JP4345955B2 - 反射型可変光アッテネータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一端側から入力する光が光素子群を進行して他端側のミラー手段に達し、該ミラー手段による反射光が光素子群を逆行して一端側から出力し、光が光素子群を往復する間に可変ファラデー回転子によって光量が制御されるようにした反射型可変光アッテネータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−161076号公報
【0003】
光通信システムあるいは光計測システムなどにおいては、透過光量を制御するための可変光アッテネータが必要となる。可変光アッテネータは、通常、可変ファラデー回転子の入力側と出力側に偏光子と検光子を設置する構成であり、ファラデー素子に印加する磁界を可変することにより、検光子を透過する光量が制御されるようになっている。
【0004】
光通信用の可変光アッテネータとしては、偏波無依存性であること、信頼性が高いこと、光ファイバとの整合性が良好なことなどが肝要である。そのような要求を満たしうるものとして、例えば偏波面に応じて光路を制御する複屈折素子と偏波面の回転角を制御する可変ファラデー回転子などの各種光素子を組み合わせ配列した光素子群によって必要な光機能部とする構成がある。
【0005】
かつては、光素子群の一端側から光が入力し、光素子群を進行して、他端側から出力する透過型が一般的であった。しかし近年、光デバイスの小型化などの観点から、配列されている光素子群とミラー手段とを組み合わせ、一端側から入力する光が光素子群を進行して他端側のミラーに達し、該ミラーで反射した光が光素子群を逆行して一端側から出力し、光が光素子群を往復する間、光量の制御を行う反射型が開発されている。例えば特許文献1には、入力ファイバと出力ファイバを備えた2芯フェルールと、レンズと、複屈折板と、ファラデー素子(磁気光学結晶)と、ミラー(リフレクタ)とを配列し、ファラデー素子に磁界を印加することでファラデー回転角を変化させる構成の光デバイスが開示されている。
【0006】
これらの光デバイスにおいて、光量の制御は、可変ファラデー回転子の電磁石への通電電流の制御によって行われる。フェルール端面から出射して可変ファラデー回転子のファラデー素子(磁気光学結晶)へ向かう往路光は、レンズでコリメートされ、ミラーで反射された復路光はレンズでフェルール端面に集光するように構成されている。また、光量制御のために用いられている電磁石は、通常、C型ヨークにコイルを巻装した構造であり、光路中に挿入されているファラデー素子をそのギャップで挟むように配置し、漏れ磁界により該ファラデー素子に必要な方向への可変磁界が印加できるように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような反射型の光デバイスは、反射光が光素子群を再度通過することで必要な機能をもたせることができるため、部品点数を削減でき光軸方向の長さを大幅に短縮できる利点を有する。しかし上記のような従来技術では、ファラデー素子を透過する際に光ビームはコリメートされているため、ファラデー素子の有効径を大きく設定する必要があった。それに伴って、コイルを巻装したC型ヨークの光軸に対して直交する方向(幅方向)の寸法も大きくなるために、光デバイス全体としての小型化(小径化)は不十分であった。特に、複数の光アッテネータを並設する場合には大型化が顕著となる欠点があった。
【0008】
本発明の目的は、光軸方向の寸法のみならず、光軸に直交する方向の寸法も短縮でき、全体として大幅な小型化が可能な反射型可変光アッテネータを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも複屈折素子とファラデー素子を有する光素子群とミラー手段、及びファラデー素子に外部磁界を印加する可変磁界印加手段とを具備し、ファラデー素子と可変磁界印加手段によって可変ファラデー回転子が構成され、一端側から入力する光が光素子群を進行して他端側のミラー手段に達し、該ミラー手段による反射光が光素子群を逆行して一端側から出力し、光が光素子群を往復する間でファラデー回転角に応じて光量が制御される可変光アッテネータである。本発明に係る反射型可変光アッテネータでは、光素子群は更に、入力光をコリメートする第1のレンズ手段と、そのコリメート光を集光する第2のレンズ手段を備え、該第2のレンズ手段の焦点近傍にミラー手段が位置し、ファラデー素子が前記ミラー手段の直前の光路中に設置され、コリメート光を第2のレンズ手段で細く絞った状態でファラデー素子を往復させており、その点に特徴がある。
