JP4323720B2 - 魚膵臓病ウイルス構造タンパク質およびその使用 - Google Patents

魚膵臓病ウイルス構造タンパク質およびその使用 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、魚類における膵臓病(Pancreatic Disease)の病原体の構造タンパク質、そのようなタンパク質をコードするヌクレオチド配列、そのようなタンパク質またはヌクレオチド配列を含むワクチン、およびそのようなタンパク質またはヌクレオチド配列を含む診断キットに関する。
【0002】
膵臓病(PD)は、魚類、特に、野生の大西洋サケ、ニジマスなどのサケ科の魚がかかる重大な病気である。この病気は、膵臓の外分泌組織の喪失を含む膵臓での傷害、ならびに線維症、心筋ミオパシーおよび骨格筋ミオパシーを引き起こす。PDの発生は、1984年に、Munro他によって、Helgoland Meeresuntersuchungen、37:571〜586(19984)に最初に報告された。PDは、典型的には、海洋環境に移った初年度での魚の生え変わり(post−molts)を冒し、海洋ケージで飼育されている養殖魚に間に急速に広まっていることが報告されている。臨床的な兆候には、ケージの隅に集まって、水平位を維持できない傾向を伴う嗜眠、採餌の中断(食欲不振)、および著しい死亡率が含まれる(Ferguson他、J.Fish Disease、9:95〜98、1986)。Murphy他(J.Fish Disease、15:401〜408、1992)はこれらの結果を最近の研究で確認した。その際、心筋ミオパシーおよび骨格筋ミオパシーはPDに罹った魚で悪化することが見出された。
【0003】
養魚場におけるPDの発生は生育を低下させ得るし、生き残った魚の10%までが生育不良であることが明らかにされることがある。アイルランドの養魚場において、PDによる幼魚の10〜60%の大きな死亡率が、海洋環境に移った初年度中に生じている(McLoughlin,M.、Fish Farmer、19頁、3月/4月、1995)。生産高の損失に関してアイルランド産業の推定費用は、現在、年間約2500万ポンドであると考えられている。従って、魚のPDの予防および/または処置に必要なワクチンが非常に求められている。
【0004】
欧州特許公開EP−A−712926には、PDの病原体がPD感染魚の組織から単離され、ウイルスがトガ様ウイルスとして同定されたことが記載されている。それにより、魚におけるPD感染を防止するために、弱毒化PDまたは不活化PDを魚のワクチン接種のために使用することが提案されている。欧州特許公開EP−A−712926に記載されたPDウイルス由来の不活化ワクチンの製造における欠点は、ウイルスの増殖が、特に細胞培養において遅いことである。このため、そのようなワクチンの製造は比較的非効率的な方法になっている。不活化ワクチンに関するさらなる欠点は、他の不活化病原体の存在下で不活化ワクチンが不安定であり、効力の喪失が生じることである。魚のワクチンは、一般には多価ワクチンとして製造され、従って、多価ワクチンでは、一価ワクチンで必要とされるよりも著しく多い量の不活化ウイルスが、効力の喪失を補うために必要とされる。
【0005】
本発明は、上記の困難が克服された、PDによる魚の感染を防止する代わりのワクチンを製造するための手段を提供する。本発明は、サケPDウイルス(SPDV)のゲノムRNAの3’部分のヌクレオチド配列を提供する。5179ヌクレオチドのこの配列は配列番号1に示され、いくつかのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む:コード鎖のヌクレオチド2〜1186は非構造タンパク質をコードし、ヌクレオチド997から始まりヌクレオチド5076までの別の重複したORFはいくつかの構造タンパク質をコードしている。このORFはp130と呼ばれた。明らかにされなかった他のORFがコード鎖(3447〜3767および4289〜4612)および非コード鎖(1207〜890および1232〜837)で見出された。
【0006】
ヌクレオチド2〜1186に由来するORFは、NSP4と呼ばれる非構造タンパク質のC末端部をコードする。その推定アミノ酸を配列番号2に示す。
【0007】
ORF p130は、PDウイルスの構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。PDウイルスの構造タンパク質は、塩基性のキャプシドタンパク質、E1、E2およびE3と呼ばれる3つのエンベロープタンパク質、ならびに6Kタンパク質と呼ばれるタンパク質からなる。p130のORFによってコードされる全タンパク質のアミノ酸配列を配列番号3に示す。プロセッシング後、p130タンパク質は、キャプシドタンパク質(p130のaa76〜375)、E3(p130のaa358〜428)、E2(p130のaa429〜866)、6K(p130のaa867〜898)およびE1(p130のaa899〜1359)にスプライシングされる。
【0008】
PDウイルスのキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド1222〜2067に位置する。その対応するアミノ酸配列(全部で282アミノ酸)を配列番号4に示す。
【0009】
エンベロープタンパク質E3、E2およびE1をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号1に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド2068〜2280、2281〜3594および3691〜5076に位置する。E3タンパク質、E2タンパク質およびE1タンパク質の対応するアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号5、6および8に示す。
