JP4345342B2 - 衛生洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体を洗浄する衛生洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の衛生洗浄装置として図4に示すものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図4は前記文献1に記載された衛生洗浄装置を示したものである。同図において、1は洗浄ノズルであり、噴出孔2および洗浄ノズル1の収納位置において噴出孔2からの洗浄水を跳ね返らせてノズル洗浄を行うためのクリーニングキャップ3を有している。4は薬液タンクであり、薬注ポンプ5によって薬剤供給路6に供給され、元電磁弁7および洗浄水供給路8を経てきた洗浄水と混合されて洗浄ノズル1に流入し、噴出孔2から噴出することで洗浄ノズルが薬液によって洗浄されるというものである。
【0004】
また同特許文献1には、薬液として水を電気分解することによって生成される、次亜塩素酸をノズル洗浄に適用することも開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−93034号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では、***後の局部洗浄時に飛び散った***物や男子小用時に飛び散った汚水が、ノズル以外の衛生洗浄装置本体と便器との隙間に付着し、カビや細菌の増殖による汚染や、それらに由来する悪臭の原因となり、非衛生的になりやすいという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、衛生洗浄装置本体と便器との隙間を蒸気除菌することにより、カビや細菌の増殖による汚染や、それらに由来する悪臭を防止する衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衛生洗浄装置は、人体洗浄ノズルと、前記人体洗浄ノズルに洗浄水を供給する経路途中に設けた温水ユニットと、前記温水ユニットおよび切換弁の2次側でかつ前記人体洗浄ノズルには通じない別の分岐経路に設けられた蒸気発生ユニットと、前記蒸気発生ユニットからの蒸気を衛生洗浄装置本体と便器との隙間に吐出する蒸気吐出口を有する蒸気除菌手段を備えたものである。
【0009】
これによって、衛生洗浄装置本体と便器との隙間を蒸気除菌できるので、カビや細菌の増殖、カビや細菌由来の悪臭を防止でき、快適に使用可能な衛生洗浄装置を提供することができる。特に、蒸気発生ユニットは人体洗浄ノズルには通じない別の分岐経路に設けられているため、蒸気が人体洗浄ノズルから吐出して人体に当ることがなく、安心して蒸気除菌することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、便器に載置する衛生洗浄装置において、人体洗浄ノズルと、前記人体洗浄ノズルに洗浄水を供給する経路途中に設けた温水ユニットと、前記温水ユニットおよび切換弁の2次側でかつ前記人体洗浄ノズルには通じない別の分岐経路に設けられた蒸気発生ユニットと、前記蒸気発生ユニットからの蒸気を衛生洗浄装置本体と便器との隙間に吐出する蒸気吐出口を有する蒸気除菌手段とを備え、前記蒸気発生ユニットは前記温水ユニットで洗浄水が加熱された温水をさらに加熱手段で加熱して蒸気を発生させることを特徴としたもので、衛生洗浄装置本体と便器との隙間を蒸気除菌できるので、カビや細菌の増殖、カビや細菌由来の悪臭を防止でき、快適に使用可能な衛生洗浄装置を提供することができる。特に、蒸気発生ユニットは人体洗浄ノズルには通じない別の分岐経路に設けられているため、蒸気が人体洗浄ノズルから吐出して人体に当ることがなく、安心して蒸気除菌することができる。しかも、蒸気発生ユニットは前記温水ユニットで洗浄水が加熱された温水をさらに加熱手段で加熱して蒸気を発生させることによって、蒸気発生のために要する蒸気発生ユニットの加熱手段の熱量を少なくすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、蒸気除菌手段が蒸気吐出圧力を変化させる圧力変換手段を備えることにより、高圧で蒸気吐出可能となりより一層効率的に蒸気除菌できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、蒸気発生ユニットは、自己温度制御ヒータを備えた構成とすることで、蒸気発生ユニットに温度センサなどを取り付けることなしに、自己温度制御ヒータ自身が、たとえば100℃一定の蒸気温度にするように電気入力が自動的に制御されるため、蒸気発生ユニットをコンパクトにできるとともに、蒸気の温度もほぼ一定で除菌効果も安定し、使用者が安心して使用することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の発明において蒸気除菌時に蒸気発生ユニットへ供給する水の流量を所定の流量に制御することにより、蒸気発生量が安定し、安定した除菌効果が得られるとともに、蒸気が人体へ及ぶことを防止でき安全かつ安心である。