JP4335406B2 - 切削工具及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化珪素をマトリックスとする切削工具及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、窒化珪素をマトリックス(母材)とする多くの焼結体が開発されている。例えば特公昭60−48475号公報には、窒化チタン、窒化タンタルから選ばれる1種又は2種を含有する窒化珪素ホットプレス焼結体が提案されている。
【0003】
また、これとは別に、特開平9−268071号公報には、窒化珪素と炭窒化チタンを主体とする窒化珪素工具が開示されており、この種の窒化珪素工具は、鋳鉄部品の加工(切削加工)などに使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した窒化珪素工具は、鋳鉄部品の切削加工以外に、超耐熱合金の切削加工にも用いられるが、超耐熱合金は熱伝導性が悪いので、工具刃先に熱がこもり易いという問題があった。
【0005】
つまり、刃先温度が上昇すると、工具を構成する組織の各相(マトリックス相、硬質相、粒界相)のうち、粒界相の軟化が進み、工具の耐摩耗性が低下するという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みて提案されたものであり、耐摩耗性等に優れた切削工具及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)前記目的を達成するための請求項1の発明は、
窒化珪素をマトリックスとして、窒化チタン:10〜20重量%、アルミナ:3〜5重量%、イットリア:11〜15重量%を含有する切削工具であって、前記窒化珪素からなるマトリックス相、前記窒化チタンからなる硬質相、粒界相に存在するガラス相、及び前記粒界相に存在する結晶相を備えるとともに、前記結晶相には、J相を含み、且つ、X線回折による、前記窒化珪素の最大ピークAと、前記窒化珪素及び窒化チタン以外の前記結晶相の最大ピークBとの比R(=B/A)が、0.45≦R≦0.6の範囲であることを特徴とする切削工具を要旨とする。
【0007】
発明の切削工具は、窒化珪素をマトリックス(即ち主成分である母材)とする窒化珪素質焼結体であり、この窒化珪素以外に、窒化チタン:10〜20重量%、アルミナ:3〜5重量%、イットリア:11〜15重量%を含んでいるが、特に、窒化珪素のマトリックスに、熱伝導性に優れ且つ摩擦係数の少ない窒化チタンを含有させて複合化することにより、耐摩耗性が増加するという効果が得られる。
【0008】
以下、各成分の数値限定の理由を説明する。
<窒化チタン:10〜20重量%>
溶融金属に対する耐摩耗性が高い窒化チタンの含有量が10重量%を下回ると、耐摩耗性の向上が十分ではなく、一方、20重量%を上回ると、焼結性が低下する傾向があるので、窒化チタンは、10〜20重量%が最も好ましい範囲である。
【0009】
<アルミナ:3〜5重量%>
アルミナの含有量が3重量%を下回ると、焼結性が低下し、一方、5重量%を上回ると、硬度が低下し、耐摩耗性が劣化するので、アルミナは、3〜5重量%が最も好ましい範囲である。
【0010】
<イットリア:11〜15重量%>
本発明では、イットリアの含有量が11重量%以上であるので、焼結性が低下せず、15重量%以下であるので、結晶相が多すぎることがない。
【0011】
尚、切削工具が、実質的に、窒化珪素、窒化チタン、アルミナ、イットリアのみからなる場合には、窒化珪素の重量%は、窒化チタン、アルミナ、イットリアの合計重量%の残部となる。
た、本発明では、前記組成の構成に加えて、4種の相構造を有している。つまり、窒化珪素からなるマトリックス相(母材相)、窒化チタンからなる硬質相、粒界相に存在するガラス相、及び粒界相に存在する結晶相である。この4相の状態を、図1に模式的に示すが、マトリックス相と硬質相との間に粒界相が存在し、この粒界相がガラス相と結晶相とから構成されている。
