JP4326720B2 - こんにゃく抽出物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、無臭こんにゃく抽出物とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
こんにゃく芋から有機溶剤によって抽出した抽出物は種々の脂肪酸、糖類、糖脂質など有効成分を高濃度に含有していることがわかっている。中でもこんにゃく精粉の製造工程で大量に排出され、独特のえぐ味のためにほとんど利用されていないこんにゃくトビ粉は有用な成分を多く含み(福島県ハイテクプラザ試験研究報告、VOL.1993、p.115〜117(1994年))、アルコール抽出した抽出物には強い血圧降下作用を有する物質が含まれていることがわかっている(医学研究、第46巻、第5号、p.22〜40)。
【0003】
また、本発明者らはこんにゃく芋から有機溶剤によって抽出した抽出物のスフィンゴ糖脂質の含量が、小麦や米などの穀類あるいは大豆などの豆類に比べて特に多いという知見を得、スフィンゴ糖脂質含有物の製造方法として出願した(特願2000−219087号)。このスフィンゴ糖脂質は皮膚への塗布によって角質層に浸透し、皮膚の保湿効果を高め、乾燥肌、肌荒れ、皺さらにはアトピー性皮膚炎の改善に効果がある。また、経口摂取することによっても小腸から吸収されて角質層に届き、上述のような効果が得られることがわかっており、化粧品原料や健康食品素材など美容・健康分野、さらにはエラスターゼ抑止効果や遊離基抑止効果を生かした製薬分野において有用なものである。
しかし、該こんにゃく抽出物にはこんにゃく芋に由来するトリメチルアミンやジメチルアミンを主成分とした臭気物質が含まれており、このまま化粧品原料や健康食品素材として使用するには問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、こんにゃくの原料であるこんにゃく精粉の製造においてもトリメチルアミンやジメチルアミンなどの臭気物質の除去が問題になっており、こんにゃく粉の消臭方法としては水洗浄、アルコール洗浄などの解決方法が採用されている。しかし、有機溶媒によって得られた抽出物は油状物質であることから水中には分散し、アルコール中には溶解するため、こんにゃく粉の洗浄方法と同様の洗浄方法では脱臭処理後に抽出物を回収することができなかった。
【0005】
また、抽出して得られた抽出物に対する臭気物質の除去方法として、例えば加熱や減圧下に放置することも考えられるが、こんにゃく精粉中のトリメチルアミン、ジメチルアミンの含量は20mg/kgほどであるのに対して、こんにゃく抽出物中には1000mg/kgほどと多くの臭気物質が含まれてことも原因して、脱臭に長時間を要し、こんにゃく抽出物中の有用物の変質や着色などの問題があった。
【0006】
本発明は、こんにゃく抽出物から簡便な操作で効率よくトリメチルアミンやジメチルアミンなどの臭気成分を除去できる方法およびそれにより得られたこんにゃく抽出物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、こんにゃく芋から有機溶剤によって抽出した抽出物を水と接触することによってトリメチルアミン、ジメチルアミンをはじめとする臭気物質が除去できること、また、水と接触させた後、水溶性の塩、有機酸、糖類、凝集剤の中から選ばれる少なくとも1種類の物質を加えることによって、トリメチルアミンの含有率及びジメチルアミンの含有率ともに50mg/kg以下に抑えたこんにゃく抽出物を容易に回収できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の第一は、こんにゃく芋から有機溶剤によって抽出された後、水と接触させて臭気物質が除去された抽出物において、トリメチルアミンの含有率及びジメチルアミンの含有率がともに50mg/kg以下であることを特徴とするこんにゃく抽出物を要旨とするものである。本発明の第二は、こんにゃく芋に有機溶剤を添加してこんにゃく抽出物を抽出し、次いで水と接触させて臭気物質を除去することを特徴とする前記のこんにゃく抽出物の製造方法を要旨とするものであり、さらに、この製造方法においては、臭気物質を除去した後に、水溶性の塩、有機酸、糖類及び凝集剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類の物質を加えて抽出物を凝集させ、その後回収するこんにゃく抽出物の製造方法も要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。はじめに本発明の第二の製造方法について説明する。
本発明で抽出原料として使用するこんにゃく芋は、こんにゃく芋そのままでも良いし、乾燥、すりつぶし、粉砕、加熱などの操作によって加工されていてもよい。また、こんにゃく精粉、こんにゃく荒粉、こんにゃくトビ粉でも良いし、食用として市販されているこんにゃくでも良い。これらの中で好ましい例としては大量に廃棄されるものであり、安価に入手できることから、こんにゃくトビ粉を使用することが好ましい。
