JP4333858B2 - ポリカルボン酸樹脂及びそれを用いた光硬化型樹脂組成物並びにその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカルボン酸樹脂及びそれを用いた光硬化型樹脂組成物並びにその硬化物に関し、特にリジッド及びフレキシブルプリント基板、あるいはボールグリッドアレイ(以下BGAという)、チップサイズパッケージング(以下CSPという)、テープキャリアパッケージ(以下TCPという)等の半導体パッケージの製造に使用されるソルダーレジスト、あるいは層間絶縁膜として有用なアルカリ水溶液で現像可能な光硬化型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ソルダーレジストは、プリント基板製造において使用されているが、近年BGAやCSPとよばれる新しいパッケージにおいても使用されるようになっている。このレジストは、メッキまたはソルダリング工程において、ニッケル、金、はんだ等が不必要な部分に付着するのを防ぐ保護膜として必要不可欠な材料である。
従来、熱硬化性インキ又は光硬化性インキを用い、スクリーン印刷することによりソルダーレジストを形成する方法が広く用いられてきた。しかしこの方法を用いた場合、印刷時のブリード、滲み、ダレ等の現象により、得られるレジストパターンの精度が減少し、最近のプリント基板の微細化、高密度化、高機能化には対応できなくなってきている。このような回路配線の高密度化に伴い、写真法にてパターンを形成するフォトソルダーレジストが盛んに用いられるようになってきている。この中でも、アルカリ水溶液で現像可能な材料が作業環境面、地球環境面から特に主流になってきており例えば、特開昭64−62375号公報、特開平3−253093号公報、特公平1−54390号公報には、フェノール性又はo−クレゾール性ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸を反応させ、更に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られた樹脂を用いたレジスト組成物が開示されている。特開平3−289656号公報にはグリシジル(メタ)アクリレート等を構成成分として共重合し、前述の樹脂と同様にエポキシ基を変性した樹脂を用いた組成物が、また特開平2−97513号公報にはフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、多塩基性カルボン酸又はその無水物と反応させてなるエチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を用いた組成物が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの材料は、耐薬品性、耐水性、耐熱性がまだ不充分であり、特にBGAやCSP等の半導体パッケージ分野においては、耐プレーッシャークッカーテスト(以下耐PCTという)に対して、数時間〜十数時間しか持たないのが現状である。また、はんだリフロー工程や封止工程等の熱衝撃によって塗膜にクラックが発生したり基板からレジストが剥離したりする問題があり改良が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の課題を解決するため鋭意研究の結果、特定のポリカルボン酸を使用することによって、希アルカリ水溶液での現像が可能であり、硬化収縮が小さく、その硬化皮膜も密着性、耐薬品性、耐熱性等に優れたプリント配線基板用レジスト組成物を見出し本発明を完成させた。すなわち本発明は、
(1)分子中に2個のカルボキシ基を有するイミド化合物(a)と分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)との反応生成物と二塩基酸無水物(c)との付加生成物であることを特徴とするポリカルボン酸樹脂(A)、
(2)分子中に2個のカルボキシ基を有するイミド化合物(a)が、トリメリット酸無水物と分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(d)から得られたものである(1)に記載のポリカルボン酸樹脂(A)、
(3)分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(d)が下記式(1)で表される化合物である(1)または(2)に記載のポリカルボン酸樹脂(A)、
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、R1,R2,R3,R4はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を表し、Xは、CH2、C(CF3)2、C(CH3)2、ケトン、酸素原子、硫黄原子、SO2を表す。)
(4)ポリカルボン酸樹脂(A)を得るための二塩基酸無水物(c)が、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸または、下記式(2)
【0007】
【化4】
【0008】
の中から選択してなる1種または2種以上の二塩基酸無水物である(1)乃至(3)のいずれか一項記載のポリカルボン酸樹脂(A)、
(5)ポリカルボン酸樹脂(A)の固形分酸価が、30〜150mg・KOH/gの範囲にある(1)乃至(4)のいずれか一項記載のポリカルボン酸樹脂(A)、
(6)(1)乃至(5)のいずれか一項記載のポリカルボン酸樹脂(A)、架橋剤(B)、エポキシ樹脂成分(C)を必須成分としてなる組成物であることを特徴とする光硬化型樹脂組成物、
(7)(6)に記載の光硬化型樹脂組成物の硬化物、
(8)(7)に記載の硬化物の層を有するプリント基板を提供することにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリカルボン酸樹脂(A)は、分子中に2個のカルボキシ基を有するイミド化合物(a)と分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)との反応生成物と2塩基酸無水物(c)との付加生成物であることを特徴とする。
【0010】
本発明のポリカルボン酸樹脂(A)を得るための分子中に2個のカルボキシ基を有するイミド化合物(a)は、トリメリット酸無水物と分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(d)を反応させて得られるアミド酸化合物を脱水イミド化して得ることができる。分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(d)としては例えば、式
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、R1,R2,R3,R4はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を表し、Xは、CH2、C(CF3)2、C(CH3)2、ケトン、酸素原子、硫黄原子、SO2を表す。)
