JP4332483B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、光学的に情報記録が可能な情報記録媒体に関し、特に、複数の情報記録層を有する情報記録媒体に関する。
従来より、大容量の情報記録媒体として、CD(Compact Disc)が広く普及している。また、近年、更なる大容量の情報記録媒体として、DVD(Digital Video Disc又はDigital Versatile Disc)が注目されている。CDが最大約650MB(メガバイト)程度の記録容量であるのに対し、DVDはその構造的特徴により数GB(ギガバイト)以上の記録容量を実現し得る。現在商品化されている記録層を一層だけ備えた片面1層型DVDと、片面に2層の記録層を備えた片面2層型DVDの仕様によれば、それぞれの最大記録容量は約4.7GB、約8.7GBとなっている。
ところで、情報の追記録が可能なDVD−R(追記型DVD)においては、高密度記録を行う必要があり、再現性良く情報を追記録又は再生すること、すなわち信頼性が高く高品質のDVD−Rを提供することが重要な課題となっている。
特に、大量の情報を高密度で記録可能とする片面2層型DVD−Rを実現するためには、互いに対向して重なり合っている各記録層にビーム光を入射させ、各記録層に対して排他的に情報書き込みを行う必要があり、その構造が極めて重要となっている。
片面2層型DVD−Rを2つの記録層の貼り合わせ構造で実現する場合、第1記録層と同じ記録信号極性を得るために、第2記録層を浅い溝のオン・グルーブ(On-Groove)構造で作成する方法が知られている。なお、オン・グルーブ構造とは、記録層を色素材料のスピンコートにより形成する際のスピンコート方向に対して、情報記録部に相当するグルーブが凸、ランドが凹の形状を有するものを言う。これに対し、スピンコート方向に対してグルーブが凹、ランドが凸の形状を有するものをイン・グルーブ(In-Groove)と呼ぶ。
浅い溝のオン・グルーブ構造を採用する場合、スピンコートの特質上、グルーブ間(ランドに相当する位置)に色素材料がグルーブの厚さ以上に溜まってしまうことがある。この場合、記録動作によって、グルーブ間においても色素が変質してしまい、記録品質が著しく悪化するという問題がある。
このような問題に鑑み、第2記録層を深い溝のイン・グルーブ構造で作成する方法が特許文献1に記載されている。しかし、特許文献1のように第2記録層を深い溝のイン・グルーブ構造で形成すると、グルーブとランドとの光学的位相差が著しく大きくなるため、深いグルーブの傾斜面において入射光が散乱して、ディスクの反射率を著しく低下させてしまうという問題が生じうる。
特開2001−23237号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、信頼性の高い構造を有する2層型情報記録媒体を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、情報記録媒体であって、第1の透明基板、第1記録層及び半透過膜層が順に積層されてなる第1の情報記録再生部と、第2の透明基板、反射膜層及び第2記録層が順に積層されてなる第2の情報記録再生部と、前記半透過膜層と前記第2記録層を向き合わせて貼り合わせる透明接着層と、備え、前記第1記録層及び前記第2記録層の各々は、情報書込み用のグルーブ部と、前記グルーブ部に隣接するランド部とを有し、前記第2記録層のグルーブ部の厚さは、前記第1記録層のグルーブ部の厚さより薄く、前記第2の透明基板のグルーブの深さは、前記第1の透明基板のグルーブの深さより小さいことを特徴とする。
本発明の1つの観点では、情報記録媒体は、第1の透明基板、第1記録層及び半透過膜層が順に積層されてなる第1の情報記録再生部と、第2の透明基板、反射膜層及び第2記録層が順に積層されてなる第2の情報記録再生部と、前記半透過膜層と前記第2記録層を向き合わせて貼り合わせる透明接着層と、備え、前記第1記録層及び前記第2記録層の各々は、情報書込み用のグルーブ部と、前記グルーブ部に隣接するランド部とを有し、前記第2記録層のグルーブ部の厚さは、前記第1記録層のグルーブ部の厚さより薄く、前記第2の透明基板のグルーブの深さは、前記第1の透明基板のグルーブの深さより小さい
