JP4305148B2 - Sar画像超解像装置 - Google Patents

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Description

この発明は、SAR(Synthetic Aperture Radar)画像に信号処理を施して、電波画像の解像度を向上させる超解像法の高速化手法を導入したSAR画像超解像装置に関するものである。
本発明で対象とする超解像法は、信号処理を利用して、電波画像の解像度を向上させる方法であり、例えばリモートセンシングや電波到来方向推定等において用いられている。
以下では、説明を容易にするため、超解像法の1つであるMUSIC(Multiple Signal Classification)を、SAR画像に適用して、解像度を向上させる例で説明する。
MUSICを利用した超解像処理では、解像度を向上させる対象の画像から任意の部分を切り出して処理を実行可能である。この超解像処理の計算量は、入力画像(処理対象の画像領域)のサイズに比例(レンジ方向のみを拡張する事例では画像サイズNの3乗に比例)する。このため、与えられた入力画像を分割して実行する処理方法が、高速化の1候補として容易に考えられる。
このような従来の技術として、特開平11−14443号公報“モード固有値計測方法”がある。この従来技術は、海洋中の音波伝搬特性を計算する音波伝搬シミュレーション方法に用いられ、雑音成分の影響を軽減したモード固有値計測方法を提供するものであり、MUSICを用いている。ここでは、雑音成分の影響低減のために、画像領域を分割して実行し、その結果を合成している(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−14443号公報(段落0018、図3)
電波画像の超解像処理では、処理対象の画像を分割して超解像処理を実行した場合に、分割された処理領域の両端で、散乱点の情報が消える、散乱点のパワー(画像上の明るさ)が低下するといった画質の劣化が起こる。そのため、例えば、単純に画像を複数の処理領域に分割し、その処理結果を合成すると、超解像処理結果に画質が劣化している部分を含んでしまう課題がある。
また、電波画像の超解像処理では、同じ部分の超解像処理であっても、処理を実行する範囲を変えた場合に処理結果が変わるため、分割した画像を単純に合成すると、実際の数よりも多い散乱点が現れる、散乱点が消えるといった現象が起きる可能性があるという課題がある。
以上の課題に対して、従来技術は、音波を対象としたMUSICの適用において有効なのであり、本発明で対象とする電波画像を対象とした超解像処理の高速化には適用できない。また、この従来例での画像分割の基準は、雑音成分の低減であり、処理時間の短縮(高速化)に対する記述はない。この他、超解像処理の特性を考慮して分割による処理結果画像の品質を補正するような記述もない。
電波画像の超解像処理に対して、処理の特性を考慮して画像を分割して処理を高速化するような従来例はない。
本発明は、上記の様な課題を解消するためになされたものであり、画質が劣化する範囲を考慮して、入力画像を複数の処理領域に分割し、劣化範囲を含まないように処理領域での超解像結果を合成することで、分割した処理領域の両端での画質の劣化を回避できるSAR画像超解像装置を得ることを目的とする。
また、本発明は、要求仕様としての処理時間を基準に画像の分割方法を決定することで、要求仕様に対して適切な処理時間で超解像処理を実行できるSAR画像超解像装置を得ることを目的とする。
さらにまた、本発明では、画像を分割して超解像処理を実行した画像を合成する時に、合成による散乱点の消失や多重検出を改善できるSAR画像超解像装置を得ることを目的とする。
この発明に関わるSAR画像超解像装置は、画像を分割して超解像処理を実行した時の超解像処理にかかる実行時間の予測と、処理領域の両端で発生し得る画質の劣化の範囲から、画質が劣化しないように、かつ、要求された時間内で処理を終了するように入力画像を複数の処理領域に分割して超解像処理を行うことができるようにしたものである。また、分割した画像を合成する時に、合成位置の近傍に重複した範囲を設け、重複範囲での散乱点の相関を考慮して画像を合成できるようにしたものである。
この発明に関わるSAR画像超解像装置は、画像を適切なサイズに分割して高速に超解像処理を実行でき、かつ、画像の分割により処理領域の両端での画質が劣化する可能性がある部分を用いずに、各処理領域での超解像結果を合成することができる。また、画像を合成する際に生じ得る散乱点の消失や多重検出の問題を改善し、超解像画像を出力することができる。
