JP4335714B2 - 位相差板の製造方法、位相差板、画像表示装置 - Google Patents

位相差板の製造方法、位相差板、画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶性高分子を利用した位相差板の作製方法、位相差板、及び該位相差板を用いた画像表示装置に関する。
液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光素子及び位相差板を有する。透過型液晶表示装置では、通常、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に配置し、一枚または二枚の位相差板を液晶セルと偏光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚の位相差板、そして一枚の偏光素子の順に配置する。液晶セルは、通常、棒状液晶性分子層、それを封入するための二枚の基板、棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層、および棒状液晶性分子の配向を制御する配向膜層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence )、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)のような様々な表示モードが提案されている。
位相差板は、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。位相差板としては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。延伸複屈折フィルムからなる位相差板に代えて、透明支持体上に液晶性分子から形成された光学異方性層を有する位相差板を使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する光学的性質を有する位相差板を種々製造することができ、実際に、様々な表示モードに対応した、液晶性分子を利用した位相差板が既に提案されている。
ところで、この様な位相差板の作製には、一般に、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が用いられている。また、液晶性分子には、低分子のみならず、高分子のものも種々あり、液晶性高分子も低分子と同様に多様な配向形態をとり得ることが知られている(例えば、特許文献1参照)。通常、液晶性分子を利用して作製された位相差板は、透明支持体上に、液晶性分子の配向性を規制するための配向膜を設け、その上に液晶性分子を含有する組成物を塗布して、光学異方性層を形成することで作製される。配向膜は、通常、高分子を含有する塗布液を塗布して、形成した塗布層の表面をラビング処理して形成される。この様に、従来、位相差板を作製するに当たっては、一の光学異方性層を形成するのに、配向膜を形成する工程と光学異方性層を形成する工程の双方において塗布作業が必要であった。
また、液晶性高分子膜からなる配向膜を形成し、該液晶性高分子膜を所定の温度で加熱処理することを特徴とする液晶の配向制御方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法では液晶性高分子を、遅相軸がラビング方向に対して平行方向になる様にしか配向させることができず、ラビング方向に対し垂直方向になる様に配向させることはできなかった。前記特許文献2には、液晶性高分子膜を液晶セル用の液晶の配向膜として使用可能なことは記載されているが、位相差板の光学異方性層として用いることについては言及がない。さらに、液晶セルには通常、棒状液晶が用いられるものであり、従って、前記特許文献2には、前記液晶性高分子膜を、ディスコティック液晶性化合物の配向膜として用いることについては、なんら記載もなければ示唆もない。
特開2002−66433号公報 特開平5−181141号公報
本発明は、簡便な位相差板の作製方法を提供することを課題とする。また、簡便に作製可能な、ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層を有する位相差板を提供することを課題とする。また、簡便に作製可能で、且つ画像表示装置の表示特性の向上に寄与する位相差板、及び表示特性が改善された画像表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 一以上の光学異方性層を有する位相差板の作製方法であって、配向膜を用いずに、少なくとも一種の架橋性基を有する液晶性高分子を配向させて、光学異方性層を形成することを含む位相差板の作製方法。
[2] 前記液晶性高分子から形成された層の表面を配向処理する工程と、その後、前記液晶性高分子を液晶相に相転移させて配向させる工程と、該液晶相の配向を固定して光学異方性層を形成する工程とを含む[1]の位相差板の作製方法。
[3] 前記配向軸をラビング処理によって形成する[2]の位相差板の作製方法。
[4] 前記光学異方性層の表面に、少なくともディスコティック液晶性分子を含有する組成物を適用して、前記光学異方性層上で該ディスコティック液晶性分子を配向させ、該ディスコティック液晶性分子をその配向状態に固定して、さらに光学異方性層を形成する工程を含む[2]又は[3]の位相差板の作製方法。
[5] 前記光学異方性層の遅相軸が、透明支持体の長手方向に対して略垂直方向となるように、前記液晶性高分子を配向させる[1]〜[4]のいずれかの位相差板の作製方法。
[6] 前記液晶性高分子が、側鎖に棒状液晶性骨格を有するとともに水素結合性基を有し、且つ側鎖と主鎖とを結ぶ連結基部分に芳香環を有する[1]〜[5]のいずれかの位相差板の作製方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかの位相差板の作製方法で作製された位相差板。
[8] 透明支持体上に、配向し且つ固定された液晶性高分子を含有する液晶性高分子層と、該液晶性高分子層の表面に接触して積層されているとともに、配向し且つ固定されたディスコティック液晶性分子を含有する光学異方性層とを有する位相差板。
[9] 前記液晶性高分子が、側鎖に棒状液晶性骨格を有するとともに水素結合性基を有し、且つ側鎖と主鎖とを結ぶ連結基部分に芳香環を有する[8]の位相差板。
[10] 前記光学異方性層の遅相軸が、前記液晶性高分子層の遅相軸と略平行である[8]又は[9]の位相差板。
[11] 前記光学異方性層中において、ディスコティック液晶性分子が透明支持体の面に対して略垂直に配向している[8]〜[10]のいずれかの位相差板。
[12] 前記液晶性高分子層の厚みが、前記光学異方性層の厚みの1/10以下である[8]〜[11]のいずれかの位相差板。
[13] 液晶セルと、[7]〜[12]のいずれかの位相差板を少なくとも一有し、該位相差板が前記液晶セルの光学補償シートである画像表示装置。
[14] 前記液晶セルが、IPS(In−Plane Switching)モードの液晶セルである[13]の画像表示装置。
