JP4309806B2 - 積層シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性合成樹脂層を設けた積層シートに関する。特に、耐熱性を向上させた積層シートである。
支持体上に熱可塑性樹脂層を積層した積層シートは知られている。たとえば、特許文献1には、紙の両面に熱可塑性樹脂を各々一層以上積層したシートであって、一方の最外層樹脂が他方の最外層樹脂に対して20℃以上高い融点を有するものを耐水性のあるヘッダーラベル用シートとすることが開示されている。
特許文献2には、最外層を無機充填剤を20〜80重量%含有する熱可塑性樹脂層とすることによって印刷インキによる印刷適性と、水性インキによる筆記製を持たせる技術が開示されている。特許文献3には、転写体の透明樹脂層上に付着したカラートナーを、熱源を内蔵する部材下に移動するベルト状搬送体により加熱して透明樹脂層中に溶融させ、次いで冷却して固着させ、さらに転写体をベルト状搬送体から分離してカラー画像を形成するという、表面に付着したトナーをさらに二次的に熱圧処理して定着させる方法が開示されている。
一方、商品の差別化あるいは高付加価値化を目指して、これら商品にロゴマークや、デザインを施そうとする気運が高まっている。従来、これらは印刷に頼るほか無かったため、大量の商品でなければ適用することができなかった。しかし、近年のインクジェットやカラー電子写真方式の高速化に伴って、小ロットの商品に対してこれらの技術を使用してロゴやデザインを施すことが考えられている。
このような記録を対応する積層シートとしては、紙を支持体として、その上に熱可塑性樹脂層を積層した積層紙が用いられ、その主な用途の一つに、コンビニエンスストアーやスーパーにおける商品のPOP(Point Of Purchase)がある。この用途においては、何よりも美麗性が重要視される。ところが、積層紙を用いて電子写真方式により記録を行った場合には、積層紙が熱ロール間を通る際に表面の熱可塑性樹脂が軟化し、この軟化した樹脂に熱ロールの面調が転写されて積層紙の表面性が悪化し、美麗性が損なわれることがあった。
熱可塑性樹脂を積層した積層シートを電子写真複写機あるいはレーザービームプリンターによる記録(以下電子写真方式による記録という)は、これら機器に通すと、熱可塑性樹脂の融点が低い場合、加熱により熱可塑性樹脂が溶融して熱ロールに融着することがあり、複写機やプリンターの故障や走行トラブルが生じる原因となっていた。
特開平09−255004号 特許第2763011号 特開平05−216322号
電子写真方式による記録において、複写機やプリンターの故障や走行トラブルは、潜像トナーを記録シートに転写して熱融着により固定する際、記録シートを約200℃程度の高温の熱ロール間に通すために、熱可塑性樹脂が融着することが原因と考えられる。これらを改善するため、熱可塑性樹脂の融点が200℃以上と高い熱可塑性樹脂、例えばポリエステル系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂を使用することが考えられる。しかし、耐熱性を満足しても層間剥離などの問題が生じやすく、十分な実用性が得られていない。
一方、引用文献3のようにさらに二次的な熱圧定着処理を施す場合は特に、熱圧定着機との剥がれ性がより重要であるとともに、熱収縮や膨張などの応力に対する柔軟さもいっそう必要となる。
そこで、本発明は、内部の密着性が良好で層間剥離することがなく、その表面に電子写真方式による記録を行っても、熱ロール等への融着が生じず剥がれ性が良好な、光沢性にも優れた積層シートを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、最外層として200℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を使用し、最外層の直下と、支持体の直上に特定の熱可塑性樹脂を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。具体的な構成は次のとおり。
(1) 支持体の片面あるいは両面に熱可塑性樹脂層を形成した積層シートであって、少なくとも一方の面の熱可塑性樹脂層は、支持体に接してシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレンからなる層、最外層に融点200℃以上の熱可塑性樹脂層及び該最外層と接する層に変性ポリオレフィン又はアイオノマーの少なくとも1種類からなる層を形成した積層シートであって、
前記積層シートが、電子写真用転写紙あるいはレーザービームプリンター用記録紙であり、
前記最外層の熱可塑性樹脂層が、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも一種である
ことを特徴とする積層シート。
(2) 変性ポリオレフィンが、無水マレイン酸変性ポリオレフィンである(1)記載の積層シート。
(3) アイオノマーがエチレンメタアクリル酸の部分亜鉛架橋体である(1)記載の積層シート。
(4) アイオノマーがエチレンメタアクリル酸の部分ナトリウム架橋体である(1)記載の積層シート。
(5) 支持体が上質紙、再生紙、コート紙等の紙基材から選ばれた1種であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の積層シート。
(6) コート紙がキャストコート紙であることを特徴とする(5)記載の積層シート。
(7) 最外層が白色の無機顔料を25重量%以下含有することを特徴とする(5)又は(6)記載の積層シート。
