JP4306989B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電子写真装置及び電子写真プロセス - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電子写真装置及び電子写真プロセス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高品質で耐久性に優れた、電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機電子写真感光体に、帯電安定性の向上と、光導電層(感光層)と導電性支持体との接着性の向上と、導電性支持体からの電荷の注入や導電性支持体の表面欠陥に基づく画像欠陥の発生防止等の目的で、感光層と導電性支持体との間に中間層を配置している。
【0003】
この中間層を、樹脂単独で形成することが従来より提案されているが、使用温度や湿度が変化する環境下では、樹脂の吸湿による電気特性の変化により、電子写真感光体の電気特性と得られる画像特性とが変動するという欠点がある。そこで、樹脂の吸湿性を改善するために、導電性粉末を添加する技術が、例えば、特開昭58−93063号公報に開示されている。しかし、導電性粉末を中間層に添加する場合、粉末の分散状態により、感光層と中間層との接着性は大きく影響を受け、分散状態が悪いと、繰り返して使用する際に、感光層の剥がれが生じて、得られる画像に欠陥が生じる。
【0004】
そこで、例えば、特開2000−231214号公報では、0.2μm以下の粒子径を有する成分が無機顔料全体の10%以上になるように調製された無機顔料を有する樹脂中間層を使用した電子写真感光体が開示されている。これにより、感光層と中間層との界面接着性が改善され、画像欠陥の発生を抑制できる。
【0005】
通常、所定の溶媒中に、感光層の構成成分である電荷発生物質と電荷輸送物質とを分散又は溶解させた塗工液を、中間層の形成された導電性支持体に塗工した後、所定の条件で加熱処理して、有機溶媒を乾燥除去して、感光層を形成する。しかし、中間層に含まれる無機顔料の一次粒子(原料粒子)が二次凝集することなく、均一に分散するように、中間層中の無機顔料の分散状態を厳密に制御することは難しい。したがって、前述した感光層用の塗工液に使用する溶媒の種類によっては、中間層上に塗工されてから、乾燥が完了するまでに、溶媒が中間層に浸透し、その部分の中間層を膨潤させる。
【0006】
露光処理により形成された静電潜像を反転現像する、反転現像方式の電子写真装置に使用される電子写真感光体では、繰り返し使用による、地肌汚れを防止するために、中間層の膜厚を大きくすることが、従来より行われている。しかし、中間層の膜厚を大きくするために、無機顔料粒子と結着剤樹脂と有機溶媒中に分散・溶解した塗布液を、導電性支持体に厚く塗布すると、乾燥処理が完了する(無機顔料粒子が中間層中に固定される)までの間に、例え、塗布液中で無機顔料粒子が均一に分散していたとしても、無機顔料粒子と結着剤樹脂との比重差に起因して、無機顔料粒子が下層に堆積し、二次凝集が発生しやすい。
【0007】
そのため、反転現像方式の電子写真装置に使用する電子写真感光体では、前述した、感光層用の塗工液に含まれる溶媒が中間層を膨潤させ、膨潤した部分が異常画像の発生原因となる。膨潤した部分は、露光時の光学特性が他の部分とは異なるため、結果的に感度が低下する。特に、反転現像した際に、全面黒画像(黒べた)及び中間色調(ハーフトーン、Half Tone)画像の濃度むらとして現れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、高品質で耐久性の高い電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電子写真感光体は、
導電性支持体上に、中間層と光導電層とを順次形成した電子写真感光体であって、
前記中間層は、少なくとも無機顔料と結着剤樹脂とから構成され、
前記無機顔料は、0.2μm以下の粒子径から構成される成分を10%以上含み、
前記光導電層は、前記中間層が形成された導電性支持体に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが有機溶媒中に分散又は溶解した塗工液を塗工し、該有機溶媒を乾燥して除去することにより形成され、
前記結着剤樹脂は、メラミン樹脂、アルキド樹脂及びポリアミド樹脂のうち少なくともいずれか一つを含む樹脂であり、
前記有機溶媒は、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びキシレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機溶媒である
ことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、無機顔料は、0.2μm以下の粒子径から構成される成分を10%以上含むので、中間層の表面の平滑性が向上し、光導電層との接着性が改善する。また、電荷発生物質と電荷輸送物質とが有機溶媒中に分散又は溶解した光導電層用の塗工液中に含まれる有機溶媒は、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びキシレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機溶媒である。これらの有機溶剤は、その物理化学的な特性(例えば、表面張力や化学的親和性等)により、中間層を形成する無機顔料粒子とメラミン樹脂、アルキド樹脂及びポリアミド樹脂のうち少なくともいずれか一つを含む樹脂である結着剤樹脂との界面に侵入し難い。したがって、他の有機溶媒を使用する場合と比較して、中間層の膨潤を、最低限に抑制できるので、高品質で耐久性に優れた電子写真感光体となる。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る電子写真感光体の製造方法は、
少なくとも無機顔料と結着剤樹脂とを所定の溶媒に分散又は溶解した塗布液を導電性支持体に塗布し、所定の溶媒を乾燥させて除去することにより中間層を形成する中間層形成ステップと、
前記中間層が形成された導電性支持体に、電荷発生物質と電荷輸送物質とを有機溶媒中に分散又は溶解した塗工液を塗工し、該溶媒を乾燥除去することにより光導電層を形成する光導電層形成ステップと、を備え、
前記無機顔料は、0.2μm以下の粒子径から構成される成分を10%以上含み、
前記結着剤樹脂は、メラミン樹脂、アルキド樹脂及びポリアミド樹脂のうち少なくともいずれか一つを含む樹脂であり、
前記有機溶媒は、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びキシレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機溶媒である、
ことを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、光導電層との接着性を改善し、中間層の膨潤を最低限に抑制できるので、高品質で耐久性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかる電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電子写真装置及び電子写真プロセスについて、以下図面を参照して説明する。
【0030】
中間層及び光導電層(以下感光層)を形成する導電支持体は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、銅、酸化スズ、酸化インジウム等の適度な加工性と機械特性(強度及び剛性等)とを備える金属(単一金属または合金)部材から構成される。あるいは、炭素粉末や炭素繊維等の導電性粉末を分散したプラスチック、または、プラスチック、セラミックス等の絶縁性支持体に、金属等を蒸着あるいはスパッタリングして、又は導電性塗料を塗工して、導電性被膜を形成したものも使用できる。さらに、これらの部材を組み合わせて使用しても良い。導電性支持体の形状は、ドラム(円筒)形状、ローラ形状、ベルト状等、使用する写真感光装置の仕様に応じて、選択される。
【0031】
中間層に使用する無機顔料は、可視光及び近赤外光領域に、光吸収の殆どない、白色または、白色に近い色調を有する無機顔料が、高感度化のために好ましい。例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫酸亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、酸化アルミニウム、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料等を使用することができる。酸化チタンは、他の白色顔料と比較して、屈折率が大きく、化学的及び物理的にも安定であり、白色度が高いので、隠蔽力も大きく、好ましい。酸化チタンは、結晶質、非晶質、いずれも使用できる。結晶質の場合、ルチル型、アナタース型があり、これらのいずれでも良い。
【0032】
中間層用塗布液を導電性支持体に塗布し、所定の条件で乾燥させて、形成された中間層中に、0.2μm以下の粒子径の無機顔料成分が、全無機顔料に対して、少なくとも10%以上含まれていれば良い。0.2μm以下の粒子径の無機顔料成分が、より望ましくは、全無機顔料に対して、25%以上含まれている。中間層中の無機顔料の粒子径が十分小さいので、感光層との密着性も良好となり、写真感光体としての耐久性を向上させる。
【0033】
ここで、中間層に含まれる無機顔料の粒子径は、塗布液を調製する際に使用した原料粉末の一次粒子径ではなく、実際に導電性支持体上に形成された中間層被膜に含まれる無機顔料粒子の粒子径の測定値である。粒子径の測定方法としては、複数の粒子を含む試料調製されたサンプルにレーザ光を照射し、得られるレーザ回折/散乱による光強度分布パターンに基づいて粒度分布を算出するレーザ回折法と、電子顕微鏡等の顕微鏡画像に含まれる粒子それぞれの粒子径を測定して求める方法等が使用できる。ここでは、実際に形成された中間層の一部を被膜のままの状態で、電子顕微鏡により所定の倍率にした反射画像に含まれる粒子の粒子径を測定する。この方法では、中間層に存在する状態のままで、測定可能であるため、正確な測定値を求めることができる。
【0034】
