JP4318594B2 - 不織布 - Google Patents

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本発明は、嵩高く、柔軟で、ドレープ性に富んだ不織布に関する。
一般に熱融着性複合繊維は高融点成分と低融点成分とからなる。該複合繊維を含むウエブは、これを加熱することで不織布が形成される。主な加熱方法には、エンボスロール等によってウエブの一部分を熱圧着し軟化あるいは溶融して接合するヒートロール法や、ウエブ全体に熱風を吹き付けて繊維の交点を軟化あるいは溶融するエアスルー法がある。ヒートロール法では、繊維を部分的に圧着し、圧着部分の繊維が圧着扁平化されるため、圧着された領域は硬くなり、嵩高性が失われてしまう。その反面、圧着領域と非圧着領域との境界等で不織布が折れ曲がりやすくなり、ドレープ性に優れる。一方エアスルー法は、ウエブの嵩をある程度残したまま熱風を通すため、得られる不織布に嵩高性があり、部分的に硬くなる領域がなく、表面が滑らかになる。その反面、曲げに対して不規則な折り山が出やすく、ドレープ性に劣る。
二つの加熱方法の利点を両立させる試みとして、熱融着性複合繊維によって熱接着された熱接合領域と、熱接着されていない非熱接合領域とを有し、熱接着された部分は繊維が圧着扁平化していない不織布が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この不織布の製造においては、部分的にエアスルー処理を行う必要があることから特殊な製造設備を要する。また、熱接合領域は、ヒートロール法で形成された熱接着部ほどは強固に接着されていないので、前記不織布はその強度や毛羽立ち防止に劣る。
エアスルー不織布の利点を維持又は向上させ、且つドレープ性を改善して柔軟な不織布を得るための提案として、繊維が融着する交点数を少なくすることが提案されている。そのための具体的な手段として繊維径を太くすることや、非熱融着性繊維を混綿することが提案されている。例えば、高融点成分と低融点成分とからなる複合繊維と、低融点成分より高い融点を有する繊維とが混繊されてなるりウエブからなり、低融点成分同士が融着してなる嵩高不織布が提案されている(特許文献2参照)。しかしこの不織布は、通常の複合繊維と非熱融着性繊維とを混繊しただけでなので、非熱融着性繊維が脱落したり、毛羽立つ等の問題がある。
また、ポリエステル繊維との接着性が改善される特定のブレンドされた樹脂を融着成分に持つ熱接着性複合繊維が提案されている(特許文献3参照)。更に、親水性を発現する目的で、非熱融着性繊維として、綿、絹などの天然繊維やレーヨンなどの再生繊維、あるいはセルロース系の半合成繊維が用いられている。例えば、セルロース系繊維との接着性を改善した特定の樹脂を用いた複合繊維の提案がされている(特許文献4及び5参照)。更に、吸収性を有する繊維と複合繊維とを混綿し、高圧液体処理によって三次元交絡させた後、熱接着を行い不織布を得ることも提案されている(特許文献6参照)。これらの提案は、非熱融着性繊維の脱落抑制を目的に、非熱融着性繊維との接着性を改善した樹脂の提案や予め三次元交絡を施した後に熱接着したものであり、エアスルー不織布のドレープ性の改善にはならない。
特開2001−3253号公報 特開平4−41762号公報 特開平1−280020号公報 特開平7−3600号公報 特開2001−329432号公報 特開平10−158967号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る不織布を提供することにある。
本発明は、融点の異なる2成分からなる熱融着性複合繊維と、非熱融着性繊維とを含み、該熱融着性複合繊維どうしの交点が熱融着しており、該熱融着性複合繊維と該非熱融着性繊維は熱融着していない不織布であって、
