JP4306384B2 - 芳香族ポリエーテルの製造法 - Google Patents

芳香族ポリエーテルの製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP4306384B2
JP4306384B2 JP2003329439A JP2003329439A JP4306384B2 JP 4306384 B2 JP4306384 B2 JP 4306384B2 JP 2003329439 A JP2003329439 A JP 2003329439A JP 2003329439 A JP2003329439 A JP 2003329439A JP 4306384 B2 JP4306384 B2 JP 4306384B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkali metal
temperature
carbon atoms
group
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003329439A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005097338A (ja
Inventor
一成 岡本
邦久 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2003329439A priority Critical patent/JP4306384B2/ja
Publication of JP2005097338A publication Critical patent/JP2005097338A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4306384B2 publication Critical patent/JP4306384B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyethers (AREA)

Description

本発明は、ビフェノール化合物とジハロゲン化ビフェニル化合物を縮合反応させて芳香族ポリエーテルを製造する方法に関する。
芳香族ポリエーテルは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れた高分子化合物として有用である。このような芳香族ポリエーテルを、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と、非プロトン性極性溶媒の共存下に、ビフェノール化合物(1)とジハロゲン化ビフェニル化合物(2)を縮合反応させて芳香族ポリエーテルを製造する方法が特許文献1に開示されている。
さらに、特許文献2には、(1)2価フェノールとジハロゲノベンゼノイド化合物又は(2)ハロフェノールとアルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩を不活性スルホン溶媒系で反応させる際に、3価の有機リン化合物を存在させて行うことにより耐酸化劣化性が優れ、かつ着色性が改良された芳香族ポリエーテルの製造方法が開示されている。また、特許文献3には、リン化合物の存在下で重合することにより熱安定性が改良されることが開示されている。
特開昭53−97094号公報(実施例) 特公平3−23570号公報(明細書第2頁、実施例) 特開昭64−70530号公報(明細書第2頁、実施例)
しかしながら、特許文献2に記載の3価の有機リン化合物を添加して行う方法は、着色の改良は必ずしも十分ではなく、また特許文献3に記載のリン化合物の存在下で重合する方法も、着色の改良が未だ十分ではないうえに透明性が十分とはいえない。さらに、これら有機リン化合物を添加して芳香族ポリエーテルを製造した場合、製品中に有機リン化合物が残存する可能性が懸念される。
本発明の目的は、有機リン化合物を添加しなくても、着色が少なく、透明性の高い芳香族ポリエーテルが得られる製造法を提供することにある。
このような事情をみて、本発明者らは、このような問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と、非プロトン性極性溶媒の共存下に、下式(1)で示されるビフェノール化合物と下式(2)で示されるジハロゲン化ビフェニル化合物とを縮合反応させて、芳香族ポリエーテルを製造する方法であって、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒としてのジフェニルスルホンに添加した後、重合温度よりも20℃〜60℃低い温度の範囲で2〜10時間保持し、当該保持後の式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.5%以上であり、さらに重合温度まで昇温させ、重合温度に到達した時の下式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.95%以上であることを特徴とする芳香族ポリエーテルの製造法に係るものである。