中間層に使用する結着剤樹脂は、被膜形成性と、添加する無機顔料との密着性と、所定の溶媒に対する分散性と、耐溶剤性とが良好であれば良い。例えば、取り扱いが容易な水を溶媒として使用することができる、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等が使用される。また、溶解性に優れた有機溶媒の一つである、アルコールに可溶な、共重合ポリアミド、メトキシメチル化ポリアミド等を使用することもできる。さらには、吸湿性が低く、環境変化による電気特性、物理特性等の変化が小さい、三次元網目構造を形成する熱硬化樹脂として、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いても良い。
【0035】
中間層を形成するための中間層用の塗布液を調製するために、結着剤樹脂を溶媒に溶解させた後、前述した無機顔料粒子を加え、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライタ等の湿式混合装置で、均一に分散するまで混合する。ここで、無機顔料粒子と結着剤樹脂との配合比率(P/R比、Pigment to Resin Ratio)は、重量比率で、1/2から15/1の範囲であることが好ましい。P/R比が、1/2より小さいと、添加した無機顔料粒子の効果が十分に発揮されない。また、P/R比が、15/1より大きいと、結着剤樹脂が不足し、均一な膜形成ができず、無機顔料粒子と結着剤樹脂との間の界面の密着が不十分となり、空隙を発生する。この場合には、中間層としての機能を十分に発揮できないばかりか、後述する感光層用との密着性が低下し、さらに、空隙に含まれる空気により、感光層用の塗工液を乾燥する際に、気泡が発生し、この気泡が形成された感光層の欠陥となる。
【0036】
使用する湿式分散装置としては、ボールミルが好ましい。比重、形状、粒度等の異なる原料粉末であっても、均一に分散させることができる。また、使用する分散媒体であるボールは、比重5.0以下のセラミックス製ボールであることが、より望ましい。無機顔料粒子の比重と比較的近い比重の分散媒体を使用することで、無機顔料粒子を短時間で、効率的に分散させることができる。また、セラミックス部材であり、表面が平滑であるため、過度に原料粉末を破砕することなく、適度な粒度調節機能を発揮し、無機顔料粒子との親和性も良好であるので、二次凝集等も発生し難い。ここで、無機顔料粒子と結着剤樹脂の安定した分散性と、良好な塗布性とを確保するために、界面活性剤、可塑剤等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
【0037】
得られた中間層用の塗布液は、ブレード塗工、ナイフ塗工、スプレー塗工、浸漬塗工等の各種塗工法を用いて、導電性支持体に塗工される。塗工された中間層用の塗布液は、所定の条件で、所定の溶媒を除去するまで乾燥することにより、所定の厚さの中間層被膜を形成する。ここで、中間層の厚さは、0.5μmから20.0μmの範囲であることが望ましい。中間層の厚さが、0.5μm以下では、中間層としての機能が十分に発揮されない。また、中間層の厚さが20μm以上になると、例え無機顔料粒子が均一に分散した塗布液であっても、被膜形成時に、無機顔料粒子が、結着剤樹脂との比重差により、下層に沈降し、堆積するため、局部的な不均一や二次凝集を発生し易くなり、均一な中間層が得られ難い。さらに、感光層との接着不良や残留電位の上昇が発生し易く、電子写真感光体としての耐久性と画質とを劣化させる。
【0038】
繰り返し使用による地肌汚れが発生しにくい、高い耐久性を備える感光体とするには、中間層の膜厚が大きいほど有利となるため、5.0μm以上の膜厚を有する中間層とすることが望ましい。
【0039】
次に、導電性支持体の中間層上に形成される感光層について説明する。感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とを単一に形成した層に有する単層型であっても、電荷発生物質を有する電荷発生層と、電荷輸送物質を有する電荷輸送層とを別々の層として構成された積層型であっても良い。どちらの場合であっても、感光層用の塗工液に使用する溶媒は、環状エーテル化合物と、ケトン系化合物と、芳香族炭化水素化合物と、これらの誘導体から選択された少なくとも1以上の有機溶剤である。
【0040】
例えば、ジクロロメタン等のハロゲン系有機溶剤を使用すると、溶解力が過剰に高く、表面張力も小さいので、容易に、中間層の無機顔料粒子と結着剤樹脂との間の界面に侵入し、無機顔料粒子と結着剤樹脂との密着性を低下させ、局部的に中間層を膨潤させる。このとき、前述したように、無機顔料粒子の分散不良や無機顔料粒子と結着剤樹脂との間の界面に発生した空隙がある場合には、さらにこの膨潤現象が顕著になる。この中間層の膨潤現象は、反転現像する際に、全面黒画像(黒べた)や中間色調(ハーフトーン)画像において、濃度むらの発生を助長する。
【0041】
前述したハロゲン系有機溶剤と比較すると、適度な溶解力と表面張力とを有する環状エーテル等の有機溶剤は、無機顔料粒子と結着剤樹脂との密着性を低下させ、局部的に中間層を膨潤させることはない。一方で、後述する電荷発生物質や電荷輸送物質との良好な化学的親和性を有するので、均一な分散又は溶解状態を維持することができる。また、化学構造的にも安定であるので、塗工液として、ポットライフ(可使時間、Pot Life)が長く、経時劣化が小さく、成膜性や中間層との密着性も良好であり、使い勝手が良い。
【0042】
