JP4322045B2 - 微小バンプ作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェムト秒レーザー光やピコ秒レーザー光のような超短パルスレーザー光等を複数の光束に分離し、この光束を干渉させて周期構造の微小なバンプを作製する微小バンプ作製方法関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハードディスク表面のレーザーテクスチャリングや操作プローブ顕微鏡の探針等において、微小なバンプ(突起構造)を作製することが実用化されている。そして最近では、ナノワイヤやナノ微粒子、ナノチューブを使って、電子銃と電界放出ディスプレーの実用化が検討されている。この実用化の鍵はピクセルごとに必要な微小なバンプ、言い換えれば周期構造をもつナノサイズクラスのバンプを希望通りの形態に作製できるか否かに係っているといえる。
【0003】
そこで、まず従来のハードディスク表面におけるレーザーテクスチャリングについて説明する(特許文献1参照)。特許文献1によれば、YAGレーザー等のパルスレーザー発振器からのガウス分布状の光強度分布をもったビームをビーム変換器で光強度分布が中心部に比しその略円環部の方が強い円環状ビームに変換し、その円環状ビームをミラーで変向して集光レンズを通って回転且つ並進する基板の内周側円環帯領域の表面に集光するものである。
【0004】
集光スポット照射の断面は光強度分布が円環状になるため、マランゴニ対流により、溶融部分のうち中心部に比しその周辺の略円環部の方が温度が高く、表面張力が小さいので、中心部に溶融材が集まり、小径の単峰状バンプが確実に形成される。すなわち、以前のレーザーテクスチャリングでは直径10μm(=×10−6m)以上のものしか形成されなかったが、この技術によれば3μm〜6μmが可能になる。しかしこの技術でも、ナノサイズ(10−9m〜10 7m)のバンプを得ることはできない。また、この技術は多ショットの加工と試料の移動が必要で、周期構造のバンプを形成する方法としては実用面で問題があるものであった。
【0005】
ナノワイヤーやナノ微粒子の作製法としては、アーク放電法やレーザーブレーション法、CVD法があるが、作製プロセスの複雑さや作製時間が長いこと、形状コントロール、アセンブルが困難であることなどバンプをつくるには問題が多い。中でも、フェムト秒レーザー光やピコ秒レーザー光のような超短パルスレーザー光(10−15秒〜10−12秒)を1点に集光させ、この超短パルスレーザー光と加工用基材との相互作用によってアブレーションを行うレーザーアブレーション法は、照射エネルギー密度(以下、フルエンス)は大きいが、1本のビームでアブレーションするため、実用上使用可能な周期構造のバンプをつくるためには多ショットの加工と試料の移動が必要で、従来のレーザーテクスチャリングと同じ問題があった。
【0006】
周期構造を得るため、ナノ秒クラスの複数光束の干渉を用いたレーザー装置は提案されているが、超短パルスレーザー光は可干渉性をもつか否かの実証が遅れ、未解決の課題がきわめて多い。このような干渉を用いたフェムト秒レーザー加工装置の提案の1つとして、フェムト秒レーザー光をビームスプリッタにより2光束に分割し、光学遅延回路を用いた光学系を用いて物質表面に集光、干渉させ、ホログラムを作製する技術が開示された(特許文献2参照)。これは、パルス幅が900〜10フェムト秒(10−15秒)、ピーク出力が1GW以上で、フーリエ限界またはそれと近似できるフェムト秒レーザーを光源とし、該レーザーからのパルスをビームスプリッタによって二つに分割し、二つのビームを光学遅延回路(平面ミラー)を介して時間的に制御し、且つ微小回転する平面ミラーと凹面ミラーを用いて空間的に制御し、ホログラムを記録する基材表面または基材内部に、エネルギー密度100GW/cm2以上で集光するものである。このほか、本発明者もフェムト秒レーザー光を回析格子により複数の光束に分割し、集光、干渉させるフェムト秒レーザー加工装置を提案した(非特許文献1参照)。
【0007】
しかし、これらのフェムト秒レーザー加工装置を使って、周期構造の微小なバンプをどのようにすればナノワイヤ等を介さずに直接作製できるのか、どのようにすればバンプ形状をコントロールできるのか、という基本的な点は未解決である
【0008】
【特許文献1】
特開平11−328667号公報
【特許文献2】
特開2001−236002号公報
【非特許文献1】
中田,外2名,「回折光学素子とフェムト秒レーザーを用いた微細周期構造の作製」,第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集,応用物理学会,2002年3月,p.1120
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来のレーザーテクスチャリングはパルス幅がナノ秒のビーム1本で行われており、加工速度が遅く、直径がナノサイズのバンプを作製するのは困難であった。その理由として、従来のナノ秒レーザーなどの光源では、加工を行う時間内に熱伝導によって被加工物の温度が広い範囲へ拡散してしまうことが考えられる。そして、周期構造のバンプを作製するため、ビーム1本で加工するのでは時間がかかりすぎ、実用面からも問題のあるものであった。
