JP4307142B2 - 薄板製造装置および薄板製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄板製造装置および薄板製造方法に関し、より具体的にはシリコン薄板製造装置およびシリコン薄板製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、薄板製造装置の1つとして、たとえば、特許文献1に開示される結晶シートの製造方法およびその製造装置ならびに太陽電池に関する技術が挙げられる。
【0003】
図7は結晶シートの製造装置の概略図である。この結晶シートの製造装置は、主室700内に連続的に送りこまれる、結晶シートが形成されるべき主表面を有する下地板701と、下地板の主表面が融液に接触した後、融液から離れるように下地板を移動させるために下地板を保持する可動部材710と、可動部材を冷却するための冷却手段と、断熱部材に囲まれた加熱室を備える。加熱室内には、抵抗加熱を用いたヒータ707が設置され、支持台702に保持されたるつぼ703内の原料704を溶解し、融液状態で保持することが可能である。
【0004】
このように構成された結晶シートの製造装置では、下地板701は、主室700の上部から主室内の可動部材710に連続的に供給される。冷却手段により冷却された可動部材710を介して、下地板701の主表面を冷却しながら次々に融液に浸漬させることで主表面に結晶シートを凝固成長させ、これを次々に融液から取り出す。結晶シートが成長した下地板は、次々に主室上部から主室外へ送出され、薄板を取り外される。これを繰り返すことで、連続的に結晶シートを得ることが可能となる。結晶シートの製造を継続的に行なうことにより、融液の液量が減少するため、原料投入ポート705を設け、原料の追加投入を行なう構造になっている。
【0005】
しかしながら、上記従来の技術における、結晶シートの製造方法およびその製造装置においては、下地板701を融液704に浸漬するための可動部材710は、下地板701を次々に同一軌道に沿って動かす部材であり、下地板701は唯一のるつぼ703にのみ浸漬することができる。この製造装置では、結晶シートの製造を継続的に行なうことにより融液の液量が減少した場合、原料投入ポート705から原料の追加投入を行なう。次に、融液温度を上げて追加投入した原料を溶解する。溶解が完了したら、融液の温度を結晶シート製造に適した温度に調整し、融液温度が安定するまで保持する。かかる技術においては原料の追加投入から融液温度が安定するまでの一連の工程中は、結晶シートの製造を中断する必要があり、その結果生産性が悪化するという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−247396号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は原料の追加投入から融液温度が安定するまでの一連の工程において結晶シートの製造を中断する必要がなく、その結果生産性が改善された薄板製造装置および薄板製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明の薄板製造装置は、下地板浸漬機構が、下地板をるつぼ内の融液面に浸漬させ、融液から取り出すことで前記下地板表面に薄板を形成する薄板製造装置である。そして、下地板を複数のるつぼ内の融液に浸漬させることが可能な前記下地板浸漬機構を有する。
【0009】
これにより、下地板浸漬機構が、第1のるつぼを使用して薄板の製造を行っている時に、第1のるつぼ以外のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定化の少なくともいずれかの動作を平行して実施することが可能であり、生産性を向上できる。
【0010】
上記薄板製造装置は、下地板を前記下地板浸漬機構に装着/取外しする機構を設けた主室と、第1のるつぼを設けた副室と、第2のるつぼを設けた副室とを有し、下地板浸漬機構は下地板を第1のるつぼ内の融液面に浸漬させることが可能であり、その後下地板を第2のるつぼ内の融液面に浸漬させることが可能である。
【0011】
これにより、下地板浸漬機構が、第1のるつぼを使用して薄板の製造を行っている時に、第2のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定化の少なくともいずれかの動作を平行して実施することが可能であり、生産性を向上できる。
【0012】
さらに、下地板浸漬機構に装着/取外しする機構を設けた主室と、第1のるつぼを設けた副室と、第2のるつぼを設けた副室と、第3のるつぼを設けた副室とを有し、下地板浸漬機構は下地板を第1のるつぼ内の融液面に浸漬させることが可能であり、その後下地板を第2のるつぼ内の融液面に浸漬させることが可能であり、さらに下地板を第3のるつぼ内の融液面に浸漬させることが可能である薄板製造装置においては、下地板浸漬機構が、第1のるつぼおよび第2のるつぼを使用して薄板の製造を行っている時に、第3のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定化の少なくともいずれかの動作を平行して実施することが可能であり、さらに生産性を向上できる。
【0013】
上記下地板浸漬機構は主室内に格納することが可能であり、主室と各副室を仕切ることが可能な仕切り扉を有することが望ましい。
【0014】
