〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について図1から図15に基づいて説明すれば、以下の通りである。
(システム構成)
図1は、本実施形態における無線操作システムの構成を示す概念図である。本無線操作システムは、操作対象5を操作するためのものであり、基本的には、携帯電話機1、アダプタ2、近距離無線ユニット3、および操作対象制御ユニット4からなっている。また、この基本構成に加えて、携帯電話通信網6、インターネット等のネットワーク7、センタ装置8を含む場合もある。
携帯電話機1は携帯電話通信網6と接続され、携帯電話通信網6を介してデータ通信可能であり、携帯電話通信網6はネットワーク7とも接続されている。近距離無線ユニット3は携帯電話通信網6またはネットワーク7と接続してデータ通信可能となる場合もある。センタ装置8はネットワーク7と接続され、ネットワーク7を介してデータ通信可能である。
ここで、携帯電話機1およびアダプタ2は本無線操作システムの利用者が携帯するものである。本無線操作システムでは、利用者が携帯電話機1およびアダプタ2により操作対象を操作できるようになっている。このとき、アダプタ2と近距離無線ユニット3とは近距離無線により通信を行う。近距離無線ユニット3はアダプタ2から送信された無線信号を受信し、操作対象制御ユニット4へ制御信号を送信する。操作対象制御ユニット4は、制御信号に基づいて操作対象5を制御する。
本無線操作システムを用いたサービス提供者は、通常、アダプタ2、近距離無線ユニット3、および操作対象制御ユニット4を利用者に提供するとともに、必要に応じてセンタ装置8を設置する。利用者は、もともと自分が利用している携帯電話機1にアダプタ2を接続するとともに、操作対象制御ユニット4を操作対象5に取り付けて利用する。なお、操作対象5が公共的なものである場合は、操作対象制御ユニット4はサービス提供者が設置する場合もある。
サービス提供者から利用者へのアダプタ2等の提供方法は、商品としての販売、有料または無料の貸与、あるいは第三者を介した間接的提供の何れであってもよい。
サービス提供者は、1つの事業者であってもよく、複数の事業者であってもよい。サービス提供者としては、例えば携帯電話サービスの事業者が考えられる。
利用者へのサービスは、携帯電話機1、アダプタ2、近距離無線ユニット3、操作対象制御ユニット4の連携(センタ装置8を含む場合もある)による操作対象5の操作である。
利用者は、人以外に、動物、植物、機械、コンピュータシステム、ロボット等も考えられ、スイッチの操作、運動、移動、状態変化等によって操作対象5を操作する起因となる意図を本無線操作システムに対して与えることができるものであればよい。
(携帯電話機・アダプタの構成)
図2は、本実施形態における携帯電話機1およびアダプタ2の外観を示しており、図2(a)は正面図、図2(b)は斜視図である。
図2の携帯電話機1は、通話機能およびデータ通信機能を兼ね備えるものであり、アダプタ2と接続するためのコネクタ18、テンキーや十字型キーなどの各種ボタンキーから構成されている入力キー16、およびLCD(Liquid Crystal Display)17を備えている。図2のアダプタ2は、携帯電話機1のコネクタ18と接続するためのコネクタ28、および操作部26を備えている。なお、アダプタ2は操作部26を備えていなくてもよい。
なお、本実施形態における携帯電話機1およびアダプタ2は、図3に示すものであってもよい。図3は本実施形態におけるカード型携帯電話機101およびカード型携帯電話機用アダプタ102の外観を示しており、図3(a)は正面図、図3(b)は斜視図である。
図3のカード型携帯電話機101は、通話機能を備えないデータ通信機能のみのものであり、アダプタ102と接続するための例えばPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association )インターフェイス等のコネクタ118を備えている。カード型携帯電話機用アダプタ102は、カード型携帯電話機101を挿入するためのカードスロット102a、カードスロット102aの内部にあってカード型携帯電話機101のコネクタ118と接続するためのコネクタ128、および操作部126を備えている。
また、本実施形態における携帯電話機1およびアダプタ2は、図4に示すものであってもよい。図4(a)は、ボード型携帯電話機201およびボード型携帯電話機用アダプタ202を示しており、ボード型携帯電話機用アダプタ202の裏蓋202aを開けてボード型携帯電話機201をボード型携帯電話機用アダプタ202内に内蔵できるようになっている。図4(b)は、携帯電話機301とアダプタ302とがワイヤレス通信可能である点でのみ図2の携帯電話機1およびアダプタ2とは異なるものを示している。図4(c)は、ペン型の携帯電話機本体401aおよびヘッドセット401bからなる携帯電話機401と、この携帯電話機401とワイヤレス通信可能なアダプタ402を示している。
なお、以下では特に断らない限り図2の携帯電話機1およびアダプタ2を想定して説明するが、他のタイプの携帯電話機およびアダプタに変更することも可能である。
図5は、携帯電話機1の内部構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、バス11を介して、CPU(Central Processing Unit )12と、メモリ13と、アダプタインターフェイス回路14と、パケット通信回路15と、入力キー16と、LCD(Liquid Crystal Display)17とが接続された構成である。また、アダプタインターフェイス回路14には、コネクタ18が接続されている。
CPU12は、例えばマイクロコンピュータによって構成されており、入力キー16にて受け付けたユーザの指示や、各種電話基地局からの指示に応じて、携帯電話機1の各種制御を行うものである。
メモリ13は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)に代表される公知のメモリによって構成されており、電話番号データベースの他、CPU12が利用する各種のプログラムやデータを記憶する。
アダプタインターフェイス回路14は、コネクタ18にアダプタ2のコネクタ28が接続された状態で、アダプタ2とのデータ通信を行うためのインターフェイスである。