【0010】
本発明で抽出溶媒として使用する有機溶剤としては、こんにゃく芋中の有用成分と抽出中に反応するなどして、本発明の効果を損なうものでなければいかなるものでも使用できる。また、一種類の溶剤を単独で用いても複数の溶剤を混合して用いても良い。かかる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、ヘキサン、ペンタン、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチルなどが挙げられる。これらの中で好ましい例としては、メタノール、エタノール、ヘキサン、アセトンが挙げられ、特に好ましい例としてはエタノールが挙げられる。また、これらの有機溶剤で抽出する際には抽出効率をあげるために例えば水、界面活性剤などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で加えることができる。
【0011】
抽出に使用する有機溶剤の量は原料となるこんにゃく芋に対して好ましくは1〜30倍量程度、さらに好ましくは1〜10倍量程度が良い。溶剤の使用量がこの範囲以下であれば、原料全体に溶剤が行き渡らず、抽出が不十分になる恐れがあり、この範囲を超える量の溶剤を添加してももはや抽出量に影響はなく、後の濃縮工程での溶剤除去作業の負担が増えるのみである。
【0012】
抽出温度は使用する溶剤の沸点にもよるが、好ましくは、0℃から80℃、さらに好ましくは室温程度から60℃の範囲がよい。抽出温度がこの範囲以下であれば、抽出効率が低下し、この範囲以上の温度をかけても抽出効率に大きな影響はなく、いたずらにエネルギー使用量が増えるのみである。
【0013】
抽出時間は、1〜48時間、好ましくは2〜20時間である。抽出時間がこの範囲より短いと、十分に抽出が行われず、この範囲を超えて長く時間をかけて抽出を行っても、もはや抽出量の増大は見込めない。
【0014】
なお、抽出操作は1回のみの回分操作に限定されるものではない。抽出後の残渣に再度新鮮な溶剤を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶剤を複数回抽出原料に接触させることも可能である。すなわち、抽出操作としては、回分操作、半連続操作、向流多段接触操作のいずれの方式も使用可能である。また、ソックスレー抽出など公知の抽出方法を使用してもよい。
【0015】
次に、抽出残渣を分離除去する。分離の方法は特に限定されず、例えば吸引ろ過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、ろ過遠心機などの公知の方法を用いることができる。
以上による有機溶剤による抽出操作によって、こんにゃく芋からの抽出物が得られる。抽出物はこの状態ではこんにゃく芋由来の独特の臭気を有する。
【0016】
このようにして得られた液状の抽出物は、次の臭気物質の除去操作に移る前に通常、濃縮工程に送られる。濃縮方法は特に限定されず、例えばエバポレーターのような減圧濃縮装置やエバポール(大川原製作所)のような遠心式薄膜真空蒸発装置を用いたり、加熱による溶剤除去により、濃縮することができる。
【0017】
本発明において臭気物質の除去のために使用する水は、硬度、イオン濃度、pH、塩濃度、粘度によって限定されず、いかなるものでも使用できるが、均一分散された状態で脱臭処理を行うことが好ましいことから、塩濃度や粘度は低いものが好ましい。また、本発明で使用する水には効果を損なわない限り、界面活性剤、乳化剤などの分散剤を添加することができる。また、水の温度はいかなる温度でも良い。
【0018】
使用する水の量は、好ましくは脱臭しようとするこんにゃく抽出物に対して2倍量〜500倍量であり、さらに好ましくは10倍量〜100倍量である。水の量が2倍量より少ない場合はこんにゃく抽出物が分散せず、水と十分に接触しないために臭気物質を除去できない問題がある。また水の量を500倍より多くしてももはや効果が向上するものではない。
【0019】
こんにゃく抽出物を効果的に水と接触させるためには、攪拌した水の中に徐々にこんにゃく抽出物を導入することが好ましい。このときの攪拌は従来公知のマグネティックスターラー、メカニカルスターラー、ミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機などを使用することができる。また、この際、こんにゃく抽出物を少量の有機溶剤に溶かした状態で導入することが好ましい。かかる有機溶剤としてはいかなるものも使用できるが、例えばエタノール、メタノール、アセトンなどのように水と相溶性を有するものが好ましい。
【0020】
こんにゃく抽出物を水と接触させる時間は好ましくは2分〜24時間であり、より好ましくは10分〜3時間である。水と接触させる時間がこの範囲より短いと十分に脱臭できない可能性があり、この範囲より長いともはやさらなる脱臭は期待できず、場合によっては有害な微生物が増加することがある。
【0021】
このように水と接触させて脱臭されたこんにゃく抽出物は水中からいかなる方法によって回収してもよく、例えばデカンテーションや遠心分離あるいはろ過することによって回収することができる。
【0022】
以上の方法により、こんにゃく芋から臭気成分が除去されたこんにゃく抽出物を製造することができる。本発明の製造方法いおいては、抽出物の回収に際して、こんにゃく抽出物を凝集させて回収することが好ましい。詳しくは脱臭処理終了後に水とこんにゃく抽出物の混合物中に水溶性の塩、有機酸、糖類、凝集剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類の物質を添加して攪拌し、水中に分散しているこんにゃく抽出物を凝集させて、デカンテーション、遠心分離、ろ過などの方法で回収するものである。
【0023】
ここで用いられる水溶性の塩としては、本発明の効果を損なわない限りいかなるものも使用でき、好ましい例としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸2水素ナトリウム、燐酸水素2カリウム、燐酸2水素カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化鉄、塩化銅、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、などが挙げられ、特に好ましい例としては塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0024】
有機酸としては、水溶性のものであればいかなるものでも使用でき、好ましい例としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、イタコン酸、グルコン酸、などが挙げられ、特に好ましい例としては酢酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸が挙げられる。
【0025】
糖類としては、水溶性のものであればいかなるものでも使用でき、好ましい例としてはグルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、デンプン、デキストリン、オリゴ糖などが挙げられ、特に好ましい例としてはグルコース、スクロースなどが挙げられる。
【0026】
凝集剤としては、本発明の効果を損なわないものであれば高分子凝集剤、無機系凝集剤いずれも使用でき、例えばポリアクリルアミド系凝集剤、ポリアクリル酸塩系凝集剤、ポリメタクリル酸エステル系凝集剤、カチオン化澱粉、アルギン酸ナトリウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、珪酸塩などが好ましい。
【0027】
本発明で使用する上記の物質の添加量は、脱臭処理を終えた水分散液に対して0.01質量%〜10質量%添加することが好ましい。これらの物質を10%以上添加してもその効果はもはや向上するものではなく、これらの物質の添加量が0.01質量%より少ない場合、凝集が十分にできず、こんにゃく抽出物の回収率が低減する問題がある。
【0028】
凝集処理に要する時間は、5分〜24時間が好ましい。この範囲より短ければ十分に凝集せず、回収率が低下する傾向があり、この範囲より長くとも更なる効果は期待できず、副反応や微生物の増加をもたらすことがある。
【0029】
以上の操作で凝集したこんにゃく抽出物の回収方法は、特に限定されず、従来公知の吸引ろ過法、遠心ろ過法、遠心分離法、フィルタープレス法、デカンテーション法などを使用することができる。
【0030】
本発明における脱臭処理の操作は、1回で十分に脱臭できるものであるが、必要であれば複数回繰り返しても良い。複数回繰り返すことによって、1回目の脱臭処理で残存した微量の臭気物質も効果的に除去することができる。
【0031】
本発明における脱臭処理の操作において、効果をさらに向上させる目的で、添加物を添加することができる。かかる添加物として好ましいものとしては例えば、茶葉、茶抽出物、茶がら、コーヒー粕、小麦胚芽エキス、バラ科植物抽出物、ヨモギエキス、イチョウ葉エキス、柿の葉エキス、柿果実エキス、柿渋、シクロデキストリン、葉緑素、リンゴ酸、酢酸、乳酸などの有機酸類、活性炭、多孔質吸着材などが挙げられ、特に好ましい例としては茶抽出物、小麦胚芽エキス、有機酸類が挙げられる。
【0032】