【0012】
本発明では、この粒界相の一部の結晶化による結晶相の存在により、粒界相におけるガラス相量が減少するので、刃先温度が上昇した場合でも、粒界相の軟化が低減されることになり、結果として、耐摩耗性が向上するという効果が得られる。
【0013】
更に、本発明では、結晶相としてJ相、即ちY 8 Si 4 4 14 を含んでいる。よって、粒界相のガラス相が減少して、融点の高い結晶となるため、高温での粒界相の軟化が抑制されるという効果がある。
その上、本発明では、X線回折によって得られた、窒化珪素の最大ピークAと、窒化珪素及び窒化チタン以外の結晶相の最大ピークBとの比R(=B/A)が、0.45≦R≦0.6の範囲に設定されている。尚、結晶相におけるピークとは、結晶相に含まれる、例えば、Y8Si4414、Y10Al2Si3184、Y10Si7423の様な既知の結晶や未知の結晶の量を示すものである。
【0014】
本発明では、前記ピークの比Rが0.45以上であるので、結晶相の量が少なすぎることがなく、粒界相の軟化を抑制する効果が多く、耐摩耗性が高い。また、前記ピークの比Rが0.6以下であるので、結晶相の量が多過ぎることがなく、靭性が低下しない。
【0015】
つまり、本発明は、上述した4成分の組成、4種の相の構成、及びピークの比Rを備えているので、耐摩耗性及び靭性に優れた切削工具である。
【0016】
(2)請求項の発明は、
前記切削工具は、超耐熱合金の切削加工用であることを特徴とする前記請求項1に記載の切削工具を要旨とする。
【0017】
本発明は、切削工具の用途を例示したものである。
つまり、超耐熱合金は熱伝導性が悪く、切削工具の刃先に熱がこもりやすいが、本発明では、上述した構成を備えているので、超耐熱合金を切削加工する際に刃先温度が上昇した場合でも、粒界相の軟化が抑制され、優れた耐摩耗性を発揮できる。
【0018】
ここで、超耐熱合金とは、通常、650℃以上の高温での使用に耐える合金であり、具体的には、合金組成のFe成分が50重量%以下の合金とNi、Co系のものを主成分とする高温用の合金等のことである。この超耐熱合金としては、例えばNi基合金のインコネル、ワスパロイなどが挙げられる。
【0019】
尚、本発明の切削工具は、上述したNi基合金(インコネル、ワスパロイ)を切削するのに特に好ましいものである。この切削条件としては、下記の範囲が好適である。
切削速度 :V=100〜500m/min
(より好ましくは、200〜400m/min)
送り量 :f=0.05〜0.4mm/rev
(より好ましくは、0.1〜0.3mm/rev)
切込み :d=0.05mm以上
(より好ましくは、0.1mm以上)
)請求項の発明は、
前記切削工具は、すくい面と逃げ面との間に切れ刃を有することを特徴とする前記請求項1又は2に記載の切削工具を要旨とする。
【0020】
本発明は、切削工具の形状を例示したものであり、すくい面と逃げ面との間に切れ刃を備えた例えば直方体形状が挙げられる。また、それ以外にも、すくい面側がひし形の四角柱形状、すくい面側が三角形の三角柱形状、すくい面側が円形の円柱形状など、各種の形状のものが挙げられる。
【0021】
)請求項の発明は、
前記請求項1〜のいずれかに記載の切削工具の製造方法であって、窒素雰囲気中で、常圧焼結を行うことを特徴とする切削工具の製造方法を要旨とする。
本発明は、切削工具の製造方法を例示したものであり、ここでは、前記切削工具の組成等の構成となるように調整した材料を成形し、窒素雰囲気中で常圧焼結することにより、窒化珪素質焼結体を製造することができるので、その後、例えば研磨等の後加工を施すことにより、切削工具とすることができる。
【0022】
この常圧焼結は、例えばHIPに比べて製造が容易で、製造コストが低く、そのため、低いコストで切削工具を製造できるという利点がある。