このため、高速化と品質の両方を満たすことができるSAR超解像画像処理装置を得られる効果がある。
以下、この発明の実施の形態に従って、図1を参照しながら説明する。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
図1は、この発明の実施の形態1によるSAR画像超解像装置1を示す構成図である。
図2は、この実施の形態1によるSAR画像超解像装置1のフローチャート図である。
図3は、分割実行領域決定部2のフローチャート図である。
図1において、分割実行領域決定部2は、実行時間予測部3で予測した超解像処理の実行時間および劣化範囲計算部4で特定した画質の劣化の範囲を考慮し、画質が劣化しないように画像を複数の処理領域に分割する。実行時間予測部3は、入力画像を分割してMUSICを適用するときに、入力画像を分割するサイズ(以降、画像分割サイズという)と解像度を向上させる割合によって実行時間がどのように変化するかという情報を予め保持しており、この情報をもとに入力条件に対して、画像の分割範囲のサイズに対しての実行時間を予測する。劣化範囲計算部4は、処理領域の両端で発生する画質の劣化の範囲を特定する。
ここでは、処理範囲の画像サイズと処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)から、画像が劣化する範囲を特定できる。超解像処理部5は、分割実行領域決定部2で分割した処理領域ごとに超解像処理を実行する。分割領域合成部6は、超解像処理部5から得られた各処理領域での超解像結果を、画質が劣化する可能性がある範囲を用いずに合成し、超解像画像を出力する。
まず、図2を使って、SAR画像超解像装置1の動作を説明する。
STEP1で、超解像処理対象の入力画像データ(ここでは、SAR再生済画像。入力画像サイズの情報も含む。)および要求時間(要求仕様としての超解像処理に対する目標実行時間)および処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)が、分割実行領域決定部2に送られる。
次に、STEP2で、分割実行領域決定部2は、実行時間予測部3および劣化範囲計算部4から得られた情報を考慮して、要求時間内で超解像処理が行われるように、画像を複数の処理領域に分割する。この分割範囲を算出する時には、分割領域での画質の劣化範囲が重ならないように分割領域を決定するとともに、分割領域を合成する位置(合成位置)の情報も算出し、保持しておく。この分割領域の算出終了後に、分割実行領域決定部2は、超解像処理部5に入力画像データと、分割領域の情報を渡す(STEP3へ進む)。
STEP3では、超解像処理部5が、分割実行領域決定部2から得た入力画像データと分割処理領域の情報から、入力画像に対して分割処理領域ごとに超解像処理を行い、分割領域合成部6に各処理領域ごとの超解像処理結果を渡す(STEP4へ進む)。
STEP4では、分割領域合成部6が、超解像処理部5から得た各処理領域での超解像結果を、分割実行領域決定部2で保持する合成位置の情報を参照して合成し、超解像画像として生成する(STEP5)。
次に、図3を使って、分割実行領域決定部2の動作について説明する。
STEP2−1で、分割実行領域決定部2は、入力画像サイズの情報と、要求時間(要求仕様としての超解像処理に対する目標実行時間)と、処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)を実行時間予測部3に送る。
超解像処理の実行時間は、処理対象の画像サイズに比例する。ここでは、画像データに含まれる散乱点数による影響も受けるが、画像サイズと解像度を向上させる割合がわかれば、処理時間を一定の精度で予測できる。実行時間予測部3は、いくつかの画像サイズ、解像度を向上させる割合で処理を実行した時の計測結果や、画像サイズによりどのように処理時間が変動するかという情報(例、3乗に比例するなど)を保持しており、これらの情報から画像サイズ別の実行時間を予測する。
分割実行領域決定部2から入力画像サイズと要求時間を送られた実行時間予測部3は、要求時間を満足する範囲で利用可能な画像分割サイズとその実行時間のペアを、予め保持している情報を用いて判断し、候補となる画像分割サイズとその実行時間のペアを分割実行領域決定部2に出力する。
次に、STEP2−2で、分割実行領域決定部2は、画像分割サイズと処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)を劣化範囲計算部4に送る。
