JP4325830B2 - 放電生成物除去方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置の像担持体に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去方法、及び像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される上記形式の画像形成装置には、その像担持体表面に当接する部材、例えばトナー像転写後の転写残トナーを除去するクリーニング部材が当接している。このため、像担持体表面はこの当接部材との摩擦により経時的に摩耗し、その摩耗が早期に促進されると、像担持体の寿命が縮められる。像担持体の長寿命化を達成するには、その摩耗量をできるだけ少なく抑えることが必要である。像担持体表面の摩耗量を抑える方法の1つとして、その表面に当接する当接部材に対する像担持体表面の摩擦係数を下げることが考えられる。このようにすれば、像担持体表面が当接部材から受ける摩擦力を低減でき、その表面の摩耗量を効果的に少なくすることができる。そのほか、クリーニング部材を廃止して、例えば現像装置によって像担持体上の転写残トナーを除去する方法などを採用することもできる。
【0003】
ところが、上述のような構成を採用すると、像担持体表面に多量の放電生成物が付着し、これによって像担持体上に異常画像が発生するおそれがある。すなわち、像担持体のまわりには、作動時に放電を伴う装置が設けられており、その放電により窒素酸化物が発生し、これが空気中の物質と結合して硝酸化合物が生成され、これが放電生成物として像担持体表面に付着する。かかる放電生成物が、高湿時に空気中の水分を吸収して像担持体表面の抵抗を低下させ、これによって像担持体上に異常画像が発生するのである。
【0004】
上記不具合は、像担持体表面に当接する当接部材によって、放電生成物と共に像担持体表面を比較的多量に削り取るように構成すれば発生しないが、前述のように像担持体の寿命を伸ばすために像担持体表面を削らないようにし、或いはその摩耗量が少なくなるように構成すると、像担持体表面に付着した放電生成物を除去することができなくなり、或いはその除去効果が低下するため、上述の異常画像が発生する。このように、像担持体の寿命を伸ばすには、像担持体表面の摩耗量を少なくし、或いはこれを削らないように構成することが有効であるが、このようにすると、像担持体表面に放電生成物が付着し、異常画像が発生する欠点を免れないのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、簡単な構成で像担持体に付着した放電生成物を効率よく除去できる放電生成物除去方法を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、像担持体の摩耗量を低減して当該像担持体の寿命を伸ばすことができるように構成したときも、放電生成物に基因する異常画像の発生を防止できる画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、画像形成装置の像担持体に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去方法において、多孔質材の孔に、高吸水性物質が、水で膨潤した状態で保持されている部材より成る放電生成物除去部材を像担持体表面に接触させて、該放電生成物除去部材によって、放電生成物に水を供給すると共に、放電生成物の水溶液を吸い取って像担持体に付着した放電生成物を除去することを特徴とする放電生成物除去方法を提案する(請求項1)。
【0011】
さらに、本発明は、上記第2の目的を達成するため、像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する画像形成装置において、像担持体に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去部材を有し、該放電生成物除去部材は、多孔質材の孔に、高吸水性物質が、水で膨潤した状態で保持されている部材より成り、該放電生成物除去部材によって、放電生成物に水を供給すると共に、放電生成物の水溶液を吸い取って放電生成物を除去するように構成されていることを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項2)。
【0012】
また、上記請求項2に記載の画像形成装置において、前記放電生成物除去部材は、少なくとも像担持体に接触する表面の側に水を含んでいると有利である(請求項3)。
【0015】
さらに、上記請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記放電生成物除去部材は、水に溶けてイオン化した放電生成物を保持するように構成されていると有利である(請求項4)。
【0016】
また、上記請求項2乃至4のいずれかに記載の画像形成装置において、オイラーベルト方式〔幅30mmの紙テープ((株)リコー製TYPE6200ペーパー、縦目使用)〕による測定で像担持体表面の静止摩擦係数が0.4以下に設定されていると有利である(請求項5)。
【0017】
さらに、上記請求項2乃至4のいずれかに記載の画像形成装置において、オイラーベルト方式〔幅30mmの紙テープ((株)リコー製TYPE6200ペーパー、縦目使用)〕による測定で像担持体表面の静止摩擦係数が0.2以下に設定されていると有利である(請求項6)。
【0018】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する画像形成装置において、オイラーベルト方式〔幅30mmの紙テープ((株)リコー製TYPE6200ペーパー、縦目使用)〕による測定で像担持体表面の静止摩擦係数を0.4以下に設定すると共に、像担持体表面に接触して該像担持体に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去部材を設け、該放電生成物除去部材は、像担持体に付着した放電生成物を吸着する極性吸着剤と、該極性吸着剤を担持する剤担持体とを有することを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項7)。
【0020】
また、上記請求項7に記載の画像形成装置において、前記極性吸着剤は、剤担持体に固着されていると有利である(請求項8)。
【0021】
さらに、上記請求項7又は8に記載の画像形成装置において、前記剤担持体は、極性吸着剤の粒子を担持していると有利である(請求項9)。
【0022】
また、上記請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記剤担持体は、極性吸着剤を担持し、かつ像担持体表面に接触する弾性体を有していると有利である(請求項10)。
【0023】
さらに、上記請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記剤担持体は、弾性体と、該弾性体に取り付けられて像担持体表面に接触する表層とを有し、該表層に極性吸着剤が担持されていると有利である(請求項11)。
【0024】
また、上記請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記剤担持体は、極性吸着剤を担持し、かつ像担持体表面に接触するブラシを有していると有利である(請求項12)。
【0025】
さらに、上記請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記剤担持体は、極性吸着剤を担持し、かつ複数のローラに巻き掛けられて像担持体表面に接触する無端ベルト状に形成されていると有利である(請求項13)。
【0026】