尚、常圧焼結のみで、切削工具に適した窒化珪素質焼結体を製造する場合には、その材料の組成(従って切削工具の組成)を適切に選択する必要がある。具体的には、切削工具の組成が、例えばTiN:10重量%以下、焼結助剤:6重量%以上、残部:Si34となる様な材料を選択することが望ましい。
【0023】
)請求項の発明は、
前記常圧焼結後に、窒素雰囲気中でガス圧焼結を行うことを特徴とする前記請求項に記載の切削工具の製造方法を要旨とする。
特定の組成以外の場合には、通常、常圧焼結(一次焼結)のみでは、切削工具として十分に緻密化した焼結体が得られ難いので(例えば理論密度比の95%以下)、本発明では、二次焼結として、窒素雰囲気中でガス圧焼結を行う。これにより、十分に緻密化した焼結体が得られる(例えば理論密度比98%以上)。
【0024】
この様に、常圧焼結とガス圧焼結とを組み合わせることにより、十分に緻密化した焼結体を低コストで製造することができる。
尚、ガス圧焼結の条件としては、窒素雰囲気が採用されるが、その窒素雰囲気の圧力は5〜100気圧、焼成温度は1600〜1800℃の範囲が望ましい。
【0025】
)請求項の発明は、
前記常圧焼結後に、HIP(Hot Isostatic Press:熱間静水圧プレス)による焼結を行うことを特徴とする前記請求項に記載の切削工具の製造方法を要旨とする。
【0026】
上述した様に、通常、常圧焼結(一次焼結)のみでは、切削工具として十分に緻密化した焼結体が得られ難いので、本発明では、二次焼結として、HIPによる焼結を行う。これにより、十分に緻密化した焼結体が得られる(理論密度比95%以上)。
【0027】
この様に、常圧焼結とHIPによる焼結とを組み合わせることにより、十分に緻密化した焼結体を製造することができる。
尚、HIPによる焼結の条件としては、窒素雰囲気が採用されるが、その窒素雰囲気の圧力は1000〜2000気圧、焼成温度は1500〜1800℃の範囲が望ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の切削工具及びその製造方法の実施の形態の例(実施例)を、図面を参照して説明する。
(実施例)
本実施例では、超耐熱合金の切削加工用に用いられる窒素珪素質焼結体からなる切削工具及びその製造方法を例に挙げる。
【0029】
a)まず、本実施例の切削工具について説明する。
図2に示す様に、本実施例の切削工具1は、ISO規格:SNGN120408形状のネガチップである。
具体的には、切削工具1は、図2の上下方向のすくい面3、側面側の四方の逃げ面5、及びすくい面3と逃げ面5の間の各辺である切れ刃7を備えており、切れ刃7の長さが各々12.7mm、切削工具1の厚さが4.76mmの直方体のチップである。尚、切れ刃7には、面取り加工(チャンファー加工)が施されている。
【0030】
また、本実施例の切削工具1は、窒化珪素をマトリックス(母材)とする窒化珪素質焼結体からなり、窒化チタン:10〜20重量%、アルミナ:3〜5重量%、イットリア:11〜15重量%、窒化珪素:残部の組成を有している。
更に、この切削工具1は、窒化珪素からなるマトリックス相、窒化チタンからなる硬質相、粒界相に存在するガラス相、及び粒界相に存在する結晶相を備えるとともに、結晶相には、J相を含み、且つ、X線回折による、窒化珪素の最大ピークAと、窒化珪素及び窒化チタン以外の結晶相の最大ピークBとの比R(=B/A)が、0.45≦R≦0.6の範囲の工具である。
【0031】
b)次に、本実施例の切削工具1の製造方法について説明する。
平均粒径0.5μmの主成分の窒化珪素(Si34)粉末(α率=99%以上)と、平均粒径0.8μmのイットリア(Y23)粉末と、平均粒径0.4μmのアルミナ(Al23)粉末とを、前記切削工具1の組成範囲となる様に、下記表1に示す配合割合(本発明例)に秤量する。
【0032】
次に、この秤量した材料を、アルミナ製ボール、アルミナ製内壁ポットを用いて、エタノール溶媒中にて16時間湿式混合粉砕し、スラリーとする。