なお、本明細書において、ディスコティック液晶性分子について「垂直配向」とは、ディスコティック液晶性分子が、その円盤面を層平面に対して略垂直にして配向した状態をいう。また、「略垂直」及び「略直交」は、いずれも90°±
5°程度の幅を含む意味で用い、「略平行」は、0°±5°程度の幅を含む意味で用いる。また、本明細書において、光学異方性層の「遅相軸」とは、層平面内で最も屈折率の大きい方向の意味である。
本発明では、液晶性高分子を用いることによって、従来は、最低限二工程(配向膜形成工程と光学異方性層形成工程)必要であった位相差板の作製方法を、一工程でも作製可能としている。その結果、位相差板の製造工程を簡便にすることができる。さらに、特定の構造の液晶性高分子を用いて光学異方性層を形成すると、該光学異方性層は配向膜としても機能し、従来は困難であったディスコティック液晶性分子を配向膜平面に対して略垂直に、且つディスコティック液晶性分子の円盤面とラビング方向とを略直交にムラなく簡便に配向させることができる。また、上記配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有する位相差板は、画像表示装置の表示特性の向上に寄与する。
発明の実施の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、図面を用いて、本発明の位相差板の製造方法について説明する。図1は、本発明の位相差板の製造方法の一例を、概略的に示した図である。まず、透明支持体11を用意し(図1(a))、次に、この透明支持体の表面に直接、液晶性高分子を含有する塗布液等の組成物を適用して、液晶性高分子層12を形成する(図1(b))。この液晶性高分子層12の表面12aに、ラビング処理等の配向処理を施してラビング軸等の配向軸を形成すると、液晶性高分子はこの配向軸によって決定された方向に配向可能となる。その後、例えば、液晶性高分子が液晶相に転移する温度まで加熱して、液晶相に転移させることによって、液晶性高分子は前記配向軸によって決定された方向に配向する。次に、液晶性高分子を、その配向状態に固定し、光学異方性層12’を形成する(図1(c))。(a)〜(c)の工程により、透明支持体上に光学異方性層12’を有する第1の位相差板13が得られる。さらに、位相差板13の光学異方性層12’の表面12aに、液晶性分子、好ましくはディスコティック液晶性分子、から形成された光学異方性層14を形成することによって、第2の位相差板が得られる(図1(d))。例えば、光学異方性層12’の表面に、液晶性分子を含有する塗布液を適用すると、液晶性化合物の分子はその長軸が、光学異方性層12’の液晶性高分子の長軸(但し、側鎖が液晶骨格を含む場合は側鎖の長軸)と平行になる様に配向する傾向がある。その配向状態に固定することで、光学異方性層14を、別途、配向膜を利用することなく、形成することができる。
上記製造工程における、液晶性高分子及びディスコティック液晶性分子の配向状態を、図2及び図3を用いて説明する。
図2は、主鎖04と、棒状液晶性骨格を有する側鎖03とを有する液晶性高分子02を用いた場合の配向状態の例を模式的に示した図である。例えば、透明支持体11上に、液晶性高分子層を形成し、その表面をラビング処理し、長手方向に平行にラビング軸16(配向軸)を形成し、その後、液晶性高分子02を液晶相に転移させると、液晶性高分子02は、その主鎖04をラビング軸16と平行にして配向する。液晶性高分子中の棒状液晶性骨格を含む側鎖03は、図2(a)に示す様に、ラビング軸16に対して平行に並ぶ場合もあるし、図2(b)に示す様に、ラビング軸16に対して垂直に並ぶ場合もある。いずれの配向状態をとるかは、液晶性高分子の構造等で決定される。
図3は、図2(a)及び(b)のそれぞれの層の表面上で、ディスコティック液晶性分子を配向させた場合の配向状態の例を模式的に示した図である。上記した様に、配向した液晶性高分子からなる層12’上に、低分子の液晶性化合物を含有する塗布液を適用すると、液晶性化合物の分子は、その長軸を、液晶性高分子の液晶骨格の長軸と一致させて配向する傾向がある。例えば、図2(a)に示した配向状態にある液晶性高分子からなる層12’の表面で、ディスコティック液晶性分子05を配向させた場合、その円盤面をラビング軸16に対し水平に、且つ層平面に対して垂直に配向する。一方、図2(b)に示した配向状態にある液晶性高分子からなる層12’の表面で、ディスコティック液晶性分子05を配向させた場合は、円盤面をラビング軸16に対して垂直に、且つ層平面に対して垂直に配向する。
ディスコッティック液晶性化合物の分子を、その円盤面を層平面に対して略垂直に配向させた光学異方性層を有する位相差板は、画像表示装置、特に、IPSモードの画像表示装置の光学補償に有用であり、表示特性の向上に寄与する。特に、従来、図3(b)に示した、ディスコティック液晶性分子を、その円盤面とラビング軸とを直交させて、且つ配向膜平面に対して垂直にムラなく配向させるのは困難であったが、本発明の位相差板の作製方法を利用することによって、ディスコティック液晶性分子を、かかる状態に安定的に配向させることができる。さらに、後述する配向制御剤と組み合わせることによって、円盤面の層平面に対する傾斜角を調整することもできるので、種々のモードの液晶セルの光学補償に有用な、所望の光学特性を有する位相差板を容易に作製することができる。
また、本発明の作製方法を利用すれば、図4に示した様に、長尺状の支持体上に、連続的に液晶性高分子からなる光学異方性層、及びディスコティック液晶性分子からなる光学異方性層を形成する場合も、液晶性高分子及びディスコティック液晶性分子を、均一にムラなく前述の種々の配向状態に配向させることができ、即ち、本発明は、生産性の向上にも寄与する。
なお、上記例では、液晶性高分子層に施される配向処理として、ラビング処理を例に挙げて説明したが、他の配向処理を利用することもできる。例えば、電場もしくは磁場の付与、又は光照射によって配向処理する場合は、これらのエネルギーの供与の方向が、液晶性高分子の配向を決定する配向軸となる。また、上記例では、液晶性高分子として、側鎖に液晶骨格を有する高分子の例を挙げたが、これに限定されるものではなく、主鎖中に液晶骨格を含むものであってもよい。
なお、本明細書では、透明支持体と液晶性高分子から形成された高分子液晶層を有する位相差板(図1中では13)を、「第1の位相差板」と記し、第1の位相差板上にさらに液晶性分子から形成された光学異方性層を有する位相差板(図1中15)を、「第2の位相差板」と記す。
以下、本発明の第1の位相差板の作製に使用可能な液晶性高分子等の材料、及び第1の位相差板の作製方法について順次説明する。次いで第1の位相差板上に形成される光学異方性層の作製に用いられる、低分子の液晶性化合物等の材料、及び第2の位相差板について説明する。
1.液晶性高分子を用いた第1の位相差板の作製方法
1−1.液晶性高分子
本発明に使用可能な液晶性高分子は、高分子を形成する構成単位の側鎖もしくは主鎖に少なくとも一種の液晶性を示す骨格を有する。液晶性を示す骨格としては棒状液晶性骨格であってもディスコティック液晶性を示すものでもよいが、棒状液晶性骨格を含有しているのが好ましい。
(1).液晶性骨格を含有する構成単位
