JP4318244B2 - アスペルギルス由来グルカン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアスペルギルス属の微生物の菌体を、特定の方法で処理することで得られるグルカン及びその使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
WO99/11671号公報
【特許文献2】
特開平4−285859号公報
【特許文献3】
特開平1−142466号公報
【特許文献4】
特公平7−114707号公報
【特許文献5】
特開平7−184690号公報
【非特許文献1】
薬学雑誌,120(5),413-431(2000)
【非特許文献2】
J. Biochem.,80,1011-1021(1976)
【0003】
真菌の(1→3)-β-D-グルカンはマクロファージからの各種サイトカインの産生誘導などを含む網内系の活性化、補体系の活性化、抗腫瘍活性(例えばシイタケから調製されたレンチナン及びスエヒロタケから調製されたシゾフィランなどは、抗腫瘍活性を示す医薬として現在販売されている)等の多彩な生物活性を示すことが【非特許文献1】には記載されている。
【0004】
医療現場においては重大な感染症の一つに深在性真菌症が存在するが、真菌の感染が起こると血中に真菌の(1→3)-β-D-グルカンが溶出するため、血中の(1→3)-β-D-グルカンを測定することで深在性真菌症の検出を行うことができる。
【0005】
また、(1→3)-β-D-グルカンは、またアレルギー性呼吸器疾患の原因物質の一つとしてあげられているほか、体内に入った微生物の(1→3)-β-D-グルカンがエンドトキシンの作用を増強するという報告もあり、異物として血中に流入することは極めて好ましくない。このように医薬品並びに医療用具などへの(1→3)-β-D-グルカンの混入も医療上重大な問題となりつつあり、(1→3)-β-D-グルカンの検出は医療現場において重要な位置を占めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで(1→3)-β-D-グルカンの検出の感度と正確性は、(1→3)-β-D-グルカン検出試薬(例えばリムルス試薬やフェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬など)に対する標準物質の反応の感度と正確性に左右されることになる。WO99/11671には、(1→3)-β-D-グルカン検出試薬への正確な反応性を有する(1→3)-β-D-グルカンをカンジダ属微生物から抽出する方法、及びそのようにして得られた(1→3)-β-D-グルカンが記載されている。しかし、感度等が十分とはいえなかった。
従って、(1→3)-β-D-グルカン検出試薬に対する感度がより高い物質が期待されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、アスペルギルス属の微生物を特定の方法で処理することによって優れた生理活性を有するグルカンが得られ、該グルカンが(1→3)-β-D-グルカン検出試薬に対して驚くべき反応性を示すことを見いだして本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物の菌体をアルカリ性条件下で酸化処理して抽出されるグルカン。
(2) 酸化処理を次亜塩素酸塩によって行うことを特徴とする(1)記載のグルカン。
(3) 非プロトン性極性溶媒に可溶であることを特徴とする(1)又は(2)記載のグルカン。
(4) 非プロトン性極性溶媒がジアルキルスルホキシドであることを特徴とする(3)記載のグルカン。
(5) 尿素溶液に可溶であることを特徴とする(1)乃至(4)いずれか記載のグルカン。
(6) (1)乃至(5)いずれかに記載のグルカンを標準物質として用い、リムルス試薬又はフェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬により検体中の(1→3)-β-D-グルカンを測定する方法。
(7) リムルス試薬又はフェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬による検体中の(1→3)-β-D-グルカンの測定における、(1)乃至(5)いずれかに記載のグルカンの使用。
(8) 少なくとも(1)乃至(5)いずれか記載のグルカンを標準物質として含むことを特徴とする、(1→3)-β-D-グルカン測定用キット。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態により詳説する。
(1)本発明物質1
本発明物質1は、アスペルギルス(Aspergillus;以下単に「A.」と略記することもある)属に属する微生物の菌体をアルカリ性条件下で酸化処理して抽出されるグルカンである。
【0010】
本発明物質1は、アスペルギルス属に属する微生物に由来するものであればよいが、好ましくは細胞壁由来である。前記微生物は、アスペルギルス属であれば特に限定はされないが、その中でも特にアスペルギルス・フミガタス(A. fumigatus:IFO(財団法人発酵研究所)-4400, IFO-30870等)、アスペルギルス・ニガー(A. niger:IFO-6342等)、アスペルギルス・オリゼー(A. oryzae:IFO-30103等)などが好ましい例として挙げられる。
【0011】
本発明における上記アスペルギルス属の微生物は、得られたグルカンに混入する夾雑物を少なくする目的から、培地成分の特定された培地中での液体培養法によって微生物を得ることが好ましいが、固体培養法であっても良い。例えば一般的な真菌培養に用いられる培地を用いて振盪培養した微生物の菌体を、濾過、遠心分離処理等の通常の分離手段によって回収して後述の酸化処理することができる。しかし、微生物菌体中にはグルカン以外の物質も含まれ、上記抽出操作で抽出される。従って(1→3)-β-D-グルカン検出試薬に対しより高感度の(1→3)-β-D-グルカンを得るためには、培地から分離した微生物をアセトンなどの水溶性有機溶媒を用いて脱脂・脱水した脱脂乾燥菌体を用い、夾雑物質をできるだけ除いておくことがより好ましい。
【0012】
本発明物質1におけるアルカリ性条件下とは、pH7〜13、好ましくは8〜12程度である。このような条件とすることによって微生物菌体に含まれるマンナンやタンパク質などを切断、変性させることができるが、他の方法によって微生物に含まれるマンナンやタンパク質を切断、変性して、本発明物質1から取り除くことが可能であれば上記条件・方法に特に限定はされない。
【0013】
上記酸化処理は、適当な酸化剤(例えば次亜塩素酸塩、過ヨウ素酸塩など)を用いて行うことができる。酸化剤としては特に次亜塩素酸塩(例えば次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム及び次亜塩素酸カリウムなど)が好ましく、次亜塩素酸ナトリウム(以下「NaClO」と記載する)が最も好ましい。
【0014】
例えば酸化剤としてNaClO溶液を用いる場合、適当量のNaClO溶液にアスペルギルス属に属する微生物の脱脂乾燥菌体を混合した後、攪拌して反応を進めることが好ましい。その際の温度と処理時間によって酸化の程度の異なる種々の酸化物が得られるが、通常は0〜37℃、好ましくは2〜8℃、例えば4℃の温度条件下で、1〜24時間、好ましくは5〜15時間程度反応させることがより好ましいが、特に限定はされない。種々の条件の変化により反応時間が変化しうることは当業者であれば容易に理解されうるところである。
【0015】
本発明物質1は上記酸化処理溶液中で不溶性であり、酸化処理液から不溶性画分を回収することにより、夾雑物質である水溶性画分との分離がなされる。不溶性画分の回収は、通常の固液分離手段、例えば濾過、或いは遠心分離などの公知の一般的な方法によって行うことができるが、特に遠心分離処理が好ましい。
【0016】
更に、反応溶液を透析などの脱塩手段による脱塩や、「不溶性画分」の水による洗浄を行い、上記固液分離手段により「不溶性画分」を回収することが好ましい。
本発明物質1を更に精製処理することで、(1→3)-β-D-グルカン検出試薬に対する感度がより高い以下の本発明物質2及び3を得ることが可能である。
【0017】
(2)本発明物質2
本発明物質2は非プロトン性極性溶媒に可溶であることを特徴とする本発明物質1のグルカンである。
【0018】
本発明物質2は、非プロトン性極性溶媒に溶解する画分を本発明物質1から分画・単離して得られるグルカンで、α-グルカン及び(1→3)-β-D-グルカン等のβ-グルカンの混合物であり、13C-NMR等の核磁気共鳴で分析すると、両グルカンのそれぞれの特徴的ピークが観察される。
【0019】
上記非プロトン性極性溶媒とは、本発明物質2の(1→3)-β-D-グルカン検出試薬への反応性を保持しつつ、α-グルカン及びβ-グルカンを溶解することができる水溶性有機溶媒であることが好ましい。このような非プロトン性極性溶媒としてはジアルキルスルホキシド、ジアルキルホルムアミド、又はヘキサアルキルホスホルアミドが挙げられ、例えばジメチルスルフォキシド(以下「DMSO」と略記する)、ジエチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド及びヘキサメチルホスホルアミド等が具体的に例示される。この中では、特にジメチルスルフォキシドが好ましい。本発明物質1を非プロトン性極性溶媒に加えて可溶成分を溶解した後、当該溶媒へ溶解しない不溶物を遠心分離などによって除去し、上清液にエタノールなどの極性有機溶媒を添加して本発明物質2を析出させ、遠心分離などの既知の固液分離手段を用いて本発明物質2を沈殿として回収し、これをアセトンなどの水混和性有機溶媒によって脱水、乾燥させて粉末状の本発明物質2を得ることができる。
なお、本発明物質1を非プロトン性極性溶媒に加えて可溶成分を溶解させる際に超音波処理を行うと溶解を促進できる。
【0020】
(3)本発明物質3
本発明物質3は、尿素溶液に可溶であることを特徴とする本発明物質1又は本発明物質2のグルカンである。
【0021】
本発明物質3は、13C-NMR等においては(1→3)-β-D-グルカンの特徴的ピークを観察することができる特徴を有する。
本発明物質3の調製は例えば以下の方法により行うことができる。すなわち、本発明物質1又は本発明物質2を尿素溶液に添加して、尿素溶液に可溶成分を溶解させ、好ましくは加熱処理した後、不溶物を遠心分離などの固液分離手段によって除去し、上清液にエタノールなどの極性有機溶媒を添加して本発明物質3を析出させ、遠心分離などの既知の固液分離手段を用いて本発明物質3を沈殿として回収してこれをアセトンなどの水混和性有機溶媒によって脱水、乾燥させて粉末状の本発明物質3を得ることができる。
【0022】
なお、上記尿素溶液への本発明物質1の溶解は、常温においても行うことができるが、より溶解を早めるために、加熱条件、好ましくは加熱加圧条件下(例えば121℃オートクレーブでの20分の処理等)で行うことが好ましい。
【0023】
上記の本発明物質3の調製に際し、尿素溶液としては、尿素を含有する水溶液が好ましい。尿素溶液中の尿素の濃度は、2〜12M、より好ましくは3〜10M、特に4〜8Mが好ましいが、精製された本発明物質3が13C-NMRにおいて実質的に(1→3)-β-D-グルカンの特徴的ピークが観察される限り、上記濃度に限定はされない。
【0024】
(4)本発明測定方法
本発明測定方法は本発明物質1、2又は3を用い、リムルス試薬又はフェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬により検体中の(1→3)-β-D-グルカンを測定する方法である。
【0025】
本発明測定方法において本発明物質1、2又は3は、測定の標準物質として使用されることが好ましい。
【0026】
本発明測定方法に使用される「リムルス試薬」としては、カブトガニのアメボサイト(血球細胞)から抽出されたライセートを原料として得られたG因子系反応因子を含む試薬であって、一般にリムルス試験(ゲル化法、合成基質法)に使用される試薬であれば、いずれも使用することができる。このようなリムルス試薬としては具体的には、リムルス・ポリフェムス(Limulus polyphemus)、タキプレウス・トリデンタツス(Tachypleus tridentatus)、タキプレウス・ギガス(Tachypleus gigas)、タキプレウス(カルシノスコルピウス)・ロツンディカウダ(Tachypleus(Carcinoscorpius) rotundicauda)等のカブトガニのリンパ液から、公知の方法(例えば、J. Biochem., 80,1011-1021(1976))で調製した通常のライセート、エンドトキシン感受性因子(C因子)の反応を排除した(1→3)-β-D-グルカン特異的ライセート(特開平4-285859)、及びさらにこれらのライセートに合成基質を加えて調製した(1→3)-β-D-グルカン特異的試薬(特開平4-285859)等の合成基質法リムルス試薬などが挙げられる。
【0027】
本発明測定法に使用されるフェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬としては、節足動物等の体液を原料として得られた(1→3)-β-D-グルカン系反応因子を含む試薬であれば、特に限定はされないが、カイコの体液から調製されたペプチドグリカンと(1→3)-β-D-グルカンに反応する市販の試薬(例えば、SLP試薬(和光純薬工業株式会社製))も使用することができる。
【0028】
また、フェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬を用いる本発明測定法における反応の検出方法は、公知の方法、すなわち、フェノール酸か酵素前駆体カスケード反応において発現する酵素(例えばベンゾイルアルギニンエチルエステル加水分解酵素(BAEEase)、プロフェノールオキシダーゼ活性化酵素(PPAE)、フェノールオキシダーゼ(PO)等)の活性を測定するかあるいはこれらの酵素活性が発現してくる迄の時間を測定する方法等を用いればよい。例えば、特開平1-142466号公報および特公平7-114707号公報に記載された如く、POの活性化度の測定(生成するキノリン色素を測定する方法、L-β-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アラニン(DOPA)の酸化によって生成するメラニン色素を測定する方法等)、BAEEase活性の測定ならびに特開平7-184690号公報に記載された如く、PPAE活性を測定する方法等を用いればよい。
【0029】
なお、上記のようなリムルス試薬及びフェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬は、液体、粉末、固形物等のいずれの形態であってもよい。
本発明方法を用いることにより、血清、血漿、組織液など体液の他、水、試薬、医薬品等の検体中及び医薬品製造工程などにおけるサンプリングによる検体中の(1→3)-β-D-グルカンを測定することが可能である。
【0030】
(5)本発明キット
本発明キットは、少なくとも本発明物質1,2,又は3を標準物質として含有することを特徴とする(1→3)-β-D-グルカン測定キットである。
【0031】
本発明キットは、上記本発明測定法を実施するためのキットであり、標準物質として利用するための上記本発明物質1、2あるいは3をキット中に含むことを特徴とする。本発明キットには、さらに本発明測定方法を実施するための測定試薬であるリムルス試薬又はフェノール酸化酵素前駆体カスケード因子含有試薬を含むことが好ましい。また、その他キット中には例えば(1→3)-β-D-グルカンの混入のない((1→3)-β-D-グルカンフリー)蒸留水、(1→3)-β-D-グルカンの付着・混入のない((1→3)-β-D-グルカンフリー)96ウェルマイクロプレートなどを包含しても良い。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
本発明物質1の調製
アスペルギルス・フミガタス(A. fumigatus:IFO-4400, IFO-30870)、アスペルギルス・ニガー(A. niger:IFO-6342)、アスペルギルス・オリゼー(A. oryzae:IFO-30103)のそれぞれを5LのC-制限培地 (炭素源としてショ糖を含む培地)にて27°Cで48〜72時間液体培養し(ジャーファメンター使用;攪拌速度:400rpm)、アセトン処理した後、乾燥菌体(脱脂乾燥菌体)16〜20gを得た。
【0033】
当該脱脂乾燥菌体2gに0.1mol/L NaOH 200mLを加えて懸濁し、NaClO(アンチホルミン、和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ有効塩素濃度が0.5〜1.5となるように添加して、4℃で一夜撹拌し酸化分解した。得られた酸化物を3,000rpm、10分間遠心分離し沈殿物を得、(1→3)-β-D-グルカンを含まない蒸留水200mLを加え、撹拌後遠心分離(3,000rpm、10分)し、その沈殿物にアセトン200mLを加え脱水沈殿物として各々の菌株由来の本発明物質1を得た(アスペルギルス・フミガタス由来の本発明物質1をグルカン1−f、同様にアスペルギルス・ニガー由来をグルカン1−n、アスペルギルス・オリゼー由来をグルカン1−o(有効塩素濃度1.5の次亜塩素酸処理して得られたものをグルカン1−o−1とし、有効塩素濃度0.5の次亜塩素酸処理して得られたものをグルカン1−o−2とした)とした)。収量はそれぞれ350mg程度であった。
【0034】
また、対照として使用するためにカンジダ・アルビカンス(Candida albicans:IFO1385)を用いて同様の手法で対照物質(対照1:有効塩素濃度1.5の次亜塩素酸処理によって得られたものを対照1−1とし、有効塩素濃度0.5の次亜塩素酸処理をして得られたものを対照1−2とした)を調製した。
得られた各サンプルの収量と収率、使用した有効塩素濃度は以下の通りであった(表1)。
【0035】
【表1】
表1
Figure 0004318244
【0036】
実施例2
本発明物質2の調製
上記実施例1で2gの脱脂乾燥菌体を有効塩素濃度0.5で処理して得られたグルカン1−f(IFO-4400由来及びIFO-30870由来)、1−n、1−o−2の全量にDMSO 30mLを加え、1時間超音波をかけて溶解させた。3,000rpm、10分間遠心分離し、上清を得、該上清に4倍量のエタノールを撹拌しながら加えてグルカンを析出させた後、該析出物を15,000rpm、15分間遠心分離し、沈殿物を得た。該沈殿物にアセトンを100mL加え撹拌し、3,000rpm、10分間遠心分離して脱水した沈殿物を得、減圧乾燥して本発明物質2の粉末を得た。グルカン1−f由来の本発明物質2をグルカン2−f,同様にグルカン1−n由来をグルカン2−n,グルカン1−o−2由来をグルカン2−oとした。
【0037】
対照1−1、1−2を用いて上記と同様に処理して対照を調製した(対照1−1由来の対照を対照2−1、対照1−2由来の対照を対照2−2)。
得られた各サンプルの収量と収率は以下の通りであった(表2)。
【0038】
【表2】
表2
Figure 0004318244
【0039】
実施例3
本発明物質3の調製
上記実施例1で得られたグルカン1−o−2を4M又は8Mの尿素を蒸留水に溶解した尿素溶液に10mg/mLで懸濁し、121℃で20分間オートクレーブ処理した。その後、10分間10000×gで遠心処理した後、上清を回収し、4倍量のエタノールを攪拌しながら加えてグルカンを析出させた後、該析出物を15,000rpm、10分間遠心分離し、沈殿を得た。該沈殿にアセトンを100mL加えて撹拌し、3,000rpm、10分間遠心分離して脱水した沈殿物を得、減圧乾燥して本発明物質3の粉末を得た。4M尿素溶液で処理して得た本発明物質3をグルカン3−o(4)、8Mの尿素溶液で処理して得たものをグルカン3−o(8)とした。
グルカン3−o(4)が脱脂乾燥菌体2gから134mgで収率は6.7%、グルカン3−o(8)が脱脂乾燥菌体2gから171mgで収率は8.6%であった。
【0040】
実施例4
13C-NMRによる分析
グルカン1−o−2及びグルカン3−o(8)をそれぞれDMSO-d6(Merk社製、F.R.Germany)に溶解し、13Cによる高分解能NMR(DRX500および解析ソフトXWIN-NMR、Bruker, Germany)に供した(分析温度:70℃)。
【0041】
グルカン1−o−2は13C-ケミカルシフト(表3)よりα-グルカンとβ-グルカンの両者を含むことが判明し、また、グルカン3−1(8)は直鎖のβ-1,3結合からなることが明かとなった(13C-NMRスペクトルを図1に示す:グルカン1−o−2:図1、グルカン3−o(8):図2、図1、図2中に下記表3に対応したピークを表示した)。
【0042】
【表3】
表3
Figure 0004318244
【0043】
実施例5
G因子活性化能の測定
グルカン1−o−2、グルカン3−o(4)、グルカン3−o(8)、対照2−2、及びブクリョウ由来のパキマン(生化学工業株式会社製)を使用して、G因子活性の測定を行った。
【0044】
すなわち、各グルカンにDMSOを添加して、1mg/mlDMSOとなるように調整した。24時間、放置して各グルカンを膨潤させた後、不溶物が観察されたグルカン1−o−2、グルカン3−o(4)、グルカン3−o(8)のみ3分間100℃で煮沸を行った。
各グルカン溶解液から、可溶性画分を回収し、蒸留水で10倍に希釈した。これを更に蒸留水で10倍毎に希釈したサンプルを作成した。
各サンプルを、G因子測定キット(ファンギテックG-MK:生化学工業株式会社製)で、説明書に従ってG因子活性を測定した(表4)。
【0045】
【表4】
表4
Figure 0004318244
【0046】
また、3−o(4)、3−o(8)、及び2−oの測定をパキマンで作成した標準曲線を使用して行なった。
すなわち、それぞれ1mgを1mlのDMSOに溶解した後、最終濃度が100pg/ml、10pg/ml、1pg/mlとなるように希釈した。この希釈液のG因子活性化能をファンギテックG-MK(生化学工業株式会社製)を用いて測定した。その結果、3−o(4)、3−o(8)、2−oのすべてについて実際に検体中に存在するβ-グルカン量とは異なるβ-グルカン量が導かれた。すなわち、アスペルギルス由来のグルカンを測定する際にパキマンを標準品として用いると、検体中に実際に存在するβ-グルカンの濃度と明らかに異なる値(検体中の実際のグルカン濃度1pg/ml→得られた濃度0.2〜0.27pg/ml、検体中の実際のグルカン濃度10pg/ml→得られた濃度1.02〜1.85pg/ml、検体中の実際のグルカン濃度100pg/ml→得られた濃度8.87〜15.67pg/ml)が得られてしまうことが明かとなった(図3)。したがって、検体中に存在するアスペルギルス由来のグルカンの正確な濃度を求める際(特に検体がアスペルギルス感染の疑いがある場合)には、本発明物質を標準物質として使用することが好ましいと考えられる。
【0047】
実施例6
(1→3)-β-D-グルカン測定用キット
(1)グルカン3−o(8)(500pg/mLを含有する0.01M NaOH溶液1mLに4mgのデキストラン及び4mgの水酸化ホウ素ナトリウムを溶解後、凍結乾燥した粉末:バイアル入り)
(2)(1→3)-β-D-グルカン特異的リムルス試薬
(3)96ウェルマイクロプレート((1→3)-β-D-グルカンフリー) 1枚
(4)蒸留水((1→3)-β-D-グルカンフリー) 10mL
【0048】
測定
レンチナンの粉末をDMSOで溶解し、蒸留水で1mg/mlとなるように調製した検体を用い、実施例5の方法を用いて上記の本発明キットによって測定を行った。その結果、ばらつきのない安定した測定値が得られた。
【0049】
実施例7
ヒト末梢血の単核球、多形核好中球のIL-8産生への影響
健常人末梢静脈より末梢血を採取し、密度勾配遠心法によって単核球(PBMC)及び多形核好中球(PMN)を分離し、10autologous plasma-RPMI 1640培地に懸濁した。それぞれの細胞を2.0×106個/mLの濃度でポリプロピレンチューブにまき、実施例1で得られた対照1−2、グルカン1−o−2、実施例3で得られたグルカン3−o(8)(100μg/mL)で刺激後、37℃で5%のCO2インキュベーターで12時間培養した。得られた培養上清中のIL-8濃度をELISA法で測定した(PBMC:表5、PMN:表6)。グルカンを添加しない群を陰性対照として用いた。その結果、本発明物質は強いIL-8産生促進能を有することが明かとなった。
【0050】
【表5】
表5
Figure 0004318244
【0051】
【表6】
表6
Figure 0004318244
【0052】
【発明の効果】
本発明により、より(1→3)-β-D-グルカン検出試薬への高感受性を有するグルカンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 グルカン1−o−2の13C-NMRチャートを示す図である。
【図2】 グルカン3−o(8)の13C-NMRチャートを示す図である。
【図3】 グルカン3−o(4)、3−o(8)、及び2−oのG因子活性化能を示すグラフ。水平軸はパキマンを基準として測定したグルカン濃度(pg/ml:糖含量あたり)を示し、垂直軸は吸光度変化率(mAbs/min)を示す。菱形は2−oを示し、三角形は3−o(8)を示し、正方形は3−o(4)を示す。

Claims (10)

  1. アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物の菌体をアルカリ性条件下で酸化処理し、更に、当該酸化処理溶液中の不溶性画分を尿素溶液に溶解することを含む、(1→3)-β-D-グルカンの調製方法
  2. アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物の菌体をアルカリ性条件下で酸化処理し得られる溶液中の不溶性画分を非プロトン性極性溶媒に溶解し、更に、当該非プロトン性極性溶媒への可溶化成分を尿素溶液に溶解することを含む、(1→3)-β-D-グルカンの調製方法
  3. 尿素溶液への溶解を加熱加圧条件下で行うことを特徴とする請求項1記載の調製方法
  4. 尿素溶液が4Mの尿素を蒸留水に溶解したものであることを特徴とする請求項1乃至いずれか一項記載の調整方法
  5. (1→3)-β-D-グルカンがα−グルカンを含まない(1→3)-β-D-グルカンであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項記載の調製方法。
  6. 酸化処理を次亜塩素酸塩によって行うことを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項記載の調製方法
  7. 非プロトン性極性溶媒がジアルキルスルホキシドであることを特徴とする請求項乃至いずれか一項記載の調製方法
  8. ジアルキルスルフォキシドがジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項7記載の調製方法
  9. 請求項1乃至8いずれか一項記載の調製方法により得られるグルカンを標準物質として用いる、リムルス試薬による検体中の(1→3)-β-D-グルカンの測定方法。
  10. アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物の菌体をアルカリ性条件下で酸化処理し得られる溶液中の不溶性画分を4Mの尿素を蒸留水に溶解した尿素溶液に溶解することを含む(1→3)-β-D-グルカンの調製方法により得られる(1→3)-β-D-グルカンを標準物質として用いる、リムルス試薬による検体中の(1→3)-β-D-グルカンの測定方法。
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