(4)ポリカルボン酸樹脂(A)を得るための二塩基酸無水物(c)が、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸または、下記式(2)
【0013】
で表される化合物が挙げられる。
これらのうち好ましい化合物としては 4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノー3,3’ジメトキシジフェニルメタン、3,3’ジアミノジフェニルメタン、3,3’ジアミノー4,4’ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノー3,3’−ジメトキシジフェニルメタン、4,4’ージアミノ3,3’−ジブトキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラフルオロジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラクロロジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0014】
本発明のポリカルボン酸樹脂(A)を得るためのエポキシ化合物(b)としては、分子中に2個のエポキシ基を有するものであればすべて用いることができる。分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、エピコート828、エピコート1001(油化シェルエポキシ製)、UVR−6410(ユニオンカーバイド社製)、D.E.R−331(ダウ・ケミカル社製)、YD−8125(東都化成社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、UVR−6490(ユニオンカーバイド社製)、YDF−8170(東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、YX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)のビキシレノール型エポキシ樹脂やYL−6121(油化シェルエポキシ(株)製)等のビフェノール型エポキシ樹脂、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物等のフルオレン骨格エポキシ化合物等があげられる。
【0015】
イミド化合物(a)とエポキシ化合物(b)との反応は、水酸基を有さない溶媒、具体的には例えば、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキルなどのエステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等の単独または混合有機溶媒中で反応させる。
反応時には、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して0.1〜10重量%である。その際の反応温度は通常60〜150℃であり、また反応時間は、好ましくは5〜60時間である。この反応で使用する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等が挙げられる。
【0016】
ポリカルボン酸樹脂(A)を合成する際に使用される二塩基酸無水物(c)としては例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸または前記式(2)で示される化合物の中から選択してなる1種または2種以上の二塩基酸無水物が挙げられる。
これらの二塩基酸無水物(c)は一種または二種以上混合して使用することができる。二塩基酸無水物(c)は、イミド化合物(a)とエポキシ化合物(b)と反応により生成された水酸基に付加することにより半エステル化され、カルボン酸を生成する。この生成したカルボン酸は、アルカリ水溶液現像性を持たせるため必要不可欠なものであり、ポリカルボン酸樹脂(A)の固形分酸価が、30〜150mg・KOH/gとなるようにすることが好ましい。固形分酸価が30mg・KOH/g未満の場合は、後述する樹脂組成物のアルカリ水溶液現像性が著しく低下し、最悪の場合現像できなくなるので好ましくない。一方固形分酸価が150mg・KOH/gを超える場合、アルカリ水溶液現像性が高すぎ、現像密着性が低下したり、最悪の場合パターンが得られなくなる恐れがある。
【0017】
イミド化合物(a)とエポキシ化合物(b)との反応生成物と二塩基酸無水物(c)との反応は、反応後の固形分酸価が前述の範囲で示される量となるような計算量を反応させることによって得られる。その際の反応温度は60〜150℃が好ましく、反応時間は1〜10時間である。
【0018】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、前述のポリカルボン酸樹脂(A)、架橋剤(B)、エポキシ樹脂成分(C)を必須成分としてなる組成物である。ポリカルボン酸樹脂(A)の量は、組成物の固形分を100重量部としたとき、30〜90重量部が好ましく、特に好ましくは、40〜80重量部である。
本発明の光硬化型樹脂組成物に使用される架橋剤(B)としては、例えば、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、3,3’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフィド、3,3’−ジアジドジフェニルスルフィド、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、3,3’−ジアジドジフェニルメタン、4,4’−ジアジド−3,3’−ジクロロジフェニルメタン、4,4’−ジアジド−ジフェニルエーテル、4,4’−ジアジド−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアジドカルコン、4,4’−ジアジドスチルベン、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−スルホンアミド、2,6−ビス(4−アジドベンザル)−シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンザル)−4−第三ブチル−シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチル−シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−第三ブチル−シクロヘキサノン、4−アジドカルコン、4−アジド安息香酸、4−アジドベンズアルデヒド等のアジド化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモノホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これら、架橋剤(B)の量は、組成物の固形分を100重量部としたとき、5〜50重量部が好ましく、特に好ましくは、10〜40重量部である。