液晶性骨格のうち棒状液晶性骨格としては、アゾメチン骨格、アゾキシ骨格、シアノビフェニル骨格、シアノフェニルエステル骨格、安息香酸エステル骨格、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル骨格、シアノフェニルシクロヘキサン骨格、シアノ置換フェニルピリミジン骨格、アルコキシ置換フェニルピリミジン骨格、フェニルジオキサン骨格、トラン骨格およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル骨格が好ましく用いられる。また、ディスコティック液晶性骨格としては、トリフェニレン骨格、トリアジン骨格等が挙げられる。更にこれら液晶性骨格に重合性基が置換していてもよい。
液晶性骨格を有する液晶高分子の構成単位としてより好ましくは、側鎖に上記の骨格が置換した構成単位であり、その際の主鎖骨格としては、炭化水素系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリマレインイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアニリド等)、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリウレタン、および、ポリウレイドであるのが好ましい。
また、液晶性高分子の主鎖骨格としてより好ましくは、炭化水素系ポリマー、ポリカルボナート、ポリアミック酸、および、ポリイミドである。
以下に本発明で用いられる液晶性高分子に含まれる液晶性骨格を含有した構成単位の好ましい具体例を示す。
Figure 0004335714
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(2)液晶性骨格を含まない構成単位
本発明の液晶性高分子は、前記の液晶性骨格を有する構成単位の一種のみなる単独重合体でもよいし、これら構成単位の二種以上の、またはこれら構成単位の一種以上と液晶性骨格を含まない構成単位の一種以上との共重合体でもよい。液晶性骨格を含有しない構成単位としては、特に制限はないが、好ましい共重合構成単位としては、例えば、炭化水素系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリマレインイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアニリド等)、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリウレタン、および、ポリウレイドであり、液晶性骨格を含有する構成単位と同一である事が好ましい。
以下に液晶性骨格を含有しない構成単位の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 0004335714
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本発明の液晶性高分子が、前記液晶性骨格を含有する構成単位と含有しない構成単位との共重合体である場合、液晶性骨格を含有する構成単位の含率は、10質量%以上100質量%未満が好ましく、より好ましくは、30質量%〜90質量%であり、更に好ましく50質量%〜80質量%である。
(3)架橋性基を含有する構成単位
本発明に使用する液晶性高分子は、更に架橋性基を有する構成単位を含むのが好ましい。架橋性基を有する液晶性高分子を使用することにより、配向後の液晶性高分子層を固定するのが容易になり、また、以降に詳細を示すが、その上に、低分子の液晶性化合物の光学異方性層を形成する場合にも、液晶性高分子層と該光学異方性層との密着性を向上させることができる場合が多く好ましい。前記液晶性高分子中に含まれる架橋性基は、付加、縮合、置換反応性基など特に制限なく用いることができる。一方で、液晶性高分子層の上に形成される光学異方性層は、アクリロイル基、メタクリロイル基などエチレン性不飽和基を有する液晶材料を用いて、光ラジカル重合開始剤の存在下で紫外線照射により固定して形成されるのが好ましく、従って、前記光学異方性層の配向膜としても機能する液晶性高分子層も、紫外線照射により、架橋反応し得る架橋性基を有する液晶性高分子からなるのが好ましい。紫外線照射により架橋しうる反応の好ましい例として、紫外線照射によりカチオンを発生する化合物を併用したエポキシ環、オキセタン環などのヘテロ環状化合物の開環重合反応と、紫外線照射によりラジカルを発生する化合物を併用したエチレン性不飽和基を有する化合物のラジカル重合反応とが挙げられる。これらのうちポリマー中に含まれる最も好ましい架橋性基はエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基等)である。また、前記配向膜用ポリマー中への架橋性基導入方法としては特に制限はない。
以下に架橋性基を含む構成単位の好ましい具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 0004335714
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本発明に用いられる液晶性高分子は、付加、縮合、置換反応など種々の方法により製造することができる。液晶性高分子に架橋性基を有する構成単位を含ませるには、(a)対応するモノマー(即ち、架橋性基となる置換基を有するモノマー)を重合して、直接エチレン性不飽和基を導入する手法;または(b)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られたポリマーに、高分子反応によりエチレン性不飽和基を導入する手法;を利用することができる。前記高分子反応は、I)例えば2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させた後に、官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応、脱保護反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法;およびII)任意の官能基を含むポリマーを生成させた後に、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行し、共有結合を生成し得る官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する化合物(以降、「反応性モノマー」と称する。)を反応させる方法が挙げられる。また前記I)およびII)の方法を組み合わせて、前記ポリマーを合成してもよい。ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いてもよく、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
本発明の液晶性高分子は、架橋性基を有する構成単位を、0.1質量%〜60質量%含むのが好ましく、0.3質量%〜50質量%含むのがより好ましく、0.5質量%〜40質量%含むのがさらに好ましい。
(4)液晶性高分子の物性