操業開始時には、るつぼ内に固体原料を充填し、この原料を加熱溶解することで融液を作製するが、シリコンなどの原料を溶解する場合は、固体から融液に溶解する時点でSiOX等の粉体が発生する。また、追加した原料を溶解する際も、同様の粉体が発生する。そのため、下地板浸漬機構が設置されている主室と副室の仕切り扉を閉じた状態で、副室内で溶解を行うことにより、下地板浸漬機構へ粉体が付着し、下地板浸漬機構の耐久性が劣化することを防ぐことができる。
【0015】
さらに、るつぼ内の融液量を検知する機構を有することが望ましい。
薄板の品質、形状は、下地板を浸漬させるときの、下地板と融液の位置関係によって影響を受けるため、下地板を浸漬させるための軌道は融液量によって調整されるべきである。もしくは、融液量によってるつぼ高さを調整するべきである。上記のように、融液量を検知する機構を有することで、軌道もしくはるつぼ高さを調整することができる。融液量が規定値以下に減少した場合は、下地板とるつぼが干渉するため原料を追加する必要がある。上記のように、融液量を検知する機構を有することで、原料を追加するタイミングと、追加する量を決定することができる。
【0016】
本発明の薄板製造方法は、下地板浸漬機構が、下地板をるつぼ内の融液に浸漬させ、融液から取り出すことで前記下地板表面に薄板を形成する薄板製造方法において、前記下地板浸漬機構が、前記下地板を複数のるつぼ内の融液に浸漬させることが可能である。
【0017】
そして、下地板浸漬機構が、第1のるつぼを使用して薄板の製造を行っている間に、第1のるつぼ以外のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定化の少なくともいずれかの動作を実施することが可能である。
【0018】
薄板を連続製造すると、融液は減少し下地板とるつぼが干渉するため、原料を追加する必要がある。上記のように複数のるつぼに下地板を浸漬できることにより、第1のるつぼを使用して薄板を製造している時、その他のるつぼに対して、原料の追加、追加した原料の溶解、溶解後の温度調整、温度安定などの作業を並行して行うことが可能であり、生産性を向上することができる。
【0019】
下地板浸漬機構は、第1のるつぼ内の融液が規定量に減少するまで、第1のるつぼを使用して薄板を製造し、次に第1のるつぼ以外のるつぼを使用して薄板を製造することが望ましい。
【0020】
上記方法によって、第1のるつぼ以外のるつぼに対し、原料を追加し、加熱溶解し、温度調整、温度安定を行う時間を長く確保できるため、加熱能力を増加させなくても、薄板の連続製造を継続することが可能となる。
【0021】
第1のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定の少なくともいずれかの動作を実施している時に、第1のるつぼが設置されている副室と主室とを仕切る扉を閉めることが望ましい。
【0022】
第1のるつぼを使用して薄板を製造する場合、第1のるつぼが設置されている副室と主室の間を下地板や下地板浸漬機構を通過させるために、扉は開放されている必要がある。しかしながら、第1のるつぼが原料の追加、追加した原料の溶解、温度調整、温度安定のいずれかの動作を実施している時は扉を閉めることにより、第1のるつぼ以外のるつぼを使用した薄板製造を継続しながら、第1のるつぼ内の追加原料を加熱溶解した際に発生するSiOX粉等が下地板浸漬機構に付着することを防ぐことができる。
【0023】
【発明の実施形態】
次に、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0024】
以下、この発明に基いた各実施形態における薄板製造装置について、図を参照しながら説明する。
【0025】
(発明の実施形態1)
図1は、本実施の形態における薄板製造装置の概略図である。本実施の形態は、ガイドレールを用いた下地板浸漬機構を備えた薄板製造装置の一例である。下地板を搬送し、下地板浸漬機構への装着/取外しを行う主室100に隣接して、副室100A,100Bが設置されている。浸漬前の下地板1が、矢印S101に沿って主室100内部に投入され、下地板浸漬機構110に装着され、融液104Aまたは融液104Bに浸漬され、下地板表面に薄板2を形成する。融液に浸漬された下地板1は、薄板2ごと下地板浸漬機構110から取外され、矢印S102に沿って主室100から搬出される。
【0026】
下地板を受け取ってから、薄板を製造し、薄板および下地板を取外すまでの一連の動作を、浸漬動作と定義する。下地板浸漬機構には、ガイドレールを使用する機構、ロボットアームのような構造を使用する機構等どのような機構を用いてもよい。
【0027】
2つの副室には、それぞれるつぼ103A,103Bとるつぼを加熱する機構(図示せず)が設置されており、るつぼ内に充填した原料を加熱溶解し、融液状態で所定温度に保持することが可能である。さらに、るつぼ103A,103Bに原料を追加する原料追加機構105A,105Bを有する。主室内および各副室内の雰囲気は、不活性ガス雰囲気に保持することが望ましい。これは、融液と大気との反応を防止するためである。
<下地板浸漬機構の操作>
図3は図1に示す本発明の装置において、ガイドレールを使用する下地板浸漬機構の操作の概略図である。図3に示す下地板浸漬機構110は、水平動作レール111に沿って動作するスライド体112に取付けられた昇降機構113を備え、この昇降機構113には懸垂支柱114と、懸垂支柱114に設置された回転機構115と、回転機構115によって動作される回転支柱116と、回転支柱116の先端に取付けた支持支柱117を有し、懸垂支柱114の末端と支持支柱117の末端を結ぶ位置に、下地板1が装着される台座118を有する。下地板1の水平方向の移送は、水平動作レール111に沿ってスライド体112が移動することにより昇降機構113と懸垂支柱114以下に吊り下がっている機構全体が水平動作することで行われる。下地板1の上下方向の移送は、昇降機構113が懸垂支柱114以下に吊り下がっている機構全体を昇降することで行う。下地板1の回転動作は、回転機構115によって行われる。回転動作の制御により下地板1の融液104Aへの進入角度、脱出角度を決めることができる。上記の水平・上下・回転動作は相互に独立に行うことができる。