【0010】
光素子群としては、例えば2芯ファイバフェルールと、両方の光路に独立に挿入されたレンズを有する第1のレンズ手段と、透過する光の偏波状況に応じて光路を制御する複屈折素子と、両方の光路に共通に挿入されたレンズからなる第2のレンズ手段と、ファラデー素子を、その順序で且つ第1のレンズ手段の焦点近傍に2芯ファイバフェルールのファイバ端面が位置するように配列した構成がある。この場合、複屈折素子と、第2のレンズ手段と、可変ファラデー回転子と、ミラー手段を、同一基板上に位置決めし接着する構造が好ましい。複数の反射型可変光アッテネータを並設する場合には、全てを同一基板上に互いに近接した状態で搭載することができる。
【0011】
また他の光素子群としては、例えば2芯ファイバフェルールと、透過する光の偏波状況に応じて光路を制御する複屈折素子と、両方の光路に共通に挿入されたレンズからなる第1のレンズ手段と、光軸に対する光路の傾きを制御する光路補正用のプリズム手段と、両方の光路に共通に挿入されたレンズからなる第2のレンズ手段と、ファラデー素子を、その順序で且つ第1のレンズ手段の焦点近傍に2芯ファイバフェルールのファイバ端面が位置するように配列した構成もある。
【0012】
本発明において、可変ファラデー回転子は、例えばミラー手段の背後に設けた棒状もしくは板状の永久磁石と、C型ヨークにコイルを巻装した電磁石を備え、該C型ヨークはギャップ内にファラデー素子が設置されるように構成され、永久磁石によってファラデー素子の面に垂直な方向に飽和磁界を印加し、電磁石によってファラデー素子の面に平行な方向に可変磁界を印加するような構造とする。
【0013】
ミラー手段は、単体のミラーであってもよいが、ファラデー素子の背面に形成したミラー膜、あるいは永久磁石の一方の端面(ファラデー素子対向面)に形成したミラー膜でもよい。このようにミラー膜を用いると、部品点数が少なくなるし、ファラデー素子と永久磁石の間隔を最小にできるため磁気効率が向上し、永久磁石をより一層小型化できる利点がある。
【0014】
複屈折素子としては、例えばルチル単結晶あるいはニオブ酸リチウムなどを用いる。またファラデー素子としては、例えば磁性ガーネット単結晶、特にLPE(液相エピタキシャル)法により育成したビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜が好適である。両面を研磨し、光が透過する面にはAR(無反射)コートを施す。
【0015】
【実施例】
図1は、本発明に係る反射型可変光アッテネータの一実施例を示す説明図であり、部品の配列構造と各光素子の位置での光の偏波状態を示している。この可変光アッテネータは、2芯ファイバフェルール10と、両方の光路に独立に挿入された2個のレンズ12a,12bからなる第1のレンズ手段12と、透過する光の偏波状況に応じて光路を制御する複屈折素子14と、両方の光路に共通に挿入されたレンズ(第2のレンズ手段)16と、ファラデー素子18と、ミラー20とを、その順序で光軸に沿って配列した構成である。ファラデー素子18の近傍に永久磁石22と電磁石24を設置して可変ファラデー回転子26とする。
【0016】
ここで説明を分かり易くするため、光素子群の配列方向(光軸)をz軸とし、該z軸に直交する2方向をそれぞれx軸(横軸)、y軸(縦軸)とする座標軸を設定する。また便宜的に、x方向を右方向(往路光が進む方向に向かって右側)とし、y方向を上方向(往路光が進む方向に向かって上側)とする。
【0017】
2芯ファイバフェルール10の一端側には、入力ファイバ30と出力ファイバ32が接続されている。入力ファイバ30は中段右側に設けられ、出力ファイバ32は中段左側に設けられている。つまり、入力ファイバ30と出力ファイバ32は、y方向の位置は一致しているが、x方向ではずれて配置されている。
【0018】
