JP4345869B2 - スパッタ成膜用の膜厚補正機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスパッタ成膜用の膜厚補正機構に関し、特に、眼鏡プラスチックレンズ等の光学レンズ基材の表面にスパッタ法で成膜するとき、当該表面での膜厚を均一にするスパッタ成膜用の膜厚補正機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、眼鏡プラスチックレンズ等の光学レンズでは、スパッタ法を利用してレンズ表面に反射防止の目的で薄膜を成膜する技術が提案されている。半導体技術の一つの成膜手法であるスパッタ法は、光学レンズの表面における薄膜形成の生産性向上およびレンズ性能の向上を期待できる。スパッタ法による光学レンズの成膜では、通常、複数の光学レンズ基材(ロット単位)が円形平板のホルダ(基板ホルダまたはレンズトレイ)にセットされ、ホルダを回転させながらロットごとに成膜処理が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、スパッタ法よる成膜は膜厚分布が良好であると考えられている。しかしながら、スパッタ法を光学レンズの薄膜形成に利用する場合には、さらに精度の高い均一な膜厚分布が要求される。
【0004】
また、スパッタ法を利用して光学レンズの表面に反射防止膜を成膜する場合には、特に、膜厚に関して厳密な均一性が要求される。レンズ表面における反射防止膜の膜厚が不均一になると、反射色がばらつき、光学レンズの装用感と商品価値を低下させることになる。
【0005】
さらに光学レンズの表面では、一方の表面が凹面、他方の表面が凸面になっており、それぞれ曲率を有している。スパッタ法を利用した光学レンズの表面に反射防止膜の成膜によれば、通常、ホルダに光学レンズを横置き状態で配置し、光学レンズの両面の各々に面するように上側ターゲットと下側ターゲットを配置して両面に対して同時にスパッタ成膜を行う。ところが、上述のように光学レンズの両面は各々固有の曲率を有し、そのため光学レンズの各表面に面するターゲットと当該表面の各部の距離が異なるので、表面で膜厚を均一になるように成膜することが困難となる。
【0006】
本発明の目的は、上記要求を満しかつ上記問題を解決することにあり、スパッタ法で光学レンズ基材の表面に薄膜を形成するときに、表面での膜厚分布を均一にできるスパッタ成膜用の膜厚補正機構を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係るスパッタ成膜用の膜厚補正機構は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0008】
第1のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請求項1に対応)は、スパッタ法でメニスカス形状の眼鏡用プラスチックレンズのレンズ基材の表面に薄膜を形成する成膜装置に用いられ、薄膜の膜厚差を補正する膜厚補正板を備えるスパッタ成膜用の膜厚補正機構であり、レンズ基材の表面は曲率を有し、かつ複数のレンズ基材が、横置きされかつ回転状態にある円形平板のホルダに、上面を凹面かつ下面を凸面として、横置き状態で同心円位置で配置され、成膜装置は、複数のレンズ基材の各々の凹面に対向するように配置されたターゲットを備え、膜厚補正板は、ターゲットとホルダの間でホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凹面用マスク部材であり、この凹面用マスク部材ではレンズ基材間の境界箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなるように構成される。
【0009】
上記構成によれば、膜厚補正板が、ターゲットと基板ホルダの間の好ましい位置に配置されることにより、スパッタ粒子の光学レンズ基材に対する直接的な影響を和らげたり、分散させるように作用し、これによって基板ホルダ上の複数の光学レンズ基材に成膜される薄膜の膜厚差を小さくし、膜厚分布の均一性を高める。
【0010】
第2のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請求項2に対応)は、スパッタ法でメニスカス形状の眼鏡用プラスチックレンズのレンズ基材の表面に薄膜を形成する成膜装置に用いられ、薄膜の膜厚差を補正する膜厚補正板を備えるスパッタ成膜用の膜厚補正機構であり、レンズ基材の表面は曲率を有し、かつ複数のレンズ基材が、横置きされかつ回転状態にある円形平板のホルダに、上面を凹面かつ下面を凸面として、横置き状態で同心円位置で配置され、成膜装置は、複数のレンズ基材の各々の凸面に対向するように配置されたターゲットを備え、膜厚補正板は、ターゲットとホルダの間でホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凸面用マスク部材であり、この凸面用マスク部材ではレンズ基材の存在箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなるように構成される。