画質の劣化範囲は、解像度を向上させる割合と画像分割サイズと観測条件により決定
される。そこで、劣化範囲計算部4は、処理領域の両端で発生する画質の劣化の範囲を特定するため、処理領域のサイズ(分割画像サイズ)と処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)によって画質の劣化範囲がどのように変化するかという情報を予め保持している。分割実行領域決定部2から分割画像サイズと処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)を送られた劣化範囲計算部4は、処理領域の両端で画質が劣化する範囲を、予め保持している情報を用いて特定し、結果を分割実行領域決定部2に出力する(STEP2−3へ進む)。
STEP2−3で、分割実行領域決定部2は、実行時間予測部3で予測した超解像処理の実行時間および劣化範囲計算部4で特定した画質の劣化の範囲を考慮し、要求時間内で超解像処理が行われるように、かつ、画質が劣化しないように画像を複数の処理領域に分割する。このとき、分割領域での画質の劣化範囲が重ならないように、分割領域を合成する位置(合成位置)の情報を算出し、保持しておく。内部で合成位置の情報を保持して、分割実行領域決定部2は、超解像処理部5に入力画像データと、分割領域の情報を渡す。
分割実行領域決定部2の分割方法の1例を示す。この例では、可能な限り大きな処理領域を確保するように画像を分割するケースを考える。
まず、超解像処理対象の入力画像データ(ここでは、SAR再生済画像。入力画像サイズの情報も含む)および要求時間(要求仕様としての超解像処理に対する目標実行時間)および処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)が、分割実行領域決定部2に送られる。
分割実行領域決定部2は、入力画像サイズの情報と、要求時間(要求仕様としての超解像処理に対する目標実行時間)と、処理パラメータを実行時間予測部3に送る。
実行時間予測部3は、入力画像を分割して超解像処理を適用するときに、入力画像を分割するサイズ(画像分割サイズ)と解像度を向上させる割合によって実行時間がどのように変化するかという情報を予め保持している。図4に、実行時間予測部3が予め保持している情報の一例を表で示す。この例では、図4に示すように、画像分割サイズがA、B、C、Dで、解像度を向上させる割合(倍率)が元画像の2倍、3倍、4倍、5倍(以下、それぞれ、割合2、3、4、5という)である場合の超解像処理の実行時間を保持しているとする。ここで、画像分割サイズは、A<B<C<Dであるとする。解像度を向上させる割合が同じであれば、画像分割サイズが大きいほうが実行時間を要することになる。予め保持している情報のうち、入力画像サイズよりも大きな画像分割サイズに関するものは考慮する必要がない。この例では、入力画像サイズが画像分割サイズA、B、C、Dよりも大きいとする。
ここでは、解像度を向上させる割合が4である場合を考える。このとき、検討の対象となる実行時間は、TA4、TB4、TC4、TD4である。TA4<TB4<TC4<TD4であり、これらの実行時間のうち、画像分割サイズがDである場合の実行時間TD4のみが要求時間を超えてしまい、その他の画像分割サイズA、B、Cの実行時間TA4、TB4、TC4は要求時間内におさまるとする。このとき、実行時間予測部3は、要求時間を満足する範囲で利用可能な画像分割サイズとその実行時間のペアを分割実行領域決定部2に出力する。すなわち、画像分割サイズと実行時間のペアを(画像分割サイズ、実行時間)と表すとすると、(A、TA4)、(B、TB4)、(C、TC4)が出力される。
次に、分割実行領域決定部2は、画像分割サイズと処理パラメータを劣化範囲計算部4に送る。劣化範囲計算部4に送られる画像分割サイズは、実行時間予測部3で選択された、要求時間を満たす画像分割サイズであり、ここでは、A、B、Cである。
劣化範囲計算部4は、処理領域の両端で発生する画質の劣化の範囲を特定するため、処理領域のサイズ(画像分割サイズ)と処理パラメータによって画質の劣化範囲がどのように変化するかという情報を予め保持している。図5に、劣化範囲計算部4が予め保持している情報の一例を表で示す。この例では、図5に示すように、画像分割サイズがA、B、C、Dで、解像度を向上させる割合が2、3、4、5の場合の劣化範囲を保持しているとする。