また、上記請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記剤担持体は、巻き取り可能なシート状に形成されていると有利である(請求項14)。
【0027】
さらに、上記請求項7乃至14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記極性吸着剤は、ゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ、活性白土のうちの少なくとも1つより成ると有利である(請求項15)。
【0028】
また、上記請求項7乃至14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記極性吸着剤はゼオライトより成り、該ゼオライトの分子構造の酸素環が6員環以上であると有利である(請求項16)。
【0029】
さらに、上記請求項2乃至16のいずれかに記載の画像形成装置において、像担持体自体に低摩擦化粒子が分散されていると有利である(請求項17)。
【0030】
また、上記請求項17に記載の画像形成装置において、像担持体の感光層にフッ素系粒子が分散されていると有利である(請求項18)。
【0031】
さらに、上記請求項2乃至18のいずれかに記載の画像形成装置において、像担持体の表面に潤滑剤を塗布する塗布手段を設けると有利である(請求項19)。
【0032】
また、上記請求項2乃至19のいずれかに記載の画像形成装置において、像担持体表面の水に対する接触角が90°以上であると有利である(請求項20)。
【0033】
さらに、上記請求項2乃至20のいずれかに記載の画像形成装置において、像担持体と、該像担持体を帯電する帯電装置と、帯電された像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、トナー像の転写が行われる転写位置を通過した像担持体表面に付着するトナーを除去するクリーニング装置とを有し、該クリーニング装置は、像担持体表面の移動方向に関し、帯電装置よりも上流側で、転写装置よりも下流側の像担持体表面部分に当接するクリーニング部材を具備すると有利である(請求項21)。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って説明し、併せて像担持体表面の摩耗と、その表面に付着する放電生成物との関係、及びこれにより生じる従来の不具合を図面に即してより具体的に明らかにする。先ず、本発明を適用できる画像形成装置のいくつかの例を、図1乃至図4を参照して説明する。
【0035】
図1は画像形成装置の一例を示す部分断面概略図である。ここに示した画像形成装置は、その本体内に設けられたドラム状の感光体として構成された像担持体1を有し、画像形成動作の開始に伴って、像担持体1は図1における時計方向(矢印A方向)に回転駆動される。このとき像担持体表面には除電ランプ2からの光が照射されて該像担持体表面が除電作用を受け、その表面電位が初期化される。一方、帯電装置の一例である帯電チャージャ3のチャージワイヤ4には帯電電圧が印加され、これにより生じる放電によって、初期化された像担持体表面が所定の極性、例えば−900Vに一様に帯電される。
【0036】
ドラム状の感光体に代え、複数のローラに巻き掛けられて走行駆動されるベルト状の感光体より成る像担持体、或いは誘電体より成る像担持体などを用いることもできるが、いずれの場合も、像担持体はその表面が移動するように支持される。
【0037】
上述のようにして帯電された像担持体表面には、潜像形成手段の一例であるレーザ書き込み装置5から出射する光変調されたレーザ光Lが照射され、これによって像担持体表面に画信号に対応した静電潜像が形成される。レーザ光を照射された像担持体表面の電位は、例えば−150Vとなり、ここが静電潜像、すなわち画像部となり、レーザ光の照射されない像担持体表面部分の電位はほぼ−900Vに維持され、ここが地肌部となる。LEDを有する潜像形成手段などを用いることもできる。
【0038】
静電潜像は、これが現像装置6を通るとき、トナー像として可視像化される。ここに一例として示した現像装置6は、トナーとキャリアを有する乾式の二成分系現像剤Dを収容した現像ケース7と、像担持体1に対向配置されて回転する現像ローラ8と、回転しながら現像剤Dを撹拌するスクリュー9,10とを有している。トナーは、キャリアとの摩擦によって所定の極性、図の例ではマイナス極性に帯電され、かかるトナーを含む現像剤Dは現像ローラ8の周面に担持されて搬送され、現像ローラ8と像担持体1との間の現像領域に運ばれる。このとき、現像ローラ8には、所定の現像バイアス(例えば−600Vの電圧)が印加され、これによって現像領域に運ばれて磁気ブラシ状となった現像剤中のトナーが像担持体1に形成された静電潜像、すなわち画像部に静電的に移行し、その静電潜像がトナー像として可視像化される。キャリアを含まない乾式の一成分系の現像剤や、液状の現像剤などを用いる現像装置を採用することもできる。
【0039】
また、像担持体1には、転写装置の一例である転写ローラ11が対置され、この転写ローラ11は像担持体表面に当接しながら図1における反時計方向に回転駆動される。かかる転写ローラ11と、像担持体1との間に、図示していない給紙部から給送され、レジストローラ対12の回転により所定のタイミングで矢印B方向に送り出された転写材Pが通過する。このとき転写ローラ11には、像担持体上のトナー像のトナーと逆極性、本例ではプラスの転写電圧が印加されている。これにより像担持体表面に形成されたトナー像に整合できるタイミングで送り出された転写材P上に、そのトナー像が転写される。このようにして、像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写するのである。
【0040】
転写ローラ11と像担持体1の間を通った転写材Pは、分離爪13により像担持体1から分離されて図示していない定着装置を通過し、このとき、熱と圧力の作用によって、転写されたトナー像が転写材上に定着される。次いでこの転写材Pは画像形成装置本体外に排出される。ここでは、転写材Pとして、例えば紙、樹脂シート又は樹脂フィルムなどが用いられるが、後述するように中間転写体より成る転写材を用いるように画像形成装置を構成することもできる。また転写ローラ11に代えて、例えば転写チャージャ、転写ブラシ、転写ブレード又はこれらの1つと転写ベルトを有する転写装置などを用いることもできる。
【0041】
上述のようにトナー像の転写が行われる転写位置を通過した像担持体表面に付着しているトナーは、クリーニング装置14により除去される。ここに一例として示したクリーニング装置14は、クリーニングケース16と、そのケース16に基端部が支持され、先端エッジ部が像担持体表面に圧接したゴムなどの弾性体より成るクリーニングブレード17と、トナー排出スクリュー18とを有し、そのクリーニングブレード17によって像担持体上のトナーが掻き取り除去される。除去されたトナーは、回転するトナー排出スクリュー18によってクリーニングケース外に排出される。このようにして、転写材に転写されずに像担持体表面に残された転写残トナーが像担持体表面から除去される。クリーニングブレード17は、像担持体表面に当接して、その表面に付着したトナーを除去するクリーニング部材の一例を構成している。
【0042】
図1に符号19で示したものは放電生成物除去部材であるが、これについては後に詳しく説明する。
【0043】
図1に示した画像形成装置においては、像担持体の表面を帯電する帯電装置として帯電チャージャ3が用いられているが、これ以外の帯電装置を用いてもよく、例えば、帯電ローラ、帯電ブレード、又は帯電ブラシなどから成る帯電装置を用いることもできる。図2乃至図4に示す画像形成装置においては、帯電装置が、像担持体表面に当接し、又は微小間隔をあけて対置された帯電ローラ20より成り、この帯電ローラ20に直流電圧、又は交流電圧に直流電圧を重畳した帯電電圧が印加され、これにより生じる放電によって像担持体表面が、例えばほぼ−900Vに帯電される。図2に示した画像形成装置の他の構成と作用は図1に示した画像形成装置と変りはない。
