。
【０００３】
図１は警察当局に偽造銀行券を通知するための従来のトレースシステム１００のブロック図である。第１の銀行券１０４は銀行の支店１０３のＡＴＭ１０２に預けられる。この時点で銀行は第１の銀行券１０４が偽造紙幣かどうかは分からない。
【０００４】
ＡＴＭ１０２は全ての払い込まれた銀行券のトランザクションログを記録するための装置を含み、これには本例の第１の銀行券１０４のトランザクションログも含む。第１の銀行券１０４はＡＴＭ１０２の紙幣識別ユニットへ入り紙幣の額面金額を識別される。第１の銀行券１０４は次に通し番号読み取りユニットへ入り第１の銀行券１０４の記番号を読み取られる。第１の銀行券１０４は他の払い込まれた紙幣と一緒にＡＴＭ１０２のカートリッジに保存される。第１の銀行券１０４の記番号はＡＴＭ１０２のカートリッジ・メモリ内に記憶される。
【０００５】
カートリッジをＡＴＭ１０２から取り出して銀行本店１０７へ輸送する。銀行本店１０７では、第１の銀行券１０４に高レベルの照合１０５を行なう。第１の銀行券１０４が偽造紙幣であると分かった場合、第１の銀行券は再取得の銀行券１１８として後続の手順にしたがう。再取得の銀行券１１８は第１の銀行券１０４と物理的に同一の銀行券であるが、ここでは再取得の銀行券１１８と呼んで再取得の手順が行なわれることを表わすことにする。
【０００６】
再取得の銀行券１１８は銀行支店１０３へ戻される。再取得の銀行券１１８の記番号がカートリッジのメモリから読み出されて銀行券が過去に通過した経路をトレースし、トランザクションログ１１４を銀行支店１０３から入手する。トレースの方法としては、例えば銀行券の記番号の情報を使用するもの（例えば、特許文献１参照）や、記番号と顧客の指紋画像を組み合わせて使用するものがある（例えば、特許文献２参照）。トランザクションログ１１４には銀行券が最初に預け入れられた日付、顧客の身元、および預け入れ総額の情報が少なくとも含まれる。トランザクションログ１１４は警察１１０と銀行本店１０７へ報告される。
【０００７】
【特許文献１】
特開平１１−３２８４９３号公報
【特許文献２】
特開２０００−３２２６３２号公報
【発明が解決しようとする課題】
従来のトレースシステム１００は偽造紙幣を識別してトレースするには複数の問題がある。たとえば、 従来技術にある銀行券の識別に記番号だけを使用することには問題が伴う。記番号を使用することに伴う問題の一つは、偽造紙幣が正規銀行券と同じ記番号を持つことが多いことである。その結果、従来のトレースシステム１００は同一の記番号を有する正規銀行券と偽造銀行券の識別ができない。さらに、同一の記番号を有する多数の偽造銀行券同士の識別ができない。つまり、従来のトレースシステム１００は偽造銀行券を正確にトレースすること関して上記課題がある。
【０００８】
又、記番号の画像を取り込む装置には別の問題が伴う。従来のイメージング装置は銀行券の記番号の画像を高信頼度で取り込むのに充分な精度がないため、例えば記番号を比較の情報に用いる場合では、記番号の読み取り精度が充分ではなく、照合精度が良くないという課題がある。本願は以上の課題をふまえて、より精度よく銀行券の追跡を行うことを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本願で開示する代表的な発明は以下の通りである。
１つまたはそれ以上の装置と電気的に接続された預金自動預け払い機（ATM）を提供する。１つまたはそれ以上の装置は第１の銀行券を受け入れるように構成された預金装置、第１の銀行券から１枚又はそれ以上の初期画像を抽出するように構成された画像抽出装置、１枚又はそれ以上の初期画像にトランザクションログを添付するように構成されたトランザクションログ装置を含み、預金装置は更に再取得の銀行券を受け入れるように構成され、画像抽出装置は更に再取得の銀行券から１枚又はそれ以上の再取得の画像を抽出するように構成され、また１枚又はそれ以上の初期画像と１枚又はそれ以上の再取得の画像を比較して比較結果を得られるように構成された比較装置を更に含む。
【００１０】
別の実施例において、銀行の預金自動預け払い機（ATM）へのインタフェースが提供される。インタフェースは１つまたはそれ以上の画面が預金自動預け払い機のディスプレイ上に表示されるように構成されている。１つまたはそれ以上の画面には、トレーシング・モードを含み、このトレーシング・モードを使用するには銀行による特別な認証を必要とする。またトレーシング・モードの種類オプションを含み、種類オプションは選択されてから特定の種類の再取得銀行券を入力する要求を表示する指令を開始するように構成される。トレーシング・モードの検索開始オプションを含み、検索開始オプションは選択されてから再取得の銀行券の再取得の画像と第１の銀行券の第１の画像との間の比較をはじめるように指令を開始するように構成される。さらにトレーシング・モードの比較結果画面を含み、比較結果画面は比較完了時に比較結果を表示するように構成される。
【００１１】