【0010】
6Kタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド3595〜3690に位置する。6Kタンパク質の対応するアミノ酸配列を配列番号7に示す。PD感染の膵臓組織から抽出されたウイルスRNAのさらなる配列分析によって、配列番号7に示される32アミノ酸の6Kタンパク質と比較して、68アミノ酸の長さを有する6Kタンパク質のより長い変化体の存在が明らかにされた。6Kタンパク質のこのより長い変化体をコードするヌクレオチド配列(配列番号14)は、短縮型の6Kタンパク質をコードするヌクレオチド配列の96ヌクレオチドと比較して、長さが204ヌクレオチドである。6Kタンパク質のこの長い変化体をコードするヌクレオチド配列およびその推定アミノ酸配列を、それぞれ、図2ならびに配列番号14および配列番号15に示す。
【0011】
本発明のヌクレオチド配列のクローニングおよび特徴づけが行われることによって、PDウイルスの構造タンパク質の製造が、標準的な組換えDNA技術(Sambrooke他、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、1989)を使用して提供される。クローニング技術およびインビトロでの発現システムを使用するその後のタンパク質発現は、当分野では周知である。このようにして、他のPDVタンパク質を実質的に含まない組換え体の構造PDVタンパク質を得ることができる。これらの単離された構造タンパク質を使用して、魚のPD感染から保護するためのサブユニットワクチンを製造することができる。このようなサブユニットワクチンは、PDによる野外感染からワクチン接種を区別するための魚でのマーカーワクチンとして使用することができる。あるいは、PDウイルスの構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列を使用して、魚のPDによる感染から保護するためのDNAワクチンまたはベクターワクチンを製造することができる。ヌクレオチド配列および組換えPDタンパク質は、診断目的に、例えば、野外でのPDウイルスまたは魚における抗PD抗体の存在を検出するためにさらに使用することができる。さらに、本発明の組換えPDタンパク質は、PDに特異的な抗体を製造するために使用することができる。このような抗体はまた、魚または野外でのPDウイルスの検出などの診断目的に使用することができる。
【0012】
従って、第1の局面において、本発明は、PDウイルスのNSP4の構造タンパク質またはその一部をコードする配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、そのようなヌクレオチド配列のフラグメント、および配列番号14に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列を提供する。本発明によるヌクレオチド配列の好ましいフラグメントは、ヌクレオチドフラグメント1222〜5076(これはまた、キャプシド、E3、E2、6KおよびE1のタンパク質をコードするp130として示される)、2068〜5076(これはまた、E3、E2、6KおよびE1のタンパク質をコードするp98として示される)、2068〜3594(これはまた、E3およびE2のタンパク質をコードするpE2として示される)、1222〜2067(キャプシド)、2068〜2280(E3)、2281〜3594(E2)、3595〜3690(6K)、および3691〜5076(E1)である。本発明の目的のために、本発明によるヌクレオチド配列はまた、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、および6Kタンパク質をコードするヌクレオチド配列を少なくとも含むそのフラグメント配列(p130およびp98のフラグメントなど)を包含する。この場合、配列番号1のヌクレオチド3595〜3690によって示されるヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列で置換される。
【0013】
本発明の範囲内には、配列番号1または配列番号14に示される配列を含むヌクレオチド配列のタンデム配列を含むヌクレオチド配列またはそのフラグメントもまた含まれる。配列番号1、配列番号14に示される配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列もまた、配列番号1または配列番号14に示される配列とハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列と同様に本発明の範囲内に含まれる。この目的に必要なハイブリダイゼーション条件はストリンジェントであり、好ましくは高度にストリンジェントである。本発明により、用語「ストリンジェント」は、1xSSC、0.1%SDSの65℃の温度での洗浄条件を意味する。高度にストリンジェントな条件は、SSCを0.3xSSCに低下させることをいう。
【0014】