Figure 0004306384
(式中、Yは、−SO−又は−SO−Ar−SO−で示される2価基を表す。Arは、炭素数6〜24の2価の芳香族基を表す。R 〜R は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)
Figure 0004306384
(式中、Zは、−SO−,−CO−,−SO−Ar−SO−又は−CO−Ar−CO−で示される2価基を表し、Arは、炭素数6〜24の2価の芳香族基を表す。R〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。X及びX’は、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。)
本発明によれば、着色の度合いが僅かな芳香族ポリエーテルを工業的に有利に製造することができる。
式(1)におけるArは、炭素数6〜24の芳香族基を表わし、該芳香族基として、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、クオーターフェニレン、ナフチレン等のアリレン基が挙げられる。
式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。該炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、式(1)における炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
式(1)で示されるビフェノール化合物の中でも好ましくは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン又はビス−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ビフェニル、または該例示化合物の3位、5位、3’位及び5’位から選ばれる少なくとも1つの炭素原子にメチル基が結合したビスフェノールが用いられ、とりわけ4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが好適である。
式(2)におけるArは、炭素数6〜24の2価の芳香族基を表し、該芳香族基として、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、クオーターフェニレン、ナフチレン等のアリレン基が挙げられる。
式(2)におけるR〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。該炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、式(2)における炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
式(2)におけるX及びX’は、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、該ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。好適なハロゲン原子は、フッ素又は塩素である。
式(2)で示されるジハロゲン化ビフェニル化合物の中でも好ましくは、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジフロロベンゾフェノン、またはこれらの例示化合物の3位、5位、3’位及び5’位から選ばれる少なくとも1つの炭素原子にメチル基が結合した化合物、とりわけ、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンが好ましい。
本発明においては、ビフェノール化合物(1)とジハロゲン化ビフェニル化合物(2)を反応させる際に、下式(3)で示されるモノハロゲン化ビフェニル化合物を共存させてもよい。
Figure 0004306384
(式中、Aは−SO−又は−CO−を表し、R17〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。X”はハロゲン原子を表す。)
式(3)におけるR17〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。該炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
式(3)における炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
式(3)におけるX”は、ハロゲン原子を表し、該ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。好適なハロゲン原子は、フッ素又は塩素である。
モノハロゲン化ビフェニル化合物(3)の中でも、4−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノール、4−(4−フロロフェニルスルホニル)フェノール、4−(4−クロロベンゾイル)フェノール、4−ヒドロキシ−4’−(4−クロロフェニルスルホニル)ビフェニル、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)−4’−(4−クロロフェニルスルホニル)ビフェニル等が好ましい。