第1のレンズ手段12は、両方の光路にそれぞれ挿入されたレンズ12a,12bからなり、両レンズ12a,12bは、例えば均質の透明材料からなる平凸レンズである。2芯ファイバフェルール10のファイバ端面と両レンズ12a,12bとの距離がレンズの焦点距離にほぼ一致するように設定されている。従って、ファイバ端面からの出射光は一方のレンズ12aでコリメート光となり、逆に入射したコリメート光は他方のレンズ12bでファイバ端面に集光することになる。
【0019】
複屈折素子14は、ルチルやニオブ酸リチウムなどの複屈折結晶からなる直方体であり、その光学軸はy−z面内にあり且つz軸から傾いて設定されている。常光は直進し異常光は屈折するために、この複屈折素子14は、偏波方向が直交関係にある同じ光路の光を上下に異なる光路の光に分離し、上下で異なる光路の光を同じ光路の光に合成する機能を果たす。
【0020】
レンズ(第2のレンズ手段)16は、例えば均質の透明材料からなる単一の平凸レンズである。該レンズ18の焦点近傍にミラー20が位置し、ファラデー素子18は前記ミラー20の直前の光路中に設置される。従って、レンズ12aによるコリメート光は、複屈折素子14を通過し、レンズ16で絞られてファラデー素子18を透過し、ミラー20で焦点を結ぶように入射し反射する。そして、細いビームの間にファラデー素子18を透過してレンズ12bでコリメート光に戻る。
【0021】
ミラー20の背後には棒状の永久磁石22が位置する。永久磁石22は、長手方向に着磁されており、永久磁石によってファラデー素子18の面に垂直な方向に飽和磁界が印加される。また、永久磁石22を囲むと共にギャップ内にファラデー素子18が挿入されるようにC型ヨーク34が設けられ、該C型ヨーク34にコイル36を巻装することで電磁石24となる。この電磁石24によってファラデー素子18の面に平行な方向に可変磁界が印加される。可変ファラデー回転子26では、電磁石24による可変磁界と永久磁石22による固定磁界とが合成され、これらの合成磁界がファラデー素子18に印加されることで、入射光のファラデー回転角を0〜45度の範囲で自由に可変できるようになっている。
【0022】
次に、この可変光アッテネータの動作について説明する。入力ファイバ30から中段右側光路に入力する光は、レンズ(第1のレンズ手段)12aでコリメート光となり、複屈折素子14で常光は中段右側光路を直進し、異常光は+y方向(上向き)に屈折して上段右側光路を進行する。このように分離した光はレンズ(第2のレンズ手段)16で絞られて、ファラデー素子18を透過してミラー20に達する。
【0023】
(45度ファラデー回転時:減衰率≒0%)
往路では、分離光はレンズ(第2のレンズ手段)16の集光作用によって絞られて、可変ファラデー回転子26で(ファラデー素子18を透過する際に)それぞれ光の偏波面が45度回転し、ミラー20の一点に入射し反射する。次に復路では、反射光は光路が上下左右で入れ替わると共に絞られた状態のまま可変ファラデー回転子26で(ファラデー素子18を透過する際に)それぞれ光の偏波面が更に45度(従って、往路と復路で合計90度)回転する。レンズ(第2のレンズ手段)16を通ってコリメート光とされ、複屈折素子14で常光は直進し、異常光は−y方向(下向き)に屈折して、光が合成される。合成した光は全て中段左側光路を通るため、レンズ(第1のレンズ手段)12bで集光され、出力ファイバ32に結合する。従って、入力ファイバ30からの入力光は減衰することなく出力ファイバに出力する。
【0024】
(0度ファラデー回転時:減衰率≒100%)
往路では、分離光はレンズ16の集光作用によって絞られ、可変ファラデー回転子26では偏波面は回転せず、ミラー20の一点に入射し、反射する。復路では、反射光は光路が上下左右で入れ替わると共に絞られたまま可変ファラデー回転子26では偏波面は回転せず、レンズ16によってコリメート光となる。複屈折素子14で上段光路の常光は直進し、中段光路の異常光は−y方向(下向き)に屈折するため、光は上段左側光路と下段左側光路を通過するように更に分離されることになり、レンズ12bを通らず出力ファイバ32には全く結合しない。
【0025】
(22.5度ファラデー回転時:減衰率≒50%)