配列番号1または配列番号14に示される配列とハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列は、配列番号1または配列番号14に示される配列の対応する一致部分と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列相同性を有するヌクレオチド配列であると理解される。本発明によれば、配列相同性は、ヌクレオチド配列を、配列番号1または配列番号14に示される配列の対応する一致部分と比較することによって決定される。ヌクレオチドと配列番号1または配列番号14における配列との配列相同性は、BLASTNなどの一般的な配列分析プログラムによって決定することができる。最適な一致領域がこのようなプログラムによって自動的に決定される。相同的な配列は、日常的なクローニング技術およびハイブリダイゼーション技術を使用して、配列番号1または配列番号14に示される配列またはそのような配列のフラグメントを用いて密接に関連するPDウイルス株から容易に単離することができる。睡眠病(SD)ウイルスは、PDウイルスと密接に関連しており、SDウイルスの構造的なキャプシド、E3、E2、E1および6Kのタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号1および14に示される核酸配列との必要な配列相同性を有している。従って、SDのこれらの核酸配列もまた本発明の範囲内に含まれる。
【0015】
本発明のヌクレオチド配列は、PD感染に対して魚にワクチン接種するためのDNAワクチンの製造において使用することができる。DNAワクチン接種は、直接接種されたDNAプラスミドに挿入された遺伝子からインビボで発現される1つまたは複数の抗原に対する免疫応答をワクチン接種された魚に誘導するこという。従って、本発明の第2の局面において、薬学的に許容可能なキャリアと、1つまたは複数のPDV構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列が転写調節配列に機能的に連結されているDNAプラスミドとを含むDNAワクチンが提供される。
【0016】
好ましくは、このようなDNAプラスミドにおいて使用され得るヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、または配列番号14に示されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、またはそのようなヌクレオチド配列のフラグメントである。配列番号1または14に示されるヌクレオチド配列の好ましいフラグメントは、配列番号1に示される配列のヌクレオチドフラグメント1222〜5076、2068〜5076、2068〜3594、1222〜2067、2068〜2280、2281〜3594、3595〜3690、3691〜5076であり、それらの組み合わせ(例えば、フラグメント1222〜2067とフラグメント2281〜3594との組み合わせ)である。さらに、そのようなDNAプラスミドにおける使用に好適なものは、配列番号1または配列番号14の配列に、あるいは配列番号1または配列番号14の配列に示される配列との配列相同性が少なくとも70%、好ましくは80%であり、より好ましくは90%であるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。DNAプラスミドにおける使用に好適なヌクレオチド配列同士の配列相同性は、上記のように決定される。
【0017】
本発明によるDNAワクチンにおける使用に好適なDNAプラスミドは、細菌、真核生物および酵母の宿主細胞に対する従来のクローニング用プラスミドまたは発現用プラスミドであり、これらの多くは市販されている。そのようなプラスミドの周知の例は、pBR322およびpcDNA3(Invitrogen)である。本発明によるDNAプラスミドは、ヌクレオチド配列のタンパク質発現が誘導できなければならない。DNAプラスミドは、本発明による1つまたは複数のヌクレオチド配列を含むことができる。さらに、DNAプラスミドは、メチル化されていないCpGジヌクレオチドを有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドなどの他のヌクレオチド配列、あるいは他の抗原性タンパク質または補助性サイトカインをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0018】
本発明によるDNAプラスミドにおける使用に好適な転写調節配列には、下記のプロモーターが含まれる:例えば、(ヒト)サイトメガロウイルス即時初期プロモーター(Seed,B.他、Nature、329、840〜842、1987;Fynan,E.F.他、PNAS 90、11478〜11482、1993;Ulmer,J.B.他、Science、259、1745〜1748、1993)、ラウス肉腫ウイルスLTR(RSV、Gorman,C.M.他、PNAS、79、6777〜6781、1982;Fynan他、上記;Ulmer他、上記)、MPSV LTR(Stacey他、J.Virology、50、725〜732、1984)、SV40即時初期プロモーター(Sprague J.他、J.Virology、45、773、1983)、メタロチオネインプロモーター(Brinster,R.L.他、Nature、296、39〜42、1982)、Ad2の主要後期プロモーター、β−アクチンプロモーター(Tang他、Nature、356、152〜154、1992)。調節配列はまたターミネーター配列およびポリアデニル化配列を含むことができる。使用され得る配列の中で、周知のものは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、SV40ポリアデニル化配列、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)のターミネーター配列およびポリアデニル化配列である。
【0019】