(8) 積層シートが耐水性であることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の積層シート。
(9) 支持体の片面あるいは両面に熱可塑性樹脂層を形成した電子写真用転写紙あるいはレーザービームプリンター用記録紙に用いる積層シートであって、少なくとも一方の面の熱可塑性樹脂層は、支持体に接してシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレンからなる層、最外層にポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも一種である融点200℃以上の熱可塑性樹脂層及び該最外層と接する層に変性ポリオレフィン又はアイオノマーの少なくとも1種類からなる層を形成するに当たり、これらの層を形成する樹脂をとも押し出し法によって支持体上にラミネートすることを特徴とする積層シートの製造方法。
本発明の積層シートは、主に次の効果を奏する。
(1)最外層を融点が200℃以上の熱可塑性樹脂層としたことにより耐熱性が高く、電子写真方式によるトナーの加熱定着に耐えるシートあるいは加熱成型加工用に用いることができる。
(2)また、最外層の直下に、変性ポリオレフィンを配することにより、支持体上にラミネートする際の流動適性が改善され、平均した厚さの一様なラミネート層とすることができ、高融点の最外層との密着性を高めて、加工時の亀裂や剥離を改善することができる。
(3)さらに、支持体上には、シングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレンをラミネートしたので、その上に設けた熱可塑性樹脂層と支持体との密着性を一層高め、小型の電子写真記録方式による記録機器内部のロールを通過に伴う変形と、加熱定着による熱収縮や膨張などの応力に対しても剥離や亀裂を生じることが無い。
(4)更に、支持体をコート紙とくにキャストコート紙とすることにより、最外層の平滑性と光沢性が高くなり、積層シートにデザインを記録した時の美麗性が銀塩写真に匹敵するほど高く、積層シートを用途に応じた商品とした場合の商品価値を高くするという効果を生じる。
(5)これらの高温耐性の熱可塑性樹脂として耐水性樹脂を採用することにより、耐水性のある記録シートを得ることができる。屋外のポスターなどを電子写真方式により手軽に作成できる利便性を提供できる。
(6)合成樹脂層を支持体に形成する方法として、全層を共押出しによる方法を採用することにより層間の密着性をより一層向上させることができる。
(7)従って、本願発明の積層シートは、様々な用途に使用することができ、特に電子写真方式の記録シートとして好適であり、実用的価値の大変高いものである。
<支持体>
本発明に使用される支持体としては、上質紙、再生紙、コート紙(塗工紙)等の紙基材、合成紙、フィルム等を挙げることができる。望ましくは、銀塩写真調の面感を与えることからコート紙、特にキャストコート紙であることが好ましい。
上質紙、あるいはコート紙の原紙の原料としては、特にパルプの種類等に制限はなくLBKP、NBKP、メカニカルパルプ等の木材繊維を主体に、必要に応じてコットンリンター、ケナフ、麻、竹等の非木材繊維、オレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、ガラス、ロックウール等の無機繊維が使用可能である。また、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等の無機填料や、必要に応じて内添、外添工程にて定着剤、顔料、染料、サイズ剤、紙力向上剤等を添加して、従来公知の製造方法に従い製造される。
コート紙は、一般に原紙上にバインダーと有機又は無機顔料とを主体として含有する塗工層を設けたものであり、各種方式による印刷用紙や記録用紙として広く用いられている。コート紙の製造方法も公知であり、通常使用されている種類の材料及び装置が適宜使用される。例えば、バインダーとしてはポリビニルアルコール、スチレン重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などやその誘導体等を挙げることができる。顔料はカオリン、焼成クレー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ等が挙げられる。これらのバインダー、顔料、その他必要に応じて各種の添加剤を水系で分散させ塗工液を調製し、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ダイコーター等を用いて、原紙の表面に塗工することにより塗工層を設ける。
中でもキャストコート紙は、湿潤状態にある塗工層を加熱した鏡面の金属ドラムに押し当てて乾燥させ、平滑な表面を得た紙であり、次のような製法により製造された紙である。塗工液が塗工された紙は、乾燥設備を通らず、塗工面側をキャストドラムに押し当てられる。キャストドラムに押し当てられると、塗工液中の水分は紙の裏側から蒸発する。一方、キャストドラムは鏡面ドラムからなっており、キャストドラムに押し当てられた側の面(塗工面)は、高い光沢を有するようになる。このようにして製造される直接法の他に塗工面の塗液を凝固液でゲル化させた後にキャストドラムに押し当てる凝固法、一度乾燥させた塗工面を再度湿潤させた後にキャストドラムに押し当てるリウェット法があるが、いずれの製法で得られたキャストコート紙でも本発明の支持体として使用可能である。