また、温水ユニットでたとえば40℃の一定温度にコントロールされた温水を、蒸気発生ユニットでたとえば100℃の一定温度の蒸気にするために必要な熱入力は、蒸気の流量で理論的に決まるので、蒸気発生ユニットを通す蒸気流量を所定の流量に制御する構成にすることにより、蒸気発生ユニットの温度センサをなくすことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の発明において、衛生洗浄便座に人が着座中は蒸気除菌手段が動作しないようにしたため、使用者が衛生洗浄装置を使用しているとき、誤って蒸気除菌を指示する操作ボタンを押しても、蒸気除菌の運転作動はしないため、使用者はやけどなどの心配が無く安心して使用することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5に記載の発明において、蒸気除菌手段による蒸気除菌を、所定の時間間隔毎に行うようにしたため、長期間または長時間にわたって衛生洗浄装置を使用しない場合においても、所定の時間間隔毎に自動的に蒸気除菌されるので、菌類やかび類による汚染が発生せず常に衛生的で清潔に保つことができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6に記載の発明において、乾燥手段を備え、蒸気除菌手段による蒸気除菌終了後所定の時間経過後に自動的に蒸気除菌部を乾燥するようにしたため、蒸気除菌を行った部分の水分を乾燥させることによって、より効率的にカビや細菌の繁殖を抑えることができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における衛生洗浄装置の外観図を示すものである。図1において、衛生洗浄装置10は便器11上に設置され、衛生洗浄装置10の本体12、便蓋13、使用者が座るための便座14、洗浄ノズル15等から構成されている。また、衛生洗浄装置10の内部には使用者が肛門の洗浄を行うためのおしり洗浄機能、小用後の女性局部を洗浄するビデ洗浄機能、洗浄後の人体局部を乾燥するための乾燥機能、寒冷時にトイレ空間を暖房する部屋暖房機能等が備えてあり、各々の操作は壁面に取り付けたリモートコントローラ16(以下、リモコンと略す)によってなされる。また、本体部12には使用者の着座を検知する着座検知手段17を備えており、着座検知状態時のみ洗浄機能や乾燥機能が動作可能である。この着座検知手段17は、赤外線により使用者の便座14への着座の有無を検知するものであるが、方式としては便座の静電容量を検知するもの、超音波等を用いて使用者の便座への着座を検知するもの、さらにはトイレに入室あるいは退室したことを検知するものや、例えばトイレの照明に連動して使用者の存在を検知する方式等でも可能である。
【0019】
図2はリモコン16の概観を示すものである。図2において、リモコン16には衛生洗浄装置本体12と便器11との隙間の蒸気除菌を指示する除菌スイッチ18、お尻洗浄スイッチ19、ビデ洗浄スイッチ20や洗浄の停止を入力する停止手段としての停止スイッチ21、さらには乾燥機能や脱臭機能の入り切りを行う乾燥スイッチ22や脱臭スイッチ23、また、それぞれの機能のレベルあわせを行うためのレベルスイッチ24等が備えられている。そして使用者が行う操作信号は赤外線信号によって衛生洗浄装置本体12へと送られ、無線で本体12の操作が可能な構成となっている。
【0020】