パケット通信回路15は、CPU12の制御のもとで、アンテナ15aを用いてパケット方式の無線電話通信を行う公知の通信回路である。
入力キー16は、テンキーや十字型キーなどの各種ボタンキーから構成されており、ユーザが電話番号や各種情報の入力を行うための公知のインターフェイスである。
LCD17は、CPU12の制御のもとで、ユーザに対して、視覚的に各種メッセージを表示する表示部である。LCD17は、通話先電話番号情報や時刻情報を表示することもできる。
なお、図5では省略しているが、携帯電話機1は一般的な電話機能を有するものであるから、発話者の音声を取り込むマイクロホンや、通話の音声出力を行うスピーカも備えている。
図6は、アダプタ2の内部構成を示すブロック図である。アダプタ2は、バス21を介して、CPU22と、メモリ23と、携帯電話機インターフェイス回路24と、近距離無線通信回路25と、操作部26とが接続された構成である。また、携帯電話機インターフェイス回路24には、コネクタ28が接続されている。なお、操作部26は備えられていなくてもよい。
CPU22は、例えばマイクロコンピュータによって構成されており、コネクタ28および携帯電話機インターフェイス回路24を介して携帯電話機1から受けた信号や、操作部26にて受け付けたユーザの指示に応じて、アダプタ2の各種制御を行うものである。
メモリ23は、RAMやROMに代表される公知のメモリによって構成されており、CPU22が利用する各種のプログラムやデータを記憶する。
携帯電話機インターフェイス回路24は、コネクタ28に携帯電話機1のコネクタ18が接続された状態で、携帯電話機1とのデータ通信を行うためのインターフェイスである。
近距離無線通信回路25は、CPU22の制御のもとで、アンテナ25aを用いて近距離無線通信を行う公知の通信回路である。近距離無線通信方式としては、2.4GHzの11MbpsLAN(Local Area Network) 規格やBlue−Tooth(登録商標)規格の微弱電波を用いたものや、赤外線を用いたものを利用できる。これら近距離無線通信規格の標準的な通信可能距離は、屋内で数十〜数百メートル程度である。
操作部26は、例えば操作スイッチのように、利用者の操作意思を伝えられるものであればよく、利用者がそれを操作することによって、利用者の操作意思をアダプタ2に入力することができるようになっている。操作スイッチは機械的に操作するもの以外に、光電スイッチなどのセンサ機能を有するものであってもよい。
また、操作部26は、操作スイッチ以外に次のようなものであってもよい。例えば、アダプタ2に操作部26としてマイクなど音声を検出する手段と音声の内容を認識する手段を付けて、音声を入力することによって利用者が操作意思を示すことができる。また、アダプタ2に操作部26として衝撃や振動などを検出する手段と特定の衝撃や振動を検知する手段をつけることによって、利用者がアダプタ2に衝撃や振動を加えることによって操作意思を示すことができる。また、アダプタ2に操作部26として、操作対象制御ユニット4との通信を行うための近距離無線通信回路25とは別に動作する近距離無線手段を搭載し、その近距離無線を使うリモコンと組み合わせることによって、リモコン操作で操作意思を示すことができる。また、アダプタ2に操作部26としてCCDカメラなどの画像情報を取得して画像の内容で判断する手段を設け、画像を利用して操作意思を示すこともできる。例えば、CCDカメラの前に手をかざしたり、顔や指紋、掌紋、動物の毛の模様など個人の特徴を認識したりすることで、利用者は操作意思を示すことができる。また、CCDカメラで紙を撮影しておいて、その紙に文字や図形を書くことで操作意思を示すこともできる。さらに、プレートにシステムが識別可能なバーコードなどの画像入力可能な情報を印刷しておき、それをCCDカメラに向けて提示するようにすることもできる。
このような操作部26を設けることにより、ペットや老人、ロボットなど、複雑な操作を習得することができない利用者でも容易に操作することができるようになる。
(アダプタ〜操作対象の構成)
図7は、アダプタ2、近距離無線ユニット3、操作対象制御ユニット4、および操作対象5の関係を示すブロック図である。
アダプタ2と近距離無線ユニット3とは、上述のように、近距離無線によりデータ通信を行い、アダプタ2から近距離無線ユニット3へ無線信号が送られる。近距離無線ユニット3と操作対象制御ユニット4とは、通常ケーブルやコネクタ等で接続されてデータ通信を行い、近距離無線ユニット3から操作対象制御ユニット4へ制御信号が送られる。操作対象制御ユニット4と操作対象5とは、後述するように操作対象5によって異なる形態で接続される。
なお、近距離無線ユニット3と操作対象制御ユニット4とは一体的に構成されていてもよい。また、制御信号は、電気的信号以外に光や無線によるものであってもよい。
アダプタ2は無線信号を送信し、近距離無線ユニット3はその無線信号を受信する。無線信号には、操作対象5を操作するための情報(操作情報)が含まれている。近距離無線ユニット3は、受信した無線信号を制御信号に変換して操作対象制御ユニット4に送る。操作対象制御ユニット4は、近距離無線ユニット3から送られる制御信号に基づき操作対象5ごとの制御を行う。
図8は、近距離無線ユニット3の内部構成を示すブロック図である。近距離無線ユニット3は、バス31を介して、CPU32と、メモリ33と、操作対象制御ユニットインターフェイス回路34と、ネットワーク通信回路36とが接続された構成である。なお、ネットワーク通信回路36は必要ない場合もある。
CPU32は、例えばマイクロコンピュータによって構成されており、アンテナ35aおよび近距離無線通信回路35を介してアダプタ2から受けた無線信号に応じて、近距離無線ユニット3の各種制御を行い、操作対象制御ユニットインターフェイス回路34を介して操作対象制御ユニット4に制御信号を送る。
メモリ33は、RAMやROMに代表される公知のメモリによって構成されており、CPU32が利用する各種のプログラムやデータを記憶する。
操作対象制御ユニットインターフェイス回路34は、操作対象制御ユニット4に対して制御信号を送るためのインターフェイスである。
近距離無線通信回路35は、CPU32の制御のもとで、アンテナ25aを用いて近距離無線通信を行う公知の通信回路である。
ネットワーク通信回路36は、CPU32の制御のもとでネットワーク7を介したデータ通信を行う公知の通信回路である。なお、ネットワーク通信回路36の代わりに、携帯電話通信網6を介した通信を行うパケット通信回路を備えていてもよい。