本発明で用いられるこれらの支持体は、市販のものを利用することができる。
<熱可塑性樹脂層>
本発明の積層シートは、上記した支持体上の片面に少なくとも2層の熱可塑性樹脂層を設けたものであり、その最外層が融点200℃以上の熱可塑性樹脂からなる。
融点が200℃以上の熱可塑性樹脂としては、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル)等が好ましい。
電子写真装置に用いた場合においては、これらの樹脂を用いることで、熱ロールへの融着を防止できる。中でもポリメチルペンテンが好ましい。ポリメチルペンテンは、4-メチルペンテン-1を主原料とする、結晶性のオレフィン系ポリマーであり、融点が220〜240℃の耐熱性とともに加熱ロールとの剥離性に優れた樹脂である。
<添加物>
最外層の合成樹脂にはまた、不透明性、筆記性等を持たせる目的で酸化チタン、炭酸カルシウム等の白色無機顔料を配合することもできる。無機顔料の配合量は、これが配合される最外層に対して25重量%以下、できれば15重量%以下とすることが好ましい。配合量を増やすと、積層シートの平滑性や光沢などの表面性を悪化させることがある。無機顔料の粒径としては0.1〜20μmのものが好ましい。
<最外層の密着性改善>
最外層に用いられる融点が200℃以上の熱可塑性樹脂の直下には、最外層とその下に積層される熱可塑性樹脂層等との密着性を高めるために、接着性を有する熱可塑性樹脂を積層すると実用性が向上する。支持体がコート紙であったり最外層の下に他の熱可塑性樹脂層が存在する場合は、最外層が剥離しやすい傾向があるため、中間に挟まれる接着性樹脂は、最外層及び紙基材あるいは最外層の下に位置する熱可塑性樹脂層の双方への接着性が良好でなければならない。特に上記のポリメチルペンテン樹脂は、本来離型性を有するものであるため、このようなポリメチルペンテン樹脂に対しても強固な接着性を発揮する必要がある。
このような接着性を有する樹脂としては、変性ポリオレフィン系、アイオノマー、あるいはこれらと融点200℃以上の熱可塑性樹脂との混合物からなる樹脂組成物等を挙げることができる。また、同じ種類あるいは異なる種類を選び1層又は2層以上積層してもよい。
<変性ポリオレフィン>
変性ポリオレフィンとしては、炭素原子数2〜20のα-オレフィンの単独重合体あるいは共重合体を極性基及びエチレン性二重結合を有するモノマーでグラフト変性した変性物を使用することが好ましい。
単独重合体あるいは共重合体の例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度線状ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ペンテン-1共重合体、エチレン・4-メチルペンテン-1共重合体及びエチレン-ブテン-1共重合体等を挙げることできる。このような単独重合体あるいは共重合体のASTM-D-1238により測定したメルトフローレートは、通常は0.1〜30g/10分、多くの場合1〜20g/10分の範囲内にあり、ASTM-D-2117により測定した融点は、通常は50〜170℃、多くの場合80〜150℃の範囲内にある。さらに、ASTM-D-1505により測定した密度は、通常は0.88〜0.96g/cm、多くの場合0.89〜0.96g/cmの範囲内にある。
単独重合体あるいは共重合体の変性剤として使用される極性基及びエチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、クロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のようなカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フマル酸、無水クロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)の酸無水物及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)の酸無水物のような無水カルボン酸類;(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、テトラヒドロフタル酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、マレイン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、イタコン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、シトラコン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、フマル酸の(モノ又はジ)アルキルエステルの(モノ又はジ)アルキルエステル、クロトン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、ノルボルネンジカルボン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のアルキルエステル及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のアルキルエステルのようなエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ-プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及び2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートのようなヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステル類; 