更に別の実施例では、銀行券をトレースする方法が提供される。本方法は第１の銀行券の預金を受け入れ、第１の銀行券から１枚又はそれ以上の第１の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像に開始トランザクションログを添付し、再取得の銀行券の預金を受け入れ、再取得の銀行券から１枚又はそれ以上の再取得の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像と１枚又はそれ以上の再取得の画像を比較して比較結果を得るステップを含む。
【００１２】
本発明のトレーシング・システムは高レベルの精度で銀行券をトレースし、したがって巧妙な犯罪の追跡中にも信頼することができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明は認識装置を用いて銀行券をトレースするシステム及び方法を提供することにより上記目的を果たすものである。本発明はプロセス、装置、システム、デバイス又は方法を含む様々な方法で実現できることは理解されるべきである。本発明のトレーシング・システムは単なる記番号以上を用いることで銀行券を識別する。したがって、トレーシング・システムは同一の記番号を有する２枚の別個の銀行券同士を識別可能である。
本発明は、前述したように構成されるシステム、方法、装置、コンピュータで読み取り可能な媒体のその他の実施例を包含するものである。
【００１４】
以下、銀行券をトレースするシステム及び方法の発明を開示する。本発明の全体的な理解を提供する目的で実施例を説明する。しかし本発明はこれらの実施例には限られないことは当業者には理解されよう。
【００１５】
図２は本発明の実施例による銀行券をトレースするトレーシング・システム２００の模式図である。第１の銀行券２０４が第１の銀行券２０４を受け入れるように構成された預金装置２０６に預け入れられる。預金装置２０６は銀行支店（図示していない）の預金自動預け払い機（ATM）の内部に配置してあり、顧客又はその他の使用者が容易にアクセスできるようになっている。ＡＴＭ２０２は更に複数の異なる銀行券を受け入れられるようにも構成してある。しかし、ここでは説明の目的で単一の第１の銀行券２０４についての説明を行なう。
【００１６】
第１の銀行券は画像抽出装置２０８へ搬送される。本実施例では、画像抽出装置２０８はＡＴＭ２０２の一部であるように図示してある。しかし本発明はこれに限定されるものではない。これ以外に画像抽出装置２０８はＡＴＭ２０２の外部に配置されていても良い。
【００１７】
画像抽出装置２０８は第１の銀行券２０４から１枚又はそれ以上の第１の画像２１６を抽出するように構成される。画像抽出装置２０８は銀行券のアナログ画像をこれに対応して希望どおりに処理可能なデジタル画像へ変換するアナログ−デジタル（Ａ／Ｄ）コンバータを含む。
【００１８】
画像抽出装置２０８の重要な目的は、充分な枚数の第１の画像２１６を抽出して銀行券のユニークな特徴を撮影し、銀行券を唯一のものとして同定することである。抽出された第１の画像２１６はこのような銀行券のユニークな特徴の幾つかの組み合わせであるのが望ましい。抽出された第１の画像２１６は第１の銀行券２０４の表面又は裏面の少なくとも一部を撮影する。画像抽出装置２０８は写真技術を利用して特徴たとえば色、輝度、彩度、濃度、ユニークなマーキング、血痕、インクの染み、鉛筆書きの印、変退色、異常な発色、損傷部分、折れ目、穴、破れ目等を検出するのが望ましい。その他の撮像技術を使用してこのような特徴を検出することもできる。たとえば、その他の撮像技術としては赤外線、紫外線、Ｘ線、光ルミネセンス、化学ルミネセンス、蛍光、磁気共鳴イメージング（MRI）、化学薬品等を使用することも含まれる。つまり、抽出される画像は写真画像、赤外線画像、紫外線画像、Ｘ線画像、光ルミネセンス画像、化学ルミネセンス画像、蛍光画像、磁気共鳴画像、化学画像、またはその他の種類の画像のうちの一つ，または複数である。
【００１９】
尚、第１の画像２１６は上記説明した第１の銀行券２０４を複数含み、各々の異なる画像が第１の銀行券２０４のユニークな特徴であると同時に別の姿勢に配置されている特徴を捕えるものであってもよい。又、これらの異なる画像は表面の画像と裏面の画像とを含む。表面画像の姿勢と裏面画像の姿勢は第１の銀行券が預け入れられた方向によって変化する。
【００２０】
又、第１の画像２１６はたとえば第１の銀行券２０４の４箇所の異なる姿勢の画像を含むようにすることもできる。この場合を含めて、第１の画像は該姿勢に応じたグループに分割されておくこともできる。姿勢第１の姿勢は表面順方向の姿勢である。第２の姿勢は表面逆方向の姿勢である。第３の姿勢は裏面順方向の姿勢である。第４の姿勢は裏面逆方向の姿勢である。多数の異なる姿勢から画像を抽出することの重要な目的は、トレーシング・システム２００の精度を向上させることであり、さらにグループ化しておくことで、トレースする全体的精度を向上させると同時にトレースにかかる時間を減らすことができる。