【0028】
次に、下地板浸漬機構110による下地板1の浸漬動作のサイクルを、図3を用いて説明する。下地板1は、台座118が下地板交換位置119に位置しているときに、台座118に装着される。台座118に凹型あり溝が形成され、下地板1に凸型あり溝が形成されていることにより、両方のあり溝を嵌め合わせるようにスライドさせるようにして装着する。この際、下地板1表面は天頂方向を向いている。その位置で、図示しないヒーターを用いて下地板温度調整を実施してもよい。その後、下地板1は動作サイクル120のように時計回りに回転しながら右方向へ移動する。次いで、左方向に戻りながら、下地板1表面を融液104Aに浸漬し、取出すことにより、下地板1の表面に薄板2を製造する。
【0029】
薄板製造後、薄板2が成長した下地板1は、さらに左方向へ戻りつつ、回転し、下地板1表面が天頂方向に向いた形で、交換位置119まで戻る。その後、薄板2が形成された下地板1をスライドさせて台座118から押出し、新しい下地板1を台座118に装着する。
【0030】
下地板1を交換するときの、下地板1の姿勢は、本実施の形態では表面を天頂方向に向けたが、横向きや下向きなど、どの方向を向いていても構わない。また、図3において、浸漬動作サイクル120を時計回りとしたが、反時計回り、もしくは途中まで時計回りで途中から反時計回り、もしくは途中まで反時計回りで途中から時計回り、のいずれでも構わない。
【0031】
上記動作の設定は、通常は、パソコン等により、水平方向移動指令と昇降動作移動指令、回転動作指令をそれぞれプログラミングし、それをコントローラに送信しておくことで、プログラム通りの任意軌道を実現する。
【0032】
シリコン融液は1400〜1500℃の高温であり、またシリコンの蒸着やSiOX粉等の付着もあるので、水平動作レール111や下地板浸漬機構110上部を保護するため、断熱性もしくは冷却された遮蔽板(図示せず)をるつぼ上に、下地板浸漬機構110や下地板1の動作と干渉しない位置に配置することが望ましい。
【0033】
下地板1の材質は、シリコン薄板を製造する場合には、耐熱性等の観点からカーボンを使用するのが好ましい。下地板1の表面に等間隔に凹凸を形成して結晶成長核の発生位置を制御することで、より結晶粒径の大きな多結晶薄板を製造することができる。
【0034】
本実施の形態において、融液からの凝固成長により、薄板の結晶状態としては、温度などの条件によって、単結晶、多結晶、非晶質、結晶質と非晶質が混在した物質となることが考えられる。
<2つのるつぼ間の下地板浸漬機構の移動操作>
図2は図1に示す薄板製造装置において、下地板浸漬機構の第1のるつぼと第2のるつぼ間の移動操作の概略図である。
【0035】
図2(A)は、上記で図3を用いて説明したように、下地板交換位置119に対して右側に設置しているるつぼ103A内の融液104Aへ下地板1を浸漬している様子を示す。下地板1は、下地板交換位置119から、矢印S100Aのようにるつぼ103A上へ移動し、融液104Aに浸漬し、薄板を製造した後に、矢印S100Aのように下地板交換位置119へ戻る。図1(B)のように、交換位置に対して左側に設置されたるつぼ103B内の融液104Bへも、図3と同様のサイクルで浸漬動作を行うことが可能である。下地板1は、下地板交換位置119から、矢印S100Bのようにるつぼ103B上へ移動し、融液104Bに浸漬し、薄板を製造した後に、矢印S100Bのように下地板交換位置119へ戻る。
【0036】
原料追加機構にはどのような機構を用いても構わないが、装置の簡略化のために、るつぼ1つに対し1つの原料追加機構を有することが望ましい。本実施形態では、柄杓型の原料追加機構105A,105Bを設置した。柄杓内に追加原料106A,106Bを充填し、るつぼ直上にて回転することで柄杓内の原料をるつぼに追加することが可能である。原料は、装置外から柄杓へ何度でも充填しなおせるように、柄杓への原料充填通路(図示せず)を設置することが望ましい。柄杓への原料充填は、副室100A,100Bとは異なる副々室(図示せず)にて行えるように、柄杓を副室100A,100Bと、それとは異なる副々室(図示せず)との間を行き来できるようにすることが望ましい。もしくは、柄杓に原料を充填するための充填機構(図示せず)と副々室(図示せず)をさらに設けることが望ましい。
【0037】
副室100A,100Bと主室100間には、両者を仕切る扉107A,107Bを有することが望ましい。
<薄板製造の工程>
次に、図1〜図3において、本実施の形態における、薄板の製造方法について説明する。まず、るつぼ103A,103Bに固体原料を充填し、加熱機構によってるつぼの温度を昇温し、原料の初期溶解を行う。
【0038】
初期溶解を実施している最中は、下地板浸漬機構110は、主室100内で待機していることが望ましい。さらには、主室と副室の間を仕切る扉107A,107Bを閉めていることが望ましい。これによって、下地板浸漬機構110に対する汚染を軽減することが出来る。ここで、下地板浸漬機構110に対する汚染とは、例えば、原料としてシリコンを用いた場合、固体シリコン原料が溶解する際に、SiOX粉等が発生し、下地板浸漬機構110に付着することなどである。下地板浸漬機構110及びその周辺にSiOX粉が等付着することにより、下地板浸漬時にトラブルが発生しやすくなる。
