JP4346359B2 - スピンコート装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックレンズ等の光学基材の表面にコーティング剤を塗布するスピンコート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック眼鏡とは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能する眼鏡であり、近年その需要は増大している。
【0003】
フォトクロミック性を有するプラスチックレンズの製造方法としては、フォトクロミック性を有しないレンズの表面にフォトクロミック化合物を含浸させる方法(以下、含浸法という)、モノマーにフォトクロミック化合物を溶解させそれを重合させることにより直接フォトクロミックレンズを得る方法{以下、練り混み法(inmass法)という}及びフォトクロミック化合物を含有するコート液(以下、フォトクロミックコート液ともいう)を用いてプラスチックレンズの表面にフォトクロミック性を有する層(以下、フォトクロミックコート層ともいう)を設ける方法(以下、コーティング法という)が知られている。これらの方法の中でも“コーティング法”は、他の2つの方法と比べて、原理的にはどのようなレンズ基材に対しても簡単にフォトクロミック性を付与できるという利点を有している。たとえば、含浸法においては基材レンズとしてフォトクロミック化合物が拡散し易い柔らかい基材を用いる必要があり、また練りこみ法においても良好なフォトクロミック性を発現させるためには特殊なモノマー組成物を使用する必要があるのに対し、“コーティング法”においては、このような基材に対する制約はない。
【0004】
“コーティング法”によるフォトクロミックレンズの製造は、レンズ基材の表面に光硬化性(光重合性)のフォトクロミックコート液を塗布して該コート液からなる塗膜を形成した後に紫外線等の光を照射して該塗膜層を硬化させることによって行われる(特許文献1)。この際、コート液に溶解するフォトクロミック化合物の濃度には限界があるため、十分な発色濃度のフォトクロミックレンズを得るためには、上記塗膜の厚さを例えば5μm以上、好ましくは30μm以上と、眼鏡レンズに一般的に施されているハードコートの膜厚(約1μm)と比べて非常に厚くする必要がある。
【0005】
このため、光硬化性(光重合性)のフォトクロミックコート液には、フォトクロミック化合物を高濃度含有し、塗膜形成が可能でしかも塗膜が形成されてから塗膜を硬化されるまでの間の液垂れによる塗膜の変形が起こり難いといった適度な粘度(例えば25℃における粘度が25〜1000センチポアズ)を有することが望まれる。本発明者等は、このような要求を満足すると共に基材に対する密着性に優れるフォトクロミックコート層を与える光硬化性のフォトクロミックコート液を開発している(特願2001−227374号、特願2002−354291号及び特願2002−372835号)。
【0006】
一般にレンズ基材のコーティングにはスピンコート装置が用いられており、上記コーティング法における塗膜形成にもスピンコート装置を用いるのが好ましいが、スピンコート装置を用いて基材レンズ表面に上記のようなフォトクロミックコート液を塗布し、前記したような膜厚の塗膜を均一に形成するのは必ずしも容易ではない。
【0007】
即ち、スピンコート装置を用いた塗膜の形成は、回転可能に保持されたレンズ基材の回転中心近傍にコート液(コーティング剤)を供給した後に基材を回転させることにより基材表面全体にコート液を延展させ、さらに基材を高速回転にさせることにより余分なコート液を振り落とし所望の膜厚に調整することにより行われるが、前記したようなフォトクロミックコート液を用いた場合には、(i)基材とフォトクロミックコート液剤との濡れ性が十分でない場合が多く、高速回転させても塗膜が形成されない領域が出来てしまうという問題、或いは(ii)このような領域をなくすためには大過剰量(例えば塗膜として基材表面に残る量の20倍以上の量)のコート液を供給する必要があるという問題があった。
【0008】
