JP4336793B2 - 水硬性材料の製造方法および水硬性建築材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、採掘した鉱石から石灰やドロマイトを製造する精製工程で発生するスラッジを主原料とした、水硬性材料の製造方法に関する。本発明はまた、この水硬性材料を使用した水硬性建築材料にも関する。この明細書においては、「モル」の語を、「グラム原子」に代えて便宜的に用いる。
【0002】
【従来の技術】
石灰系またはドロマイト系の建築材料として、我が国では古くから、水酸化カルシウムを主成分とする漆喰や、水酸化カルシウムとマグネシウムとを含むドロマイトプラスターが使用されてきた。これらの建築材料は、水と混合してペースト状し、またはさらに骨材を混合してモルタル状にし、内外壁に塗るなどして使用されていれる。
【0003】
近年、サイディング、石膏ボード、クロス等が建築材料の主流となってきたが、ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群や、カビ・ダニ等によるアレルギー問題が指摘され、健康と環境の観点から、水酸化カルシウムを主成分として含む石灰系およびドロマイト系の建築材料が、見直されてきている。水酸化カルシウムは、ホルムアルデヒドを吸着する作用がある上、抗菌性や調湿性を有する材料である。
【0004】
しかし,石灰系・ドロマイト系の建築材料は、空気中の炭酸ガスと反応して硬化する気硬性材料であるため、施工後の硬化速度が遅く、また、そのために厚塗りが困難であって下塗りと上塗りの2回に分けて施工する必要があり、どうしても工期が長くなってしまう。さらに、このような特殊な工法であるため、石灰系・ドロマイト系建築材料を用いた施工は熟練した左官職人に頼らなければならないが、左官職人の数は年々減少してきている。
【0005】
従って、石灰系・ドロマイト系の建築材料のもつ特性を失うことなく、すなわち水酸化カルシウムを主成分とする建築材料であって、施工後の硬化が速く、かつ施工に熟練を要しないような建築材料が求められている。
【0006】
一方、欧米においては、石灰系とセメント系の両方の特性を併せ持つ水硬性石灰が広く使用されている。一般に水硬性石灰は、シリカやアルミナを含む純度の低い石灰石を焼成し、焼成物を水和することにより得られ、気硬性物質である水酸化カルシウムと、水硬性物質であるケイ酸カルシウムおよびアルミン酸カルシウムとを主成分とする。従って、漆喰等と比較して、施工から硬化に至るまでの時間は短いが、原料中の不純分含有量のばらつきが大きいために、製品の硬化時間や強度、色等の特性のばらつきが大きいという問題がある。生成した水硬性物質の結晶を固定化するため、焼成物を急冷する工程が必要となる場合もある。
【0007】
ところで、石灰やドロマイトの製造工程では、採掘した原石を水洗する過程で、多量のスラッジが発生する。このスラッジは、一般にシックナー等により沈降濃縮された後、フィルタープレスのような濾過手段により脱水される。以下の記述においては、この水洗および脱水をへたスラッジを、「水洗スラッジ」または単に「スラッジ」と呼ぶ。脱水によって得たフィルターケーキは、なお20%以上の水分を含む。固形分中の10%程度は、原石に付着した土に由来するシリカ、アルミナ、酸化鉄等の成分からなる。このようなものであるから、スラッジは利用が困難な廃棄物とされ、多くの場合、採掘跡地等に堆積処分されている。
【0008】
しかし近年、社会的に環境への関心が高まり、ゼロエミッション、省エネルギー、資源の有効活用等の問題にいかに取り組むかが、企業の課題となっている。石灰系のスラッジを利用する手段として、スラッジに顔料など無機着色物質を混合し、混合物を温度900〜1300℃の範囲で焼成したのち消化することによって、自然色で色むらのない漆喰用有色消石灰を製造する方法(特開平9−156968)や、スラッジにアルミニウム含有廃棄物や石炭灰を混合し、1000〜1400℃で焼成することにより、石灰系とセメント系の特性を併せ持つ地盤改良材を製造する方法(特開平10−26777)が提案されている。
【0009】
これらの先行技術は、石灰系スラッジを利用する手段として有効なものであるが、なにぶん発生するスラッジの量が膨大であるため、処理しきれず、より普遍性のある利用の途が求められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、石灰およびドロマイトの製造工程から大量に発生する廃棄物であるスラッジを有効に活用する一つの方策を提案するものであって、スラッジを主原料とし、これに所定の成分組成を有する他の原料を配合して焼成し、ついで消化することにより水硬性材料、とくに建築材料を製造する方法を提供することにある。
【0011】