10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオール及びグリセリンモノアルコールのような水酸基含有化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、イタコン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、ブテントリカルボン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、シトラコン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)の(モノ又はジ)グリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)の(モノ又はジ)グリシジルエステル、アリルコハク酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、p-スチレンカルボン酸のグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン及びビニルシクロヘキセンモノオキシドのようなエチレン性不飽和結合を有するエポキシ化合物;アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル及びメタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェートモノメタノールアミノハーフソルのような(メタ)アクリル酸のアルキルアミノエステル;N-ビニルジエチルアミン及びN-アセチルビニルアミンのようなビニルアミン類;アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミド及びN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのようなアリルアミン類;アクリルアミド及びN-メチルアクリルアミドのようなアクリルアミド類;p-アミノスチレンのようなアミノスチレン化合物;並びに6-アミノヘキシルコハク酸イミド及び2-アミノエチルコハク酸イミドのようなアミノアルキルコハク酸イミド類を挙げることができる。これらの変性剤は、単独で使用することもできるし、また変性剤の特性が損なわれない範囲内で組み合わせて使用することもできる。これらの変性剤の中では(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸が好ましく、特にポリメチルペンテン樹脂との接着性が高いことから無水マレイン酸が好ましい。
<アイオノマー>
アイオノマーは、イオン含有高分子で、特に金属イオンあるいは第4級アンモニウムにより部分的にあるいは完全に中和された高分子であり、特にエチレン系高分子鎖に少量の(メタ)アクリル酸をグラフトし、その(メタ)アクリル酸の一部を、Na+、K+、Zn++、Mg++などで中和したものが好ましく使用できる。中でもZnを有すると光沢性が良好で好ましい。
このようなエチレン系アイオノマー樹脂とは、エチレン/α,β-不飽和カルボン酸共重合体(I)、あるいはエチレン/α,β-不飽和カルボン酸/α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体(II)のカルボン酸基の一部、通常5〜80%を、金属イオンにより中和したものである。中和前の上記(I)又は(II)のエチレン共重合体成分のうち、エチレン単位の占める割合は通常約75〜99.5モル%、好ましくは88〜98モル%であり、α,β-不飽和カルボン酸単位の占める割合は通常約0.5〜15モル%、好ましくは1〜6モル%である。また、α,β-不飽和カルボン酸エステル単位の占める割合は通常0〜10モル%、好ましくは0〜6モル%である。さらに、上記(I)又は(II)の共重合体中におけるカルボン酸基のうち、金属イオンにより中和されるカルボン酸基の割合(中和度)は通常5〜80%、好ましくは10〜75%である。
また、上記の変性ポリオレフィン又はアイオノマーと、融点200℃以上の熱可塑性樹脂との混合物からなる樹脂組成物としては、変性ポリオレフィンと融点200℃以上の熱可塑性樹脂、又はアイオノマーと融点200℃以上の熱可塑性樹脂とを共押出ししたり、混合後に押出しして使用することができる。
<SS−LLDPE>
支持体に接する層としては、密着性が良好なことからシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(SS−LLDPE)が好ましく用いられる。SS−LLDPEは、活性点が均一なシングルサイト系触媒により合成されるため、汎用されるチーグラー触媒を用いて合成された直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と比べ、シャープな分子量分布を示す。シングルサイト系触媒の代表的なものとしては、メタロセン系触媒を挙げることができる。これは、2個のシクロペンタジエン環に、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン又はタングステン等の遷移金属原子が、サンドイッチ状に挟まれた構造を有する触媒である。なお、シングルサイト系触媒を用いたLLDPEの合成は、気相法、高圧法、溶液法のいずれの方法で行っても構わない。
