本発明の一実施形態の紙幣結束機を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の紙幣結束機11は、結束に特化したもので、図1に概略構成を示すように、機体の前側(操作者側)かつ上側に設けられてバラ紙幣が機外から投入されるホッパ12(投入部)と、このホッパ12の機体前後方向後側に設けられてホッパ12に投入された紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す繰出部13と、この繰出部13で繰り出された紙幣を搬送する搬送部14と、搬送部14に設けられこの搬送部14で搬送される紙幣を識別する識別部15とを有している。
ホッパ12には、バラ紙幣が長手方向を機体左右方向に沿わせた状態で投入されることになり、搬送部14は、繰出部13から繰り出された紙幣を一枚ずつ分離した状態で、しかも短手方向(幅方向)を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送することになる。ここで、搬送部14はホッパ12から機体前後方向における後方かつ後側ほど下がるように傾斜して延在した後に機体の後端近傍で折り返し機体前後方向における前方に水平に沿って延在しており、識別部15はホッパ12の直後である搬送部14の後ろ下がりの部分に設けられる。識別部15は、紙幣の画像データ等から金種、真偽、正損、表裏の向きおよび天地(上下)の向き等を識別する。
紙幣結束機11は、搬送部14の末端位置に設けられて紙幣を受け取り受け取ったバラ紙幣を長手方向を機体左右方向に沿わせ短手方向を機体前後方向に沿わせた状態で上下方向に所定枚数(100枚)ずつ集積させて集積紙幣とする集積部18と、搬送部14の途中位置から分岐して前上がりに延在する分岐搬送部19と、分岐搬送部19の末端位置に設けられて紙幣を受け取り受け取った紙幣を機外に取り出し可能とするリジェクト部20と、分岐搬送部19の分岐位置に設けられ紙幣をそのまま搬送部14で集積部18に搬送する状態と分岐搬送部19でリジェクト部20に搬送する状態とに切り替える、言い換えれば紙幣を集積部18とリジェクト部20とに振り分ける振分部21とを有している。
ここで、本実施形態は紙幣結束機11であることから、その制御部22は、バラ紙幣をホッパ12から繰出部13で一枚ずつ繰り出させ搬送部14で搬送させて識別部15で識別させ、この識別結果に基づき振分部21によって、結束対象紙幣を集積部18に、結束対象以外の紙幣をリジェクト部20にそれぞれ振り分ける。
リジェクト部20は、機体前部におけるホッパ12の下側に設けられており、機体前部におけるこれらホッパ12およびリジェクト部20の間には、操作者に対し表示を行うとともに操作者から操作入力がなされる表示操作部(操作部)23が設けられている。
紙幣結束機11は、集積部18の機体前後方向における前側であって機体前部となる位置に、集積部18から水平前方に送り出された集積紙幣を結束テープで結束させる結束部25を有している。なお、集積部18と結束部25とで紙幣を所定枚数集積して結束させる集積結束部26が構成されている。
紙幣結束機11は、結束部25の機体前後方向における前側に、結束された集積紙幣Sを機外に放出させる束放出口28を有しており、この束放出口28の機体前後方向における前には結束された集積紙幣Sを受け入れる収納ボックス29が配置されている。
紙幣結束機11は、結束部25の下側に、結束された集積紙幣Sの結束テープに日付を印字したり予め定められた情報のスタンプ印を押印したりする表示記載部31を有しており、その機体前後方向における後側に結束テープを収納するテープ収納部34を、集積部18の後側に電源部32および上記した制御部22を有している。
ここで、制御部22は、ホッパ12にバラ紙幣が投入されると結束処理の開始を判定することになる。つまり、バラ紙幣が投入されたことを検出することで結束処理の開始を制御部22に指示するセンサ33がホッパ12に設けられている。なお、スタートボタンを設けて、スタートボタンの押下操作によって結束処理の開始を判定するようにしても良い。また、紙幣結束機11は上記センサ33以外にも各部に紙幣を検出するためのセンサが設けられている。
次に、集積結束部26についてさらに説明する。