本発明の第二の目的は、この水硬性材料を中心とする建築材料であって、従来の石灰系・ドロマイト系建築材料の利点を維持しつつ、特殊な施工技術を要することなく、短時間で施工できるような水硬性建築材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した第一の目的を達成する本発明の水硬性材料の製造方法は、下記の原料(I)〜(III)を、
(I)石灰系および(または)ドロマイト系の水洗スラッジ
(II)SiO2、Al2O3およびFe2O3をモル比で1.00:0.20〜0.50:0.05〜0.20の割合で含有し、非晶質物質を含む土
(III)炭酸カルシウムを軽度に焼成して得た酸化カルシウム
SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaOおよびMgOの含有量に基づいて次式から求められるセメント係数(CI)
CI=(2.8×SiO2+1.1×Al2O3+0.7×Fe2O3)/
(CaO+1.4×MgO)
が0.3〜1.0の範囲となるように混合して造粒し、造粒物を温度1150℃〜1300℃の範囲で焼成したのち、焼成物を消化することからなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記の方法により製造された本発明の水硬性材料は、水酸化カルシウム15〜60重量%およびケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)15重量%以上を含有し、水硬性建築材料として使用可能である。
【0014】
本発明で水硬性材料の製造に使用する原料(I)は、前記のように、石灰やドロマイト製造工程から発生するスラッジである。スラッジを構成する個々の粒子の大きさが、径100μm以下であることが好ましく、必要によりスラッジの粉砕工程を加えるとよい。
【0015】
原料(II)は、SiO2、Al2O3およびFe2O3をモル比で1.00:0.20〜0.50:0.50〜0.20の割合で含有し、非晶質物質を含む土である。シリカは、焼成工程において原料(I)中に含まれるカルシウムと反応し、水硬性物質であるケイ酸二カルシウム2CaO・SiO2を生成する。2CaO・SiO2の生成により、本発明の水硬性材料が水和したのち、長期にわたって強度が発現し、建築物の機械的強度を十分に高く得ることができる。
【0016】
アルミナも同様にカルシウムと反応し、初期強度が大きいカルシウムアルミネートを生成する。アルミナはシリカおよびカルシウムとも反応して、水硬性を有する非晶質化合物を生成する。アルミナ/シリカのモル比が0.20より小さいと、これらの生成が不十分となり、逆に0.50より大きいと、水硬性を示さない結晶質ゲーレナイト(2CaO・Al2O3・SiO2)が生成し、さらにシリカ分が少なくなるため、2CaO・SiO2の生成が不十分となる。
【0017】
酸化鉄は、焼成工程における水硬性組成の生成温度を低下させる働きをするが、酸化鉄/シリカのモル比が0.05より小さいとその効果が不十分であり、逆に0.20より大きくなると、材料が融着を起こしたりして、焼成工程におけるハンドリングに不都合を生じる。土の中の非晶質物質は、水硬性物質の生成効率を高める。
【0018】
このような土としては、たとえば関東ローム層のような火山灰質の土が適当である。石灰やドロマイトを採掘する工程で発生する表土を利用できれば、経済面でも環境面でも有利となる。
【0019】
原料(III)は、軽度に焼成した酸化カルシウムである。酸化カルシウムは水との反応性が大きいため、スラッジおよび土に含まれている水分を吸収し、それによって混合物のハンドリング性を改善することができる。軽度に焼成した酸化カルシウムは、商業生産されている通常の生石灰で十分である。
【0020】
これらの原料を、前記した式により定義されるセメント係数が0.3〜1.0の範囲となるよう混合し、造粒する。セメント係数が0.3より小さい配合割合であると、水硬性物質の生成量が少なく、施工後硬化するまでに要する時間が長くなり、硬化後の強度も低くなる。逆に、1.0より大きい配合割合では、焼成工程において融着に起因するハンドリングの悪化が生じるし、その後の消化が困難になる。
【0021】
造粒は、焼成を容易にするための工程であり、代表的にはパン型の造粒機を使用して行なうが、成型機を用いた成型を行なってもよい。成型機としては、通常のブリケットマシンが使用できる。混合造粒を行なう場合は、適度な水分が残存するように酸化カルシウムの量を調整する。成型機による成型を行なう場合は、事前に廃熱を利用して含水率を低下させるか、酸化カルシウムを多めに配合して、混合物の残留水分が数%以下となるようするとよい。
【0022】