環状エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン(THF、Tetrahydroflane)、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等がある。ケトン化合物としては、メチルエチルケトン(MEK、Methylethylketone)、アセトン、シクロヘキサノン等がある。また、芳香族炭化水素化合物としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等(異性体、誘導体を含む)がある。
【0043】
まず積層型の感光層について説明する。電荷発生層に使用する電荷発生材料には、無機系及び有機系どちらの材料も使用できる。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系化合物、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等の有機系材料と、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、アモルファス珪素等の無機系材料とがある。これらの材料の中から1以上の材料を選択して、単独または混合して、電荷発生材料として使用する。
【0044】
この電荷発生材料を、前述したように、環状エーテル化合物と、ケトン系化合物と、芳香族炭化水素化合物と、これらの誘導体から選択された少なくとも1以上の有機溶剤を用いて、溶媒に溶解させたバインダ樹脂とともに、ボールミル、アトライタ、サンドミル等の湿式混合装置により、電荷発生材料とバインダ樹脂とが均一に分散するまで混合する。得られた混合液を電荷発生層用の塗工液として使用し、中間層が形成された導電性支持体に塗工する。塗工方法としては、中間層の場合と同様に、浸漬塗工法、スプレー塗工法、ビード塗工法等を使用することができる。
【0045】
浸漬塗工法は、例えば塗工液の粘度を調節することにより、塗工厚さを設定することが可能であり、装置構成も簡略化され、生産速度を上げることも容易であるため好ましい。しかし、中間層が形成された導電性支持体を塗工液中に一定の時間浸漬するため、前述した環状エーテル化合物等以外の有機溶剤を溶媒として使用している場合には、端面からも溶媒が中間層内部に侵入することになり、中間層が膨潤する可能性が高くなる。したがって、浸漬塗工法を用いた場合に、環状エーテル化合物等を使用することによる、中間層の膨潤を抑制する効果は、一層高くなる。
【0046】
中間層が形成された導電性支持体に電荷発生層用の塗工液を塗工した後、所定の条件で乾燥し、前述した環状エーテル化合物等の有機溶剤を除去して、電荷発生層を形成する。ここで、バインダ樹脂は、前述した有機溶剤に溶解し、成膜性の良好な、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスチレン、ポリアクリルアミド等の樹脂が使用できる。
【0047】
また、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤(粘度調整剤)、酸化防止剤等を添加しても良い。例えば、レベリング剤としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコンオイル類、あるいは側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマー(低分子重合物)が使用できる。その添加量は、バインダ樹脂100重量部に対して、1重量部以下が適当である。また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、イオウ系化合物、リン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、モルホリン誘導体等が使用される。この添加量は、バインダ樹脂100重量部に対して、5重量部以下が適当である。
【0048】
このようにして形成された電荷発生層の膜厚は、0.01μm〜5μm程度が好ましく、さらに望ましくは、0.1μmから2μmである。
【0049】
次に、電荷輸送層用の塗工液の調製について説明する。後述する電荷輸送材料とバインダ樹脂とを、前述した環状エーテル等の有機溶剤に溶解ないし分散し、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加して、電荷輸送層用の塗工液を調製する。
【0050】
電荷輸送材料は、正孔輸送物質と電子輸送物質とを含む。正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチグルタート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサール誘導体、オキサジアール誘導体、イミダール誘導体、モノアールアミン誘導体、ジアールアミン誘導体、トリアールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、その他高分子(ポリマー)化された正孔輸送物質等を使用することができる。
【0051】
一方、電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容物質を使用できる。