【００２１】
第１の画像はトランザクションログ２１４を第１の画像２１６に添付するように構成されたトランザクションログ装置２１０へ搬送される。トランザクションログは第１の預け入れの日時、顧客の身元、預け入れ金額、顧客の画像、およびその他の有用な情報を含む。トランザクションログ２１４とこれに対応する第１の画像２１６はＡＴＭ２０２の記憶装置２１２に記憶される。本実施例では記憶装置２１２がＡＴＭ２０２の一部であるように図示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【００２２】
これ以外に、記憶装置２１２はＡＴＭ２０２の外部に配置することがあり、ＡＴＭ２０２のネットワーク・リンクが外部記憶装置（図示していない）へ電気的に接続される。外部記憶装置へのネットワーク・リンクを使用して、第１の画像２１６のコピーを外部記憶装置へ送信する。外部記憶装置は第１の画像と再取得の画像を含めた何らかの画像を記憶するように構成される。
【００２３】
初めの第１の預金２０４に使用される第１のＡＴＭ２０２は再取得の手順で使用される同一の画像抽出装置２０８を備えた同一のＡＴＭ２０２であるのが望ましい。同一のＡＴＭ２０２を使用することによる利点の一つは同一のＡＴＭ２０２が第１の銀行券２０４に関係したＡＴＭ２０２と実質的に同じ方法、つまり物理的に同じセンサ等を用いて画像を抽出することができることである。これにより再取得の手順でより良い精度を提供することが可能で、特に比較結果２２４の計算がより正確になる。これら再取得の手順については後述する。これ以外に、初めの第１の銀行券２０４の顧客によって第１の預金２０４に使用された第１のＡＴＭ２０２は再取得の手順で使用されるのと同じＡＴＭではないことがある。別のＡＴＭを使用することで、たとえば再取得の手順を銀行が実行するのに一層利便性が増す。
【００２４】
第１の銀行券２０４は更に処理を行なうため銀行本店（図示していない）へ運搬される。銀行本店では、高レベルの照合を行なう。第１の銀行券２０４が偽造紙幣であると分かった場合、第１の銀行券２０４は該銀行券のトレースの手続きを受ける。以降銀行券２１８は物理的には第１の銀行券２０４と同一の銀行券であるが、ＡＴＭで再取得されトレースの手順が実施されることを表わすため再取得の銀行券２１８と呼ぶことにする。
【００２５】
再取得の銀行券２１８は銀行の支店（図示していない）のＡＴＭ２０２へ返送される。本実施例では再取得の紙幣が同一のＡＴＭ２０２に預け入れられることを示している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。上述のように、これらのトレースの手順は特定の銀行のいずれかの選択したＡＴＭで実施することができる。選択されたＡＴＭは画像抽出装置へまた記憶装置２１２へのネットワーク・リンク（図示していない）へ接続される。
【００２６】
権限を有する従業員６２０が預金装置２０６を使用してトレースモードにあるＡＴＭ２０２へ再取得の銀行券２１８を投入する。再取得の銀行券２１８は画像抽出装置２０８へ搬送される。画像抽出装置２０８はさらに再取得の銀行券２１８から１枚又は複数の再取得の画像２２０を抽出するように構成してある。再取得の画像２２０はこれに対応する第１の画像２１６とを対応付けられ、第１の銀行券２０４をトレースが行われる。したがって、画像抽出装置２０８のは充分な枚数の再取得の画像２２０を抽出して再取得の画像２２０と第１の画像２１６とを関連付けられるようにすることが大切ある。抽出された再取得の画像は再取得の銀行券２１８の表面又は裏面の少なくとも一部を撮影したものである。
【００２７】
再取得の画像２２０は前述の第１の銀行券と同様に複数の画像を含むことがあり、各々異なる画像が再取得の銀行券２１８のユニークな特徴であると同時に別の姿勢に配置された特徴を捕捉するようにしても良い。さらに、上述した第１〜４の姿勢に応じた画像を含むようにしても良い。
【００２８】
ＡＴＭ２０２は第１の画像２１６と再取得の画像２２０とを比較するように構成してある比較装置２２２を含むかまたはこれに接続してある。比較結果２２４は比較演算から取得される。比較結果２２４が一致を示している場合、これに対応する第１の銀行券２０４へ添付されたトランザクションログが取り出される。
【００２９】
次にトレーシング・システムの更なる詳細を説明する。
【００３０】
図３は本発明の実施例による、銀行券をトレースするトレーシング方法３００のフローチャートである。このフローチャートは図２を参照して前述したに対応する。
【００３１】
第１の銀行券２０４がステップ３０１で受け入れられる。ステップ３０２では、第１の銀行券２０４から第１の画像２１６を抽出する。ステップ３０４では、第１の銀行券２０４について紙幣鑑別を行なって第１の銀行券が本物かどうかを判定する。この紙幣鑑別は銀行券の種類たとえば１ドル、５ドル、２０ドル、又は１００ドルの判定も含む。紙幣鑑別はさらに第１の銀行券２０４の第１の偽造スクリーニングも含む。この第１のスクリーニングは銀行の本店で後に実行されるより包括的なスクリーニングほど確実なものではない。さらに、予備照合はＡＴＭ２０２に銀行券を受け入れた方向又は姿勢の判定も含む。