【0010】
また、特許文献2のフェムト秒レーザー加工装置は周期構造の加工を念頭に置いたものであり、これだけではバンプを作製するのは困難である。周期構造のバンプを作製するまったく新しい作製方法への期待が高まっている。また、ビームスプリッタを使った特許文献2のフェムト秒レーザーは、1ショットの加工範囲は30μmが限界であり、光学的遅延の調整や軸合わせ等が必要になるものであった。広い加工範囲と取り扱いの容易なレーザー加工装置が望まれる。
【0012】
そこで本発明は、周期構造をもつナノサイズクラスの微小なバンプを容易に加工することができる微小バンプ作製方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上説明した従来の課題を解決するために本発明の微小バンプ作製方法は、フェムト秒からピコ秒領域の超短パルスレーザー光を発振し、出射する超短パルスレーザー光を複数の光束に分離し、分離した光束を干渉させた状態で基板上の薄膜に集光し、この干渉によってバンプ形成閾値以上のフルエンスであってかつ薄膜のバンプ頂点部分に破れが生じるバンプ限界閾値より小さいフルエンスの干渉域を形成し、該干渉域の薄膜を基板と薄膜の熱膨張差により基板から剥離させて周期構造のバンプを作製することを特徴とする。
【0017】
これにより、周期構造をもつナノサイズクラスの微小なバンプを容易に加工することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明は、フェムト秒からピコ秒領域の超短パルスレーザー光を発振し、出射する超短パルスレーザー光を複数の光束に分離し、分離した光束を干渉させた状態で基板上の薄膜に集光し、この干渉によってバンプ形成閾値以上のフルエンスであってかつ薄膜のバンプ頂点部分に破れが生じるバンプ限界閾値より小さいフルエンスの干渉域を形成し、該干渉域の薄膜を基板と薄膜の熱膨張差により基板から剥離させて周期構造のバンプを作製する微小バンプ作製方法であり、レーザー光を干渉させることによりレーザー光のフルエンスを高めることができ、これをバンプ形成閾値以上でバンプ限界閾値より小さいフルエンスとして薄膜を熱膨張差により基板から剥離させることができ、レーザー光が干渉したスポットの薄膜が膨張したナノサイズクラスのバンプを形成することができる。干渉によるスポットの周期性によってバンプをナノサイズクラスの周期構造にすることができる。このとき、超短パルス化によって熱拡散の影響が抑えられ、基板に照射された高エネルギーが熱伝導で均一化する前にエネルギー注入過程が終了するため、ナノサイズクラスの周期性と直径をもった高温部分が多数配列された温度分布を形成することができる。バンプ形成閾値以上で熱膨張差によってせん断力で薄膜が剥がれて膨張し、冷却による固化によって釣鐘状のバンプを形成することができる。そして、バンプ限界閾値より小さいため、バンプに破れを生じ破壊されて開口になることはない。
【0022】
本発明の第の発明は、第1の発明において、干渉域の薄膜を基板と薄膜の熱膨張差と共に、薄膜または基板の一部の蒸発したガスの圧力により基板から剥離させる微小バンプ作製方法であり、熱膨張差と共に、バンプ形成閾値以上で蒸発したガス圧によって薄膜が剥がれて膨張し、釣鐘状のバンプを形成することができる。バンプ限界閾値より小さいため、バンプが破壊されて開口になることはない。
【0023】
本発明の第の発明は、第1または2の発明において、干渉によって前記バンプ限界閾値以上で開口形成閾値より小さいフルエンスの干渉域を形成し、バンプ頂点部分に2段目の突起を形成する微小バンプ作製方法であり、2段目の突起を備えたバンプを生成することができる
【0037】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における微小バンプ作製方法とそのレーザー加工装置及び作製用基板について説明する。あわせて微細メッシュ作製方法についても説明する。図1(a)は薄膜の熱膨張を用いてナノサイズクラスのバンプを形成する説明図、図1(b)はガスの膨張を用いてナノサイズクラスのバンプを形成する説明図、図2(a)は本発明の実施の形態1におけるレーザー加工装置の構成図、図2(b)は反射型回折格子を使用した場合の要部拡大図である。
【0038】
まず、図1(a)(b)に基づいて、実施の形態1における微小バンプ作製方法によってナノサイズクラスの周期構造のバンプが作製できる原理を説明する。図1(a)(b)において、1はナノサイズクラスの周期構造をもつバンプを形成する作製用基板、1aは作製用基板1に形成されたバンプ、1bはバンプ1aを作製したい基板、1cは基板1b上に形成された薄膜である。
【0039】