図9は、操作対象制御ユニット4の内部構成を示すブロック図である。操作対象制御ユニット4は、近距離無線ユニットインターフェイス回路44と操作対象操作部45とがCPU42を介して接続された構成である。
CPU32は、例えばマイクロコンピュータによって構成されており、近距離無線ユニットインターフェイス回路44を介して近距離無線ユニット3から受けた制御信号に応じて、操作対象操作部45の制御を行うものである。
操作対象操作部45は、操作対象5によって異なる構成となる。例えば、操作対象5が機械的スイッチやボタン、レバーなどによって制御されるものである場合、操作対象操作部45はアクチュエータやソレノイド等を備えた構成によってそのスイッチやボタン、レバーなどを機械的に動かすものになる。
操作対象5が電気的に制御されるものである場合、操作対象操作部45は操作対象5の所定の回路に所定の電圧や電流を供給することにより操作対象5を制御するものになる。例えば、自動車のドアロックの設定/解除、窓の開閉、トランクのオープン等が考えられる。
操作対象5がLAN等のネットワークを経由して送られる信号により制御されるものである場合、操作対象操作部45はそのようなネットワークと接続可能で、ネットワークを介して操作対象5を制御するための信号を送るものになる。例えば、Webサーバ上に構築されているコンテンツが操作対象5である場合、コンテンツの更新などがこの方式で制御される。
操作対象5が微弱電波や赤外線等による信号を受信して制御されるものである場合、操作対象操作部45はそのような信号を送信するものになる。
操作対象5に操作対象5を直接制御する手段がなく、人や動物など指示を受けることができるものの動作により制御することが可能な場合には、操作対象操作部45はそのような指示を行うものになる。例えば、操作対象5がセキュリティ管理のため指紋を検出して動作するようなものである場合には、利用可能な人に画面表示や声などで指示を出して、操作を依頼することによって、操作対象5の操作を行う。あるいは、ペット専用入り口の開閉のように、ペットが操作するような操作対象5の場合には、音などで動物に指示を出して、入り口を開けさせるようにしてもよい。
このように、操作対象操作部45は操作対象5に対応した構成となっている。
図10は、センタ装置8の内部構成を示すブロック図である。センタ装置8は、バス81を介して、CPU82と、ネットワーク通信回路85と、メモリ83と、CRT(Cathode Ray Tube)87と、キーボード86とが接続された構成である。
CPU82は、例えばマイクロコンピュータによって構成されており、センタ装置8の制御を司っている。
ネットワーク通信回路85は、CPU82の制御のもとで、携帯電話機1や近距離無線ユニット3との通信を行うための構成であって、外部とのインターフェイスとして機能するものである。
メモリ83は、RAMやROMに代表される公知のメモリや、磁気ディスクドライブや光ディスクドライブに代表される公知記録デバイスによって構成されており、CPU82の制御のもとで各種情報を記憶する構成である。
CRT87、キーボード86は公知のユーザインタフェースであり、センタ装置8の管理者がセンタ装置8に各種指示を行う、あるいはメモリ83における記録内容の確認や修正を行うために用いられる。
以上のように、本無線操作システムは、携帯電話機1(携帯通信端末)とともに用いられ、操作対象5を無線操作するためのものであって、主に次のような特徴を有している。すなわち、本無線操作システムは、操作対象5の操作に必要な操作情報を近距離無線により送信する近距離無線通信回路25およびアンテナ25a(送信手段)を備えたアダプタ2(送信側装置)と、操作情報を受信するアンテナ35aおよび近距離無線通信回路35(受信手段)、およびこの近距離無線通信回路35にて受信した操作情報に基づいて操作対象5を操作する操作対象操作部45(操作手段)を備える近距離無線ユニット3、操作対象制御ユニット4(受信側装置)とを備えている。そして、アダプタ2が、携帯電話機1とともに携帯されることにより携帯電話機1と直接通信可能な携帯電話機インターフェイス回路24およびコネクタ28(通信手段)と、この携帯電話機インターフェイス回路24およびコネクタ28を介して携帯電話機1から取得した携帯通信端末情報に基づいて操作情報を生成するCPU22(操作情報生成手段)を備えている。なお、アダプタ2と携帯電話機1との間の「直接通信」とは、アダプタ2と携帯電話機1との間で、公衆回線を介さずに行われる通信をいう。
この構成では、携帯電話機1の機能を利用した操作情報を携帯電話通信網6を介さずに操作対象側へ伝えることができ、その操作情報に基づいて操作対象を操作することができるようになる。
以下では、図1、図5〜図9を参照しつつ、本無線操作システムの具体例について説明する。なお、以下において説明する携帯電話機1、アダプタ2、近距離無線ユニット3、操作対象制御ユニット4、センタ装置8の動作は、それぞれに備えられたCPUによって制御されるものである。
(システムの具体例1)
ここでは、本無線操作システムを自動ロック操作システムとして用いた場合について説明する。
図11は、自動ロック操作システムの概念を示す概念図である。また、図12は、自動ロック操作システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
この自動ロック操作システムは、例えば家の玄関扉の鍵を自動的に操作するために用いられる。この場合、玄関扉の鍵が操作対象5となる。また、操作対象制御ユニット4は、玄関扉の内側に取り付けられており、操作対象操作部45により鍵のつまみを回転させるなどして施錠/解錠の操作をできるようになっている。
玄関扉の鍵は、通常操作対象制御ユニット4により施錠されている。利用者は、外出時には、アダプタ2を接続した状態の携帯電話機1を携帯する。利用者が帰宅し、玄関扉に近づくと、アダプタ2と近距離無線ユニット3との間で近距離無線通信が可能となり、通信が確立される(ステップS1)。
アダプタ2は、近距離無線ユニット3との通信が確立されると、携帯電話機インターフェイス回路24を介して、携帯電話機1から携帯電話機1のIDを取得する(ステップS2)。