分割実行領域決定部2から分割画像サイズと処理パラメータを送られた劣化範囲計算部4は、候補である画像分割サイズA、B、Cについて、解像度を向上させる割合が4の場合に、処理領域の両端で画質が劣化する範囲を特定し、結果を分割実行領域決定部2に出力する。すなわち、画像分割サイズA、B、Cに対して、それぞれ劣化範囲RA3、RB3、RC3を分割実行領域決定部2に送る。
前述のように、この例では、可能な限り大きな処理領域を優先して選択するようにした。このため、分割実行領域決定部2は、実行時間予測部3で予測した超解像処理の実行時間((A、TA4)、(B、TB4)、(C、TC4))および劣化範囲計算部4で特定した画質の劣化の範囲(RA4、RB4、RC4)を考慮し、要求時間内で超解像処理が行われるように、かつ、画質が劣化しないように分割方法を検討する。この結果、画像分割サイズC単位で処理を実行していくこととして、最終的な分割法(処理領域の割り当て)を決定していく。画像分割サイズCでの画質が劣化する範囲はRC4、実行時間はTC4である。
図6を使って、画像のサイズがXである入力画像での分割範囲の決定法を示す。ここでは、前記と同様に可能な限り大きな処理領域を優先して選択する例で説明する。画像分割サイズD以上を選択すると要求時間を満たせないため、まず、画像分割サイズC単位を優先して割り当てていく。ここでは、要求時間を満たす限り、画像分割サイズC単位で処理領域を割り当てていくが、もし、実行時間が要求時間を超えてしまう場合には、それよりも画像サイズの小さい画像分割サイズAや画像分割サイズBを用いて実行時間が要求時間を超えないように処理領域を割り当てていく。
この例では、入力画像の両端では、劣化範囲を考慮しない例で説明する。このため、入力画像の左端を含む分割実行範囲1では、左端の劣化範囲を考慮しない。同様に、分割した領域が入力画像の右端を含む場合も、分割した領域の右端に劣化範囲を考慮しない。
まず、図6のように、画像サイズがCである分割実行範囲1を設定する。次に、画質が劣化する範囲を考慮して、分割実行範囲1と分割実行範囲2の領域の一部が重なるように、画像を分割する。
すなわち、分割実行範囲1を、合成位置1を挟んで左側に画像が劣化しない部分、右側に劣化範囲計算部4で特定した画像が劣化する部分となるように設定し、さらに、分割実行範囲2の左側の画質が劣化する部分が、合成位置1の左側に位置し、その他の部分が合成位置1の右側に位置するように設定する。このとき、分割実行範囲2の画像分割サイズは、分割実行範囲1と分割実行範囲2の実行時間と残りの処理領域を実行するのに最低限かかる実行時間(最小の領域で劣化範囲を含まずに割り当てた時間)の総和が、要求時間を超えない範囲で決定する。ここでは、分割実行範囲2の画像分割サイズがCを選択しても要求時間を満たすので、画像分割サイズとしてCを選択するとする。
同様にして、要求時間を満たすように分割実行範囲3の画像分割サイズを選択する。ここでは、画像分割サイズCを選択しても要求時間を満たすので、画像分割サイズとしてCを選択するとする。そして、分割実行範囲2の右側の画質が劣化する部分が、合成位置2の右側に位置し、その他の部分が合成位置2の左側に位置するように設定する。さらに、分割実行範囲3の左側の画質が劣化する部分が、合成位置2の左側に位置し、その他の部分が合成位置2の右側に位置するように順次設定していく。ここで、要求時間が満たせない場合には、分割実行範囲2や分割実行範囲3のサイズが画像分割サイズBや画像分割サイズAとなる。
このように、画像サイズがXである入力画像を、要求時間を満たすように画像分割サイズを決定して分割していくのであるが、図6の分割実行範囲3の右側に生じた領域において、分割実行範囲4を設ける際に、この画像のサイズをCと選択しても要求時間を満たすが、これまでの分割実行範囲1と分割実行範囲2のように処理領域を割り当てた方法では、画像の端にぴったりと一致しない場合には、次のようにする。分割実行範囲4の右端を入力画像の右端とぴったり一致させる。次に、合成位置3を、分割実行範囲3と分割実行範囲4の両方で、画質が劣化しない適当な位置へ設定する。
分割実行範囲1と分割実行範囲2では、それぞれの領域の画質が劣化しない部分と劣化する部分の境界を合成位置としていたが、分割実行範囲3と分割実行範囲4では、それぞれの領域の画質が劣化しない部分に合成位置を設定することになる。この例では、分割実行範囲3と分割実行範囲4の領域の画質が劣化しない部分と劣化する部分の境界から同じ距離にある位置を合成位置3とすることにする。ここで、分割実行範囲3の、合成位置3を挟んで右側を画像の合成に用いない部分、左側を画像の合成に用いる部分と考え、また、分割実行範囲4の、合成位置3を挟んで左側を画像の合成に用いない部分、右側を画像の合成に用いる部分と考える。以上のような処理によって、全ての領域で、画質が劣化する範囲を用いることのないように、画像を分割することができる。