図1(a)に示すように、レーザー発振して得られたフェムト秒レーザー光またはピコ秒レーザー光(以下、超短パルスレーザー光)を回折によって複数に分離し、これを干渉させて作製用基板1に照射すると、短パルス化によって熱拡散の影響が抑えられ、作製用基板1に注入された高エネルギーが熱伝導で均一化する前にエネルギー注入過程が終了する。これによって、ナノサイズの周期性と直径をもつ温度分布を形成することが可能になる。
【0040】
このとき、照射するレーザー光が、バンプ形成閾値以上でバンプ限界閾値より小さなフルエンス(照射エネルギー密度)のとき、局所的な温度上昇が一定の閾値を越え、様々な形状のバンプを形成することが可能になる。さらにバンプ限界閾値以上のフルエンスのレーザー光を照射すると、バンプが破れ開口が形成され始める。しかし、開口形成閾値になるまでは微小球や2段目のバンプが形成されたり、また一度開いた開口部が閉じたりして、多くの場合完全な開口とは評価できない開口が形成される。条件によっては付帯物は形成されるが開口しない場合もある。付帯物のない開口として許容できる穴を形成するには、開口形成閾値以上のフルエンスのレーザー光を照射する必要がある。要するに、バンプ形成閾値以上でバンプ限界閾値より小さいフルエンスのレーザー光を照射したときにバンプを形成でき、このバンプ限界閾値以上のフルエンスを照射すると2段目のバンプを形成したり完全とはいえない開口が形成されたりする状態になり、さらにフルエンスが開口形成閾値以上になると穴を形成することができる。このバンプ形成閾値、バンプ限界閾値、開口形成閾値は、以下説明するように作製用基板1ごとに材料や基板構造等で決定される。バンプ形成閾値は50nmの金膜を蒸着した石英基板の場合、73mJ/cm2程度であり、バンプ限界閾値は91mJ/cm2程度、開口形成閾値は114mJ/cm2程度である。これらの閾値は薄膜材料や構造、レーザーパルスの時間形状等により変化する。なお、実施の形態1においては超短パルスレーザー光を使用しているが、薄膜1cの材料やコーティング構造の選択、レーザー光を干渉させる光束の数や交差角度、波長を選択することにより、超短パルスレーザー光の場合よりバンプサイズは大きいが、ナノ秒レーザー光でも熱拡散の影響を抑えた温度分布を形成することも可能である。
【0041】
実施の形態1の作製用基板1は、基板1b上に薄膜1cが形成されているため、この温度分布が加わると境界面で剥離を起こし、これに薄膜1cの熱膨張や、薄膜1cあるいは基板1bの材料の蒸発による薄膜1cの押し上げを利用することにより、効率的にバンプを成長させることができる。薄膜材料としては金属類が優れ、基板材料としては石英やガラス等が、易剥離面を形成して変形が容易であるとともに気化の点でも好適である。また、膜厚は目的とするバンプのサイズより薄いことが望ましい。干渉させるレーザー光の本数とフルエンス、その交差角度、時間的遅延の差に応じて、干渉域(干渉スポット)が生成され、この干渉域に応じた加工ができる。このように干渉域をコントロールすることで、バンプ1aの形状や並び、間隔などの配置をコントロールすることができる。
【0042】
ところで、従来の技術で説明したナノ秒レーザー光を用いたテクスチャリングの場合、直径が数μm程度、高さが数十nm程度の構造が形成され、このとき直径が高さより2桁程度大きくなる。すなわち、これは直径が百倍程度広く、アスペクト比(=バンプ高さ/バンプ直径)が非常に小さな(=0.01のオーダ)丘陵状の構造が得られ、バンプとは評価できないものであった。これに対して、本発明は、作製用基板1は基板1b上に薄膜1cが形成されているため、バンプ形成閾値以上でバンプ限界閾値より小さなフルエンスのレーザー光を照射すると、極短時間の発生熱と熱拡散のバランスで以下説明するメカニズムにより、直径が数十〜数百nm、高さも同程度の数十〜数百nmのバンプが形成され、アスペクト比の大きなバンプ(アスペクト比=0.1〜5)が作製可能であり、バンプ形状がコントロールできる。さらに、バンプ限界閾値以上のフルエンスを選択することにより、薄膜1cの破れや表面張力や融合などの流体的な挙動によって、後述する図5(c)(d)に示すように突起構造の頂点部分に2段目となる突起を作製することもできる。開口形成閾値以上のフルエンスを選択すれば開口を形成することができる。さらに、作製用基板1の移送(スキャン)を組み合わせれば、より密な構造や、異なる大きさのバンプや開口を組み合わせた構造も作製できる。
【0043】
このバンプを形成するメカニズムには2つのメカニズムが存在すると推定できる。第1のメカニズムは、図1(a)に示すように、薄膜1cと基板1bの間の熱膨張に差があることによるものである。熱膨張力の差が薄膜1cと基板1bの間をせん断力で分離し、薄膜1cの方が熱膨張で膨れることで釣鐘状に湾曲し、冷却で固化してバンプが作製されるものである。熱膨張の差は、熱膨張率の差やレーザー光の吸収,反射率の差、熱放射度の差などを変化させることで得られる。
【0044】
また、第2のメカニズムは、図1(b)に示すように、薄膜1cあるいは基板1bの一部が蒸発し、その圧力によって薄膜1cを押し上げることによるものである。これらのうち、どちらか一方または両方の発生条件が満たされたときに高いアスペクト比のバンプが形成される。なお、この第2のメカニズムが起こるときは高温のため第1のメカニズムが同時に発生するが、第1,第2のメカニズムのどちらかを主体としてレーザー加工装置に最も適した作製用基板1にすることができる。