次に、このスラリーを、湯煎乾燥し、エタノールに溶解したマイクロワックス系の有機バインダを固形分比で3.5重量%添加し、ライカイ機で混合する。
【0033】
次に、得られた素地を、ISO規格:SNGN120408形状になるようにプレス成形した後、1気圧に設定された窒素雰囲気中で、800℃で60分加熱して脱ワックスを行う。
次に、1次焼結を行う。この1次焼結は、常圧(1気圧)の窒素雰囲気中で、1700℃で4時間加熱して、焼結を行うものである。
【0034】
次に、ガス圧焼結により2次焼結を行う。この2次焼結は、75気圧に設定された窒素雰囲気中で、1750℃で4時間加熱して、焼結を行うものであるの
尚、この2次焼結のガス圧焼結に代えて、HIPによる焼結を行ってもよい。このHIPによる2次焼結は、1000気圧に設定された窒素雰囲気中にて、1700℃で4時間加熱して、焼結を行うものである。
【0035】
次に、この様にして得られた窒化珪素質焼結体を、下記表1に示す様な条件(本発明例)で、窒素雰囲気中で熱処理し、粒界相の結晶化を促進する。
次に、この窒化珪素焼結体を、ISO規格:SNGN120408形状に研削加工することにより、切削工具1を完成する。
【0036】
c)次に、本発明の範囲の切削工具の効果を確認するために行った実験例について説明する。
まず、実験に用いる切削工具として、下記表1に示す条件にて、本発明例(試料No.3、4)及び比較例(試料No.1、2、5〜10)の切削工具を作製した。尚、切削工具の形状は、ISO規格:SNGN120408である。
【0037】
そして、これらの試料No.1〜10の切削工具に対して、下記(i)物理性能評価及び(ii)切削性能評価を行った。
(i)<物理性能評価>
下記の様にして、焼結体の密度、マイクロポア、硬度、靭性、ピーク比R(結晶相量)、結晶相の種類を求めた。その結果を下記表1に記す。
【0038】
密度)
アルキメデス法で焼結体の密度を測定した。そして、その密度から、焼結体の理論密度比を求めた。
また、マイクロポアは、焼結体断面を鏡面研磨し、200倍の顕微鏡で観察し、CIS−006B規格により測定した。
【0039】
硬度及び靭性)
焼結体の研削した面を鏡面研磨し、30kgの押し込み荷重でビッカース圧子を押し込み、圧痕の対角長さと亀裂長さを測定し、ビッカース硬度(JIS R1610に準拠)と破壊靭性値(JIS R1607(IF法)に準拠)を求めた。
【0040】
ピーク比R(結晶相量))
焼結体の研磨面に対するX線回折を行って、そのピーク比Rを求めた。例えば図3に示す様なX線回折が得られた場合には、窒化珪素の最大ピークA(=I(Si34max))と、窒化珪素及び窒化チタン以外の結晶相の最大ピークB(=I(GB max))とを測定し、そのピーク比R(=B/A=I(GB max)/I(Si34max))を求める。
【0041】
尚、図3は縦軸に強度[cps]をとり、横軸に2θ[゜]をとったX線回折の結果のグラフであり、図3では、ピーク比Rは、0.48である。
結晶相の種類)
また、前記X線回折によって得られた各ピークを、既知の材料のピークと対比させて調べることにより、結晶相の種類を調べた。
【0042】
(ii)<切削性能評価>
図4に示す様に、下記の条件にて、回転する円柱形状の被削材の外径側の表面に対して、切削工具を矢印A方向に移動させて旋削を行った。そして、その際の工具刃先の摩耗状態(1パス後のフランク摩耗量)やカケの発生状況を調べた。その結果を、下記表1に記す。
【0043】
(切削条件)
被削材材質:インコネル718
被削材形状:外径φ300mm×長さ100mm
切削速度 :V=300m/min
送り量 :f=0.15mm/rev
切込み :d=1.0mm
乾湿 :WET
【0044】
【表1】
Figure 0004335406
【0045】
尚、前記表1で、焼結体の構成相において、Si34の○はマトリックス相の存在を示し、TiNの○は硬質相の存在を示す。