ここで、携帯電話機1のIDとしては、携帯電話機1の電話番号やインターネット上のメールアドレスを用いることができる。携帯電話機1の電話番号やインターネット上のメールアドレスは、携帯電話機1ごとに固有のものが設定されており、また携帯電話機1は利用者個人やその家族など特定の人のみが携帯するものであるため、携帯電話機1の電話番号やインターネット上のメールアドレスはこの場合のIDとして利用するのに好都合である。IDとしての電話番号やインターネット上のメールアドレスは、携帯電話機1のメモリ13に予め記憶されている。なお、IDは電話番号やインターネット上のメールアドレスに限られず、携帯電話機1ごとに固有に設定されているものであればよい。
アダプタ2は、携帯電話機1から取得したIDを近距離無線通信回路25から近距離無線ユニット3に対して送信する(ステップ3)。近距離無線ユニット3は、アダプタ2から送信されたIDを近距離無線通信回路35により受信する(ステップS4)。
近距離無線ユニット3には、その家へ入ることが許されている者(例えばその家に住む家族)それぞれの携帯電話機1のIDが予め設定され、メモリ33に記憶されている。近距離無線ユニット3は、アダプタ2からIDを受信すると、メモリ33に記憶しているIDとの照合をCPU32により行う(ステップS5)。そして、照合の結果、受信したIDがメモリ33に記憶しているIDの1つと一致したか否かをCPU32により判別する(ステップS6)。
ここで、一致した場合は、近距離無線ユニット3が、鍵を解錠するための制御信号を操作対象制御ユニットインターフェイス回路34から操作対象制御ユニット4に送る(ステップS7)。操作対象制御ユニット4は、その制御信号を近距離無線ユニットインターフェイス回路44にて近距離無線ユニット3から受けると、操作対象操作部45が鍵を解錠して利用者が玄関扉を開けることができるようにする(ステップS8)。なお、操作対象制御ユニット4はタイマを備え、解錠してから所定時間経過後に再度施錠するようになっている。
近距離無線ユニット3のCPU32が、ステップS6において、受信したIDがメモリ33に記憶しているIDの何れとも一致しなかったと判別すると、操作対象制御ユニット4に制御信号を送ることなく処理を終了する。
この自動ロック操作システムでは、鍵の操作そのものが不要となるため、幼児などが出入りしたときの鍵のかけ忘れを防ぐことができる。また、利用者は、帰宅時に玄関扉の鍵を操作する手間を省くことができる。さらに、この自動ロック操作システムを用いると、玄関扉外側に鍵穴を設ける必要がないため、ピッキングなどによる犯罪を防止することができる。
以上のように、本自動ロック操作システム(無線操作システム)では、アダプタ2が携帯電話機1から取得する情報(携帯通信端末情報)として、携帯電話機1の有する固有のID(識別情報)を取得する。そして、アダプタ2が無線信号として近距離無線ユニット3に送信する情報(操作情報)に、IDが含まれる。近距離無線ユニット3は、IDを記憶するメモリ33(記憶手段)、およびアンテナ35a、近距離無線通信回路35にて受信したIDとメモリ33に記憶されているIDとが一致するか否かを判別するCPU32(判別手段)を備えている。操作対象制御ユニット4の操作対象操作部45は、CPU32による判別結果に基づいて操作対象5である玄関扉の鍵を操作する。
この構成では、近距離無線によりIDの送信を行うため、特定の携帯電話機1およびアダプタ2を携帯した利用者が近距離無線ユニット3に近づいた場合にのみ操作対象5が操作されることになる。つまり、家族などの特定の人が帰宅して近距離無線ユニット3に近づいた場合にのみ玄関扉の鍵を解錠することが可能になる。
なお、上記自動ロック操作システムでは、アダプタ2の近距離無線通信回路25は、近距離無線ユニット3の近距離無線通信回路35との間で近距離無線通信可能な状態になると自動的にIDを送信する。このため、利用者が玄関扉に近づくと自動的に解錠される。これにより、利用者は携帯している携帯電話機1やアダプタ2を操作することなく、近距離無線ユニット3に近づくだけで玄関扉の鍵を解錠することができるようになる。
一方、携帯電話機1またはアダプタ2が、玄関扉の鍵を解錠するための入力を受け付ける入力キー16または操作部26(入力手段)を備え、近距離無線通信回路25が、入力キー16または操作部26への入力を待ってIDを送信するようになっていてもよい。つまり、利用者が携帯電話機1の入力キー16またはアダプタ2の操作部26により解錠のための操作を行った場合のみ解錠されるようになっていてもよい。そのためには、ステップS3において、利用者による上記操作を待ってアダプタ2がIDを送信するようになっておればよい。このように、複数の情報(ID、および利用者の操作により発生するコマンド)を組み合わせて操作対象5の操作を行うことで、解錠する意思がないようなときに自動的に解錠されることを防ぐことができる。
上記自動ロック操作システムは、家のセキュリティを管理することにもなるが、さらにセキュリティレベルの向上を図るためには、アダプタ2にも固有のIDを予め設定しておくことが望ましい。
さらに、携帯電話機1とアダプタ2との間のデータ通信をワイヤレスで行うようにして携帯電話機1とアダプタ2とを別々に保管、携帯できるようにしておくことが望ましい。この場合、図4(a)または図4(b)のように、携帯電話機1とアダプタ2とを機械的に接続することなく通信可能としたものを用いればよい。この構成では、携帯電話機1およびアダプタ2に互いの間での無線通信を実現する機能を設ければよい。
この場合、アダプタ2のIDはアダプタ2のメモリ23に記憶させておけばよい。また、近距離無線ユニット3のメモリ33にも、家へ入ることが許されている利用者のアダプタ2のIDを記憶させておく。そして、ステップS3において、アダプタ2が携帯電話機1およびアダプタ2のIDを近距離無線ユニット3に送信し、ステップS5において携帯電話機1およびアダプタ2の各IDが一致した場合にのみ解錠するようにすればよい。
この構成では、携帯電話機1、アダプタ2の一方が盗まれたような場合でも、それらの不正使用による操作対象の操作を防ぐことができる。さらに、携帯電話機1とアダプタ2とを別々に保管、携帯できると、携帯電話機1とアダプタ2とが同一の場所に存在する必要がないため、携帯電話機1とアダプタ2とが同時に盗まれ、不正に利用されて家に侵入される危険性を低減することができる。