集積結束部26は、図2に示すように、所定枚数(100枚)のバラ紙幣を長手方向を機体左右方向に沿わせた状態で集積位置において集積させて集積紙幣Sとする集積部18と、この集積部18の集積位置にある集積紙幣Sを機体前後方向における後側から押すことによって集積状態のまま所定距離機体前後方向における前側のクランプ位置まで水平に短手方向に沿って移動させるプッシャ40とを有している。また、集積結束部26は、プッシャ40でクランプ位置まで移動させられた集積紙幣Sをクランプして水平側方具体的には操作者から見て機体左方に所定距離長手方向に沿って移動させて結束位置に至らせるクランプ部41と、クランプ部41で移動させられる集積紙幣Sの移動前方である操作者から見て機体左方に設けられて集積紙幣Sの移動先端側の部分を一対の上挟持部材(挟持部材)42および下挟持部材(挟持部材)43で略山形状に屈曲させながら集積方向における両側から挟持しこれら上挟持部材42および下挟持部材43で挟持された集積紙幣Sの周囲に結束テープを巻回して結束する結束部25とを有している。
ここで、図2は、集積部18、プッシャ40、クランプ部41および結束部25の位置関係を示すものであり、各部の詳細は略している。また、図2においてはクランプ部41と結束部25とが大きく離れているように記載されているが、これはクランプ部41から結束部25へと集積紙幣Sを挟持して移動する様子を説明する便宜上離れているだけで、実際には図3に示すように集積紙幣Sを長手方向の約半分程度の長さ移動させることで紙幣を結束部25の下挟持部材43上に載置させることができる程度しか離れていない。なお、集積部18に所定枚数(100枚)のバラ紙幣が集積されると、制御部22は、繰出部13、搬送部14および分岐搬送部19を直ちに停止させるとともに、クランプ部41および結束部25に結束前の集積紙幣Sおよび結束後の集積紙幣Sが存在しないことを条件に、集積部18からプッシャ40で集積紙幣Sをクランプ位置まで移動させることになるが、その後、クランプ位置の集積紙幣Sをクランプ部41でクランプさせた後にプッシャ40を集積位置の紙幣の後側となる位置まで戻し、この位置までプッシャ40が戻ると繰出部13、搬送部14および分岐搬送部19の駆動つまり集積部18への集積を再開させる。
クランプ部41は、クランプ位置にある集積紙幣Sを集積状態のまま水平左方つまり集積紙幣Sの長手方向に沿って一方向に所定距離移動させて結束位置に至らせるとともに、集積紙幣Sをその長手方向に沿って逆方向にも移動させる。
クランプ部41は、機体左右方向に沿って水平に延在する走行台部45を有し機体に対し固定されるクランプベース46と、走行台部45の上側において機体左右方向に沿って水平に延在するようにクランプベース46に位置固定で回転可能に支持されたガイド軸47とを有している。
また、クランプ部41は、クランプ位置にある集積紙幣Sの結束部25とは反対側を上面に載置させる載置台49をガイド軸47よりも上側に有しこの載置台49の下側に走行台部45上で機体前後方向に沿う軸を中心に転動するローラ50を備えるとともにローラ50を転動させながらガイド軸47で案内されて機体左右方向に移動するクランプアセンブリ51を備えている。
さらに、クランプ部41は、ガイド軸47の結束部25側に固定されてクランプ位置にある集積紙幣Sの結束部25側を上面に載置させる載置アーム53と、クランプ位置にある集積紙幣Sの載置アーム53よりも結束部25側を上面に載置させるガイド54とを有している。載置台49の上面と載置アーム53の上面とは常に同一平面上に設けられるとともに、これらに対しガイド54の上面も同一平面に位置可能であり、その結果、集積位置からクランプ位置に移動させられた集積紙幣Sをこれら載置台49、載置アーム53およびガイド54で水平に沿う姿勢のまま載置させることができる。
クランプアセンブリ51は、制御部22に制御される図示せぬ駆動カムリンク機構で駆動されることにより、ガイド軸47で案内されて、図3に実線で示す最も結束部25から離れた待機位置から図3に二点鎖線で示す最も結束部25に近づく前進位置までの間で上記した一方向および逆方向に往復動する。クランプアセンブリ51は、待機位置にあるときに集積位置からクランプ位置に移動させられた集積紙幣Sの結束部25とは反対側を載置台49の上面に載置させる。
クランプアセンブリ51は、この載置台49の結束部25に対し反対側に上方に立ち上がるように設けられた支柱部56と、この支柱部56に機体前後方向に沿うように設けられた支持軸57と、この支持軸57に中間部がこの支持軸57を中心に回転するように支持されたクランプアーム58とを有している。
