JP4322105B2 - 光記録媒体の記録方法及び記録装置 - Google Patents
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Description
種々の光記録媒体の中でもCD−R,DVD−R,DVD+Rなど、有機色素を含む記録層(色素含有記録層ともいう)を有する光ディスクは比較的安価で、且つ、再生専用の光ディスクとの互換性を有するため、特に広く用いられている。
このようなCD−Rには、例えば図11に示すように、リードインエリアの内周側に、レーザ光の記録パワーの最適化(OPC:Optimum Power Control)を行なうためのパワーキャリブレーションエリア(PCA:Power Calibration Area)が設けられている(例えば特許文献1参照)。このPCAはOPC領域とOPC管理領域とに区分され、各領域はそれぞれ100個のパーティションから構成されており、1回のOPC処理につき、各領域において1個のパーティションが使用されるようになっている。また、このとき、OPC領域のパーティションは外周側から内周側へ向かって使用され、OPC管理領域のパーティションは内周側から外周側へ向かって使用されるようになっている。
さて、同じく代表的な片面型DVD−R(片面1層DVD−R)は、第1の透明ディスク基板上に色素含有記録層、反射層、これらを覆う保護層をこの順に有し、さらに保護層の上に接着層を介して或いは介さずに、第2のディスク基板(透明でも不透明でも良い)上に反射層を形成したいわゆるダミーディスクを設けた積層構造であり、第1の透明ディスク基板を通して片面側からレーザ光にて記録・再生を行なうものである。ダミーディスクは透明又は不透明なディスク基板のみであっても良いし、反射層以外の層を設けていても良い。
なお、CD−RやDVD−Rは色素記録層の化学変化を利用した光ディスクであり、書き込みが1回だけ可能である(即ち、書き換えが不可能である)のに対し、CD−RW,DVD−RWは記録層の結晶変化を利用した相変化型の光ディスクであり、複数回の書き換えが可能になっている。また、このような相変化型の光ディスクでは、一般に記録層の上下に保護層が設けられている。
ところで、近年、複数の記録層を有する光記録媒体においては、記録再生装置が大型化,複雑化しないようにし、また、複数の記録層にわたる連続的な再生を可能とし、さらに、利便性を向上させるべく、片面側からレーザ光を照射することによってこれらの複数の記録層に対して記録・再生を行なうことができる片面入射型光記録媒体(例えば片面入射2層DVD−R)を実現することが望まれている。
例えば貼り合わせ型のデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−Rは、第1透光性基板5上に、記録用レーザ光の照射により光学的に情報が記録し得る有機色素からなる第1記録層12と、再生用レーザ光の一部を透過し得る半透光性反射膜で構成された第1反射層13と、記録用レーザ光及び再生用レーザ光に対して透光性を有する中間層11と、記録用レーザ光の照射により光学的に情報が記録し得る有機色素からなる第2記録層12′と、再生用レーザ光を反射する第2反射層13′と、第2透光性基板5′とを順に積層して構成される。
特に、第1記録層12に情報が記録された状態であるか否かで第1記録層12の複素屈折率が変化し、透過光量も変化するため、第2記録層12′の最適な記録パワーが大きく変化してしまうおそれがある。
このため、例えば、各記録層への記録前に、各記録層のデータ記録領域の内周側でOPC(Optimum Power Control)を行なって最適パワーを求めておき、各記録層にデータを記録する際には、予め求めておいた最適パワーになるように例えばレーザダイオードのパワー(レーザパワー)を制御してデータの記録を行なうことが考えられる。
また、温度が上がると、レーザダイオードから出力されるレーザ光の波長が長波長側にシフトしていく傾向がある。特に、CD−R,DVD−Rでは、レーザ光の波長よりも短波長側に最大吸収波長があり、長波長になるほど吸収が小さくなるので、記録光としてのレーザ光の波長が長波長側にシフトしてしまうと、記録感度が悪くなり、従って、同じように記録するためには、より大きなレーザパワーが必要になる。
このため、予め求めておいた最適パワーになるようにレーザダイオードの電流値を設定してレーザパワーを制御したとしても、例えばレーザダイオードの温度変化などに起因して実際に出力されるレーザパワーは変化してしまい、良好な記録を行なえない場合がある。
特に、各記録層に連続してデータを記録するためには、各記録層への記録直前に各記録層でOPCを行なうことができないため、前もって行なったOPCでの最適パワーを用いざるを得ず、レーザ光源の温度変化などに対応できないため、各記録層での良好な記録を実現するのは難しい。
さらに、記録開始時記録パワー設定ステップにおいて、実際の記録パワーの変化を、レーザ光源の出射光量に基づいて推定するのも好ましい。
また、記録開始時記録パワー設定ステップにおいて、実際の記録パワーの変化を、ランニングOPCで設定されるレーザ電流値に基づいて推定するのも好ましい。
また、一の記録層への記録と他の記録層への記録とを連続して行なうようにするのも好ましい。
さらに、OPC記録パワー設定ステップを、光記録媒体への記録前に全ての記録層について予め行なっておき、記録開始時記録パワー設定ステップを、一の記録層への記録後、他の記録層への記録前に行なうようにするのも好ましい。