本発明においては、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と、非プロトン性極性溶媒の共存下に、ビフェノール化合物(1)及びジハロゲン化ビフェニル化合物(2)、更に必要に応じて、モノハロゲン化ビフェニル化合物(3)を縮合反応させて、該縮合反応により脱離したハロゲン化水素と塩基の反応生成物である副生塩と、非プロトン性極性溶媒と、芳香族ポリエーテルとを含む反応混合物を得る。
上記化合物(1)、(2)及び(3)の使用割合は、化合物(1)及び化合物(3)に含まれるフェノール性水酸基の合計1当量に対して、通常は化合物(2)及び化合物(3)に含まれるハロゲン原子の総使用量が0.9〜1.1当量の範囲であり、好ましくは0.98〜1.05当量の範囲である。
具体的に説明すると、例えば、化合物(1)と化合物(2)を脱ハロゲン化水素反応させて芳香族ポリエーテルを製造する場合、化合物(1)の1当量に対して、通常は化合物(2)は、0.9〜1.1当量の範囲で使用し、好ましくは0.98〜1.05当量の範囲で使用する。
本発明において使用するアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。本発明において使用するアルカリ金属の重炭酸塩としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩(以下、総称して、塩基ということがある。)の使用量は、上記化合物(1)、(2)及び(3)における総フェノール性水酸基の1当量に対して、通常は1当量以上であり、好ましくは1.005〜1.25当量程度である。
該塩基の使用量が該フェノール性水酸基の1当量に対して1.25当量以下であると、副反応が低減する傾向にあることから好ましい。また、該塩基の使用量が該フェノール性水酸基の1当量に対して1当量以上であると得られる芳香族ポリエーテルの分子量が増大する傾向にあることから好ましい。
本発明における非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ベンゾフェノン、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルー2−ピロリジノン、N−メチル―ε―カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、ジフェニルスルホン、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルー2−ピロリジノンが好ましく、ジフェニルスルホンがさらに好ましい。
該非プロトン性極性溶媒の使用量としては、4,4’−ビフェノール及び4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホンの合計1重量部に対し、通常、0.1〜10重量部程度、好ましくは0.5〜3重量部程度である。
本発明の芳香族ポリエーテルの製造法においては、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒に添加してなる系を重合温度よりも低い温度から重合温度まで昇温させ、重合温度に到達した時の前記式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.95%以上であることを特徴とする。
本発明における「重合温度に到達した時」とは、本発明の芳香族ポリエーテルの製造における「反応系の最高到達温度よりも3℃低い温度に到達した時」をいう。
本発明の実施態様としては、反応系の最高到達温度を設定し、その最高到達温度よりも3℃低い温度に到達後さらに昇温して最高到達温度に到達後、最高到達温度の状態で一定時間保つこともできるし、または反応系の最高到達温度を設定し、その最高到達温度よりも3℃低い温度に到達後さらに昇温して最高到達温度まで到達させ、直ちに降温させることもできる。
本発明においては、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒に添加する際の添加順序は、特に限定されないが、全ての原料モノマーを非プロトン性極性溶媒に添加して、溶解させ、得られた溶液にアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩を添加することが好ましい。
本発明において、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒に添加するときの温度は、重合温度よりも低い温度であり、非プロトン性極性溶媒としてジフェニルスルホンを用いる場合は通常130〜200℃の範囲であり、好ましくは150〜180℃の範囲である。130℃以上であればジフェニルスルホンはその融点以上で液体となるため取り扱いやすくなり好ましい。非プロトン性極性溶媒として、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルー2−ピロリジノンのような常温で液体である溶媒を用いる場合は常温での添加が可能である。
また、全ての原料モノマーを非プロトン性極性溶媒に溶解させるときの温度は、重合温度よりも低い温度であり、通常130〜200℃の範囲であり、好ましくは150〜180℃の範囲である。溶解の完了は、溶液の透明性を調べることで確認できる。当該溶解に要する時間は、原料の種類等によるが、通常0.5〜20時間であり、0.5〜8時間が好ましい。
本発明において、非プロトン性極性溶媒としてジフェニルスルホンを使用する場合の重合温度は、通常は260〜320℃の範囲であり、好ましくは270〜290℃の範囲である。重合温度が260℃以上であると、得られる芳香族ポリエーテルの分子量が増大する傾向にあることから好ましく、320℃以下であると着色が低減される傾向にあることから好ましい。