【0045】
この第1,第2のメカニズムを生じさせる方法について説明する。いずれも薄膜1cが湾曲する必要があるから、薄膜1cは超短パルスレーザーの波長においてレーザー光を吸収し、それによる温度上昇で軟化する材料である必要がある。なお、温度上昇に対してあまり依存しない場合でも、湾曲可能な柔軟な材料であればよい。金属膜等が好適である。さらに薄膜1cと基板1bが剥離し易い易剥離構造である必要があるが、これは基板1bと薄膜1cの材料の組み合わせによる易剥離構造だけでなく、基板1bと薄膜1cの表面が十分な平滑度の平面で構成された易剥離構造であればよい。薄膜1cと基板1bの間に熱膨張の差は、材料の熱膨張率の差やレーザー光の吸収,反射率の差、熱放射度の差などを変化させることで得られ、これらの1以上を組み合わせて総合的に薄膜1cの熱膨張が基板1bより大きくする必要がある。また、薄膜1cあるいは基板1bの一部を蒸発させ、薄膜1cと基板1bの境界部分で圧力を発生させ薄膜1cを押し上げることができる。
【0046】
このようにして形成されるバンプの形状は、基本的にレーザー光のフルエンスによって決定される。フルエンスがバンプ形成閾値以上でバンプ限界閾値よりかなり小さな場合、上記第1,第2のメカニズムによって薄膜1cが盛り上がり、バンプが形成される。バンプ限界閾値より低いがフルエンスを大きくすると、バンプ1つ当りの面積が大きくなり、それに伴いバンプの高さも高くなる。バンプ限界閾値以上にフルエンスが高くなると、温度上昇により薄膜が液体である時間が長くなり、流体的挙動が支配的になる。そのため液体の張力の影響が大きくなり、ちょうど液体表面に物質を落としたときのように、バンプの上に微小突起があるような複雑な形状が形成される。あるいは、バンプの頂点が破れ、そこから圧力が逃げることで内圧が低下し、それによって穴が閉じる際に頂点部分が融合することでバンプの上に微小突起が形成される。さらに開口形成閾値以上にフルエンスを大きくすると薄膜1cに開口だけが開くようになる。
【0047】
ところで、基板1bを透明基板にすると、薄膜1cの背面側、すなわち透明な基板1bの側からレーザー光を入射することができる。透明基板の上に形成された薄膜1cを加工する場合に、薄膜1cと基板1bの間の部分に背面側からレーザー光を照射することで薄膜1cにバンプを形成したり、加工したり、剥離することも可能である。微小な開口が形成された薄膜1cの場合、これを用いることで薄膜1cを分離して取り出して微細メッシュにすることができる。このとき使用するレーザーはバンプまたは開口作製に用いるレーザー加工装置のフェムト秒レーザー部を使うのでも、または以下説明するフェムト秒レーザー励起用の固体レーザーを用いるのでも、さらに別のレーザーを設けるのでもよい。また、機械的剥離を用いてもよい。
【0048】
続いて、実施の形態1のレーザー加工装置について説明する。図2(a)において、2はフェムト秒レーザー光またはピコ秒レーザー光を生成するフェムト秒レーザー部、3は減光フィルターやスリットなどを用いてエネルギーおよびビーム形状の調整を行うビーム調整部、3aはレーザー光の出射開口に設けられ減光フィルターやスリットを操作してレーザー光を出射するときだけ開くビーム調整駆動部である。実施の形態1のフェムト秒レーザー部2は、グリーン固体レーザー励起で自己モード同期発振を行うチタンサファイアレーザーであり、YAGレーザー励起チタンサファイア再生増幅器を備えている。実施の形態1のレーザー加工装置は全固体高パワー超短パルスレーザーであり、波長は約800nm、パルス幅は約90フェムト秒(fs)、1ショットのエネルギーは最大5mJ、レーザーの繰り返し周波数は10Hzを実現できる。超短パルスレーザー光がフェムト秒レーザー光またはピコ秒レーザー光であるため、バンプ形成閾値とバンプ限界閾値、開口形成閾値を含む広い範囲のフルエンスを出力でき、バンプや開口を作製するのに好適である。
【0049】
4はレーザー光を受光して複数の光束に回折するビーム分割部、4aはビーム分割部4のレーザー分離機能素子としての透過型回折格子、4bはビーム分割駆動部である。ビーム分割駆動部4bは透過型回折格子4aを交換するとき使用するが、手作業で交換する場合などでは不要である。ビーム分割部4としては、透過型回折格子4aのほかに、反射型回折格子、ビームスプリッター、空間位相変調器、ホログラム等が好適である。このビーム分割部4により、分割する光束の数を任意に設定し、透過型回折格子4a等のレーザー分離機能素子の交換のため手作業もしくはビーム分割駆動部4bを制御することで、光束が回折される角度、各光束のエネルギー分配率を変化させることもできる。また、任意のビーム形状を作り出すホログラムを利用することもできる。この場合、ビーム形状に応じたバンプが作製される。また、コンピューター制御の空間位相変調器を用いることで、ビームの数や形状等をリアルタイムで変えながら加工することもできる。
【0050】