このように、アダプタ2がこのアダプタ2固有のID(送信側装置識別情報)を記憶するメモリ23(送信側装置記憶手段)を備え、アダプタ2が無線信号として近距離無線ユニット3に送信する情報(操作情報)に、アダプタ2のIDがさらに含まれ、近距離無線ユニット3のメモリ33が、アダプタ2のIDをさらに記憶し、近距離無線ユニット3のCPU32が、受信した携帯電話機1のIDおよびアダプタ2のIDと、メモリ33に記憶されている携帯電話機1のIDおよびアダプタ2のIDとが一致するか否かを判別し、操作対象制御ユニット4の操作対象操作部45が判別結果に基づいて玄関扉の鍵を操作することが好ましい。
さらに、携帯電話機1とアダプタ2との直接通信がワイヤレス通信であることが好ましい。なお、この場合には、携帯電話機1のコネクタ18およびアダプタ2のコネクタ28の代わりに、微弱電波等を用いたワイヤレス通信のための公知の通信手段を設けておけばよい。
また、上記自動ロック操作システムに、扉の自動開閉機能を加えて自動開閉システムを構成することもできる。なお、扉は玄関扉に限られるものではなく、家の中にある各部屋の扉や車庫のシャッタなども対象となる。扉の開閉を行うためには、扉が操作対象5となる。この場合、操作対象制御ユニット4の操作対象操作部45には、モータやギアの組み合わせにより扉を開閉できる機構を設けておけばよい。また、電動のシャッタの開閉を行うためには、シャッタが操作対象5となる。この場合、操作対象制御ユニット4の操作対象操作部45には、シャッタの動力部への電力供給を制御する回路を設けておけばよい。
このような自動開閉システムでは、携帯電話機1やアダプタ2を操作することなく自動的に扉等の開閉を行うことができるので、携帯電話機1の操作を習得できないペットなどの利用者もこの自動開閉システムを利用することができる。また、ペット以外に、老人や高度な機能を持たない掃除ロボットなどにも応用することができる。
例えば、猫にアダプタ2を付けた携帯電話機1を取り付けておけば、猫がペット用の入り口に来たときに自動的に解錠するとともに扉を開けることで、飼い主が操作することなく猫を中に入れることができる。これによると、他の猫が来た場合にはペット用の入り口の扉が開かないため、他の猫が家の中に入ってくることを防ぐこともできる。同様に、掃除ロボットが施錠されている部屋に入る際に、自動的に解錠してその部屋に入って掃除をするということも可能となる。さらに、アダプタ2および携帯電話機1を車両に搭載している場合、家に到着したときに自動的に車庫のシャッタが解錠され、さらに自動的に開くようにすることもできる。
(システムの具体例2)
上記の自動ロック操作システムや自動開閉システムは、主に利用者個人の家などに設置するものである。したがって、近距離無線ユニット3への携帯電話機1やアダプタ2のIDの設定は、近距離無線ユニット3に入力部を設けておき、利用者自身がその入力部により直接入力することにより行うことができる。
一方、操作対象5が公共の設備、例えば施設への入場ゲートなどである場合、利用者が近距離無線ユニット3に自分の携帯電話機1のIDを直接入力することは適切でない場合がある。ここでは、無線操作システムをこのような入場管理システムとして用いた場合について説明する。
この入場管理システムでは、センタ装置8を含むとともに、近距離無線ユニット3がネットワーク通信回路36(あるいは、パケット通信回路36)によりネットワーク7(あるいは、携帯電話通信網6およびネットワーク7)を介してセンタ装置8とデータ通信できるようになっている。
図13は、入場管理システムにおける処理の流れの一部を示すフローチャートである。この入場管理システムでは、利用者がセンタ装置8に対してIDの登録を要請し、センタ装置8がネットワーク7を介して近距離無線ユニット3に携帯電話機1のID(アダプタ2のIDであってもよく、携帯電話機1およびアダプタ2のIDであってもよい。)を登録するようになっている。
そのために、利用者は、まず近距離無線ユニット3へのIDの登録のための手続きを行う。この手続きでは、利用者が携帯電話機1のパケット通信回路15から携帯電話通信網6およびネットワーク7を介してセンタ装置8に対し、携帯電話機1のIDを送信する(ステップS11)。なお、携帯電話機1がIDを送信する際には、本入場管理システムによって入場を許可するために必要となる他の情報、例えば利用者の氏名なども含めて送信してもよい。
センタ装置8では、携帯電話機1が送信したIDおよびその他の情報をネットワーク通信回路85にて受信し、メモリ83に一旦記憶する(ステップS12)。ここで、センタ装置8は、CPU82により、携帯電話機1から受信した情報に基づいてその携帯電話機1の利用者の入場を許可するための条件が整っていること、例えば利用者の氏名などの必要な情報が含まれていることを確認し、整っている場合のみIDおよびその他の情報をメモリ83に記憶して次のステップに進むようにしてもよい。
次に、センタ装置8は、ネットワーク通信回路85からネットワーク7を介して近距離無線ユニット3に対し、メモリ83に一旦記憶したIDを送信する(ステップS13)。近距離無線ユニット3では、センタ装置8が送信したIDをネットワーク通信回路36により受信し、近距離無線ユニット3のメモリ33に登録する(ステップS14)。
このようにして、近距離無線ユニット3に利用者の携帯電話機1のIDが登録されると、その後、利用者がアダプタ2および携帯電話機1を持って操作対象5である入場ゲートへ近づくと、図12と同様の処理を経て入場ゲートが操作対象制御ユニット4により開かれる。
このように、本入場管理システムは、携帯電話機1と、携帯電話通信網6、ネットワーク7(通信網)を介して携帯電話機1と通信可能なセンタ装置8とを含んで構成される。そして、携帯電話機1は、IDをセンタ装置8に送信するパケット通信回路15およびアンテナ15a(携帯通信端末送信手段)を備えている。また、センタ装置8は、IDを受信するとともに、受信したIDをネットワーク7(通信網)を介して送信するネットワーク通信回路85(センタ装置受信手段)とを備えている。さらに、近距離無線ユニット3は、センタ装置8から送信されたIDを受信し、メモリ33に記憶させるCPU32(登録手段)を備えている。
この構成では、操作対象5が公共のものであるような場合に、利用者は携帯電話機1により近距離無線ユニット3へのIDの登録が可能になる。また、センタ装置8を介することで、センタ装置8にて例えば所定の条件が整っている場合のみIDの登録を許可するといったことが可能になり、操作対象5を操作する利用者の管理が可能になる。
(システムの具体例3)
上記の各システムについては、基本的に操作対象5が1つの場合を想定して説明したが、複数の操作対象5を操作できるようになっていてもよい。ここでは、無線操作システムにおいて複数の操作対象5を操作する例として、車両操作システムについて説明する。