また、結晶相のJ相を示すJはY8Si4414、A相を示すAはY10Al2Si3184、H相を示すHはY10Si7423、Ukは未知相である。
【0046】
更に、焼結方法の(1)は常圧焼結、(2)はガス圧焼結、(3)はHIPであり、+で示すものは、1次焼結に加えて2次焼結を行うものである。尚、試料No.7の焼結方法においては、急速冷却を行い、試料No.8の焼結方法では、1400℃で窒素1気圧中12時間保持の熱処理を行った。
【0047】
また、マイクロポアのA2はマイクロポア0.02体積%を示し、A8はマイクロポア0.6体積%を示す。
この表1から明かな様に、本発明例である窒化チタンを所定量含み所定ピーク比Rの結晶相を有する試料No.3、4は、耐摩耗性に優れている。また、試料No.3、4は、適度な硬度と靭性を備えており、実験の際に、チッピングが発生せず、好適である。
【0048】
それに対して、窒化チタンが少な過ぎると(比較例試料No.5)、摩耗量が多く、また、窒化チタンが多すぎると(比較例試料No.6)、硬くなって脆くなり、刃先がチッピングするので、好ましくない。
また、粒界相の結晶化が少なすぎると(比較例試料No.7)、摩耗が多くなり、逆に、結晶化が多すぎると(比較例試料No.8)、靭性が不足して、チッピングに到るので、好ましくない。
【0049】
更に、焼結助剤が少ないと(比較例試料No.9)、94%しか緻密化せず、焼結助剤が多いと(比較例試料No.10)、耐摩耗性が悪いので、好ましくない。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述した様に、本発明の切削工具は、上述した4成分の組成、4種の相の構成、J相、及びピークの比Rを備えているので、即ち、窒化珪素と窒化チタンの適度な複合化及び粒界相の適度な結晶化により、耐摩耗性及び靭性に優れた切削工具である。
【0051】
また、本発明の切削工具の製造方法により、上述した優れた性能を有する切削工具を、低コストで容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 切削工具を構成する各相の状態を模式的に示す説明図である。
【図2】 実施例1の切削工具の形状を示す斜視図である。
【図3】 X線回折によるピークの状態を示す説明図である。
【図4】 切削性能評価の方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1…切削工具
3…すくい面
5…逃げ面
7…切れ刃

Claims (6)

  1. 窒化珪素をマトリックスとして、窒化チタン:10〜20重量%、アルミナ:3〜5重量%、イットリア:11〜15重量%を含有する切削工具であって、
    前記窒化珪素からなるマトリックス相、前記窒化チタンからなる硬質相、粒界相に存在するガラス相、及び前記粒界相に存在する結晶相を備えるとともに、
    前記結晶相には、J相を含み、
    且つ、X線回折による、前記窒化珪素の最大ピークAと、前記窒化珪素及び窒化チタン以外の前記結晶相の最大ピークBとの比R(=B/A)が、0.45≦R≦0.6の範囲であることを特徴とする切削工具。
  2. 前記切削工具は、超耐熱合金の切削加工用であることを特徴とする前記請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記切削工具は、すくい面と逃げ面との間に切れ刃を有することを特徴とする前記請求項1又は2に記載の切削工具。
  4. 前記請求項1〜のいずれかに記載の切削工具の製造方法であって、
    窒素雰囲気中で、常圧焼結を行うことを特徴とする切削工具の製造方法。
  5. 前記常圧焼結後に、窒素雰囲気中でガス圧焼結を行うことを特徴とする前記請求項に記載の切削工具の製造方法。
  6. 前記常圧焼結後に、HIPによる焼結を行うことを特徴とする前記請求項に記載の切削工具の製造方法。
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