【0052】
また、バインダ樹脂としては、前述した有機溶剤に溶解し、成膜性が良好であり、光劣化が小さく、電荷の移動阻害要因となるラジカル等を発生し難い、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂及び各種ポリカーボネート共重合体等の、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を使用できる。
【0053】
電荷輸送材料の量は、バインダ樹脂100重量部に対して、20〜300重量部が好ましく、より望ましくは、40〜150重量部である。
【0054】
これらの材料が分散又は溶解した電荷輸送層用の塗工液を、例えば、浸漬塗工、スプレー塗工、ビード塗工等の塗工方法により、電荷発生層が形成されている導電性支持体に塗工する。所定の条件で、乾燥することにより、前述した有機溶剤を除去し、電荷輸送層被膜を形成する。このようにして形成された電荷輸送層の膜厚は、5μm〜50μm程度が適当である。
【0055】
次に、感光層が単層型の場合について説明する。この場合、少なくとも電荷発生材料と電荷輸送材料とを、バインダ樹脂とともに、環状エーテル化合物と、ケトン系化合物と、芳香族系炭化水素化合物と、これらの誘導体から選択された1以上の有機溶剤に溶解又は、ボールミル等の湿式混合装置を使用して、均一に分散させ、感光層用の塗工液を調製する。ここで、必要に応じて、前述した、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加しても良い。また、バインダ樹脂としては、上記の電荷輸送層用の塗工液と同様の樹脂を使用できる。さらに、電荷発生層に使用したバインダ樹脂と混合して使用することも可能である。
【0056】
このようにして調製された感光層用の塗工液を、例えば、浸漬塗工、スプレー塗工、ビード塗工等の塗工方法により、中間層が形成されている導電性支持体に塗工する。所定の条件で、乾燥することにより、前述した有機溶剤を除去し、感光層被膜を形成する。こうして形成された感光層の膜厚は、5μm〜100μm程度が適当である。
【0057】
以上説明したように、所定の形状を有する導電性支持体上に、0.2μm以下の無機顔料成分を全無機顔料の10%以上、好ましくは25%以上含む中間層と、環状エーテル等の選択された有機溶媒に電荷発生材料と電荷輸送材料とを分散又は溶解させた感光層用の塗工液を使用して、単層または2層構造を有する感光層とを形成して、電子写真感光体を得る。このようにして得られた電子写真感光体は、中間層中の無機顔料粒子と結着剤樹脂との界面に、感光層用の塗工液に含まれる有機溶剤が侵入せず、中間層の膨潤が抑制されているので、繰り返し使用しても、中間層と感光層との密着性は良好に維持され、高い耐久性と感度むらやモアレ等の発生の少ない高品質な画像を提供できる。
【0058】
次に、この電子写真感光体を使用した、本発明の実施の形態にかかる電子写真装置について説明する。
【0059】
図1は、本発明の実施の形態にかかる電子写真装置の構成を示す断面図である。
【0060】
電子写真装置1は、矢印Aの方向に回転するドラム状の電子写真感光体11と、この電子写真感光体11の外周に沿って配置されている、帯電部12と、画像露光部13と、現像部14と、転写部15と、分離爪16と、クリーニング部17と、除電ランプ18とから構成される。
【0061】
帯電部12は、電子写真感光体11の表面を帯電させる帯電チャージャ121から構成される。帯電チャージャ121は、コロトロン、スコロトロン、シールドコロトロン等のコロナ帯電器、あるいは固体帯電器(Solid State Charger)、帯電ローラ等の接触型または非接触型の帯電器から構成される。
【0062】
画像露光部13は、光源として、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)、半導体レーザ、エレクトロルミネッセンス(EL、Electroluminescenece)等の発光体を使用して、帯電が施された電子写真感光体11の表面(感光層)に、露光像を形成する。ここで、所望の波長領域の光を照射するために、シャープカットフィルタ、バンドパスフィルタ、近赤外フィルタ、ダイクロイックフィルタ、干渉フィルタ、色温度変換フィルタ等の各種フィルタを使用することができる。
【0063】
現像部14は、電子写真感光体11の未露光部の表面電位よりも低い所定のバイアス電圧を印加し、露光像が形成された部位にトナーを付着させ、トナー像を形成する反転現像を行う。
【0064】
転写部15は、少なくとも転写チャージャ153と、分離チャージャ154とから構成される。
【0065】
転写チャージャ153は、トナー現像像を転写紙21に転写するために、所定の電位を印加する。分離チャージャ154は、トナー現像像が転写された転写紙21を速やかに電子写真感光体11から分離するために、所定の電位を印加する。
【0066】
転写チャージャ153と、分離チャージャ154とは、帯電チャージャ121で説明した各種の帯電器を使用することができる。
【0067】
分離爪16は、摺動性と表面平滑性とに優れた合成樹脂部材から構成され、分離チャージャ154により、電子写真感光体11から分離された転写紙21を、図示しない定着部へ案内する。
【0068】