また、非プロトン性極性溶媒として、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドを使用する場合の重合温度は、通常は180〜240℃の範囲であり、N,N−ジメチルアセトアミドの場合は、通常は130〜180℃の範囲であり、N−メチルー2−ピロリジノンの場合は、通常は150〜200℃の範囲である。
重合反応に要する時間は、上記化合物(1)、(2)及び(3)の種類、反応形式や反応温度等により異なるが、通常は1〜24時間程度であり、好ましくは1〜12時間程度である。ここで、本発明における重合反応に要する時間とは、反応系が最高到達温度より3℃低い温度から最高到達温度までの温度範囲にある時間をいう。
本発明においては、重合温度に到達した時の前記式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.95%以上であると、着色が少なく、透明性の高い芳香族ポリエステルが得られるので好ましい。
本発明における上記化合物(1)の反応率とは、反応前における化合物(1)の分子数に対する、反応後における化合物(1)の少なくとも一方のフェノール性水酸基が反応してフェノラート基又はエーテル結合に変換された分子数の比率を表す。
本発明における重合反応は、通常は、芳香族ポリエーテルを含む反応混合物を冷却することにより停止することができる。また、芳香族ポリエーテルの末端フェノキサイドを不活性化させる目的で、ハロゲン化物等を添加して重合反応を停止させてもよい。
上記のハロゲン化物としては、メチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド等の脂肪族ハロゲン化物;4−クロロジフェニルスルホン、4−フロロジフェニルスルホン、4−クロロベンゾフェノン、4−フロロベンゾフェノン、4,4’−ジフロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフロロベンゾフェノン、p−クロロニトロベンゼン等の芳香族ハロゲン化物等が挙げられる。
本発明においては、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒に添加した後、重合温度(最高到達温度−3℃)よりも20℃〜60℃低い温度の範囲で2〜10時間保持することが、着色度合いの僅かな芳香族ポリエーテルが得られるので好ましい。
この保持する温度が当該下限以上であると、上記化合物(1)の反応率が向上することから好ましく、当該上限以下であると未反応の上記化合物(1)の分解が抑制されることから好ましい。
また、保持する時間は、通常2時間〜10時間であり、好ましくは2〜6時間である。保持時間が2時間以上であると上記化合物(1)の反応率が向上することから好ましく、10時間以下であると反応時間が短いことから好ましい。
本発明において、非プロトン性極性溶媒としてジフェニルスルホンを使用する場合の保持する温度は、通常は220〜280℃の範囲であり、好ましくは240〜260℃の範囲である。
また、非プロトン性極性溶媒として、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドを使用する場合の保持する温度は、通常は140〜200℃の範囲であり、N,N−ジメチルアセトアミドの場合は、通常は90〜140℃の範囲であり、N−メチルー2−ピロリジノンの場合は、通常は110〜160℃の範囲である。
さらに、当該保持後の式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.5%以上であることが好ましい。
本発明の製造法は、上記化合物(1)、(2)及び(3)の混合時や重合時等に、不活性ガス気流下で実施することが望ましい。これにより、上記の化合物(1)、(2)及び(3)や、重合反応の生成物である芳香族ポリエーテルの酸化による着色をさらに軽減することができる。
前記のように、芳香族ポリエーテルが生成するが、反応後の反応混合物から芳香族ポリエーテルを得るには、例えば反応後の反応混合物を固化し、粉末としたのち、溶媒で洗浄すればよい。反応後の反応混合物を固化するには、冷却すればよく、室温程度まで冷却することで固化することができる。固化した反応混合物を粉末とするには、反応混合物を粉砕すればよい。
該洗浄溶媒としては、芳香族ポリエーテルを溶解することなく、非プロトン性極性溶媒及びアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩を溶解し得る溶媒が用いられ、例えば水や、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール及びこれらの混合溶媒などを用いることができる。
本発明の製造法で得られた芳香族ポリエーテルは、必要に応じて乾燥することにより、透明性の優れた樹脂とすることができる。
また、本発明の製造法で得られた芳香族ポリエーテルは、射出成形機や押出成形機等により、所望の成形品を得ることができる。
成形機で成形する際には、ミルドガラスファイバー、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維;無機充填剤;シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等の反応性カップリング剤;高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の潤滑剤;フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;核剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、着色防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、潤滑剤及び難燃剤などを添加してもよい。
