JP4330457B2

JP4330457B2 - 清掃用ウエットシート

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Publication number: JP4330457B2
Application number: JP2004015019A
Authority: JP
Inventors: 聡仁静野; 功治町井
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2004-01-23
Filing date: 2004-01-23
Publication date: 2009-09-16
Anticipated expiration: 2024-01-23
Also published as: JP2005204950A

Description

本発明は、硬質表面の清掃、つや出し、保護に好適に用いられる清掃用ウェットシートに関する。

本出願人は先に、シート重量あたり水性洗浄剤が１００〜１０００重量％含浸されており、該水性洗浄剤の２５℃での粘度が２０〜３００００ｍＰａ・ｓであることを特徴とする床用清掃シートを提案した（特許文献１参照）。この床用清掃シートによれば、特に、水性洗浄剤の徐放性が安定し、操作性が良く、広範囲を清掃することができる。しかし、この床用清掃シートは主たる清掃対象が、フローリングなどの床面に存する髪の毛、土ボコリ、醤油乾燥汚れといった軽い汚れの拭き取りであり、このためのシートから放出される洗浄剤の放出量は極めて少量である。つまり、極めて少量の洗浄剤の徐放性を目的としている。従って、がんこにこびり付いた汚れの除去のためには、洗浄剤の放出量が十分とはいえない。

また、本出願人は、疎水性材料を含む洗浄剤保持層と該洗浄剤保持層よりも高密度の洗浄剤徐放層とを備え、洗浄剤保持層が洗浄剤徐放層によって挟持されていることを特徴とする洗浄剤含浸用物品を提案した（特許文献２参照）。この物品の主たる清掃対象面はガラスであり、手で拭くことを前提としている。従ってこの物品は、フローリングのような広面積の清掃対象面に対し、道具に装着して使用するように最適化されたものではない。

更に本出願人は、液透過性の表面シートからなり且つ多数の凸部を有する拭取部と、該拭取部で拭き取った液を吸収する液吸収体とを具備する清掃シートを提案した（特許文献３参照）。しかしこの清掃シートは、清掃対象面に施された洗浄剤を拭き取りながら清掃を行うために用いられるものであり、それ自身に洗浄剤が含浸されているものではない。

これらとは別に、液体又は半練りペースト状薬剤を加圧により一部が開封可能な接合部とした樹脂フィルム袋に封入し、袋に接した薬剤含浸層、薬剤通過コントロール層および薬剤通過性塗布層、その反対側に薬剤不通過層を形成して全体を封じてなる使い捨て塗布具、または、前記加圧により一部が開封可能な接合部とした樹脂フィルム袋の替わりに、−部に穴を設けた樹脂フィルム袋の穴に粘着フィルムにてシールした樹脂フィルム袋を用いた使い捨て塗布具が知られている（特許文献４参照）。しかし、これもフローリングのような広面積の清掃対象面に対してつや出し剤等を塗布する際の徐放性を達成するように最適化されたものではない。また道具に装着して使用するために最適化されたものでもない。

薬剤を封入した薬剤封入物と薬剤封入物を被覆しており、剥離することによって薬剤封入物に開孔を形成可能な被覆材と、薬剤を塗布する塗布物質とが順次積層されていることを特徴とする塗布材も知られている（特許文献５及び６参照）。この塗布材は、前述した特許文献４に記載の開封可能なフィルム袋中に、薬剤などの塗布剤を封入した塗布材が、製造中、輸送中、或いは保管中に不意の圧力によって開封し、薬剤が漏れることがあるとして、このような不具合が生じない塗布材であることを特徴としている。この塗布材においては、被覆剤を剥離することにより形成される開孔の１個あたりの面積が１ｍｍ²以下、開孔部の総面積が薬剤封入物の片面の０．００２〜０．０２％であることにより、少しずつ薬剤を放出することでより使用寿命が長くなると共に、塗布作業の最初から最後まで均一に塗布できるとされている。しかし、開孔の１個あたりの面積が１ｍｍ²以下となるような小孔で、開孔部の総面積が薬剤封入物の片面の面積の０．００２〜０．０２％であった場合、広い面積の清掃対象面に対して多量の剤を均一に放出することはできない。