【0044】
また図3及び図4に示した画像形成装置においては、クリーニング装置14が、クリーニングブレード17のほかに、像担持体表面に当接しながら回転するクリーニングブラシ21として構成されたクリーニング部材を有している。図3に符号22で示すものは潤滑剤を塊状に形成した潤滑剤ブロック、図4に符号23で示すものも潤滑剤を塊状に形成した潤滑剤ブロックであり、符号24で示すものは潤滑剤を像担持体表面に塗布する塗布部材であるが、これらについては後述する。図3及び図4に示した画像形成装置の他の構成は、図2に示した画像形成装置と相違するところはない。
【0045】
以上のように、本例の画像形成装置は、表面が移動するように支持された像担持体と、その像担持体の表面を帯電する帯電装置と、その帯電装置により帯電された像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、その静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置とを有していると共に、トナー像の転写が行われる転写位置を通過した像担持体表面に付着するトナーを除去するクリーニング装置を有し、このクリーニング装置は、像担持体表面の移動方向に関し、帯電装置よりも上流側で、転写装置よりも下流側の像担持体表面部分に当接するクリーニング部材を具備している。現像装置6によって転写残トナーを除去するように構成したときは、クリーニング装置を省略することもできる。また図示した例では、潜像形成手段は、帯電された像担持体表面を露光してその表面に静電潜像を形成するように構成されているが、この形式以外の潜像形成手段を採用することもできる。
【0046】
ここで、像担持体表面には、クリーニング装置14のクリーニング部材が当接しているので、その表面が経時的に摩耗し、その摩耗が進むと、像担持体表面の帯電電位が低くなり、地肌部にトナーが付着する地汚れが著しくなる。像担持体まわりに配置されたプロセスユニットなどの構成によっても異なるが、像担持体1の感光層の膜厚が、例えば約30%削れると、地汚れの発生が顕著となる。像担持体のベース上に積層された感光層の厚みが例えば30μmであるとしたとき、その削れ量が例えば約9乃至10μmとなると、地汚れが著しく発生するようになる。かかる像担持体は新たな像担持体と交換することが望ましい。
【0047】
上述したところから判るように、像担持体の寿命を伸ばすには、その表面の感光層の摩耗ができるだけ少なくなるようにすればよく、このためには像担持体表面の摩擦係数をできるだけ小さく設定することが望ましい。
【0048】
図5は、横軸に像担持体表面の静止摩擦係数をとり、縦軸に像担持体表面の平均摩耗量をとって、これらの関係の一例を示すグラフである。同図の実線Xは、図1に示す画像形成装置において、直径30mmの像担持体の表面に圧接するクリーニングブレード17の線圧を18g/cm、像担持体表面の線速を114mm/secとし、A4サイズの転写材Pを、その長辺が転写材の移動方向に対して直交する向きとなる横向きで搬送し、かかる転写材Pを、10万枚連続的に転写ローラ11と像担持体1の間に通紙したときの像担持体表面の摩耗量と像担持体表面の摩擦係数の関係を示している。横軸の摩擦係数の数値は、それ自体周知な「オイラーベルト方式」で測定したときの像担持体表面の静止摩擦係数の値である。本明細書における摩擦係数の値は、全て、オイラーベルト方式によるものである。
【0049】
図5から、像担持体表面の摩耗量は、像担持体表面の静止摩擦係数が小さくなるに従って少なくなることが判る。図5の例では、像担持体表面の静止摩擦係数が約0.5であるときの像担持体表面の摩耗量は約10μmであり、像担持体表面の静止摩擦係数が約0.2以下となると、像担持体表面はほとんど削られなくなる。
【0050】
ここで、図5から理解されるように、像担持体表面の静止摩擦係数が0.4以下であると、10万枚の通紙後も、像担持体表面の摩耗量を、前述の9乃至10μmよりも大幅に少ない6乃至7μm程度に抑えることができ、同じく0.3以下であると、摩耗量を3乃至4μmに抑えることができ、像担持体の寿命を大幅に伸ばすことができる。像担持体表面の摩擦係数が0.2以下であると、さらにその寿命を大きく伸ばすことが可能となる。
【0051】
ところが、先にも説明したように、像担持体表面の経時的な摩耗量が少なくなると、像担持体表面に付着する放電生成物も削られなくなり、或いはその削り量が少なくなって、現像後の像担持体表面に異常画像が発生するようになる。放電生成物の発生と、これらに関連する不具合を、図示した画像形成装置に即して説明すると以下のとおりである。
【0052】
前述のように、図1に示した帯電チャージャ3は、そのチャージワイヤ4に所定の帯電電圧が印加され、このときの放電によって像担持体表面を帯電させるものであるが、その放電時にオゾンや窒素酸化物が発生し、その窒素酸化物が空気中の物質などと結合して硝酸アンモニウムなどの硝酸化合物が生成され、これが放電生成物として像担持体表面に付着する。画像形成動作を終了して、像担持体1が停止した時、帯電チャージャに対向する像担持体表面部分に放電生成物が多量に付着する。図2乃至図4に示した画像形成装置においては、帯電装置として帯電ローラ20が用いられているが、この場合も窒素酸化物が発生し、硝酸化合物が放電生成物として像担持体表面に付着する。帯電ブラシや帯電ブレードなどから成る帯電装置を用いたときも同様である。転写電圧が印加された転写ローラ11からの放電によっても、放電生成物が像担持体上に付着することがあり、転写ローラ以外の転写装置を用いたときも同様である。
【0053】
上述のようにして、像担持体表面に付着した硝酸化合物より成る放電生成物は、水溶性であるため、空気中の水分を吸収して水に溶解し、イオンに解離して像担持体表面の抵抗値を低下させる。従ってかかる放電生成物が、像担持体表面の画像部と地肌部にまたがって多量に付着したとき、これを放置したとすれば、特に高湿時に異常画像が発生する。
【0054】
図6及び図7は、これを説明する図であり、これらのグラフの横軸は像担持体表面の位置を示し、縦軸は像担持体表面の電位(V)を示している。像担持体表面に放電生成物が付着していないときは、図6に示すように、レーザ光の照射されない地肌部の表面電位はほぼ−900Vとなり、レーザ光が照射された画像部の表面電位はほぼ−150Vとなる。現像ローラ8に印加される現像バイアスは−600Vである。図6に示したように、像担持体上の地肌部及び画像部の表面電位と、現像バイアスとの電位差によって、マイナス極性に帯電したトナーが地肌部に付着せずに画像部の方に静電的に付着する。
【0055】
これに対し、画像部と地肌部にまたがって像担持体表面に放電生成物が付着したときの像担持体の表面電位を図7に実線で示す。図7の破線は、放電生成物が付着しないときの電位、すなわち図6に示した電位の状態を示している。像担持体表面に放電生成物が付着すると、その表面の抵抗値が低下するので、図7の実線のように、地肌部の電荷が画像部の方に流れ、画像部の電位の絶対値が高くなる。このため、画像部の表面電位と現像バイアスとの差が小さくなり、現像後の画像部のトナー像濃度が低くなり、或いは所定のトナー像が形成されなくなる。このような異常画像は、画像ぼけ或いは画像流れ、ないしは白抜けなどとも称せられている。
【0056】
また、地肌部の面積に対して、画像部の面積が大きいときは、画像部の表面電位の絶対値が上昇する割合よりも、地肌部の表面電位の絶対値が低下する割合が大きくなり、これによって現像後の像担持体表面の地肌部にスジ状のトナー像(所謂黒スジ)が形成されることもある。このように、多量の放電生成物が像担持体表面に付着すると、特に高湿時に、白抜けや黒スジの異常画像が像担持体表面に形成されるのである。