クランプアーム58は、ガイド軸47に沿って延在する姿勢とされ、支持軸57に対し結束部25とは反対側にある端部にカムフォロア59が機体前後方向に沿う軸線を中心に回転可能に支持され、支持軸57に対し結束部25側にある端部にクランプ位置にある集積紙幣Sを載置台49とで挟持するクランプ部材60が機体前後方向に沿う軸線を中心に揺動可能に支持されている。ここで、クランプアセンブリ51が待機位置にあるときに、クランプ部材60は集積紙幣Sの結束部25に対し反対側の端部を載置台49との間で上下方向に挟持する。なお、クランプアーム58は支持軸57を中心にクランプ部材60を下方に移動させる方向(図3における反時計回り方向)に図示略のスプリングで付勢されている。
そして、クランプアセンブリ51が待機位置にあるときに、機体側に設けられた図示略の駆動カム機構がカムフォロア59に上側から当接するように構成されており、駆動カム機構はカムフォロア59を下方つまりクランプ部材60を上方に移動させてクランプ部材60を集積紙幣Sから離間させたり、カムフォロア59を上方つまりクランプ部材60を下方に移動させてクランプ部材60を載置台49とで集積紙幣Sを挟持させたりする。
なお、クランプアセンブリ51は、例えば図示略のキーおよびキー溝等によってその載置台49のみがガイド軸47に対して回転方向に固定可能となっており、ガイド軸47が図示略の駆動回転機構により回転させられることで、ガイド軸47に対し固定された載置アーム53とともに載置台49がガイド軸47を中心に回動し、機体前方に傾倒することで結束後の集積紙幣Sを機体前方に滑らせ束放出口28から放出させるようになっている。
ガイド54は、クランプベース46における結束部25側に昇降可能に支持されており、その上部は結束部25側に屈曲延出して結束部25の位置固定の下挟持部材43に近接配置される台部63とされ、下部にはクランプアセンブリ51の移動に連動してガイド54を昇降させるための板カム64に機体前後方向に沿うピン65で回動可能に連結されている。
この板カム64は、長尺状の板材からなり、クランプアセンブリ51の移動方向に沿って延在し、結束部25側の端部がピン65でガイド54に連結され、反対側の端部がクランプベース46の下部の機体前後方向に沿う支持軸66にこれを中心に回転可能となるように連結されている。板カム64はピン65を上昇させる方向にスプリング67の付勢力で付勢されており、図示略のストッパに当接することでこの方向の回動限界で停止することになって、このときガイド54が上限位置に位置する。板カム64は、結束部25に対し反対側の上面が高さの低い第1カム面68とされ、結束部25側の上面が高さの高い第2カム面69とされ、これらの間の上面がこれらをつなぐ傾斜カム面70とされている。
クランプアセンブリ51には、その下部の結束部25側にベアリング等のローラ73がクランプアセンブリ51に対し位置固定で機体前後方向に沿う軸周りに回転可能となるように設けられており、このローラ73が、板カム64の上面の上側に配置されている。このローラ73は、クランプアセンブリ51が待機位置側の所定範囲にあるときは板カム64の第1カム面68に当接せず、その結果、板カム64が全く上下動しないためガイド54は上限位置に保持される。また、クランプアセンブリ51が前進位置側の所定範囲にあるとき、ローラ73は板カム64の傾斜カム面70から第2カム面69に載り上げることで板カム64をピン65を下降させる方向に移動させ、ガイド54を下降させて下限位置に位置させる。つまり、板カム64の第1カム面68はローラ73に当接せず板カム64を略水平に維持する水平維持面とされ、第2カム面69が板カム64を上下動させる上下動面とされる。
クランプアセンブリ51にクランプされて移動する集積紙幣Sのクランプ位置(図3において集積紙幣Sが実線で示される位置)から結束位置までの一方向への水平移動時に、集積紙幣Sが結束部25の一対の上挟持部材42および下挟持部材43間に入り込み始める所定の入込開始位置(図3において集積紙幣Sが二点鎖線で示される位置および図5に示す位置)までは、クランプアセンブリ51のローラ73が第1カム面68上にあってガイド54を上昇状態つまり上限位置に位置させ、入込開始位置以降(図3において集積紙幣Sが二点鎖線で示される位置からさらに結束部25側に移動する状態。例えば図6に示す結束位置に位置する状態)はローラ73が第2カム面69上にあってガイド54を下降状態つまり下限位置に位置させる。