本発明の光記録媒体の記録装置は、複数の記録層を有する光記録媒体の記録装置であって、複数の各記録層への記録前にオプティマム・パワー・コントロール(以下、OPCという)を行なって各記録層のOPC記録パワーを設定する制御演算部をそなえ、制御演算部が、一の記録層のOPC記録パワーに対する実際の記録パワーの変化に基づいて他の記録層のOPC記録パワーを補正して、他の記録層への記録開始時の記録パワーを設定するように構成されることを特徴としている。
さらに、制御演算部を、実際の記録パワーの変化を、レーザ光源の出射光量に基づいて推定するように構成する。
また、制御演算部を、実際の記録パワーの変化を、ランニングOPCで設定されるレーザ電流値に基づいて推定するように構成する。
また、制御演算部を、一の記録層への記録と他の記録層への記録とを連続して行なうように構成する。
さらに、制御演算部を、各記録層のOPC記録パワーの設定を、光記録媒体への記録前に全ての記録層について予め行なっておき、他の記録層への記録開始時の記録パワーの設定を、一の記録層への記録後、他の記録層への記録前に行なうように構成する。
さらに、記録層が、色素含有記録層であるものに適用するのが好ましい。
〔A〕第1実施形態
本実施形態にかかる光記録媒体の記録方法及び記録装置は、複数の記録層を有する光記録媒体全般に適用しうる。
例えば、複数の記録層を有し、片面側から光(レーザ光)を入射させることでそれぞれの記録層にデータ(情報)の記録又は再生を行なうことができる片面入射型光記録媒体(片面入射型DVD)にデータ(情報)を記録するのに用いるのが好ましい。
ここで、片面入射型光記録媒体(光ディスク)としては、例えば2つの色素含有記録層を有するデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−R(片面2層DVD−R,片面2層DVDレコーダブル・ディスク)があり、これには、積層型と貼り合わせ型とがある。
〔1〕光記録媒体の積層構造
まず、本実施形態に係る、積層構造の異なる2つのタイプの光記録媒体(積層型のデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−R)について説明する。
〔1−1〕タイプ1の光記録媒体
図1は本実施形態に係る光記録媒体(タイプ1)を示す模式的な断面図である。
(1)第1基板1について
第1基板1は、透明であるほか複屈折率が小さいなど光学特性に優れることが望ましい。また射出成形が容易であるなど成形性に優れることが望ましい。吸湿性が小さいと反りなどを低減できるので望ましい。
このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるものを用いることができる。或いは、ガラス等の基体上に、光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も使用できる。なお、放射線とは、光(紫外線、可視光線、赤外線など)、電子線などの総称である。
第1基板1は薄い方が好ましく、通常厚さは2mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。対物レンズと記録層の距離が小さく、また、基板が薄いほどコマ収差が小さい傾向があり、記録密度を上げやすい。但し光学特性、吸湿性、成形性、形状安定性を十分得るためにはある程度の厚みが必要であり、通常10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上である。
具体的に説明する。片面型DVD−Rシステムにおいては、基板厚さ0.6mmのときに対物レンズと記録層との距離が最適になるよう調節されている。
なお、第2記録層5と半透明反射層3の間にバッファー層や保護層など他の層がある場合は、0.6mmから、それらの層と中間樹脂層4の膜厚の和の2分の1を減じた厚さであることが最も好ましい。
(2)第1記録層2について
第1記録層2は、通常、片面型記録媒体(例えばCD−R,DVD−R,DVD+R)等に用いる記録層と同程度の感度である。
更に、第1記録層2と半透明反射層3との組合せにおいて、光の反射、透過及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。記録感度を高くし、かつ記録時の熱干渉を小さくできる。
本光記録媒体の記録層(なお、以下「記録層」という場合には、特にことわり書きのない限り、第1の記録層1と第2の記録層2とをともに指すものとする。)に使用される有機色素は、350〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有し、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が好ましい。通常CD−Rに用いられるような波長770〜830nm程度の近赤外レーザ(代表的には780nm,830nmなど)や、DVD−Rに用いられるような波長620〜690nm程度の赤色レーザ(代表的には635nm,650nm,680nmなど)、あるいは波長410nmや515nmなどのいわゆるブルーレーザなどでの記録に適する色素がより好ましい。
また記録層は、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は10〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、加熱あるいは溶媒蒸気にあてる等の処理を行っても良い。
(3)半透明反射層3について