上記のようにして混合され造粒された原料は、ロータリーキルン等により、温度1150〜1300℃の範囲で焼成する。焼成温度が1150℃よりも低いと,水硬性物質の生成が不十分となり、未反応のシリカ等が残存する。焼成温度が1300℃よりも高いと、融着等により焼成工程におけるハンドリングが悪くなり、後の消化が困難になる。場合によっては、好ましくないケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)が生成することがある。3CaO・SiO2はポルトランドセメントの主成分であり、水和による強度発現が速いが、そのため、後続の消化工程において水和反応が起こってしまい、製品が水硬性物質としての機能を失ってしまう。
【0023】
混合原料のCIが高く、また焼成温後が高い場合は、焼成物が冷却時に粉化するダスティング現象が起こることがある。これは、焼成品中の2CaO・SiO2結晶が発達し、冷却時にβ型からγ型に転移するためであるが、γ型の2CaO・SiO2は水硬性を有しないから、その生成は好ましくない。
【0024】
β型の2CaO・SiO2を化学的に安定化させ、γ型への転移を防ぐ手段としては、原料(IV)として、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびリン酸から選んだ1種または2種以上を、原料混合時に添加しておけばよい。ただし、過剰のリン分の添加は水硬性の発現に悪影響を及ぼすので、その添加量は、スラッジの固形分100重量部に対して2重量部以下とすることが好ましい。混合原料のCIが小さければ、2CaO・SiO2結晶がそれほど発達せず、土に含まれるアルミナその他の成分により、上記のダスティング現象は抑制される。
【0025】
焼成された造粒品は、つぎに消化される。消化には、水酸化カルシウムの商業生産のための設備が、好都合に使用できる。消化ののち、必要により、熟成を行なう。消化が不完全であると未反応の酸化カルシウムが残留し、建築材料として使用する際に膨張や亀裂が起こるため、酸化カルシウム分は完全に消化して、水酸化カルシウムとしなければならない。そのためには、焼成物が微細であることが好ましく、消化に先だって、焼成物を粒径1mm以下に粉砕しておくとよい。
【0026】
消化に必要な水量は、たとえば昇温試験、すなわち、一定量の焼成物と水とを混合し消化反応が引き起こす温度上昇を測定する試験、の結果から決定することができる。本発明においては、通常、消化水/焼成物の比の適切な値は、重量で、0.15〜0.40の範囲内である。
【0027】
消化し、必要な熟成を受けた水硬性材料は、そのままでも建築材料として使用できるが、粗粒の混入を防ぐため、粉砕および(または)分級を行なって、粒度調整をすることが好ましい。これらの工程には、商用の水酸化カルシウムを製造する設備が使用できる。具体的には、粉砕のめにはボールミル、振動ミルであり、分級のためには振動ふるい、気流式分級機、ローター式分級機である。
【0028】
このような工程を経て得られた水硬性材料は、前記のように、主成分として水酸化カルシウム15〜60重量%,およびケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)15重量%以上を含有するほか、その他の成分として、アルミン酸カルシウム、ケイ酸カルシウムマグネシウム、酸化および(または)水酸化マグネシウム、非晶質物質等を含む。
【0029】
水酸化カルシウム含有量が15%重量に達しないものは、施工性が低く、共存する非晶質物質とのポゾラン反応性や、水酸化カルシウムが有する機能が低いし、材料の色が黒っぽくなるので、施工した壁面の意匠性が低くなる。水酸化カルシウム含有量が60重量%を超えると、ペーストやモルタルをつくるときに必要な水の量が増加し、また相対的に水硬性物質の含有量が低下するため、硬化速度や機械的強度の低下をまねく。本発明の水硬性材料および建築材料が長期にわたり強度を発現するためには、水硬性材料が15重量%以上の2CaO・SiO2を含有していることが好ましい。
【0030】
本発明の水硬性材料は、その100重量部に対し、最大150重量部の乾燥し、粉砕した石灰系および(または)ドロマイト系のスラッジを混合して、建築材料として使用することができる。スラッジの主成分は炭酸カルシウムであり、水硬性建築材料の骨材としてケイ砂等を用いた場合と比較して、モルタルの流動性が改善され、軽量な硬化体を得ることができる。ただし、スラッジはケイ砂等にくらべて微粉であるため、多量に配合すると、モルタルの調製に必要な水の量が増加し、それによって硬化速度や初期強度発現が影響を受けるから、上記した150重量部を配合量の限度とする。
【0031】
本発明の水硬性材料はまた、これに対し、内割で5重量%以下の石膏(無水ベース)を混合し、水硬性建築材料として使用することもできる。石膏は、水硬性建築材料中のカルシウムおよびアルミナとの反応によりエトリンガイトを生成し、初期強度の増加に寄与する。しかし、石膏を大量に添加すると、体積膨張による剥離や亀裂が生じるおそれがあるから、5重量%を限度とする。