上記の情報記録媒体は、例えばDVD−R、DVD−RWその他の2層型のディスク状記録媒体などとして構成することができる。第1の情報記録再生部と第2の情報記録再生部をそれぞれ別個に形成しておき、これら第1の情報記録再生部と第2の情報記録再生部を透明接着層によって一体化することで、2層の記録層を有する情報記録媒体を容易に製造することができる。各情報記録再生部は、情報が記録される領域としてのグルーブと、それに隣接するランド部とを有する。ここで、第2記録層のグルーブ部の厚さは第1記録層のグルーブ部の厚さより薄く、第2の透明基板のグルーブの深さは第1の透明基板のグルーブの深さより小さく構成される。これにより、第2記録層のグルーブ部とランド部の光学的位相差を小さくするとともに、グルーブ部の傾斜面における入射光の散乱などを防止することができ、記録媒体の反射率の低下などを防止することができる。
上記の情報記録媒体の一態様では、前記第1記録層内の未記録のグルーブ部と前記第1記録層内のランド部との光学的位相差は前記第2記録層内の記録済みのグルーブ部と前記第2記録層内のランド部との光学的位相差と等しく、前記第2記録層内の未記録のグルーブ部と前記第2記録層内のランド部との光学的位相差は、前記第1記録層内の記録済みのグルーブ部と前記第1記録層内のランド部との光学的位相差と等しい。これにより、第1記録層の記録情報を読み出して得られる再生信号の振幅と、第2記録層の記録情報を読み出して得られる再生信号の振幅を一致させることができる。よって、第1記録層と第2記録層の記録情報を同一の再生処理回路などにより処理することができる。また、これにより、再生装置において、単層型の情報記録媒体との互換性を確保することができる。
好適な例では、前記第1記録層のグルーブ部は前記第1記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凹の形状を有し、前記第2記録層のグルーブ部は前記第2記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凸の形状を有する。他の好適な例では、前記第1記録層のグルーブ部は前記第1記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凸の形状を有し、前記第2記録層のグルーブ部は前記第2記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凹の形状を有する。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。以下の説明では、本発明による情報記録媒体の一実施例として、情報再生(情報読取り)に加え、一度だけ情報記録(情報書込み)が可能な追記型DVD(以下、DVD−Rという)について説明する。
図1は、本実施形態に係るDVD−Rの要部構造を示す縦断面図である。より詳細に言えば、円盤状のDVD−Rを半径方向に沿って厚さ方向に切断したときの断面構造を示している。
図1において、DVD−Rは、後述するビーム光が入射される第1の透明基板1上に、第1記録層2、半透過膜層3、接着層4、第2記録層5、反射膜層6及び第2の透明基板7が積層された一体化構造を有しており、全体として約1.2mmの厚さとなっている。
透明基板1は、約0.55mm程度の厚さを有し、光ピックアップ(図示省略)に設けられている対物レンズ9,10を介して入射される記録ビーム光又は読取りビーム光11,12(以下、これらの光を単に「ビーム光」と総称する)に対して透明な硬質プラスチック等の硬質材で形成されている。
なお、図1には説明の便宜上、2個の対物レンズ9,10によってビーム光11,12をそれぞれ個別に入射させるようにしているが、実際の光ピックアップでは、1つの対物レンズで第1記録層2および第2記録層6に対する焦点調整を行うことにより、ビーム光の入射が行われる。
第1記録層2は有機色素系材料にて成膜され、透明基板1に対し一体に積層されている。半透過膜層3は、ビーム光11,12に対して半透明性を有するSiC(炭化珪素)等の誘電体薄膜やAu(金)で成膜され、第1記録層2に対して一体に積層されている。これら透明基板1と第1記録層2及び半透過膜層3によって第1の情報記録再生部(符号省略)が構成されている。