ファラデー回転角が45度と0度の間の場合は次のようになる。代表的な例として中間の22.5度の場合を説明する。往路では、分離光はレンズ16の集光作用によって絞られ、可変ファラデー回転子26でそれぞれ光の偏波面が22.5度回転し、ミラー20の一点に入射し反射する。復路では、反射光は光路が上下左右で入れ替わると共に絞られた状態のまま可変ファラデー回転子26でそれぞれ光の偏波面が更に22.5度回転(従って、往路と復路で合計45度回転)し、レンズ16によってコリメート光となる。上段光路の光は、複屈折素子14で常光は直進し、異常光は−y方向(下向き)に屈折する。中段光路の光も、複屈折素子14で常光は直進し、異常光は−y方向(下向き)に屈折する。従って上段光路の異常光と中段光路の常光は合成され、残りの光は分離されたままとなる。つまり、合成した中段左側光路の光だけがレンズ12bで集光されて出力ファイバ32に結合し、残りの光(上段光路の常光と下段光路の異常光)は出力ファイバ32には結合しない。このようにして入力ファイバ30からの入力光は、ファラデー回転角に応じて出力ファイバ32に結合することになり、結果的に出力ファイバへの出力が減衰することになる。
【0026】
このようにして、可変ファラデー回転子16のファラデー回転角を0度から45度の範囲で自由に可変することで、制御したファラデー回転角に応じて出力ファイバ32への光の結合割合が得られ、出力光量を制御できるのである。
【0027】
本発明に係る反射型可変光アッテネータでは、コリメート光が第2のレンズ手段(レンズ16)によって絞られ、絞られた状態でファラデー素子18を往復透過するため、ファラデー素子18の有効径は極めて小さくてよい。従って、ファラデー素子自体の寸法(縦横寸法)も非常に小さなものでよいことになる。例えば焦点距離の等しいレンズを用いると、ミラー位置におけるビームサイズはファイバ径と同等となり、単一モードファイバの場合約φ10μm程度となる。よって、ファラデー素子18は一辺が0.1mm程度の大きさで十分な光学的有効面積を確保できる。図示のように、電磁石24による可変磁界は、ファラデー素子18の面に平行な方向に印加するため、一辺の長さを小さくできることでC型ヨーク34の光軸に垂直方向の長さを小さくできるし、ギャップが小さくなるために小型の電磁石で十分な磁界が印加でき、これらの相乗効果によって、電磁石を著しく小型化できるようになる。例えば上記の数値例では、C型ヨーク34の幅は5mm以下にまで小型化できる。
【0028】
反射型の光デバイスでは、光はミラーで反射されるために、該ミラーの背後には光は到達せず、ミラーの背後に非光学部品を配置しても光路の妨げとはならない。本発明は、このことを利用して、ミラーの背後に棒状の永久磁石を設置し、更に、電磁石のC型ヨークがミラーと永久磁石を取り囲むように設けることにより、内部の空間の有効利用を図っている。それらの結果として、可変光アッテネータの光軸方向の短縮及び細径化を実現できる。
【0029】
ミラー手段及び可変ファラデー回転子の構造例を図2に示す。図2のAは、図1の実施例で示したものと同様のものであり、別個の部材であるミラー20をファラデー素子18と棒状の永久磁石22の間に設置した構造である。例えば、基板40上に、ファラデー素子18、ミラー20、永久磁石22、C型ヨーク34を、位置決めして接着することで作製する。コイル36の巻装部分を避けるためには、図示のように基板40の横方向長さを短くしたり、逃げ穴(あるいは逃げ凹部など)を設ければよい。この構造は、最も単純である。
【0030】
図2のBは、ファラデー素子42の背面にミラー膜44を形成した例である。ファラデー素子42を両面研磨した後、一方の面はARコートを施し、他方の面にはミラー膜44を形成する加工を施す。この構造は、作業も比較的容易で最適である。図2のCは、棒状の永久磁石46の一方の端面にミラー膜48を形成した例である。永久磁石46の一方の端面を研磨した後、ミラー膜48を形成する加工を施す。永久磁石の材質によっては、このような構成も可能である。図2のB及びCの例は、いずれも永久磁石の端面とファラデー素子との間隔を最小にできるため、光軸方向の長さを短縮でき、磁気効率も良好である。これらにおいても、図2のAと同様に、基板上に組み立てることで、取り扱い易くなる。
【0031】
より好ましくは、図3に示すように、複屈折素子14、レンズ(第2のレンズ手段)16、ファラデー素子18、ミラー20、永久磁石22、C型ヨーク34を、単一基板60上に位置決めして接着する構成とする。これによって、レンズ(第1のレンズ手段)12a,12bを取り付けた2芯ファイバフェルール10と調心するだけで、光アッテネータが容易に作製できる。更に、同一基板上に、複屈折素子、レンズ、ファラデー素子、ミラー、永久磁石、C型ヨークを複数個並べて組み立てることも有効である。本発明ではC型ヨークの幅寸法を小さくできるために、高密度実装が可能となる。図2のBあるいはCの構成でも、同様に基板に搭載可能なことはいうまでもない。