架橋剤(B)に(メタ)アクリレート類を用いた場合、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p,p−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アントラキノン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等の光重合開始剤を用いることが好ましい。これらの光重合開始剤は、単独でまた2種以上を組み合わせて使用することができ、その使用量は、架橋剤(B)に対して10〜200重量%用いることが好ましい。また更に、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ペンチルエステル等の三級アミノ化合物のような増感剤を組み合わせて用いることができる。
【0019】
本発明の光硬化型樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂成分(C)としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−770(大日本インキ化学工業(株)製)、D.E.N438(ダウ・ケミカル社製)、エピコート154(油化シェルエポキシ(株)製)、RE−306(日本化薬(株)製)等があげられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−695(大日本インキ化学工業(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(日本化薬(株)製)、UVR−6650(ユニオンカーバイド社製)、ESCN−195(住友化学工業(株)製)等があげられる。
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えばTACTICX−742(ダウ・ケミカル社製)、エピコートE1032H60(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンEXA−7200(大日本インキ化学工業(株)製)、TACTIX−556(ダウ・ケミカル社製)等があげられる。
【0020】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート828、エピコート1001(油化シェルエポキシ製)、UVR−6410(ユニオンカーバイド社製)、D.E.R−331(ダウ・ケミカル社製)、YD−8125(東都化成社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、UVR−6490(ユニオンカーバイド社製)、YDF−8170(東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂等があげられる。
【0021】
ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばYX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)のビキシレノール型エポキシ樹脂やYL−6121(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−880(大日本インキ化学工業(株)製)、エピコートE157S75(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。
【0022】
ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂としては、例えばNC−7000(日本化薬社製)、EXA−4750(大日本インキ化学工業(株)製)等があげられる。脂環式エポキシ樹脂としては、例えばEHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製)等があげられる。複素環式エポキシ樹脂としては、例えばTEPIC,TEPIC−L,TEPIC−H、TEPIC−S(いずれも日産化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0023】
本発明の光硬化型樹脂組成物には、更に、塗布適性、耐熱性、密着性、硬度等の特性を向上する目的で、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、テフロン粉、ポリアルキレンビーズ等の充填剤が使用できる。その使用量は、本発明の組成物の固形分を100重量部としたとき、60重量部以下が好ましく、特に好ましくは5〜40重量部である。
【0024】
更に、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/または、レベリング剤のような添加剤類を適量加えることができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、(A)、(B)及び(C)成分、また必要に応じて前述した充填剤もしくは添加剤等を、好ましくは前記の割合で配合し、ロールミル等で均一に混合、溶解、分散等することにより得ることができる。また、主に粘度調整のため、所望により溶剤を併用しても良い。この溶剤は配合成分製造時の溶剤でも良い。溶剤としては、例えばアセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキルなどのエステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤、γ−ブチロラクトン等の有機溶剤類が挙げられる。
【0026】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、プリント基板用の液状レジストインキとして有用である他、ポリエチレンテレフタレートのような支持フィルム上に上記の塗布方法を用いて本発明の組成物を塗布、乾燥させ塗膜を得、ポリエチレンフィルムのような保護フィルムを施したドライフィルムレジスト、塗料、コーティング剤、接着剤等としても使用できる。
【0027】
本発明の硬化物は、可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線照射により上記の本発明の樹脂組成物を硬化させたものである。可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線照射による硬化は常法により行うことができる。例えば紫外線を照射する場合、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レーザー(例えばエキシマーレーザー)等の紫外線発生機を用いればよい。本発明の樹脂組成物の硬化物は、柔軟性を有しており、例えば永久レジストとしてスルホールを有するプリント基板のような電気・電子部品に利用される。
【0028】