ただし、ガラス代替材料等の透明性を求められる用途には、ガラス繊維、無機充填剤、着色剤等の透明性を低下させる添加剤を使用しないことが好ましい。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
以下、実施例等によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)分子量
芳香族ポリエーテルの分子量は、還元粘度を測定することによって求めた。還元粘度の値が大きいほど、高分子量であることを示す。
実施例及び比較例中の還元粘度(RV)は、次式により定義される。
RV=[1/C]×[(t−t )/t
t:重合体溶液の流出時間(秒)
:純溶媒の流出時間(秒)
C:重合体の溶液の濃度(g/100ml溶媒で表示)
粘度の測定は、オストワルド型粘度管を使用して、25℃で行った。粘度測定のための重合体溶液の濃度は、N,N−ジメチルホルムアミド(試薬特級)溶液中1.0g/100mlとした。
(2)透過率(着色度)の測定
芳香族ポリエーテル6.0gに対して、N,N−ジメチルホルムアミド(試薬特級)100mlの割合で溶解し、日本ウオーターズ社製のWTPS Verified Filter(0.45μm)で濾過した。続いて、得られた濾液を光路長10cmのガラスセルに入れ、島津製作所製の分光光度計UV−2400PCにより、400nmにおける光線透過率(%)を求めた。
透過率が大きいほど、その波長における着色度が小さく、透明性に優れることを表す。
(3)ビスフェノール化合物の反応率の分析
ビスフェノール化合物の反応率は縮合反応混合物中に残存するビスフェノール化合物を定量することにより求めた。定量分析は縮合反応混合物を下記手順で前処理した試料を高速液体クロマトグラフ法にて測定した。
(前処理)
約1.5gの縮合反応混合物に、10mlの4−ブチロラクトン−トルエン混合溶媒(体積比1:1)を加えて攪拌した後、濾過により無機塩やフェノラート等の不溶物を除去した。濾液を攪拌している30mlのメタノール中に滴下し、高分子量物を沈殿させ濾過により除去した。濾液にメタノールを加え正しく50mlの試料溶液とした。
(高速液体クロマトグラフ法による測定)
装置;東ソー SC8020,CCPP−M,AS8020,MX8020
カラム;YMC AQ−312、150mm×6mmφ
溶出条件;アセトニトリル−水、(アセトニトリル濃度)50%/0min⇒50%/20min⇒100%/35min⇒100%/50min
注入量;5μL
検出;UV−8020、254nm
実施例1
攪拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた反応容器中に、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン100.11重量部、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン119.92重量部及びジフェニルスルホン196重量部を仕込み、容器内を窒素雰囲気に置換した後、さらに窒素を容器内に流通させながら、170℃まで昇温してモノマーを溶解させた。次いで、無水炭酸カリウムを57.5重量部添加した。その後、250℃まで3時間かけて昇温して、同温度で4時間保持した。この時の4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの反応率は、99.8%だった。その後、280℃まで1.5時間かけて昇温した。重合温度(最高温度−3℃)である280℃に到達した時の4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの反応率は、99.98%だった。さらに、280℃〜283℃(最高温度)の温度範囲で4.5時間重合させた。
重合反応終了後、反応液を室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した。得られた芳香族ポリエーテル、塩基とハロゲン化水素の中和反応により生成した副生塩、及びジフェニルスルホンの粉末状混合物を温水で洗浄して、上記の副生塩を除去した。次に、副生塩を除去した後の混合物をアセトン/メタノール混合液で抽出して回収ジフェニルスルホンを得た。
アセトン/メタノール混合液で抽出した後の残分を150℃に加熱し、還元粘度が0.36dl/gである芳香族ポリエーテルを得た。
この芳香族ポリエーテルの400nmにおける光線透過率は、52%であった。
比較例1
昇温途中に250℃での温度保持をしなかった以外は実施例1と同様にして、還元粘度が0.35dl/gである芳香族ポリエーテルを得た。4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの反応率は、250℃において98.2%、重合温度(最高温度−3℃)である280℃到達時において99.88%だった。
この芳香族ポリエーテルの400nmにおける光線透過率は、38%であった。
本発明の芳香族ポリエーテルは、透明性、耐熱性、耐衝撃性などに優れるので、食器もしくはトレイ、配管の継ぎ手、光学フィルム又は電子機器部品などに好適に用いられる。