スピンコート装置を用いて、基材表面上に均質な塗膜を形成する技術としては、基板上にレジスト塗膜を形成する技術として、膜基板を50乃至150rpmの低速で回転しながら塗布液供給ノズルを回転する基板の半径方向に移動させて塗布液を供給して基板のほぼ全面にほぼ均一に塗布した後、該基板を所望する膜厚の塗膜を形成させる為に回転させるスピンコート方法(特許文献2参照)や、“コーティング法”によりレンズ基材上にフォトクロミックコート液の塗膜を形成する技術として、回転する基材表面上に、噴霧ノズルと基材表面との距離が0.76〜1.52センチとなるようにノズルを基材の半径方向に移動し、且つ噴霧径(基材にコート液が噴霧されたときにできる円の径)を特定の範囲に制御しながらノズルよりコート液を噴霧しコート液を基材全体に塗膜する方法(特許文献3参照)等が知られている。
【0009】
【特許文献1】
国際公開第01/02449号パンフレット
【特許文献2】
特開昭55−41864号公報
【特許文献3】
米国特許第6352747号明細書
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の方法(特許文献2に開示されている方法)を“コーティング法”に適用した場合には、ノズルを移動させない場合に比べて使用するコート液の量は減らせるもの、基板のほぼ全面をコート液で濡らすためにはやはり過剰量(例えば塗膜として基材表面に残る量の5〜10倍の量)のコート液が必要となる。
【0011】
また、後者の方法(特許文献3に開示されている方法)では、コート液を噴霧するための装置及びノズル位置を精密に制御するための装置が必要となるばかりでなく、曲率の異なるレンズ基材に対して適用する場合には、その都度ノズルの移動パターンを設定し直す必要があり、操作が煩雑となる。
【0012】
そこで、本発明は、優れたフォトクロミック特性及び光学特性を有するフォトクロミックレンズを“コーティング法”により簡便かつ効率的に製造するために好適に使用できるスピンコート装置、即ち、簡単な構造を有し、操作も簡単で、少ないフォトクロミックコート液を使用してレンズ基材の表面に所期の厚さを有する塗布膜を形成できるスピンコート装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、一般的なスピンコート装置に可撓性フィルムを用いた新規なコート液延展補助機構を付設することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、曲面を有する基材を保持し、保持された基材を回転軸を中心に回転させる基材保持回転手段及び当該基材保持回転手段に保持された前記基材の曲面の回転中心近傍にコート液を供給するコート液供給手段を有し、基材を回転させることにより基材の曲面上に供給されたコート液を延展せしめて該基材の曲面上にコート液の塗膜を形成するスピンコート装置において、(i)可撓性フィルムと、(ii)該可撓性フィルムを保持するフィルム保持手段と、(iii)当該フィルム保持手段に保持された前記フィルムを、前記フィルムが撓んだ状態で該フィルムの面の一部前記基材の曲面上に供給されたコート液に接触させながら前記基材の中心部近傍から周縁に向かって移動させるフィルム移動手段と、を含んでなる「コート液延展補助手段」を有することを特徴とするスピンコート装置である。
また、本発明は、前記可撓性フィルムの撓みの状態が該フィルムの下端部が基材の回転方向と同方向に向かって屈曲する状態であり、当該屈曲角を90〜150度とするスピンコート装置である。
【0015】
また、他の本発明は、上記本発明のスピンコート装置を用いて曲面を有する光学基材の表面に25℃における粘度が25〜1000センチポアズの硬化性コート液からなる塗膜を形成した後、当該塗膜を硬化させることを特徴とする表面にコート膜を有する光学物品の製造方法である。
さらに、本発明は、前記硬化性コート液が光硬化性のフォトクロミックコート液であって、該硬化性コート液からなる塗膜の厚さを5μm以上とする光学物品の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のスピンコート装置は前記コート液延展補助手段を有することを最大の特徴とし、本発明のスピンコート装置用いることにより、例えば次のようにしてレンズ基材等の曲面を有する基材の当該曲面上に均一な塗膜を形成することができる。即ち、先ず、眼鏡レンズのように曲面を有する基材を基材保持回転機構により保持した後に保持された基材を例えば20〜150rpmといった比較的低速で回転させながらコート液供給機構より基材の曲面の回転中心近傍にコート液を供給する。次いで、コート液延展補助手段を作動させ、前記フィルム移動機構により可撓性フィルムが基材2の中心部近傍の位置に配置され、該可撓性フィルムが撓んだ状態で該可撓性フィルムの面の一部がコート液に接触した状態を保ちながら基材の周縁に向かって移動させる。こうすることにより、25℃における粘度が25〜1000センチポアズといった高粘度のコート液を用いても少ないコート液量でコート液を基材の表面の全面を覆うように延展させることができる。コート液の延展が終了したら回転速度を所定の回転速度まで上昇させ、遠心力により余分なコート液を振り落とすことにより均一な塗膜を形成することができる。
【0017】
以下、図面を用いて本発明のスピンコーティング装置およびこれを用いた光学物品の製造方法について詳しく説明する。
【0018】
代表的な本発明のスピンコート装置1の斜視図を図1に示す。該スピンコート装置1は図1に示されるように、基材保持回転機構100、コート液供給機構200、コート液延展補助機構300を有し、更にコート液延展補助機構300は、可撓性フィルム310、フィルム保持機構320およびフィルム移動機構330より構成される。
【0019】
基材保持回転機構100は、被処理体である眼鏡レンズ等の曲面を有する基材2を保持し回転させる機能を有する。該基材保持回転機構100は回転可能な軸(回転軸)110を有しており、基材2を、その一方の面が上方に向かって露出し、当該露出面の中心若しくはその近傍の任意の1点における法線と前記回転軸の中心線(若しくはその延長線)とが一致するようにして回転可能に保持する。このため、該保持回転機構に基材を保持したままスピンコートを行なうことが可能となっている。基材保持回転機構100はこのような機能を実現できるものであれば特に限定されないが、好適な態様としては、サーボモータと該サーボモータの回転軸と連結する「基材を保持するための取り付けアダプタ」とからなるものを挙げることができる。該取り付けアダプタは例えばその上部にレンズを載置したときにレンズ底面とアダプタ上面とで密閉された空間ができるような構造となっているとともに該空間は外部の排気装置と通路を通じて連通する構造となっており、該空間内を減圧とすることにより載置されたレンズを保持できるようになっている。
【0020】
コート液供給機構200は、基材保持回転機構100により保持された基材2の曲面の回転中心近傍にコート液を供給する機構であり、支柱210、支柱210に取り付けられたアーム220、アーム220に取り付けられたノズル230を有している。支柱210はエアシリンダ211を有しており、ノズル230を上下方向に移動することができ、これにより、基材2の高さに応じてノズル230の高さを調節することが出来る。また、アーム220は支柱210を中心に回転可能となっている。
【0021】
前記ノズル230は、図示しないコーティング剤タンクから所定量のコーティング剤をレンズの露出面に供給できるようになっている。また、該ノズルは前記アーム220に沿って移動可能とし、レンズ中心部からアームの根元側に移動させながらコーティング剤を供給できるようすることも可能である。なお、上記ノズルの移動の際、アーム220を上下に移動することにより、上記移動の際にノズルの吐出口とレンズ表面との距離を調節するようにすることも可能である。
【0022】
コート液延展補助機構300は、コート液供給機構200により基材2の曲面の回転中心近傍上に供給されたコート液を該基材の周縁方向へ向かって延展する機構であり、前述したように可撓性フィルム310、フィルム保持機構320およびフィルム移動機構330より構成される。
【0023】
フォトクロミックレンズを“コーティング法”で製造する場合に使用するフォトクロミックコート液は前記したような高い粘度を有するため、基材の中心近傍に供給されたコート液は回転による遠心力だけでは基材の全面を覆うようにきれいに延展しない。そこで、何らかの補助手段を用いてコート液が基材表面のほぼ全面を覆うように強制的に延展させる必要がある。このような捕縄手段として例えばヘラ状の治具を用いることも可能であるが、(ヘラの材質としてゴム等の弾性材料を使用してもこれら材質は僅かな力では変形しないため)厚みムラを小さく(厚みムラが大きいとコート液の過剰使用量が多くなる)延展させるためには基材表面とヘラとの間隔(隙間)を高精度で制御する必要がある。これに対し、治具として可撓性のフィルムを用いた場合には、図2を用いて以下に説明するように、高度な位置制御を行なわなくてもフィルムの復元力を利用してコート液をきれいに延展させることができる。
【0024】