【0039】
扉107A、107Bは、主室と副室を完全に閉めきる構造である必要は無い。例えば、図1によると、水平動作レール111が横切っているため、この部分を完全に覆うことは困難である。装置の簡略化、低コスト化のためには、水平動作レールに接触しないような扉を設置し、主室と副室の導通面積を狭くするだけでも、るつぼから発生した粉体が主室内に入りにくくすることは可能である。従って、扉を閉めるとは、主室と副室の導通面積を狭くすることと同義である。
【0040】
同様に、扉を開けるとは、主室と副室の導通面積を広くすることと同義である。少なくとも、下地板浸漬機構110と下地板1、薄板2が扉と干渉することなく通過できるだけの導通面積を確保する必要がある。
【0041】
溶解完了後、融液の温度を薄板製造に適した温度に調整する。るつぼや融液の温度を、熱電対や放射温度計などを用いて検知し、PID制御などの手法を用いて、加熱機構の出力を自動調整することで任意の融液温度に調整することが可能である。任意の温度に調整が完了した直後は、融液温度分布や対流が不安定であるため、加熱機構の出力を自動調整しながら融液温度安定化を行うことが望ましい。
【0042】
温度が安定したら、下地板の浸漬動作を開始する。下地板浸漬機構110は矢印S101に沿って搬送された下地板1を受け取り、第1のるつぼ103A内の融液104Aに下地板を浸漬させて、薄板2を製造し、下地板交換位置に戻る。ここで、下地板交換位置は、図2に記載の位置119に対応する。この位置で、矢印S102の方向に、薄板2ごと下地板1を取外す。同時に、矢印S101に沿って搬送された新しい下地板1を受け取り、次の浸漬動作を行う。
【0043】
下地板の浸漬動作を連続的に行い、薄板の連続製造を行うことにより、融液104Aの量は減少する。そのため、融液量を検知する機構を有することが望ましい。これにより、融液面の高さが変化した際に、下地板を浸漬する軌道を融液面の高さにあわせて補正することが可能となる。さらに融液が規定量まで減少すると、下地板を浸漬する軌道とるつぼが干渉するため、浸漬続行が不可能となる。融液量を検知する機構を有することで、下地板や下地板浸漬機構とるつぼとの干渉を防止でき、るつぼへ原料を追加するタイミング、追加量を決定することができる。
【0044】
図2(B)において、融液104Aの液量が規定量まで減少した時に、原料追加機構105Aから、追加原料をるつぼ103A内に追加し、融液104Aの温度を上昇させて追加原料106Aを溶解する。その後、薄板製造に適した温度に融液温度を調整し、安定させる。その間、第1のるつぼ103A内の融液104Aへの浸漬動作は実施できないが、第2のるつぼ103B内の融液104Bへの浸漬動作は実施可能である。
【0045】
図2(A)は、下地板を第1のるつぼ103A内の融液104Aへ浸漬させている状態を示す。このとき同時に、第2のるつぼ103Bに対し、原料追加機構105Bを用いた追加原料106Bの追加、追加された原料の溶解、融液の温度調整、融液の温度安定化、の少なくともいずれかの動作を実施することが望ましい。
【0046】
図2(B)は、下地板を第2のるつぼ103B内の融液104Bへ浸漬させている状態を示す。このとき同時に、第1のるつぼ103Aに対し、原料追加機構105Aを用いた原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化、の少なくともいずれかの動作を実施することが望ましい。
【0047】
上記のように、一方のるつぼ内の融液へ浸漬動作を行っているときに、他のるつぼに対し、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程を同時に実施することで、下地板を浸漬できない時間を減らすことが可能となり、生産性が向上する。
【0048】
第1の副室に設置されたるつぼ内の融液へ浸漬動作を行っているときは、第1の副室と主室との仕切り扉は開く必要がある。これにより、下地板浸漬機構や下地板、薄板と扉との干渉を防止できる。第1の副室に設置されたるつぼへ原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程を行っているときは、第1の副室と主室との仕切り扉は閉めることが望ましい。これによって、追加原料が溶解する際に発生する粉体から、下地板浸漬機構の汚染を守りつつ、下地板浸漬機構は他のるつぼ内の融液への浸漬動作を継続することが可能である。
【0049】
本実施の形態において、主室内は少なくとも外気と遮断されていればよいのであるが、減圧下あるいは、ヘリウム、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気であることが好ましい。
【0050】
さらに、融液として、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、ひ素、インジウム、リン、硼素、アンチモン、亜鉛、すずなどの半導体材料、または、アルミニウム、ニッケル、鉄などの金属材料を使用することが可能である。
<薄板製造の操作時間>