車両操作システムでは、操作対象5として、ドアロック、セキュリティ管理システム、利用者別車両環境設定装置、エンジン始動ロックなどが考えられる。ここで、セキュリティ管理システムとは、車両の盗難を防止するためにセンサにより車両の状態を管理し、異常を検知すると警報をならす、所定の通報先へ通報するなどの対策をとるためのものである。また、利用者別車両環境設定装置は、車両の環境、例えばシートの位置やハンドルの高さなどを利用者ごとに予め設定された状態にする装置である。
この車両操作システムでは、車両に1つの近距離無線ユニット3が設けられ、操作対象5ごとに操作対象制御ユニット4が設けられる。図14は、近距離無線ユニット3の例を示す斜視図である。近距離無線ユニット3は、図14(a)に示すように各操作対象制御ユニット4に接続された配線4aがコネクタ3aを介して接続されるようになっていてもよく、図14(b)に示すように車内LAN3bを介して各操作対象制御ユニット4に接続されるようになっていてもよい。
利用者がアダプタ2とともに携帯電話機1を持って車両に近づくと、図12と同様の処理が行われ、ドアロック、セキュリティ管理システム、エンジン始動ロックそれぞれに設けられた操作対象制御ユニット4は、それぞれドアロック、セキュリティ管理システム、エンジン始動ロックを解除する。なお、利用者別車両環境設定装置に設けられた操作対象制御ユニット4は、近距離無線ユニット3が取得したIDに基づいて利用者ごとの車両環境の設定を行う。
利用者は、上記の各操作を携帯電話機1の入力キー16やアダプタ2の操作部26を操作することなく行うことができる。すなわち、利用者はアダプタ2および携帯電話機1を衣服のポケットや鞄などに入れたまま車両に近づけばよく、これらを取り出して操作する必要はない。この車両操作システムでは、操作対象制御ユニット4によりドアロックの解除や他の操作をハンズフリーで行うことができる。したがって、利用者は、車両に近づき、ドアノブを操作しドアを開けて車両に乗り込み、エンジンをかけて運転を開始するといったシンプルな操作で、ドアロックの解除、セキュリティ管理システムの解除、利用者別車両環境設定などを行うことができる。なお、上記以外にも、ナビゲーションシステムをはじめドライバや搭乗者に対して情報を提供する車両情報システムの起動、車両を監視する監視センタへの運転開始の通知とサービス提供依頼など、運転開始時に必要な種々の操作を自動的に行うことができる。
車両操作システムでは、利用者が車両に乗車中にもさらに車両を操作して利用者にサービスを提供することができる。例えば、乗車中に携帯電話機1がメールを受信した場合に、車両のメータパネルなどにメール着信を表示することが考えられる。
図15は、車両操作システムにおいてメール着信を車両のメータパネルに表示する処理の流れを示すフローチャートである。この場合、操作対象5は車両のメータパネルであり、このメータパネルには着信メールが有ることを表示することが可能なものである。
この車両操作システムでは、アダプタ2が、CPU22により、携帯電話機1に着信メールが有るか否かを調べ(ステップS21)、着信メールの有無を判別する(ステップS22)。着信メールが無い場合には、所定の周期でステップS21を繰り返す。着信メールが有る場合には、アダプタ2のCPU22が着信メールが有ることを示す着信メール有信号を生成し、近距離無線通信回路25から近距離無線ユニット3へ着信メール有信号を送信する(ステップS22)。近距離無線ユニット3は、近距離無線通信回路35により着信メール有信号を受信し(ステップS23)、操作対象制御ユニットインターフェイス回路から操作対象5である車両のメータパネルに着信メールが有ることを表示させるための制御信号を操作対象制御ユニット4に対して送る(ステップS25)。操作対象制御ユニット4では、近距離無線ユニットインターフェイス回路44により制御信号を受信し、操作対象操作部45により操作対象5である車両のメータパネルに着信メールが有ることを表示させる(ステップS26)。
この車両操作システムを利用すると、利用者は、車両の運転中においても前方およびメータパネルから目を話すことなく携帯電話機1がメールを着信したことを知ることができる。なお、メータパネルにより表示する以外に、車両のオーディオを利用して音声でメールを着信した旨を伝えるようにしてもよい。この場合、オーディオが操作対象5となる。
(本システムを用いたサービスの提供)
上述のように、本無線操作システムを用いたサービス提供者が、アダプタ2、近距離無線ユニット3、および操作対象制御ユニット4を利用者に提供することで、利用者は、もともと自分が利用している携帯電話機1により操作対象5を操作できるようになるというサービスを受けることができる。
携帯電話機を用いた従来のサービスでは、利用者は携帯電話機の操作を行わなければならなかった。その操作は、電話の発信、着信のみを行う携帯電話機と比較して極めて複雑なものとならざるを得ない。このため、サービスの提供を受けるためには携帯電話機の複雑な操作を習得する必要があった。このことは、特に子供や老齢者が利用する際に大きな障害となり得る。また、一般の利用者にとっても、携帯電話機の操作に時間がかかる、急いでいるときに間に合わなくなるといった不便さがあった。
また、従来のサービスでは、その携帯電話機が有する機能の範囲内でしか操作をすることができなかった。したがって、近距離無線通信機能を内蔵していない携帯電話機を利用している利用者は、携帯電話機を買い換えないとサービスを受けることができなかった。
本無線操作システムを用いたサービスでは、上記のような不便さを解消することができる。この無線操作システムを用いることにより、利用者に操作の利便性を提供し、サービス内容の拡張やサービス提供範囲の拡大を図ることができる。これにより、携帯電話機の付加価値を高めて携帯電話事業の事業規模に匹敵するような極めて大きな事業を展開することが可能になる。
本無線操作システムでは、操作対象の操作は携帯電話機1と、近距離無線通信機能を有するアダプタ2と、近距離無線ユニット3と、操作対象制御ユニット4とが連携して行う。これにより、単に携帯電話機とアダプタとを組み合わせただけのシステムでは受けることができないサービスを受けることができるようになる。