即ち、図2は、上記コート液延展補助機構300の作動機構を説明するための図であるが、フィルム保持機構320により保持された可撓性フィルム310が撓んだ状態で基材2上のコート液cに接触した状態で基材2を回転させるとフィルムによって一部塞き止められた基材上のコート液が該フィルムと基材との間に一時的に溜まるが、この溜まったコート液は該フィルムの(ほぼ一定の)復元力によってほぼ均一の厚さに押し延ばされる。そしてこの状態を保ちながらフィルムをフィルム移動機構330により周縁に向かって徐々に移動させた場合には、基材曲面のカーブにしたがってフィルムの撓み具合は変化するがその復元力はあまり変化しないため、フィルムの上下方向の位置制御を行なわなくてもコート液を基材表面全面に渡ってきれい(濡れムラ無くほぼ均一な厚さで)覆うように延展させることができる。また、厚みムラを発生しないようにコート液を延展することができるので、コート液の利用率を高くすることもできる。
【0025】
前記可撓性フィルム310の材質及び膜厚は特に限定されず、該可撓性フィルムが撓んだ時の復元力及びコート液の粘度を勘案し決定すればよい。なお、フィルムの材質が硬すぎたり或いはその厚さが厚すぎたりして使用するコート液の粘度或いは稠度に対して適度な可撓性を有しなくなった場合には、フィルムが撓んだ時の復元力が強くなりすぎ、基材上のコート液を必要以上に塞き止めてしまい、膜厚の均一な塗膜が得られない傾向がある。また、逆に、フィルムの材質が柔らかすぎたり或いはその厚さが薄すぎたりして使用するコート液の粘度或いは稠度に対して適度な可撓性を有しなくなった場合にはフィルムが撓んだ時の反復元力が弱くなりすぎ、コート液を十分に押し出すことができずコート液を基材表面全体へ延展させることができない。例えば、使用するコート液の25℃の粘度が25〜1000センチポアズである場合には、前記可撓性フィルムとしてはポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる厚さ10〜200μmのフィルムを使用するのが好適である。
【0026】
また、前記フィルム保持機構320は、ロッド321に連結するクランプ322を有し、該クランプ322に挟持することにより可撓性フィルムを保持できるようになっている。さらに、ロッド321に保持された該可撓性フィルムの角度を調整する為のジョイント部323を有している。
【0027】
また、前記フィルム移動機構330は、エアシリンダ331aを有する支柱331、支柱331に取り付けられたアーム332、フィルム保持機構320に連結するロッド321からなっており、当該ロッド321がアーム332に沿って移動できるようになっている。また、アーム332は支柱331を中心に回転可能となっており、該支柱331はエアシリンダ331aによって上下に移動可能となっている。
【0028】
基板2上に供給されたコート液cを延展する場合には、次のようにすればよい。即ち、先ず前記コート液供給機構200のアーム220を、支柱210を中心に回転させてノズル230を基材上から移動させる。その後、コート液延展補助機構300のアーム332を回転させて該アーム332が基材2の中心近傍を通るように移動させると共に前記ロッド321をアームに沿って移動させて可撓性フィルム310が基材の回転中心部近傍の上方に位置するように移動させる。このとき可撓性フィルム310は基材の回転中心よりやや外側の位置するようにするのが好ましい。これにより基材の中心部に膜厚の大きいコート液の領域が残存することにより、コート液延展補助機構300によりコート液が延展された後、基材2の回転を規定の回転数まで上昇させたときに、該基材の中心部に残存したコート液が遠心力により外縁方向へと延展され、均一な膜厚の塗膜を得ることができる。また、可撓性フィルム310は、基材2に対して図3に示すような位置となるようにするのが好ましい。即ち、図3中のlは撓む前の状態の可撓性フィルムの底辺f上の最も基材の中心側の点と基材の回転中心rとを通る直線を示し、tはlとfが成す角を示しているが、基材が回転する際に該フィルムと基材との間に溜まったコート液が、効率よく周縁方向へと流動し、コート液を外縁方向へ広げることが出来るという理由から、上記tが0〜60度となるようにするのが好適である。
【0029】