半透明反射層3は、ある程度の光透過率を持つ反射層である。つまり、光の吸収が小さく、光透過率が40%以上あり、かつ適度な光反射率(通常、30%以上)を持つ反射層である。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、半透明反射層3の上層(ここでは中間樹脂層4)の浸み出しにより第1記録層2が影響されないよう遮断性を持つことが望ましい。
半透明反射層3の材料としては、再生光の波長で反射率が適度に高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く半透明反射層3の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分を含んでいても良い。
半透明反射層3は膜厚が薄く、膜の結晶粒が大きいと再生ノイズの原因となるため、結晶粒が小さい材料を用いるのが好ましい。純銀は結晶粒が大きい傾向があるためAgは合金として用いるのが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有し、かつ少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNdなどである。
また、半透明反射層3としてSiからなる層を用いることも可能である。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
(4)中間樹脂層4について
中間樹脂層(樹脂層)4は、透明である必要があるほか、凹凸により溝やピットが形成可能である必要がある。また接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。
さらに、中間樹脂層4は、半透明反射層3にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に後述のバッファー層を設けることもできる。
中間樹脂層4の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)などの放射線硬化性樹脂等を挙げることができる。なお、放射線とは、光(紫外線、可視光線、赤外線など)、電子線などの総称である。
ラジカル系紫外線硬化性接着剤としては、公知の全ての組成物を用いることができ、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、本発明では、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
更に、本光記録媒体に使用する光重合開始剤は、用いる重合性オリゴマーおよび/または重合性モノマーに代表される紫外線硬化性化合物が硬化できる公知のものがいずれも使用できる。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本光記録媒体に好適である。
ヨードニウム塩の1例を示すと以下の通りである。ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
エポキシ樹脂としては、反射層にダメージを与えないよう、遊離したフリーの塩素および塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量が1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
(5)第2記録層5について
第2記録層5は、通常、片面型記録媒体(例えばCD−R,DVD−R,DVD+R)等に用いる記録層よりも高感度である。本光記録媒体においては、入射した光ビームのパワーが半透明反射層3の存在等で2分され、第1記録層2の記録と第2記録層5の記録とに振り分けられるため、約半分のパワーで記録するために、特に感度が高い必要があるのである。
更に、第2記録層5と反射層6との組合せにおいて、光の反射及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。記録感度を高くし、かつ記録時の熱干渉を小さくできる。
第2記録層5の材料、成膜方法等についてはほぼ第1記録層2と同様に説明されるため、異なる点のみ説明する。
(6)反射層6について
反射層6は、高反射率である必要がある。また、高耐久性であることが望ましい。
高反射率を確保するために、反射層6の厚さは通常、20nm以上が好適である。より好適には30nm以上である。更に好ましくは50nm以上である。但し、生産のタクトタイムを短くし、コストを下げるためにはある程度薄いことが好ましく、通常400nm以下とする。より好ましくは300nm以下とする。
反射層6は高耐久性(高耐食性)を確保するため、Agは純銀よりもAgは合金として用いるのが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有し、かつ少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNdなどである。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層6として用いることも可能である。
反射層6を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、反射層6の上下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層又は接着層を設けることもできる。
(7)接着層7について
接着層7は、透明である必要はないが、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。