特開２００１−１９８０６５号公報特開平１０−２７２０８２号公報特開平９−１３１２８８号公報実開平４−３３９７１号公報持開平１０−１２７５４９号公報持開平１０−２６２８８９号公報

従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る清掃用ウエットシートを提供することを目的とする。

本発明は、洗浄剤又はつや出し剤を高含浸率で含浸させてなる液保持シートと、該液保持シートを密封収容する液不透過性の扁平な収容体と、液徐放シートとを備えた清掃用ウエットシートであって、
前記収容体はその一部に開孔を有し、該開孔は、前記ウエットシートの使用前においては封止手段によって封止状態になっており、且つ使用に際して前記封止状態を解くようになされており、
前記液徐放シートは、前記収容体における前記開孔が形成されている面に対向して配され、
前記液保持シートは一体又は別体の多層構造であり、多層構造の該液保持シートにおける前記開孔に対向する層が合成繊維を主体とするエアレイド不織布からなり、該層に隣接する層がセルロース系繊維を主体とする紙または不織布からなる清掃用ウェットシートを提供することにより前記目的を達成したものである。

本発明の清掃用ウエットシートは、洗浄剤又はつや出し剤が高含浸率で含浸されているにもかかわらず、フロアなどの広範囲の清掃対象面に対し、清掃の初期から終期に亘って洗浄剤やつや出し剤が安定的且つ均一に放出される。特につや出し剤を用いた場合、清掃対象面全体を均一につや出しできる。

以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図１には本発明の清掃用ウエットシート（以下、単にウエットシートともいう）の一実施形態の斜視図が示されている。また図２には図１におけるII−II線断面図が示されている。本実施形態のウエットシート１は、硬質表面、例えばフローリングの清掃やつや出しに好適に用いられる。ウエットシート１は、液保持シート２と、液保持シートを密封収容する液不透過性の扁平な収容体３と、液徐放シート４とを備えている。ウエットシート１の使用前においては、収容体３と液徐放シート４とは別体となっている。

収容体３は液不透過性のフィルムから構成されている。収容体３は平面視して矩形状をした扁平な袋状をしており、第１の面３ａ及び第２の面３ｂを有している。収容体３は矩形をした２枚の液不透過性シートの四辺を接合することで形成されている。収容体３は、その一部、具体的には第１の面３ａに、長手方向に延びる長孔からなる２列の開孔３１を有している。開孔３１は、第１の面３ａが液保持シート２と対向する領域の全体に亘って形成されている。液不透過性シートとしては、或る程度柔軟であり液不透過性のものであればその種類に特に制限はない。例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムにアルミニウムなどの金属薄膜をラミネートしたものなどを液不透過性シートとして用いることができる。

液保持シート２は繊維材料材から構成されており、袋状をした収容体３内に収容されている。液保持シート２は、収容体３よりも若干小さな矩形状をしている。液保持シート２には洗浄剤やつや出し剤（以下、これらの剤を総称して洗浄剤等ということがある）が高含浸率で含浸されている。先に述べた開孔３１は、該開孔３１を通じて液保持シート２から後述する液徐放シート全体に対して適量の洗浄剤等を移行させ得る大きさ及び／又は開孔率を有している。具体的には、各開孔３１の面積は、洗浄剤等の放出を妨げないようにする観点から、５〜１３，０００ｍｍ²、特に５〜８，７００ｍｍ²であることが好ましい。同様の理由により、第１の面３ａにおける液保持シート２との対向面積に対する開孔３１の面積の総和の割合、つまり開孔率は１〜５０％、特に３〜３３％、とりわけ３〜２５％であることが好ましい。

図３に示すように、収容体３は、その使用前においては開孔３１が封止手段としてのシール３２によって封止状態となっており、液保持シート２に含浸されている洗浄剤等が使用前に収容体３の外に漏出しないようになっている。使用に際してはシール３２を引き剥がして封止状態を解く。