透明基板7は、約0.6mm程度の厚さを有し、透明基板1と同様に硬質プラスチック等の硬質材で形成されている。反射膜層6は、上記対物レンズ9,10を介して入射するビーム光11,12を全反射するAl(アルミニウム)等で成膜されている。第2記録層5は、第1記録層2と同様に有機色素系材料で成膜され、反射膜層6に対し一体に積層されている。これら透明基板7と反射膜層6及び第2記録層5によって、第2の情報記録再生部(符号省略)が構成されている。
これら第1,第2の情報記録再生部は、所定の厚さを有する接着層4によって、半透過膜層3と第2記録層5側が対向されて一体に貼着されている。
接着層4は、ビーム光11,12に対して透明な樹脂、例えば2液混合型の紫外線硬化型樹脂等が用いられる。また、薄膜状の透明シートの両面に、溶剤を含浸して粘着性を高めたアクリル系粘着材を塗布することによって、いわゆる粘着シートを製作しておき、この粘着シートを接着層4として半透過膜層3と第2記録層5を貼着させた構造となっている。
第1記録層2から反射膜層6までの厚さは約50μm程度に設定されている。ここで、第1記録層2には、情報記録又は情報再生の際にビーム光11によって走査される方向(いわゆるトラック方向)に沿って螺旋状に延びるグルーブ(Groove)Gとランド(Land)Lが形成されている。第1記録層2におけるグルーブGは半径方向に沿って並び、透明基板1側(図中下側)に向けて凸の形状に形成され、ランドLはそのグルーブGに対して透明基板1側(図中下側)に向けて凹の形状に形成されている。また、図示していないが、ランドLの側壁には、物理的フォーマットを規定するためのウォブル(Wobble)が形成されている。
これに対し、第2記録層5におけるグルーブG及びランドLは、第1記録層2における上記グルーブG及びランドLに対向して上記トラック方向に沿って螺旋状に延設されているが、凹凸の位相構造が逆転している。
すなわち、第2記録層5におけるグルーブGは、半径方向に沿って並ぶと共に、透明基板7側(図中上側)に向けて凸の形状に形成され、ランドLはそのグルーブGに対して透明基板7側(図中上側)に向けて凹の形状に形成されている。また、第2記録層5におけるランドLの側壁にも、物理的フォーマットを規定するためのウォブルが形成されている。
このように、第1,第2記録層2,5におけるそれぞれのグルーブGとランドLの位相構造が逆転している結果、情報記録又は情報再生の際には、ビーム光11は第1記録層2の凸形状のグルーブGに入射し、ビーム光12は第2記録層5の凹形状のグルーブGに入射する。
次に、かかる構造を有するDVD−Rの製造工程を説明する。まず、上記第1の情報記録再生部と第2の情報記録再生部をそれぞれ別個の中間生成物として形成する。
すなわち、第1の情報記録再生部の製造工程にあっては、リソグラフィによって透明基板1の表面にグルーブGを形成するための螺旋溝を形成し、次に、スピンコート法を用いて透明基板1上に第1記録層2を成膜する。これにより、上記螺旋溝の谷の部分に溜まった有機色素系材料によってグルーブGが形成され、上記螺旋溝間の山の部分付着する有機色素系材料によってランドLが形成される。
ここで、グルーブGの厚さdG1とランドLの厚さdL1は、図2に拡大して示すように、dG1>dL1に設定されており、スピンコーティングの際の回転速度、有機色素系材料の濃度等を調整することで、スピンコーティングを行うだけで自動的にdG1>dL1の関係が得られるようにしている。
次に、スパッタ法により、第1記録層2上に半透過膜層3を成膜することにより、第1の情報記録再生部を製造する。
一方、第2の情報記録再生部の製造工程にあっては、リソグラフィによって透明基板7の表面にグルーブGを形成するための螺旋溝を形成する。
次に、スパッタ法により、透明基板7の表面に反射膜層6を成膜した後、スピンコート法を用いて反射膜層6上に第2記録層5を成膜する。これにより、反射膜層6の螺旋溝の谷の部分に溜まった有機色素系材料によってグルーブGが形成され、螺旋溝間の山の部分付着する有機色素系材料によってランドLが形成される。