【００３２】
ステップ３０６で、抽出された第１の画像２１６にトランザクションログ２１４を添付する。ステップ３０８では、トランザクションログ２１４と第１の画像２１６が記憶装置２１２に記憶される。
【００３３】
上記トランザクションの終了後に第１の銀行券２０４が偽造であると分かった場合を想定する。ステップ３１０で再取得の銀行券２１８がＡＴＭにより受け入れられる。ステップ３１２では、再取得の画像２２０が再取得の銀行券２１８から抽出される。ステップ３１４では、第１の画像が記憶装置２１２から選択され、同様に再取得の画像のグループからも選択される。これらの選択された画像がステップ３１６のスコア計算演算を用いて比較される。たとえば、特定の第１の銀行券に対応する第１の画像が特定のスコアを得る。別の特定の第１の銀行券に対応する別の第１の画像は別の特定のスコアを得る、というようにする。ステップ３１８ではスコア全部を類似性の度合でソートし、最高のスコアが最高の類似度を表わすようにする。最高のスコアに関連付けられたトランザクションログ２１４がステップ３２０で取り出される。
【００３４】
図４は本発明の実施例による画像抽出装置２０８の動作の模式図である。本実施例では説明の目的で再取得の銀行券２１８の画像抽出操作を図示している。これらの操作は一般に第１の銀行券２０４からの画像抽出にも同様に適用される。図４は再取得の銀行券２１８の様々の部分の画像抽出を示す。しかし、本発明はこれらの特定部分に限定されるものではなく、その他の適当な部分を使用することもできる。
【００３５】
第１の銀行券２０４と再取得の銀行券２１８の両方について銀行券の全姿勢の比較を実行すれば更に良い照合結果が実現される。これらの方向には第１の銀行券をＡＴＭ２０２に受け入れることのできる全ての姿勢を含む。更に、再取得の画像のグループを同じ姿勢にある第１の画像と比較したときに比較速度の向上が実現できる。言い換えれば、第１の画像が特定の姿勢である場合、別の特定姿勢の再取得画像を比較しないことで時間を節約できる。
【００３６】
ステップ４０１では、再取得の銀行券２１８を表面順方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れている。表面順方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた係員６２０が別に数回預け入れるのが望ましい。各々の別の預け入れで、異なった再取得の画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００３７】
ステップ４０２で、再取得の銀行券２１８は表面逆方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れられている。表面逆方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた係員６２０が別々に数回預け入れるのが望ましい。各々別の預け入れごとに、異なった再取得画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００３８】
ステップ４０３で、再取得の銀行券２１８は裏面順方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れている。裏面順方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた権限ある係員６２０が別に数回預け入れるのが望ましい。各々の別の預け入れで、異なった再取得の画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００３９】
これ以外に、ＡＴＭ２０２は再取得の銀行券２１８が１回だけ入力されれば良いように構成することができる。再取得の銀行券２１８の姿勢を自動的に変更するようにＡＴＭ２０２の装置を構成すれば良い。
【００４０】
ステップ４０４で、再取得の銀行券２１８は裏面逆方向の姿勢でＡＴＭ２０２へ預け入れられている。裏面逆方向の姿勢はＡＴＭ２０２へ認証を受けた係員６２０が別々に数回預け入れるのが望ましい。各々別の預け入れごとに、異なった再取得画像が再取得の銀行券２１８から取得される。これらの異なった再取得画像は記憶装置２１２に記憶される。
【００４１】