なお、反射型回折格子を図2(b)に示す。4cはビーム分割部4として設けられた反射型回折格子、20はミラーである。レーザー光がミラー20に入射され、反射されたレーザー光は反射型回折格子4cで回折され、複数の光束に分かれて凸レンズ6に導かれる。この反射型回折格子4cとミラー20を用いたレーザー加工装置は、フェムト秒レーザー部2を直線状に配置する必要がないため、横長の構成とならない。
【0051】
5はビーム分割部4によって複数に分けられた光束を互いに干渉させるためのビーム干渉部、5aは干渉制御部、6,7はビーム干渉部5を構成する1組の凸レンズである。ビーム干渉部5によって作製用基板1の表面で干渉させる。凸レンズ6の焦点距離はF1、凸レンズ7の焦点距離をF2、ビーム分割部4から凸レンズ6までの距離をL1、凸レンズ6,7間の距離をL2、凸レンズ7から作製用基板1までの距離L3とする。凸レンズ6,7は透過型回折格子4aによって回折された光束を再度小さな角度θで交差させて、これを干渉させる。ビームを効率よく干渉させるためには、L1≒F1、L2≒F1+F2、L3≒F2となるように配置するのがよい。
【0052】
干渉する複数の光束の交差する角度θは干渉縞(干渉域)の周期に影響し、これが大きくなると周期構造のピッチが狭くなり、小さくなるとピッチが広くなる。交差角度θは透過型回折格子による回折角とレンズの倍率で決定され、光束の数はビーム分割部4、実施の形態1では透過型回折格子4aの種類と途中に設けるダンプ部10(後述)によって決定される。また、作製用基板1の表面でのレーザー光の平均フルエンス(干渉による強弱を平均したもの)はビーム調整部3の減光フィルターの透過率をT、2枚のレンズの倍率をM(M=F2/F1)としたとき、全体でT/M倍にコントロールされる。交差角度θ、干渉域の数、フルエンスによって、干渉域の形状が決定され、この干渉域の形状と熱の拡散の程度によって周期構造をもつバンプが決定される。
【0053】
ところで、図2(a)で示すビーム干渉部5に2枚の凸レンズ6,7を用いる場合、1枚目のレンズ6の焦点部分でレーザー光のエネルギー密度の上昇によるプラズマ化、いわゆるエアブレークダウンが起きる場合がある。これによるビーム品質の劣化が問題になる場合は、凸レンズ6の焦点周りを減圧する減圧部(図示しない)または不活性ガスを流すためのエアポンプを含んだ流動部(図示しない)を設け、焦点位置の減圧やエアブレークダウンしにくいガスを流すことで対応できる。
【0054】
8は光束が互いに交差し干渉する干渉領域と回折光学素子との間に設けられた円柱レンズ(本発明の干渉域整形光学素子)である。必要に応じて設けられる。円柱レンズ8は光束を特定の方向に絞ったり拡大させたりする。ここでは円柱レンズ8は半月状に盛り上がった、あるいはへこんだレンズで、凸レンズ6,7によるレーザー光の干渉領域を扁平に整形するとともにエネルギー密度を集中あるいは弱くし、作製用基板1の薄膜1cと干渉領域との相互作用によってバンプ加工する。また、円柱レンズにより一方向のみのビーム角度が変化するので、その結果バンプ形状や間隔が変化する。円柱レンズ8に代えて、フレネルレンズ、回折レンズ、凸や凹面鏡等を設けるのでもよい。
【0055】
9はXYZθステージ、9aは駆動モータである。XYZθステージ9は、ステージ(図示しない)の上に作製用基板1が装着され、駆動モータ9aによってX方向,Y方向,Z方向、θ方向の4方向にそれぞれ独立に制御される。10はビーム分割部4を構成する回折格子で回折した光束のうち中央を透過する0次の回折光を遮断するダンプ部である。ダンプ部10はダンプしないでもよいし、他の次数光をダンプすることで異なる形状を作製することができる。なお、図示はしないが、作製用基板1の被加工部分の周囲を真空引き等により減圧する第2減圧部を設けるのもよい。この減圧によってアブレーションされた粒子の再付着を防止することができる。
【0056】
次に、11は実施の形態1のレーザー加工装置の制御を行うシステム制御部、11aはシステム制御部11を構成する中央制御装置(CPU)にロードする制御プログラムや周期構造を加工するための設定データ、例えばXYZθステージ9の移動速度等を格納するメモリ部、11bはレーザーの繰り返し周波数、ショット数等を設定データを入力する入力部、11cは入力部11bから入力するとき入力内容を表示したりレーザー加工時の運転状態、加工状態を表示する表示部、11dは計時手段、11eはショット数をカウントするカウンタ、11fは干渉領域の位置を検出し駆動モータ9aを駆動させるためのCCD等の位置検出センサ、11gはモニタ用カメラである。位置検出センサ11fからの検出データを画像処理してXYZθステージ9の位置が干渉領域の最適位置に制御される。
【0057】