前記液晶性高分子の好ましい分子量範囲は、重量平均分子量で1000以上100万以下、さらに好ましくは2000〜20万である。最も好ましくは3000〜10万である。
また、液晶性高分子の液晶相を示す温度範囲は、昇温の過程で20℃〜300℃である事が好ましく、より好ましくは50℃〜250℃であり、更に好ましくは80℃〜200℃である。ただし、液晶性高分子は低分子の液晶化合物と異なり、昇温の過程で一度液晶層に層転移すると降温過程ではその液晶状態を示す温度が広がりやすく、好ましくは室温(15℃〜25℃)に戻しても液晶状態を維持している事が好ましい。
(5)液晶性高分子の具体例
以下に本発明に用いられる液晶性高分子の好ましい例を表1に示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。なお、液晶性骨格を含有する構成単位、液晶性骨格を含有しない構成単位、及び架橋性置換基を含む構成単位については、前述の具体例の番号により示し、共重合組成比は質量%で付記した。
Figure 0004335714
前記液晶性高分子が、側鎖に棒状液晶性骨格を有するとともに水素結合性基(例えば、−COOH等)を有し、且つ側鎖と主鎖とを結ぶ連結基部分に芳香環を有していると、液晶性高分子が、図2(b)に模式的に示した状態で配向する傾向にあるので、その表面上で、ディスコティック液晶性分子を、図3(b)に模式的に示した状態に安定的配向させることができる。
(6)液晶性高分子の合成法
本発明の液晶性高分子の合成は、既知の方法を適用して容易に作製することができる。以下に本発明に使用可能な液晶性高分子の具体的合成例を記すが、本発明に使用可能な液晶性高分子の合成例はこれに限定されるものではない。
(AL−1およびAL−2)の合成例
ヒドロキシブチルアクリレートをメタンスルホニル化したメシレート体とシアノビフェニルから容易に得られるI−1とアクリル酸を質量比8:2となる様に混合し、メチルエチルケトン溶液を作製した。1000mLの三口フラスコに2−ブタノン(250ml)を入れ、窒素を35ml/分の流量で流しながら60℃に加熱したところへ、開始剤(AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、0.35g)の2−ブタノン(10ml)溶液を添加した。その後直ぐに、前記モノマー(トータルモル量:0.25mol)のメチルエチルケトン溶液を2時間掛けて滴下した。滴下終了後、再度開始剤(AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、0.45g)の2−ブタノン(10ml)溶液を添加し、そのままの温度で4時間反応させた。その後、反応系を室温に戻した後、攪拌されたヘキサン/酢酸エチル(2/1:2.5L)中にゆっくりと注加し、析出したポリマーを吸引ろ過によって取り出し、更に乾燥した。得られたポリマーの残渣は28gであった。このポリマーを乾燥する事によって、本発明に用いられる液晶配向膜(AL−1)を20g得た。得られたポリマーの1H−N.M.Rより、ポリマー(AL−1)は繰り返し単位(I−1)と(II−1)がモル比質量比で80/20の組成で構成されている事が確認された。
更に、得られたAL−1に対し5モル%のグリシジルメタクリレートをN,N−ジメチルアセトアミド中で反応させ、反応液を水中に注加した後、乾燥してAL−2を得た。AL−2を構成するI−1、II−1、および、A−16の比率は、1H−NMRより確認した。
1−2.支持体
本発明の位相差板は支持体を有する。支持体は、作製時に用いられる支持体と必ずしも同一でなくてもよく、前記液晶性高分子からなる層を作製した後、作製時に用いた仮支持体から他の支持体に転写してもよい。透明で光学異方性が小さく、波長分散が小さいポリマーフィルムを支持体として用いることが好ましい。ここで支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体は、図4に示した様なロール状の巻き上げられた長尺状のシート、または長方形のシート状の形状を有することが好ましく、長尺状の透明支持体を用いて、液晶性高分子層、さらにはその上に光学異方性層を積層してから、必要な大きさに切断することが好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる液晶性高分子層との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
1−3.液晶性高分子層の形成
前記液晶性高分子層は、前記の液晶性高分子を溶媒に溶解して調製した塗布液を、前記透明支持体表面に塗布し、25℃〜13℃で塗布液中に含まれる溶媒を乾燥除去することで作製することができる。また、可能であれば蒸着によって形成することもできるが、塗布による形成がより好ましい。このようにして形成される液晶性高分子層の厚さは、その上に光学異方性層を形成する場合は、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。一方、液晶性高分子からなる層に、充分な光学補償能を与え、第1の位相差板を画像表示装置の光学補償シートとして用いる場合は、前記液晶性高分子からなる層の厚みは、0.1〜20μmであるのが好ましく、0.5〜10μmであるのがより好ましい。
前記の液晶性高分子層形成用塗布液の調製に用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられるが、好ましくは、水、アルコール類およびこれらの混合溶媒である。前記塗布液中の配向膜用ポリマーの濃度は、0.1質量%〜40質量%であるのが好ましく、0.5質量%〜20質量%であるのがより好ましく、2質量%〜10質量%であるのがさらに好ましい。前記塗布液の粘度は、0.1cp〜100cpであるのが好ましく、0.5cp〜50cpであるのがより好ましい。
前記塗布液中には、前記液晶性高分子以外にも、適宜添加剤を添加してもよい。例えば、前記液晶性高分子が水溶性の溶媒に溶解し難い場合は、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエチルアミンなど)や、酸性化合物(例えば、塩酸、酢酸、コハク酸等)を添加して溶解を促進してもよい。
1−4.液晶性高分子層の配向および固定化
(1)配向性の付与
前記方法によって形成された液晶性高分子の層は、液晶性高分子を配向させるために、その表面が、ラビング処理等の配向処理が施され、液晶を配向させるための配向軸が形成されているのが好ましい。ラビング処理は、液晶性高分子層の表面を、紙や布で一定方向(通常は長手方向)に数回こすることにより実施することができる。また、ラビング処理以外の方法としては、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により液晶配向性を付与することもできる。液晶配向性を付与する方法としては、ラビング処理が特に好ましい。
(2)液晶性高分子の配向および固定化