図５は本発明の実施例によるトランザクション情報と画像データのデータ構造５００を示している。データ構造５００は図５に示してあるように関連づけられたデータリストである。データ構造５００はＡＴＭ情報５０１と銀行券情報５０５に適用できる。これ以外に、データ構造５００を各々の銀行券情報５０５が独立していてＡＴＭ情報５０１に関連づけられるようになっていても良い。ＡＴＭ情報５０１はＡＴＭ固有の情報たとえばＡＴＭ識別５０２やＡＴＭ２０２に預け入れられて記録された銀行券の枚数５０４等を含む。銀行券情報５０５は銀行券固有の情報たとえば銀行券の種類５０６、銀行券の姿勢５０８、預け入れ日時５１０、使用者の身元５１２、通常券かあるいは偽造券かを示すモードフラグ５１４、第１の画像２１６又は再取得の画像２２０を含む画像データ５１６を含む。
【００４２】
図６は本発明の実施例によるＡＴＭ２０２のインタフェース６００の例を示している。インタフェース６００はＡＴＭ２０２のディスプレイ上に表示するように構成された１枚又はそれ以上の画面によって構成される。画面は通常トランザクションモード６０１とトレーシング・モード６０３を表示するものであって、通常トランザクションモード６０１では、ＡＴＭ２０２は通常モード画面６０２を表示して銀行の顧客と通常の取引を行なうように構成される。通常モード画面６０２は銀行の顧客が通常の取引、たとえば第１の銀行券２０４の預け入れ、引き出し、外貨の預け入れ、信用照会などを行なうことができるインタフェース６００の一部を提供する。
【００４３】
一方、トレーシング・モード６０３へのアクセスには、偽造紙幣追跡という特別なモードであることを考えると、ＡＴＭ２０２に対する権利を有する銀行からの特別な認証を必要とするようにすることが好ましい。ＡＴＭ２０２はたとえばトレーシング・モード６０３にアクセスするための認証コードを入力するように要求するよう構成できる。トレーシング・モード６０３は、認証を受けた係員６２０が再取得の銀行券２１８をＡＴＭ２０２へ預け入れるのに必要な場合にアクセスする。言い換えれば、第１の銀行券２０４が銀行本店４１０で偽造であると判定された場合、トランザクションログ２１４を取り出すために、その銀行券は再取得の銀行券２１８としてＡＴＭ２０２へ送り戻される。
【００４４】
トレーシング・モード６０３では、ＡＴＭ２０２はトレーシング・モード画面６０４，６０６，６０８，６１０，６１２を表示しトレーシング操作を実行するように構成される。トレーシング・モード画面は認証を受けた係員６２０がトランザクションログ２１４を取り出す手続きを実行できるようにするインタフェース６００の部分を提供する。図６は説明の目的で５種類のトレーシング・モード画面６０４，６０６，６０８，６１０，６１２を図示してある。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。インタフェース６００の特定の設計にあわせて、更に多く又は少ないトレーシング・モード画面を提供することができる。
【００４５】
オプション画面６０４は再取得の銀行券２１８の特定の種類の金額を選択する金額オプション６２２を含む。図６には１０ドル、２０ドル、５０ドル、１００ドルの種類オプション６２２が図示してある。金額オプション６２２は選択されてから預け入れ要求画面６０６を表示する指令を開始するように構成される。種類オプション６２２はディスプレイ９０４のタッチパネル部分へ電気的に接続してある。これ以外に、種類オプション６２２はＡＴＭ２０２の機械式ボタン（図示していない）へ電気的に接続してあっても良い。
【００４６】
預け入れ要求画面６０６は再取得の銀行券２１８（偽造銀行券）を入力する要求を表示する。図６は表面順方向に５回偽造銀行券を差し入れるように促す預け入れ要求画面６０６を示している。認証を受けた係員は再取得の銀行券２１８（偽造銀行券）を差し入れる。図６の破線は更に数回預け入れ要求画面が含まれ、それぞれで何らかの方向に同一の偽造銀行券を差し入れるように促すことを示している。図４を参照しての説明では再取得の銀行券２１８から再取得の画像２２０を抽出する手順を説明している。預け入れ要求画面６０８は預け入れ手順が終了したことの表示を表示する。
【００４７】
インタフェース６００はこの後検索開始画面６１０を表示するように構成してある。検索開始画面６１０は選択されてから再取得の画像２２０と第１の画像２１６との比較を開始する指令を開始するように構成された検索開始オプション６２４を含む。図６において、検索開始オプション６２４は「はい」ボタンであり、これはディスプレイ９０４のタッチパネル部分へ電気的に接続されている。これ以外に、検索開始オプション６２４はＡＴＭ２０２の機械式ボタン（図示していない）へ電気的に接続しても良い。
【００４８】
比較演算が完了した後、インタフェース６００は比較結果画面６１２を表示するように構成してある。比較結果画面６１２は再取得の画像２２０と第１の画像２１６との比較の比較結果を表示するように構成される。図６はトランザクションログ２１４の表示として比較結果画面６１２を示す。
【００４９】
図７は本発明の実施例による比較装置２２２によって実行される比較演算７００の模式図である。図７は再取得の画像２２０と第１の画像２１６との間の比較演算７００を示している。銀行券はセンサにより，デジタルデータへ変換される。本実施例において、再取得の画像２２０の観察ポイントは観察ポイント値７０６を含む。同様に、第１の画像２１６の観察ポイントも観察ポイント値７０４を含む。観察ポイント値を組み合わせて画像特性たとえば色、輝度、彩度、濃度、ユニークなマーキング、血痕、インクの染み、鉛筆書きの印、変退色、異常な発色、損傷部分、折れ目、穴、破れ目等を記述する。観察ポイント値を取得するために使用される撮像技術には、赤外線、紫外線、Ｘ線、光ルミネセンス、化学ルミネセンス、蛍光、磁気共鳴イメージング（MRI）、化学薬品等を使用することも含まれる。
【００５０】
再取得の画像２２０の観察ポイント値７０６はこれに対応する第１の画像２１６の観察ポイント値７０４と比較される。画像比較での計算技術の一つとしてはユークリッド距離の使用がある。たとえば、図７の画像間のユークリッド距離は次の式（数１）のようになる：
【００５１】
【数１】
相対的に大きなユークリッド距離は再取得の銀行券２１８が第１の銀行券２０４と同一である可能性が低いことを表わしている。相対的に小さなユークリッド距離は再取得の銀行券２１８が第１の銀行券２０４と同一である可能性が高いことを表わす。このような技術を用いると、ある範囲の類似性をあらかじめ決定しておき、その類似性範囲内に納まる何らかのユークリッド距離をしきい値として画像が一致するものであるかを判断することができる。ユークリッド距離の算出式は画像データを比較する技術の一つであって他の技術を採用できることはいうまでもない。
【００５３】
図８は本発明の実施例によるユークリッド距離計算を使用した全体比較処理８００のフローチャートである。比較処理は少なくとも比較装置２２２及びその他のシステム装置９００を含むトレーシング・システム２００で実行される。
【００５４】
ステップ８０１で再取得の画像２２０を受信する。トレーシング・システム２００は再取得の銀行券２１８の方向（又は位置）を判定する。次に、第１の銀行券２０４からの第１の画像２１６を選択する必要がある。そのため、ステップ８０４で、第１の画像と同じ方向を選択して預け入れられた再取得の銀行券２１８の方向と一致させる。次に、ステップ８０６で画像を正規化し、画像の輝度値の最大と最小を揃える。ステップ８０８で位置を補正する。位置補正は画像のデジタルフォーマットの位置調整を行ない，再取得の画像２２０と第１の画像２１６の微小な位置ずれを無くすことが目的である。
【００５５】
ステップ８１０で画像間のユークリッド距離を計算する。ユークリッド距離計算の例は図７を参照してすでに説明した。ステップ８１２では比較した画像データが記録される第１の銀行券の最後のデータであるか判定する。違う場合、比較処理８００はステップ８０６に戻り、別の第１の画像を再取得の画像２２０に対して正規化する。しかし、比較される第１の画像が最後の第１の画像２１６の場合、決定演算８１４では比較される再取得の画像が比較しようとする最後の再取得の画像２２０であるかどうかを判定する。違う場合、比較処理はステップ８０２に戻る。この場合、ステップ８１６で、全比較からのユークリッド距離の全部を一致の可能性の順序にソートする。比較結果はステップ８１８で提供される。比較結果は必ずしも一致を表わすものではないことに注意する。比較結果は第１の銀行券２０４が一致の最大の可能性を有していることを表わす。
【００５６】
次にシステム及び方法の実施について説明する。
【００５７】
本発明の一部は、当業者には明らかであるように、従来の汎用又は専用デジタルコンピュータ又は本開示の教示にしたがってプログラムしたマイクロプロセッサを使用して便利に実現することができる。
【００５８】
図９は本発明の実施例による、トレーシング・システム２００の装置９００のブロック図である。装置９００はバス９１２によって電気的に接続されている。トレーシング・システム２００は預金装置２０６，画像抽出装置２０８，トランザクションログ装置２１０，記憶装置２１２，比較装置２２２を含む。トレーシング・システム２００は又入力装置９０２，表示装置９０４，メモリ９０８，ＣＰＵ９０８，およびＵＳＢポート９１０を含む。これらの装置９００はハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせから構成される。
【００５９】
本発明はコンピュータに本発明の処理のいずれかを実行させるか、そのように制御するために使用可能な命令を媒体上に格納した記憶媒体であるコンピュータ・プログラム製品を含む。記憶媒体は、フロッピー（登録商標）・ディスク、ミニディスク（MD）、光ディスク、ＤＶＤ、ＣＤＲＯＭ、マイクロドライブ、光磁気ディスクを含むあらゆる種類のディスク、ＲＯＭ、ＲＡＭ、ＥＰＲＯＭ、ＥＥＰＲＯＭ、ＤＲＡＭ、ＶＲＡＭ、フラッシュメモリ装置（フラッシュカードを含む）、磁気又は光カード、ナノシステム（分子メモリＩＣを含む）、ＲＡＩＤ装置、リモートデータストレージ／アーカイブ／保管、または命令および／またはデータを格納するのに好適な何らかの種類の媒体又は装置を含みこれに限定されない。
【００６０】