収容体３内に収容されている液保持シート２は、多量の洗浄剤等を含浸でき且つ洗浄剤等の徐放性に優れていることが望ましい。また多量の洗浄剤等を含浸させた場合に、ヘタリが生じないことも望ましい。

このような特性を有する液保持シート２を得るべく本発明者らが鋭意検討したところ、液保持シート２を一体又は別体の多層構造となし、多層構造の該液保持シートにおける開孔３１に対向する層２Ａを合成繊維を主体とするエアレイド不織布から構成し、該層２Ａに隣接する層２Ｂをセルロース系繊維を主体とする紙または不織布から構成することによって、所望の特性が得られることが判明した。このような多層構造の液保持シート２は洗浄剤等が高含浸率で含浸された場合でも、開孔３１に対向する合成繊維を主体とする層２Ａは、該層２Ａに隣接するセルロース系繊維を主体とする層２Ｂに比べて含浸液保持性が低くなるため、洗浄剤等は主にセルロース系繊維を主体とする層２Ｂに含浸保持される。従って、収納体３の開封時に洗浄剤等が液保持シート２から飛散したり、清掃初期に多量の洗浄剤等が放出することを抑えることができ、結果として洗浄剤等の徐放性に優れる。なお、「合成繊維を主体とする」とは、合成繊維の重量割合が過半数であることをいう。「セルロース系繊維を主体とする」についても同様である。

液保持シート２について図２を参照しながら更に詳細に説明する。図２に示すように、液保持シート２は第１層２Ａ及び第２層２Ｂの２層構造となっている。第１層２Ａは、収容体３に形成された開孔３１に対向する層である。第２層２Ｂは、第１層２Ａに隣接する層である。第１層２Ａと第２層２Ｂとは所定の手段によって一体化されていてもよく、或いは別体であってもよい。第１層２Ａは合成繊維を主体とするエアレイド不織布であり、第２層２Ｂはセルロース系繊維を主体とする紙又は不織布である。

セルロース系繊維を主体とする紙又は不織布からなる第２層２Ｂは、洗浄剤等の含浸保持性が良好である。また、第２層２Ｂが合成繊維を含む場合には、圧縮に対する回復性を高めることができる。その結果、洗浄剤等は液保持シート２に確実に保持され、収容体３内で洗浄剤等の液溜まりが生じることが効果的に防止される。セルロース系繊維を主体とする層２Ｂに用いる合成繊維としては、含浸保持性の観点から、繊度が０．５〜５ｄｔｅｘ、更に好ましく１〜３ｄｔｅｘであるものが挙げられる。また、生産性から繊維長が２〜１５ｍｍ、特に３〜８ｍｍ、とりわけ４〜６ｍｍであることが好ましい。一方、セルロース系繊維は、その繊維長が０．１〜１５ｍｍであることが、エアレイ法による均一なウエブの作製の点から好ましい。セルロース系繊維として木材パルプが用いられる場合、木材パルプは一般に繊維長の分布が広いことから、長さ加重平均繊維長で１〜４ｍｍの長さのものが好適に用いられる。木材パルプの長さ加重平均繊維長は、カヤーニ繊維長測定器等で測定される。なお、セルロース系繊維の繊度については特に制限はなく、該セルロース系繊維の種類に応じて適切な繊度のものが用いられる。

合成繊維は０〜５０重量％含有され、特に１０〜４０重量％含有され、とりわけ１０〜３０重量％含有されることが、圧縮に対する回復性を高める点及び洗浄剤等の含浸性を高める点から好ましい。同様の理由により、セルロース系繊維は５０〜１００重量％含有され、特に６０〜９０重量％、とりわけ７０〜９０重量％含有されることが好ましい。

第２層２Ｂの坪量は１０〜１２０ｇ／ｍ²、特に２０〜８０ｇ／ｍ²、とりわけ２０〜５０ｇ／ｍ²であることが洗浄剤等の含浸保持性、生産性という点から好ましい。

合成繊維を主体とするエアレイド不織布である第１層２Ａは、セルロース系繊維を主体とする層２Ｂよりも洗浄剤等の含浸保持性が低いことが望ましく、セルロース系繊維を主体とする層２Ｂよりも低密度であることが好ましい。従って、合成繊維としては、繊度が１〜５０ｄｔｅｘ、特に１〜２０ｄｔｅｘのものであることが好ましい。また、生産性から繊維長が２〜１５ｍｍ、特に３〜８ｍｍ、とりわけ４〜６ｍｍであることが好ましい。第１層２Ａは、セルロース系繊維を含んでいてもよい。

合成繊維は５０〜１００重量％含有され、特に６０〜９０重量％含有され、とりわけ７０〜９０重量％含有されることが、セルロース系繊維を主体とする層２Ｂよりも低密度で、洗浄剤等の含浸性が低くなる観点から好ましい。同様の理由により、セルロース系繊維は０〜５０重量％含有され、特に１０〜４０重量％、とりわけ１０〜３０重量％含有されることが好ましい。

第１層２Ａの坪量は１５〜８０ｇ／ｍ²、特に２０〜６０ｇ／ｍ²、とりわけ２０〜４０ｇ／ｍ²であることが、洗浄剤等を効率的に液保持シート２から液徐放シート４に移行させ、清掃対象面に塗布する点から好ましい。

先に述べた通り本実施形態においては、第１層２Ａの密度をＡ、第２層２Ｂの密度をＢとした場合、Ｂ＞Ａの関係が成り立つことが、一層多量の洗浄剤等を含浸でき且つ洗浄剤等の徐放性が一層優れることから好ましい。

第１層２Ａに用いられる合成繊維としては、各種熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂等からなる繊維を用いることができる。またこれらの樹脂の２種以上の組み合わせからなる複合繊維を用いることもできる。合成繊維として、捲縮性を有しているものを用いることもできる。これによって、液保持シート２の圧縮回復性を一層高めることができる。一方、セルロース系繊維としては、セルロース系繊維としては、第２層２Ｂと同様のものを用いることができる。例えば木材パルプ、麻や綿等の木材パルプ繊維、レーヨン等の再生繊維を用いることができる。特に、針葉樹由来のパルプ、０．１〜１５ｍｍ程度の繊維長を有するコットン繊維やレーヨン繊維を用いることが好ましい。

前記のエアレイド不織布は、合成繊維及びセルロース系繊維をエアレイ法によって堆積させてウエブを形成し、形成されたウエブにおける構成繊維同士の交点を結合させて形成される。構成繊維の結合手段としては、融着やバインダーによる接着が好適に用いられる。バインダーとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート等が用いられる。エアレイ法で製造された不織布においては、合成繊維をランダムに三次元配向させることが可能であることから、他の不織布製造方法に比較して、該合成繊維が不織布の厚み方向に配向し易くなり、圧縮回復性が高くなる。その上、合成繊維として前記繊度のものを用いることで、該合成繊維の剛性が高くなり、洗浄剤等を高含浸率で含浸させても、液保持シートのヘタリが起こりにくくなる。

第１層２Ａ及び第２層２Ｂからなる液保持シート２はその坪量が３０〜２００ｇ／ｍ²、特に５０〜１５０ｇ／ｍ²であることが、洗浄剤等を高含浸率で保持する点及び洗浄剤等を徐放させる点から好ましい。

以上の構成を有する液保持シート２は、多量の洗浄剤等を含浸保持することができる。例えば、一般家庭でのフローリングを一枚のウエットシート１で清掃する場合を考えると、含浸前の状態の液保持シート２の重量の３００〜３０００重量％、特に５００〜２５００重量％程度という高含浸率で洗浄剤等を含浸保持することができる。