<中間熱可塑性樹脂層>
本発明の積層シートにおいては、最外層と支持体との間に他の熱可塑性樹脂層を積層することが可能である。これらは単一の樹脂を単層で使用しても、複数の樹脂を複層で使用しても良い。
最外層以外の層を形成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン等、ラミネート加工可能な樹脂を挙げることができる。
<他面の構成>
本発明では、支持体の片面に性質の異なる上記の熱可塑性樹脂が積層されるものであるが、支持体の反対面は任意である。用途により、何も設けない、粘着剤を塗布する、低融点の接着性樹脂を単独あるいは複数の層としてラミネートするなどの場合がある。支持体の両面に熱可塑性樹脂層が存在する場合、これらの熱可塑性樹脂層の種類及び積層順序等は、一方の面と他方の面とで同一であっても異なっていてもよい。特に電子写真方式で最外層に記録する場合は、支持体の裏面には何も設けないか、積層樹脂と全く同じ樹脂を同じ構成で積層するのが好ましい。
<積層方法>
支持体上への積層は、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法等、公知の方法を単独で、又はこれらを適宜組合せて、最表層が融点200℃以上の熱可塑性樹脂からなるように、その他の熱可塑性樹脂層を支持体上に積層し、製造することができる。
特に、層間の密着性、生産効率の点から、共押出しラミネーション法が適している。共押出しラミネーション法は、2台以上の押出機を用い、各熱可塑性樹脂を溶融状態でTダイに導き、各Tダイから同時に押出して積層接着するもので、例えば特開平11−207882号公報等に開示されているように、多層フィルム等の製造方法としても知られている。
<他の要素>
また、前記したように、不透明性等を目的として酸化チタン等の無機填料を最外層に配合すると、ラミネーション加工性は悪化することがある。かかる場合には、この無機填料が配合された樹脂を、無機填料を含まない樹脂と共押出しラミネートすれば、樹脂層の厚さを薄くしても、いわゆる膜切れ等のトラブルの発生を押さえて、安定した積層操作を行うことができる。
また、支持体及び熱可塑性樹脂の種類や操業条件等により、支持体と熱可塑性樹脂層、あるいは熱可塑性樹脂層同士の間の接着性が不良な場合には、支持体に予め接着層を塗工又は積層することも可能であり、また熱可塑性樹脂層と接着性樹脂層を共押出しラミネーションすることも可能である。接着性樹脂としては、最外層の下に用いられる変性ポリオレフィン系樹脂等をはじめ、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が使用される。
<層厚>
支持体上に積層される熱可塑性樹脂層の各層及び全体の厚さは、片面10〜80μm好ましくは20〜70μmの範囲にあることが好ましい。樹脂層全体の厚さが薄すぎる場合、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法による各層の積層が困難となる。また、厚すぎると製造コストが高くなり、しかも静電気が発生しやすくなるので、その必要がある場合には導電剤の使用などの対応が好ましい。
<電子写真用の層厚>
電子写真方式の記録に使われる転写シート、あるいは電子写真記録シートとして使用する場合は、最外層の厚みは2〜30μm、好ましくは3〜15μmさらに好ましくは5〜10μmであることが好ましい。最外層の厚さが薄すぎると内部での接着性が低下しやすい。一方、厚さが30μm程度あれば本願発明の効果は十分に達成できるため、これを超える厚さとしてもよいが経済的に引き合わない。また、最外層以外にも融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる層を設けてもよいが、最外層と接する場合はその合計の厚みが上記の範囲内であることが適当である。
<接着剤層等の層厚>
最外層の下に位置する変性ポリオレフィン層又はアイオノマー層の厚みは2〜20μm、好ましくは3〜15μmさらに好ましくは5〜10μmであることが好ましい。
また、支持体に接するSS−LLDPE等からなる層は10〜70μm、好ましくは15〜60μmさらに好ましくは20〜50μmであることが好ましい。
最外層及び他の熱可塑性樹脂層には、上記した以外にも、本願発明の目的を害さない限り、種々の添加剤を添加したり、塗工剤を塗工したりすることができる。例えば、これらの添加剤や塗工剤として、最外層、他の熱可塑性樹脂層には耐ブロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビーズ、シリカ等)、記録時のトナー定着剤、接着性向上剤など、一般的に使用される添加剤や塗工剤を使用することができる。また、インクジェット記録にも対応させるような場合は、最外層の上にインク受理のための塗工層を設けてもよい。
<電子写真>
本願発明の積層シートを電子写真方式による記録に用いる場合には、融点が200℃以上である熱可塑性樹脂からなる最外層の表面を記録面とする。この最外層は、電子写真方式による記録の前後で表面性が悪化しないため、美麗な表面調が維持されたまま記録が行われる。本願発明の積層シートは、電子写真方式による記録の前後で表面光沢度の低下が5%以下である。従って、高光沢の面調が与えられた製品は、電子写真方式による記録の後も高光沢を維持することができる。