本発明の第一のこんにゃく抽出物は、上述のような方法により取得することができるものであり、こんにゃく抽出物中のトリメチルアミンの含有量及びジメチルアミンの含有量は、ともに50mg/kg以下であることを特徴とする。トリメチルアミンの含有量又はジメチルアミンの含有量のいずれかでも50mg/kgより多い場合には、独特の臭気を有し、化粧品用途や健康食品素材としては使用に耐えるものではない。
【0033】
本発明のこんにゃく抽出物はさらに有効成分の純度を向上させるために精製を行うことができる。精製方法は特に限定されず、アルカリ処理や酸処理、有機溶剤による分画、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、多孔質樹脂カラムクロマトグラフィーなどの常法を用いることができる。
【0034】
本発明のこんにゃく抽出物はまた、小麦、米などの穀類、大豆などの豆類と比較して、皮膚の保湿に重要な役割をするスフィンゴ糖脂質を多量に含有することから、食品や化粧品に添加することによって優れた効果をもたらすものである。
【0035】
そのような食品としては、例えば、健康食品、健康飲料をはじめ、パン、うどん、そば、ご飯等主食となるもの、クッキー、ケーキ、ゼリー、プリン、キャンディー、チューインガム、ヨーグルトなどの菓子類、清涼飲料水、酒類、コーヒー、茶、牛乳などの飲料が挙げられる。
【0036】
また、化粧品としては、例えば、化粧水、乳液、モイスチャークリーム、日焼け止め、日焼け用化粧品、パック、ファンデーション、おしろい、ほお紅、アイメークアップ、香水、オーデコロン、リップクリーム、口紅等皮膚に塗布するもの、養毛料、育毛料、ポマード、セットローション、ヘアスプレー、染毛料、ヘアトニック、まつげ化粧料等毛髪に塗布するもの、洗顔クリーム、洗顔石鹸、シャンプー、リンス、トリートメントなど洗顔や洗髪に利用するもの、さらには浴用剤などが挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、以下の実施例において用いた測定装置、測定方法について説明する。
(1)トリメチルアミン、ジメチルアミンの定量方法
トリメチルアミン、ジメチルアミンの定量にはガスクロマトグラフィー(GC)を用いた。日立製163型を用い、カラムには担体にChromosorbW(AW-DMCS)の80〜100メッシュのもの、パッキングにはThermon-1000+KOHを5+2質量%用いた。キャリアガスには窒素を用い、65℃で測定してFIDディテクターによって120℃で検出した。
【0038】
(2)スフィンゴ糖脂質の定性方法
スフィンゴ糖脂質の定性にはシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用した。所定量の試料をシリカゲルプレート(メルク社製Sillicagel60F254タイプ、層厚0.5mm)にアプライし、クロロホルム:メタノール:水=87:13:2(容量比)の展開槽に導入し、展開した。展開後はシリカゲルプレートをドライヤーなどで乾燥し、硫酸噴霧して加熱することによって発色した。
【0039】
(3)スフィンゴ糖脂質の定量方法
スフィンゴ糖脂質の定量には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた。Waters製 LC Module 1を用い、カラムはGLサイエンス社製Inertsil SIL 100Aを用いた。溶媒はクロロホルム:メタノール=9:1(容量比)を用い、流速1.0ml/分で25℃で測定した。検出には光散乱検出器(ALLTECH社製 500ELSD)を用いた。
【0040】
(4)臭いに関する官能試験
男性15人、女性15人からなる被験者に臭いをかいでもらい、くさい2点、少しくさい1点、くさくない0点で評価してもらった。結果は30人の合計点で表した。
【0041】
製造例1(抽出操作)
こんにゃくトビ粉1kgを攪拌槽に仕込み、そこにエタノール2Lを加え、常温で2時間攪拌した。その後、ろ過により抽出液と残渣を分離した。抽出液をエバポレーターにより濃縮し、茶褐色の蝋状濃縮物10.7gを得た。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004326720
【0043】
実施例1
製造例1において得られたトビ粉抽出物10.0gを20.0gのエタノールに溶解させ、200gの水中に攪拌しながら導入し、そのまま分散状態で攪拌した。30分経過後、塩化ナトリウム5.0gを導入し、さらに10分間攪拌することによって、茶褐色の沈殿が得られた。この沈殿をろ過によって回収したところ重量は6.8gであった。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
この処理を行うことによって、トリメチルアミン、ジメチルアミンが効率よく除去でき、臭いも軽減された。さらにスフィンゴ糖脂質の含有率を向上させることができた。
【0044】
実施例2