本光記録媒体において、接着層7の膜厚は、通常2μm以上が好ましい。所定の接着力を得るためにはある程度の膜厚が必要である。より好ましくは5μm以上である。但し光記録媒体をできるだけ薄くするために、また硬化に時間を要し生産性が低下するなどの問題があるため、通常、100μm以下が好ましい。
(8)第2基板8について
第2基板8は、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。即ち機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。また接着層7との接着性が高いことが望ましい。
このような材料としては、第1基板1に用いうる材料と同じものが用い得るほか、例えば、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板などを用いることができる。
光記録媒体に十分な剛性を持たせるために、第2基板8はある程度厚いことが好ましく、厚さは0.3mm以上が好ましい。但し薄いほうが記録再生装置の薄型化に有利であり、好ましくは3mm以下である。より好ましくは1.5mm以下である。
第1基板1と第2基板8の好ましい組合せの一例は、第1基板1と第2基板8とが同一材料からなり、厚さも同一である。剛性が同等でバランスが取れているので、環境変化に対しても媒体として変形しにくく好ましい。この場合、環境が変化したときの変形の程度や方向も両基板で同様であると好ましい。
(9)その他の層について
上記積層構造において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。或いは媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。具体的には、半透明反射層3と中間樹脂層4との間、中間樹脂層4と第2記録層5との間、反射層6と接着層7との間、などに中間層としてのバッファー層を設けてもよい。
バッファー層の材料は、第2記録層5や中間樹脂層4と相溶せず、かつ、ある程度の光透過性をもつ必要があるが、公知の無機物及び有機物が用いうる。特性面からは、好ましくは無機物が用いられる。例えば、(1)金属又は半導体、(2)金属又は半導体の酸化物、窒化物、硫化物、酸硫化物、フッ化物又は炭化物、もしくは(3)非晶質カーボン、などが用いられる。中でも、ほぼ透明な誘電体からなる層や、ごく薄い金属層(合金を含む)が好ましい。
バッファー層の厚さは2nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上である。バッファー層の厚さが過度に薄いと、上記の混和現象の防止が不十分となる虞がある。但し2000nm以下が好ましく、より好ましくは500nm以下である。バッファー層が過度に厚いと、混和防止には不必要であるばかりでなく、光の透過率を低下させる恐れもある。また無機物からなる層の場合には成膜に時間を要し生産性が低下したり、膜応力が高くなったりする虞があり200nm以下が好ましい。特に、金属の場合は光の透過率を過度に低下させるため、20nm以下程度が好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本光記録媒体においては、3〜50μmが好ましい。
或いは、本層構成の光記録媒体を2枚、第1基板1を外側にして貼合わせて、記録層を4層有する、より大容量媒体とすることもできる。
〔1−2〕タイプ2の光記録媒体
図2は本実施形態に係る光記録媒体(タイプ2)を示す模式的な断面図である。
本実施形態に係る貼り合わせ型のデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−Rの第1基板21,第1記録層22,半透明反射層23,第2記録層25,反射層26はそれぞれ、第1実施形態に係る積層型のデュアルレイヤタイプの片面入射型DVD−Rの第1基板1,第1記録層2,半透明反射層3,第2記録層5,反射層6と略同様の構成である。
さらに、中間層としてのバッファー層28は、第1実施形態において説明したバッファー層と略同様の構成である。なお、このバッファー層は必要に応じて形成するようにしても良い。
第2基板27には凹凸(記録トラック)を形成するので成形性がよいことが望ましい。また、透明である必要はないが、製造工程上、透明であると、第2記録層25の膜厚測定がしやすいので好ましい。
第2基板27には、凹凸が螺旋状又は同心円状に設けられ、溝及びランドを形成する。通常、このような溝及び/又はランドを記録トラックとして、第2記録層25に情報が記録又は再生される。通常、第2記録層25は塗布形成されるので溝部で厚膜となり記録又は再生に適する。本光記録媒体においては第2基板27の溝部、即ち光の入射方向に対して凹部を記録トラック32とするのが好ましい。ここで、凹部、凸部はそれぞれ光の入射方向に対する凹部、凸部を言う。通常、溝幅は50〜500nm程度であり、溝深さは10〜250nm程度である。また記録トラックが螺旋状である場合、トラックピッチは0.1〜2.0μm程度であることが好ましい。この他に必要に応じ、ランドプリピット等の凹凸ピットを有してもよい。
なお、本発明は、上述のような構成を有する色素含有記録層を含む追記型光記録媒体(DVD−R)にデータを記録するのに適しているが、複数の記録層を備える光記録媒体(多層光記録媒体)であれば、他の構成の光記録媒体であっても本適用を適用することができる。例えば、記録層として例えば結晶状態の部分を未記録状態・消去状態とし、非晶質状態の部分を記録状態とする相変化型記録層を含む書換型光記録媒体(例えばDVD−RW,DVD+RW,DVD−RAMなど)や記録層として磁性記録層を含む光磁気型の光記録媒体であっても良い。また、例えば、いわゆる基板面入射型の光記録媒体だけでなく、いわゆる膜面入射型の光記録媒体であっても良い。