クリーニング部17は、クリーニング前チャージャ171と、ファーブラシ172と、クリーニングブラシ173とから構成される。クリーニング前チャージャ171は、トナー現像像の中で、転写紙21に転写されず、電子写真感光体11表面に残存しているトナー粒子を除去しやすいように、所定の電位を印加する。ファーブラシ172と、クリーニングブラシ173とは、適度に帯電したトナー粒子を電子写真感光体11表面から除去する。ファーブラシ172は、起毛された柔らかいローラ状のブラシであり、クリーニングブラシ173は、ブレードに植毛されたブラシである。
【0069】
除電ランプ18は、電子写真感光体11の未露光部の残留電位を除去する。
【0070】
図2は、本発明の別の実施の形態にかかる、ベルト形状の電子写真感光体を使用した電子写真装置の構成を示す断面図である。
【0071】
電子写真装置2は、シームレスベルト状の電子写真感光体31と、この電子写真感光体31を駆動するための1組の駆動ローラ32a、32bと、電子写真感光体31に沿って配置されている、帯電チャージャ33と、画像露光部34と、転写チャージャ35と、クリーニング前露光部36と、クリーニング部37と、除電ランプ38とから構成される。
【0072】
電子写真感光体31は、ベルト形状を有する導電性支持体と、導電性支持体上に形成された中間層と感光層とから構成されている。
【0073】
駆動ローラ32a、32bは、矢印Bの方向に回転し、電子写真感光体31を時計回りに移動させる。
【0074】
帯電チャージャ33は、コロトロン、スコロトロン、シールドコロトロン等のコロナ帯電器、あるいは固体帯電器(Solid State Charger)、帯電ローラ等の接触型または非接触型の帯電器から構成され、電子写真感光体31の表面を所定の電位に帯電させる。
【0075】
画像露光部34は、前述した光源を使用して、帯電が施された電子写真感光体31の表面(感光層)に、露光像を形成する。ここで、所望の波長領域の光を照射するために、前述した各種フィルタを使用することができる。
【0076】
転写チャージャ35は、図示しない現像部で、電子写真感光体31の感光層に形成した静電潜像に対応するように反転現像したトナー現像像を、図示しない転写紙に転写するために、電子写真感光体31と転写紙とが帯電により適度に密着するように、所定の電位を印加する。
【0077】
クリーニング前チャージャ36は、転写紙に転写されず電子写真感光体31表面に残存しているトナー粒子を除去しやすいように、電子写真感光体31に所定の電位を印加する。
【0078】
クリーニング部37は、転写紙に転写されないで残存するトナー粒子を、電子写真感光体31表面から除去する。クリーニング部37は、図示するように、起毛された柔らかいローラ状のブラシであるファーブラシを備えることが好ましい。
【0079】
除電ランプ38は、電子写真感光体31の未露光部の残存電荷を除去する。
【0080】
以下、具体的に本実施の形態の実施例と、比較例とを用いて、さらに詳細に、本発明の実施の形態にかかる電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、この電子写真感光体を使用した電子写真装置及び電子写真プロセス、並びに、電子写真感光体を評価した結果について説明する。
【0081】
(実施例1)
アルキド樹脂ベッコゾール1307−60EL(固形分60重量%、大日本インキ化学製)150重量部と、メラミン樹脂スーパーベッカミンL−121−60(固形分60重量%、大日本インキ化学製)100重量部とを、MEK(メチルエチルケトン)500重量部に溶解する。この溶解液(750重量部)に、酸化チタン粉末CR−EL(石原産業製)570重量部を加え、比重3.5のセラミックス製ボールを分散媒体(メディア)として、ボールミルで50時間混合し、中間層用の塗布液を作成した。
【0082】
この塗布液を、直径30mm×長さ340mmのアルミ製ドラムに塗布し、130℃で20分乾燥し、厚さ2.5μmの中間層を形成した。
【0083】
次に、ブチラール樹脂エスレックBMS(積水化学工業製)5重量部を、シクロヘキサノン150重量部に溶解し、これに下記構造式(1)のトリスアゾ顔料15重量部を加え、ボールミルを使用して、72時間分散した。さらにシクロヘキサノン210重量部を加え、5時間分散を行った。得られた溶液を、さらに適量のシクロヘキサノンで希釈し、固形分が1.0%になるように、電荷発生層用の塗工液を調製した。
【化1】
Figure 0004306989
【0084】
この電荷発生層用の塗工液に、中間層を形成したアルミ製ドラムを浸漬し、該塗工液を塗工した。次いで、120℃で10分間乾燥を行い、中間層上に、厚さ約0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0085】
次に、下記構造式(2)の電荷輸送物質8.5重量部と、ポリカーボネート樹脂パンライトTS2050(帝人化成製)10重量部と、シリコンオイルKF−50(信越化学工業製)0.002重量部とを、テトラヒドロフラン(THF)85重量部に溶解し、電荷輸送層用の塗工液を作成した。
【化2】
Figure 0004306989
【0086】