図8を用いて、薄板製造1枚あたりに必要な時間(以下、タクトという)を説明する。融液が規定量まで減少する間に製造される薄板製造枚数をW枚とし、原料を追加し溶解するために必要な時間をY秒、融液温度を調整し、安定させるために必要な時間をZ秒とする。第1のるつぼ103A内の融液104Aへの連続浸漬時間(W枚製造するための時間)はX秒である。第2のるつぼへ原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程を行う時間は(Y+Z)秒である。ここで、X>(Y+Z)のときは、第1のるつぼ103Aの融液量が規定量減少した瞬間に、つづけて第2のるつぼ内の融液への浸漬を開始できるため、タクトは、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の影響を受けない。すなわち、タクト=X/W秒である。このとき、温度が安定した後、浸漬動作が始まるまでの時間X−(Y+Z)秒は、安定状態を維持しつつ浸漬動作開始を待つための保持時間となる。X<(Y+Z)の時は、タクトは(Y+Z)/W秒となる。保持時間は0秒となる。
【0051】
(実施の形態2)
図4は本実施の形態2における薄板製造装置の概略図である。本実施形態は、ロボットアームを用いた下地板浸漬機構を備えた薄板製造装置の一例である。図1と同様に、下地板の搬送、装着/取外しを行う主室200と隣接して、副室200A、200Bを設置している。
【0052】
浸漬前の下地板1は、矢印S201Aまたは矢印S201Bに沿って主室200内部に投入され、下地板浸漬機構210に装着され、融液204Aまたは融液204Bに浸漬され、下地板表面に薄板2を形成する。融液に浸漬された下地板1は、薄板2ごと下地板浸漬機構から取外され、矢印S202Aまたは矢印S202Bに沿って主室200から搬出される。
<るつぼ間の下地板浸漬機構の移動操作>
図5に、図4に示すロボットアームを使用する下地板浸漬機構の一例を例示する。図5(A)、図5(B)に示す下地板浸漬機構210は、垂直動作軸214に沿って動作する昇降機構213に取付けられた水平方向伸縮アーム211の先端に設置される。水平方向伸縮アーム211先端に、傾斜アーム215を備え、その先に下地板1が装着される台座218を有する。下地板1の垂直方向の移送は、垂直動作軸214に沿って昇降機構213が移動することにより水平方向伸縮アームより先に接続されている機構全体が垂直動作することで行われる。下地板1の水平方向の移送は、水平方向伸縮アーム211が伸縮することで、傾斜アームより先に接続されている機構全体を水平移動することで行う。下地板1の傾斜動作は、傾斜アーム215によって行われる。下地板傾斜の制御により下地板1の融液204A、204Bへの進入角度、脱出角度を決めることができる。上記の水平・上下・傾斜動作は相互に独立に行うことができる。
【0053】
本発明の薄板製造装置は、上述の構成により、図3のガイドレールを使用した下地板浸漬機構と同様に、るつぼ内の融液へ、任意の軌道による浸漬動作を行うことができる。
【0054】
さらに、図4に示すように、下地板浸漬機構210は、垂直動作軸214を中心として、矢印S200Rのように下地板浸漬機構210全体が回転可能である。
【0055】
図5(A)は、垂直動作軸214に対して右側に設置しているるつぼ203A内の融液204Aへ下地板1を浸漬している様子を示す。下地板1は、下地板交換位置219Aから、矢印S200Aのようにるつぼ203A上へ移動し、融液204Aに浸漬し、薄板を製造した後に、矢印S200Aのように下地板交換位置219Aへ戻る。図5(B)のように、交換位置に対して左側に設置されたるつぼ203B内の融液204Bへも、同様のサイクルで浸漬を行うことが可能である。下地板1は、下地板交換位置219Bから、矢印S200Bのようにるつぼ203B上へ移動し、融液204Bに浸漬し、薄板を製造した後に、矢印S200Bのように下地板交換位置219Bへ戻る。下地板浸漬機構210は、下地板交換位置219Aと219Bの間を、垂直動作軸214を中心として下地板浸漬機構210全体が回転することで行き来する。
<薄板製造の工程>
次に、本実施の形態における、薄板の製造方法について、図4及び図5を用いて説明する。
【0056】
原料の初期溶解は、実施の形態1と同様である。実施形態1と同様に、初期溶解時は扉207A,207Bは、閉めていることが望ましい。扉207A,207Bは、主室と副室を完全に閉めきる構造とすることが可能である。本実施形態の場合、図1による水平動作レール111のように、主室と副室をまたがって固定設置されている機構は存在しないため、例えばゲートバルブのように、主室と副室の雰囲気を分離することが容易である。
【0057】
初期溶解が完了したら、融液を薄板製造に適した温度に調整する。温度が安定したら、下地板の浸漬動作を開始する。下地板浸漬機構210は矢印S201Aに沿って搬送された下地板1を受け取り、第1のるつぼ203A内の融液204Aに下地板を浸漬させて、薄板を製造し、下地板交換位置に戻る。下地板交換位置は、図5の位置219Aに対応する。この位置で、矢印S202Aの方向に、薄板2ごと下地板1を取外す。同時に、矢印S201Aに沿って搬送された新しい下地板1を受け取り、次の浸漬動作を行う。
【0058】
融液204Aの液量が規定量まで減少した時に、原料追加機構205Aから、追加原料をるつぼ203A内に追加し、融液204Aの温度を上昇させて追加原料を溶解する。その後、薄板製造に適した温度に融液温度を調整し、安定させる。その間、第1のるつぼ203A内の融液204Aへの浸漬動作は実施できない。そのため、下地板浸漬機構は180°旋回し、矢印S201Bに沿って搬送された新しい下地板1を下地板交換位置にて受け取り、るつぼ203B内の融液204Bへの浸漬動作を実施する。このときの下地板交換位置は、図5に記載の位置219Bに対応する。
【0059】