次に、液晶性高分子の層の表面に配向処理により配向軸を形成した後、液晶性高分子を配向させる。例えば、液晶性高分子層が液晶性を示す温度範囲まで昇温させることで、配向させることができる。その後、その配向状態に固定して、光学異方性層を形成することができる。液晶性高分子が架橋性基を有する構成単位を含有する場合は、層全体を配向させた後、光照射等によってその配向を固定化することが好ましい。また、架橋性基が含まれていない液晶性高分子であっても、室温まで降温しても一度形成した配向状態を維持して固定化されている場合もある。このようにして、配向膜を用いずに、液晶性高分子からなる光学異方性層を形成することができる。
この様にして作製した、支持体と液晶性高分子からなる光学異方性層とを有する第1の位相差板は、光学補償シートをはじめとする種々の用途に用いることができる。さらに、第1の位相差板の上に、他の光学異方性層を形成し、第2の位相差板としてから、種々の用途に用いることもできる。
2.第2の位相差板
前記第1の位相差板の、配向固定された液晶性高分子からなる層(以下、「第1の光学異方性層」という場合がある)の上に、更に低分子の液晶化合物から形成された光学異方性層(以下、「第2の光学異方性層」という場合がある)を形成してもよい。上記した様に、低分子の液晶化合物を、前記第1の光学異方性層の表面に適用すると、液晶性化合物の分子は、前記光学異方性層中の液晶性高分子の配向によって決定された方向に配向する。その配向状態に液晶性分子を固定して、光学異方性層を形成することで、第2の位相差板を作製することができる。
以下、第2の位相差板の形成に必要なディスコティック液晶性化合物および位相差板の作製方法について詳細に記す。
2−1.第2の光学異方性層
前記第1の光学異方性層の上に形成される第2の光学異方性層は、液晶性化合物、好ましくはディスコティック液晶性化合物、および所望により重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、前記第1の光学異方性層の表面、好ましくは配向処理面に塗布し、液晶性化合物の分子を配向、固定化することで形成することができる。液晶性化合物の分子を配向および固定化した後は、支持体を剥離してもよい。
以下、第2の光学異方性層の形成方法およびそれに用いられるディスコティック液晶性化合物について詳細を記す。
(1)形成方法
前記光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した塗布液を、上記の様に支持体上に形成され、且つ、配向固定化された本発明の液晶性高分子層上に塗布することによって作製することができる。また、可能であれば蒸着による形成でもよいが、塗布による形成が好適に用いられる。塗布方法としてはカーテンコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、ロールコーティング、スライドコーテティング、ブレードコーティング、グラビアコーティング、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、液晶性化合物を配向させ、更に、所望により紫外線照射等によって固定化することによって、液晶性化合物による光学異方性層が形成される。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。このようにして形成された光学異方性層の厚さは、光学補償等の用途によって、最適なレターデーションの値によって異なるが、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。また、液晶性高分子からなる第1の光学異方性層と、ディスコティック液晶性分子からなる第2の光学異方性層とのの厚さの比率は、第1の光学異方性層の厚みが、第2の光学異方性層の厚みに対して、1/2以下であるのが好ましく、1/10以下であるのがより好ましい。厚みの比率が前記範囲であると、第2の光学異方性層の光学特性が主として反映される為、特に一軸性の位相差板が光学補償膜として好適な液晶セルモード(例えば、IPSモード)にとって好ましい。
(2) 光学異方性層の形成に用いられる材料
第2の位相差板に必要な新たな光学異方性層に用いられる材料は、主として液晶性化合物、および、その配向性を制御する配向制御剤や配向固定化するための重合開始剤等の添加剤、更にこれらを溶解できる溶媒からなる。以下これらの詳細を記す。
(A)液晶性化合物
液晶性分子としては、ディスコティック液晶性分子を用いるのが好ましい。液晶性分子は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。
(III) D(−M−P)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Pは重合性基であり;そして、nは4〜12の整数である。式(III)の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、MP(またはPM)は、二価の連結基(M)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
Figure 0004335714
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Figure 0004335714
式(III)において、二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
二価の連結基(M)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
M1:−AL−CO−O−AL−
M2:−AL−CO−O−AL−O−
M3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
M4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
M5:−CO−AR−O−AL−
M6:−CO−AR−O−AL−O−
M7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
M8:−CO−NH−AL−
M9:−NH−AL−O−
M10:−NH−AL−O−CO−
M11:−O−AL−
M12:−O−AL−O−
M13:−O−AL−O−CO−
M14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
M15:−O−AL−S−AL−
M16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
M17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
M18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
M19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
M20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
M21:−S−AL−
M22:−S−AL−O−
M23:−S−AL−O−CO−
M24:−S−AL−S−AL−
M25:−S−AR−AL−
式(III)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