【0032】
本発明の水硬性物質はまた、上記の石膏に代え、または石膏とともに、内割で20重量%以下の非晶質物質を含む土を混合し、水硬性建築材料として使用することもできる。非晶質物質を含む土からは、水酸化カルシウムに起因する塩基性により、シリカやアルミナがイオン化して溶出しやすいため、ポゾラン反応性が高くなって、それが材料の強度発現に寄与する。土の添加はまた、水硬性建築材料を茶系の自然色とすることができる。ただし、20重量%を超える多量の土を添加すると、吸水発熱が起こるなど、モルタルの施工性に悪影響がある。
【0033】
このほか、漆喰やセメントの施工に当たって用いられている種々の添加材、たとえば繊維、ケイソウ土、軽量骨材、AE剤、減水剤、セルロース系化合物などを、適量添加することも可能である。
【0034】
本発明の水硬性建築材料は、内外壁用の塗り材として施工できるほか、非加熱タイルやブロックを製造する原料、ブロックやレンガ工事用のバインダー、建材パネルの原料などに使用することができる。
【0035】
【実施例】
実施例における各種の測定または評価の方法は、下記のとおりである。
[焼成物の昇温活性] デュワーフラスコ中で20℃の水600gに、0.6mm以下に粉砕した焼成物200gを投入し,300±50rpmで攪拌しながら,10分間の温度上昇ΔT℃を測定する。
[化学組成]
水酸化カルシウムCa(OH)2の含有量:示差熱分析による400〜550℃のデータ
ケイ酸二カルシウム2CaO・SiO2の含有量:X線回折
アルミン酸カルシウム12CaO・7Al2O3の含有量:X線回折
酸化マグネシウムMgOの含有量:JIS R9011に定める方法により求められた値から、X線回折により求めた2CaO・MgO・2SiO2によるMgO分を差し引く
[平均粒径] レーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD−2100)
[圧縮強度] とくに記載しない限り、骨材として4号ケイ砂を使用した以外は、ASTM C141に記載の方法で供試体を製作し養生した。材齢7日および28日の供試体の圧縮強度を測定。
[蒸気膨張性] EN 459に記載の方法に準じた方法。
[安定性試験] JIS A6902 に記載の方法。
[硬度] JIS A6902 に記載の方法。
[凝結時間] JIS R5201に記載の方法。
【0036】
以下の実施例において、化学成分および原料配合比は、乾燥重量基準の値である。
【実施例1】
表1の(1)に示す石灰・ドロマイト混合系のスラッジ、(3)に示す石灰・ドロマイト採掘工程において発生する表土、市販の生石灰およびリン酸カルシウムを、表2に示す配合比で混合して造粒し、造粒物を1250℃で焼成した。焼成物の昇温活性は、8.6℃であった。焼成物を粒径0.6mm以下に粉砕した後、水/焼成物の重量比0.22の水で消化し、熟成した。その後、ボールミルで粉砕し、0.6mmのふるいでふるい分け、本発明の水硬性材料を製造した。
【0037】
【実施例2】
表1の(1)に示す化学組成をもつ、石灰・ドロマイト混合系のスラッジ、(3)に示す化学組成をもつ、石灰・ドロマイト採掘工程において発生する表土、市販の生石灰およびリン酸カルシウムを、表2に示す配合比で混合造粒し、造粒物を1250℃で焼成した。焼成物の昇温活性は8.2℃であった。焼成物を粒径0.6mm以下に粉砕した後、水/焼成物=0.20の水で消化し、熟成した。その後、ボールミルで粉砕し、0.6mmのふるいでふるい分け、本発明の水硬性材料を製造した。
【0038】
【実施例3】
表1の(2)に示す化学組成をもつ、石灰・ドロマイト混合系のスラッジ、(4)に示す化学組成をもつ、石灰・ドロマイト採掘工程において発生する表土、市販の生石灰およびリン酸カルシウムを、表2に示す配合比で混合して造粒し、造粒物を1200℃で焼成した。焼成物の昇温活性は15.1℃であった。焼成物を粒径0.6mm以下に粉砕した後、水/焼成物=0.30の水で消化し、熟成した。その後、ボールミルで粉砕し、0.6mmのふるいでふるい分け、本発明の水硬性材料を製造した。
【0039】
【実施例4】
実施例1で得られた水硬性材料95重量部に石膏5重量部を混合し、本発明の水硬性建築材料を製造した。
【0040】
【実施例5】
実施例2で得られた水硬性材料85量部に、石膏5重量部と、表1の(3)に示す化学組成を有する表土を乾燥粉砕したもの10重量部とを混合し、本発明の水硬性建築材料を製造した。
【0041】
【実施例6】
実施例1で製造した水硬性材料の硬化体の圧縮強度を測定する際に、骨材として、4号ケイ砂のかわりに、水硬性材料100重量部に対して表1の(1)に示したスラッジを乾燥粉砕したもの40重量部を使用し、測定を行なった。