Claims (3)

  1. アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と、非プロトン性極性溶媒の共存下に、下式(1)で示されるビフェノール化合物と下式(2)で示されるジハロゲン化ビフェニル化合物とを縮合反応させて、芳香族ポリエーテルを製造する方法であって、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩と全ての原料モノマーとを、非プロトン性極性溶媒としてのジフェニルスルホンに添加した後、重合温度よりも20℃〜60℃低い温度の範囲で2〜10時間保持し、当該保持後の式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.5%以上であり、さらに重合温度まで昇温させ、重合温度に到達した時の下式(1)で示されるビフェノール化合物の反応率が99.95%以上であることを特徴とする芳香族ポリエーテルの製造法。

    Figure 0004306384

    (式中、Yは、−SO−又は−SO−Ar−SO−で示される2価基を表す。Arは、炭素数6〜24の2価の芳香族基を表す。R1 〜R8 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)
    Figure 0004306384

    (式中、Zは、−SO−,−CO−,−SO−Ar−SO−又は−CO−Ar−CO−で示される2価基を表し、Arは、炭素数6〜24の2価の芳香族基を表す。R9〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。X及びX'は、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。)
  2. 式(1)で示されるビフェノール化合物が4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンであり、式(2)で示されるジハロゲン化ビフェニル化合物が4,4'−ジクロロジフェニルスルホンである請求項1に記載の製造法。
  3. アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウムであり、アルカリ金属重炭酸塩が重炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸カリウムである請求項1又は2に記載の製造法。
JP2003329439A 2003-09-22 2003-09-22 芳香族ポリエーテルの製造法 Expired - Fee Related JP4306384B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003329439A JP4306384B2 (ja) 2003-09-22 2003-09-22 芳香族ポリエーテルの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003329439A JP4306384B2 (ja) 2003-09-22 2003-09-22 芳香族ポリエーテルの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005097338A JP2005097338A (ja) 2005-04-14
JP4306384B2 true JP4306384B2 (ja) 2009-07-29

Family

ID=34458677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003329439A Expired - Fee Related JP4306384B2 (ja) 2003-09-22 2003-09-22 芳香族ポリエーテルの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4306384B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6321754B2 (ja) * 2016-10-26 2018-05-09 住友化学株式会社 芳香族ポリスルホンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005097338A (ja) 2005-04-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4842434B2 (ja) 改良されたポリ(ビフェニルエーテルスルホン)
SG194798A1 (en) Polymers with reduced estrogenic activity
US4954604A (en) Process for the production of aromatic polyether ketones
JPS62116628A (ja) アルカリ若しくはアルカリ土類金属塩の存在でのポリ(アリ−ルエ−テルケトン)の製造
JP4306384B2 (ja) 芳香族ポリエーテルの製造法
US4113699A (en) Production of aromatic polymers
JP6172586B2 (ja) 芳香族ポリスルホン樹脂及びその製造方法
JPS627730A (ja) 結晶性芳香族ポリエ−テルケトンの製造方法
JP3694983B2 (ja) 芳香族ポリエーテルの製造方法
JP2790217B2 (ja) 芳香族ポリチオエーテルスルホンの製造方法
JP2003138009A (ja) 芳香族ポリエーテルの製造方法
JP2004315764A (ja) 芳香族ポリエーテルの製造法
JP3694978B2 (ja) 芳香族ポリエーテルの製造方法
JPH02117921A (ja) 新規芳香族ポリエーテルスルホン共重合体及びその製造方法
JPH0323570B2 (ja)
JP2812942B2 (ja) 芳香族ポリエーテルおよびその製造方法
GB1569602A (en) Production of aromatic polymers
JPH02173120A (ja) 芳香族ポリエーテルケトンの製造方法
JP2013253211A (ja) 芳香族ポリエーテルの製造方法
JPH04234429A (ja) 可溶性または溶融可能なベンゾチアゾール含有ポリアリールエーテル、ビスフェノールおよび新規重合体の製造法
JPS62195020A (ja) 芳香族ポリエ−テルの製造方法
JP2005146196A (ja) 芳香族ポリエーテルの製造方法
JPH1030022A (ja) 芳香族ポリエーテルの製造方法
JPH01204928A (ja) 芳香族ポリエーテルの製法
JP4806841B2 (ja) 酸および有機溶媒を用いた芳香族ポリエーテルの洗浄方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060724

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080401

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080513

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090414

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090427

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120515

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120515

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130515

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140515

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees