JP4312647B2 - 紙質向上剤 - Google Patents

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本発明は、パルプシートの紙質向上に有用な内添用紙質向上剤、及びそれを添加してなるパルプシートに関する。
地球環境保護の面からパルプの使用量削減が求められ、その結果、紙の軽量化と古紙パルプの増配合が求められている。しかしながら、単に紙中のパルプ量を削減して得られる紙は、紙が薄くなることによる不透明度低下が起こり品質の劣るものとなる。また、紙中のパルプ量を低減させる軽量化では、紙の強度の低下や、板紙のように剛度を要求される紙では、剛度が低下し望ましくない。一方、古紙パルプの配合比率を高めると、古紙パルプ中の残インキ等による白色度の低下や、リサイクル過程でパルプ繊維が細くなること等により紙厚が低下し不透明度低下が起こる。従って、紙中のパルプ量を削減するとともに、古紙パルプの配合比率を高くすると、得られる紙の厚さの低下、強度や剛度の低下、不透明度及び白色度が一段と低下する。
軽量化による厚さの低下を防止することを目的として、従来から種々の嵩向上方法が試みられてきた。例えば、プレス圧を低くする製造方法は、平滑性が低下し印刷適性が劣るという問題がある。また、架橋パルプを用いる、合成繊維と混抄する、パルプ繊維間に無機物等の充填物を満たす、空隙をもたらす(特許文献1)等の方法も挙げることができるが、パルプのリサイクルが不可能であったり、紙の平滑度が損なわれたりする。また、紙用嵩高剤としては、特定のアルコール及び/又はそのポリオキシアルキレン付加物(特許文献2)が知られている。更に嵩高剤として市販されている脂肪酸ポリアミドポリアミン型においては、嵩は向上するものの、紙の強度や剛度が低下し、紙性能としては十分でない。一方、不透明度、白色度を向上させるために、炭酸カルシウム、カオリン、ホワイトカーボン等の無機填量を多量(例えば5〜20重量%)添加する方法が当業界で実施されている。しかしながら、単に無機填量を多量に添加すると紙の重量増加が著しく、紙の軽量化は達成できない。
さらに、特許文献3には、紙の内添剤としてメルカプト基を有するカチオン性のポリビニルアルコールを分散剤としたエチレン性不飽和単量体あるいはジエン系単量体の重合体微粒子からなる紙用の内添剤が開示されており、特許文献4では、デンプンを糊化することなくデンプン粒子の形態を保持しつつ、(メタ)アクリルアミドを含むモノマーをグラフト共重合して得られるグラフト化デンプンを主成分とする製紙用添加剤が開示されているが、これらは剛度に関しては或る程度の改善はされるものの、嵩の向上はほとんど見られない。
特開平5−230798号公報 国際公開第98/3730号パンフレット 特開平8−199079号公報 特開平11−302992号公報
本発明の課題は、パルプシートの嵩を向上させるとともに、強度や剛度の低下が少ない内添用紙質向上剤を提供することにある。
本発明は、一般式(a)で表される単量体(以下単量体(a)という)由来の構成単位と、一般式(b)で表される単量体(以下単量体(b)という)由来の構成単位を含む共重合体を含有する内添用紙質向上剤、及びこの内添用紙質向上剤を、パルプに添加してなるパルプシートを提供する。
Figure 0004312647
(式中、R1は水素原子又はメチル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは平均値で1〜300の数、Xは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、n個のAOは同一でも異なっていても良い。)
Figure 0004312647
(式中、R2は水素原子又はメチル基、M1は水素原子又は陽イオンを示す。)
本発明の内添用紙質向上剤は、抄紙時にパルプスラリー中に添加することで、パルプシートの強度や剛度の低下を抑えながら、またはパルプシートの強度や剛度を向上させながら、パルプシートの嵩を向上させることができる。本発明のパルプシートの嵩が向上する原理については、本発明に係わる共重合体により、パルプの分散又は部分的な凝集状態が制御されることにより嵩高いパルプシートが得られるものと考えられる。通常、嵩高いパルプシートが得られた場合、パルプ間に空隙が多くなり、紙の強度は大きく低下するが、本発明に係わる共重合体の場合、繊維間に結合した共重合体が、パルプとの接着力を適度に向上させ、この結果、嵩が向上するにもかかわらず強度や剛度の低下が少ない、又は、嵩が向上するにもかかわらず強度や剛度も向上する、内添用紙質向上剤を提供することができる。
[共重合体]
本発明に係わる共重合体は、必須構成単位として、単量体(a)由来の構成単位と、単量体(b)由来の構成単位を含む。更に、一般式(c)で表される単量体(以下単量体(c)という)由来の構成単位を含むこともできる。
Figure 0004312647
(式中、R3、R4及びR5は、これらのうちいずれか1つが−(CH2mCOOM3で表される基で、残りが水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、mは0〜2の数、M2及びM3はそれぞれ水素原子又は陽イオンを示し、−COOM2基と−(CH2mCOOM3基とは無水物を形成していてもよい。)
単量体(a)において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示すが、炭素数2〜3のオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基が更に好ましい。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜300の数であるが、共重合体の室温での固化を防止し、共重合体の固形分濃度を高め易くし、パルプスラリーに内添する場合のハンドリング性を良好にする観点から1〜200が好ましい。Xは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
単量体(a)は、例えば、一般式(I)で表される化合物(以下化合物(I)という)と、一般式(II)で表される化合物(以下化合物(II)という)とをエステル化反応させることにより製造することができる。
Figure 0004312647
(式中、AO、n、X及びR1は前記の意味を示す。)
化合物(I)としては、例えばメトキシ(ポリ)エチレングリコール、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール、メトキシ(ポリ)ブチレングリコール、エトキシ(ポリ)エチレングリコール、エトキシ(ポリ)プロピレングリコール、エトキシ(ポリ)ブチレングリコール、プロポキシ(ポリ)エチレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのうちでも、特にメトキシ(ポリ)エチレングリコールのようにエチレングリコール鎖を含むものが好ましい。
エステル化に際して、化合物(I)の転化率は、性能面から好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上である。エステル化反応は特に限定されず、公知の触媒、重合禁止剤、及び必要に応じて公知の溶剤を用いて公知の方法で行なうことができる。
エステル化反応に用いる触媒としては公知のものを広く用いることができる。このような触媒としては、例えば硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等を挙げることができる。エステル化反応に用いる重合禁止剤としても公知のものを広く用いることができる。このような重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メトキノン等のキノン類;クペロン;フェノチアジンなどを挙げることができる。
エステル化反応は減圧下、或いは常圧下で行なうことができるし、溶媒存在下或いは無溶媒下でも行なうことができる。エステル化反応で生成する水を反応器の外に留去させる面からは水と共沸し得る溶媒を用いるのが好ましく、無溶媒下にエステル化反応を行なう場合には窒素などの不活性ガスを反応器に通して生成水を追い出すこともできる。このような溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類;シクロヘキサン等の脂環式化合物類;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類などを挙げることができる。
単量体(b)において、M1で示される陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、置換アルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。単量体(b)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸あるいはこれらの塩を挙げることができ、アクリル酸塩、メタクリル酸塩が好ましい。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
単量体(c)において、R3、R4及びR5は、これらのうちいずれか1つが−(CH2mCOOM3で表される基で、残りが水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、いずれか1つが−COOM3又は−CH2COOM3で、残りが水素原子又はメチル基が好ましい。M2及びM3で示される陽イオンとしては、上記M1と同様の基が挙げられる。
単量体(c)としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸又はこれらの塩あるいはこれらの無水物等が挙げられ、マレイン酸、マレイン酸のアルカリ金属塩、無水マレイン酸が好ましい。
単量体(b)及び単量体(c)が塩である場合、塩を形成するために用いられる中和剤としては、カルボキシル基等をイオン化するものであれば特に限定されないが、好ましくは、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、および各種アミン類が用いられ、その使用量は単量体(b)あるいは(c)中のカルボキシル基1当量に対して、0〜1.1当量が好ましい。なお、中和剤はそのまま使用してもよいが、ごく少量の水に希釈、溶解して使用してもよい。中和剤の当量がカルボキシル基1当量に対して1.1を超えた場合、パルプスラリーに共重合体水溶液を添加した際のpHがアルカリ性になる場合もあり目的とする嵩性能等の紙質の向上が望めない場合もあることから1.1以下が望ましい。
本発明の共重合体は、単量体(a)及び単量体(b)、更に必要により単量体(c)を共重合させることにより得られる。本発明の共重合体を構成する単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)のモル比は、目的とする嵩性能等の紙質を向上させる観点から、(a)/[(b)+(c)]=5/95〜80/20の範囲が好ましく、10/90〜70/30の範囲が更に好ましい。また、単量体(b)と単量体(c)のモル比は、共重合体を製造する際に単量体(c)の未反応物や単独重合物を少なくして目的とする嵩性能等の紙質を向上させる観点から、(b)/(c)=70/30〜100/0の範囲が好ましく、80/20〜100/0の範囲が更に好ましい。
共重合方法は、特に限定されず、ラジカル重合でもイオン重合でも良く、また例えば重合開始剤を用いての溶液重合や塊状重合などの公知の重合方法を採用できる。重合方法は、回分式でも連続式でも行なうことができ、その際必要に応じて使用される溶媒としては、公知のものを使用でき特に限定されない。そのような溶媒としては、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などが挙げられるが、単量体混合物及び得られる共重合体の溶解性からは、水および炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、ニトリル系化合物、アゾ系化合物、ジアゾ系化合物、スルフィン酸系化合物等の公知のものを使用でき特に限定されない。このような重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシドなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、促進剤として亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物などの1種又は2種以上を併用することもできる。重合開始剤の添加量は、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の合計に対して0.05〜50モル%が好ましい。
また、共重合反応においては、連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、低級アルキルメルカプタン、低級メルカプト脂肪酸、チオグリセリン、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタノール等を挙げることができる。
重合温度は、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤等により適宜定められるが、通常0〜150℃の範囲内が好ましく、0〜120℃の範囲が更に好ましい。
得られた共重合体は、必要に応じて、脱臭処理をすることができる。特に連鎖移動剤としてメルカプトエタノール等のチオールを用いた場合には、不快臭が重合体中に残存しやすいため、脱臭処理をすることが望ましい。
上記の製造方法により得られる共重合体は、酸型のままでも本発明の紙質向上剤として用いることができるが、必要に応じてアルカリ性物質で中和して塩の形にすることもできる。このようなアルカリ性物質としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩等の無機塩;アンモニア;モノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜8)アミン、モノ、ジ、トリアルカノール(炭素数2〜8)アミン等の有機アミンなどを挙げることができる。
本発明の共重合体の重量平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリエチレングリコール換算、カラム:G4000PWXL + G2500PWXL(東ソー(株)製)、溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=7/3(体積比)、以下同様〕は、紙質向上剤として充分な分散性を得るため、10,000〜200,000が好ましく、20,000〜100,000が更に好ましい。
[内添用紙質向上剤]
本発明の内添用紙質向上剤は、上記のような本発明に係わる共重合体を含有し、更に例えば、公知の界面活性剤、着色剤、添加剤等を、本発明における所望の効果の発現が阻害されない範囲で含有することができる。本発明の内添用紙質向上剤は、前記界面活性剤、着色剤、添加剤等の成分をあらかじめ混合して調製物とすることもでき、あるいは共重合体を製造する際に混合して調製物とすることもできる。
また、本発明の内添用紙質向上剤には、本発明に係わる共重合体に加え、本発明における所望の効果の発現が阻害されない範囲内で、適宜さらに他のポリマーを含有させることもできる。
本発明の内添用紙質向上剤中の、本発明に係わる共重合体の含有量は固形分換算で、1〜100重量%が好ましく、10〜100重量%が更に好ましい。固形分濃度は赤外水分計(Kett 社製、Infrared Moisture Determination Balance, FD-240)にて、150℃、20分間の加熱条件で測定した。
[パルプシート]
本発明におけるパルプシートの製造法としては、公知の方法が用いられる。本発明の紙質向上剤を用いることにより、紙質向上剤を内添したパルプシートが得られる。本発明の内添用紙質向上剤の添加量は固形分換算で、パルプ100重量部に対し、紙質向上効果の観点から0.05重量部以上が好ましく、パルプシート本来の性能を維持する観点から20重量部以下が好ましい。より好ましくは0.1〜10重量部である。このような少量添加でも、パルプシートの嵩を向上させるとともに、嵩が向上するにもかかわらず強度や剛度の低下が少ない、又は嵩が向上するにもかかわらず強度や剛度が向上するパルプシートを得ることができる。
本発明の内添用紙質向上剤は、抄紙工程以前の何れかにおいてパルプに添加される(内添)。その添加場所としては、パルプ原料の稀薄液が金網上を進む間に濾水されて紙層を形成する抄紙工程以前で、パルパーやリファイナー等の離解機や叩解機、マシンチェストやヘッドボックスや白水タンク等のタンク、あるいはこれらの設備と接続された配管中に添加してもよいが、リファイナー、マシンチェスト、ヘッドボックスで添加する等、均一にパルプ原料にブレンドできる場所が望ましい。
本発明におけるパルプシートの製造時において、一般の抄紙時に用いられる、サイズ剤、填料、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力向上剤等を添加してもよい。特に、本発明の紙質向上剤がその機能を発現するためには、パルプに定着することが重要であり、そのために定着を促進する剤を用いることができる。かかる剤の例としては、硫酸アルミニウム、カチオン化澱粉、アクリルアミド基を有する化合物、ポリエチレンイミン等が挙げられる。定着を促進する剤の添加量は、パルプ100重量部に対し0.001〜5重量部が好ましい。
本発明の内添用紙質向上剤を用いて得られたパルプシートは、無添加シートに比べ、嵩up率が2%以上、紙力維持率が85%以上、剛度維持率が85%以上であることが好ましい。
更に本発明の内添用紙質向上剤は、中性サイズ剤(アルキルケテンダイマー)と併用することにより、中性サイズ剤単独添加系に比べ、サイズ性能が同等ないし向上する。
本発明の内添用紙質向上剤を用いて得られるパルプシートは、紙パルプ技術便覧(紙パルプ技術協会発行、455〜460頁、1992年)に記載された品目分類の中の、新聞用紙、非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、情報用紙、段ボール用紙、白板紙、包装用紙等の紙又は板紙に好適に用いられる。
以下の製造例、実施例において、%及び部は、特に記載しなければ、重量%、重量部を表す。
製造例1
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び還流冷却管を備えたガラス製反応器に水2000部を仕込み、攪拌下に反応器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。単量体(a)として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート〔エチレンオキサイド9モル付加物、商品名:エステル M−9G、新中村化学(株)製、以下MPEGMM(9)と略す〕1872部、単量体(b)としてメタクリル酸517部を用い、これら単量体に、30%水酸化ナトリウム水溶液400部および水1000部を加えた水溶液を4時間、2−メルカプトエタノール19.5部及び水200部を加えた水溶液を4時間、並びに過硫酸アンモニウム24部を水250部に溶解させた水溶液を5時間で反応器内に滴下した。そして滴下終了後、更に2時間90℃を維持した。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、重量平均分子量30,000の共重合体(1)を得た。
製造例2〜7
表1に示す単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)を用い、製造例1と同様にして、共重合体(2)〜(7)を得た。得られた共重合体(1)〜(7)の重量平均分子量(Mw)、固形分濃度、pHの結果を表1に示す。
Figure 0004312647
注)
*1:単量体の種類
・単量体(a):MPEGMM(4)はメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:エステル M−4G、NK新中村化学(株)製、エチレンキサイド4モル付加物)、MPEGMM(9)及びMPEGMM(4)以外のMPEGMM(n)は特開平11−71152号公報記載の方法に準じ製造した、エチレンオキサイド付加モル数nモルのメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートであり、MPEGMA(9)は同公報記載の方法に準じ製造した、エチレンオキサイド付加モル数9モルのメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートである。
・単量体(b):MAAはメタクリル酸(三菱レーヨン(株)製)、AAはアクリル酸(東亜合成(株)製)の略である。
・単量体(c):MAnは無水マレイン酸(和光純薬(株)製)の略である。
*2:2−MEは2−メルカプトエタノール(連鎖移動剤)の略であり、全単量体に対するモル%で示す。
実施例1〜9及び比較例1〜7
<パルプ原料>
パルプ原料として、LBKP(広葉樹晒パルプ)を、25℃で叩解機にて離解、叩解して1%のLBKPスラリーとしたヴァージンパルプを用いた。このもののカナダ標準濾水度(JIS P 8121)は450mlであった。
<抄紙方法>