さらに、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる層を両面の最外層とすることがより望ましい。電子写真方式に使用される場合は、本願発明の積層シートはその記録面側を熱ロールに接触させながら熱ロールとニップロールとの間を通過する。従って、ニップロールもまた熱ロールの影響を受けて同程度に高温になっているため、非記録面側の最外層も融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなることにより、ロールへの融着が一層効果的に防止される。
また、電子写真方式による記録に用いる場合には、特に帯電防止を図る必要がある。このため最外層に公知の帯電防止剤を添加したり、最外層の表面に帯電防止剤を塗工することが好ましい。帯電防止剤の塗工方法としては、公知の塗工方式のいずれでも採用することができる。
美麗性が重視され高光沢が必要とされる用途の場合には、押出しラミネーションや共押出しラミネーションにあたり、溶融した樹脂と接するクーリングロールとして周面を鏡面仕上げとしたものを用い、さらに、クーリングロールと対向するニップロールとして硬度の大きいものを用いて、高い線圧で樹脂と紙基材等との押圧・圧着を行えば、積層された樹脂表面を高光沢とすることができる。この目的のため、ニップロールとしては硬度80度(JIS K−6253)以上のものを用い、線圧は15kgf/cm以上で押圧・圧着を行うことが好ましい。なお、ここで高光沢とは、JIS P−8142に準じて測定を行った場合に、光沢度75%以上を示すことをいう。
(作用)
最外層に用いられる熱可塑性樹脂として融点200℃以上の熱可塑性樹脂を選択することにより、熱ロールへの融着を抑え、走行トラブルを軽減することが可能となる。また、特定の接着性樹脂を用いることにより、最外層とこれに接する支持体あるいは他の熱可塑性樹脂との間での層間剥離が起こることのない強固な接着性が付与される。本願発明で使用される特定の変性ポリオレフィン樹脂は接着性樹脂であり、融点200℃以上の熱可塑性樹脂、特にポリメチルペンテンに対して優れた接着性を示す理由は、接着性樹脂が多官能基化又は金属架橋していることから、熱によって結合力が変化しやすくなり、ラミネート時の急激な加熱によって接着性が強固になるためと考えられる。
さらに、支持体上に接して密着性の良好なSS−LLDPE等を積層することにより、特に支持体が紙の場合に、支持体とその上の熱可塑性樹脂層との相互接着性をより向上させることができる。
<実施例>
以下に本発明の実施例に基づいて説明する。
なお、実施例及び比較例において得られた積層シートをサンプルとして、記録適性(ヒートロールへの巻き込み状態)、熱可塑性樹脂間あるいは熱可塑性樹脂と紙基材との層間剥離、光沢度(75°)の評価を以下の方法で行なった。表1には、各実施例と各比較例の層の構成を示す。表2及び表3には、各実施例及び各比較例の評価結果を示す。
<記録適性>
富士ゼロックス製LBP『DOCU PRINT C3530』 にてサンプル100枚を連続して印字し、紙基材に積層した熱可塑性樹脂が溶融してヒートロールに巻き込まれるかを目視で判定し、次の基準で評価した。なお印字は、LBPに付属のテストプリントパターンを用いた。
◎:巻き込みは全く発生しない。
○:用紙に若干カールが発生したものの、巻き込みは起こらない。
△:少々巻き込み気味であるが、実用上問題ない程度。
×:たびたび巻き込みが発生し、その都度印字をストップさせなければならない。
<熱ロールとの剥がれ性>
富士ゼロックス製LBP『DOCU PRINT C3530』 にてサンプル100枚を連続して印字し、熱ロールとの剥がれ具合を目視で判定し、次の基準で評価した。なお印字は、LBPに付属のテストプリントパターンを用いた。
◎:きれいに剥がれ連続印字がスムーズに行われる。
○:若干抵抗がみられるが問題なし。
△:剥がれにくい。
×:剥がれない。
<熱可塑性樹脂層間剥離>
金属板に両面テープを貼りつける。次に、幅1.5cm、長さ7cmのサンプルをカットし、金属板に貼りつけた両面テープにサンプルの支持体の裏面(熱可塑性樹脂が積層されてない面)を貼りつける。さらにサンプルの熱可塑性樹脂の最外層の表面に、ニチバン社製透明粘着テープ(商品名セロテープ(登録商標))を強固に密着させ、この透明粘着テープを強制的に剥離して、次の基準で目視にて評価した。
◎:テ−プ粘着面に熱可塑性樹脂は付着しておらず粘着性が残っており、熱可塑性樹脂層間が強固に接着している状態。
○:テ−プ粘着面に熱可塑性樹脂層が付着し紙基材上にも熱可塑性樹脂層が残り層間剥離が見られるが、剥離に際して高い抵抗があり、実用上問題ない程度に熱可塑性樹脂層間が密着している状態。
△:テープ粘着面に熱可塑性樹脂が付着し紙基材にも熱可組成樹脂が残り層間剥離が見られ、剥離に際し若干の抵抗はあるものの、熱可塑性樹脂層間が十分接着しておらず実用上問題のある状態。
×:熱可塑性樹脂層間で容易に剥離し、十分に接着していない状態。
<紙基材との密着性>
上記と同様の試験を行い、紙基材とその上の熱可塑性樹脂層との密着性について、次の基準で目視にて評価した。
◎:剥離せず密着性良好。
○:若干剥離しやすいが実用上問題なし。
△:剥離しやすく密着性に劣る。
×:全く密着していない。
<75°光沢度>
JIS P−8142に従い、記録後のサンプルについて測定した。