【0042】
【比較例】
市販のJIS左官用消石灰を用いて、測定および評価を行った。
【0043】
実施例1〜3の水硬性材料の化学組成を、CIおよび平均粒径とともに、表3に示す。実施例1〜3の水硬性材料および実施例4〜6で製造した水硬性材料の硬化体の特性を、表4に示す。
【0044】
表1 水硬性材料の原料(重量%)
【0045】
表2 水硬性建築材料の原料配合比
【0046】
表3 分析結果(重量%)
【0047】
表4 試験結果
【0048】
【発明の効果】
本発明の水硬性材料の製造方法は、これまで利用価値が乏しく、廃棄されていた石灰系またはドロマイト系のスラッジを主原料として利用することを可能にし、それから有用な水硬性物質を得ることを可能にした方法であって、原鉱石の利用率の向上をはじめとする資源の有効利用、ゼロエミッション、および環境への負担軽減の観点から、寄与するところが顕著である上に、経済効果が大きい。
【0049】
原料組成をある範囲内で任意に調整することにより、従来の、不純分の多い石灰石を原料とした水硬性石灰の製造において問題となる、製品特性、とくに硬化時間や強度、色などのバラツキのない、均質な水硬性材料を製造することが可能になった。
【0050】
この水硬性材料は、従来から利用されている消石灰(水酸化カルシウム)を用いた漆喰と比較して、水と混合し施工した後の硬化が速いため、壁材として使用した場合、工期を大幅に短縮することが可能である。強度の発現も速く、かつ高い強度に到達するから、建築材料として求められる機械的強度も十分に高い。このように本発明の水硬性材料は、建築用材料としてはもちろん、水硬性が有用であるそのほかの用途に、好適に使用することができる。
【0051】
この水硬性材料をベースとし、それに適量の石灰系・ドロマイト系のスラッジ、石膏または土を配合してなる本発明の水硬性建築材料は、内外壁を形成する材料として、またブロック、タイル等の原料として有用である。
Claims (8)
- 下記の原料(I)〜(III)を、
(I)石灰系および(または)ドロマイト系の水洗スラッジ
(II)SiO2、Al2O3およびFe2O3をモル比で1.00:0.20〜0.50:0.05〜0.20の割合で含有し、非晶質物質を含む土
(III)炭酸カルシウムを軽度に焼成して得た酸化カルシウム
SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaOおよびMgOの含有量に基づいて次式から求められるセメント係数(CI)
CI=(2.8×SiO2+1.1×Al2O3+0.7×Fe2O3)/
(CaO+1.4×MgO)
が0.3〜1.0の範囲となるように混合して造粒し、造粒物を温度1150℃〜1300℃の範囲で焼成したのち、焼成物を消化することからなる水硬性材料の製造方法。 - 焼成物を消化するに先だって、粒径1mm以下の粒子に粉砕する工程を加えた請求項1の製造方法。
- 消化後に、粉砕および(または)分級を行なって粒度を調整する工程を加えた請求項1または2の製造方法。
- 造粒時に、原料(I)100重量部に対し、原料(IV)を、2重量部以下添加して実施する請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法。
(IV)リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびリン酸から選んだ1種または2種以上 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の方法により製造され、水酸化カルシウム15〜60重量%およびケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)15重量%以上を含有する水硬性建築材料。
- 請求項5に記載の水硬性建築材料100重量部に対し、石灰系および(または)ドロマイト系の水洗スラッジを乾燥し、粉砕して得られる粉末を150重量部以下混合してなる水硬性建築材料。
- 請求項5または6に記載の水硬性建築材料に、石膏を、無水物基準で、内割で5重量%以下混合してなる水硬性建築材料。
- 請求項5ないし7のいずれかに記載の水硬性建築材料に、非晶質物質を含む土を乾燥粉砕したものを、内割で20重量%以下混合してなる水硬性建築材料。
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JP2011252850A (ja) * | 2010-06-03 | 2011-12-15 | Nippon Steel Corp | 無機酸化物系材料中のエトリンガイトの定量分析方法 |
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