図3は衛生洗浄装置10の水回路を示すブロック図を示すものである。図3において、まず、水源である水道配管25からの分岐流れを衛生洗浄装置10の本体12内の切換弁26へ導く給水管27に接続される。この給水管27上には止水手段としての電磁弁28、洗浄水の流量を計測する流量センサ29、温水をつくる温水ユニット30、温水の温度を検出する温度センサ31などを備えている。さらにその下流側には温水管32を介して切換弁26が接続されており、切換弁26にはお尻ノズル33、ビデノズル34、蒸気発生ユニット35、蒸気発生ユニット35内には蒸気を作り出すための加熱手段36、蒸気発生ユニット35より発生した蒸気を高圧で送り出すための圧力変換手段37およびその蒸気で衛生洗浄装置本体12と便器11との隙間を蒸気除菌する蒸気吐出口38が接続されている。また、蒸気除菌手段39は温水ユニット30および蒸気発生ユニット35、蒸気吐出口38から構成されている。蒸気除菌手段39である蒸気吐出口38から蒸気を吐出するのは、リモコン16の除菌スイッチ17を使用者が押すと、衛生洗浄装置10に組み込まれている制御器40の蒸気除菌制御手段41が蒸気除菌モード信号を受けて蒸気除菌の動作を制御する構成である。また、蒸気によって除菌された衛生洗浄装置本体12と便器11との隙間を乾燥させるための乾燥手段42を設けている。
【0021】
以上のように構成された衛生洗浄装置10について、以下その動作、作用を説明する。
【0022】
まず、除菌スイッチ18を押すと衛生洗浄装置10に組み込まれている制御器40の蒸気除菌制御手段41が蒸気除菌モード信号を受けて、蒸気除菌制御手段41が切換弁26を駆動し、温水ユニット30からの温水が蒸気発生ユニット35に供給され、蒸気発生ユニット35で高温の蒸気になった後、蒸気吐出口38から蒸気を発生させて衛生洗浄装置本体12と便器11との隙間を蒸気除菌するように制御することにより、ブラシを用いて掃除するといったように、人の手を煩わせることなく衛生洗浄装置本体12と便器11との隙間を容易に蒸気除菌することができ、カビや菌類による汚染が発生せず衛生的に保つことができる。
【0023】
また、蒸気除菌手段39は、高温の蒸気を用いて衛生洗浄装置本体12と便器11との隙間を除菌する構成により、カビや菌類による汚染が発生せず衛生的に保つことができる。また、この時の蒸気除菌する蒸気の温度は70℃以上110℃以下が望ましく、好ましくは80℃前後に設定する。すなわち、食品分野において、ビールの殺菌が55〜60℃、清酒の殺菌も55〜60℃、味噌の殺菌が60℃前後などの例があり、ちなみに病原細菌の死滅温度は、赤痢菌、腸チフス菌、パラチフス菌、大腸菌、腸炎ビブリオ、ブルセラ菌、連鎖球菌、ブドウ球菌などいずれも60℃であるといわれている。蒸気の温度は高いほど除菌効果も大きいが、蒸気温度を70℃〜110℃にすることによって、衛生洗浄装置10を構成している各部の耐熱温度を含め、装置の故障や損傷させることなく、かつ効果的にカビや菌類による汚染を防止することを両立させることができる。
【0024】
また、蒸気発生ユニット35の下流に圧力変換手段37を取り付けることにより、高圧な蒸気を吐出可能となり、より効率的に蒸気除菌できる。
【0025】
また、蒸気発生ユニット35のヒータは自己温度制御ヒータ36で構成してある。この構成により、蒸気発生ユニット35に温度センサなどを取り付けることなしに、加熱手段36自身によって、たとえば100℃一定の蒸気温度にするように電気入力が自動的に制御される。このため、蒸気発生ユニット35をコンパクトにできるとともに、蒸気の温度もほぼ一定で除菌効果も安定でき使用者が安心して使用することができる。ただし蒸気発生ユニット35の加熱手段36は、必ずしも自己温度制御ヒータである必要はなく、一般的なセラミックヒータやシーズヒータであっても、温度制御さえ安全にできる構成であれば、蒸気除菌効果には何ら支障がない。
【0026】
また、蒸気除菌時には蒸気除菌制御手段41によって、蒸気発生ユニット35を通す蒸気流量を所定の流量に制御する構成となっている。つまり、蒸気発生ユニット35に供給する水流量を所定の流量に制御することで、蒸気発生量が安定し、安定した除菌効果が得られる。また、温水ユニット30でたとえば40℃の一定温度にコントロールされた温水を、蒸気発生ユニット35でたとえば100℃の一定温度の蒸気にするために必要な熱入力は、蒸気の流量で理論的に決まるので、蒸気発生ユニット35を通す蒸気流量を所定の流量に制御する構成にすることにより、蒸気発生ユニット35の温度センサーをなくすことができる。しかも、少ない所定流量に制御することで、ヒータ36で加熱に要する熱量も少なくでき、上記した安全性と合わせて省エネの効果も得られる。ただし、蒸気発生ユニット35に供給する水は、必ずしも温水ユニット30で加熱されている必要はなく、蒸気発生ユニット35だけで蒸気にしても何ら問題はない。
【0027】