〔2〕光記録媒体の記録装置
次に、本実施形態にかかる光記録媒体の記録装置について、図3を参照しながら説明する。
また、データ記録中は、制御演算部260は、光記録媒体251で反射して戻ってくる光(反射光;記録光の戻り光)の光量をモニタし、記録マークが形成される際の反射光量の低下(反射光量の変化量)が一定になるように(アシンメトリが一定になるように)、記録パワー(レーザパワー)を制御するようになっている。
記録された情報の再生は、レーザ光により、光学特性の変化が起きている部分と起きていない部分の反射率の差を読み取ることにより行なう。
使用されるレーザ光は、高密度記録のため波長は短いほど好ましいが、特に350〜530nmのレーザ光が好ましい。かかるレーザ光の代表例としては、中心波長405nm、410nm、515nmのレーザ光が挙げられる。
〔3〕光記録媒体の記録方法
次に、上述のように構成される光記録媒体の記録装置250の制御演算部260が所定のプログラムを実行して行なう処理(光記録媒体の記録方法)について、図4を参照しながら説明する。
なお、本光記録媒体の記録装置250では、光記録媒体251への記録前に(例えば媒体装着時など)、制御演算部260からの指令に基づいて、光記録媒体251に各記録層2,5(22,25)のレイヤ情報と関連づけて記録されている記録推奨パワーなどの記録条件を読み出し、これを各記録層2,5(22,25)のレイヤ情報と関連づけてメモリ260Bに記憶するようになっている。
次に、制御演算部260は、光ピックアップ257を制御することで、第1記録層2(22)に対してフォーカスサーボをかけ、レーザドライバ259を介して半導体レーザ253から出力されるレーザ光のパワー(レーザパワー)のオプティマム・パワー・コントロールを行なう(ステップS20)。なお、ここでは、制御演算部260は、第1記録層2(22)のレイヤ情報に基づいてメモリ260Bから記録推奨パワーを読み出し、読み出した記録推奨パワーに基づいてOPCを行なうようになっている。また、この制御演算部260の機能をオプティマム・パワー・コントロール部(最適パワー制御部)という。
このように、全ての記録層[ここでは第1記録層2(22)及び第2記録層5(25)]についてOPCを行なった後で、それぞれの記録層2,5(22,25)にデータを記録することになるが、上述したように、ここでは、まず第2記録層5(25)にデータの記録を行ない、連続して第1記録層2(22)にデータの記録を行なうようにしている。
したがって、前述した記録装置及び記録方法によれば、各記録層2,5(22,25)にデータを記録する際の記録パワーを精度良く調整できるようになり、各記録層2,5(22,25)に対して良好な記録を行なえるようになるという利点がある。この結果、例えば複数の記録層2,5(22,25)を有する光記録媒体251の各記録層2,5(22,25)に連続記録する場合に、各記録層2,5(22,25)に対して良好な記録を行なえるようになる
なお、上記では、第2記録層5,25への記録の後、第1記録層2,22への記録を行なう場合について説明したが、第1記録層2,22への記録の後、第2記録層5,25への記録を行なうことももちろん可能である。
〔4〕光記録媒体のエリア構成及び記録パワーの最適化
通常、第1基板1,21側からレーザ光を照射して媒体に記録を行なう場合、まず第1記録層2,22への記録を行ない、第1記録層2,22において記録可能な領域がなくなったら、第2記録層5,25への記録を開始するようになっている。
本光記録媒体では、各記録層に実際に記録を開始する前に、パワーキャリブレーションエリア(PCA)を利用して、各記録層におけるレーザ光の記録パワーの最適化(OPC)を行なうようになっている。
また、第2記録層5,25には、ディスクの内周側から外周側へ向かって、PCA61、所定エリア62、ユーザデータエリア63が設けられている。
図5(B)に示すように、第1記録層2,22のPCA52は、レーザ光を照射して試し書きを行なうためのOPC領域52aと、試し書き回数等を記録しておくためのOPC管理領域52bとに区分けされ、各領域52a,52bはそれぞれ複数のパーティションから構成されており、1回のOPC処理につき、各領域52a,52bにおいて1個のパーティション(2418byte)が使用されるようになっている。なお、例えば、OPC領域52aのパーティションは外周側から内周側へ向かって使用され、OPC管理領域52bのパーティションは内周側から外周側へ向かって使用されるようになっている。
本光記録媒体は、上述のように構成されているので、第1記録層2,22への記録を開始する前に、第1記録層2,22のPCA52において第1記録層2,22のOPC処理を行なう。このとき、レーザ光から見て第1記録層2,22のOPC領域52aと重なる第2記録層5,25が未記録状態になっているので、第1記録層2,22のOPC処理をより実際の記録状況に近づけて行なうことができ、第1記録層2,22の最適な記録パワーを決定することができる。
第1記録層2,22全域への記録が終了したら、第2記録層5,25のPCA61において第2記録層5,25のOPC処理を行なう。このとき、レーザ光から見て第2記録層5,25のOPC領域61aと重なる第1記録層2,22が予め記録された状態になっているので、第2記録層5,25のOPC処理をより実際の記録状況に近づけて行なうことができ、第2記録層5,25の最適な記録パワーを決定することができる。