超解像処理部5は、分割実行領域決定部2から得た入力画像と分割処理領域の情報から、入力画像に対して分割処理領域ごとに超解像処理を行い、分割領域合成部6に各処理領域での超解像処理結果を渡す。
ここでの超解像法は、すでに知られているいくつかの電波画像に対する超解像法をもとに実装することが可能である。この超解像処理部5の具体的な実装方法の1例としては、特開平2001−116838号公報の装置へ、各分割処理領域を順次渡していくことができる装置として実現することが考えられる。
次に、分割領域合成部6の動作について説明する。
分割領域合成部6は、分割実行領域決定部2で保持する合成位置情報を参照して、超解像処理部5から得られた各処理領域での超解像結果を合成し、超解像画像を出力する。
図6を使って、分割領域合成部6の合成方法の1例を示す。
ここでは、分割実行領域決定部2で、画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2と分割実行範囲3と分割実行範囲4の4つの処理領域に分割し、超解像処理部5で、この4つの分割実行範囲に対してそれぞれ超解像処理を行い、分割領域合成部6に各処理領域での超解像処理結果が渡されたとする。
分割領域合成部6は、分割実行領域決定部2で保持する合成位置情報を参照して、超解像処理部5から得られた超解像結果を、合成位置を基準に合成して、超解像画像を出力する。すなわち、合成した結果の超解像画像に画質が劣化する範囲を含まないように、分割実行した結果を合成する。例えば、分割実行範囲1の合成位置1から左側の部分と、分割実行範囲2の合成位置1から右側の画質が劣化しない部分を用いて、合成し、結果を出力する。
本装置の効果を、画像のサイズがXである入力画像に超解像処理を行う場合で示す。まず、図7のように、画像を単純に分割して超解像処理を行う場合を考える。入力画像の両端から等距離の位置に合成位置を設定し、この合成位置を挟んで左側が分割実行範囲1、右側が分割実行範囲2となるように単純に画像を分割して超解像処理を実行する。このとき、合成位置の近傍の領域で画質の劣化が生じる。したがって、合成位置で分割実行範囲1と分割実行範囲2での超解像処理結果を合成して超解像画像を生成すると、最終的に得られる超解像画像に画質が劣化する部分を含んでしまうことになる。
図8は、本装置で画像を分割して超解像処理を行った例である。分割実行範囲1を、合成位置を挟んで左側に画像が劣化しない部分、右側に画像が劣化する部分となるように設定し、さらに、分割実行範囲2の左側の画質が劣化する部分が、合成位置の左側に位置し、その他の部分が合成位置の右側に位置するように設定する。これにより、画像を分割して超解像処理を実行することによって画像の劣化は生じるが、画質が劣化する範囲を用いずに画像の合成処理を行うことができる。すなわち、合成位置の左側にある分割実行範囲1の画質が劣化していない超解像結果と、右側にある分割実行範囲2の画質が劣化していない超解像結果を合成して超解像画像を生成することにより、図7のように超解像処理結果に画質が劣化する部分を含んでしまうというこれまでの課題を解決することができる。
この実施の形態1によれば、画質が劣化する範囲を考慮して、与えられた入力画像を複数の処理領域に分割し、劣化範囲を含まないように処理像領域での超解像結果を合成することで、分割した領域の両端での画質の劣化を回避できる効果を奏する。
また、与えられた入力画像(処理対象の画像領域)を分割して実行することで、処理を高速化でき、要求仕様としての処理時間を基準に画像の分割方法を決定することで、要求仕様に対して適切な処理時間で超解像処理を実行できる効果を奏する。
この実施の形態1では、MUSIC超解像処理を例に説明したが、解像度を向上させる対象の画像から任意の部分を切り出して処理を実行可能で、かつ、画像を分割して実行することで処理を高速化できるが、処理結果の画像の品質が影響を受ける、電波画像の超解像処理でも本装置を使用可能であり、同様の効果を得ることができる。
この実施の形態1では、分割実行領域決定部9の分割領域を決定するSTEP2−3において、可能な限り大きな画像分割サイズの領域を用いて画像を分割するようにしたが、この領域のサイズは、要求時間を満たす範囲で任意のサイズを選択することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