また、蒸気除菌時に蒸気吐出口38からの蒸気が人体にあたらないように、着座時は蒸気除菌の運転作動を禁止する構成となっている。すなわち使用者が衛生洗浄装置を使用しているとき、誤って蒸気除菌を指示する除菌スイッチ18を押しても、制御器40は蒸気除菌の運転作動はしないように作用する。つまり、衛生洗浄装置10を使用していない時だけしか除菌スイッチ18の信号は受け付けない構成である。この構成により、使用者はやけどなどの心配が無く安心して使用することができる。
【0028】
また、蒸気除菌手段39は、リモコン16の除菌スイッチ18を押したときだけでなく、長期間または長時間にわたって衛生洗浄装置10を使用しない場合においても、前回蒸気除菌を行ってから48時間以上蒸気除菌が行われなかった場合は、48時間毎に自動的に蒸気除菌を行う構成にすることにより、菌類やかび類による汚染が発生せず常に衛生的で清潔に保つことができる衛生洗浄装置10を提供することができる。なお、ここでは48時間毎に自動的に蒸気除菌を行うとしたが、何時間毎であっても除菌性能を保つことができれば何ら問題はない。
【0029】
また、蒸気除菌手段39は、蒸気除菌終了後1分経過後に自動的に洗浄部を乾燥する乾燥手段42を有する構成にしたことにより、蒸気除菌を行った部分の水分を乾燥させることができるので、菌類やカビ類の繁殖を抑えるのにより一層効果的である。なお、ここでは蒸気除菌終了1分経過後に自動的に乾燥させるとしたが、何分経過後であっても蒸気除菌を行った部分の水分を乾燥することができれば何ら問題ない。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、衛生洗浄装置本体と便器との隙間を蒸気除菌する蒸気除菌手段によって、カビや菌類由来の悪臭を抑制することができる。特に、蒸気発生ユニットは人体洗浄ノズルには通じない別の分岐経路に設けられているため、蒸気が人体洗浄ノズルから吐出して人体に当ることがなく、安心して蒸気除菌することができる。また、蒸気を用いるので衛生洗浄装置本体と便器との隙間に蒸気が広範囲で拡散し、衛生洗浄装置本体と便器との隙間全体を効果的に除菌することができる。しかも、蒸気発生ユニットは温水ユニットで洗浄水が加熱された温水をさらに加熱手段で加熱して蒸気を発生させることによって、蒸気発生のために要する蒸気発生ユニットの加熱手段の熱量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における衛生洗浄装置の外観斜視図
【図2】 同実施例1における衛生洗浄装置のリモコンの斜視図
【図3】 同実施例1における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図4】 本発明の従来例を示す衛生洗浄装置の断面図
【符号の説明】
10 衛生洗浄装置
11 便器
12 衛生洗浄装置の本体
15 人体洗浄ノズル
35 蒸気発生ユニット
36 加熱手段
37 加圧手段
38 蒸気吐出口
39 蒸気除菌手段
42 乾燥手段
Claims (7)
- 人体洗浄ノズルと、
前記人体洗浄ノズルに洗浄水を供給する経路途中に設けた温水ユニットと、
前記温水ユニットおよび切換弁の2次側でかつ前記人体洗浄ノズルには通じない別の分岐経路に設けられた蒸気発生ユニットと、
前記蒸気発生ユニットからの蒸気を衛生洗浄装置本体と便器との隙間に吐出する蒸気吐出口を有する蒸気除菌手段とを備え、
前記蒸気発生ユニットは前記温水ユニットで洗浄水が加熱された温水をさらに加熱手段で加熱して蒸気を発生させることを特徴とした便器に載置する衛生洗浄装置。 - 蒸気除菌手段は、蒸気吐出圧力を変化させる圧力変換手段を備えた請求項1記載の衛生洗浄装置。
- 蒸気発生ユニットは、自己温度制御ヒータを備えた請求項1または2記載の衛生洗浄装置。
- 蒸気発生ユニットへ供給する水の流量を所定の流量に制御する請求項1〜3のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
- 衛生洗浄便座に人が着座中は蒸気除菌手段が動作しないようにした請求項1〜4のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
- 蒸気除菌手段による蒸気除菌を、所定の時間間隔毎に行うようにした請求項1〜5のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
- 乾燥手段を備え、蒸気除菌手段による蒸気除菌終了後所定の時間経過後に自動的に蒸気除菌部を乾燥するようにした請求項1〜6のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
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