【0057】
上述の放電生成物は、像担持体表面の摩耗量が多いときは、その感光層と共に削り取られるので、放電生成物に基因する異常画像の発生を防止することができ、図5に示した例では、像担持体表面の摩耗量が約3μmより多いときは異常画像の発生は見られない。これに対し、摩耗量が3μm以下となると異常画像が発生する。
【0058】
以上のように、像担持体の寿命を伸ばすには、その表面の経時的な摩耗を抑えることが好ましいが、従来の画像形成装置においては、その摩耗量が少なすぎるとき、現像後の像担持体表面に放電生成物に基因する異常画像が発生し、最終的に転写材上に形成された画像の画質が劣化する欠点を免れなかった。
【0059】
本例の画像形成装置においては、上述の如く互いに相反する要求を満足させるため、像担持体1の表面の静止摩擦係数が0.4以下、好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下に設定され、これにより像担持体の長寿命化を達成することができるようにすると共に、像担持体表面に接触して像担持体1の表面に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去部材19が設けられ、これによって、放電生成物に基因する異常画像が像担持体に形成される不具合を阻止できるように構成されている。像担持体表面の静止摩擦係数を0.4以下、特に0.2以下に設定することにより、その表面の摩耗量を減少させて像担持体の寿命を伸ばし、像担持体表面の静止摩擦係数をこのように低下させたときに問題となる異常画像の発生を、放電生成物除去部材19を設けることによって阻止したのである。
【0060】
放電生成物除去部材19は各種態様で構成することができ、以下にその各例を説明する。
【0061】
図8は図1乃至図4に示した放電生成物除去部材19の拡大断面図であり、図9はその縦断面図である。ここに示した放電生成物除去部材19は、金属又は硬質樹脂などの高剛性材料より成る芯軸25と、その外側に同心状に固定された円筒状の含水部材26と、その含水部材26のまわりを密閉した状態で覆った高吸水性部材27とから構成されている。芯軸25は画像形成装置本体に対して不動に固定されていてもよいが、この例では放電生成物除去部材19が図示していない支持体に回転可能に支持されている。
【0062】
含水部材26は、含水性の弾性体より成ることが好ましく、例えば、ウレタンゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、ブチレンゴム、エラストマーなどの発泡体、或いは海綿、ウレタンフォームなどの多孔質体より成るが、これに限られたものではない。かかる弾性を有する含水部材26には水が含まれている。
【0063】
また、高吸水性部材27は、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダー、又はこれらの誘導体や、これらの共重合体ポリマーより成る。或いは、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキルオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド、ポリプロピレングリコール、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミン、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、グルコース、キシロース、スクロース、マルトース、アラビノース、α−シクロデキストリン、でんぷん、又はこれらの共重合体、グラフト重合体、架橋体などによって高吸水性部材27を構成できるが、これらの材料に限定されるものではない。かかる高吸水性部材27は、その内側の含水部材26から水を供給されてゲル状となり、粘着性を持ち、適度な水分を保つ。
【0064】
上述の如く構成された放電生成物除去部材19は、その高吸水性部材27の外周面が像担持体表面の軸方向における画像形成領域全幅に亘って圧接しながら、像担持体1の回転に従動して回転する。このとき、高吸水性部材27は、ほぼ自由に変形できるシート状をなし、これがゲル状となっており、しかもその内側の含水部材26は弾性を有しているので、放電生成物除去部材19は、像担持体1の周方向に或る幅N(図8)をもって像担持体表面に圧接する。放電生成物除去部材19を像担持体1の回転に従動させて連れ回わりさせる代りに、その放電生成物除去部材19を図示していない駆動装置によって回転駆動するように構成することもできる。
【0065】
放電生成物が付着している像担持体表面を水で拭き取った後、その像担持体上にトナー像を形成すると画像ぼけが発生しない事実からも、放電生成物は水溶性であることが判る。従って、上述の放電生成物除去部材19によって、像担持体上の放電生成物を次のようにして除去することができる。
【0066】
前述のように放電によって像担持体表面に付着した硝酸化合物より成る放電生成物が、像担持体1の回転に伴って、像担持体1と放電生成物除去部材19との接触部に至ると、含水部材26から供給された水によってゲル状となった高吸水性部材27に含まれた水分に放電生成物が接触し、その放電生成物が水に溶け込み、像担持体表面に対する放電生成物の付着力が弱められ、かかる放電生成物が高吸水性部材27に吸収されて保持される。
【0067】
放電生成物除去部材19が1回転すると、高吸水性部材27にイオンとして保持された放電生成物の一部が、再び水と共に像担持体表面に滲み出して放電生成物除去部材19を離れることがあるが、このようなことがあっても、硝酸化合物は水に対する溶解度が非常に高く、水に大量に溶け込むことができるので、放電生成物除去部材19を離れた放電生成物は、新たに像担持体表面に付着した放電生成物と一緒に再び高吸水性部材27に取り込まれて保持される。このようにして、像担持体表面の静止摩擦係数を0.4以下、好ましくは0.2以下に設定し、その表面の摩耗を抑えても、放電生成物除去部材19を通過した像担持体表面には、放電生成物が実質的に付着していないか、又はその量が極めて少なくなり、高湿時においても、放電生成物に基因する異常画像が発生する不具合を阻止できる。異常画像生じない程度にまで放電生成物を除去した後の像担持体表面を帯電装置によって帯電することにより、帯電後の像担持体の表面電位が均一となり、しかも静電潜像の形成に必要な所定の電位を確保でき、これによって高品質な画像を形成することができるのである。
【0068】
放電生成物除去部材19をローラ状に形成し、これを回転させるように構成すると、像担持体表面の放電生成物を除去する効率を高めることができるが、放電生成物除去部材を他の形態に形成することもできる。例えば、弾性を有する含水部材を立方体状に形成し、その少なくとも1つの面にシート状の高吸水性部材を取り付けて放電生成物除去部材を構成し、その高吸水性部材を像担持体表面に圧接させるようにしてもよい。
【0069】
上述の放電生成物除去部材は、像担持体表面に当接する高吸水性部材と、その高吸水性部材に供給する水を含んだ含水部材とを有し、これらの部材が一体的に組み付けられ、高吸水性部材が像担持体表面に接触して、その表面に付着した放電生成物を除去するように構成されている。
【0070】
これに対し、図10に示すように、剛体より成る芯軸32に、弾性を有する円筒状の多孔質材29を固定し、その多孔質材の孔29に、高吸水性物質30を水で膨潤させた状態で保持して成るローラ状の放電生成物除去部材19を用いることもできる。例えば、多孔質材29の表面に粉体状の高吸水性物質をまぶすようにして塗布してその高吸水性物質を多孔質材29の孔31に充填すると共に、その高吸水性物質を水で膨潤させ、その膨潤させた状態で高吸水性物質30を多孔質材29の孔31に保持させるのである。
【0071】