図5(A)は、下地板を第1のるつぼ203Aへ浸漬させている状態を示す。このとき同時に、第2のるつぼ203Bに、原料追加機構205Bを用いた原料の追加206B、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化、の少なくともいずれかの動作を実施することが望ましい。
【0060】
図5(B)は、下地板を第2のるつぼ203Bへ浸漬させている状態を示す。このとき同時に、第1のるつぼ203Aに、原料追加機構205Aを用いた原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化、の少なくともいずれかの動作を実施することが望ましい。
【0061】
上記のように、るつぼへ浸漬動作を行っているときに、他のるつぼに対し、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程を同時に実施することで、下地板を浸漬できない時間を減らすことが可能となり、生産性が向上する。
<薄板製造の操作時間>
図8を用いて、薄板製造1枚あたりに必要な時間(タクト)を説明する。融液が規定量まで減少する間に製造される薄板製造枚数をW枚とし、原料を追加し溶解するために必要な時間をY秒、融液温度を調整し、安定させるために必要な時間をZ秒とする。第1のるつぼ203A内の融液204Aへの連続浸漬時間(W枚製造するための時間)はX秒とする。第2のるつぼに対し、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程を行う時間は(Y+Z)秒である。下地板浸漬機構210を180°旋回する時間は、X、Y、Zに対し十分小さいため無視できる。
【0062】
実施の形態1と同様に、X>(Y+Z)の時は、タクト=X/W秒である。このとき、温度が安定した後、浸漬動作が始まるまでの時間X−(Y+Z)秒は、安定状態を維持しつつ浸漬動作開始を待つための保持時間となる。X<(Y+Z)の時は、タクトは(Y+Z)/W秒となる。保持時間は0秒である。
【0063】
(実施の形態3)
図6は本実施の形態3における薄板製造装置の概略図である。本実施形態は、ロボットアームを用いた下地板浸漬機構を備えた薄板製造装置の一例である。下地板の搬送、装着/取外しを行う主室300と隣接して、副室300A,300B,300Cを設置している。下地板浸漬機構310は、実施の形態2にて説明した、図5の下地板浸漬機構と同じ機構を使用できる。
【0064】
浸漬前の下地板1は、矢印S301に沿って主室300内部に投入され、下地板浸漬機構310に装着され、浸漬する融液の方向に矢印S300Rに沿って回転する。その後、融液304A,304B,304Cのいずれかに浸漬され、下地板表面に薄板2を形成する。融液に浸漬された下地板1は、薄板2ごと、矢印S300Rに沿って回転して下地板交換位置に戻り、下地板浸漬機構から取外され、矢印S302に沿って主室300から搬出される。
<薄板製造の工程>
次に、本実施の形態における、薄板の製造方法について説明する。原料の初期溶解は、実施の形態2と同様である。
【0065】
初期溶解が完了したら、融液を薄板製造に適した温度に調整する。温度が安定したら、下地板の浸漬動作を開始する。下地板浸漬機構310は矢印S301に沿って搬送された下地板1を受け取り、回転によってるつぼ303Aの方向へ向き、その後、第1のるつぼ303A内の融液304Aに下地板を浸漬させて、薄板を製造し、回転によって下地板交換位置319に戻る。この位置で、矢印S302の方向に、薄板2ごと下地板1を取外す。同時に、矢印S301に沿って搬送された新しい下地板1を受け取り、次の浸漬動作を行う。
【0066】
融液304Aの液量が規定量まで減少した時に、原料追加機構305Aから、追加原料をるつぼ303A内に追加し、融液304Aの温度を上昇させて追加原料を溶解する。その後、薄板製造に適した温度に融液温度を調整し、安定させる。その間、第1のるつぼ303A内の融液304Aへの浸漬動作は実施できない。るつぼ303Bまたは303C内の融液304Bまたは304Cへの浸漬動作は実施できるため、るつぼ303Aに対し、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程を実施している間は、るつぼ303B内の融液304Bへの浸漬動作を実施する。
【0067】
融液304Bの液量が規定量まで減少した時に、原料追加機構305Bから、追加原料をるつぼ303B内に追加し、融液304Bの温度を上昇させて追加原料を溶解する。その後、薄板製造に適した温度に融液温度を調整し、安定させる。その間、第2のるつぼ303B内の融液304Bへの浸漬動作は実施できない。るつぼ303Aに対する、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程が完了していない場合は、るつぼ303C内の融液304Cへの浸漬動作のみ、実施できるため、続いてるつぼ303C内の融液304Cへの浸漬動作を実施する。
【0068】
融液304Cの液量が規定量まで減少した時に、原料追加機構305Cから、追加原料をるつぼ303C内に追加し、融液304Cの温度を上昇させて追加原料を溶解する。その後、薄板製造に適した温度に融液温度を調整し、安定させる。その間、第3のるつぼ303C内の融液304Cへの浸漬動作は実施できない。るつぼ303Aに対する、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程が完了している場合は、るつぼ303A内の融液304Aへの浸漬動作は実施できるため、続いてるつぼ303A内の融液304Aへの浸漬動作を実施する。るつぼ303Aに対する、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程が完了していない場合は、浸漬動作を実施できるるつぼは存在しない。もっとも早く温度安定が完了するるつぼは303Aであるため、るつぼ303Aが温度の安定化を完了した後、るつぼ303A内の融液304Aへの浸漬動作を実施する。