このように、入込開始位置までは、ガイド54がクランプ位置に移動させられた集積紙幣Sを受け取った状態の高さ位置を保つことになり、下挟持部材43の上面と高さをほぼ合わせた状態を保つことになって、集積紙幣Sの結束部25側の端部の下挟持部材43上への移送を確実に案内する。つまり、クランプアセンブリ51が待機位置にあってガイド54が上限位置にあるときその台部63はクランプ位置にある集積紙幣Sの結束部25側つまり結束部25側への上記した一方向移動時の先端側の下部を支持することになり、上限位置にあるガイド54の上面と結束部25の下挟持部材43の上面とはほぼ同一高さに配置され、集積紙幣Sはガイド54の上面から下挟持部材43の上面に受け渡しが円滑にできるようになっている。
ここで、下挟持部材43は、集積紙幣Sの移動方向に沿ってクランプ部41側から見た場合に、図7に示すように集積紙幣Sの幅(短手方向長さ)とほぼ等しく、若しくは集積紙幣Sの幅よりやや短い幅であり、かつ中央が高く両側が低い山形状に形成されている。つまり、下挟持部材43は、水平な中央載置面75とその両側の外側ほど高さが低くなるように傾斜する側部傾斜面76とを有している。また、下挟持部材43は、上記と直交する水平方向から見た場合に、図3に示すように、クランプ部41側の上部にクランプ部41側ほど高さが低くなる前部傾斜面77が形成されている。この下挟持部材43の中央載置面75は上限位置にあるガイド54とほぼ高さが一致させられており、前部傾斜面77の最も低い位置は上限位置にあるガイド54よりも低く下限位置にあるガイド54よりは高くなっている。
また、上挟持部材42も、下挟持部材43の上面とほぼ一致するように中央が高く両側が低い山形状に薄板が屈曲されて形成されている。つまり、上挟持部材42は、水平な中央板部79とその両側の外側ほど高さが低くなるように傾斜する側部傾斜板部80とを有している。
なお、その長手方向に沿って一方向に移動させられて結束位置に至った集積紙幣Sは、その移動先端側つまり結束部25側の部分が、昇降可能な上挟持部材42の下挟持部材43への近接によってこれら上挟持部材42および下挟持部材43で略山形状に若干屈曲させられながら挟持されることになる。この状態で図6に示すように、上挟持部材42および下挟持部材43とともに集積紙幣Sの挟持部分に結束テープTが巻回される。この結束の間、集積紙幣Sが屈曲されることでその短手方向の両側が図8に示すように側部傾斜面76および側部傾斜板部80の形状に倣って下挟持部材43の中央載置面75よりも下側に下がることになり、図5に示すように中央載置面75と高さが合う上限位置のガイド54よりも低くなるが、ガイド54は図6に示すように下限位置に位置させられていることから集積紙幣Sに干渉することはない。
このような結束部25での結束後の集積紙幣Sは、上挟持部材42および下挟持部材43により挟持された状態のまま、クランプ部41でその長手方向に沿って逆方向に移動させられて一対の上挟持部材42および下挟持部材43から結束テープTと一緒に引き抜かれることになるが、この集積紙幣Sの結束位置からクランプ位置に向けての逆方向への移動時に集積紙幣Sが一対の上挟持部材42および下挟持部材43間から引き抜かれる手前の引抜手前位置(図3において集積紙幣Sが二点鎖線で示される位置)までは、クランプアセンブリ51のローラ73が第2カム面69上にあってガイド54を上記下降状態とし、引抜手前位置以降はクランプアセンブリ51のローラが第1カム面68上にあってガイド54を上記上昇状態にするように設定されている。ここで、ガイド54が完全に上昇した時点では集積紙幣Sは上挟持部材42および下挟持部材43間から完全に引き抜かれるように第2カム面69および傾斜カム面70が設定されている。
結束部25は、図4に示すように、位置固定の下挟持部材43と、この下挟持部材43の上側において昇降する上挟持部材42と、上挟持部材42を昇降させる図示略の駆動部とを有しており、上挟持部材42が上昇した状態で上記したクランプ部41のクランプアセンブリ51によって集積紙幣Sが図7に二点鎖線で示すように上挟持部材42と下挟持部材43との間に挿入される。結束部25は、これら上挟持部材42および下挟持部材43を囲むように設けられる、機体前後方向に長い横長の楕円形状あるいはトラック形状のテープ巻回ガイド84を有している。テープ巻回ガイド84はそれ自体の下側であって下挟持部材43の下側に開口部85が形成されており、この開口部85を除いて上挟持部材42および下挟持部材43の外側を周回している。