11hはシステム制御部11に設けられ基板1bと作製するバンプまたは開口の形態(形状と配置)に応じてレーザー光のフルエンスと光束の数、さらにはダンプの位置を選択し、各駆動部を制御する形状配列管理手段である。形状配列管理手段11hは作製用基板1に応じた作製管理と制御を行う機能実現手段として、データと共にメモリ部11aに格納され、CPUに読み出されて構成される。作製するバンプまたは開口の作製条件は入力部11bから入力される。但し、作製用基板1に対応した薄膜材料と基板材料の組み合せ、多層の場合の構造情報、バンプ形成閾値,バンプ限界閾値,開口形成閾値は、作製用基板1ごとに作製データとしてメモリ部11aに予め記憶しておけばよく、作製条件、例えばバンプの配列情報やアスペクト比、直径を入力部11bから入力すれば、形状配列管理手段11hがフルエンスと光束の数、ダンプの位置、レーザーの繰り返し周波数、ショット回数等をメモリ部11aから作製データを読出して選定し、これに従ってフェムト秒レーザー部2、ビーム調整駆動部3a、場合によりビーム分割駆動部4b,干渉制御部5aを動作させる。また、開口を形成する場合は、同様に開口の配列情報や開口径を入力する。この形状配列管理手段11hによって自動化が可能になる。形状配列管理手段11hが、ビーム分割部4の透過型回折格子とビーム干渉部5ではフルエンスと光束の数を実現できないと判断したときは、透過型回折格子4aやビーム干渉部5の凸レンズ6,7の交換等を指示する。
続いて、このように構成された実施の形態1のレーザー加工装置の動作について説明する。システム制御部11の電源スイッチ(図示しない)をONすることにより、システム制御部11はメモリ部11aから制御プログラムをロードし、表示部11cに入力画面を表示させ、制御のための作製条件を入力できるようにする。入力部11bから作製用基板1を特定し、バンプまたは開口の形状等を入力すると、形状配列管理手段11hはメモリ部11aからこれらと関係付けられている関連データ、例えば作製用基板1ごとの構造情報を読み出し、併せて演算結果を表示部11cに表示する。透過型回折格子4aやビーム干渉部5の凸レンズ6,7の交換を指示すべきときは、この旨を表示する。
【0058】
表示内容を確認した後、システム制御部11のスタートボタン(図示しない)を押すことにより、励起用のグリーン固体レーザーを動作させる。フェムト秒レーザー部2のチタンサファイアレーザーが発振し、システム制御部11からの動作命令でシャッタが開かれ、増幅後のフェムト秒レーザー光は、1ショット目が出射される。繰り返し周波数10Hzで出射させるため、システム制御部11はレーザー光を出射する少なくとも1パルス(90fs)前にシャッタを開放する。これは、発振開始から計時手段11dによってタイミングを計って実行する。この後レーザー光は透過型回折格子4aで回折されて複数、例えば4本の光束に分割される。システム制御部11は最初の1ショットを出射した後、レーザー光の出射が終わった後にシャッタを閉止する。またシステム制御部11は最初の1ショットの加工が終わると、二度目のショットを行うべく、フェムト秒レーザー部2を発振させる。
【0059】
図3は4光束による干渉と加工状態の説明図である。分割された光束I〜IVはビーム干渉部5を構成する凸レンズ6を透過し、0次の回折光はダンプ部10で遮断され、凸レンズ7で再び集光される。4光束が凸レンズ7の焦点近くで干渉する。対向する4本,8本等の光束が集光されると、光束同士が干渉し光強度の高いスポットが多数分布した干渉域(温度分布)が形成される。なお、4本の光束のうち1本をダンプして3本にしたときは、楕円状のスポットが分布する。これらの詳細については後述する。また、ビーム分割部4において、2本の光束に分離して干渉させる場合は、光強度の高いラインが一列に並んだ干渉縞を形成する。
【0060】
システム制御部11は最初の1ショットの加工が終わると、カウンタ11eでカウントし、X方向及び/またはY方向の駆動モータ9aに起動をかけ、作製用基板1の所定の方向への所定量の移送を行う。なお、発停を繰返すことも、連続で移送させることもできる。計時手段11dの計時により、二度目のショットを行うにシャッタを開放し、フェムト秒レーザー部2から二度目のショットを出射する。このレーザー光は透過型回折格子4aで回折され、凸レンズ6,7を透過して干渉領域を形成する。二度目のショットで二回目のバンプまたは開口等が複数個並んで同時に加工される。
【0061】
以下、以上の繰り返しを続け、カウンタ11eのカウント数が入力された所定の回数に達したら、システム制御部11はフェムト秒レーザー部2の励起用グリーン固体を停止させ、XYZスθテージ9の移送動作を停止する。このとき、1ショットで加工されたバンプまたは開口等が、所定ピッチで複数並んで形成された加工物が完成する。バンプまたは開口は干渉のスポットのピッチ分だけ離れて配置され、設定カウント回数だけ加工領域が並んだものとなる。
【0062】
続いて、実施の形態1の透過型回折格子4aによる干渉領域と、ビームスプリッタによる干渉領域との違いについて説明する。図4(a)は回折格子による干渉領域を示す概念図、図4(b)はビームスプリッタによる干渉領域を示す概念図である。
【0063】