コンピュータで読み取り可能な記憶媒体のいずれか一つに記憶されると、本発明は汎用／専用コンピュータ又はマイクロプロセッサのハードウェアを制御するためと、コンピュータ又はマイクロプロセッサが本発明の結果を使用する人間の使用者又はその他の機構と相互作用できるようにするためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアはデバイス・ドライバ、オペレーティングシステム、およびユーザアプリケーションを含みこれに限定されない。最終的に、このようなコンピュータで読み取り可能な媒体は更に前述したように本発明を実行するためのソフトウェアを含む。
【００６１】
汎用／専用コンピュータ又はマイクロプロセッサの（ソフトウェア）プログラミングに含まれるのは、本発明の教示を実装するためのソフトウェア・モジュールで、これには、本発明の処理にしたがって、第１の銀行券から１枚又はそれ以上の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像へ第１のトランザクションログを添付し、再取得の銀行券の預け入れを受け入れ、再取得の銀行券から１枚又はそれ以上の再取得の画像を抽出し、１枚又はそれ以上の第１の画像と１枚又はそれ以上の再取得の画像とを比較して比較結果を得るステップを含み、これだけに限定されない。
【００６２】
前述の明細書において、本発明はこれの特定の実施例を参照して説明した。しかし本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明には様々な変更及び変化を成すことができることは明らかである。したがって本明細書及び図面は図示を目的としたものであって制限の意味を持つものではない。
【００６３】
【発明の効果】
本発明により，偽造された銀行券が銀行のATMを経由して発見された場合，犯人追跡の手がかりとして，参照すべき取引記録が検索できる。また，銀行券を同定する際に，記番号を手がかりとせず，銀行券表面を特徴とするので，同一記番号の銀行券を区別することが可能である。1枚の銀行券に対し複数回画像を採取することで，比較的低解像度なセンサでも銀行券の同定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】偽造銀行券を警察当局へ通知するための従来のトレーシング・システムのブロック図である。
【図２】本発明の実施例による銀行券をトレースするトレーシング・システムの模式図である。
【図３】本発明の実施例による銀行券をトレースするためのトレース方法のフローチャートである。
【図４】本発明の実施例による画像抽出装置の動作の模式図である。
【図５】本発明の実施例によるトランザクション情報と画像データのデータ構造である。
【図６】本発明の実施例によるATMのインタフェース例である。
【図７】本発明の実施例による比較装置で実行される比較演算の模式図である。
【図８】本発明の実施例による全体比較処理のフローチャートである。
【図９】本発明の実施例によるトレーシング・システムの装置群のブロック図である。
【符号の説明】
２０２・・・ＡＴＭ
２０６・・・預金装置
２０８・・・画像抽出装置
２１０・・・トランザクションログ装置
２１２・・・記憶装置
２１４・・・トランザクションログ
２１６・・・第１の画像
２２２・・・比較装置
２２４・・・比較結果。
Claims (14)
- 第１の銀行券を預け入れると共に、再取得の銀行券が投入される預金装置と、
前記第１の銀行券の一またはそれを超える数の第１の画像と、前記再取得の銀行券の一またはそれを超える数の第２の画像とを同じセンサで抽出するように構成された一の画像抽出装置と、
前記一またはそれを超える数の第１の画像に対してトランザクションログを添付するためのトランザクションログ装置と、
比較結果を得るために、前記再取得の銀行券の前記第２の画像を、前記第１の銀行券の一またはそれを超える数の前記第１の画像と比較するための比較装置と、
前記第１の銀行券の一またはそれを超える数の前記第１の画像について前記再取得の銀行券の前記第２の画像との類似度を計算し、前記第１の銀行券の一またはそれを超える数の前記第１の画像が、前記再取得の銀行券の前記第２の画像に対して所定の類似度の範囲内であると前記比較装置が判定したならば、前記第１の銀行券に添付されているトランザクションログを検索するようにされており、かつ、前記再取得の銀行券を追跡するためのものである検索手段とを有し、
前記再取得の銀行券は前記第１の銀行券であって、偽造紙幣であると分かったものであり、
それらの装置を電気的に接続した預金自動預け払い機。 - 前記第１の画像と前記トランザクションログとを記憶するように構成された記憶装置、
又は、
前記第１の画像と前記トランザクションログとを記憶するように構成された外部記憶装置へのネットワーク・リンク
の少なくとも一方を更に含むことを特徴とする請求項１に記載の預金自動預け払い機。 - 前記画像抽出装置は更に
第１の姿勢で前記第１の銀行券の表面側の前記第１の画像を抽出し、