結束部25は、テープ巻回ガイド84の開口部85の一の側方である機体前後方向における前側に結束テープTを供給するテープ供給部86が設けられている。このテープ供給部86は、開口部85の下側に設けられて結束テープTを上下で案内する上下一対の挿入ガイド87と、これら挿入ガイド87を介して結束テープTを送り出す上下一対のテープ供給ローラ88とを有している。一対の挿入ガイド87は、開口部85を介して一の側方からテープ巻回ガイド84内のテープ巻回ガイド84と下挟持部材43との間にテープ巻回ガイド84の接線方向にほぼ沿う姿勢で結束テープTを送り出す。なお、一対の挿入ガイド87は、結束テープTを上記のように案内可能となるように、テープ供給ローラ88から離れるほど上側に位置するように傾斜している。
また、結束部25は、テープ供給ローラ88で送り出された結束テープTのテープ巻回ガイド84内における位置を検出するためのテープセンサ90,91がテープ巻回ガイド84の周回方向に離間して複数設けられている。具体的には、テープ巻回ガイド84内のテープ巻回ガイド84と下挟持部材43との間を結束テープTが良好に通過したことを検出するため周回開始側において比較的開口部85に近い位置にテープセンサ90が設けられており、またテープ巻回ガイド84内で上挟持部材42および下挟持部材43を周回するように良好に結束テープTが送られたことを検出するため周回終末側において比較的開口部85に近い位置にテープセンサ91が設けられている。ここで、テープセンサ90,91としては反射型の光学センサを用いることができる。
加えて、結束部25は、テープ巻回ガイド84の開口部85の下側に、集積紙幣Sの周囲を周回するようにテープ供給部86から供給された結束テープTを切断する切断機構94と、テープ供給部86から送り出された結束テープTの切断側を結束テープTの先端側に熱接着させる接着機構95とを備えた切断接着ユニット96を有している。
この切断接着ユニット96はその全体が機体に対し昇降可能に設けられている。つまり、切断接着ユニット96は切断機構94および接着機構95を保持するユニットフレーム98が機体に対し上下動可能に設けられ、このユニットフレーム98が図示略のカムリンク機構を含む駆動部により昇降させられる。
ユニットフレーム98はテープ供給部86側の壁板部99の上部に結束テープTを挿入させるテープ案内穴100が、上下一対の挿入ガイド87の案内端部と隣り合うように形成されている。また、ユニットフレーム98は上昇することで開口部85からテープ巻回ガイド84内に入り込み壁板部99のテープ案内穴100の上側の上端押さえ部101が下挟持部材43の下面におけるテープ供給部86側に当接可能となっている。つまり、ユニットフレーム98は図4および図7に示すように下挟持部材43から僅かに下方に離間した待機位置から、図8〜図11に示すように上端押さえ部101を下挟持部材43に強く押し付ける押付位置まで昇降可能となっている。
切断機構94は、ユニットフレーム98の壁板部99のテープ供給部86に対し反対側に隣接配置され、この壁板部99に沿ってユニットフレーム98に対しスライドするカッタ(切断手段)103と、このカッタ103を固定状態で支持するとともにユニットフレーム98に対しスライド可能に支持される支持部材102と、支持部材102およびカッタ103を往復動させる図示略のカムリンク機構を含む駆動部とを有している。このカッタ103は下限位置にあるとき上端の切れ刃104がテープ案内穴100よりも下側に位置してこのテープ案内穴100を完全に開口させる状態となり、この状態からテープ案内穴100を完全に塞ぐようにスライドすることで、切れ刃104で結束テープTを切断する。なお、テープ案内穴100を完全に塞ぐようにスライドして上限位置に位置してもカッタ103は上端押さえ部101よりも上側に突出することはない。ここで、カッタ103の切れ刃104は、図12に示すような形状をなしており、図12(c)に示すように移動方向前側から見て山形が複数等ピッチで並べられた形状をなしている。その結果、カッタ103は、結束テープTを図13に示すように山形が複数並べられたギザ形状に切断する。