【0032】
図4は、本発明に係る反射型可変光アッテネータの他の実施例を示す説明図であり、部品の配列構造と各光素子の位置での偏波状態を示している。ここでも説明を分かり易くするため、光素子群の配列方向(光軸)をz軸とし、該z軸に直交する2方向をそれぞれx軸(横軸)、y軸(縦軸)とする座標軸を設定する。また便宜的に、x方向を右方向とし、y方向を上方向とする。
【0033】
この可変光アッテネータは、2芯ファイバフェルール70と、透過する光の偏波状況に応じて光路を制御する複屈折素子74と、両方の光路に共通に挿入されたレンズ(第1のレンズ手段)72と、光軸に対する光路の傾きを制御する光路補正用のプリズム手段75と、両方の光路に共通に挿入されたレンズ(第2のレンズ手段)76と、ファラデー素子78と、ミラー80を、その順序で配列した構成である。ファラデー素子78の近傍に永久磁石82と電磁石84を設置して可変ファラデー回転子86とする。
【0034】
ここでも複屈折素子72は、ルチルやニオブ酸リチウムなどの複屈折結晶からなる直方体であり、その光学軸はy−z面内にあり且つz軸から傾くように設定されている。この複屈折素子72も、偏波方向が直交関係にある同じ光路の光を上下に異なる光路の光に分離し、上下で異なる光路の光を同じ光路の光に合成する機能を果たすものである。
【0035】
第1のレンズ手段は、両方の光路に共通に挿入されたレンズ72からなり、例えば均質の透明材料からなる平凸レンズである。2芯ファイバフェルール70のファイバ端面とレンズとの距離がレンズ焦点距離にほぼ一致するように設定されている。従って、ファイバ端面からの出射光は複屈折素子74を通り、レンズ72でコリメート光となる。逆にコリメート光は該レンズ72でファイバ端面に集光することになる。但し、光路はレンズ中心を通らないためレンズの屈折作用により、該レンズの複屈折素子74に対向する側の光路は光軸に平行であるが、プリズム手段75に対向する側の光路は光軸に対して傾いている。
【0036】
光路補正用のプリズム手段75は、例えば方錐形状(ピラミッド形状)あるいは方錐形状部分を有する単一プリズムであり、光軸に対して傾いている光路を光軸に平行に、逆に光軸に平行な光路を光軸に対して傾ける機能を果たすものである。このプリズム手段75は、楔形の4個のプリズムを組み合わせた構成でもよい。
【0037】
第2のレンズ手段は、例えば均質の透明材料からなる平凸レンズである。該レンズの焦点近傍にミラー80が位置し、可変ファラデー回転子86のファラデー素子78は前記ミラー80の直前の光路中に設置される。従って、複屈折素子74を通ったコリメート光は、レンズ(第2のレンズ手段)76で細く絞られてファラデー素子78を透過し、ミラー80で反射し、細いビームのまま再びファラデー素子78を透過してレンズ76でコリメート光に戻る。
【0038】
ミラー80の背後には棒状の永久磁石82が位置し、ファラデー素子78の対向端面間を挟み前記永久磁石82を取り囲むようにC型ヨークが設けられ、該C型ヨークにコイルを巻装することで電磁石84となる。これらファラデー素子78と、永久磁石82と、電磁石84で可変ファラデー回転子86が構成される。永久磁石82によってファラデー素子78の面に垂直な方向に飽和磁界が印加され、電磁石84によってファラデー素子78の面に平行な方向に可変磁界が印加される。つまり、これらの合成磁界がファラデー素子78に印加されることで、入射光のファラデー回転角を0〜45度の範囲で自由に可変できるようになっている。
【0039】
この可変光アッテネータの動作について説明する。入力ファイバ90から中段右側光路に入力する光は、複屈折素子72で常光は中段右側光路を直進し、異常光は+y方向(上向き)に屈折して上段右側光路を進行する。このように分離した光はレンズ72でコリメート光となるが、光軸に対しては傾く。光軸に対して傾いている光は、光路補正用のプリズム手段75によって光軸に平行になる。そのため、中段右側光路の光は上段左側光路を通り、上段右側光路の光は中段左側を通る。これらの光はレンズ76で集光され、ファラデー素子78を通過してミラー80に達する。
【0040】
(45度ファラデー回転時:減衰率≒0%)
往路では、分離光はレンズ76の集光作用によって細く絞られてファラデー素子78を透過し、その際に可変ファラデー回転子86でそれぞれ光の偏波面が45度回転し、ミラー80の一点に入射し反射する。復路では、反射光は光路が上下左右で入れ替わると共に細く絞られた状態のまま可変ファラデー回転子86でそれぞれ光の偏波面が更に45度回転(従って、往路と復路で合計90度回転)する。その光はレンズ76によってコリメートされ、光路補正用のプリズム手段75で屈折して光軸に対して傾いた光路を通り、光路が上下左右で入れ替わってレンズ72で集光される。複屈折素子74で常光は直進し、異常光は−y方向(下向き)に屈折して、光が合成される。合成した光は全て中段左側光路を通るため、出力ファイバ92に結合する。従って、入力ファイバ90からの入力光は減衰することなく出力ファイバ92に出力する。
【0041】
(0度ファラデー回転時:減衰率≒100%)
往路では、分離光はレンズ76の集光作用によって絞られてファラデー素子78を透過し、その際に可変ファラデー回転子86では偏波面は回転せず、ミラー80の一点に入射し、反射する。復路では、反射光は光路が上下左右で入れ替わると共に絞られたまま可変ファラデー回転子86では偏波面は回転せず、レンズ76によってコリメート光となる。光路補正用のプリズム手段75で屈折されて光路が光軸に対して傾いた状態となり、光路が上下左右で入れ替わってレンズ72で集光される。複屈折素子74で上段光路の常光は直進し、中段光路の異常光は−y方向(下向き)に屈折するため、光は上段左側光路と下段左側光路を通過するように更に分離されることになり、出力ファイバ92には全く結合しない。
【0042】
(22.5度ファラデー回転時:減衰率≒50%)
ファラデー回転角が45度と0度の間の場合は次のようになる。代表的な例として中間の22.5度の場合を説明する。往路では、分離光はレンズ76の集光作用によって絞られ、可変ファラデー回転子86でそれぞれ光の偏波面が22.5度回転し、ミラー80の一点に入射し反射する。復路では、反射光は光路が上下左右で入れ替わると共に絞られた状態のまま可変ファラデー回転子86でそれぞれ光の偏波面が更に22.5度回転(従って、往路と復路で合計45度回転)し、レンズ76によってコリメート光となる。光路補正用のプリズム手段75で屈折されて光路が光軸に対して傾いた状態となり、光路が上下左右で入れ替わってレンズ72で集光される。上段光路の光は、複屈折素子74で常光は直進し、異常光は−y方向(下向き)に屈折する。中段光路の光も、複屈折素子12で常光は直進し、異常光は−y方向(下向き)に屈折する。つまり、上段光路の異常光と中段光路の常光は合成され、残りの光は分離されたままとなる。従って、合成した中段左側光路の光だけが出力ファイバ92に結合し、残りの光(上段光路の常光と下段光路の異常光)は出力ファイバには結合しない。このようにして、入力ファイバ90からの入力光は、ファラデー回転角に応じて一部が出力ファイバ92に結合することになり、結果的に出力ファイバへの出力が減衰することになる。
【0043】
このようにして、可変ファラデー回転子のファラデー回転角を0度から45度の範囲で自由に可変することで、制御したファラデー回転角に応じて出力ファイバへの光の結合割合が得られ、出力光量を制御できるのである。
【0044】
【発明の効果】
上記のように、本発明に係る反射型可変光アッテネータでは、コリメート光が第2のレンズ手段によって絞られ、細く絞られた状態でファラデー素子を往復透過するように構成しているため、ファラデー素子としては極めて小さな有効径があればよい。従って、ファラデー素子自体の寸法(縦横寸法)を非常に小さくでき、該ファラデー素子に可変磁界を印加する電磁石の光軸に垂直方向の長さを小さくできるし、ギャップが小さくなるために小型の電磁石で十分な磁界が印加でき、これらの相乗効果によって、電磁石を著しく小型化できる。
【0045】
また光はミラーで反射されるために、ミラーの背後に非光学部品を配置しても光路の妨げとはならない。このことを利用して、ミラーの背後に棒状の永久磁石を設置し、更に、電磁石のC型ヨークがミラーと永久磁石を取り囲むように設けることにより、省スペース化を図ることができ、それらの結果として、光軸方向の短縮及び細径化を実現できる。また、複数の可変光アッテネータを並設する場合には、全体を小型化できる効果は一層顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射型可変光アッテネータの一実施例を示す説明図。
【図2】ミラー手段の例を示す説明図。
【図3】組立構造の一例を示す説明図。
【図4】本発明に係る反射型可変光アッテネータの他の実施例を示す説明図。
【符号の説明】
10 2芯ファイバフェルール
12 第1のレンズ手段
14 複屈折素子
16 レンズ(第2のレンズ手段)
18 ファラデー素子
20 ミラー
22 永久磁石
24 電磁石
26 可変ファラデー回転子
30 入力ファイバ
32 出力ファイバ
Claims (5)
- 少なくとも複屈折素子とファラデー素子を有する光素子群とミラー手段、及びファラデー素子に外部磁界を印加する可変磁界印加手段を具備し、ファラデー素子と可変磁界印加手段によって可変ファラデー回転子が構成され、一端側から入力する往路の光が光素子群を進行して他端側のミラー手段に達し、該ミラー手段により反射した復路の光が光素子群を逆行し、光が光素子群を往復する間にファラデー回転角に応じて光量が制御されて、一端側の入力位置に対して前記複屈折素子の光学軸を含む面の法線方向にずれた出力位置から出力する可変光アッテネータにおいて、
光素子群は更に、入力光をコリメートする第1のレンズ手段と、そのコリメート光を集光する第2のレンズ手段を備え、該第2のレンズ手段の焦点近傍にミラー手段が位置し、ファラデー素子が前記ミラー手段の直前の光路中に設置され、コリメート光を第2のレンズ手段で細く絞った状態でファラデー素子を往復させることを特徴とする反射型可変光アッテネータ。 - 光素子群は、入力ファイバと出力ファイバとが光軸に直交する方向にずれた状態で保持されている2芯ファイバフェルールと、入力ファイバから出る入力光と出力ファイバへ向かう出力光の両方の光路に独立に挿入されたレンズを有する第1のレンズ手段と、直方体であって、光学軸が入力ファイバと出力ファイバとのずれ方向に垂直で且つ光軸に平行な面内にあり、透過する光の偏波状況に応じて光路を変更しないかあるいは光路を入力ファイバと出力ファイバの両方を含む面の法線方向にずらすように制御する複屈折素子と、両方の光路に共通に挿入されたレンズからなる第2のレンズ手段と、ファラデー素子を、その順序で一端側から他端側に向けて配列し且つ第1のレンズ手段の焦点近傍に2芯ファイバフェルールのファイバ端面が位置するようにした請求項1記載の反射型可変光アッテネータ。
- 複屈折素子と、第2のレンズ手段と、可変ファラデー回転子と、ミラー手段とが、同一基板上に位置決め接着されている請求項2記載の反射型可変光アッテネータ。
- 光素子群は、入力ファイバと出力ファイバとが光軸に直交する方向にずれた状態で保持されている2芯ファイバフェルールと、直方体であって、光学軸が入力ファイバと出力ファイバとのずれ方向に垂直で且つ光軸に平行な面内にあり、透過する光の偏波状況に応じて光路を変更しないかあるいは光路を入力ファイバと出力ファイバの両方を含む面の法線方向にずらすように制御する複屈折素子と、両方の光路に共通に挿入されたレンズからなる第1のレンズ手段と、光軸に対して傾いている光路は光軸に平行に、逆に光軸に平行な光路は光軸に対して傾けるように、光軸に対する光路の傾きを制御する光路補正用のプリズム手段と、両方の光路に共通に挿入されたレンズからなる第2のレンズ手段と、ファラデー素子を、その順序で一端側から他端側に向けて配列し且つ第1のレンズ手段の焦点近傍に2芯ファイバフェルールのファイバ端面が位置するようにした請求項1記載の反射型可変光アッテネータ。
- 可変ファラデー回転子は、ミラー手段の背後に設けた棒状もしくは板状の永久磁石と、C型ヨークにコイルを巻装した電磁石を備え、該C型ヨークはギャップ内にファラデー素子が挿入されるように構成され、永久磁石によってファラデー素子の面に垂直な方向に飽和磁界を印加し、電磁石によってファラデー素子の面に平行な方向に可変磁界を印加するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の反射型可変光アッテネータ。
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