より具体的に示すと、多孔質材29の孔31は、例えば0.5mm程の径を有し、かかる孔31中に、例えば0.1μm乃至0.5μm程度の粒径の粉末状の高吸水性物質30が、水で膨潤した状態で保持されている。図10に示した例では、多孔質材29の表面に露出した多数の孔31にのみ、高吸水性物質30が保持されているが、多孔質材29の内部の孔にも高吸水性物質30を充填してもよい。また、多孔質材29の表面に露出した孔31以外の外周面部分33には、高吸水性物質が付着していても、或いは付着していなくともよい。このように高吸水性物質30が保持された側の放電生成物除去部材19の表面を像担持体表面に接触させる。
【0072】
多孔質材29は、疎水性であっても親水性であってもよいが、本例の多孔質材29は、親水性を有する弾性材料によって構成されている。多孔質材29が弾性を有していると、これが像担持体表面に接触したとき、その表面に傷を付ける不具合を防止できる。
【0073】
図10に示した放電生成物除去部材19も、図示していない支持体に回転可能に支持し、その放電生成物除去部材19を像担持体1の回転に従動させて回転させ、或いは駆動装置によって回転駆動させることが好ましい。多孔質材29は、前述の含水部材26と同じ材料により構成することができ、また高吸水性物質30も、前述の高吸水性部材27と同じ材料により構成することができる。
【0074】
放電によって像担持体表面に付着した硝酸化合物より成る放電生成物が、像担持体1の回転に伴って、像担持体1と図10に示した放電生成物除去部材19との圧接部の入口側に至ると、その放電生成物は、像担持体表面から、水で膨潤した高吸水性物質30に転移し、高吸水性物質30中に保持される。高吸水性物質30は、多量の水分を吸収して膨潤するが、水に溶解することはなく、しかも像担持体表面に対する押圧力や雰囲気の湿度に応じて、水を吐き出したり吸い込んだりする、所謂呼吸をし、水溶性の放電生成物を、吐き出した水で溶解させ、その放電生成物の水溶液を吸い取る働きをする。放電生成物が高吸水性物質30に取り込まれて保持されるのである。
【0075】
また、この場合も、高吸水性物質30にイオンとして保持された放電生成物の一部が、再び水と共に像担持体表面に滲み出して放電生成物除去部材19を離れることがあるとしても、硝酸化合物は水に対する溶解度が非常に高いので、新たに像担持体表面に付着した放電生成物と一緒に再び高吸水性物質30に取り込まれ、保持される。このようにして、放電生成物除去部材19を通過した像担持体表面には、放電生成物が実質的に付着していないか、又はその量が極めて少なくなり、高湿時においても、放電生成物に基因する画像ぼけが発生する不具合を阻止できる。
【0076】
また図10に示した多孔質材29は親水性であるので、同じ親水性の高吸水性物質30と多孔質材29とが互いに付着しやすくなり、高吸水性物質30を多孔質材29の孔31に保持する機能が高められる。多孔質材29に対する高吸水性物質30の保持性を高めることができるのである。
【0077】
さらに、感光体より成る像担持体の表面は疎水性であり、これに圧接した多孔質材29と高吸水性物質30は親水性であるため、両者の付着力は弱いものとなり、高吸水性物質30が像担持体表面に移行し難くなり、高吸水性物質30を長期に亘って多孔質材29に保持しておくことができる。しかも、像担持体表面にわずかな高吸水性物質30が付着したとしても、その高吸水性物質30と像担持体表面の付着力が弱いので、クリーニング装置14のクリーニング部材、図1に示した例ではクリーニングブレード17によって、像担持体表面に付着した高吸水性物質を、その表面に傷をつけない程度の弱い力で取り除くことができる。
【0078】
また、図10に示した放電生成物除去部材19を用いると、その放電生成物除去部材19は、像担持体表面に付着した放電生成物に対して水を供給するとほぼ同時に、その放電生成物を高吸水性物質30に吸い込むので、放電生成物除去後の像担持体表面の特性が不均一となる不具合も防止できる。
【0079】
上述のように、図10に示した放電生成物除去部材19は、多孔質材の孔に、高吸水性物質が、水で膨潤した状態で保持された部材より成るが、この放電生成物除去部材19もローラ状以外の適宜な形態に形成することができる。
【0080】
図8乃至図10に示した例では、像担持体表面に接触した放電生成物除去部材19によって、放電生成物に水を供給すると共に、放電生成物の水溶液を吸い取って、像担持体表面に付着した放電生成物を除去するように構成され、当該放電生成物除去部材19が水に溶けてイオン化した放電生成物を保持できるように構成されているが、これらの図に示した形態以外の放電生成物除去部材を採用することもできる。その際、放電生成物除去部材が、少なくとも像担持体に接触する表面の側に水を含んでいることが好ましい。
【0081】
また、放電生成物除去部材が、像担持体表面に付着した放電生成物を吸着する極性吸着剤と、その極性吸着剤を担持する剤担持体を有し、かかる放電生成物除去部材を、表面の静止摩擦係数が0.4以下、又は0.2以下に設定された像担持体表面に接触させて像担持体表面に付着した放電生成物を除去するように構成することもできる。図11はその一例を示す、図8と同様な断面図であり、図12は図11に示した放電生成物除去部材19の縦断面図である。なお、図11における符号43はホッパを示し、符号50Aはこのホッパ43に収容された極性吸着剤を示しているが(図13、図15乃至図17においても同じ)、これらについては後に詳しく説明する。
【0082】
図11及び図12に示した放電生成物除去部材19は、極性吸着剤を担持したローラ状の剤担持体34を有し、この剤担持体34は、金属などの剛体より成る芯軸35と、その外側に同心状に固定された円筒状の弾性体36とから成り、芯軸35の長手方向各端部は図示していない支持体に支持されている。かかる剤担持体34の弾性体36に極性吸着剤が担持され、その弾性体36の外周面が像担持体表面に接触する。極性吸着剤は、像担持体表面に付着して極性分子状態となり、或いは水に溶けてイオン化した放電生成物を静電的に吸着して、像担持体表面からその放電生成物を除去する用をなす。図11及び図12に示した例では、かかる極性吸着剤が剤担持体34の弾性体36に固着されて担持されている。
【0083】
極性吸着剤としては、ゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ、活性白土などを用いることができるが、ゼオライトを用いることが好ましい。
【0084】
以下、ゼオライトにより構成された極性吸着剤を用いて像担持体表面に付着した放電生成物を除去する作用を説明する。
【0085】
一般にゼオライト結晶はアルミノケイ酸塩の3次元骨組み構造を持つ縮合アニオンの大きな空洞に水分子と交換性のカチオンが含まれている。カチオンの種類と数によって多様な構造をとっている。従って、ゼオライトの性質としては、結晶内の酸素による環状構造の空洞による分子ふるい作用(分子ふるい作用)、可逆的なイオン交換作用を示し(イオン交換作用)、さらに、分子ふるい作用やカチオンの作用による分子の形状および寸法に応じて、あるいは双極子、四極子、不飽和結合を有する物質及び分極性の強い物質などを吸着分離する作用を示す(吸着分離作用)。また、結晶を構成する空洞内の電子ポテンシャルエネルギー場の中を物質が移動することができる(空洞内拡散)。結晶内の空洞径が、現時点で最も小さい3A型ゼオライト(約3Åの空洞径)でも、水分を吸着することなどにより乾燥作用を持っている(乾燥作用)と共にアンモニア、水素、メタノールなども吸着する。ゼオライトの1種であるモレキュラーシーブ(商品名)などは結晶内にカチオンを持っているためこのカチオンとの静電引力による極性分子に対して活性アルミナやシリカゲルよりも強い親和性を示す(イオン親和性作用)。さらに、各種の化学反応を引起す触媒作用も示す(触媒作用)。
【0086】