接着機構95は、カッタ103に対しテープ供給部86とは反対側に間隔をあけて切断機構94の支持部材102に配置されたヒータ(接着手段)106と、このヒータ106を支持部材102に対し上下動させる図示略のカムリンク機構を含む駆動部とを有している。ここで、ユニットフレーム98は鉛直上下に直線状に昇降することになり、切断機構94の支持部材102もユニットフレーム98に対し鉛直上下に直線状に昇降することになり、ヒータ106も支持部材102に対し鉛直上下に直線状に昇降することになるため、ヒータ106は鉛直上下方向つまり集積紙幣Sの集積方向に沿って直線状に往復動することで集積紙幣Sに対し近接・離間する。ここで、ヒータ106は水平に延在する上面が発熱する。ヒータ106は、下限位置にあるとき、ユニットフレーム98の昇降位置に拘わらず支持部材102が下限位置にあれば結束テープTに接触することはなく、ユニットフレーム98が押圧位置にあって支持部材102が上限位置にあるときに上限位置に移動すると結束テープTに接触しこれを下挟持部材43側に強く押し付ける。
上記構成の結束部25について、ユニットフレーム98が下限の待機位置にあり、カッタ103およびヒータ106がともに下限位置にある状態から、制御部22は、集積部18で結束対象の紙幣が所定枚数集積されて集積紙幣Sとされこの集積紙幣Sがプッシャ40で集積位置からクランプ位置へ移動を開始したことをトリガとして上記した結束テープTの供給を開始させる。
つまり、制御部22は、図4に示す状態から、テープ供給部86の一対のテープ供給ローラ88を駆動してこれらの間に挟まれた結束テープTを送り出す。すると、結束テープTが一対の挿入ガイド87で案内されながら送り出されることで、その先端部がユニットフレーム98のテープ案内穴100から出て、テープ巻回ガイド84の開口部85からテープ巻回ガイド84と下挟持部材43との間を通り、テープ巻回ガイド84の内面に沿って移動する。これにより結束テープTが一対の上挟持部材42および下挟持部材43の外側をほぼ一周するように周回する。
結束テープTの先端部がセンサ91で検出された時点から制御部22がテープ供給部86で結束テープTを所定時間供給すると、結束テープTの先端部は下挟持部材43の下方であって切断接着ユニット96の壁板部99の上端部上方を越えて、図7に示すように切断接着ユニット96のテープ供給部86とは反対側にある壁板部108に達する手前で停止する。
上記のように結束テープTが送り出され、また、これと並行して行われていた集積紙幣Sのプッシャ40による集積位置からクランプ位置への移送およびクランプアセンブリ51によるクランプ状態でのクランプ位置から結束位置への移送が完了していることを条件に、制御部22は、上挟持部材42を下挟持部材43の方向に下降させ、これら上挟持部材42と下挟持部材43とで集積紙幣Sを集積方向における両側から挟持する。すると、図8に示すように集積紙幣Sは上挟持部材42および下挟持部材43の形状に倣って山形に若干屈曲した状態で挟持される。ここで、図6に示すように、下挟持部材43の上面に集積紙幣Sを案内するために上昇状態にあったガイド54は、このとき下降状態にあり、集積紙幣Sの屈曲による両側の下降があっても干渉しない。
また、制御部22は、上挟持部材42の下降開始と同時に図8に示すように切断接着ユニット96を上昇させて押付位置に位置させ、壁板部99の上端押さえ部101で結束テープTの先端側を下挟持部材43の下面に強い力で押し付ける。なお、結束テープTを確実に押さえるために上端押さえ部101を結束テープTが滑り難い形状としたり上端押さえ部101に高摩擦部材を貼付するようにしても良い。なお、反対側の壁板部108は壁板部99よりも若干低くされており、結束テープTを押し上げるものの下挟持部材43の下面に押し付けることはない。
そして、上挟持部材42と下挟持部材43とで集積紙幣Sを挟持しかつ切断接着ユニット96の上端押さえ部101で結束テープTを下挟持部材43に押し付けた状態で、制御部22は、テープ供給部86のテープ供給ローラ88を逆転させる。すると、図9に示すように、結束テープTの先端側が押さえられ、また結束テープTのテープ供給部86側は切断接着ユニット96のテープ案内穴100を通っており押さえられていないため、結束テープTがテープ供給部86で巻き取られる。これにより、テープ巻回ガイド84の内周面に沿っていた結束テープTの輪が小さくなり、やがて結束テープTは図9に示すように上挟持部材42および下挟持部材43とこれらに挟持された集積紙幣Sの結束部25側の部分に巻き付けられて緊張状態となる。