ここで、グルーブGの厚さdG2とランドLの厚さdL2は、dG2>dL2に設定される。この場合にも、スピンコーティングの際の回転速度、有機色素系材料の濃度等を調整することで、スピンコーティングを行うだけで自動的にdG2>dL2の関係が得られるようにしている。
次に、こうして製造された第1,第2の情報記録再生部の半透過膜層3と第2記録層5の間に接着層としての紫外線硬化型樹脂又は粘着シートを介在させることにより、第1,第2の情報記録再生部を一体化させて、DVD−Rが製造される。
このように、本実施例では、第1記録層2及び第2記録層はいずれもイン・グルーブ構造となるように構成される。よって、グルーブG間のランドLの厚さを薄くすることができ、記録動作時にランドLの色素が変質することによる記録品質の低下を防止することができる。
また、図2に示すように、第2記録層5のグルーブGの厚さdG2は、第1記録層2のグルーブGの厚さdG1よりも薄く設定され、第2記録層5のランドLの厚さdL2も第1記録層2のランドLの厚さdL1より薄く設定される。このように、第2記録層5のグルーブを薄く設定することにより、第2記録層5のグルーブの傾斜面(破線で示す領域50を参照)を小さくすることができ、グルーブGとランドLとの間の光学位相差を小さくすることができる。よって、そのような傾斜面における入射光の散乱を抑制することができ、ディスクの反射率の低下を抑制することができる。
次に、第1記録層2及び第2記録層5の動作及び特性について詳しく説明する。図3は、第1記録層5の一部の構成及び光学的位相を示し、図3(a)は未記録状態、図3(b)は記録済み状態を示す。
図3は、第1記録層2の一部の構成及び光学的位相を示し、図3(a)は未記録状態、図3(b)は記録済み状態を示す。
図3(a)に示すように、代表として示した2つのグルーブGa,Gbが共に未記録の場合には、有機色素系材料が光学的に変化しないため、情報読取り用のビーム光11がこれらのグルーブGa,Gbを通って半透過膜層3で反射され再びグルーブGa,Gbを通って透明基板1側へ戻る際の光学的位相La1は等しくなる。
なお、「光学的位相」は、光学的距離を波長に基づいて位相に換算した値である。また、「光学的距離」は、一般に光が通過する物体の屈折率と当該物体内を通過する光の距離の積で与えられる。例えば物体の屈折率をN、物体内を通過する光の距離をDとすれば、光学的距離:OD=N×Dで与えられる。また、光の波長をλとすると、光学的位相:OP=OD×2π/λで与えられる。
一方、グルーブGaが未記録状態で、グルーブGbが記録済み状態の場合には、図3(b)に示すように、グルーブGbの光学的位相がLb1に変化する。これにより、グルーブGaとGbとの間に光学的位相差φ1(=Lb1−La1)が発生する。
すなわち、情報記録が行われたグルーブGbは、有機色素系材料が情報書込み時のビーム光11からの熱エネルギーを受けて屈折率が小さくなるように変化するので、光学的位相が変化し、その結果、光学的位相差φ1が発生する。
図4は、第2記録層5の一部の構成及び光学的位相を示し、図4(a)は未記録状態、図4(b)は記録済み状態を示す。
図4(a)に示すように、代表として示した2つのグルーブGa,Gbが共に未記録の場合には、有機色素系材料が光学的に変化しないため、情報読取り用のビーム光11がこれらのグルーブGa,Gbを通って反射膜6で反射され再びグルーブGa,Gbを通って透明基板1側へ戻る際の光学的位相−La2は等しくなる。なお、第2記録層5はビーム光11の入射方向に対して層構造が第1記録層2と逆であるため、グルーブにより発生する光学的位相は逆特性となる。
一方、グルーブGaが未記録状態で、グルーブGbが記録済み状態の場合には、図4(b)に示すように、グルーブGbの光学的位相が−Lb2に変化する。これにより、グルーブGaとGbとの間に光学的位相差φ2(=−Lb2+La2)が発生する。
すなわち、情報記録が行われたグルーブGbは、有機色素系材料が情報書込み時のビーム光11からの熱エネルギーを受けて屈折率が小さくなるように変化するので、光学的位相が変化し、その結果、光学的位相差φ2が発生する。
次に、第1記録層2及び第2記録層5の光学的特性について説明する。図5は、第1記録層2及び第2記録層5の光学的特性を、当該DVD−Rを再生して得られるRF信号及びプッシュプル信号によって示した図である。