以上のような一般的性能を持つゼオライトを剤担持体に担持させ、これを像担持体表面に接触させることにより、画像流れの原因物質である放電生成物を効果的に除去することができる。
【0087】
画像流れの原因物質の除去に対してゼオライトが効果を示す理由については詳しいことは不明であるが、次のように考えられる。
【0088】
空気中の水分を吸湿した硝酸アンモニウムはイオン化している(このイオン化が像担持体表面の低抵抗化を引起し画像流れの発生となる)。水分でイオン化した硝酸アンモニウムに、剤担持体に担持されたゼオライトが接触すると、ゼオライトのイオン交換作用、吸着分離作用、空洞内拡散などによりアンモニウムカチオンがゼオライトに吸着し、残った硝酸イオンは水分と共に硝酸となる。しかし、ゼオライトの乾燥作用により硝酸は脱水されることになる。脱水された硝酸は光や熱で分解する性質があり、最終的に二酸化窒素に分解し空気中に飛散していったり、或いは水分を含んだ硝酸はゼオライトの担持体に吸着されることも考えられる。いずれにせよ、ゼオライトとの接触でゼオライトの各作用が複合的に作用することによって、硝酸アンモニウムは除去され、像担持体表面からは画像流れの原因物質である放電生成物が除去される。
【0089】
活性炭などの非極性吸着剤も分子を吸収する能力を有しているが、かかる非極性吸着剤は、放電生成物を静電的に吸着することはできず、放電生成物の吸着には適していない。ゼオライトを初めとする極性吸着剤を剤担持体に担持させた放電生成物除去部材を像担持体表面に接触させることにより、放電生成物を効率よく吸着して、放電生成物を像担持体表面から効果的に除去することができるのである。
【0090】
上述の如き性質を有するゼオライトを図11及び図12に示した弾性体36の周面に固着して担持し、これを像担持体表面に接触させることにより、像担持体表面から放電生成物を効率よく除去できる。このため、像担持体1の長寿命化を達成すべく、その表面の摩擦係数を0.4以下、又は0.2以下と大きく下げ、当該表面の摩耗量が少なくなるように構成したときも、像担持体上に異常画像のない高品質なトナー像を形成することができる。しかも、放電生成物の除去のために水を使用する必要がないため、放電生成物除去後の像担持体表面の特性を一層均一化できる。
【0091】
図11及び図12に示したように、剤担持体34が、極性吸着剤を担持し、かつ像担持体表面に接触する弾性体36を有していると、その弾性体36は、像担持体表面に対し、その周方向に或る幅N1をもって当接することができるので、剤担持体34が均一に、かつ広い面積で像担持体表面に当接し、像担持体表面に付着した放電生成物を均一に除去することが可能となる。弾性体36は、例えば、ゴム、軟質樹脂、その発泡体、例えば発泡ポリウレタンなどの軟質弾性材料により構成される。
【0092】
また、図13に示すように、図11及び図12に示した剤担持体の弾性体36の外周面に、さらに表層37を巻き付けて固定し、その表層37の表面に、例えばゼオライトより成る極性吸着剤を固着して担持し、当該表層37の表面を像担持体表面に当接させるように構成することもできる。表層37としては、ゴム、紙、布、樹脂シートなどの適宜なシート材を用いることができ、その表面に極性吸着剤が固着されて担持されている。図14は、表層37として紙を用い、その紙のセルロース繊維38に結晶化したゼオライト50が固着されている様子を示す拡大説明図である。
【0093】
上述のように、放電生成物除去部材19の剤担持体34が、弾性体36と、その弾性体36に取り付けられて像担持体表面に接触する表層37とを有し、その表層37に極性吸着剤が固着されて担持されるように構成すると、図11及び図12に示した放電生成物除去部材により奏せられる効果のほか、極性吸着剤を担持した表層37が劣化したとき、その表層37を弾性体36から取り外し、新たな表層37を、それまで使用していた弾性体36に巻き付けるだけで、これを再び放電生成物除去部材19として使用することができる。芯軸32と弾性体36を、長期に亘って何度も使用でき、廃棄物の量を減らすことができるのである。
【0094】
また、図15に示すように、例えばゼオライトより成る極性吸着剤が固着されて担持された多数の繊維より成るブラシ39を有する剤担持体34を用い、そのブラシ39を像担持体1の表面に接触させるように構成することもできる。各ブラシ39の繊維には、例えば図14に示したところと同様にして、結晶化したゼオライトを固着させることができる。このようにブラシ39を像担持体表面に当接させると、そのブラシ39と像担持体表面とに作用する摩擦力を低減でき、像担持体への負荷を軽減することができる。このため、像担持体1の回転に要する電力を低減できると共に、像担持体に回転むらが発生することを防止でき、像担持体上のトナー像にすじ状の濃度むらが発生する不具合を阻止できる。
【0095】
また、図16に示すように、剤担持体34を、複数のローラ40に巻き掛けられた無端ベルト状に形成し、その無端ベルト状の剤担持体34の表面に極性吸着剤を固着して担持し、かかる剤担持体34の表面が像担持体1の表面に接触するように構成することもできる。このような剤担持体34を有する放電生成物除去部材19を用いると、その剤担持体34が像担持体表面に均一に当接し、かつ放電生成物除去部材19と像担持体表面の接触面積が拡大するので、像担持体表面の放電生成物をより一層均一かつ効果的に除去することができる。
【0096】
図11乃至図13、図15及び図16に示した放電生成物除去部材19を回転不能に固定しておくこともできるが、これらの放電生成物除去部材を、像担持体表面に接触しながら回転する回転体として構成すると、その放電生成物除去部材19の全周を像担持体表面に接触させて利用することができ、その寿命を伸ばすことが可能となる。
【0097】
その際、放電生成物除去部材19が自由に回転できるように、その放電生成物除去部材19を支持し、放電生成物除去部材19が像担持体の回転に従動して矢印方向に回転できるように構成すると、放電生成物除去部材19の駆動装置を省略でき、画像形成装置のコスト低減を達成できる。
【0098】
放電生成物除去部材19を図示していない駆動装置により回転駆動することもできるが、その際、放電生成物除去部材19の表面線速と、像担持体1の表面線速が互いに相違するように構成すると、像担持体表面と放電生成物除去部材19との摺擦作用を高め、像担持体表面に付着した放電生成物をより効率よく除去することができる。
【0099】
また、図17に示すように、放電生成物除去部材19の剤担持体34をシート状に形成し、そのシート状の剤担持体34の表面にゼオライトなどの極性吸着剤を固着して担持し、該剤担持体34を、供給ローラ41に巻回し、その供給ローラ41から繰り出されたシート状の剤担持体34の表面を像担持体1の表面に接触させ、放電生成物を除去した後の剤担持体34を巻き取りローラ42に巻き取るように構成することもできる。このように、剤担持体34を巻き取り可能なシート状に形成すると、トナーで汚されたシート状の剤担持体34を、巻き取りローラ42を回転駆動することにより当該巻き取りローラ42に巻き取ることができるので、放電生成物除去部材19の放電生成物除去機能を常に高く保つことができる。
【0100】
以上説明した例では、剤担持体に極性吸着剤を固着してその極性吸着剤を剤担持体に担持させたが、剤担持体に極性吸着剤の粒子、特に粉末状となった極性吸着剤を担持させ、その極性吸着剤を像担持体上に付着させるように構成することもできる。例えば、図11、図13、図15、図16及び図17に示すように、放電生成物除去部材19の上方に設けたホッパ43に粉末状の極性吸着剤50Aを収容し、放電生成物除去部材19を矢印方向に移動させながら、ホッパ43から適量ずつ極性吸着剤50Aを剤担持体34上に供給する。放電生成物除去部材19の剤担持体34は、粉末状の極性吸着剤を担持して像担持体表面に接触しながら回転し、像担持体1の表面にその極性吸着剤を塗布し、これにより像担持体表面の放電生成物を除去することができる。
【0101】