この電荷輸送層用の塗工液に、電荷発生層を形成したアルミ製ドラムを浸漬し、該塗工液を塗工した。次いで、130℃で20分間乾燥を行い、電荷発生層上に、厚さ25μmの電荷発生層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0087】
ここで、中間層を形成した後、得られた中間層の一部を電子顕微鏡を用いて、1万倍の倍率で、10視野について、中間層に含まれる酸化チタンの粒子径を測定した。粒子径0.2μm以下の酸化チタン粒子は、全チタン粒子の10%であった。
【0088】
(実施例2)
中間層の膜厚を5.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作成した。
【0089】
(実施例3〜6及び比較例1、2)
中間層用塗布液作成時の分散時間、及び中間層の膜厚を下記の表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作成した。また、形成された中間層に含まれる酸化チタンの粒子径についても、実施例1と同様に測定し、0.2μm以下の酸化チタン粒子の含有率を表1に示す。
【表1】
Figure 0004306989
【0090】
(実施例7、8)
実施例3において、中間層を構成する無機顔料として、酸化チタンの代わりに、硫化亜鉛粉末(島久製薬製)とし、実施例7では、中間層の膜厚を2.5μm、実施例8では、中間層の膜厚を5.0μmとし、これ以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0091】
(実施例9)
実施例4において、電荷輸送層用の塗工液を作成するときに使用する溶剤を、THFの代わりに、1,3−ジオキソランとした以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作成した。
【0092】
(実施例10)
実施例4において、電荷輸送層用の塗工液を作成するときに使用する溶剤を、THFの代わりに、キシレンとした以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作成した。
【0093】
(実施例11)
実施例4において、電荷輸送層用の塗工液を作成するときに使用する溶剤を、THFの代わりに、トルエンとした以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作成した。
【0094】
(比較例3)
実施例4において、電荷輸送層用の塗工液を作成するときに使用する溶剤を、THFの代わりに、ハロゲン系有機溶剤であるジクロロメタンとした以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作成した。
【0095】
このようにして得られた電子写真感光体を、電子写真装置(IPSiO NX−700、リコー製)に装着し、初期画像の画質を評価した。その評価結果を下記の表2に示す。なお、使用した電子写真装置は、反転現像方式を採用し、帯電部と、画像露光部と、現像部と、転写部とを具備している。
【表2】
Figure 0004306989
【0096】
さらに、電子写真感光体の耐久性を評価するために、実施例3〜6で得られた電子写真感光体を使用して、20K枚印刷した後の、画質を評価した。その評価結果を下記の表3に示す。
【表3】
Figure 0004306989
【0097】
(実施例12〜14)
メトキシメチル化ポリアミドファインレジンFR−101(鉛市製)55重量部に、メタノール500重量部と、n−ブタノール300重量部とを加えて溶解させた溶液に、さらに酸化チタンTA−300(富士チタン製)275重量部を加え分散液を作成した。この分散液を、それぞれ比重3.5、2.3、6.0のセラミックス製ボールを分散媒体として、ボールミルにより、100時間混合して、中間層用の塗布液を調製した。
【0098】
この塗布液を、直径30mm×長さ340mmのアルミニウム素管に塗布し、135℃で20分乾燥し、厚さ7.0μmの中間層を形成した。
【0099】
次に、A型チタニルフタロシアニン顔料18重量部と、MEK350重量部とを、ガラスポットに入れ、直径2mmのジルコニアビーズを分散媒体として、15時間撹拌混合(ボールミリング)した。得られた分散液に、ポリビニルブチラール樹脂エスレックBX−1(積水化学工業製)10重量部をMEK600重量部に溶解させた樹脂溶液を添加して、さらに2時間撹拌混合して、電荷発生層の塗工液を作成した。
【0100】
この電荷発生層用の塗工液に、中間層を形成したアルミニウム素管を浸漬し、該塗工液を塗工した。次いで、70℃で20分間乾燥を行い、中間層上に、厚さ約0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0101】
次に、上記構造式(2)の電荷輸送物質90重量部と、ポリカーボネート樹脂パンライトL−1250(帝人化成製)100重量部と、シリコンオイルKF−50(信越化学工業製)0.002重量部とを、1,3−ジオキソラン90重量部に溶解し、電荷輸送層用の塗工液を作成した。
【0102】
この電荷輸送層用の塗工液を、電荷発生層を形成したアルミニウム素管に塗工した。次いで、130℃で20分間乾燥を行い、電荷発生層上に、厚さ28μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0103】