なお、上述したように、レーザ光の推奨記録パワー値を予め媒体に記録しておいてももちろん良い。具体的には、各記録層2,5(22,25)の推奨記録パワー値を、各記録層2,5(22,25)の記録トラックのウォブルによって記録しておく。あるいは、各記録層2,5(22,25)の記録管理領域〔RMA;Recording Management Area:PCAとリードインエリアとの間に形成された領域(図示省略)〕にプリピット(ランドプリピット)等によって記録しておく。このように記録された推奨記録パワー値を、OPC処理を実行する際に参照すれば、より迅速に最適な記録パワーを決定することが可能となる。
ただし、この場合、第2記録層5,25への記録を行なっている時には第1記録層2,22は未記録状態であるので、第1記録層2,22の所定エリア51を未記録状態としておくことが好ましい。このようにすれば、第2記録層5,25のOPC処理をより実際の記録状況に近づけて行なうことができ、第2記録層5,25の最適なパワーを決定することが可能となる。
〔5〕他の光記録媒体の記録方法
以下、本実施形態にかかる他の光記録媒体の記録方法、即ち、上述のように構成される光記録媒体の記録装置250の制御演算部260が所定のプログラムを実行して行なう処理について、図8,図9(A),図9(B),図10(A),図10(B)を参照しながら説明する。
次に、制御演算部260は、光ピックアップ257を制御することで、第1記録層2(22)に対してフォーカスサーボをかけ、レーザドライバ259を介して半導体レーザ253から出力されるレーザ光のパワー(レーザパワー)のオプティマム・パワー・コントロール(最適パワー制御,OPC;Optimum Power Control)を行なう(ステップA20)。なお、ここでは、制御演算部260は、第1記録層2(22)のレイヤ情報に基づいてメモリ260Bから記録推奨パワーを読み出し、読み出した記録推奨パワーに基づいてOPCを行なうようになっている。また、この制御演算部260の機能をオプティマム・パワー・コントロール部(最適パワー制御部)という。
このように、本実施形態では、全ての記録層[ここでは第1記録層2(22)及び第2記録層5(25)]についてOPCを行なった後で、それぞれの記録層2,5(22,25)にデータを記録することになるが、ここでは、以下のように、まず第2記録層5(25)にデータの記録を行ない、連続して第1記録層2(22)にデータの記録を行なうようにしている。
光記録媒体251の内周側から外周側に向かってデータの記録を行なう場合にランニングOPCを行なうと、図9(A)に示すように、半導体レーザ253に供給されるレーザ電流値は徐々に大きくなっていく傾向がある。
また、図9(B)はランニングOPCを行なう場合の光記録媒体251の半径方向位置と半導体レーザ253から出力されるレーザ光の記録パワー(レーザパワー)との関係を示す図である。なお、図9(B)では、OPCで得られた最適パワー(OPC記録パワー)をPopcとしている。
このため、ランニングOPCを行ないながら記録すると、データ記録終了側(ここでは光記録媒体251の外周側)では、実際の記録パワーは、OPCで得られた最適パワー(OPC記録パワー)Popcよりも大きくなってしまう。なお、ランニングOPCでは反射光量に基づいてフィードバック制御を行なうため、ランニングOPCを行ないながら記録するとアシンメトリは一定になる。
なお、ここでは、ランニングOPCを行なっているが、ランニングOPCは行なわなくても良い。
光記録媒体251の内周側から外周側に向かってデータの記録を行なう場合にランニングOPCを行なわないと、図10(A)に示すように、半導体レーザ253に供給されるレーザ電流値は一定である。
また、図10(B)はランニングOPCを行なわない場合の光記録媒体251の半径方向位置と半導体レーザ253から出力されるレーザ光の記録パワー(レーザパワー)との関係を示す図である。なお、図10(B)では、OPCで得られた最適パワー(OPC記録パワー)をPopcとしている。
このため、データ記録終了側(ここでは光記録媒体251の外周側)では、実際の記録パワーは、OPCで得られた最適パワー(OPC記録パワー)Popcよりも小さくなってしまう。なお、ランニングOPCを行なわないで記録するとアシンメトリは徐々に下がっていくことになる。
ここで、本実施形態では、制御演算部260は、第2記録層5(25)の最後のデータ(第2記録層に記録する記録データの最終アドレスに記録するデータ)を記録するために設定した記録パワー(記録パワーに対応するレーザ電流値)をメモリ260Bに記憶させるようにしている。
また、上述したように、本実施形態では、ランニングOPCで、第2記録層5(25)にデータを記録する際に反射光量に基づいて記録パワーを設定するようにしているため、実際の記録パワー(の変化)を、第2記録層5(25)に最後のデータを記録する時(記録終了時)の光記録媒体からの反射光量に基づいて推定していることになる。なお、この制御演算部260の機能を記録パワー推定部という。
次に、制御演算部260は、第2記録層5(25)の最適パワーに対する実際の記録パワーの変化に基づいて、予め求めておいた第1記録層2(22)の最適パワーを補正して、第1記録層2(22)の記録開始時の記録パワーを設定する(ステップA60)。この制御演算部260の機能を最適パワー補正部という。