或いは、極性吸着剤を塊状に形成した吸着剤ブロック(図示せず)を、回転する剤担持体34に圧接させて、その吸着剤ブロックから極性吸着剤を削り取り、その削り取った粉末状の極性吸着剤を剤担持体34に担持して、像担持体表面に塗布するように構成することもできる。
【0102】
上記構成によれば、粉末状の極性吸着剤を像担持体表面に供給するので、その像担持体表面に付着した放電生成物を効率よく除去することができる。また、この構成においては、剤担持体34の表面に極性吸着剤を固着しておく必要はないので、剤担持体に固着することが困難な極性吸着剤を用いる場合に、これらの構成を有利に採用することができる。勿論、剤担持体34に極性吸着剤を固着し、かつその剤担持体に粉末状の極性吸着剤を担持させるように構成することもできる。
【0103】
剤担持体の形態は以上説明した例に限定されるものではなく、例えば紙、布、フェルト、プラスチック、ゴムなどに極性吸着剤を担持し、板状、スティック状などの形態に形成することもできる。
【0104】
前述のように、放電生成物を吸着する極性吸着剤としては、ゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ、活性白土のうちの少なくとも1つを用いることができるが、特にゼオライトは、その空洞に放電生成物を静電的に吸着でき、その除去効果を高めることができる。ゼオライトの分子構造の酸素環は、3、4、5、6、8、10、12、18の8種類が存在し、いずれの酸素環のゼオライトも採用できるが、当該酸素環が6員環以上、特に8員環以上であると、その空洞の入口径が大きいため、放電生成物を効果的に吸着させることができる。
【0105】
また、像担持体としてアモルファスシリコン感光体を用いると、その表面の硬度が高いため、像担持体の寿命を大きく伸ばし、しかも極性吸着剤によりその像担持体表面に付着した放電生成物を除去して、異常画像の発生を防止することができる。
【0106】
以上説明した放電生成物除去部材19を像担持体表面に当接させる位置は適宜設定できるが、図1乃至図4に示したように、帯電装置よりも像担持体表面移動方向上流側であって、クリーニング装置14よりも下流側の像担持体表面部分に放電生成物除去部材19を当接させると、放電生成物を除去した直後の像担持体表面を帯電させることができるので、帯電後の像担持体表面の電位不足が発生する不具合をより確実に防止することができる。
【0107】
また、放電生成物除去部材19を常時、像担持体表面に当接させておいてもよいが、これらを像担持体表面に対して接離可能に支持してもよい。その際、例えば、非画像形成時に像担持体1を回転させながら、放電生成物除去部材19を像担持体表面に当接させて放電生成物を除去し、画像形成時には、放電生成物除去部材19を像担持体表面から離しておくように構成することもできる。その際、放電生成物除去部材19を像担持体表面に当接させて、像担持体を少なくとも1回転させ、像担持体1の全周に亘って放電生成物の除去動作を行うことが好ましい。
【0108】
放電により生じた反応生成物を除去する方法には、大きく分けて、反応生成物を像担持体表面に付着させない方法と、像担持体表面に一旦付着した放電生成物を除去する方法の2つがあるが、本例の画像形成装置では、上述のように、後者の方法が採用されている。
【0109】
像担持体表面に付着した放電生成物を除去する装置として、像担持体表面に当接する水塗布部材と、その水塗布部材により像担持体表面に塗布された水を除去する水除去用部材とを互いに離して配置した装置が公知であるが、この装置は、2つの部材を必要とするため、装置の構成が複雑化し、かつそのコストが上昇する欠点を免れない。これに対し、上述した各例の放電生成物除去部材19を用いると、1つの部材だけで像担持体上の放電生成物を除去することも可能となり、その構成を簡素化でき、かつそのコストを低減することができる。
【0110】
一方、像担持体表面の静止摩擦係数を0.4以下、又は0.2以下に設定するには、適宜な構成を採用できる。例えば、像担持体自体に、低摩擦化粒子を均一に分散して、像担持体表面の平滑性を高めることもできる。具体的には、像担持体1の感光層に、例えばフッ素系粒子を分散させる。かかる構成によれば、画像形成装置の構造を複雑化させることなく、像担持体表面の静止摩擦係数を0.4以下、又は0.2以下に設定することが可能である。
【0111】
また、図1及び図2に示した画像形成装置において、その現像装置6の現像剤D中に、例えばフッ素系粒子(例えば、商品名ルブロン)、又はステアリン酸亜鉛粒子などから成る潤滑剤を混入し、この潤滑剤を像担持体表面に塗布して、その表面の静止摩擦係数を0.4以下、又は0.2以下にすることもできる。この構成によると、像担持体表面に潤滑剤を塗布する塗布手段を、現像装置を利用して構成できるので、画像形成装置の構造が複雑化することを防止できる。
【0112】
また、図3に示すように、像担持体表面に当接しながら回転して、像担持体表面の転写残トナーを除去するクリーニングブラシ(ファーブラシ)21に、潤滑剤を塊状に形成した潤滑剤ブロック22を圧接させ、そのクリーニングブラシ21の回転によって固形状の潤滑剤ブロック22から潤滑剤を削り取り、これを像担持体表面に塗布して、その表面の静止摩擦係数を0.4以下、又は0.2以下にすることもできる。この場合の潤滑剤としては、例えばPTFE等のフッ素系潤滑剤を用いることができる。この例では、潤滑剤ブロック22と、クリーニングブラシ21が、像担持体表面に潤滑剤を塗布する塗布手段を構成する。
【0113】
さらに、図4に示した画像形成装置においては、回転するブラシより成る塗布部材24を像担持体表面に当接させると共に、その塗布部材24に、潤滑剤ブロック23を圧接し、塗布部材24の回転によって潤滑剤ブロック23から潤滑剤を削り取り、これを像担持体表面に塗布して、その表面の静止摩擦係数を0.4以下、又は0.2以下に下げるようにしてもよい。クリーニングブラシ21と塗布部材24の回転方向は、時計方向であっても反時計方向であってもよい。
【0114】
上述のように像担持体の表面に、その外部から潤滑剤を塗布する塗布手段を用いると、像担持体表面の静止摩擦係数を所望する値に制御しやすくなるが、かかる塗布手段と、前述のように像担持体全体に低摩擦化粒子を分散させる構成を併用することもできる。
【0115】
また、上述した各構成において、像担持体1の表面の水に対する接触面を90°以上に設定し、像担持体表面の表面エネルギーを小さくすると、その表面に放電生成物が付着し難くなり、放電生成物除去部材19によって効率よく放電生成物を除去することが可能となる。
【0116】
なお、前述のように、像担持体表面の静止摩擦係数の値は図18に示すオイラーベルト式〔日本機械学会 機械工学便覧 基礎編 A3力学・機械力学 35頁(1986)参照〕と称せられる方法によって測定、計算した値である。これを簡単に説明すると、ベース131の上に支持台132を固定し、その上にドラム状の感光体より成る像担持体1を不動に固定支持する。この像担持体1の周面に、90°の角度範囲に亘って、幅30mmの紙テープ〔(株)リコー製TYPE6200ペーパー、縦目〕133を掛け、その一端に0.98N(100g重)の重り137を取り付け、その他端をフォースゲージ134のフック135に引っ掛ける。ここで、フォースゲージ134を矢印C方向にゆっくりと引き、紙テープ133が像担持体1の周面を滑って移動を開始した時のフォースゲージの値F(N)を読み、μ=(2/π)×ln(F/W)から静止摩擦係数μが計算される。Fは読み取り荷重(N)、Wは重りの重量(N)、πは円周率である。
【0117】