次に、液徐放シート４について説明する。液徐放シート４は、液保持シート２から放出された洗浄剤等を一旦液徐放シート全体に拡散させて、洗浄剤等が液保持シート２から放出される際の速度よりも低速度でこれらを放出させることによって、広い面積の清掃対象面に対して、清拭の初期から終期にいたるまで、所定範囲の洗浄剤を徐々に放出する目的で用いられる。液徐放シート４は、前述した液保持シート２と同様に繊維材料からなることが好ましい。

洗浄剤等の平面方向への拡散が良好なシート材料としては、湿式抄造紙、スパンレース不織布、メルトブローン不織布などの繊維シートが挙げられる。湿式抄造紙の場合、その拡散性の制御は繊維の種類、叩解度、湿圧（乾燥前の加圧）、カレンダー処理（乾燥後の加圧）、填料添加などで調整できる。繊維の種類としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプの他、各種改質パルプ、レーヨン繊維、熱可塑性繊維等が挙げられる。これらのうち繊維径が細い繊維や繊維長が短い繊維を用いると、繊維間で形成されるシートの空隙の大きさ（孔径）が小さくなり、拡散性が所望のものとなる。また叩解を強くする、カレンダー処理圧力を高くすることで同様に拡散性が所望のものとなる。填料の増量も有効である。スパンレース不織布の場合は、コットンやレーヨンなどの親水性繊維を用いる、繊維径が細い繊維を用いる、交絡状態を高交絡にすること等で、拡散性が所望のものとなる。液徐放シートに前述のエンボス加工によって凹凸賦形する場合、熱可塑性繊維を好ましくは５〜９５重量％、更に好ましくは１０〜７５重量％含有させて、加熱エンボス加工を行うことで、湿潤時でも凸部形状を維持することが容易となる。

本実施形態の液徐放シート４は、内層シート４１と表面シート４２とから構成されている。液徐放シート４はこのようにシート積層体（マルチプライ）であってもよく或いは１枚のシート（シングルプライ）であってもよい。図４に示すように両シート４１，４２は重ね合わされて接合一体化している。内層シート４１は、平面視での収容体３とほぼ同寸の矩形状をしている。表面シート４２は、内層シート４１の長さと同寸となっている。表面シート４２は、内層シート４１の長手方向両側部から側方に延出しており、液徐放シート４において一対のフラップ４３，４３を形成している。このフラップ４３の使用目的については後述する。内層シート４１と表面シート４２とは、図４に示すように内層シート４１の四辺が表面シート４２と接合することによって一体化している。つまり液徐放シート４は２プライとなっている。

本実施形態のように液徐放シート４が内層シート４１及び表面シート４２の積層体から構成されると、清拭時の操作性が一層向上し、また内層シート４１が保護されるという利点がある。また、洗浄剤等の放出が更に制御されるという利点もある。表面シート４２に用いられる構成繊維は、特開平９−１３１２８８号公報に記載されている内容と同様とすることができる。

液徐放シートが１枚のシート（シングルプライ）からなるか、シート積層体（マルチプライ）からなるかを問わず、多量の洗浄剤等を均一に放出する徐放性能を発現するためには、液徐放シート４による洗浄剤等の過剰な保持を防止する必要がある。この観点から、液徐放シート４はその坪量が２０〜３５０ｇ／ｍ²、特に４０〜２００ｇ／ｍ²であることが好ましい。

内層シート４１及び表面シート４２は、それぞれ同種素材から形成されていても良く、或いは異種素材から形成されていてもよい。液徐放シートの坪量が前述の範囲内となる限りにおいて、表面シート４２はその坪量が１０〜１００ｇ／ｍ²、特に２０〜８０ｇ／ｍ²であることが、清掃に必要なシート強度を満たすと共に不必要なコストがかからない点から好ましい。

内層シート４１は表面に多数の凸部を有している。これによって内層シート４１はその上下面に位置する他のシートとの接触面積が低下する。その結果、清拭初期に生じ易い洗浄剤の過放出を低下させることができ、更に徐放性能を高めることができる。この凸部はシート全体に亘って形成されていることが好ましく、例えばエンボス加工等によって形成される。特に、湿潤状態での形状の維持の点からスチールマッチエンボス加工による形成が好ましい。凸部としては、例えばリブ状やドット状の形状のものが用いられる。本実施形態の内層シート４１は、凸部の間が凹部となっており、シート全体に亘って凹凸賦形されている。凹部と凸部とはシートの長手方向及び幅方向それぞれにおいて交互に配されている。凹部の形状は凸部を反転させた形状となっている。