【0011】
第3のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請求項3に対応)は、スパッタ法でメニスカス形状の眼鏡用プラスチックレンズのレンズ基材の表面に薄膜を形成する成膜装置に用いられ、薄膜の膜厚差を補正する膜厚補正板を備えるスパッタ成膜用の膜厚補正機構であり、レンズ基材の表面は曲率を有し、かつ複数のレンズ基材が、横置きされかつ回転状態にある円形平板のホルダに、上面を凹面かつ下面を凸面として、横置き状態で同心円位置で配置され、成膜装置は、複数のレンズ基材の各々凹面と凸面にそれぞれ対向するように配置された上側ターゲットと下側ターゲットを備え、膜厚補正板は、上側ターゲットとホルダの間でホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凹面用マスク部材と、下側ターゲットとホルダの間で前記ホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凸面用マスク部材であり、凸面用マスク部材ではレンズ基材の存在箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなり、凹面用マスク部材ではレンズ基材間の境界箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなるように構成される。
【0013】
第4のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請求項4に対応)は、上記の第1から第3の構成において、凹面用と凸面用のうち少なくともいずれか一方のマスク部材は、それぞれに対応するターゲットにおけるレンズ基板に対向する面の中心部に形成された非エロージョン部から微粒子が飛散する時、ターゲットの中心部に対向することになるレンズ基板に対して飛散する微粒子を遮る作用も有している。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る膜厚補正機構が適用されるスパッタ装置の一例を示す。図1を参照して、スパッタ法を利用してプラスチック基材の両面に反射防止膜を成膜する装置(以下スパッタ成膜装置という)の構成と成膜プロセスを説明する。図1ではスパッタ成膜装置の内部構造の要部を縦断面図で示している。このスパッタ成膜装置によれば、プラスチック基材11の両面に同時に例えば多層膜構造を持つ反射防止膜が成膜される。なお基材11の材質はプラスチックに限定されず、例えばガラス材であってもよい。
【0016】
上記プラスチック基材11はメニスカス形状の眼鏡プラスチックレンズの基材であり、プラスチック光学部品の一例である。プラスチック基材11の両面には、眼鏡プラスチックレンズとして反射防止膜が施される必要がある。この反射防止膜は、例えば、高屈折率膜(例えばZrO2 )と低屈折率膜(例えばSiO2 )が交互に積層されてなる多層の膜である。
【0017】
また上記プラスチック基材11は、眼鏡プラスチックレンズであることから、その両面は曲率を有している。具体的にプラスチック基材11の両面のうち一方の面は凹面であり、他方の面は凸面となっている。かかるプラスチック基材11は、その中心部を回転中心として回転する円形平板でかつ横置き状態の基板ホルダ(複数のプラスチック基材を載置するためのレンズトレイであるが、通称に従い「基板ホルダ」という)26において、横置き状態でセットされている。この状態で、プラスチック基材11は、通常、その上面側が凹面、その下面側が凸面となっている。
【0018】
上記スパッタ成膜装置は、大きく分けると、処理対象物を搬入するための導入室21と、プラスチック基材11の両面に高屈折率膜と低屈折率膜を交互に成膜する真空処理室(スパッタ成膜室)22と、予備処理室23から構成される。導入室21と真空処理室22と予備処理室23の各々の間はゲートバルブ24,25で仕切られている。ゲートバルブ24,25は、対象物を出し入れするときに、適宜なタイミングで開閉される。
【0019】
導入室21を経由してスパッタ成膜装置の内部に搬入された基板ホルダ26は、ゲートバルブ24を通って真空処理室22の内部にセットされる。図1において、基板ホルダ26を移送する搬入・搬出機構の図示は省略されている。基板ホルダ26は、前述の通り円形平板の形態を有する。基板ホルダ26には多数の基材保持孔26aが形成されている。これらの孔26aの各々には、前述のプラスチック基材11が配置されている。基材保持孔26aは上側および下側に開口されているので、基材保持孔26aに保持されたプラスチック基材11の両面の各面は、基板ホルダ26の上側および下側の空間に臨む。その結果プラスチック基材11の両面に、スパッタ法によって前述の反射防止膜が成膜される。
【0020】