第２の姿勢で前記第１の銀行券の表面側の前記第１の画像を抽出し、
前記第１の姿勢で前記第１の銀行券の裏面側の前記第１の画像を抽出し、
前記第２の姿勢で前記第１の銀行券の裏面側の前記第１の画像を抽出する
ように構成されることを特徴とする請求項１乃至２の何れかに記載の預金自動預け払い機。 - 前記画像抽出装置は更に
第１の姿勢で前記再取得の銀行券の表面側の前記第２の画像を抽出し、
第２の姿勢で前記再取得の銀行券の表面側の前記第２の画像を抽出し、
前記第１の姿勢で前記再取得の銀行券の裏面側の前記第２の画像を抽出し、
前記第２の姿勢で前記再取得の銀行券の裏面側の前記第２の画像を抽出する
ように構成されることを特徴とする請求項１乃至２の何れかに記載の預金自動預け払い機。 - 前記比較装置は、所定の姿勢である前記第２の画像を、これに対応する姿勢の前記第１の画像と比較するように構成されていることを特徴とする請求項４に記載の預金自動預け払い機。
- 前記比較装置は更にユークリッド距離を用いて画像の特徴を分析するように構成され、また前記第１の画像と前記第２の画像がゼロに近い所定のユークリッド距離を持っているか判定するように構成されることを含むことを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の預金自動預け払い機。
- 紙幣の追跡方法であって、
（ａ）預金装置が第１の銀行券の預金を受け取り、
（ｂ）前記第１の銀行券から一またはそれを超える数の第１の画像を画像抽出装置の一のセンサで抽出し、
（ｃ）前記一またはそれを超える数の第１の画像にイニシャルトランザクションログを関連付けてトランザクションログ装置に記録し、
（ｄ）再取得の銀行券の一またはそれを超える数の第２の画像を前記センサで抽出し、
（ｅ）比較結果を得るために、比較装置において前記再取得の銀行券の前記第２の画像を、前記第１の銀行券の一またはそれを超える数の前記第１の画像と比較し、
（ｆ）前記第１の銀行券の一またはそれを超える数の前記第１の画像について前記再取得の銀行券の前記第２の画像との類似度を計算し、前記第１の銀行券の一またはそれを超える数の前記第１の画像が、前記再取得の銀行券の前記第２の画像に対して所定の類似度の範囲内であるとの比較結果が出たならば、検索手段により前記第１の銀行券に添付されているトランザクションログを検索し、かつ、前記再取得の銀行券を追跡するものであり、
前記再取得の銀行券は前記第１の銀行券であって、偽造紙幣であると分かったものであり、
前記装置又は手段は互いに電気的に接続されているものであることを特徴とする紙幣の追跡方法。 - 前記（ｂ）のステップにおいて、さらに、
第１の姿勢で前記第１の銀行券の表面側の前記第１の画像を抽出し、
第２の姿勢で前記第１の銀行券の表面側の前記第１の画像を抽出し、
前記第１の姿勢で前記第１の銀行券の裏面側の前記第１の画像を抽出し、
前記第２の姿勢で前記第１の銀行券の裏面側の前記第１の画像を抽出する
ステップを有することを特徴とする請求項７に記載の紙幣の追跡方法。 - 前記（ｄ）のステップにおいて、さらに、
前記預金装置が前記再取得の銀行券を受け取り、前記再取得の銀行券から前記センサで一またはそれを超える数の第２の画像を抽出する
ステップを有することを特徴とする請求項７に記載の紙幣の追跡方法。 - 前記（ｄ）の第２の画像の抽出ステップにおいては、さらに、
第１の姿勢で前記再取得の銀行券の表面側の前記第２の画像を抽出し、
第２の姿勢で前記再取得の銀行券の表面側の前記第２の画像を抽出し、
前記第１の姿勢で前記再取得の銀行券の裏面側の前記第２の画像を抽出し、
前記第２の姿勢で前記再取得の銀行券の裏面側の前記第２の画像を抽出する
ステップを有することを特徴とする請求項７に記載の紙幣の追跡方法。 - 前記（ｅ）の比較ステップは、各前記第２の画像のそれぞれの姿勢において複数回だけ、対応する姿勢の前記第１の画像と比較することを含むことを特徴とする請求項７に記載の紙幣の追跡方法。
- 前記一またはそれを超える数の前記第１の画像は唯一の銀行券を特定するためにユニークな特徴を有し、前記唯一の特徴には前記第１の銀行券の記番号以外の情報を含むことを特徴とする請求項７乃至１１のいずれか一に記載の紙幣の追跡方法。
- 前記比較装置は更にユークリッド距離を用いて画像の特徴を分析するように構成され、また前記第１の画像と前記第２の画像がゼロに近い所定のユークリッド距離を持っているか判定するように構成されることを含むことを特徴とする請求項７乃至１２のいずれか一に記載の紙幣の追跡方法。
- その方法の前記各ステップはコンピュータが読むことができるメディアに記憶され、その方法は銀行券の追跡をするための一またはそれを超える数の命令の集合であって、プロセッサがその方法のステップを遂行するためのものであることを特徴とする請求項７乃至１３のいずれか一に記載の紙幣の追跡方法。
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