なお、グルーブGに情報読取り用のビーム光11を照射したときの反射光を、2分割された受光領域(2個の受光領域)を有するフォトディテクタによって受光し、各受光領域で検出され出力される検出信号S1,S2の和(S1+S2)をRF信号、検出信号S1,S2の差分(S1−S2)をプッシュプル信号とした。
ビーム光11の波長をλ、透明基板1の実効屈折率を定数N、ランドLの透明基板1側の下面位置を基準としたときの透明基板1の方向における距離を変数Dで表すと、光学的位相構造における光学的距離はN×D、ビーム光11の波面に上記反射により与えられる光学的位相差φは、φ=4×π×N×D/λとなる。また、ビーム光11がグルーブGに入射し反射されて戻るまでの往復の光学的距離は2×N×Dとなる。
未記録状態のグルーブGaと記録済み状態のグルーブGbにおけるビーム光11の光学的距離(入射と反射の往復の光学的距離)2×N×Dをパラメータとした場合のRF信号とプッシュプル信号の振幅変化を図5に示す。RF信号をグラフ110で示し、プッシュプル信号をグラフ120で示す。尚、これらのRF信号とプッシュプル信号の振幅変化は、RF信号の最大振幅値に基づいて正規化されている。
図3に示したように、第1記録層2の未記録状態のグルーブGaの光学的位相はLa1であり、そのときのRF信号の振幅値はPa1となる。一方、第1記録層2の記録済み状態のグルーブGbの光学的位相はLb1であり、そのときのRF信号の振幅値はPb1となる。よって、振幅値Pa1とPb1との差分の絶対値:δM1(=|Pa1−Pb1|)が、第1記録層2に記録された情報の信号振幅となる。
また、図4に示したように、第2記録層5の未記録状態のグルーブGaの光学的位相はLa2であり、そのときのRF信号の振幅値はPa2となる。一方、第2記録層5の記録済み状態のグルーブGbの光学的位相はLb2であり、そのときのRF信号の振幅はPb2となる。よって、振幅値Pa2とPb2との差分の絶対値:δM2(=|Pa2−Pb2|)が、第2記録層5に記録された情報の信号振幅となる。
このように、第1記録層2と第2記録層5に記録された情報の信号振幅は、それぞれの層における光学的位相差φ1及びφ2により規定される。ここで、実際のDVD−Rにおいては、第1記録層と第2記録層に記録された情報を再生したときに得られる信号振幅が等しいことが好ましい。これは、DVD−Rの再生装置において、第1記録層から得られた再生信号と第2記録層から得られた再生信号を同一の再生処理回路で処理するためである。
この観点から、本実施例では、第1記録層2と第2記録層5とにおいて、記録された情報を再生したときに得られる再生RF信号の振幅δM1とδM2が等しくなるようにする。即ち、第1記録層の光学的位相差φ1と第2記録層の光学的位相差φ2を等しくする。そのために、本実施例では、第1の記録層2の未記録状態のグルーブGaの光学的位相La1の大きさ(絶対値)が、第2の記録層5の記録済み状態のグルーブGbの光学的位相−Lb2の大きさ(絶対値)と等しくなるようにする。また、第1の記録層2の記録済み状態のグルーブGbの光学的位相Lb1の大きさ(絶対値)が、第2の記録層5の未記録状態のグルーブGaの光学的位相−La2の大きさ(絶対値)と等しくなるようにする。即ち、図3及び図4において、La1=Lb2、かつ、Lb1=La2となるように、第1の記録層2の厚さdG1と第2の記録層5の厚さdG2を設定する。
こうすることにより、図5から理解されるように、第1記録層と第2記録層からの再生RF情報の振幅δM1とδM2を等しくすることができ、再生装置内に設けられた同一の再生処理回路を用いていずれの記録層からも記録情報を再生することができる。
なお、図5から理解されるように、第1記録層と第2記録層からの再生RF信号は信号振幅は等しいが極性は逆である。よって、第1記録層又は第2記録層からの再生RF信号の一方を反転した状態で再生処理回路へ供給する、もしくは再生処理回路から出力される再生信号を反転して出力するなどの処理が必要となる。
(具体的構成例)
次に、上記の条件を満足する第1記録層及び第2記録層の具体的構成例を説明する。図6に、第1記録層2の構成例を示す。図6の例は1層DVD−Rと同様の構成であり、各値は以下の通りである。