Figure 0004335714
Figure 0004335714
Figure 0004335714
Figure 0004335714
Figure 0004335714
Figure 0004335714
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。式(II)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のMとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上のディスコティック液晶性分子(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
以下に、式(III)で表される重合性液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004335714
(B)塗布液添加剤
前記第2の光学異方性層の形成用塗布液中には、配向させた液晶化合物を光重合によって固定化するために、光重合開始剤及び光増感剤が添加される事が好ましい。また光重合開始剤以外にも適宜添加剤を添加してもよく、例えば、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、配向制御剤およびカイラル剤等が挙げられる。以下に光重合開始剤、光増感剤、および、配向制御剤について詳細に記す。
(B)−1 光重合開始剤および光増感剤
液晶性分子は、配向状態を維持して固定することが好ましく、固定化は、液晶性分子に導入した重合性基(一般式(III)で表すところのP)の重合反応により実施することが好ましい。固定化には所望の光学異方性の発現と安定化が目的であり、その結果、液晶性が失われる事は何ら差し支えない。そのためには、前記塗布液中には、重合開始剤を含有させるのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応、および電子線を用いるEB硬化が含まれる。このうち、光重合反応(光硬化)およびEB硬化が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物およびベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン等が含まれる。
光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることが更に好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
(B)−2 配向制御剤
前記第2の光学異方性層の形成用塗布液中には、上記光重合開始剤以外にも適宜添加剤を添加してもよい。例えば、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、配向制御剤およびカイラル剤等が挙げられる。以下に配向制御剤について詳細に説明する。本発明における配向制御剤とは、液晶性化合物の塗布液に添加され、塗布後に液晶性化合物の層の表面、つまり、空気界面側に偏在することによって、空気界面側での液晶性化合物の配向を制御することができる化合物を表す。この配向制御剤の構造によっては、液晶性化合物を空気界面側で略垂直に配向させたり、逆に略水平に配向させることもできるが、本発明においてはディスコティック液晶性化合物を空気界面側で略垂直に配向させる添加剤が好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物の場合には、特開2000−344734号公報等に記載の下記一般式(V)で表されるような化合物が挙げられる。
一般式(V)
(Hb−)mL(−Bu)n
式中、Hbは、炭素原子数が1〜40のフッ素置換アルキル基、炭素原子数が6〜40のフッ素置換アリール基、炭素原子数が6〜60のアルキル基および炭素原子数が1〜60のアルキル置換オリゴシロキサノキシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり、Buは少なくとも二つの環状構造を含む排除体積効果を有する基であり、Lは(m+n)価の連結基であり、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜12の整数である。
一般式(V)で表される配向制御剤として好ましくは、トリヒドロキシベンゼン骨格およびトリアジン骨格に、フッ素アルキル基や長鎖アルキル基、アリール基が置換した低分子配向制御剤が挙げられる。空気界面側でディスコティック液晶を垂直に配向させるための配向制御剤の具体例としては、例えば、以下のD−1等が挙げられ、水平に配向させるための配向制御剤としてD−2等が挙げられる。
Figure 0004335714
また、配向制御剤としては、以下に示すような高分子化合物でもよい。添加される高分子配向制御剤は液晶層の塗布液に溶解しうるポリマーであればよい。好ましい高分子配向制御剤の一例を以下に示す。
ポリプロピレンオキシド
ポリテトラメチレンオキシド
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリメラミン
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,2−ブチレン グリコール)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリ(3−ヒドロキシブチリックアシッド)
また、少なくとも一つのフッ化アルキル基を有するモノマーからなる構成単位を含有したポリマーがより好ましく用いられ、例えば、以下に示したD−3のポリマー等が好適に用いられる。
Figure 0004335714
配向制御剤の添加量は、該制御剤の添加する液晶組成物中の液晶性化合物に対し0.05質量%〜10質量%添加することが好ましい。より好ましくは0.1質量%〜5質量%である。
(C)塗布溶媒
光学異方性層形成用の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例:酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例:アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)などが含まれる。この中でアルキルハライド、ケトンが好ましい。2種類以上の有機溶剤を併用してもよい。
塗布液中の液晶性化合物およびその他の添加剤の固形分濃度としては、0.1質量%〜60質量%が好ましく、0.5質量%〜50質量%がより好ましく、2質量%〜40質量%がさらに好ましい。また、塗布液の粘度は、0.01cp〜100cpが好ましく、0.1cp〜50cpがより好ましい。
本発明の位相差板は、種々の用途に利用される。液晶表示装置の光学補償シートや、直線偏光膜や透明保護膜と積層して偏光板として利用され得る。
4.偏光板
本発明の位相差板に、直線偏光膜または透明保護膜を貼り合せ、偏光板とした後に、実際の液晶表示素子に用いる際に好ましい。以下に該偏光膜および透明保護膜について説明する。
(1)偏光膜