実施例1で得られた脱臭処理後の抽出物を再度エタノールに溶解し、実施例1と同様の脱臭処理を行った。得られた抽出物の重量は6.4gとなった。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
この処理を行うことによって、トリメチルアミン、ジメチルアミンが効率よく除去でき、臭いがさらに軽減された。スフィンゴ糖脂質の含有率もより向上させることができた。
【0045】
実施例3
実施例1において、塩化ナトリウムに代えて三洋化成工業(株)製高分子凝集剤サンフロックC-589Pを0.5g導入して抽出物を回収した以外は同様に脱臭処理を行った。得られた抽出物は7.5gであった。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
この処理を行うことによって、トリメチルアミン、ジメチルアミンが効率よく除去でき、臭いも軽減された。さらにスフィンゴ糖脂質の含有率を向上させることができた。
【0046】
実施例4
実施例1において水分散状態で攪拌する際に緑茶の熱水抽出物1gを添加した以外は同様に処理を行った。得られた抽出物は6.9gであった。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。水での脱臭処理に茶抽出物を添加することによって、トリメチルアミン、ジメチルアミンの含有量はほとんど変化なかったが、官能試験において脱臭の効果が促進されていることがわかった。
【0047】
比較例1
製造例1で得られた抽出物10.0gを真空乾燥機にて減圧下60℃で10時間乾燥した。乾燥後も重量に変化はなかった。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
真空乾燥によってもトリメチルアミン、ジメチルアミンの含有量は低減できたが、臭いを除去するには十分ではなかった。
【0048】
比較例2
製造例1で得られた抽出物10.0gを100mlのエタノールに溶解し、β−シクロデキストリン1.0gを加えて1時間攪拌した。これを吸引ろ過によってろ液を分離し、エバポレーターで濃縮した結果、9.8gの抽出物が得られた。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
β−シクロデキストリンによってもトリメチルアミン、ジメチルアミンの含有量は低減できたが、臭いを除去するには十分ではなかった。また、スフィンゴ糖脂質の含有率を低減させるものであった。
【0049】
比較例3
製造例1で得られた抽出物10.0gを100mlのエタノールに溶解し、緑茶の熱水抽出物1.0gを加えて1時間攪拌した。これを吸引ろ過によってろ液を分離し、エバポレーターで濃縮した結果、10.0gの抽出物が得られた。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
脱臭作用を有するとされる緑茶抽出物によって、官能試験の結果はやや改善されたが、十分ではなかった。
【0050】
比較例4
小麦粉1kgを攪拌槽に仕込み、そこにエタノール2Lを加え、常温で2時間攪拌した。その後、ろ過により抽出液と残渣を分離した。抽出液をエバポレーターにより濃縮し、褐色の蝋状濃縮物6.8gを得た。これを上記の定量方法に基づいてトリメチルアミン、ジメチルアミン、スフィンゴ糖脂質の定量を行った。また、官能試験により、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
小麦抽出物はトリメチルアミン、ジメチルアミンはほとんど含んでいなかったが、官能試験により、他の成分による臭いが観測された。スフィンゴ糖脂質の含有量はこんにゃく抽出物と比較して非常に少ないものであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、効率良くトリメチルアミンやジメチルアミンなどの臭気成分を除去することができ、無臭のこんにゃく抽出物を製造することができ、また、得られたこんにゃく抽出物は、化粧品原料や健康食品素材として使用するにあたって有効なものである。

Claims (3)

  1. こんにゃく芋から有機溶剤によって抽出された後、水と接触させて臭気物質が除去された抽出物において、トリメチルアミンの含有率及びジメチルアミンの含有率がともに50mg/kg以下であることを特徴とするこんにゃく抽出物。
  2. こんにゃく芋に有機溶剤を添加してこんにゃく抽出物を抽出し、次いで水と接触させて臭気物質を除去することを特徴とする請求項1記載のこんにゃく抽出物の製造方法。
  3. 臭気物質を除去した後に、水溶性の塩、有機酸、糖類及び凝集剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類の物質を加えて抽出物を凝集させ、その後回収することを特徴とする請求項2記載のこんにゃく抽出物の製造方法。
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