本発明によるワクチンにおいて使用される転写調節配列に機能的に連結された本発明によるヌクレオチド配列を含むDNAプラスミドは、送達システムにおいて裸(naked)であり得るか、またはパッケージされ得る。好適な送達システムは、脂質ベシクル、イスコム(Iscom)、デンドロマー、ニオソーム(niosome)、多糖類マトリックスなどである。さらに、送達システムとして非常に好適なものに、サルモネラなどの弱毒化された生細菌がある。
【0020】
本発明によるヌクレオチド配列は、さらに、PDに対して魚をワクチン接種するためのベクターワクチンの製造において使用することができる。ベクターワクチンは、生の弱毒化細菌または弱毒化ウイルスが、その遺伝物質に挿入された1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含有するように改変されたワクチンであると理解される。これらのいわゆるベクター細菌またはベクターウイルスは、挿入されたヌクレオチドによってコードされた異種タンパク質を同時に発現することができる。従って、第3の局面において、本発明は、1つまたは複数の本発明のヌクレオチド配列をその遺伝物質に含むように改変された生の弱毒化細菌または弱毒化ウイルスを含むベクターワクチンを提供する。ワクチンベクターとして使用される非常に好適なものは、例えば、ワクシニアウイルスまたはセムリキ森林ウイルスである。
【0021】
本発明によるヌクレオチド配列はまた、他のPDタンパク質を実質的に含まない構造PDタンパク質の組換え製造に使用することができる。従って、第4の局面において、本発明は、PDウイルスに由来する構造タンパク質を提供する。より詳細には、本発明は、PDのキャプシドタンパク質、PDのエンベロープタンパク質E1、E2およびE3、ならびに6Kタンパク質を提供する。特に、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質またはその誘導体、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するE3タンパク質またはその誘導体、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するE2タンパク質またはその誘導体、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するE1タンパク質またはその誘導体、および配列番号7、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する6Kタンパク質またはその誘導体が提供される。
【0022】
誘導体タンパク質は、本発明のアミノ酸における変化を有するタンパク質であって、このようなタンパク質の抗原性および/または免疫原性が変化していないタンパク質であると理解される。すなわち、これらの誘導体タンパク質は、依然として、PDウイルスを認識してPDウイルスと(交差)反応する抗体の産生を誘導することができ、かつ/またはPD感染から保護される魚における免疫応答を誘導することができる。抗原性は、PDウイルスを認識してPDウイルスと(交差)反応する抗体の産生を誘導し得る能力であると理解される。免疫原性は、PDによる感染から保護される魚における免疫応答を誘導し得る能力であると理解される。本発明による配列に存在し得る変化は、例えば、配列全体におけるアミノ酸(1つまたは複数)の保存的アミノ酸置換、欠失、挿入、反転または付加から生じ得る。免疫学的性質を変化させないと考えられるアミノ酸置換を説明する。関連するアミノ酸同士のアミノ酸置換、または進化において頻発したアミノ酸置換は、特に、Ser/Ala、Ser/Gly、Asp/Gly、Asp/Asn、Ile/Valである(Dayhof,M.D.、タンパク質配列および構造のアトラス、Nat.Biomed.Res.Found.、Washington D.C.、1978、第5巻、増補3を参照のこと)。この情報に基づいて、LipmanおよびPearsonは、配列相同性を有するタンパク質およびペプチドの間における機能的類似性を明らかにする迅速で高感度のタンパク質比較法を開発した(Science、1985、第227巻、1435〜1441)。本発明による誘導体タンパク質は、依然として、PDウイルスを認識してPDウイルスと(交差)反応する抗体の産生を誘導することができ、かつ/またはPD感染から保護される魚における免疫応答を誘導することができる。睡眠病(SD)ウイルスから得られるキャプシドタンパク質、E1タンパク質、E2タンパク質、E3タンパク質および6Kタンパク質は、本発明によるそのような誘導体タンパク質である。これらのタンパク質は、配列番号4〜8または15に示されるPDウイルスのアミノ酸配列と同一であるか、またはほとんど同一であるアミノ酸配列を有する。これらのタンパク質は、PDウイルスならびにSDウイルスを認識してそれらと交差反応する抗体を惹起することができる。他の誘導体は、依然として、PDウイルスを認識してPDウイルスと(交差)反応する抗体の誘導を誘導することができ、かつ/または魚における免疫応答を誘導することができるタンパク質フラグメントである。
【0023】