例えば、画像分割サイズを、内部で実行するFFTなどの処理を高速化できる2のN乗のサイズの領域を選択することも可能であり、実施の形態1と同様の効果を発することができる。また、一定の大きさを保った上で処理時間を最短とするような選択も可能であり、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
この実施の形態1では、各処理領域の画質が劣化しない部分と劣化する部分の境界が合成位置となるように画像を分割したが、合成位置は、画質が劣化する範囲を合成処理に用いないように画像を分割することができる範囲で任意の位置に設定可能であり、同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態1では、合成する2つの領域の画質が劣化しない部分と劣化する部分の境界から同じ距離にある位置を合成位置3としたが、合成位置は、2つの領域がともに劣化しない任意の場所を選択可能であり、同様の効果を得ることができる。
この実施の形態1では、画像を分割する際に、入力画像の両端については、劣化範囲を考慮しない例で説明したが、超解像処理の入力画像は、より大きなサイズのSAR画像から解像度を向上させたい部分を抜き出して指定されることが多い。
このため、入力画像の両端を広げて、少し大きなサイズを切り出せるケースが多い。このような場合には、解像度を向上させようとする画像領域の両端に、画質が劣化する範囲の大きさを加えたものを入力画像とすることにより、入力画像の両端に対して劣化範囲を考慮することが可能である。
このように、入力画像の両端の劣化範囲を考慮するようにしても実施の形態1同様の効果を得ることができる。この場合には、入力画像の両端における画質の劣化についても改善できる効果がある。
実施の形態2.
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
図9は、この発明の実施の形態2によるSAR画像超解像装置を示す構成図である。
図10は、この実施の形態2によるSAR画像超解像装置のフローチャート図である。
図11は、重複型分割実行領域決定部9のフローチャート図である。
図12は、重複型分割領域合成部11のフローチャート図である。
図9において、重複型分割実行領域決定部9は、実行時間予測部3で予測した超解像処理の実行時間および劣化範囲計算部4で特定した画質の劣化の範囲および重複範囲計算部10で特定した画像を重複させる大きさを考慮し、画質が劣化しない範囲で重複した合成用の処理領域(重複領域)を設けるように画像を複数の処理領域に分割できる。重複範囲計算部10は、画像を領域が重なるように複数の処理領域に分割する際に、画像を重複させる大きさを特定できる。
ここでは、画像分割サイズと処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)から、合成用の処理領域の大きさを計算できる。重複型分割領域合成部11は、超解像処理部5から得られた各処理領域での超解像結果を、重複領域での散乱点数は同じと仮定して、処理結果を合成し、画像を合成する際に生じ得る散乱点の消失や多重検出の問題を改善し、超解像画像を出力できる。
まず、図10を使って、SAR画像超解像装置1の動作を説明する。
この実施の形態2のSTEP1は、データの送り先が分割実行領域決定部2から重複型分割実行領域決定部9に変更されたことを除いて、実施の形態1のSTEP1の動作と同じであるので、説明を省略する。
STEP2−Aで、重複型分割実行領域決定部9は、実行時間予測部3および劣化範囲計算部4および重複範囲計算部10から得られた情報を考慮して、要求時間内で超解像処理が行われるように、画像を複数の処理領域に分割する。この分割範囲を算出する時には、分割領域での画質の劣化範囲が重ならないように分割領域を決定するとともに、分割領域を合成する位置(合成位置)の情報も算出し、保持しておく。この分割領域の算出終了後に、重複型分割実行領域決定部9は、超解像処理部5に入力画像データと、分割領域の情報を渡す(STEP3へ進む)。
この実施の形態2のSTEP3は、データの入手先が分割実行領域決定部2から重複型分割実行領域決定部9に、データの送り先が分割領域合成部6から重複型分割領域合成部11に変更されたことを除いて、実施の形態1のSTEP3の動作と同じであるので、説明を省略する。
STEP4−Aでは、重複型分割領域合成部11が、超解像処理部5から得た各処理領域での超解像結果を、重複型分割実行領域決定部9で保持する合成位置の情報を参照してSTEP4−A−1〜STEP4−A−7の手順で合成し、超解像画像として出力する。