【0069】
上記のように、下地板を第1のるつぼ303A内の融液304Aへ浸漬させているとき同時に、第2のるつぼ303Bと、第3のるつぼ303Cに対して、原料追加機構305B、305Cから、追加原料を追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程の少なくともいずれかの動作を実施することが望ましい。第2、第3のるつぼ内の融液へ浸漬しているときも同様に、他のるつぼに対しては原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程の少なくともいずれかの動作を実施することが望ましい。るつぼ内の融液へ浸漬動作を行っているときに、他のるつぼに対し、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化を同時に実施することで、下地板を浸漬できない時間を減らすことが可能となり、生産性が向上する。
【0070】
なお、図6において、矢印S300A,S300B,S300Cは下地板浸漬機構301の融液への移動、後退方向を示す。また、主室と副室には扉307A,307B,307Cが設けられている。
<薄板製造の操作時間>
図9を用いて、薄板製造1枚あたりに必要な時間(タクト)を説明する。融液が規定量まで減少する間に製造される薄板製造枚数をW枚とし、原料を追加し溶解するために必要な時間をY秒、融液温度を調整し、安定させるために必要な時間をZ秒とする。るつぼ303A、303B、303C内の融液304A、304B、304Cへの連続浸漬時間(W枚製造するための時間)はそれぞれXA、XB、XC秒とする。本実施の形態では、下地板交換位置319からるつぼ方向に向くまでの回転時間は、各々のるつぼによって異なるため、薄板W枚製造するために必要な時間も各々異なる。本実施の形態では、計算を簡略化するために、X=XA=XB=XCと近似する。るつぼに対し、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化の工程を行う時間は(Y+Z)秒である。るつぼへの原料の追加から融液温度安定化までの工程は、他のるつぼ2つへの浸漬時間分かけて同時進行できることになるため、(2×X)>(Y+Z)の時は、タクト=X/W秒である。このとき、温度が安定した後、浸漬動作が始まるまでの時間(2×X)−(Y+Z)秒は、安定状態を維持しつつ浸漬開始を待つための保持時間となる。
【0071】
同様に、るつぼをN個用意した場合、(N×X)>(Y+Z)の時は、タクト=X/W秒である。すなわち、るつぼへ原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化に必要な時間(Y+Z)秒が大きい場合、もしくは薄板成長条件によって薄板を製造する時間が早く連続浸漬時間X秒が小さい場合は、るつぼ数を増やすことで、タクトが原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化に影響を受けないようにすることが可能であり、タクトを最小値X/W秒とすることが可能である。このとき、温度安定した後、浸漬が始まるまでの時間(N×X)−(Y+Z)秒は、安定状態を維持しつつ浸漬開始を待つための保持時間となる。
【0072】
(比較例1)
図7に示す、従来装置を用いたシリコン薄板の製造装置について説明する。まず、るつぼ703に固体原料を充填し、加熱機構707によってるつぼの温度を昇温し、原料の初期溶解を行う。溶解完了後、融液の温度を薄板製造に適した温度に調整し、融液温度安定化を行う。
【0073】
次に、融液704を保持したまま、るつぼ703を上昇し、下地板の表面を融液704に浸漬する。
【0074】
下地板を、装置上部から連続的に可動部材710に投入し、可動部材710の回転により、下地板をシリコン融液に浸漬させ、続いて上方へ薄板ごと下地板を取出すことで、シリコン薄板を製造できる。
【0075】
融液704の液量が規定量まで減少したら、るつぼを下降させる。次に、原料投入ポート705を通じて、るつぼ703内に、原料を追加し、ヒータ707にて追加した原料を溶解する。その後、融液704の温度を調整し、融液温度安定を行う。
【0076】
その後、再び下地板浸漬位置までるつぼ703を上昇させることで、下地板の浸漬を再開きる。
【0077】
融液が規定量まで減少する間に製造される薄板製造枚数をW枚とし、原料を追加し溶解するために必要な時間をY秒、融液温度を調整し、安定させるために必要な時間をZ秒とする。るつぼ703内の融液704への連続浸漬時間(W枚製造するための時間)はX秒とする。
【0078】
図10に示されるように、比較例1におけるタクトは(X+Y+Z)/W秒である。
(タクト比較)
実施の形態1、2によって薄板を製造した場合のタクトは、X>(Y+Z)のときは、X/W秒である。X>Y+Zでない場合は、(Y+Z)/W秒である。
【0079】
比較例によるタクトは(X+Y+Z)/W秒であるため、どちらの場合でもタクトが大幅に改善されることが分かる。
【0080】
このように、下地板浸漬機構が2つのるつぼへ浸漬することにより、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化を浸漬動作と平行して行うことが可能となり、生産性を向上することが可能である。
【0081】