スチールマッチエンボス加工によって内層シート４１に凸部を形成する場合、内層シート４１の上面又は下面に位置する他のシートとの接触面積が内層シート４１全体の面積に対して５〜６０％となるように、該凸部が形成されることが好ましい（以下、この値を接触面積率という）。凸部の高さは０．２〜１０ｍｍであることが好ましく、該凸部の横断面形状は図４に示すように波状であることが好ましい。接触面積率は次に述べる方法で測定される。

１）内層シートの測定表面にスプレー糊（住友スリーエム株式会社製、商品名「５５」）を均一に約０．０００６ｇ／ｃｍ²スプレーする。
２）平らなプレート上にＪＩＳ試験用ダスト７種（関東ローム層、細粒）を薄く均一に散布する。
３）ＪＩＳ試験用ダスト７種を散布した面に、前記スプレー糊を塗工した内層シートの測定表面を重ねる。その上にアクリル製の平板を重ね、更にアクリル製の平板の重さとあわせて５００ｇの荷重となるように重りを置き、５分間荷重をかける。これにより測定用のサンプルを得る。
４）得られたサンプルを画像解析して、プレートに接した面において、ＪＩＳ試験用ダスト７種で汚れた部分の面積の割合を算出してこれを接触面積率とした。

図４に示すように、内層シート４１と同様に、表面シート４２も多数の凸部を有していることが好ましい。これによって、清掃対象面との接触面積が低下して、清拭時の摩擦が低下し、清拭操作性を向上させることができる。表面シート４２に形成された凸部による接触面積率の値や凸部の形状等は、内層シート４１に形成された凸部と同様とすることができる。

本実施形態のウエットシートを使用するに際しては、図１に示すように、液徐放シート４における内層シート４１が、収容体３における開孔３１が形成されている第１の面３ａに対向するように配する。この状態にセットされたウエットシート１を、図５に示す清掃具５に装着して使用する。図５に示す清掃具５は、本実施形態のウエットシート１が装着可能である平坦なヘッド部５１、及び該ヘッド部５１と自在継手５２を介して連結した棒状の柄５３から構成されている。ヘッド部５１は、平面視での収容体３とほぼ同寸の矩形状をしている。ウエットシート１は、収容体３における第２の面３ｂ（図２参照）が、ヘッド部５１の下面に対向するように該ヘッド部５１に装着される。このとき、液徐放シート４におけるフラップ４３，４３をヘッド部５１の上面側に折り返す。更に該フラップを、ヘッド部５１に設けられた放射状のスリットを形成する可撓性の複数の片部５４内に押し込む。これによってウエットシート１をヘッド部５１に固定する。そして、この状態でフローリング等を清掃する。