制御部22は、結束テープTの巻き取り開始から、結束テープTが緊張状態になったと見なすことができる所定時間経過すると、テープ供給ローラ88を停止させて、図10に示すように押付位置にある切断接着ユニット96内で下限位置にあったカッタ103を上限位置まで上昇させる。すると、カッタ103はその上端の切れ刃104がテープ案内穴100の上端のエッジ部分と協働して結束テープTを切断する。
結束テープTの切断の直後に近接するヒータ106が結束テープTの切断側部分を下から支持することになるが、制御部22は、この切断側部分を下挟持部材43の下面で上昇が規制された結束テープTの先端側部分に押し付けて熱接着させるようにヒータ106を、図11に示すように上限位置に向けて上昇させる。これにより、結束テープTの先端側部分の表面側に切断側部分が熱接着される。そして、ヒータ106の上昇開始後、熱接着が行われたと見なせる所定時間が経過すると、制御部22はカッタ103およびヒータ106を切断接着ユニット96に対し下限位置まで下降させると同時に切断接着ユニット96も待機位置まで下降させる。このようにして集積紙幣Sに結束テープTが巻かれて結束された状態となる。なお、カッタ103がヒータ106に対しテープ供給部86側に所定距離離間していることで、ヒータ106は、図13に示すように、結束テープTの切断側末端部に熱接着させられない非熱接着部110を形成しつつその内側に熱接着された熱接着部111を形成することになる。なお、この非熱接着部110の端部はカッタ103の切れ刃104の形状によって山形が複数並べられたギザ形状となる。
カッタ103およびヒータ106が切断接着ユニット96に対し下限位置まで下降し切断接着ユニット96も待機位置まで下降すると、制御部22は、クランプアセンブリ51を待機位置に向けて逆方向に移動させることになり、これにより、クランプアセンブリ51のクランプ部材60と載置台49とでクランプされた集積紙幣Sが、結束テープTの巻回により上挟持部材42および下挟持部材43により挟持された状態のまま引っ張られて一対の上挟持部材42および下挟持部材43から結束テープTとともに引き抜かれ、その後、クランプアセンブリ51の待機位置への戻りでクランプ位置に戻ることになる。このとき、上記したように、結束された集積紙幣Sが上挟持部材42および下挟持部材43間から引き抜かれる手前の引抜手前位置(図3において集積紙幣Sが二点鎖線で示される位置)までは、ガイド54が下降状態に維持されるため、集積紙幣Sの挟持による屈曲で結束テープTの両側が中央よりも下側に位置させられていてもガイド54に干渉することなく集積紙幣Sと一体に良好に引き抜かれる。
そして、最終的にクランプアセンブリ51が待機位置に戻ることで結束後の集積紙幣Sがクランプ位置に戻ると、ガイド54も上昇状態となって載置アーム53および載置台49とともに結束後の集積紙幣Sを支持する。また、クランプアセンブリ51が待機位置に戻ると、制御部22はクランプ部材60を上昇させて載置台49とのクランプを解除する。
そして、制御部22は、クランプ解除後に、ガイド軸47を中心に載置アーム53および載置台49を機体前方に傾動させることで、結束された集積紙幣Sを機体前方に滑らせ束放出口28から放出させて収納ボックス29に落とし込む。ここで、ガイド軸47はクランプ部41の機体前後方向における若干前側の下部に位置しており、載置台49および載置アーム53の集積部18側の端部が上昇するように所定角度揺動回転し、その後、載置台49が水平状態となるように復帰する。
なお、結束部25が上記のように集積紙幣Sを囲むようにテープ巻回ガイド84が設けられ、またテープ巻回ガイド84の開口部85側に切断接着ユニット96が設けられているため、結束後の結束テープTに日付やスタンプ印を記すのは困難であることから、表示記載部31は、テープ供給部86のテープ供給ローラ88の手前にある結束テープTに予め日付を印字したりスタンプ印を押印したりする。つまり、上記の結束部25による結束に際しては、結束テープTの使用量が事前に計算できるため、制御部22は、テープ供給ローラ88と表示記載部31との位置関係から日付およびスタンプ印が集積紙幣Sにおける結束テープTの所望の位置になるように印字位置および押印位置を割り出し、結束テープTの供給動作に連動して、供給途中で印字および押印を行うように制御する。