市販のキャストコート紙(日本製紙社製、CLCキャスト)を支持体とし、最外層には融点238℃のポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製TPX;DX820M)100重量部、最外層の直下層(以下中間層という)の接着性樹脂として無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製アドマー;SE800)100重量部、さらに紙基材側層としてシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製KC650T)100重量部を、3種3層の構成で320℃で共押出しラミネートを行った。ラミネート樹脂の厚さは、最外層/中間層/紙基材側層を5/5/30μmとした。
支持体を上質紙に変更した以外は実施例1と同様に行なった。
支持体をコート紙(日本製紙製NPiコート)に変更した以外実施例1と同様に行なった。
中間層の接着性樹脂として、エチレンメタアクリル酸共重合体にZn架橋したアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1702)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。
中間層の接着性樹脂として、エチレンメタアクリル酸共重合体にNa架橋したアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1555)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。
中間層の接着性樹脂として、実施例1で使用した無水マレイン酸変性ポリエチレン10重量部とポリメチルペンテン樹脂90重量部とを、予め2軸押出し機で溶融混合ペレット化したものを使用した以外は、実施例1と同様に行なった。
中間層の接着性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリエチレンに代えて実施例7で使用したエチレンメタアクリル酸共重合体にZn架橋したアイオノマー樹脂を使用した以外は、実施例8と同様に行なった。
中間層の接着性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン100重量部を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。
中間層の接着性樹脂として、エチレンメタアクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製:ニュークレルAN4213C)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。
最外層の熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチック社製PBT:500FP,融点223℃)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
最外層の熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート(三井デュポンポリケミカル社製、シーラPT7001、融点254℃)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
<比較例1>
実施例1と同じキャストコート紙を支持体とし、熱可塑性樹脂として融点238℃のポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製TPX;DX820M)100重量部を厚さ5μmとなるように、320℃で押出しラミネートした。
<比較例2>
実施例1と同じキャストコート紙を支持体とし、最外層の熱可塑性樹脂として融点238℃のポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製TPX;DX820M)100重量部、支持体表面にはシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製KC650T)100重量部を320℃で共押出しラミネートした。ラミネート樹脂の厚さは、最外層/支持体側層を5/30μmとした。
<比較例3>
実施例1と同じキャストコート紙を支持体とし、最外層の熱可塑性樹脂として融点158℃のポリプロピレン樹脂100重量部、支持体表面側にはシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製KC650T)100重量部を320℃で共押出しラミネートした。ラミネート樹脂の厚さは、最外層/支持体側層を20/20μmとした。
<比較例4>
中間層の樹脂として、スチレンブタジエン共重合体に水素が添加された水添SBR(日本合成ゴム社製ダイナロン1320P)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。
注)支持体側層の欄中、「SS-LLDPS」はシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレンの略である。
上記結果から示されるように、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる最外層を有する本発明の実施例1〜11では、ヒートロールへの融着が無く電写真方式による記録に適するとともに、記録時に光沢性が損なわれることがなく美麗性を維持することができた。また、本発明の積層シートは熱可塑性樹脂層間の接着性が強く、中でも実施例1〜3では非常に強固な接着が得られた。また、支持体としての紙基材上にSS−LLDPEの層を有する実施例1〜9では、紙基材との密着性も特に良好であった。また最外層をポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとした実施例10、実施例11では、これらの樹脂の溶融流動性が悪いためか、ポリメチルペンテンを最外層とした場合に比べ、支持体との密着性が幾分劣り、また光沢度もそれほど高くならなかった。