本実施形態のウエットシート１が以上の通りの構成を有していることによって以下の有利な効果が奏される。先ず、収容体３と液徐放シート４とが別体になっており、洗浄剤等が含浸された液保持シート２が袋状の収容体３内に密封収容されているので、液保持シート２に多量の洗浄剤を含浸させておくことが出来る。液保持シート２が収容体３内に密封収容されていることで、ウエットシート１を清掃具５に装着させるときに手が汚れないという利点もある。勿論、清掃具５も汚れない。しかも使用前の保存状態において洗浄剤等が漏出することも無い。使用に際してシール３２を引き剥がして開孔３１を露出させると、洗浄剤等は、該開孔３１に阻害されることなく収容体３の外へ放出される。この場合、洗浄剤等は、先に述べた多層構造を有する液保持シート２に含浸保持されているので、セルロース系繊維を主体とする紙または不織布からなるシートに比べて前記開孔３１に対向する層は低含浸状態である。従ってシール３２を引き剥がした際に洗浄剤等が飛散することがない。また洗浄剤等は、液保持シート２から徐々に放出されるので、清掃初期に過剰放出されることがない。その上、液保持シート２から放出された洗浄剤等は、液徐放シート４に一旦トラップされて、そこから清掃対象面に放出されるので、その放出量は清掃の初期から終期に亘って一層均一となる。しかも、液徐放シート４を構成する内層シート４１及び表面シート４２が何れも凹凸賦形されているので、清掃対象面との接触面積が低減され、これによっても洗浄剤等が徐々に放出されるようになる。そして先に述べた通り液保持シート２には多量の洗浄剤が含浸されているので、フローリングのような広面積の清掃対象面を十分に清掃することができる。要するに本発明においては、開孔３１の大きさ及び／又は（開孔率）をコントロールすることで洗浄剤等の放出をコントロールするのではなく、特定の多層構造を有する液保持シートを用いることで、洗浄剤等の放出をコントロールしている。

次に液保持シート２に含浸される洗浄剤及びつや出し剤について説明する。洗浄剤は、土ボコリ、皮脂、油汚れのような乾式清掃では取り切れない汚れを溶解して、拭き取り除去することを目的とした剤である。つや出し剤は、フローリングのつや出し、保護を目的とした剤である。つや出し剤は洗浄機能を併せ持っていてもよい。洗浄剤及びつや出し剤は、２５℃における粘度が１〜２０ｍＰａ・ｓ、特に２〜１０ｍＰａ・ｓであることが、良好な拭き延ばし性及び仕上がり性の点から好ましい。粘度は、（株）東京計器のＢ型粘度計（ローターＮｏ１、６０ｒｐｍ）を用いて測定する。洗浄剤は、水を媒体とし、界面活性剤、アルカリ剤等を含有することが好ましい。つや出し剤としては、前記の粘度範囲を満たす市販のつや出し剤を用いることができる。具体的には本出願人の先の出願に係る特開２００１−１３１４９５号公報等に記載のものを用いることができる。洗浄剤やつや出し剤は、清掃対象面に１．５〜８ｇ／畳、特に２〜６ｇ／畳放出されることが好ましい。なお、ここに言う１畳とは１．６ｍ²に相当する。

洗浄剤に配合される界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の何れもが用いられ、特に洗浄性と仕上がり性の両立の面から、ポリオキシアルキレン（アルキレンオキサイド付加モル数１〜２０）アルキル（炭素数８〜２２の直鎖又は分岐鎖）エーテル、アルキル（炭素数８〜２２の直鎖又は分岐鎖）グリコシド（平均糖縮合度１〜５）、ソルビタン脂肪酸（炭素数８〜２２の直鎖又は分岐鎖）エステル、及びアルキル（炭素数６〜２２の直鎖又は分岐鎖）グリセリルエーテル等の非イオン活性剤並びにアルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドカルボキシベタイン、アルキルアミドスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン等のアルキル炭素数８〜２４の両性界面活性剤が好適に用いられる。界面活性剤は、洗浄剤中に、０．０１〜１．０重量％、特に０．０５〜０．５重量％含有されることが、洗浄性及び被清掃面の仕上がり性の面で好ましい。

洗浄剤に配合されるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、硫酸水素ナトリウム等のアルカリ性の硫酸塩、第１リン酸ナトリウム等のリン酸塩、酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア、モノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、２−アミノ−２−メチル−１−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリン等が挙げられ、特に感触とｐＨの緩衝性の点でモノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、２−アミノ−２−メチル−１−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリンが好ましい。アルカリ剤は、洗浄剤中に、０．０１〜１重量％、特に０．０５〜０．５重量％含有されることが、洗浄性及び感触の面で好ましい。