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。ディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に用いた場合には、偏光膜の透過軸は、配向膜側のディスコティック液晶性分子の面に対し、実質的に平行になるように配置される。また、棒状液晶性化合物を用いた場合、偏光膜の透過軸は、棒状液晶性分子の長軸方向(遅相軸)と、実質的に平行になるように配置する。通常は、位相差板の支持体側に張り合わせるのが好ましいが、必要によっては、光学異方性層側と貼り合わせてもよい。
(2)透明保護膜
位相差板の光学異方性層側に透明保護膜として、透明なポリマーフィルムが用いられることが好ましい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
5.液晶表示装置
本発明の位相差板は、様々な表示モードの液晶セルを有する液晶表示装置に用いることができる。前述した様に、本発明の位相差板は、液晶セルの表示特の向上に寄与する光学補償シートして有用である。液晶性分子からなる光学異方性層有する光学補償シートは、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)等の液晶セルに対応するものが既に提案されている。本発明によって得られる位相差板および偏光板は、その配向状態によって種々の液晶表示モードに適用できる。例えば、透明支持体上に液晶性高分子から形成された光学異方性層を有し、且つ液晶性高分子が図2(b)に示す配向状態である位相差板は、透過型のVAモードに好適に使用できる。また、例えば、透明支持体上に液晶性高分子から形成された第1の光学異方性層と、ディスコティック液晶性分子から形成された第2の光学異方性層とを有し、ディスコティック液晶性分子が、図3(b)に示す様に、配向膜側から空気界面側まで垂直に配向した位相差板は、透過型のIPSモードに好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1:第1の位相差板の作製]
(1)液晶性高分子膜の形成
厚さ100μm、幅150mm、長さ200mの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。液晶性高分子(例示化合物No.AL−1)を水/メタノール混合液に4質量%になるように希釈し、アクリル酸の中和剤として等モルのトリエチルアミンを添加し、塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に連続塗布し、塗布層を120℃で2分間加熱して、乾燥し、厚さ1μmの液晶性高分子膜E−101を形成した。
(2)光学異方性層の形成
前記E−101に対し、透明支持体の長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施した。さらにこの層を液晶性高分子AL−1がネマチック相に相転移する温度よりも5℃高い、135℃で1分間加熱して、液晶性高分子層を配向させた。このようにして、位相差板RL−101を作製した。
(3)第1の位相差板の配向状態と配向欠陥の評価
配向状態は光学顕微鏡を用いて目視評価した結果、液晶性高分子AL−1は、液晶性骨格の置換基を有する側鎖が、ラビング方向(位相差板の長手方向)と平行に配向していることを確認した。さらに、液晶性高分子からなる光学異方性層中に生じた配向欠陥の数を光学顕微鏡で観察して調べた結果、点欠陥の個数(1.0mm2範囲の平均値)は1.0mm2範囲で20個以下であった。
(4)密着性の評価
位相差板作製後、その表面を金具で引っ掻き、支持体から光学異方性層の剥がれやすさを評価した。評価基準としては、A:全く剥がれない、B:少し剥がれる、C:剥がれやすい、の3段階で評価した。
[実施例2]
実施例1に示した、位相差板の作製方法において、本発明の液晶性高分子AL−1を、以下の表2に示した、AL−2、AL−3、および、AL−5に変更し、また塗布液に重合開始剤を添加して塗布し、さらに配向後に光照射によって固定化したこと以外は、実施例1と同様にして、位相差板RL−102、103、及び104をそれぞれ作製した。
これらの位相差板について、位相差板RL−101と同様に、配向状態を観察し、配向欠陥の数を調べ、密着性を評価した。結果を以下の表にまとめて示す。
Figure 0004335714
光学異方性層中の液晶性高分子の配向状態を観察したところ、AL−3およびAL−5を用いた位相差板RL−103および104は、液晶性高分子の液晶性骨格を含む側鎖は、図2(b)に示した様に、ラビング方向に対して垂直方向あった。また、液晶性高分子に光架橋性部位を含有させ、配向後に光重合させて固定化することで、膜の密着性が大幅に改良された。
[実施例3:第1の位相差板の光学補償機能の評価]
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状位相差板(RL−103)の透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板HL−103を作製した。作製した偏向板を透過型VA用液晶セルに貼り付け、人物画像を表示した状態を目視で観察した結果、ムラの無い画像が得られた。
この様に、液晶性高分子を用いることにより、配向膜なしで光学異方性層を形成することが可能であった。また、配向させた液晶性高分子からなる光学異方性層を有する位相差板は、VAモードの液晶セルの表示特性の向上に寄与し、光学補償シートとして有用であった。
[実施例4:第2の位相差板の作製]
(1)第1の位相差板の作製
実施例1に記載の液晶性高分子膜の形成において、液晶性高分子(例示化合物No.AL−1)の水/メタノール混合液の濃度を、0.4質量%とした以外は、実施例1と同様にして、第1の位相差板RL−101’を作製した。この位相差板上の光学異方性層の厚みは、0.1μmであった。
(2)光学異方性層の形成
前記で作製した第1の位相差板R−101’の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を100℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で4秒間、600mj/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学的異方性層を形成し、本発明の第2の位相差板RL−201を作製した。波長550nmにおける面内レターデーション(Re)をエリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて測定したところ、Reは100nmであった。
────────────────────────────────────
光学的異方性層(A)塗布液組成
────────────────────────────────────
下記のディスコティック液晶性化合物 III−1 14.5質量%
下記の増感剤 0.15質量%
下記の光重合開始剤 0.45質量%
下記の配向制御剤 D−3 0.10質量%
メチルエチルケトン 84.7質量%