・トラックピッチ:0.74μm
・グルーブ幅: 0.3μm
・グルーブ深さ: 145nm
・グルーブ厚さ(グルーブ位置における第1記録層の厚さ): 70nm
・ランド厚さ(ランド位置における第1記録層の厚さ): 10nm
上記の構造を有する第1記録層2による変調度、プッシュプル信号振幅及び反射率(未記録部)の各々と、グルーブ厚さ及びランド厚さとの関係を図7(a)〜(c)に示す。なお、「変調度」とは、最大記録マーク(14Tマーク)に対する再生信号のピーク値とゼロレベルとの差I14Hと、最大記録マークに対する再生信号の振幅I14の比(I14/I14H)を示す値であり、DVD−R規格では60%以上が要求されている。
図7(a)において、上記のようにグルーブ厚さ=70nm、ランド厚さ=10nmの条件に対応する点121では、変調度は約60%であり、DVD−R規格の要求を満たした適切な値を示している。
また、図7(b)において、同様の条件に対応する点122では、0.35程度の値が得られている。また、図7(c)において、同様の条件に対応する点123では、0.65程度の反射率が得られている。
次に、図8に示すように、第2記録層を、
・トラックピッチ:0.74μm
・グルーブ幅: 0.3μm
・グルーブ深さ: 40nm
とし、グルーブ厚さ及びランド厚さを変化させて変調度、プッシュプル信号振幅及び反射率(未記録部)を求めた結果を図9(a)〜(c)に示す。
図9(a)において、第1記録層2と同様に変調度約60%を満足する条件の一例として、グルーブ厚さ60nm、ランド厚さ20nm(点131に対応)が得られる。この条件では、図8に示すように、第2記録層5のグルーブ厚さとランド厚さとの差は40nm程度であり、グルーブの傾斜面による入射光の反射は抑制される。
また、この条件では、図9(b)の点132に示すようにプッシュプル信号振幅は約0.30であり、図9(c)の点133に示すように反射率は約0.60程度であり、いずれも許容範囲となっている。
以上のように、本実施例によれば、第1記録層2をオン・グルーブ構造、第2記録層5をイン・グルーブ構造とし、第2記録層5のグルーブ深さを第1記録層2のグルーブ深さより小さく構成する。第2記録層をイン・グルーブ構造とすることにより、成膜時のスピンコートによってランド部が必要以上に厚く形成されることが防止され、記録品質の低下を抑制することができる。また、第2記録層のグルーブ深さを浅くすることにより、グルーブの斜面における入射光の散乱などを防止し、反射率の低下などを抑制することができる。
さらに、本実施例では、第1記録層2の未記録状態のグルーブの光学的位相が第2記録層5の記録済み状態のグルーブの光学的位相と等しくなり、かつ、第1記録層2の記録済みのグルーブの光学的位相が第2記録層5の未記録状態のグルーブの光学的位相と等しくなるように、第1及び第2記録層の厚さをそれぞれ設定している。これにより、第1記録層からの再生RF信号振幅と第2記録層からの再生RF信号振幅とを等しくすることができ、両方の記録層からの再生RF信号を同一の再生処理回路で処理して記録情報を再生することができる。
(変形例)
上記の実施例では、図1に示したように、第1記録層2と第2記録層5のグルーブGとランドLの幾何学的な凹凸構造を逆位相にするものの、第1記録層2と第2記録層5のグルーブGとランドLの半径方向における位置は、ビーム光11,12の入射方向に対して同位相となっている。しかし、本発明はかかる構造に限定されるものではなく、図10に示すように、第1記録層2と第2記録層5のグルーブGとランドLの半径方向における位置を、ビーム光11,12の入射方向に対して90°位相ずらして配置してもよい。
また、図11に示すように、第1記録層のグルーブGを透明基板1側に向けて凹の形状にすると共に、第2記録層5のグルーブGを透明基板1側に向けて凸の形状に、これら第1,第2記録層2,5の各グルーブGを半径方向において同位相で形成してもよい。さらに、図12に示すように、第1記録層のグルーブGを透明基板1側に向けて凹の形状にすると共に、第2記録層5のグルーブGを透明基板1側に向けて凸の形状に、これら第1,第2記録層2,5の各グルーブGを半径方向において90°位相をずらして形成してもよい。