アダプタ2の構成としては、アダプタ2のコネクタ28や携帯電話機インターフェイス回路24を携帯電話機1のコネクタ18やアダプタインターフェイス回路14に対応させる、つまり携帯電話機1の機種に対応させることによって、どの携帯電話機1にでも対応することが可能となる。また、アダプタ2を後付けの製品として提供できるため、携帯電話機1の発売後に利用者に提供することが可能である。したがって、以前に購入した携帯電話機1を利用することが可能になる。
このようなアダプタ2と、近距離無線ユニット3、操作対象制御ユニット4とを組み合わせて、操作対象5を操作することによって、利用者に対して極めて広範なサービスを提供することが可能となる。例えば、操作対象5に応じて操作対象制御ユニット4を追加するだけで、サービスの内容と範囲を自在に拡大していくことが可能になる。
本無線操作システムを用いると、携帯電話機1、アダプタ2、近距離無線ユニット3のいずれか1つのみでは検出することのできない複数の情報を利用して、操作対象5を操作することで、利用者に対してさまざまな利便性を提供することができる(利便性)。
例えば、本無線操作システムを用いると、利用者が近づいたことや離れたこと、ある位置に来たことや来なかったことなどに基づいて、利用者に代わって自動的に操作対象5に対して操作を行い、サービスを提供することができる。このため、利用者は操作対象5に手を触れることなくハンズフリーで操作対象5の操作を実現できる。その際、本無線操作システムを用いると、携帯電話機1あるいはアダプタ2のみでは得ることのできない情報を活用でき、より高度な利便性を提供することができる。
また、利用者の内部的な事情によって起因する操作の場合には、それを伝えるための1回の操作で操作対象5を操作することも可能である。この機能によって、利用者の意思の確認が必要となる場合などに、利便性を損なうことなく、サービスを提供できる。サービスの提供手順などのため、複数回の操作が必要な場合にも、利用者がその時点での意思を示すための、必要最小限の操作をするだけで、サービスの提供を受けることが可能になる。
本無線操作システムを用いると、既存の携帯電話機1に後でアダプタ2を取り付けることによって、新たなサービスを提供することができるため、既存システムに大きな変更を加えることなく、新たなサービスを追加していくことができる(サービスの拡張性)。
例えば、本無線操作システムを用いると、既存の携帯電話機1の形状や構成、ソフトウェア、通信方式に変更を加えることなく、そのまま利用することも可能である。したがって、利用者には、携帯電話機1を買い換える必要がない、新たな操作対象5を加える場合にも既存の携帯電話機1を用いることができる、といったメリットがある。また、サービス提供者には、新しいサービスを提供するときに新しい携帯電話機1を提供する必要がない、新たな操作対象5を加える場合にも既存の携帯電話機1を用いることができる、操作対象制御ユニット4を追加していくことでアダプタ2の適用領域を拡大することができる、といったメリットがある。
また、本無線操作システムを用いると、操作対象5が外部から操作可能なものであればよいので、操作対象5の内部に特定の回路や装置を組み込んでおく必要はなく、操作対象5にほとんどあるいは全く変更を加えることなく、新たなサービスを提供することが可能になる。
本無線操作システムを用いると、簡単な構成のアダプタ2、近距離無線ユニット3を携帯電話機1と組み合わせることで、構成要素が高度に連携することによって極めて広範囲にわたるサービスに対して適用することが可能である(適用範囲の拡大)。
例えば、本無線操作システムを用いると、その場で携帯電話機1が携帯電話通信網6と通信できなくても操作対象5を操作できるためサービスの適用範囲は大幅に拡大される。
また、本無線操作システムを用いると、操作対象制御ユニット4を追加していくことで、操作対象5の種類を増やすことが可能になる。したがって、サービスを利用できる空間は拡大していく。例えば、ホームユースのサービスの提供を受けていた利用者が、近距離無線ユニット3および操作対象制御ユニット4を車両に取り付けることで、家と車両の両方でサービスを受けることが可能になる。
また、本本無線操作システムを用いると、利用者が操作意思を伝える対象は、携帯電話機1あるいは操作対象5に限定されないため、これらに直接操作意思を伝えることなく操作対象5の操作を行うことができる。したがって、サービス提供者が、利用者の持つ操作意思を伝える能力に応じて、アダプタ2、近距離無線ユニット3、操作対象制御ユニット4を提供することによって、従来サービスの提供を受けることができなかった、ペット、老齢者、ロボットなどにまで利用者の範囲を拡大することができる。また、利用者の範囲を拡大することで、サービス事業の市場規模を飛躍的に拡大することができる。
また、本無線操作システムを用いると、操作可能な操作対象5が拡大される。本無線操作システムは、近距離無線ユニット3および操作対象制御ユニット4を有しているため、従来のサービスでは操作できなかった操作対象5を操作することができる。例えば、ホームセキュリティサービスでは、家の鍵や窓の開閉などをハンズフリーで自動的に行うことが可能になる。また、車両のドアロック解除をハンズフリーで行うことが可能になる。さらに、ホームセキュリティサービスと連携することにより、車庫のシャッタの開閉まで自動的に行うことができる。
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について図16から図19に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、実施形態1において説明した部材と同等の機能、構成を有する部材については、同一の符号を付記し、その説明を一部省略する。
(システム構成)
図16は、本実施形態における無線操作システムの構成を示す概念図である。本無線操作システムは、携帯電話機1を操作するためのものであり、携帯電話機1、アダプタ2、近距離無線ユニット3、および監視ユニット9からなっている。
ここで、携帯電話機1、アダプタ2、および近距離無線ユニット3は、実施形態1においてそれぞれ図5、図6、および図8に基づいて説明したものと基本的には同等の構成を有している。ただし、本無線操作システムでは、信号送信の向きが逆になっており、監視ユニット9が近距離無線ユニット3に対して監視信号を送信し、近距離無線ユニット3がアダプタ2に対して無線信号を送信し、アダプタ2が携帯電話機1に対して制御信号を送信するようになっている。
図17は、監視ユニット9の内部構成を示すブロック図である。監視ユニット9は、近距離無線ユニットインターフェイス回路94と監視部95とがCPU92を介して接続された構成である。