ロッド321の位置調節が済んだら、エアシリンダ331aを駆動させてアーム332を、可撓性フィルムが撓んだ状態でその一方の面がコート液に当接するまで降下させる。このとき基材は低速で回転させていても停止させていてもよい。なお、この時の撓みの程度は特に限定されず該可撓性フィルムの下端部が基材の回転方向と同方向に向かって屈曲する状態であれば特に限定されないが屈曲角(フィルムの両端部近傍の接線が成す角)は90〜150度であるのが好適である。アームの下降が終了したら、基材2を低速(例えば20〜150rpm)で回転させながらアーム332に沿ってロッド321を動かし可撓性フィルム310を撓んだ状態のまま基材中心部から周縁部に向かって(即ちアームの根元側)に移動させればよい。こうすることによりコート液を基材2の外縁方向へと延展することができる。このとき、最初にフィルムを十分撓ませておけばアームの高さを調節する必要はないが、基材の中心部と周縁部の高低差が大きく、周縁部においてフィルムの撓みがなくなるような場合は上記移動に合わせて連続的又は段階的にエアシリンダ331aを駆動させてアーム位置を下降させてもよい。
【0030】
以上、図面に基づき本発明のスピンコート装置ついて説明したが、本発明の装置は図に示したものに限定されない。基材保持回転手段、コート液供給手段、フィルム保持手段およびフィルム移動手段としては所期の機能を果たすものであれば、どのような構造のものでも使用することができる。たとえば、コート液供給手段とフィルム移動手段とは支柱、エアシリンダおよびアームを共有してもよく、更にアームを共有して一つのアームにノズルとフィルム保持手段を連結させることも可能である。また、基材保持回転手段およびコート液供給手段を有するスピンコート装置は汎用的なものであり、様々なタイプのものが市販されているが、このような公知のスピンコート装置に
前記コート液延展補助手段を付設(増設)したものも本発明のスピンコート装置として好適に使用できる。また、スピンコート後の硬化を行なうための硬化装置と一体となった構造を有していてもよい。
【0031】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
チオウレタン樹脂製のレンズ基材(プラノーレンズ:度数0.00)の表面に下記組成のフォトクロミックコート液を下記(1)〜(5)に示す手順により、スピンコートにより塗膜を形成した後、光重合装置を用いて上記塗膜を硬化させ、表面にフォトクロミックコート層を有するプラスチックレンズ(製品レンズ)を製造した。
〔フォトクロミックコート液剤組成〕
・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 10重量部
・トリメチロールプロパントリメタクリレート 15重量部
・ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート 15重量部
・グリシジルメタクリレート 10重量部
・平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート 10重量部
・平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン 40重量部
・N−メチルジエタノールアミン5重量部
・ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート 5重量部
・IRUGACURE1800:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドの3対1の比の混合物 0.4重量部
・下記式で示されるフォトクロミック化合物 2.5重量部
【0033】
【化1】
Figure 0004346359
【0034】
〔操作手順〕
(1) 先ず、基材の前処理として、チオウレタン樹脂製のレンズ基材(プラノーレンズ:度数0.00、直径約70mm)の前処理をアルカリ水溶液にて行なった。
【0035】
(2) 上記前処理済みのレンズを図1に示すスピンコーティング装置の基材保持回転機構に保持し、コート液供給機構よりレンズ表面中心部にフォトクロミックコート液0.6mlを供給し、50rpmの回転数でレンズを回転させながらコート液延展補助機構により上記フォトクロミックコーティング剤を延展した。使用したコート液の液量は0.6mlと少量であったが濡れない領域は無くきれいにコート液を基材表面全体に延展させることができた。次いでレンズの回転数を600rpmに上昇させ5秒間回転させ、余分なフォトクロミックコーティング剤を振り落とした。
【0036】
(3) スピンコート終了後の塗膜形成されたレンズ基材を光重合装置内に移送して、装置内に窒素を導入し装置内の雰囲気を酸素濃度が500ppm以下とした。