本発明によるタンパク質は、標準的な組換えタンパク質発現技術で調製することができる。この目的のために、本発明による1つまたは複数のタンパク質あるいはそのようなタンパク質のマルチマーをコードするヌクレオチド配列が発現ベクターに挿入される。好ましくは、ヌクレオチド配列は、配列番号1または配列番号14に示されるヌクレオチド配列あるいはこのような配列の1つまたは複数のフラグメントを含むヌクレオチド配列である。本発明によるヌクレオチド配列の好ましいフラグメントは、配列番号1に示される配列のヌクレオチドフラグメント1222〜5076、2068〜5076、2068〜3594、1222〜2067、2068〜2280、2281〜3594、3595〜3690、3691〜5076であり、その組み合わせ(例えば、フラグメント1222〜2067とフラグメント2281〜3594との組み合わせなど)である。本発明によるさらに好ましいフラグメントは、配列番号15に示されるヌクレオチド配列のフラグメントであり、例えば、配列番号1のヌクレオチド3595〜3690によって示されるヌクレオチド配列である。同様に好適なものは、配列番号1または配列番号14の配列に、あるいは配列番号1または配列番号14に示される配列との配列相同性が少なくとも70%、好ましくは80%であり、より好ましくは90%であるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。DNAプラスミドにおける使用に好適なヌクレオチド配列同士の配列相同性は、以前に記載されているように決定される。
【0024】
好適な発現ベクターは、特に、複製および発現に必要な制御領域を含むプラスミド、コスミド、ウイルスおよびYAC(酵母人工染色体)である。発現ベクターは宿主細胞における発現をもたらし得る。好適な宿主細胞は、例えば、細菌細胞、酵母細胞および哺乳動物細胞である。そのような発現技術は、当分野では周知である(Sambrooke他、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、1989)。発現したタンパク質は培地から単離して精製することができる。p130の全ORF(配列番号1のヌクレオチドフラグメント997〜5076)の発現は、構造タンパク質の自発的な集合によるウイルス様粒子を生成させることができる。
【0025】
本発明はさらに、1つまたは複数の構造PDタンパク質および薬学的に許容可能なキャリアを含むワクチンを提供する。より詳細には、本発明によるワクチンは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質またはその誘導体、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するE3タンパク質またはその誘導体、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するE2タンパク質またはその誘導体、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するE1タンパク質またはその誘導体、配列番号7または配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する6Kタンパク質またはその誘導体、あるいは本発明による1つまたは複数のタンパク質を含む混合物を含む。好ましくは、本発明によるワクチンはE2タンパク質を含み、キャプシドタンパク質を必要に応じて含む。同様に好ましいものは、PDのすべての構造タンパク質を含むワクチンである。これらのタンパク質はウイルス様粒子を自発的に形成することができ、従って、病原体全体のワクチンに非常に類似するワクチンを提供する。本発明によるワクチンは、ワクチン接種と野外におけるPDによる感染とを区別するマーカーワクチンとしての使用に好適である。本発明による好ましいワクチンは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する6Kタンパク質を含むマーカーワクチンである。
【0026】
本発明によるワクチンは、当業者に周知の技術に従って調製することができる。DNAワクチンを調製するための一般的な技術は広く記載されており、例えば、欧州特許第0 773 295号および米国特許第5580859号に記載されている。
【0027】
本発明によるワクチンは、有効量の上記のDNAプラスミド、ベクター細菌またはベクターウイルスあるいはタンパク質、および薬学的に許容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用されている用語「有効」は、標的の魚における免疫応答を誘導するのに十分な量として定義される。プラスミド、ベクターまたはタンパク質の量は、プラスミドまたはベクターのタイプ、投与経路、投与時期、魚の種、ならびに年齢、全身の健康状態および餌に依存する。
【0028】
一般に、体重1kgあたり0.01μg〜1000μgのタンパク質、好ましくは0.5μg〜500μgのタンパク質、より好ましくは0.1μg〜100μgのタンパク質の投与量を使用することができる。DNAワクチンの場合、一般に、10pgの最少投薬量から1000μgの投薬量までのプラスミドが、インビボでの抗原の好適な発現に十分であると記載されている。
【0029】
本発明によるワクチンにおける使用に好適な薬学的に許容可能なキャリアは、無菌の水、生理食塩水、PBSなどの水性緩衝液などである。さらに、本発明によるワクチンは、アジュバント、安定化剤、抗酸化剤などの他の添加剤を含むことができる。
【0030】
好適なアジュバントには、特に、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、アンフィゲン(amphigen)、トコフェノール類、モノホスフェニルリピドA、ムラミルジペプチド、油性エマルション、グルカン、カルボマー、ブロックコポリマー、サイトカイン、およびキル(Quil)Aなどのサポニンが含まれる。添加されるアジュバントの量は、アジュバント自体の性質に依存する。
【0031】
本発明によるワクチンにおける使用に好適な安定化剤は、例えば、ソルビトール、マンニトール、デンプン、スクロース、デキストリンおよびグルコースなどの炭水化物、アルブミンまたはカゼインなどのタンパク質、アルカリ性リン酸塩のような緩衝剤である。