本発明のプリント基板は、上記の樹脂組成物の硬化物層を有する。この硬化物層の膜厚は通常5〜160μm程度で、10〜100μm程度が好ましい。プリント基板は、例えば次のようにして得ることができる。液状の樹脂組成物を使用する場合、プリント配線用基板に、直接スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により5〜160μmの膜厚で本発明の組成物を塗布し、60〜110℃で乾燥させ、塗膜を得る。その後、ネガフィルムを通して可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線を照射し、必要に応じて露光後ベークを行った後、未露光部分を後述する希アルカリ水溶液を用いて、例えばスプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等により除去後、必要に応じてエネルギー線を照射し、次いで100〜200℃で加熱処理をすることにより諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント基板が得られる。
【0029】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム,炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム,メタケイ酸ナトリウム,メタケイ酸カリウムのような無機塩の水溶液や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのような有機アミン水溶液,テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、その温度は、15〜45℃の間で任意に調節することができる。この現像液中に界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例により更に具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0031】
実施例1(ポリカルボン酸樹脂(A)の合成)
1LフラスコにN−メチルピロリドン208.5g、トリメリット酸無水物76.9g(0.40モル)を仕込み攪拌を開始した。次いで、分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(d)としてカヤボンド C−300S(日本化薬製アミノ化合物:4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン)62.1g(0.20モル)を徐々に添加した。添加終了後室温にて12時間そのまま攪拌を続けた。次にこの反応液に、無水酢酸42.9g(0.42モル)、ピリジン33.2g(0.42モル)を冷却しながら加えた後、室温にて24時間反応を続けた。反応終了後この反応液を、10%塩酸182.5g(HClとして 0.5モル)を溶かした水3000mlにあけ、析出物を濾取した。乾燥後重クロロホルムによる1H−NMR分析したところ、1.15ppm(12H)、2.45ppm(8H)、4.05ppm(2H)、7.10ppm(4H)、8.10ppm(2H)、8.60ppm(2H)、8.70ppm(2H)であった。また、酸価から計算したカルボキシ当量は、347.1g/当量であった。
【0032】
200mlフラスコに上記の反応によって得られたカルボキシ基を有するイミド化合物31.2g、分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)としてZX−1059(東都化成製エポキシ化合物:ビスフェノール型エポキシ、エポキシ当量165.3g/当量)18.2g、溶媒としてγ−ブチロラクトン26.6g、及び反応触媒としてトリフェニルフォスフィン0.23を加え、98℃の温度で24時間反応させた。次いで、この反応溶液に二塩基酸無水物(c)としてリカシッドTH(新日本理化製二塩基酸無水物:テトラヒドロ無水フタル酸)を13.6g及びγ−ブチロラクトン7.3g加え98℃の温度で6時間反応させ本発明のポリカルボン酸樹脂溶液(濃度65%)を得た。この樹脂溶液をA−1とする。樹脂溶液の酸価を測定したところ37mg・KOH/g(固形分酸価:57mg・KOH/g)であった。
【0033】
実施例2
分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(d)として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いた以外は実施例1と同様の操作をしてポリカルボン酸樹脂溶液(濃度65%)を得た。この樹脂溶液をA−2とする。樹脂溶液の酸価を測定したところ43mg・KOH/g(固形分酸価:66mg・KOH/g)であった。
【0034】
実施例3
分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)としてレゾルシンジグリシジルエーテルを用いた以外は実施例1と同様の操作をしてポリカルボン酸樹脂溶液(濃度65%)を得た。この樹脂溶液をA−3とする。樹脂溶液の酸価を測定したところ57mg・KOH/g(固形分酸価:88mg・KOH/g)であった。
【0035】
実施例4〜6(光硬化型樹脂組成物)
表1示す配合組成(数値は重量部である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルで混練し、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。これをスクリーン印刷法により、100メッシュのスクリーンを用いて20μmの厚さになるようにパターン形成されている銅張ガラスエポキシ基板(厚さ約0.8mm)に全面塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させた。次いで、レジストパターンを有するネガフイルムを塗膜に密着させ紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用いて、紫外線を照射した(露光量500mJ/cm2)。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で90秒間、2.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、未露光部分を溶解除去した。得られたものについて、後述のとおり現像性、解像性、光感度、表面光沢の評価を行った。その後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、得られた硬化膜を有する試験片について、後述のとおり基板そり、密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐金メッキ性、耐PCT性、耐熱衝撃性の試験を行なった。それらの結果を表2に示す。なお、試験方法及び評価方法は次のとおりである。
【0036】
(現像性)下記の評価基準を使用した。
○・・・・現像時、完全にインキが除去され、現像できた。
×・・・・現像時、現像されない部分がある。
【0037】