洗浄剤には、前述の成分に加えて除菌剤を含有させることもできる。これによって、洗浄剤に、洗浄効果に加えて除菌効果を付与することができる。除菌剤としては、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、第４級アンモニウム塩、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ナトリウム、天然除菌剤等が挙げられ、特に配合安定性と除菌性能の点から、第四級アンモニウム塩、天然除菌剤のポリリジン等が好ましく用いられる。除菌剤は、洗浄剤中に、０．００５〜２重量％、特に０．０１〜１重量％含有されることが、除菌効果と皮膚刺激性低減とのバランスの点から好ましい。

更に、洗浄剤等には必要に応じ、香料、防黴剤、色素（染料、顔料）、キレート剤、ワックス剤等を含有させることもできる。

洗浄剤の媒体である水は、洗浄剤中に、５０〜９９．９重量％、特に８０〜９９重量％含有されることが、被清掃面の仕上がり性の点から好ましい。

以上本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されるものではない。例えば、各実施形態において、液徐放シート４の保護やウエットシート１の操作性向上を目的として、液徐放シート４の外面に、更に１枚以上の別材のシートを重ねてもよい。

また前記実施形態においては、２層構造の液保持シート２を、第１層２Ａが外方を向くように２枚重ねて用いてもよい。即ち、第１層２Ａ、第２層２Ｂ、第２層２Ｂ、第１層２Ａの４層構造からなるシートとして用いてもよい。

また前記実施形態においては、開孔に対向する層が合繊繊維を主体とするエアレイド不織布からなる層であり、該層に隣接する層がセルロース系繊維を主体とする紙または不織布であれば、液保持シート２は、３層以上の多層構造を用いることができる。

また前記実施形態においては、液徐放シート４における内層シート４１及び／又は表面シート４２に凸部を形成しなくてもよい。

また、収容体３内で洗浄剤等の液溜まりが発生することを一層防止するために、収容体３を複数の区画室に区分し、各区画室に液保持シートを配してもよい。

本発明のウエットシート１は、特にフローリングの清掃に好適であるが、これ以外の硬質表面、例えば自動車のボディや革靴などの清掃やつや出しに用いることもできる。

本発明の第１の実施形態の清掃用ウエットシートを示す斜視図である。図１におけるII−II線断面図である。使用前の第１の部材の状態を示す斜視図である。図１におけるIV−IV線断面図である。図１に示す清掃用ウエットシートの使用状態を示す斜視図である。

符号の説明

１清掃用ウエットシート
２液保持シート
２Ａ第１層
２Ｂ第２層
３収容体
３１開孔
３２シール
４液徐放シート
４１内層シート
４２表面シート
５清掃具

Claims

洗浄剤又はつや出し剤を３００〜３０００重量％の含浸率で含浸させてなる液保持シートと、該液保持シートを密封収容する液不透過性の扁平な収容体と、液徐放シートとを備えた清掃用ウエットシートであって、
前記収容体はその一部に開孔を有し、該開孔は、前記ウエットシートの使用前においては封止手段によって封止状態になっており、且つ使用に際して前記封止状態を解くようになされており、
前記液徐放シートは、前記収容体における前記開孔が形成されている面に対向して配され、
前記液保持シートは第１層及び第２層を含む一体又は別体の２層以上の多層構造であり、多層構造の該液保持シートにおける前記開孔に対向する第１層が捲縮性を有する合成繊維を主体とするエアレイド不織布からなり、該層に隣接する第２層がセルロース系繊維を主体とする紙または不織布からなり、
第１層が第２層よりも低密度である清掃用ウェットシート。
前記液徐放性シートが、内層シートと表面シートの積層体から構成され、該内層シートが前記収容体における開孔が形成されている面に対向するように配され、
前記内層シートは表面に多数の凸部を有している請求項１記載の清掃用ウェットシート。
前記凸部の間が凹部となっており、凹部と凸部とは液徐放性シートの長手方向及び幅方向それぞれにおいて交互に配されている請求項２記載の清掃用ウエットシート。
前記開孔はその開孔面積が５〜１３，０００ｍｍ²であり、前記収容体が前記液徐放シートと対向する領域での前記収容体の開孔率が１〜５０％である請求項１ないし３の何れかに記載の清掃用ウェットシート。