【0037】
(4) 次いで、Fusion UV Systems社製無電極UVランプ(F300SQ)を使用してUV光を3分間照射し、硬化を行なった。
【0038】
(5) 硬化終了後、120℃で1時間アニールを行い、製品レンズを完成させた。
【0039】
得られた製品レンズについて、基材のコーティング層の膜厚について測定を行ったところ、周縁から2mmの領域(この部分については不可避的起こる液垂れにより膜厚が厚くなる。眼鏡レンズとしてして使用する場合は加工時に除去されるので問題ない。)を除く部分の膜厚は40μm±1μmであった(10点測定)。
【0040】
比較例1
実施例1において、操作手順(2)を下記の操作(2’)にて行なった以外は実施例1と同様にして表面にフォトクロミックコート層を有するプラスチックレンズ(製品レンズ)を製造した。得られた製品レンズについて、基材のコーティング層の膜厚について測定を行ったところ、周縁から2mmの領域を除く部分の膜厚は40μm±1μmであった(10点測定)。
【0041】
(2’) スピンコーティング装置(ミカサ製)に前記前処理済みのレンズをセットし、これを50rpmの回転数で回転させた。次いで、回転しているレンズの表面中心部から外縁方向へ向けてノズルをゆっくりと移動させながら当該ノズルよりフォトクロミックコート液を連続的に供給しレンズ表面へ塗膜した。このときレンズ表面全体を塗膜するのに必要としたフォトクロミック剤は5mlであった。レンズの回転数を600rpmに上昇させ5秒間回転させ、余分なフォトクロミックコーティング剤を振り落とした。
【0042】
【発明の効果】
本発明のスピンコート装置を用いることにより、眼鏡レンズのように曲面を有する基材の表面に例えば40μmといった厚さのコーティング剤層を少ない液量で均一に塗膜可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は、代表的な本発明のコーティング装置の斜視図である。
【図2】 本図は、図1に示す装置のコート液延展補助機構及びその作動機構を説明する為の概略図である。
【図3】 本図は、図1に示す装置を用いてスピンコートを行なう際に、基材と可撓性フィルムの好適な位置関係を示す図である。
【符号の説明】
1:スピンコーティング装置
2:基材
100:基材保持回転機構
110:回転軸
200:コート液供給機構
210:支柱
211:エアシリンダ
220:アーム
230:ノズル
300:コート液延展補助機構
310:可撓性フィルム
320:フィルム保持機構
321:ロッド
321a:ジョイント部
322:クランプ
330:フィルム移動機構
331:支柱
331a:エアシリンダ
332:アーム
c:コート液
f:可撓性フィルムの底辺部
r:基材の回転中心
l:f上の最も基材の中心側の点と基材の回転中心rとを通る直線
t:fとlがなす角

Claims (4)

  1. 曲面を有する基材を保持し、保持された基材を回転軸を中心に回転させる基材保持回転手段及び当該基材保持回転手段に保持された前記基材の曲面の回転中心近傍にコート液を供給するコート液供給手段を有し、基材を回転させることにより基材の曲面上に供給されたコート液を延展せしめて該基材の曲面上にコート液の塗膜を形成するスピンコート装置において、可撓性フィルムと、該可撓性フィルムを保持するフィルム保持手段と、当該フィルム保持手段に保持された前記フィルムを、前記フィルムが撓んだ状態で該フィルムの面の一部前記基材の曲面上に供給されたコート液に接触させながら前記基材の中心部近傍から周縁に向かって移動させるフィルム移動手段とを含んでなるコート液延展補助手段を有することを特徴とするスピンコート装置。
  2. 前記可撓性フィルムの撓みの状態が該フィルムの下端部が基材の回転方向と同方向に向かって屈曲する状態であり、当該屈曲角を90〜150度とする請求項1に記載のスピンコート装置。
  3. 請求項1又は2に記載のスピンコート装置を用いて曲面を有する光学基材の表面に25℃における粘度が25〜1000センチポアズの硬化性コート液からなる塗膜を形成した後、当該塗膜を硬化させることを特徴とする表面にコート膜を有する光学物品の製造方法。
  4. 前記硬化性コート液が光硬化性のフォトクロミックコート液であって、該硬化性コート液からなる塗膜の厚さを5μm以上とする請求項3に記載の光学物品の製造方法。
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