以上に述べた本実施形態の紙幣結束機11によれば、集積紙幣Sをその長手方向に沿って一方向に移動させて移動先端側を移動前方に配置された一対の上挟持部材42および下挟持部材43で挟持し、これら上挟持部材42および下挟持部材43で挟持された集積紙幣Sの周囲に結束テープTを巻回して結束した後、集積紙幣Sをその長手方向に沿って逆方向に移動させて一対の上挟持部材42および下挟持部材43から結束テープTとともに引き抜くことになるため、結束時の集積紙幣Sの移動が長手方向に沿う一方向および逆方向の往復動で済むことになる。したがって、構造を簡素化でき小型化できるとともに製造コストを低減することができる。
また、上記のように、集積紙幣Sを長手方向に送ることで集積紙幣Sに垂れ下がりを生じやすくなるが、集積紙幣Sの一方向の移動時における先端側の下部を支持するガイド54が昇降可能に設けられているため、ガイド54を一対の上挟持部材42および下挟持部材43に近い位置で上昇させれば集積紙幣Sの上挟持部材42および下挟持部材43の間への入り込み前の垂れ下がりの発生を確実に防止して集積紙幣Sを一対の上挟持部材42および下挟持部材43の間へ確実に入り込ませることができ、またガイド54を下降させれば一対の上挟持部材42および下挟持部材43の挟持によって集積紙幣Sが屈曲させられても集積紙幣Sおよび結束テープTがガイド54に強い力で接触してしまうことを防止でき、結束後の集積紙幣Sを結束テープTのズレ等を防止した上で容易に一対の上挟持部材42および下挟持部材43から抜くことができる。
具体的には、ガイド54は、集積紙幣Sの一方向への移動時に集積紙幣Sが一対の上挟持部材42および下挟持部材43の間に入り込み始める入込開始位置までは上昇状態にあることで、集積紙幣Sの上挟持部材42および下挟持部材43の間への入り込み前の垂れ下がりの発生を確実に防止して集積紙幣Sを一対の上挟持部材42および下挟持部材43の間へ確実に入り込ませることができ、集積紙幣Sの逆方向への移動時に集積紙幣Sが一対の上挟持部材42および下挟持部材43の間から引き抜かれる手前の引抜手前位置まで下降状態にあることで、一対の上挟持部材42および下挟持部材43の挟持によって集積紙幣Sが屈曲させられても集積紙幣Sおよび結束テープTがガイド54に強い力で接触した状態で移動させられてしまうことを防止でき、結束後の集積紙幣Sを結束テープTのズレ等を確実に防止した上で容易に一対の上挟持部材42および下挟持部材43から抜くことができる。
また、以上に述べた本実施形態の紙幣結束機11によれば、ヒータ106が、結束テープTの切断側末端部に熱接着させられない非熱接着部110を形成しつつ結束テープTを熱接着させることになるため、この非熱接着部110を摘んで引っ張れば、結束テープTの熱接着部111を剥がして結束を解くことができる。したがって、容易に解くことができるように結束できる。
加えて、カッタ103が、結束テープTを山形が複数並べられたギザ形状に切断するため、直線状に切断する場合と比較して指先に引っかかり易く摘み易い。したがって、さらに容易に解くことができるように結束できる。
さらに、ヒータ106が集積紙幣Sの集積方向に沿って直線状に往復動することで該集積紙幣Sに対し近接・離間するものとされているため、ヒータ106の移動機構を簡素化することができるとともに移動機構を含めたヒータ106のレイアウトスペースを小さくできる。また、このように直線状に移動するヒータ106に対してカッタ103をテープ供給部86側に配置することで、簡単に結束テープTに非熱接着部110を形成することができる。
なお、特開平8−164917号公報に示されるような、挟持部材によって挟持した集積紙幣に結束テープを巻き付け、その切断側部分に対してヒータが挟持部材の外面に沿ってスライドするようにして切断側部分を中間部側から切断側末端部に向けて徐々に熱接着させる紙幣結束機において、テープの切断側末端部に対して所定の距離をあけた状態でスライドが停止・終了するようにしても、結束テープの切断側末端部に熱接着させられない非熱接着部を形成しつつ結束テープを熱接着させることができる。
また、本実施形態の紙幣結束機11にあっては、結束テープTの切断・接着に際して、まず、カッタ103が切断接着ユニット96内で上昇して結束テープTを切断した直後に、ヒータ106が同じく切断接着ユニット96内で上昇して切断された結束テープTを熱接着するように説明しているが、これに限るものではなく、カッタ103とヒータ106とが切断接着ユニット96内で一体的に上昇して結束テープTを切断すると同時に熱接着するように構成することもでき、これにより、その駆動系をより簡素に構成できるものである。