そして、第2記録層5(25)への記録に続き、連続して第1記録層2(22)への記録を行なう際に、制御演算部260は、第1記録層2(22)についてOPCを行なうことなく、半導体レーザ253の記録パワーを第1記録層2(22)の記録開始時の記録パワー(記録パワーに対応するレーザ電流値)に制御して、第1記録層2(22)の外周側から内周側に向かって前半の連続データを記録する(ステップA70)。なお、本実施形態では、第1記録層2(22)への記録の際にも、上述の第2記録層5(25)への記録の場合と同様に、ランニングOPCを行なうようになっている。また、この制御演算部260の機能をデータ記録部という。
さらに、例えば、制御演算部260が、実際の記録パワーの変化を、第2記録層5(25)に最後のデータを記録する時(記録終了時)までのレーザ照射時間に基づいて推定するようにしても良い。この方法は、ランニングOPCを行ないながら記録する場合だけでなく、ランニングOPCを行なわないで記録する場合にも適用できる。なお、この制御演算部260の機能を記録パワー推定部という。
例えば、レーザ照射時間と記録パワーの関係を示すテーブルを予め用意しておき、このテーブルを用いて、レーザ照射時間に基づいて、実際の記録パワーの変化を推定すれば良い。
〔B〕第2実施形態
本実施形態は、第1実施形態とは光記録媒体のエリア構成及び記録パワーの最適化が異なる。
図6(A)に示すように、本光記録媒体(タイプ1及びタイプ2)では、第1記録層2,22の内周側から外周側へ記録が行なわれた後、第2の記録層5,25の外周側から内周側へ記録が行なわれる。
図6(A)に示すように、本光記録媒体の第1記録層2,22には、ディスクの内周側から外周側へ向かって、PCA71、ユーザデータエリア73、所定エリア75が設けられている。
なお、ユーザデータエリア73,83には、リードインエリア、情報記録エリア、リードアウトエリア等が含まれる。
図6(B)に示すように、第1記録層2,22のPCA71は、レーザ光を照射して試し書きを行なうためのOPC領域71aと、試し書き回数等を記録しておくためのOPC管理領域71bとに区分けされ、各領域71a,71bはそれぞれ複数のパーティションから構成されており、1回のOPC処理につき、各領域71a,71bにおいて1個のパーティション(2418byte)が使用されるようになっている。なお、例えば、OPC領域71aのパーティションは外周側から内周側へ向かって使用され、OPC管理領域71bのパーティションは内周側から外周側へ向かって使用されるようになっている。
本光記録媒体は、上述のように構成されているので、第1記録層2,22への記録を開始する前に、第1記録層2,22のPCA71において第1記録層2,22のOPC処理を行なう。このとき、レーザ光から見て第1記録層2,22のOPC領域71aと重なる第2記録層5,25が未記録状態になっているので、第1記録層2,22のOPC処理をより実際の記録状況に近づけて行なうことができ、第1記録層2,22の最適な記録パワーを決定することができる。
第1記録層2,22全域への記録が終了したら、第2記録層5,25のPCA85において第2記録層5,25のOPC処理を行なう。このとき、レーザ光から見て第2記録層5,25のOPC領域85aと重なる第1記録層2,22が予め記録された状態になっているので、第2記録層5,25のOPC処理をより実際の記録状況に近づけて行なうことができ、第2記録層5,25の最適な記録パワーを決定することができる。
また、第1実施形態と同様に、レーザ光の推奨記録パワー値を予め媒体に記録しておいても良い。こうすることで、OPC処理を実行する際に、この推奨記録パワー値を参照すれば、より迅速に最適な記録パワーを決定することが可能となる。
〔C〕第3実施形態
本実施形態は、第1実施形態とは光記録媒体のエリア構成及び記録パワーの最適化が異なる。
図7(A)に示すように、本光記録媒体(タイプ1及びタイプ2)では、第2記録層5,25の内周側から外周側へ記録が行なわれた後、第1記録層2,22の外周側から内周側へ記録が行なわれる。
図7(A)に示すように、本光記録媒体の第2記録層5,25には、ディスクの内周側から外周側へ向かって、PCA101、ユーザデータエリア103、所定エリア105が設けられている。
なお、ユーザデータエリア93,103には、リードインエリア、情報記録エリア、リードアウトエリア等が含まれる。
図7(B)に示すように、第2記録層5,25のPCA101は、レーザ光を照射して試し書きを行なうためのOPC領域101aと、試し書き回数等を記録しておくためのOPC管理領域101bとに区分けされ、各領域101a,101bはそれぞれ複数のパーティションから構成されており、1回のOPC処理につき、各領域101a,101bにおいて1個のパーティション(2418byte)が使用されるようになっている。なお、例えば、OPC領域101aのパーティションは外周側から内周側へ向かって使用され、OPC管理領域101bのパーティションは内周側から外周側へ向かって使用されるようになっている。
本光記録媒体は、上述のように構成されているので、第2記録層5,25への記録を開始する前に、第2記録層5,25のPCA101において第2記録層5,25のOPC処理を行なう。このとき、レーザ光から見て第2記録層5,25のOPC領域101aと重なる第1記録層2,22が未記録状態になっているので、第2記録層5,25のOPC処理をより実際の記録状況に近づけて行なうことができ、第2記録層5,25の最適な記録パワーを決定することができる。
第2記録層5,25全域への記録が終了したら、第1記録層2,22のPCA95において第1記録層2,22のOPC処理を行なう。このとき、レーザ光から見て第1記録層2,22のOPC領域95aと重なる第2記録層5,25が予め記録された状態になっているので、第1記録層2,22のOPC処理をより実際の記録状況に近づけて行なうことができ、第1記録層2,22の最適な記録パワーを決定することができる。
また、第1実施形態と同様に、レーザ光の推奨記録パワー値を予め媒体に記録しておいても良い。こうすることで、OPC処理を実行する際に、この推奨記録パワー値を参照すれば、より迅速に最適な記録パワーを決定することが可能となる。
〔D〕その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
この情報記録層の材質としては、レーザ光を照射することによりその光学定数(屈折率n,消衰係数k)が変化する材料を用いることが好ましい。このような材料としては、TeやSeをベースとするカルコゲナイド、例えばGe−Sb−Te,Ge−Te,Pd−Ge−Sb−Te,In−Sb−Te,Sb−Te,Ag−In−Sb−Te,Ge−Sb−Bi−Te,Ge−Sb−Se−Te,Ge−Sn−Te,Ge−Sn−Te−Au,Ge−Sb−Te−Cr,In−Se,In−Se−Co等を主成分とする合金系、あるいはこれらに窒素,酸素等を適宜添加した合金系を挙げることができる。
書き換え型の光記録媒体においては、OPCを行なうパーティションは任意に選択され、この選択されたパーティションに予め媒体に記録されているパワーの消去用レーザを照射し信号が消去された後に、OPC処理が行われる。なお、書き換え型記録媒体の場合は、信号の記録消去が可能なため、第1記録層を記録した後に第2記録層を記録するというように、必ずしも記録順序が一定ではなく、その使用状況によって記録順序が異なってくる。よって、書き換え型の光記録媒体の場合は、第1記録層及び第2記録層の所定エリアを記録状態としておく方がOPC処理をより実際の記録状況に近づけることができ好ましい。但し、本発明はある記録層にデータを書き終わってから他の記録層に記録し始める、追記型媒体に適用すると効果が高い。
2,22 第1記録層(第1の記録層)
3,23 半透明反射層(第1の反射層)
4 中間樹脂層(中間層)
5,25 第2記録層(第2の記録層)
6,26 反射層(第2の反射層)
7 接着層
8,27 第2基板(第2の基板)
28 バッファー層
11,12,31,32 溝(案内溝)
24 透明接着層(中間層)
51,62,75,81,91,105 所定エリア
52,61,71,85,95,105 PCA(パワーキャリブレーションエリア)
52a,61a,71a,85a,95a,101a OPC領域
52b,61b,71b,85b,95b,101b OPC管理領域
53,63,73,83,93,103 ユーザデータエリア
250 記録装置(ドライブ,ライタ)
251 光記録媒体
252 スピンドルモータ
253 半導体レーザ(レーザ光源)
254 ビームスプリッタ
255 対物レンズ
256 光検出器
257 光ピックアップ
258 アンプ
259 レーザドライバ(駆動部)
260 制御演算部
260A CPU
260B メモリ(記憶部)
261 温度センサ
262 モニタ用フォトダイオード(モニタ用光検出器)
Claims (6)
- 複数の記録層を有する光記録媒体の記録方法であって、
前記各記録層への記録前にオプティマム・パワー・コントロール(以下、OPCという)を行なって前記各記録層のOPC記録パワーを設定するOPC記録パワー設定ステップを備え、
前記OPC記録パワー設定ステップで設定した一の記録層のOPC記録パワーに対する実際の記録パワーの変化に基づいて前記OPC記録パワー設定ステップで設定した他の記録層のOPC記録パワーを補正して、前記他の記録層への記録開始時の記録パワーを設定する記録開始時記録パワー設定ステップとを備えることを特徴とする、光記録媒体の記録方法。 - 前記一の記録層への記録と前記他の記録層への記録とを連続して行なうことを特徴とする、請求項1記載の光記録媒体の記録方法。
- 前記OPC記録パワー設定ステップを、前記光記録媒体への記録前に全ての記録層について予め行なっておき、
前記記録開始時記録パワー設定ステップを、前記一の記録層への記録後、前記他の記録層への記録前に行なうことを特徴とする、請求項1又は2記載の光記録媒体の記録方法。 - 複数の記録層を有する光記録媒体の記録装置であって、
前記複数の各記録層への記録前にオプティマム・パワー・コントロール(以下、OPCという)を行なって前記各記録層のOPC記録パワーを設定する制御演算部を備え、
前記制御演算部が、一の記録層のOPC記録パワーに対する実際の記録パワーの変化に基づいて他の記録層のOPC記録パワーを補正して、前記他の記録層への記録開始時の記録パワーを設定するように構成されることを特徴とする、光記録媒体の記録装置。 - 前記制御演算部が、前記一の記録層への記録と前記他の記録層への記録とを連続して行なうように構成されることを特徴とする、請求項4記載の光記録媒体の記録装置。
- 前記制御演算部が、
前記各記録層のOPC記録パワーの設定を、前記光記録媒体への記録前に全ての記録層について予め行なっておき、
前記他の記録層への記録開始時の記録パワーの設定を、前記一の記録層への記録後、前記他の記録層への記録前に行なうように構成されることを特徴とする、請求項4又は5記載の光記録媒体の記録装置。
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