また、本発明は、帯電した像担持体表面を像露光して、その表面電位の絶対値が低下した部分を地肌部とし、その絶対値が高く維持された部分を静電潜像とし、ここにトナーを付着させてトナー像を形成する画像形成装置や、像担持体上のトナー像を一旦、中間転写体より成る転写材に転写し、その中間転写体上のトナー像を最終的な転写材である記録媒体上に転写する画像形成装置などにも広く適用できる。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、像担持体の寿命を伸ばすように構成したときも、像担持体表面に形成される放電生成物に基因する異常画像の発生を防止することができる。
【0120】
特に請求項20に係る発明によれば、像担持体表面に放電生成物を付着させ難くでき、しかも付着した放電生成物を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例を示す部分断面概略図である。
【図2】画像形成装置の他の例を示す部分断面概略図である。
【図3】画像形成装置のさらに他の例を示す部分断面概略図である。
【図4】画像形成装置のさらに別の例を示す部分断面概略図である。
【図5】像担持体表面の静止摩擦係数と、その摩耗量の関係の一例を示すグラフである。
【図6】像担持体表面の電位を説明する図である。
【図7】像担持体表面に異常画像が形成される理由を説明する図である。
【図8】放電生成物除去部材の一例を示す横断面図である。
【図9】図8の縦断面図である。
【図10】放電生成物除去部材の他の例を示す横断面図である。
【図11】放電生成物除去部材のさらに他の例を示す横断面図である。
【図12】図11に示した放電生成物除去部材の縦断面図である。
【図13】放電生成物除去部材のさらに別の例を示す横断面図である。
【図14】セルロース繊維に固着されたゼオライトを示す説明図である。
【図15】放電生成物除去部材のさらに他の例を示す横断面図である。
【図16】放電生成物除去部材のさらに別の例を示す図である。
【図17】放電生成物除去部材のさらに他の例を示す図である。
【図18】オイラーベルト式の測定法で像担持体表面の摩擦係数を測定する方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 像担持体
6 現像装置
14 クリーニング装置
28 生成物除去部材
29 多孔質材
30 高吸水性物質
31 孔
34 剤担持体
36 弾性体
37 表層
39 ブラシ
40 ローラ
50 ゼオライト
50A 極性吸着剤
P 転写材
Claims (21)
- 画像形成装置の像担持体に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去方法において、多孔質材の孔に、高吸水性物質が、水で膨潤した状態で保持されている部材より成る放電生成物除去部材を像担持体表面に接触させて、該放電生成物除去部材によって、放電生成物に水を供給すると共に、放電生成物の水溶液を吸い取って像担持体に付着した放電生成物を除去することを特徴とする放電生成物除去方法。
- 像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する画像形成装置において、像担持体に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去部材を有し、該放電生成物除去部材は、多孔質材の孔に、高吸水性物質が、水で膨潤した状態で保持されている部材より成り、該放電生成物除去部材によって、放電生成物に水を供給すると共に、放電生成物の水溶液を吸い取って放電生成物を除去するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
- 前記放電生成物除去部材は、少なくとも像担持体に接触する表面の側に水を含んでいる請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記放電生成物除去部材は、水に溶けてイオン化した放電生成物を保持するように構成されている請求項2又は3に記載の画像形成装置。
- オイラーベルト方式〔幅30mmの紙テープ((株)リコー製TYPE6200ペーパー、縦目使用)〕による測定で像担持体表面の静止摩擦係数が0.4以下に設定されている請求項2乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
- オイラーベルト方式〔幅30mmの紙テープ((株)リコー製TYPE6200ペーパー、縦目使用)〕による測定で像担持体表面の静止摩擦係数が0.2以下に設定されている請求項2乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する画像形成装置において、オイラーベルト方式〔幅30mmの紙テープ((株)リコー製TYPE6200ペーパー、縦目使用)〕による測定で像担持体表面の静止摩擦係数を0.4以下に設定すると共に、像担持体表面に接触して該像担持体に付着した放電生成物を除去する放電生成物除去部材を設け、該放電生成物除去部材は、像担持体に付着した放電生成物を吸着する極性吸着剤と、該極性吸着剤を担持する剤担持体とを有することを特徴とする画像形成装置。
- 前記極性吸着剤は、剤担持体に固着されている請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記剤担持体は、極性吸着剤の粒子を担持している請求項7又は8に記載の画像形成装置。
- 前記剤担持体は、極性吸着剤を担持し、かつ像担持体表面に接触する弾性体を有している請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記剤担持体は、弾性体と、該弾性体に取り付けられて像担持体表面に接触する表層とを有し、該表層に極性吸着剤が担持されている請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記剤担持体は、極性吸着剤を担持し、かつ像担持体表面に接触するブラシを有している請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記剤担持体は、極性吸着剤を担持し、かつ複数のローラに巻き掛けられて像担持体表面に接触する無端ベルト状に形成されている請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記剤担持体は、巻き取り可能なシート状に形成されている請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記極性吸着剤は、ゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ、活性白土のうちの少なくとも1つより成る請求項7乃至14のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記極性吸着剤はゼオライトより成り、該ゼオライトの分子構造の酸素環が6員環以上である請求項7乃至14のいずれかに記載の画像形成装置。
- 像担持体自体に低摩擦化粒子が分散されている請求項2乃至16のいずれかに記載の画像形成装置。
- 像担持体の感光層にフッ素系粒子が分散されている請求項17に記載の画像形成装置。
- 像担持体の表面に潤滑剤を塗布する塗布手段を設けた請求項2乃至18のいずれかに記載の画像形成装置。
- 像担持体表面の水に対する接触角が90°以上である請求項2乃至19のいずれかに記載の画像形成装置。
- 像担持体と、該像担持体を帯電する帯電装置と、帯電された像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、トナー像の転写が行われる転写位置を通過した像担持体表面に付着するトナーを除去するクリーニング装置とを有し、該クリーニング装置は、像担持体表面の移動方向に関し、帯電装置よりも上流側で、転写装置よりも下流側の像担持体表面部分に当接するクリーニング部材を具備する請求項2乃至20のいずれかに記載の画像形成装置。
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