真空処理室22おけるスパッタ成膜の工程は、より詳しくは、金属系薄膜を形成するスパッタ工程と、このスパッタ工程で堆積した金属系薄膜を酸化物薄膜へ変換する変換工程とから構成される。そのため、真空処理室22には、装置構成上、スパッタ工程領域22Aと変換工程領域22Bが備えられている。
【0021】
真空処理室22において、基板ホルダ26は、その中心部を上側支持部材27と下側支持部材28によって支持され、水平状態(横置き状態)で配置されている。上側支持部材27と下側支持部材28は、図示しない油圧シリンダ等で上下に駆動され、かつ内蔵されるモータ回転機構で回転自在である。プラスチック基材11に反射防止膜を成膜するときには、上側支持部材27と下側支持部材28の回転動作によって、基板ホルダ26は所要回転速度で回転状態に保たれる。従って、基板ホルダ26に配置された多数のプラスチック基材11は、スパッタ工程領域22Aと変換工程領域22Bを通過し、その間に、プラスチック基材11は、スパッタ工程領域22Aでスパッタ成膜処理を受け、変換工程領域22Bで変換処理を受けることになる。
【0022】
スパッタ工程領域22Aでは、基板ホルダ26の上方と下方にスパッタ装置が配備されている。各スパッタ装置は、ターゲット31と、スパッタ電極32と、スパッタ電源33と、スパッタガスボンベ34と、マスフロー35から構成される。基板ホルダ26が回転し、プラスチック基材11が上下のターゲット31の間にくると、スパッタ状態にあるターゲット31から発したターゲット物質がプラスチック基材11の両面に堆積し、プラスチック基材11の両面にターゲット物質の薄膜が形成される。このとき、マスフロー35を介してスパッタガスボンベ34によりアルゴンガス等のスパッタガスが導入されており、スパッタ雰囲気が調整される。
【0023】
真空処理室22におけるスパッタ成膜では、前述した反射防止膜を作製するため、上記のスパッタ工程と後述する変換工程とに基づいて、第1層に高屈折率膜である金属酸化物ZrO2 が成膜され、第2層に低屈折率膜である金属酸化物SiO2 が成膜され、その後、例えば第10層まで高屈折率膜ZrO2 、低屈折率膜SiO2 が交互に成膜される。スパッタ工程領域22Aでは、各金属酸化物の元となる金属が堆積される。第1層の高屈折率膜を形成するための最初のスパッタ工程では、ターゲット31には、ジルコニウムZrからなるターゲットが用意されて、プラスチック基材11の両面にはZrが成膜される。次に、第2層の低屈折率膜を形成するためのスパッタ工程では、シリコンSiからなる他のターゲットに交換されて、スパッタが行われ、プラスチック基材11の両面にはSiが成膜される。このようにターゲットを交互に高屈折率膜用物質または低屈折率膜用物質に交換することにより、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層させて、反射防止膜を作製することができる。なお図1においてターゲットを交換する機構の図示は省略されている。
【0024】
変換工程領域22Bでは、基板ホルダ26の上方と下方に誘導結合型プラズマ発生装置が配備されている。誘導結合型プラズマ発生装置は、高周波放電室41と、高周波コイル42と、マッチングボックス43と、高周波電源44と、反応性ガスボンベ45と、マスフロー46から構成される。基板ホルダ26が回転し、処理対象のプラスチック基材11が上下の誘導結合型プラズマ発生装置の間にくると、反応性ガスボンベ45からマスフロー46を介して導入された酸素のプラズマにプラスチック基材11が曝され、スパッタ工程で成膜された金属(ZrまたはSi)が酸化され、酸化物(ZrO2 またはSiO2 )に変換される。
【0025】
上記のごとく、真空処理室22で、内部に回転自在に置かれた基板ホルダ26上の多数のプラスチック基材11の両面に対して、ターゲットを交換しながらスパッタ工程と変換工程を繰り返すことにより、プラスチック基材11の両面に、図1に示したZrO2 (高屈折率膜)とSiO2 (低屈折率膜)からなる多層膜構造を有する反射防止膜13が形成される。
【0026】
なお真空処理室22の内部には、上記のスパッタ工程領域22Aと変換工程領域22Bを分離するため遮蔽部材47が設けられている。
【0027】
本実施形態に係る膜厚補正機構は上記スパッタ成膜装置に付設される。膜厚補正機構は、スパッタ工程領域22Aにおける上下のターゲット31の各々と基板ホルダ26との間に配置される膜厚補正板51,52によって構成される。なお図1において、膜厚補正板51,52を支持するための構造の図示は省略されている。支持構造としては空いているスペースを利用して任意の構造を採用することができる。上記の膜厚補正板51,52は、機能的には、基板ホルダ26の回転動作によりターゲット31の中央部に対向する位置に到来したプラスチック基材11を、望ましい形態(被覆パターン)にて覆うマスク部材である。所望の被覆パターンを有するマスク部材として機能する膜厚補正板でいくつかのプラスチック基材11を覆うことにより、ターゲット31からのスパッタ粒子を部分的に遮り、各プラスチック基材11の表面に堆積される薄膜の膜厚を補正し、当該表面での膜厚を均一にすることが可能になる。