【0032】
本発明によるワクチンは、注射、スプレー、浸漬によって、または経口的に魚に投与される。投与プロトコルは、標準的なワクチン接種実施に従って最適化することができる。
【0033】
本発明によるヌクレオチド配列およびタンパク質はまた、診断における使用に好適である。ヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、魚におけるPDウイルスの存在を検出するために使用することができる。E2のC末端部/6K/E1のN末端部に広がるプライマー(図2参照)をRT−PCRに使用して、PD発生の臨床的標本におけるPDウイルスの存在が十分に検出された。タンパク質は、魚における抗体の存在を検出するために使用することができる。
【0034】
本発明によるタンパク質は、さらに、当業者に利用可能な一般的な技術を使用して、抗体を産生させるために使用することができる。好ましくは、タンパク質は、特異的なモノクローナル抗体を産生させるために使用される。得られる抗体は、野外または魚におけるPDウイルスを検出するために、診断において利用することができる。
【0035】
従って、別の局面において、本発明は、本発明による1つまたは複数のヌクレオチド配列、あるいは本発明による1つまたは複数の構造タンパク質、あるいはそのようなタンパク質を用いて得られる抗体を含む診断キットを提供する。本発明による抗体は標準的な技術に従って調製することができる。タンパク質を用いた動物(例えば、マウス)の免疫化手順、および免疫原に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの選抜は当分野で周知である(例えば、Coligan他(編)、Current protocols in Immunology、1992;KohlerおよびMilstein、Nature、256:495〜497、1975;Steenbakkers他、Mol.Biol.Rep.19:125〜134、1994を参照のこと)。
【0036】
下記の実施例は本発明を例示するものであり、いかなる点においても本発明を限定するように解釈してはならない。
【0037】
図面
図1は、PDの構造タンパク質をコードする様々なクローン化されたヌクレオチド配列の構造的配置を示す;
図2は、E2遺伝子C末端/「長型」6K遺伝子/E1遺伝子N末端のヌクレオチド配列を示す。E2/6Kタンパク質と6K/E1タンパク質との間の予想される切断部位を垂直線(|)により示す。「長型」6Kタンパク質をコードするヌクレオチド配列は204ヌクレオチドの長さであり、68アミノ酸のタンパク質をコードする。配列の右側にある括弧内の数字は、それぞれ、6K遺伝子または6Kタンパク質のヌクレオチド残基およびアミノ酸残基を示す。6K遺伝子をコードするヌクレオチド配列のヌクレオチド位44において、G残基がA残基と置換されていることがある。その結果、図に示されるアミノ酸配列のアミノ酸位15において、N残基を有する6Kタンパク質が生じる。
【0038】
実施例
細胞およびウイルス
サケPDウイルス(SPDV)株の単離および培養を、一般には欧州特許出願公開EP−A−712926に記載されているように行った。SPDVのF913125単離体を、以前の記載(R.T.Nelson他、(1995)、膵臓病に罹った養殖大西洋サケSalmo salarからのトガ様ウイルスの単離、Diseases of Aquatic Organisms、22、25頁〜32頁)に従ってChinookサケ胚(CHSE−214)細胞で増殖させた。ウイルスを精製するために、75cmフラスコで約80%の周密にまで増殖させたCHSE−214の単層培養物を1mlウイルスで感染させ、約1の感染多重度が得られた。1時間吸着させた後、さらなる14mlの補充したイーグル最少必須培地(MEM)を各フラスコに入れた。ウイルス感染させたフラスコを、ウイルス誘導の細胞変性作用が明らかになる7〜8日間、15℃でインキュベーションして、上清を集めた。
【0039】
ウイルス精製
上清(典型的には、ウイルス感染細胞から得られた500ml)を3000gで20分間清澄化した。ポリエチレングリコール(PEG)およびNaClを加え、最終濃度を、それぞれ、6%および2.2%にした。4℃で一晩インキュベーションした後、PEG沈殿物を3000gで2時間の遠心分離により集めた。得られたペレットをPBS(1〜2ml)に再懸濁し、1000gで5分間清澄化した後、粗ウイルス懸濁物を、スクロースの11mlの勾配物(PBSでの20〜60w/w%)を使用する平衡密度遠心分離によって分画化した。4℃において75000gで18時間遠心分離した後、1mlの画分を勾配物の底から回収した。ウイルスを含有する画分を、PDに特異的なマウスモノクローナル抗体(Welsh他、投稿中、1999)を使用する免疫ブロッティングによって同定した。
【0040】
PDウイルスcDNAクローンの作製