また、上記の実施例では、本発明を適用した情報記録媒体の例としてDVD−Rについて説明したが、情報の再書き込みが可能な2層型のDVD−RWやDVD−RAMにも本発明を適用することができる。
本発明の実施例に係るDVD−Rの構造を模式的に示す断面図である。 図1に示したDVD−Rの一部の拡大断面図である。 未記録状態及び記録済み状態における第1記録層の断面構造及び光学的位相特性を示す。 未記録状態及び記録済み状態における第2記録層の断面構造及び光学的位相特性を示す。 第1及び第2記録層におけるグルーブの光学的位相と、再生RF信号及びプッシュプル信号との関係を示すグラフである。 好適な具体的構成例による第1記録層の具体的構造を示す。 図6に示す具体的構成例による、変調度、プッシュプル信号振幅及び反射率の各々と、グルーブ厚さ及びランド厚さとの関係を示すグラフである。 好適な具体的構成例による第2記録層の具体的構造を示す。 図8に示す具体的構成例による、変調度、プッシュプル信号振幅及び反射率の各々と、グルーブ厚さ及びランド厚さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係るDVD−Rの他の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例に係るDVD−Rのさらに他の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例に係るDVD−Rのさらに他の構造を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1…第1の透明基板
2…第1記録層
3…半透過膜層
4…接着層
5…第2記録層
6…反射膜層
7…第2の透明基板
9,10…対物レンズ
11,12…ビーム光
G,Ga,Gb…グルーブ
L…ランド

Claims (4)

  1. 第1の透明基板、第1記録層及び半透過膜層が順に積層されてなる第1の情報記録再生部と、
    第2の透明基板、反射膜層及び第2記録層が順に積層されてなる第2の情報記録再生部と、
    前記半透過膜層と前記第2記録層を向き合わせて貼り合わせる透明接着層と、備え、
    前記第1記録層及び前記第2記録層の各々は、情報書込み用のグルーブ部と、前記グルーブ部に隣接するランド部とを有し、
    前記第2記録層のグルーブ部の厚さは、前記第1記録層のグルーブ部の厚さより薄く、
    前記第2の透明基板のグルーブの深さは、前記第1の透明基板のグルーブの深さより小さいことを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記第1記録層内の未記録のグルーブ部と前記第1記録層内のランド部との光学的位相差は前記第2記録層内の記録済みのグルーブ部と前記第2記録層内のランド部との光学的位相差と等しく、前記第2記録層内の未記録のグルーブ部と前記第2記録層内のランド部との光学的位相差は、前記第1記録層内の記録済みのグルーブ部と前記第1記録層内のランド部との光学的位相差と等しいことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記第1記録層のグルーブ部は前記第1記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凹の形状を有し、前記第2記録層のグルーブ部は前記第2記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凸の形状を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  4. 前記第1記録層のグルーブ部は前記第1記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凸の形状を有し、前記第2記録層のグルーブ部は前記第2記録層のランド部より前記第1の透明基板側に凹の形状を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
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