(解像性)乾燥後の塗膜に、50μmのネガパターンを密着させ積算光量200mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、転写パターンを顕微鏡にて観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・パターンエッジが直線で、解像されている。
×・・・・剥離もしくはパターンエッジがぎざぎざである。
【0038】
(光感度)乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(コダック社製)を密着させ積算光量500mJ/cm2 の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2 のスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認する。
【0039】
(表面光沢)乾燥後の塗膜に、500mJ/cm2 の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、乾燥後の硬化膜を観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・曇りが全く見られない
×・・・・若干の曇りが見られる
【0040】
(基板そり)下記の基準を使用した。
○・・・・基板にそりは見られない
×・・・・基板のそりが見られる
【0041】
(密着性)JIS K5400に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作りセロテープによりピーリング試験を行った。ごばん目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
〇・・・・剥れのないもの
×・・・・剥離するもの
【0042】
(鉛筆硬度)JIS K5400に準じて評価を行った。
【0043】
(耐溶剤性)試験片をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0044】
(耐酸性)試験片を10%塩酸水溶液に室温で30分浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0045】
(耐熱性)試験片にロジン系プラックスを塗布し260℃の半田槽に5秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
〇・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0046】
(耐金メッキ性)試験基板を、30℃の酸性脱脂液(日本マクダーミット製、Metex L−5Bの20vol%水溶液)に3分間浸漬した後、水洗し、次いで、14.4wt%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬した後、水洗し、更に10vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後水洗した。次に、この基板を30℃の触媒液(メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10vol%水溶液)に7分間浸漬し、水洗し、85℃のニッケルメッキ液(メルテックス製、メルプレートNi−865Mの20vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬し、ニッケルメッキを行った後、10vol%硫酸水溶液に室温で1分間浸漬し、水洗した。次いで、試験基板を95℃の金メッキ液(メルテックス製、オウロレクトロレスUP15vol%とシアン化金カリウム3vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬し、無電解金メッキを行った後、水洗し、更に60℃の温水で3分間浸漬し、水洗し、乾燥した。得られた無電解金メッキ評価基板にセロハン粘着テープを付着し、剥離したときの状態を観察した。
○:全く異常が無いもの。
×:若干剥がれが観られたもの。
【0047】
(耐PCT性)試験基板を121℃、2気圧の水中で96時間放置後、外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0048】
(耐熱衝撃性)試験片を、−55℃/30分、125℃/30分を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、試験片を顕微鏡観察し、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜にクラックの発生のないもの
×・・・・塗膜にクラックが発生したもの
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
これらの評価から明らかなように、本発明の光硬化型樹脂組成物及びその硬化物は、現像性、感光性、表面硬化性に優れ、その硬化物は、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性等に優れている。
【0053】
【発明の効果】
本発明のポリカルボン酸樹脂及びそれを用いた光硬化型樹脂組成物は、パターンを形成したフィルムを通して可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線を照射後未露光部分を現像する際のアルカリ水溶液現像性、感光性、表面硬化性が良好で、得られた硬化物は、耐屈曲性、耐折性、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性等も十分に満足するものであり、特に、プリント配線板用液状ソルダーレジストインキ組成物に適している。
Claims (8)
- 分子中に2個のカルボキシ基を有するイミド化合物(a)と分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)との反応生成物と二塩基酸無水物(c)との付加生成物であることを特徴とするポリカルボン酸樹脂(A)。
- 分子中に2個のカルボキシ基を有するイミド化合物(a)が、トリメリット酸無水物と分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(d)から得られたものである請求項1に記載のポリカルボン酸樹脂(A)。
- ポリカルボン酸樹脂(A)の固形分酸価が、30〜150mg・KOH/gの範囲にある請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載のポリカルボン酸樹脂(A)。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載のポリカルボン酸樹脂(A)、架橋剤(B)、エポキシ樹脂成分(C)を必須成分としてなる組成物であることを特徴とする光硬化型樹脂組成物。
- 請求項6に記載の光硬化型樹脂組成物の硬化物。
- 請求項7に記載の硬化物の層を有するプリント基板。
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