ウイルスのRNAを、勾配精製したPDウイルスおよびウイルス感染細胞から、RNA抽出器(Genosys)を使用して抽出し、エタノール沈殿物として保存した。cDNAライブラリーを、勾配精製したウイルスから抽出されたRNAを用いてランダムプライマー法によって作製した。このライブラリーは、ベクターpUC18(Sureclone連結キット、Pharmacia)に挿入物(250〜500bp)を含有するクローンからなった。クローンを無作為にライブラリーから選び、配列決定およびBLASTプログラム(ウイスコンシン大学、Genetics Computer Group)を使用する分析を行った後、アルファウイルスゲノムに対してマッピングした。N11、N38およびN50の3クローンの配列を使用して、PDゲノムの3’末端の5.2kb領域を含む3つの重複フラグメントを増幅する逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)に使用されるオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。NotI部位をプライマーに取り込むことによって、これらのフラグメントの2つをベクターpBluescript(Stratagene)のNotI部位への制限連結が容易になった。PCRを、Expand Long TemplatePCRシステム(Boehringer Mannheim)を使用して、94℃で30秒間、60℃で30秒間、68℃で2分間行った。別のクローンを3’RACE(M.A.Frohmann他、1998;単一遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用する希な転写物からの全長cDNAの迅速な作製、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85、8998頁〜9002頁)を使用して作製した。反応を、5’/3’RACEキット(Boehringer Mannheim)を若干の改変とともに使用して行った。このようにして、勾配精製ウイルスから得られたRNAを最初の鎖の合成に独立的に供し、得られたcDNAを、94℃で30秒間、60℃で30秒間、68℃で1分間のPCRによって増幅した。
【0041】
PDウイルスcDNAクローンの配列決定
サイクル配列決定を、精製されたプラスミドDNAについて、製造者(Perkin Elmer Cetus)のプロトコルに従ってABI PRISM色素ターミネーター調製済反応キットを使用して行った。エレクトロフォレトグラムを、Sequence Navigatorソフトウエア(Perkin Elmer Cetus)を使用して解読した。PDウイルスRNAの3’末端の5.2kb領域の完全なヌクレオチド配列を配列番号1に示す。
【0042】
PD感染した膵臓組織から直接抽出されたウイルスRNAに対するE2のC末端およびE1のN末端に隣接するプライマーを使用するRT−PCRおよび配列分析によって、配列番号1のヌクレオチド3595〜3690により示されるヌクレオチド配列よりも長い6Kをコードするヌクレオチド配列が明らかにされた。全長の6Kタンパク質をコードする核酸ならびに推定アミノ酸配列を図2に示す。
【0043】
SPDVのpFastBac1構築物およびpcDNA3.1(+)構築物
標準的なクローニング技術(Sambrooke他、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、1989)を使用して、SPDVの構造領域を示す4クローンを、バキュロウイルスシステムで発現させるためにpFastBac1(Gibco BRL)において作製した。これらのクローンはまた、モノクローナル抗体の特徴づけのために、そしてDNAワクチンとして使用するために発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)において作製された。
【0044】
クローン1
p130は、キャプシドタンパク質の最初のATGからポリ(A)テールまでの完全な構造遺伝子領域をコードする(3944nt)。cDNAを、下記のプライマーを使用して、RT−PCRによってウイルスRNAから作製した:
5’順方向プライマー(5’130NotI):5’−TGC ATG CGG CCG CAT GTT TCC CAT GCA ATT CAC CAA C−3’(配列番号9)
3’逆方向プライマー(3’130NotI)(配列5’から3’):5’−TGC ATG CGG CCG CTT GTA TTG AAA ATT TTA AAA CCA A−3’(配列番号10)。
【0045】
これらのプライマーは、(制限酵素の認識を確実にする)5ヌクレオチドの領域、その後のNotI部位、次いで適切なSPDV配列(示した配列の強調部、5’130NotIについては1222〜1245および3’130NotIについては5143〜5166)を含有する。3944ntのcDNA産物をpFastBac1およびpcDNA3.1の両方のNotI部位にクローン化した。
【0046】
クローン2
p98は、E3、E2、6KおよびE1からポリ(A)テールまでをコードする(3098nt)。cDNAを、下記のプライマーを使用して、RT−PCRによってウイルスRNAから作製した:
5’順方向プライマー(5’E3NotI):5’−TGC ATG CGG CCG CAT GAC ACG CGC TCC GGC CCT CCT G−3’(配列番号11)
3’逆方向プライマー(3’130NotI):5’−TGC ATG CGG CCG CTT GTA TTG AAA ATT TTA AAA CCA A−3’(配列番号10)。
【0047】
プライマー5’E3NotIは、(制限酵素の認識を確実にする)5ヌクレオチドの領域、その後のNotI部位、ATG(人工的な開始コドン)、次いで適切なSPDV配列(2067〜2088)を含有する。プライマー3’130NotIは、クローン1において上記に記載されている通りである。3098ntのcDNA産物をpFastBac1およびpcDNA3.1の両方のNotI部位にクローン化した。
【0048】
クローン3
pE2は、E3およびE2の糖タンパク質をコードする(1527nt)。cDNAを、下記のプライマーを使用して、RT−PCRによってウイルスRNAから作製した:
5’順方向プライマー(5’E3NotI):5’−TGC ATG CGG CCG CAT GAC ACG CGC TCC GGC CCT CCT G−3’(配列番号11)
3’逆方向プライマー(3’E2NotI):5’−TGC ATG CGG CCG CTC ACG CGC GAG CCC CTG GTA TGC AAC A−3’(配列番号12)。
【0049】
プライマー5’E3NotIは、クローン2において上記に記載されている通りである。プライマー3’E2NotIは、(制限酵素の認識を確実にする)5ヌクレオチドの領域、その後のNotI部位、TGA(人工的な終止コドン)、次いで適切なSPDV配列(示した配列の強調部、3571〜3594)を含有する。1527ntのcDNA産物をpFastBac1およびpcDNA3.1の両方のNotI部位にクローン化した。
【0050】
クローン4
E2は、E2糖タンパク質をコードする(1314nt)。cDNAを、下記のプライマーを使用して、RT−PCRによってウイルスRNAから作製した:
5’順方向プライマー(5’E2NotI):5’−TGC ATG CGG CCG CAT GGC TGT GTC TAC GTC GCC TGC C−3’(配列番号13)
3’逆方向プライマー(3’E2NotI):5’−TGC ATG CGG CCG CTC ACG CGC GAG CCC CTG GTA TGC AAC A−3’(配列番号12)。
【0051】
プライマー5’E2NotIは、(制限酵素の認識を確実にする)5ヌクレオチドの領域、その後のNotI部位、ATG(人工的な開始コドン)、次いで適切なSPDV配列(2281〜2301)を含有する。プライマー3’E2NotIは、クローン3において上記に記載されている通りである。1314ntのcDNA産物をpFastBac1およびpcDNA3.1の両方のNotI部位にクローン化した。
【0052】
昆虫細胞(SF−9)に4つの組換えバキュロウイルス構築物を感染させた。不活化PDウイルス全体に対して惹起させたモノクローナル抗体を使用して、IFT染色をこれらの組換えバキュロウイルス感染SF−9細胞に対して行った。すべての産生タンパク質がモノクローナル抗体と陽性に反応し、このことは、組換えタンパク質が野生型エピトープを有していることを示している。
【0053】
抗原投与実験
4つの構築物のすべてによって産生されたタンパク質を、Triton抽出を使用して回収した。タンパク質を、生きている組換えバキュロウイルスが環境に伝搬する可能性を防止するためにBPL不活化処理した。タンパク質を油中水型ワクチン配合物に配合して、0.2mlのワクチン容量で注射した。
【0054】
抗PD−E2モノクローナル(2D9捕獲および7A2)を使用するELISA分析によって、投与組換えワクチンあたりの反応性エピトープの量は、従来の不活化PDウイルスワクチンの用量で見出されるエピトープ量に匹敵するか、またはさらに多いことが明らかにされた。
【0055】
大西洋サケにおいてワクチン接種後の8週目に行われた標準化抗原投与実験によって、サケPDウイルスによる抗原投与からの保護がこれらの組換えサブユニットワクチンで得ることができることが示された。実験において、膵臓、骨格筋および心筋における傷害を通常の方法で評価した。有意水準をKruskal−Wallisの一元分散分析(非母数検定)により計算した。E2タンパク質またはE2−E3タンパク質を含むワクチン配合物は、不活化PDウイルスワクチンで得られるのと類似する保護レベルをもたらしたが、p130構築物およびp98構築物から、それぞれ、得られる組換えタンパク質を含むワクチンは、不活化PDウイルスワクチンよりも低い保護レベルであった。
【0056】
抗体の作製
p130ヌクレオチド構築物の発現から得られるタンパク質を用いたDNAワクチン接種を、組換えタンパク質の抗原性を調べるためにマウスで行った。p130−pcDNA3.1組換え発現プラスミド(クローン1を参照のこと)を用いた2回の筋肉内接種後、マウスの血清は、インビトロで得られたPDウイルスとの抗体反応を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PDの構造タンパク質をコードする様々なクローン化されたヌクレオチド配列の構造的配置を示す。
【図2】 E2遺伝子C末端/「長型」6K遺伝子/E1遺伝子N末端のヌクレオチド配列を示す。
【配列表】
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Claims (8)

  1. 配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする魚膵臓病ウイルスの構造タンパク質。
  2. 請求項1に記載される魚膵臓病ウイルスの構造タンパク質をコードするヌクレオチド。
  3. 請求項1に記載されるタンパクまたは請求項2に記載されるヌクレオチドを含む薬学的組成物。
  4. 非ヒト動物の医薬として使用するための請求項1に記載されるタンパク質または請求項2に記載されるヌクレオチド
  5. 薬学的に許容可能なキャリアと、請求項2に記載のヌクレオチドが転写調節配列に機能的に連結されているDNAプラスミドを含むDNAワクチン。
  6. 請求項2に記載のヌクレオチドの1つまたは複数をその遺伝物質に含むように改変されている弱毒化された生細菌または生ウイルスを含むベクターワクチン。
  7. 請求項1に記載の構造PDタンパク質と薬学的に許容可能なキャリアとを含むワクチン。
  8. 請求項1に記載のタンパク質または請求項2に記載の1つまたは複数のヌクレオチドまたはそのフラグメントを含む診断キット。
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