図4(b)に示すように、ビームスプリッタで分離された光束は、各光束の光軸に対してその波面が垂直であり、角度θで交差するとき2つの波面同士は平行とはならない。このときの干渉領域Bの幅Wは、各波面の波連長さaと光束の交差する角度θにより、w=a/sin(θ/2)となる。この領域以外の部分では干渉することなくそのまま通過する。波連長さaはパルス幅τ、光速cを使うとa=τ・cであるから、干渉領域Bの幅wは非常に小さな値となり、通常は数百μmとなる。例えばτ=100fs、θ=10°とした場合、w=344μmである。
【0064】
これに対し実施の形態1のように透過型回折格子4aで分離した場合、図4(a)に示すように実施の形態1の回折格子3で回折された光束は2つの波面同士が平行な関係を保って交差する。このため干渉領域Aの幅wは大きくなり、ビーム径全体で干渉が得られるようになる。wはビームを分割する前のビーム径と同じになり、干渉領域Aの幅はビームスプリッタの干渉領域Bの幅と比較し10倍以上の値となる。従って、透過型回折格子4aを使えば加工面積を10倍以上に拡大することが容易であり、ビームスプリッタを使う場合より同時に加工できるバンプや開口の数が加工面積分多くなる。多数のバンプや開口を作製したいとき、また、光束数を増したいに透過型回折格子4aで分離するのが有効となる。なお、ホログラムを使用する場合は、ホログラムでビーム形状を作り出し、直接ビーム形状に応じたバンプまたは開口が作製される。
【0065】
このように実施の形態1の微小バンプ作製方法と、微細メッシュ作製方法、そのレーザー加工装置及び作製用基板によれば、超短パルス秒レーザー光を干渉させることにより超短パルス幅レーザー光のエネルギー密度を上げフルエンスを高めることができる。これをバンプ形成閾値以上にコントロールし、干渉したスポットの薄膜を膨張させ、所望のナノサイズ、ナノサイズクラスのバンプ作製することができる。開口形成閾値以上のフルエンスを加えることによりナノサイズ、ナノサイズクラスの開口を作製することができる。干渉によるスポットの周期性によってバンプまたはメッシュをナノサイズ、ナノサイズクラスの周期構造にすることができる。ナノサイズ、ナノサイズクラスのバンプまたはメッシュを作製することが自動的に行える。
【0066】
(実施の形態2)
実施の形態2のレーザー加工装置は、図示はしないが、実施の形態1のフェトム秒レーザー部に加えて、第2レーザー部を備えたものである。この場合、第2レーザー部によって通常のレーザーアブレーション加工、熱加工、感光等を行う。例えば、メッシュのように加工した薄膜1cを取り出す場合など、被加工部分にさらに加工することが必要な場合がある。このような場合は、第2レーザー部による加工や、機械加工を併用するのが好適である。第2レーザー部を使って、切除、切除部分の湾曲などの加工を行うこともできる。第2レーザー部はフェトム秒レーザー部(第1レーザー部)や増幅部、あるいはそれらの励起用レーザーの部分を使うのでも、他のレーザーを別途設置するのでもよい。
【0067】
実施の形態2のレーザー加工装置は、第2レーザー部を備えることにより、バンプ作製と併せて他の加工を複合的に行うことができる。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
実施例1のレーザー加工装置は、実施の形態1で説明した全固体高エネルギー超短パルスレーザーであり、グリーン固体レーザー励起で自己モード同期発振を行うフェムト秒チタンサファイアレーザーと、YAGレーザー励起チタンサファイア再生増幅器を組み合わせたシステムである。波長は約800nm、パルス幅は約90フェムト秒(fs)、これを透過型回折格子で分割した。1次光の光束数は4本、1ショットのエネルギーは最大5mJ、0次光を遮断した場合2.3mJ、レーザーの繰り返し周波数は10Hzである。
【0069】
実施例1は、図3に示すように、1次光からなる4光束であり、図2に示すように0次光はダンプ部10によりダンプしている。凸レンズ6,7の倍率はM≒0.16である。4光束の示す交差角度θは、透過型回折格子4aの後で互いに対向する2つの一次光の光束同士でいずれも約6度である。室温、大気中においてシングルショットで加工を行った。作製用基板1は、図3の金の薄膜1cを石英の透明基板1b上に蒸着したものを用いた。金の膜厚は50nmである。
【0070】
実施例1の加工した結果を図5に示す。図5はフルエンスの変化と加工形状を示す電子顕微鏡写真である。実施例1のバンプ形成閾値のフルエンスは約73mJ/cm2であった。図5(a)はフルエンスが約76mJ/cm2のときのバンプであり、干渉スポットに応じてバンプが整然と並んで形成されているのが分かる。直径500nm、高さ75nm程度のナノサイズのバンプで、アスペクト比(高さ/直径)は0.15程度である。図5(b)はフルエンスが91mJ/cm2のときのバンプであり、(a)と同様、干渉スポットに応じてバンプが整然と形成されている。直径825nm、高さ300nm程度のナノサイズのバンプで、アスペクト比は0.36程度である。図5(a)(b)から分かるように、フルエンスが大きいほどバンプの直径と高さが大きくなり、アスペクト比も向上する。
【0071】