前記熱融着性複合繊維が、配向指数が40%以上の第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有し且つ配向指数が25%以下の第2樹脂成分とからなり、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している不織布を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の不織布は、嵩高く、柔軟でドレープ性に富んだものである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の不織布は、熱融着性複合繊維と非熱融着性繊維とを含んで構成されている。熱融着性複合繊維は、融点の異なる2成分からなる2成分系複合繊維である。熱融着性複合繊維としては、芯鞘型のものやサイド・バイ・サイド型のものを用いることができる。芯鞘型の熱融着性複合繊維としては、同芯タイプや偏芯タイプのものを用いることができる。特に同芯タイプの芯鞘型であることが好ましい。熱融着性複合繊維の詳細については後述する。本発明の不織布においては、熱融着性複合繊維どうしの交点が熱融着によって接合している。この接合によって不織布の形態が保持されている。熱融着には、熱風を用いたエアスルー法による融着や、ヒートロールを用いた熱圧着法による融着が含まれる。
熱融着性複合繊維どうしは熱融着しているものの、熱融着性複合繊維と非熱融着性繊維とは熱融着していない。また非熱融着性繊維どうしも熱融着していない。本発明に用いられる非熱融着性繊維には、本来的に熱融着性を有していない繊維と、本来的には熱融着性を有しているものの、本発明の不織布の製造過程における熱融着処理温度では熱融着性を発現しないものの双方を包含する。本来的に熱融着性を有していない繊維としては、例えばレーヨンなどの再生繊維、セルロース系繊維、更には綿などの天然繊維等が挙げられる。一方、本来的には熱融着性を有しているものの、本発明の不織布の製造過程における熱融着処理温度では熱融着性を発現しないものとしては、例えばポリエステル系繊維やポリアミド系繊維が挙げられる。これらの各種非熱融着性繊維はその繊維径に特に制限はないが、一般的な範囲として0.5〜10dtex、特に1.7〜8dtexであることが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明の不織布においては、熱融着性複合繊維どうしのみが熱融着している。その結果、本発明の不織布は、熱融着性繊維のみからなる不織布に比較して、繊維どうしの熱融着点の数が少なくなる。これによって、本発明の不織布はそのドレープ性が向上する。
ドレープ性を表す尺度としては、その単位厚み当りのバルクソフトネスがしばしば用いられる。この値が低いほどドレープ性が良好であると評価できる。本発明の不織布においては、単位厚み当りのバルクソフトネスが好ましくは0.12N/mm以下、更に好ましくは0.10N/mm以下、一層好ましくは0.08N/mm以下となっている。単位厚み当りのバルクソフトネスは、不織布の機械方向(MD)で前記の値を満たせば十分である。MD及び幅方向(CD)の両方で前記の値を満たすことが好ましい。なお、不織布は一般にCDよりもMDの方がバルクソフトネスが高いから、単位厚み当りのバルクソフトネスがMDにおいて前記の値を満たせば、必然的にCDにおいても前記の値を満たすと言える。単位厚み当りのバルクソフトネスの下限値についても特に制限はなく、小さければ小さいほど好ましい。単位厚み当りのバルクソフトネスはその下限値が0.02N/mm程度であれば、本発明の不織布を種々の用途に用いた場合に十分に満足すべき結果が得られる。
単位厚み当りのバルクソフトネスの測定方法は次の通りである。不織布をMDへ30mm、CDへ150mmにカットしたサンプルを調製する。このサンプルを用いて直径45mm、高さ30mmの円筒をつくる。この円筒を高さ方向に10mm/minの速度で圧縮していったときの反発力を測定し、この反発力の値をMDへのバルクソフトネスの値とする。CDへのバルクソフトネスは、不織布をCDへ30mm、MDへ150mmにカットしたサンプルを調製し同様の測定を行うことで得る。