CPU92は、例えばマイクロコンピュータによって構成されており、監視対象10の状態を示す監視情報を監視部95から取得し、その監視情報を含む監視信号を近距離無線ユニットインターフェイス回路94から近距離無線ユニット3に送る。
監視部95は、監視対象10によって異なる構成となる。例えば、監視対象10の状態が、監視対象10に備えられた機械的スイッチやボタン、レバーなどの位置によってその状態、例えばその監視対象10が動作しているか否かを判別できる場合、監視部95は、その機械的スイッチやボタン、レバーなどの位置を検出できるものであればよい。監視対象10が、その状態を電気的に検出できるようなものである場合、監視部95は、そのような電気的検出を行うものであればよい。このように、監視部95は監視対象10に対応した構成となっている。
近距離無線ユニット3は、ほぼ図8に示した構成であるが、図18に示すように、図8の操作対象制御ユニットインターフェイス回路34が監視ユニットインターフェイス回路39になる。また、CPU32が、操作対象制御ユニットインターフェイス回路34にて監視ユニット9から受信した監視信号に応じて、近距離無線ユニット3の各種制御を行い、近距離無線通信回路35およびアンテナ35aを介してアダプタ2に無線信号を送信する。また、監視ユニットインターフェイス回路は、監視ユニット9から監視信号を受信するためのインターフェイスである。
アダプタ2は、図6に示した構成であるが、ここでは、CPU22が、アンテナ25aおよび近距離無線通信回路25にて受信した無線信号に応じて、アダプタ2の各種制御を行い、携帯電話機インターフェイス回路24およびコネクタ28を介して携帯電話機1に制御信号を送る。
以上のように、本無線操作システムは、携帯電話機1(携帯通信端末)を無線操作するためのものであって、主に次ぎのような特徴を有している。すなわち、本無線操作システムは、監視対象10の状態を検知する監視部95(検知手段)、およびこの監視部95にて検知された監視対象10の状態を表す監視情報を近距離無線により送信する近距離無線通信回路35およびアンテナ35a(送信手段)を備えた近距離無線ユニット3(送信側装置)と、監視情報を受信するアンテナ25aおよび近距離無線通信回路25(受信手段)、この近距離無線通信回路25にて受信した監視情報に基づいて携帯電話機1を操作するための操作情報を生成するCPU22(操作情報生成手段)、および携帯電話機1とともに携帯されることにより携帯電話機1と直接通信し、操作情報を携帯電話機1に送信する携帯電話機インターフェイス回路24およびコネクタ28(通信手段)を備えたアダプタ2(受信側装置)とを備えている。なお、アダプタ2と携帯電話機1との間の「直接通信」とは、アダプタ2と携帯電話機1との間で、公衆回線を介さずに行われる通信をいう。
この構成では、監視対象10の状態に応じた操作情報を携帯電話機1に送ることにより、監視対象10の状態に応じて携帯電話機1を操作することができるようになる。
以下では、図16、図5、図6、図8、図17、図18を参照しつつ、本無線操作システムの具体例について説明する。なお、以下において説明する監視ユニット9、近距離無線ユニット3、アダプタ2、携帯電話機1の動作は、それぞれに備えられたCPUによって制御されるものである。
(システムの具体例)
ここでは、本無線操作システムを車内操作システムとして用いた場合について説明する。
図19は、車内操作システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。この車内操作システムは、利用者が携帯電話機1およびアダプタ2を持って乗車している場合に、車両の状態に応じて携帯電話機1を操作するために用いられる。ここでは、車両のエンジンがかかっているときには、利用者が運転中であるとみなして携帯電話機1をいわゆるハンズフリー通話可能な状態(ハンズフリーモード)に設定し、車両のエンジンがかかっていないときには、携帯電話機1を通常の通話が可能な状態(通常モード)に設定する例について説明する。
まず、監視ユニット9が監視部95により車両のエンジンの状態、つまりエンジンがかかっているか否かを調査する(ステップS31)。この場合、監視部95は、イグニッションキーの位置を機械的に調べる、あるいは車両の電気系統の所定の箇所における電圧を調べるなどすることによりエンジンの状態を検知することができる。そして、監視ユニット9のCPU92にてエンジンがかかっているか否かを判別する(ステップS32)。エンジンがかかっている場合には、監視ユニット9がエンジンのかかっていることを示すエンジンON信号を生成し、そのエンジンON信号を監視信号として近距離無線ユニットインターフェイス回路94から近距離無線ユニット3に送る(ステップS33)。近距離無線ユニット3では、監視ユニットインターフェイス回路39にてエンジンON信号を受信し、そのエンジンON信号を無線信号として近距離無線通信回路35からアダプタ2に送信する(ステップS34)。アダプタ2では、近距離無線通信回路25によりエンジンON信号を受信し(ステップS35)、CPU22がそのエンジンON信号に基づいて携帯電話機1をハンズフリーモードに設定するための制御信号を生成し、アダプタインターフェイス回路24およびコネクタ28を介して携帯電話機1に送る(ステップS36)。携帯電話機1では、コネクタ18およびアダプタインターフェイス回路14を介して制御信号を受け取り、CPU12が制御信号に基づいて携帯電話機1をハンズフリーモードに設定する(ステップS37)。
ステップS32において、エンジンがかかっていないと判別された場合には、ステップS38からステップS40においてエンジンがかかっていないことを示すエンジンOFF信号が順次送られる。そして、アダプタ2のCPU22がそのエンジンOFF信号に基づいて携帯電話機1を通常モードに設定するための制御信号を生成し、アダプタインターフェイス回路24およびコネクタ28を介して携帯電話機1に送る(ステップS41)。携帯電話機1では、コネクタ18およびアダプタインターフェイス回路14を介して制御信号を受け取り、CPU12が制御信号に基づいて携帯電話機1を通常モードに設定する(ステップS42)。
以上のような処理が、所定の周期で繰り返されることにより、携帯電話機1は、エンジンがかかっている間はハンズフリーモードに設定され、エンジンがかかっていない間は通常モードに設定されることになる。