さらに図5(c)はフルエンスが99mJ/cm2のときのバンプであり、直径990nm、高さ400nm程度のナノサイズのバンプの頂点部分に微小球が形成された。図5(d)はフルエンスが110mJ/cm2のときのバンプであり、さらにフルエンスが大きく、直径800nm、高さ100nm程度の漏斗を伏せた形状の縁にバンプが立った複雑な形状が形成された。さらに図5(e)はフルエンスが114mJ/cm2のときのバンプであり、薄膜が開口され、直径800nm程度の多数の開口が形成された。
【0072】
参考例
参考例は、膜厚50nmの金の薄膜1cに多数開口したメッシュで、これは図5(d)に示す実施例1の作製用基板1から薄膜1cを取り出したものある。図6は図5(d)の薄膜を剥がした状態を示す顕微鏡写真の説明図である。直径800nm程度の多数の開口が1.7μmのピッチで配列されている。なお、参考例のメッシュは、図5(d)に示す作製用基板1の薄膜1cをエアブロウで剥離した。上述したように薄膜1cの背面、すなわち透明基板側からレーザー光を照射して薄膜1cを剥離することも、機械加工で剥離することもできる。
【0073】
図示はしないが、実施例1の図5(a)(b)の周期構造のバンプも同様に剥離することができる。剥離する方法は、エアブロウや機械的なもの、透明基板側からレーザー光を照射することによって剥離するのもよい。
【0074】
(実施例
実施例は、膜厚50nmの金の薄膜1cを透明基板上に蒸着した作製用基板1に、図3に示す4本の光束のうち1本をダンプして3本とし、合計0.23mJのエネルギーでバンプを形成したものである。図7は3光束にして加工を行った状態の電子顕微鏡写真による説明図である。電子顕微鏡を用いて真上から観察している。図7に示すように、長径600nm、短径240nmの楕円形のバンプが形成されている。各バンプ間のピッチは1.7μmである。
【0075】
(実施例
図8は9光束で行う干渉の説明図、図9は9光束にして加工を行った状態の電子顕微鏡写真による説明図である。実施例3は、膜厚20nmの金の薄膜1cを透明基板上に蒸着した作製用基板に、図8に示すように9本の光束I〜IXを集光し、合計で0.47mJのエネルギーの光束で開口を形成したものである。図9に示すように、9光束の場合、開口の形状と間隔がバラバラで複雑になっている。しかし、ビームの光束数を何本に増やしても、その干渉縞に応じた加工ができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の微小バンプ作製方法によれば、周期構造をもつナノサイズクラスのバンプを容易に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)薄膜の熱膨張を用いてナノサイズクラスのバンプを形成する説明図
(b)ガスの膨張を用いてナノサイズクラスのバンプを形成する説明
【図2】(a)本発明の実施の形態1におけるレーザー加工装置の構成図
(b)反射型回折格子を使用した場合の要部拡大図
【図3】4光束による干渉と加工状態の説明図
【図4】(a)回折格子による干渉領域を示す概念図
(b)ビームスプリッタによる干渉領域を示す概念図
【図5】フルエンスの変化と加工形状を示す電子顕微鏡写真による説明図
【図6】図5(d)の薄膜を剥がした状態を示す顕微鏡写真の説明図
【図7】3光束にして加工を行った状態の電子顕微鏡写真による説明図
【図8】9光束で行う干渉の説明図
【図9】9光束にして加工を行った状態の電子顕微鏡写真による説明図
【符号の説明】
1 作製用基板
1a バンプ
1b 基板
1c 薄膜
2 フェムト秒レーザー部
3 ビーム調整部
3a ビーム調整駆動部
4 ビーム分割部
4a 透過型回折格子
4b ビーム分割駆動部
4c 反射型回折格子
5 ビーム干渉部
5a 干渉制御部
6,7 凸レンズで
8 円柱レンズ
9 XYZθステージ
9a 駆動モータ
10 ダンプ部
11 システム制御部
11a メモリ部
11b 入力部
11c 表示部
11d 計時手段
11e カウンタ
11f 位置検出センサ
11g モニタ用カメラ
11h 形状配列管理手段
20 ミラー

Claims (3)

  1. フェムト秒からピコ秒領域の超短パルスレーザー光を発振し、出射する超短パルスレーザー光を複数の光束に分離し、分離した光束を干渉させた状態で基板上の薄膜に集光し、この干渉によってバンプ形成閾値以上のフルエンスであってかつ薄膜のバンプ頂点部分に破れが生じるバンプ限界閾値より小さいフルエンスの干渉域を形成し、該干渉域の薄膜を前記基板と前記薄膜の熱膨張差により前記基板から剥離させて周期構造のバンプを作製することを特徴とする微小バンプ作製方法。
  2. 前記干渉域の薄膜を前記基板と前記薄膜の熱膨張差と共に、前記薄膜または基板の一部の蒸発したガスの圧力により前記基板から剥離させることを特徴とする請求項記載の微小バンプ作製方法。
  3. 前記干渉によって前記バンプ限界閾値以上で開口形成閾値より小さいフルエンスの干渉域を形成し、バンプ頂点部分に2段目の突起を形成することを特徴とする請求項1または2記載の微小バンプ作製方法。
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