これに対し、最外層の熱可塑性樹脂を直に支持体(紙基材)上に積層した比較例1では、紙基材との密着性に劣っていた。また、比較例3は熱可塑性樹脂層間の剥離がなく紙基材との密着性にも優れるものの、融点が200℃未満の熱可塑性樹脂を最外層に用いたことから記録時に熱融着し、ヒートロールへの巻き込みが発生した。さらに、最外層の下に中間層を有しない比較例2、及び中間層に本発明で規定される以外の接着性樹脂を用いた比較例4では、樹脂層間で剥離が起こった。比較例4では、最外層とその下の中間層との間で剥離した。
さらに、熱可塑性樹脂を支持体にラミネート加工する場合の、加工成型性、操業性を加えた試験を実施例1、実施例10、実施例11、比較例3の最外層に使用した熱可塑性樹脂について行った。先に示した評価試験による評価を加えて結果を表4に示す。
<加工成型性>
支持体としてキャストコート紙(日本製紙社製、商品名CLCキャスト紙)を用い、この上に各熱可塑性樹脂を温度320℃、ラミネート幅500mm、速度200m/分で厚さ20μmとなるように押出しラミネートを行ったときの様子を、次の基準で目視にて評価した。
◎:ラミネート幅が乱れることなく加工できる。
○:ややラミネート幅が乱れるものの使用可能である。
△:ラミネート幅が乱れ加工しにくいが、製品としては問題とならない。
×:溶融した樹脂膜が乱れてラミネート幅が不均一となり、加工が困難。
<操業性>
上記と同様に押出しラミネートしたときの樹脂膜の様子を、次の基準で目視にて評価した。
◎:均質な溶融樹脂膜が形成され、良好な樹脂層が得られる。
○:溶融樹脂膜に一部発泡が発生する。
△:溶融樹脂膜に発泡が発生する。
×:溶融樹脂膜に発泡が発生して孔があき、網目状の樹脂層となる。
表4から示されるように、電子写真印刷を行った場合に、熱ロールと融着せず、剥がれ性、支持体や他の熱可塑性樹脂層との接着強度に優れるだけでなく、ポリメチルペンテン樹脂(TPX)は、加工成型性や操業性といった取り扱い性の点でも優れており、好ましく用いられる。
これに対し、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)は、延性がなく流動性が悪いため、支持体上に押し出されるときに溶融樹脂膜が蛇行し、加工成型性に劣る。
また、PETとPBTは吸湿しやすく、Tダイから溶融樹脂が出るときに水分が発泡し(Tダイ内で沸点以上の高温状態にあるものが突然外気に触れてパチパチはじける)、ひどく吸湿していた場合は樹脂膜に孔があいてしまう。このような樹脂膜が支持体上に延ばされながら積層されると、網目状(ネット様)の樹脂層となる。そのため、PBTやPETは加熱溶融前に予め乾燥しておく処理が必要であるが、それでもホッパー(押出装置の樹脂が投入される部分)で徐々に吸湿してしまい、操業性の悪化を招くことがある。上記の操業性試験では、PETとPBTは130℃で4時間乾燥後に使用した。
一方、TPXは、延性が高く両端直線状の溶融樹脂膜が形成されるとともに、吸湿性がないため未乾燥の状態でそのまま使用することができ、操業性に優れている。

Claims (5)

  1. 支持体の片面あるいは両面に熱可塑性樹脂層を形成した積層シートであって、少なくとも一方の面の熱可塑性樹脂層は、支持体に接してシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレンからなる層、最外層に融点200℃以上の熱可塑性樹脂層及び該最外層と接する層に変性ポリオレフィン又はアイオノマーの少なくとも1種類からなる層を形成した積層シートであって、
    前記積層シートが、電子写真用転写紙あるいはレーザービームプリンター用記録紙であり、
    前記最外層の熱可塑性樹脂層が、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも一種である
    ことを特徴とする積層シート。
  2. 変性ポリオレフィンが、無水マレイン酸変性ポリオレフィンである請求項1に記載の積層シート。
  3. アイオノマーがエチレンメタアクリル酸の部分亜鉛架橋体である請求項1記載の積層シート。
  4. アイオノマーがエチレンメタアクリル酸の部分ナトリウム架橋体である請求項1記載の積層シート。
  5. 支持体の片面あるいは両面に熱可塑性樹脂層を形成した電子写真用転写紙あるいはレーザービームプリンター用記録紙に用いる積層シートであって、少なくとも一方の面の熱可塑性樹脂層は、支持体に接してシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレンからなる層、最外層にポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも一種である融点200℃以上の熱可塑性樹脂層及び該最外層と接する層に変性ポリオレフィン又はアイオノマーの少なくとも1種類からなる層を形成するに当たり、これらの層を形成する樹脂を共押出し法によって支持体上にラミネートすることを特徴とする積層シートの製造方法。
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