ここで、中間層を形成した後、得られた中間層の一部を電子顕微鏡を用いて、1万倍の倍率で、10視野について、中間層に含まれる酸化チタンの粒子径を測定した。また、得られた電子写真感光体を、IMAGIO MF2200(リコー製)に装着し、その初期画像と、50K枚印刷後の画像とについて評価した。これらの評価結果を下記の表4にまとめた。
【表4】
Figure 0004306989
【0104】
本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず、その応用及び変形等は任意である。
例えば、上記実施の形態では、電子写真感光体は、所定の形状を有する導電性支持体と、導電性支持体上に形成された無機顔料粒子を含む中間層と、この中間層上に形成され、電荷発生材料と電荷輸送材料とを含む感光層とから構成されると説明した。
しかし、例えば、紙等の記録媒体との摩擦による感光層の損耗を防止するために、感光層の上に保護層等を別に形成しても良い。例えば、結着剤樹脂中に金属あるいは金属酸化物等の導電性粉末を分散させた被膜として、保護層を形成することができる。ここで、保護層として、感光層の光特性と電気特性とを阻害しないように、可視光及び近赤外領域において、光吸収が小さく、機械特性、表面摩耗特性、感光層との接着性とが良好な結着剤樹脂を使用することが好ましい。
【0105】
上記実施例においては、アルミ製ドラム及びアルミニウム素管を導電性支持体として使用したが、上記実施の形態で説明したように、導電性支持体の材質と形状とは、任意であり、使用する電子写真装置に応じて適宜選択される。例えば、所定の金属部材をシート状に加工したもの、あるいはベルト状のプラスチックシートに金属等の導電性材料を蒸着したもの、さらには、金属部材を、直接鋳造、押し出し、引き抜き等の加工方法により素管化した後、必要に応じて、研磨や表面処理を施したもの等を使用できる。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、高品質で耐久性に優れた、電子写真感光体等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電子写真装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる他の電子写真装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電子写真装置
2 電子写真装置
11 電子写真感光体
12 帯電部
13 画像露光部
14 現像部
15 転写部
16 分離爪
17 クリーニング部
18 除電ランプ
21 転写紙
31 電子写真感光体
32 駆動ローラ
33 帯電チャージャ
34 画像露光部
35 転写チャージャ
36 クリーニング前チャージャ
37 クリーニング部
38 除電ランプ
121 帯電チャージャ
153 転写チャージャ
154 分離チャージャ
171 クリーニング前チャージャ
172 ファーブラシ
173 クリーニングブラシ

Claims (2)

  1. 導電性支持体上に、中間層と光導電層とを順次形成した電子写真感光体であって、
    前記中間層は、少なくとも無機顔料と結着剤樹脂とから構成され、
    前記無機顔料は、0.2μm以下の粒子径から構成される成分を10%以上含み、
    前記光導電層は、前記中間層が形成された導電性支持体に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが有機溶媒中に分散又は溶解した塗工液を塗工し、該有機溶媒を乾燥して除去することにより形成され、
    前記結着剤樹脂は、メラミン樹脂、アルキド樹脂及びポリアミド樹脂のうち少なくともいずれか一つを含む樹脂であり、
    前記有機溶媒は、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びキシレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機溶媒である、
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 少なくとも無機顔料と結着剤樹脂とを所定の溶媒に分散した塗布液を導電性支持体に塗布し、所定の溶媒を乾燥させて除去することにより中間層を形成する中間層形成ステップと、
    前記中間層が形成された導電性支持体に、電荷発生物質と電荷輸送物質とを有機溶媒中に分散又は溶解した塗工液を塗工し、該溶媒を乾燥除去することにより光導電層を形成する光導電層形成ステップと、を備え、
    前記無機顔料は、0.2μm以下の粒子径から構成される成分を10%以上含み、
    前記結着剤樹脂は、メラミン樹脂、アルキド樹脂及びポリアミド樹脂のうち少なくともいずれか一つを含む樹脂であり、
    前記有機溶媒は、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びキシレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機溶媒である、
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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