【0028】
図2〜図4を参照して膜厚補正板について詳述する。図2は、基板ホルダ26にセットされるプラスチック基材11の配置状態と上下のターゲット31と膜厚補正板51,52の関係を拡大してより具体的に示し、図3は膜厚補正板51の平面形状の一例を示し、図4は膜厚補正板52の平面形状の一例を示す。
【0029】
図2で、矢印53の方向が基板ホルダ26の回転中心の方向とし、d1は基板ホルダ26と下側ターゲット31との距離、d2はプラスチック基材11と下側ターゲット31との距離である。基板ホルダ26の形成された上記基材保持孔26aに、プラスチック基材11が取付け具54を介して配置されている。図2で明らかなように、プラスチック基材11は、上面を凹面とし、下面を凸面として配置されている。プラスチック基材11の凸面の最下点が上下のターゲット31のほぼ中央位置になるように配置位置が設定されており、これに基づいて基板ホルダ26の位置も決められている。従って、上記の距離d2は、下側ターゲット31とプラスチック基材11の下面の最下点との間で設定されている。また基板ホルダ26と下側ターゲット31の距離d1は、基板ホルダ26と上側ターゲット31との距離よりも若干大きくなっている。
【0030】
また基板ホルダ26において複数のプラスチック基材11は、例えば図3に示されるように、同心円55,56,57上の位置に配置されている。本実施形態の場合には3つの同心円が利用されている。さらに図3と図4から明らかなように、上下のターゲット31の平面形状は、好ましくは、中心部側が短辺かつ周縁部側が長辺となった台形形状となっている。
【0031】
基板ホルダ26において上記のごとき配置状態でセットされた複数のプラスチック基材11に対して、下側ターゲット31との間に、図3に示す平面形状を有する前述の膜厚補正板52が配置される。膜厚補正板52は、その長手方向が、基板ホルダ26の中心部と周縁部を結ぶ直線の方向(径方向)に向くように配置される。膜厚補正板52では、好ましくは、同心円55〜57に対応する部分(プラスチック基材の配置箇所または存在箇所)の円周方向の長さが他の部分の円周方向の長さよりも長くなっており、さらに膜厚補正板52における同心円55〜57に対応する部分の長さが、周縁部から中心部に向かうに従って次第に小さくなるように設定されている。これにより、回転する基板ホルダ26で、下側ターゲット31のほぼ中央部に対向する位置に到来したプラスチック基材11の上面(凹面)は、膜厚補正板52によって所定の範囲が被覆されることになる。その結果、膜厚補正板52のマスク作用で、プラスチック基材11の下面(凸面)に堆積される薄膜の膜厚は、その膜厚差が補正され、当該上面において均一になる。なお膜厚補正板52の平面形状は、図3に示されたものに限定されない。
【0032】
同様にして、基板ホルダ26における複数のプラスチック基材11に対して、上側ターゲット31との間に、図4に示す平面形状を有する前述の膜厚補正板51が配置される。膜厚補正板51は、その長手方向が、基板ホルダ26の中心部と周縁部を結ぶ直線の方向に向くように配置され、好ましくは、同心円55〜57の中間部(プラスチック基材の境界箇所)に対応する部分の円周方向の長さが他の部分の円周方向の長さよりも長くなっている。これにより、回転する基板ホルダ26で、上側ターゲット31のほぼ中央部に対向する位置に到来したプラスチック基材11の上面(凹面)は、膜厚補正板51によって所定の範囲が被覆されることになる。その結果、膜厚補正板51のマスク作用で、プラスチック基材11の上面(凹面)に堆積される薄膜の膜厚は、その膜厚差が補正され、当該下面において均一になる。なお膜厚補正板51の平面形状は、図4に示されたものに限定されない。
【0033】
また上記の膜厚補正板51,52は、別の観点から、次のような作用を有するマスク部材として機能する。すなわち、図5に示すように、台形の形状を有するターゲット31は、通常では固有のマグネット構造(図示せず)を備え、スパッタリングに基づく成膜作用によれば、ターゲット中心部に二等辺三角形の形状に類似した非エロージョン部58が形成される。ターゲット31にこのような非エロージョン部58が存在すると、非エロージョン部58のターゲット表面に反応生成物が堆積することに起因して異常放電が生じやすくなる。その結果、反応生成物が微粒子として非エロージョン部58から飛散し、プラスチック基材11の表面に到達し、付着する。しかし、上記スパッタ成膜装置では、前述のごとく膜厚補正板51,52を基板ホルダ26と上下のターゲット31の間に配置し、膜厚補正板がターゲットに対向することになるプラスチック基材11を被覆するようにしたため、非エロージョン部58から飛散した微粒子を遮り、当該微粒子がプラスチック基材11の表面へ到達するのを防ぐことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、スパッタ成膜装置にてスパッタ法を利用して光学レンズ基材の両面または一方の面に薄膜を成膜する場合に、基板ホルダとターゲットの間に膜厚補正板を配置することによって膜厚補正機構を付設したため、光学レンズ基材の表面における薄膜の膜厚を均一にでき、良好な膜厚分布を実現することができる。また膜厚補正板によれば、ターゲットの非エロージョン部から飛散する微粒子も遮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る膜厚補正機構が付設されるスパッタ成膜装置の要部の構成図である。
【図2】 基板ホルダにおけるプラスチック基材の配置状態と、基板ホルダとターゲットと膜厚補正板との位置関係を示す縦断面図である。
【図3】 下側の膜厚補正板の平面形状を示す平面図である。
【図4】 上側の膜厚補正板の平面形状を示す平面図である
【図5】 ターゲットにおける非エロージョン部を示す図である。
【符号の説明】
11 プラスチック基材
26 基板ホルダ
31 ターゲット
32 スパッタ電極
51,52 膜厚補正板
55.56,57 同心円
58 非エロージョン部
Claims (4)
- スパッタ法でメニスカス形状の眼鏡用プラスチックレンズのレンズ基材の表面に薄膜を形成する成膜装置に用いられ、前記薄膜の膜厚差を補正する膜厚補正板を備えるスパッタ成膜用の膜厚補正機構において、
前記レンズ基材の表面は曲率を有し、かつ複数の前記レンズ基材が、横置きされかつ回転状態にある円形平板のホルダに、上面を凹面かつ下面を凸面として、横置き状態で同心円位置で配置され、
前記成膜装置は、複数の前記レンズ基材の各々の前記凹面に対向するように配置されたターゲットを備え、
前記膜厚補正板は、前記ターゲットと前記ホルダの間で前記ホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凹面用マスク部材であり、この凹面用マスク部材では前記レンズ基材間の境界箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなる、
ことを特徴とするスパッタ成膜用の膜厚補正機構。 - スパッタ法でメニスカス形状の眼鏡用プラスチックレンズのレンズ基材の表面に薄膜を形成する成膜装置に用いられ、前記薄膜の膜厚差を補正する膜厚補正板を備えるスパッタ成膜用の膜厚補正機構において、
前記レンズ基材の表面は曲率を有し、かつ複数の前記レンズ基材が、横置きされかつ回転状態にある円形平板のホルダに、上面を凹面かつ下面を凸面として、横置き状態で同心円位置で配置され、
前記成膜装置は、複数の前記レンズ基材の各々の前記凸面に対向するように配置されたターゲットを備え、
前記膜厚補正板は、前記ターゲットと前記ホルダの間で前記ホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凸面用マスク部材であり、この凸面用マスク部材では前記レンズ基材の存在箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなる、
ことを特徴とするスパッタ成膜用の膜厚補正機構。 - スパッタ法でメニスカス形状の眼鏡用プラスチックレンズのレンズ基材の表面に薄膜を形成する成膜装置に用いられ、前記薄膜の膜厚差を補正する膜厚補正板を備えるスパッタ成膜用の膜厚補正機構において、
前記レンズ基材の表面は曲率を有し、かつ複数の前記レンズ基材が、横置きされかつ回転状態にある円形平板のホルダに、上面を凹面かつ下面を凸面として、横置き状態で同心円位置で配置され、
前記成膜装置は、複数の前記レンズ基材の各々の前記凹面と前記凸面にそれぞれ対向するように配置された上側ターゲットと下側ターゲットを備え、
前記膜厚補正板は、前記上側ターゲットと前記ホルダの間で前記ホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凹面用マスク部材と、前記下側ターゲットと前記ホルダの間で前記ホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置される凸面用マスク部材であり、
前記凸面用マスク部材では前記レンズ基材の存在箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなり、前記凹面用マスク部材では前記レンズ基材間の境界箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法よりも長くなる、
ことを特徴とするスパッタ成膜用の膜厚補正機構。 - 凹面用と凸面用のうち少なくともいずれか一方の前記マスク部材は、それぞれに対応する前記ターゲットにおける前記レンズ基板に対向する面の中心部に形成された非エロージョン部から微粒子が飛散する時、前記ターゲットの前記中心部に対向することになる前記レンズ基板に対して飛散する前記微粒子を遮ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパッタ成膜用の膜厚補正機構。
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