繊維どうしの熱融着点の数が少なくなればドレープ性は向上するが、その反面、不織布の強度が低下する傾向にあり、また毛羽立ちが起こりやすい傾向にある。これらの不都合が生じることを防止するために、本発明の不織布においては、熱融着の起こりやすい複合繊維を用いている。当該複合繊維は、配向指数が40%以上の第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有し且つ配向指数が25%以下の第2樹脂成分とからなり、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している繊維である。かかる熱融着性複合繊維を用いることで、不織布が嵩高くなるという利点もある。本発明においては、不織布中にかかる熱融着性複合繊維を好ましくは90〜50重量%、更に好ましくは80〜60重量%含有させ、非熱融着性繊維を好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは20〜40重量%含有させることで、不織布のドレープ性や嵩高さを向上させつつ、不織布の強度低下を防ぎ、また毛羽立ちを防止している。
前記の熱融着性複合繊維は、高速溶融紡糸法によって製造されたものであることが好ましい。高速溶融紡糸法は、図1に示すように、押出機1A,2Aとギアポンプ1B,2Bとからなる二系統の押出装置1,2、及び紡糸口金3を備えた紡糸装置を用いて行われる。押出機1A,2A及びギアポンプ1B,2Bによって溶融され且つ計量された各樹脂成分は、紡糸口金3内で合流しノズルから吐出される。紡糸口金3の形状は、目的とする複合繊維の形態に応じて適切なものが選択される。紡糸口金3の直下には巻取装置4が設置されており、ノズルから吐出された溶融樹脂が所定速度下に引き取られる。高速溶融紡糸法における紡出糸の引き取り速度は一般に2000m/分以上である。引き取り速度の上限値には特に制限はなく、現在では10000m/分を超える速度で引き取ることが可能になっている。
熱融着性複合繊維における第1樹脂成分は該複合繊維の強度を維持する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。第1樹脂成分はその配向指数が40%以上、特に50%以上であり、一方、第2樹脂成分はその配向指数が25%以下、特に20%以下となっている。配向指数は、繊維を構成する樹脂の高分子鎖の配向の程度の指標となるものである。そして、第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数がそれぞれ前記の値であることによって、熱融着性複合繊維を熱融着させる場合、低熱量で高強度の融着点を形成することが可能となる。詳細には、第1樹脂成分の配向指数が40%未満である場合には、第1樹脂成分の結晶化が十分に行われず、実用に耐え得る強度を発現させることができない。第2樹脂成分の配向指数が25%超である場合には、熱融着性が十分に発現されず、低熱量(低温)で高強度の融着点を形成することが困難である。熱融着性複合繊維における各樹脂成分が前記のような配向指数を達成するためには、例えば融点の異なる2種類の樹脂を用い、前記高速溶融紡糸法により繊維を形成すればよい。
第1樹脂成分の配向指数の上限値に特に制限はなく、高ければ高いほど好ましいが、70%程度であれば、十分に満足すべき効果が得られる。一方、第2樹脂成分の配向指数の下限値にも特に制限はなく、低ければ低いほど好ましいが、15%程度であれば、十分に満足すべき効果が得られる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数は、熱融着性複合繊維における樹脂の複屈折の値をAとし、樹脂の固有複屈折の値をBとしたとき、以下の式(1)で表される。
配向指数(%)=A/B×100 (1)
固有複屈折とは、樹脂の高分子鎖が完全に配向した状態での複屈折をいい、その値は例えば「成形加工におけるプラスチック材料」初版、付表 成形加工に用いられる代表的なプラスチック材料(プラスチック成形加工学会編、シグマ出版、1998年2月10日発行)に記載されている。
熱融着性複合繊維における複屈折は、干渉顕微鏡に偏光板を装着し、繊維軸に対して平行方向及び垂直方向の偏光下で測定する。浸漬液としてはCargille社製の標準屈折液を使用する。浸漬液の屈折率はアッベ屈折計によって測定する。干渉顕微鏡により得られる複合繊維の干渉縞像から、以下の文献に記載の算出方法で繊維軸に対し平行及び垂直方向の屈折率を求め、両者の差である複屈折を算出する。
「芯鞘型複合繊維の高速紡糸における繊維構造形成」第408頁(繊維学会誌、Vol.51、No.9、1995年)
熱融着性複合繊維は、その熱収縮率の程度が低いものであることが好ましい。これによって、本発明の不織布は一層嵩高で高強度のものとなる(これについては更に後述する)。熱収縮率の程度は、第2樹脂成分の融点又は軟化点より10℃高い温度における熱収縮率が5%以下、特に1%以下、とりわけ0.5%以下という低い値であることが好ましい。熱収縮率の値は低ければ低いほど好ましく理想的には0である。また、熱収縮率がマイナスの値、つまり加熱によって繊維が長くなっても差し支えない。熱収縮率がマイナスになることは、嵩高な不織布を得るという観点からは好ましい方向に働く。熱収縮率がマイナスになる場合、その上限値(つまりマイナス側の上限値)は−20%、特に−10%程度であることが、得られる不織布の地合いのコントロールや見た目の印象の点から好ましい。このような熱収縮率を有する熱融着性複合繊維を得るためには、後述するように、熱融着性複合繊維の紡糸後に、該複合繊維に対して加熱処理又は捲縮処理を行い且つ延伸処理を行わないようにすればよい。尚、熱収縮率を前記の温度で測定する理由は、繊維の交点を熱融着させて不織布を製造する場合には、第2樹脂成分の融点又は軟化点以上で且つそれらより10℃程度高い温度までの範囲で製造するのが通常だからである。
熱収縮率は次の方法で測定される。熱機械分析装置TMA−50(島津製作所製)を用い、平行に並べた繊維をチャック間距離10mmで装着し、0.025mN/texの一定荷重を負荷した状態で10℃/minの昇温速度で昇温させる。その際の繊維の収縮率変化を測定し、第2樹脂成分の融点又は軟化点より10℃高い温度での収縮率を読み取って熱収縮率とする。
前記の熱融着性複合繊維を含む本発明の不織布が高強度になる理由は次の通りである。前述の通り前記の熱融着性複合繊維の特長は、熱収縮率が低いことと、第2樹脂成分(融着成分)の配向指数が低いことである。ウエブを熱処理する際に複合繊維の収縮が起こりにくいと、融着点が動きにくくなりその結果融着点の強度低下が防止される。構成繊維が収縮を起こすと融着点が動いてしまい、その強度が低下してしまう。更に、前述の通り融着成分の配向指数が低いため、従来より少ない熱量でも融着点の強度を高い値に維持することができる。また、熱処理の温度による影響が少なく、低温から高温までの広い範囲で融着点の強度を高い値に維持することができる。しかもこの融着点の強度は、通常の方法で得られた同種の複合繊維の融着点の強度より高い値となる。更に加えて、複合繊維における融着成分が融着点に均一に凝集し、融着点の形状がほぼ一定となる。その結果、融着点の強度のばらつきが少なくなる。これらの結果、不織布を構成する繊維の融着点の強度を高い値に維持し、且つばらつきが少ない状態とすることができる。通常、繊維どうしを熱風の吹き付けにより熱融着させて得られる不織布の強度は、融着点の強度に大きく依存する。すなわち、高強度の不織布を得るためには、繊維の融着点の強度を高い値で維持する必要がある。また、その融着点の強度がばらついていると、当然弱い融着点から不織布の破壊が発生するため、不織布の強度は高いものとはならない。前記の熱融着性複合繊維を用いると、前述の通り融着点の強度が高く、ばらつきも少ないため、高強度の不織布が得られる。更に熱処理の温度による影響が少ないため、得られる不織布の機械的特性を均一にできる。
熱融着性複合繊維の形態に関しては先に述べた通りであり、典型的には芯鞘型である。この場合、第1樹脂成分が芯を構成し且つ第2樹脂成分が鞘を構成していることが、熱融着性複合繊維の熱収縮率を低く抑え得る点から好ましい。第1樹脂成分及び第2樹脂成分の種類に特に制限はなく、繊維形成能のある樹脂であればよい。特に、両樹脂成分の融点差、又は第1樹脂成分の融点と第2樹脂成分の軟化点との差が10℃以上、特に20℃以上であることが、熱融着による不織布製造を容易に行い得る点から好ましい。熱融着性複合繊維が芯鞘型である場合には、鞘成分の融点又は軟化点よりも芯成分の融点の方が高い樹脂を用いる。第1樹脂成分と第2樹脂成分との好ましい組み合わせとしては、第1樹脂成分をポリプロピレン(PP)とした場合の第2樹脂成分としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレンなどが挙げられる。また、第1樹脂成分としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂を用いた場合は、第2成分として、前述した第2樹脂成分の例に加え、ポリプロピレン(PP)、共重合ポリエステルなどが挙げられる。更に、第1樹脂成分としては、ポリアミド系重合体や前述した第1樹脂成分の2種以上の共重合体も挙げられ、また第2樹脂成分としては前述した第2樹脂成分の2種以上の共重合体なども挙げられる。これらは適宜組み合わされる。これらの組み合わせのうち、ポリプロピレン(PP)/高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。この理由は、両樹脂成分の融点差が20〜40℃の範囲内であるため、不織布を容易に製造できるからである。また繊維の比重が低いため、軽量で且つコストに優れ、低熱量で焼却廃棄できる不織布が得られるからである。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱分析装置DSC−50(島津社製)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル質量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度て定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合は、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とする。
本発明の複合繊維における第1樹脂成分と第2樹脂成分との比率(重量比)は10:90〜90:10%、特に30:70〜70:30%であることが好ましい。この範囲内であれば繊維の力学特性が十分となり、実用に耐え得る繊維となる。また融着成分の量が十分となり、繊維どうしの融着が十分となる。
熱融着性複合繊維の太さは、複合繊維の具体的用途に応じて適切な値が選択される。一般的な範囲として1.0〜10dtex、特に1.7〜8.0dtexであることが、繊維の紡糸性やコスト、カード機通過性、生産性、コスト等の点から好ましい。
前記の熱融着性複合繊維を含む本発明の不織布は、良好なドレープ性を有することで特徴付けられることに加えて、その嵩高さ及び高強度の点でも特徴付けられる。具体的には、本発明の不織布は、嵩高さの尺度となる比容積が好ましくは95cm3/g以上、更に好ましくは110cm3/g以上、一層好ましくは120cm3/g以上となっている。使用する繊維の種類や製造方法によっては従来の不織布でも比容積を大きくすることはできる。しかしそのような不織布は低強度のものにならざるを得なかった。これに対して本発明の不織布は、前記のように比容積が大きいものでありながら高強度のものである。具体的には、本発明の不織布は、単位坪量当たりの強度が好ましくは0.04(N/25mm)/(g/m2)以上、更に好ましくは0.06(N/25mm)/(g/m2)以上、一層好ましくは0.08(N/25mm)/(g/m2)以上という高強度のものである。単位坪量当たりの強度は、不織布の幅方向(CD)で前記の値を満たせば十分である。機械方向(MD)及びCDの両方で前記の値を満たすことが好ましい。なお、不織布は一般にCDよりもMDの方が強度が高いから、単位坪量当たりの強度がCDにおいて前記の値を満たせば、必然的にMDにおいても前記の値を満たすと言える。
比容積及び単位坪良当たりの強度は何れもその上限値に特に制限はなく、大きければ大きいほど好ましい。比容積はその上限値が250cm3/g程度であれば、本発明の不織布を種々の用途に用いた場合に十分に満足すべき結果が得られる。同様の理由により、本発明の不織布はその単位坪量当たりの強度の上限値が0.5(N/25mm)/(g/m2)程度であれば十分である。比容積及び単位坪量当たりの強度の測定方法は後述する実施例において詳述する。
前述の比容積や強度を満たす不織布を得るためには、前記の熱融着性複合繊維として、先に述べたように、紡糸後に加熱処理又は捲縮処理が行われたものであり且つ延伸処理は行われていないものを用いることが好ましい。紡糸後に行われる加熱処理の条件は、熱融着性複合繊維を構成する第1及び第2樹脂成分の種類に応じて適切な条件が選択される。例えば、熱融着性複合繊維が芯鞘型であり、芯成分がポリプロピレンで鞘成分が高密度ポリエチレンである場合、加熱温度は50〜120℃、特に70〜100℃であることが好ましく、加熱時間は10〜500秒、特に20〜200秒であることが好ましい。加熱方法としては、熱風の吹き付け、赤外線の照射などが挙げられる。紡糸後に行われる捲縮処理としては、機械捲縮を行うことが簡便である。機械捲縮には二次元状及び三次元状の態様があり、また、偏芯タイプの芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維に見られる三次元の顕在捲縮などがある。本発明においては何れの態様の捲縮を行ってもよい。機械捲縮には熱を伴う場合がある。その場合には、加熱処理と捲縮処理とが同時に施されることになる。捲縮処理に際しては繊維が多少引き伸ばされる場合があるが、そのような引き延ばしは本発明にいう延伸処理には含まれない。本発明にいう延伸処理とは、未延伸糸に対して通常行われる延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作をいう。
本発明の不織布は、前記の熱融着性複合繊維及び非熱融着性繊維を含むウエブを用い、該ウエブにおける繊維の交点を熱融着して製造されたものである。ウエブとしては、前記の熱融着性複合繊維及び非熱融着性繊維の短繊維を原料として、これらをカード機を用い開繊して得られたカードウエブや、前記の熱融着性複合繊維及び非熱融着性繊維を溶融紡糸し、エアサッカーで牽引してワイヤーメッシュ上に直接これらの繊維を堆積させて得られるスパンボンドウエブが用いられる。
熱融着には、例えば所定温度に加熱された熱風が貫通するように吹き付けるエアスルー法や、所定温度に加熱された彫刻ロールと平滑ロールとを備えたエンボス装置を用いるヒートロール法を用いることができる。何れの方法を用いる場合にも、熱処理の温度は一方の樹脂成分の融点又は軟化点以上で且つ他方の樹脂成分の融点未満とすることが好ましい。
先に述べた通り、前記の熱融着性複合繊維は、低温(低熱量)で熱処理しても高強度の融着点を形成することが可能なものである。従って、嵩高な不織布を製造しづらいヒートロール法を用いた場合であっても、温度条件や圧力条件を緩和することで、毛羽立ちの発生を防止しつつ、嵩高な不織布を得ることができる。尤も、熱風によるエアスルー加工をカードウエブに施して、前記の熱融着性繊維を熱融着させる方法を用いると、一層嵩高く、柔軟で、ドレープ性に富んだ不織布を容易に得ることができる。エアスルー法を用いると、ヒートロール法よりも嵩高な不織布が得られることに加えて、熱風の吹き付け条件を緩和でき、風圧によるウエブの嵩の減少を防止できるからである。
本発明の不織布は、そのドレープ性、嵩高さ及び高強度を生かした種々の分野に適用できる。例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの使い捨て衛生物品の分野における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、さらには対物用のワイパーなどとして好適に用いられる。
前記のような用途に用いられる場合、本発明の不織布は、その坪量が12〜60g/m2、特に15〜40g/m2であることが好ましい。またその厚みが0.5〜7mm、特に1〜6mmであることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔繊維の製造〕
表1に示す条件にて高速溶融紡糸を行い同心タイプの芯鞘型熱融着性複合繊維を得た。得られた複合繊維を繊維長51mmの短繊維とし、この短繊維に二次元の機械捲縮を施した。前述の方法で配向指数、熱収縮率及び樹脂の融点を測定した。それらの結果を表1に示す。

Figure 0004318594
〔実施例1〜10及び比較例1〜6〕
先に製造した芯鞘型熱融着性複合繊維の短繊維とは別に、非熱融着繊維として、以下の短繊維(繊維長51mm)を用意した。これらの繊維を原料としてカードウエブを製造した。エアスルー法によってこのカードウエブに表2に示す条件でエアスルー加工を施し複合繊維の交点を熱融着させた。このようにして、エアスルー不織布を得た。得られた不織布の各物性値を表2に示す。また毛羽立ち防止性を以下の方法で評価した。その結果も表2に示す。