実施の形態3によって薄板を製造した場合のタクトは、(2×X)>(Y+Z)のときは、X/W秒である。X>(Y+Z)でない場合は、るつぼや副室の数を増やすことで、タクトを(Y+Z)/W秒からX/W秒に改善することが可能である。
【0082】
同様に、(N×X)>(Y+Z)を満たすように、るつぼの個数Nを決定することで、タクトをX/W秒に改善することが可能である。
【0083】
【発明の効果】
この発明における薄板製造装置によれば、下地板浸漬機構は複数のるつぼへの浸漬動作を行うことを可能とし、原料の追加、追加原料の溶解、融液の温度調整、融液温度安定化を浸漬動作と同時に行うことで、生産性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薄板製造装置の概略図である。
【図2】 (A)及び(B)は本発明の薄板製造装置における下地板浸漬機構の操作を示す概略図である。
【図3】 本発明の薄板製造装置における下地板浸漬機構の操作を示す概略図である。
【図4】 本発明の薄板製造装置の概略図である。
【図5】 (A)及び(B)は本発明の薄板製造装置における下地板浸漬機構の操作を示す概略図である。
【図6】 本発明の薄板製造装置の概略図である。
【図7】 従来の薄板製造装置の概略図である。
【図8】 本発明における実施の形態1及び2によるタクト表である。
【図9】 本発明における実施の形態3によるタクト表である。
【図10】 比較例1によるタクト表である。
【符号の説明】
1 下地板、2 薄板、103A,103B,203A,203B,303A,303B,303C るつぼ、104A,104B,204A,204B,304A,304B,304C 融液、105A,105B,205A,205B,305A,305B,305C 原料追加機構、106A,106B,206A,206B,306A,306B,306C 追加原料、107A,107B,207A,207B,307A,307B,307C 扉、110,210 下地板浸漬機構、100,200,300,700 主室、100A,200A,300A,300C,100B,200B,300B 副室。
Claims (8)
- 下地板浸漬機構が、下地板をるつぼ内の融液面に浸漬させ、融液から取り出すことで前記下地板表面に薄板を形成する薄板製造装置において、
前記下地板浸漬機構が、第1のるつぼを使用して薄板の製造を行っている間に、第1のるつぼ以外のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定化の少なくともいずれかの動作を平行して実施するために、
前記下地板を複数のるつぼ内の融液に浸漬させることが可能な前記下地板浸漬機構を有し、
前記るつぼ内の融液量を検知する機構を備え、
前記下地板を前記下地板浸漬機構に装着/取外しする機構を設けた主室と、前記るつぼを設けた副室とを有し、前記副室が前記主室をはさんで対向するように配置されることを特徴とする、薄板製造装置。 - 前記下地板を前記下地板浸漬機構に装着/取外しする機構を設けた主室と、第1のるつぼを設けた副室と、第2のるつぼを設けた副室とを有し、
前記下地板浸漬機構は下地板を第1のるつぼ内の融液面または第2のるつぼ内の融液面に選択的に浸漬させることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の薄板製造装置。 - 前記下地板を前記下地板浸漬機構に装着/取外しする機構を設けた主室と、第1のるつぼを設けた副室と、第2のるつぼを設けた副室と、第3のるつぼを設けた副室とを有し、
前記下地板浸漬機構は下地板を第1のるつぼ内の融液面、第2のるつぼ内の融液面、または第3のるつぼ内の融液面に選択的浸漬させることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の薄板製造装置。 - 前記浸漬機構は主室内に格納することが可能であり、主室と各副室を仕切る扉を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の薄板製造装置。
- 下地板浸漬機構が、下地板をるつぼ内の融液に浸漬させ、融液から取り出すことで前記下地板表面に薄板を形成する薄板製造方法において、前記下地板浸漬機構は、前記下地板を複数のるつぼ内の融液に順次浸漬させ、
前記融液はその量を前記るつぼ内に備えた融液量を検知する機構に基づき調整し、
前記下地板は、前記下地板浸漬機構に装着/取外しする機構を設けた主室をはさんで対向するように配置された前記るつぼを設けた副室とに順次浸漬させることを特徴とする、薄板製造方法。 - 前記下地板浸漬機構が、第1のるつぼを使用して薄板の製造を行っている間に、第1のるつぼ以外のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定化の少なくともいずれかの動作を実施することを特徴とする、請求項5に記載の薄板製造方法。
- 前記下地板浸漬機構は、第1のるつぼ内の融液が規定量に減少するまで、第1のるつぼを使用して薄板を製造し、次に第1のるつぼ以外のるつぼを使用して薄板を製造することを特徴とする、請求項6に記載の薄板製造方法。
- 第1のるつぼに対し、原料の追加、追加した原料の溶解、融液の温度調整、温度安定化の少なくともいずれかの動作を実施している間に、第1のるつぼが設置されている副室と主室とを仕切る扉を閉めることを特徴とする、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の薄板製造方法。
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