ヴァージンパルプスラリーを抄紙後のパルプシートのパルプ坪量が70g/m2±1g/m2になるように量り取り、硫酸アルミニウムでpH4.5に調整した(実施例6及び比較例1〜7は硫酸アルミニウム無添加)。次いで表2及び表3に示すように、本発明の内添用紙質向上剤(共重合体(1)〜(7))あるいは比較の添加剤をパルプ100部当たり有効分で0.5〜1部内添し、必要に応じ定着剤(cato308)及びサイズ剤(AKD)を、表2に示す量内添し、角型タッピ抄紙機にて80メッシュワイヤー(面積625cm2)で抄紙し、湿潤シートを得た。湿潤シートの上に坪量320g/m2のろ紙(270mm角)2枚を重ね、更にその上にコーチングプレートを重ねコーチングした後、湿潤シートを取り出した。次いで湿潤シートを前記ろ紙2枚で上下に挟み、55g/cm2で5分間プレスした。プレス後、鏡面ドライヤーを用い105℃で2分間乾燥した。乾燥されたパルプシートを23℃、湿度50%の条件で1日間調湿してから、紙の嵩up率、紙力、剛度、サイズ度を以下の方法で測定した。抄紙は各5枚、測定値は10回/紙1枚の平均値である。結果を表2及び表3に示す。
<嵩up率>
JIS P8118により緊度を求め、下式にて嵩up率を算出する。緊度は小さいほど嵩が高く、また緊度の0.02の差は有意差として十分に認識されるものである。嵩up率は大きいほど嵩が高く、また嵩up率2%の差は有意差として十分に認識されるものである。
嵩up率(%)=[(1/剤を内添した紙の緊度−1/剤無添加紙の緊度)/(1/剤無添加紙の緊度)]×100
<紙力維持率>
破裂強度(JIS P8112法)を求め、下式にて算出する。紙力維持率は大きいほど紙力が高く、また紙力維持率5%の差は有意差として十分に認識されるものである。
紙力維持率(%)=(剤を内添した紙の破裂強度/剤無添加紙の破裂強度)×100
<剛度維持率>
クラークこわさ(JIS P8143法による)を求め、下式にて算出する。剛度維持率は大きいほど剛度が高く、また剛度維持率5%の差は有意差として十分に認識されるものである。
剛度維持率(%)=(剤を内添した紙のクラークこわさ/剤無添加紙のクラークこわさ)×100
<サイズ度>
ステキヒト法(JIS P8122)に基づき、測定した。
Figure 0004312647
Figure 0004312647
*1:パルプ100部当たりの固形分量
*2:添加剤
・cato308:カチオン化澱粉、日澱化学(株)製
・AKD:アルキルケテンダイマー、サイリーンS−94、花王(株)製
・ポリアクリルアミド:ポリストロン356、荒川化学(株)製
・PVA(GL−05):ポリビニルアルコール、部分ケン化、重合度500、日本合成化学(株)製
・CMC(FT−3):カルボキシメチルセルロース、日本製紙ケミカル(株)製
・ラウリルアルコールエチレンオキサイド6モル付加物:エマルゲン106、花王(株)製
表2及び表3の結果から、本発明の共重合体を含む内添用紙質向上剤を、抄紙時にパルプスラリー中に内添することにより、嵩が向上するにもかかわらず強度や剛度の低下が少ない、又は嵩が向上するにもかかわらず強度や剛度も向上するパルプシートが得られることが判明した。
さらに、本発明の内添用紙質向上剤は、中性サイズ剤(アルキルケテンダイマー)と併用することにより、中性サイズ剤単独添加系に比べ、サイズ性能が同等ないし向上することがわかる。

Claims (5)

  1. 一般式(a)で表される単量体(以下単量体(a)という)由来の構成単位と、一般式(b)で表される単量体(以下単量体(b)という)由来の構成単位を含む共重合体を含有する内添用紙質向上剤。
    Figure 0004312647
    (式中、R1は水素原子又はメチル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは平均値で1〜300の数、Xは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、n個のAOは同一でも異なっていても良い。)
    Figure 0004312647
    (式中、R2は水素原子又はメチル基、M1は水素原子又は陽イオンを示す。)
  2. 共重合体が、更に一般式(c)で表される単量体(以下単量体(c)という)由来の構成単位を含む、請求項1記載の内添用紙質向上剤。
    Figure 0004312647
    (式中、R3、R4及びR5は、これらのうちいずれか1つが−(CH2mCOOM3で表される基で、残りが水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、mは0〜2の数、M2及びM3はそれぞれ水素原子又は陽イオンを示し、−COOM2基と−(CH2mCOOM3基とは無水物を形成していてもよい。)
  3. 共重合体を構成する単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)のモル比が、(a)/[(b)+(c)]=5/95〜80/20で、かつ(b)/(c)=70/30〜100/0の範囲である、請求項1又は2記載の内添用紙質向上剤。
  4. パルプに、請求項1〜3いずれかに記載の内添用紙質向上剤を添加してなるパルプシート。
  5. 内添用紙質向上剤の添加量が、パルプ100重量部に対し、固形分換算で0.05〜20重量部である、請求項4記載のパルプシート。
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