A:6.6dtex、51mmのポリエチレンテレフタレート繊維(機械捲縮)
B:2.2dtex、51mmのポリエチレンテレフタレート繊維(機械捲縮)
C:2.2dtex、51mmのポリエチレンテレフタレート繊維(顕在捲縮)
〔厚み、坪量、比容積の測定〕
測定台上に12cm×12cmのプレートを載置し、この状態でのプレートの上面の位置を測定の基準点Aとする。次にプレートを取り除き、測定台上に測定対象となる不織布試験片を載置し、その上に前記プレートを載置する。この状態でのプレート上面の位置をBとする。AとBの差から測定対象となる不織布試験片の厚みを求める。プレートの重さは測定目的により種々変更可能であるが、ここでは重さ54gのプレートを用いて測定した。測定機器にはレーザー変位計((株)キーエンス製、CCDレーザ変位センサLK−080)を用いた。これに代えてダイヤルゲージ式の厚み計を用いてもよい。但し、厚み計を用いる場合は不織布試験片に加わる圧力を調整する必要がある。また、上述の方法で測定された不織布の厚みは、その不織布の坪量に大きく依存する。そこで、嵩高さの指標として、厚みと坪量から算出される比容積(cm3/g)を採用している。坪量の測定方法は任意であるが、厚みを測定する試験片そのものの重さを計量し、測定した試験片の寸法から算出される。
〔毛羽立ち防止性〕
ウレタンフォーム〔ブリヂストン(株)製ウレタンフォーム、厚さ0.5mm〕で表面を覆った円盤(直径70mm、350g)の中心から20mmずれた位置で回転軸に取り付ける。ウレタンフォームを下に敷いたサンプルを台上に固定し、前記の円盤をサンプル上に載せ、回転軸を回転させて円盤をサンプル上で周動させる。周動は時計回りに2回、反時計回りに2回行う。この時の周動速度は1周動あたり約3秒である。周動後のサンプルについて、毛羽立ちの程度を以下の判断基準で評価する。
5:非常に良い(毛羽無し)
4:良い
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
Figure 0004318594
表1及び表2に示す結果から明らかなように、各実施例の不織布は、各比較例の不織布に比較して、単位厚み当たりのバルクソフトネスが低く、ドレープ性に富んだものであることが判る。また嵩高で且つ毛羽立ち防止性に優れたものであることが判る。
高速溶融紡糸法に用いられる装置を示す模式図である。
符号の説明
1,2 押出装置
1A,2A 押出機
1B,2B ギアポンプ
3 紡糸口金
4 巻取装置

Claims (6)

  1. 融点の異なる2成分からなる熱融着性複合繊維と、非熱融着性繊維とを含み、該熱融着性複合繊維どうしの交点が熱融着しており、該熱融着性複合繊維と該非熱融着性繊維は熱融着していない不織布であって、
    前記熱融着性複合繊維が、配向指数が40%以上の第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有し且つ配向指数が25%以下の第2樹脂成分とからなり、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在しており、
    前記熱融着性複合繊維は、第2樹脂成分の融点又は軟化点より10℃高い温度における熱収縮率がマイナスの値である不織布。
  2. 前記熱融着性複合繊維を90〜50重量%、前記非熱融着性繊維を10〜50重量%含む請求項1記載の不織布。
  3. 前記複合繊維は、紡糸後に加熱処理又は捲縮処理が施されたものであり且つ延伸処理が行われていないものである請求項1又は2記載の不織布。
  4. 前記複合繊維が、紡糸速度2000m/分以上の高速溶融紡糸によって製造されたものである請求項1又は2記載の不織布。
  5. 熱風によるエアスルー加工によって前記熱融着性複合繊維が熱融着している請求項1ないし4の何れかに記載の不織布。
  6. 前記エアスルー加工が、前記熱融着性複合繊維における第2樹脂成分の融点以上で且つ第1樹脂成分の融点未満の温度で行われたものである請求項5記載の不織布。
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