────────────────────────────────────
Figure 0004335714
(3)位相差板の配向状態と配向欠陥の評価
作製した位相差板の光学異方性層中のディスコティック液晶性分子の配向状態を、光学顕微鏡を用いて目視評価した結果、ディスコティック液晶性分子は、図5に示す配向状態に固定されていることを確認した。即ち、作製した光学異方性層14中において、ディスコティック液晶性分子05が、分子の円盤面とラビング方向(位相差板の長手方向)とのなす角を平行にして、且つ層平面に対して垂直にして、配向している垂直直交型の配向状態に固定されていることを確認した。なお、図5中、(a)側面図は図4中のaから見た断面図であり、(b)正面図は図4中のbから見た断面図であり、また、図5中の各符号の意味は、図1の各符号の意味と同一である。後述する図6においても同様である。
さらに、光学異方性層14中に生じた配向欠陥の数を光学顕微鏡で観察して調べた結果、点欠陥の個数(1.0mm2範囲の平均値)は1.0mm2範囲で10個以下であった。
(4)密着性の評価
位相差板作製後、その表面を金具で引っ掻き、光学異方性層(A)から光学異方性層(B)の剥がれやすさを評価した。評価基準としては、A:全く剥がれない、B:少し剥がれる、C:剥がれやすい、の3段階で評価した結果、R−201はBのレベルであった。
2.偏光板の作製
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状位相差板(RL−201)の透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板HL−201を作製した。作製した偏向板を透過型IPS用液晶セルに貼り付け、人物画像を表示した状態を目視で観察した結果、ムラの無い画像が得られた。
[実施例5]
実施例4に示した、第2の位相差板の作製方法において、本発明の液晶性高分子AL−1を、以下の表2に示した、AL−2、AL−3、及びAL−5にそれぞれ変更した以外は、実施例4と同様にして、本発明の第2の位相差板RL−202、203、及び204をそれぞれ作製した。
作製した位相差板について、上記と同様に光学異方性層中のディスコティック液晶性分子の配向状態を観察したところ、位相差板RL−202のディスコティック液晶性分子の配向は、RL−101と同様、図5に示した配向であった。一方、RL−203、及び204を用いた場合のディスコティック液晶性分子の配向は、図6に示した様に、ディスコティック液晶性分子05が、分子の円盤面とラビング方向(位相差板の長手方向)とのなす角を垂直にして、且つ基板平面に対しても垂直にして配向している状態に固定されていることを確認した。
作製したこれら位相差板について、上記と同様にして求めた配向欠陥の数、および密着性の評価結果を以下の表2に示す。
更に、実施例4において用いた位相差板RL−201を、位相差板RL−202、203及び204にそれぞれ代えた以外は、実施例4と同様にして、偏光板HL−202、203及びHL−204をそれぞれ作製した。作製したこれらの偏光板について、上記と同様に画像表示性能を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004335714
この様に、配向した液晶性高分子からなる層を配向膜として用いることによって、ディスコティック液晶性化合物の遅相軸を液晶性高分子の遅相軸と平行に、且つ、基板に対して垂直に配向させることができた。さらに、本発明の様にラビング方向に対して垂直方向に配向できる液晶性高分子を用いることによって、従来の配向膜では困難であったディスコティック液晶性分子を略垂直に、且つ、ディスコティック液晶性分子の面とラビング方向が略直交に配向させる位相差板が得られることがわかった。また、結果として良好な画像表示性能を与える偏光板を得ることができた。
本発明の位相差板の製造方法の一例を概略的に示す模式図である。 液晶性高分子のラビング方向に対する配向状態の一例を模式的に示した図である。 ディスコティック液晶性分子の配向状態の一例を模式的に示した図である。 本発明に使用可能な支持体の一例の斜視図である。 実施例の位相差板の(a)側面模式図および(b)正面模式図である。 他の実施例の位相差板の(a)側面模式図および(b)正面模式図である。
符号の説明
02 液晶性高分子
03 液晶性高分子の液晶骨格を有する側鎖
04 液晶性高分子の主鎖
05 ディスコティック液晶性分子
11 支持体
12 液晶性高分子層
12’、12” 液晶性高分子から形成された光学異方性層
13、13’ 第1の位相差板
14、14’ ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層
15、15’ 第2の位相差板
16 ラビング軸(配向軸)

Claims (10)

  1. 配向膜を用いずに、少なくとも一種の架橋性基を有する液晶性高分子を配向させて、光学異方性層を形成することを含む、一以上の光学異方性層を有する位相差板の作製方法であって、
    前記液晶性高分子から形成された層の表面を配向処理する工程と、その後、前記液晶性高分子を液晶相に相転移させて配向させる工程と、該液晶相の配向を固定して光学異方性層を形成する工程とを含む位相差板の作製方法。
  2. 前記配向処理する工程において、ラビング処理によって配向軸を形成する請求項に記載の位相差板の作製方法。
  3. 前記光学異方性層の表面に、少なくともディスコティック液晶性分子を含有する組成物を適用して、前記光学異方性層上で該ディスコティク液晶性分子を配向させ、該ディスコティック液晶性分子をその配向状態に固定して、さらに光学異方性層を形成する工程を含む請求項1又は2に記載の位相差板の作製方法。
  4. 前記光学異方性層の遅相軸が、透明支持体の長手方向に対して略垂直方向となるように、前記液晶性高分子を配向させる請求項1〜のいずれか一項に記載の位相差板の作製方法。
  5. 透明支持体上に、配向し且つ固定された液晶性高分子を含有する液晶性高分子層と、該液晶性高分子層の表面に接触して積層されているとともに、配向し且つ固定されたディスコティック液晶性分子を含有する光学異方性層とを有する位相差板であって
    前記液晶性高分子が、側鎖に棒状液晶性骨格を有するとともに水素結合性基を有し、且つ側鎖と主鎖とを結ぶ連結基部分に芳香環を有する位相差板。
  6. 前記光学異方性層の遅相軸が、前記液晶性高分子層の遅相軸と略平行である請求項に記載の位相差板。
  7. 前記光学異方性層中において、ディスコティック液晶性分子が透明支持体の面に対して略垂直に配向している請求項5又は6に記載の位相差板。
  8. 前記液晶性高分子層の厚みが、前記光学異方性層の厚みの1/10以下である請求項5〜7のいずれか一項に記載の位相差板。
  9. 液晶セルと、請求項5〜8のいずれか一項に記載の位相差板を少なくとも一有し、該位相差板が前記液晶セルの光学補償シートである画像表示装置。
  10. 前記液晶セルが、IPS(In−Plane Switching)モードの液晶セルである請求項に記載の画像表示装置。
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