次に、図11を使って重複型分割実行領域決定部9の動作について説明する。
この実施の形態2のSTEP2−A−1は、実施の形態1のSTEP2−1の動作と同じであるので、説明を省略する。また、この実施の形態2のSTEP2−A−2は、実施の形態1のSTEP2−2の動作と同じであるので、説明を省略する。
STEP2−A−3で、重複型分割実行領域決定部9は、画像分割サイズと処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)を重複範囲計算部10に送る。
画像を領域が重なるように分割する際に、領域を重複させる大きさは、解像度を向上させる割合と画像分割サイズと観測条件により決定
される。そこで、重複範囲計算部10は、処理領域のサイズ(分割画像サイズ)と処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)によって領域を重複させる最適な大きさがどのように変化するかという情報を予め保持している。重複型分割実行領域決定部9から分割画像サイズと処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)を送られた重複範囲計算部10は、画像を複数の処理領域に分割する際に設ける合成用の処理領域の大きさを決定するための基準となる範囲を、予め保持している情報を用いて計算し、結果を重複型分割実行領域決定部9に出力する(STEP2−A−4へ進む)。
STEP2−A−4で、重複型分割実行領域決定部9は、実行時間予測部3で予測した超解像処理の実行時間および劣化範囲計算部4で特定した画質の劣化の範囲および重複範囲計算部10で計算した重複する領域の大きさを考慮し、要求時間内で超解像処理が行われるように、かつ、画質が劣化しないように画像を複数の処理領域に分割する。このとき、分割領域での画質の劣化範囲が重ならないように、分割領域を合成する位置(合成位置)の情報を算出し、保持しておく。内部で合成位置の情報を保持して、重複型分割実行領域決定部9は、超解像処理部5に入力画像データと、分割領域の情報を渡す。
重複方分割実行領域決定部9の分割方法の1例を示す.
ここでは、説明を容易にするために、超解像処理対象の入力画像データ(ここでは、SAR再生済画像。入力画像サイズの情報も含む)および要求時間(要求仕様としての超解像処理に対する目標実行時間)および処理パラメータ(解像度を向上させる割合や入力画像の観測条件など)が、実施の形態1で示した例と同じであるとする。
また、この実施の形態2の実行時間予測部3および劣化範囲計算部4が、実施の形態1で示した例と同様に、それぞれ図4と図5に示した情報を保持しており、重複型分割実行領域決定部9が、実行時間予測部3および劣化範囲計算部4から実施の形態1の分割実行領域決定部2と同じ情報を得たとして説明を進める。
重複型分割実行領域決定部9は、画像分割サイズと処理パラメータを重複範囲計算部10に送る。重複範囲計算部10に送られる画像分割サイズは、実行時間予測部3で選択された、要求時間を満たす画像分割サイズであり、ここでは、A、B、Cである。
重複範囲計算部10は、画像を複数の処理領域に分割する際に設ける合成用の処理領域の大きさを決定するための基準となる範囲を計算するため、処理領域のサイズ(画像分割サイズ)と処理パラメータによって最適な合成用の処理領域の大きさがどのように変化するかという情報を予め保持している。この情報は、超解像アルゴリズムが過去に実行した結果等から入手しておく。図13は、重複範囲計算部10が予め保持している情報の一例を表で示す。この例では、図13に示すように、画像分割サイズがA、B、C、Dで、解像度を向上させる割合が2、3、4、5の場合の重複する領域の大きさを保持しているとする。
重複型分割実行領域決定部9から分割画像サイズと処理パラメータを送られた重複範囲計算部10は、候補である画像分割サイズA、B、Cについて、解像度を向上させる割合が4の場合に、最適な重複領域(合成用の処理領域)の大きさを計算し、結果を重複型分割実行領域決定部9に出力する。すなわち、画像分割サイズA、B、Cに対して、それぞれ重複領域サイズOA4、OB4、OC4を重複型分割実行領域決定部9に送る。
重複型分割実行領域決定部9は、実行時間予測部3で予測した超解像処理の実行時間((A、TA4)、(B、TB4)、(C、TC4))および劣化範囲計算部4で特定した画質の劣化の範囲(RA4、RB4、RC4)および重複範囲計算部10で計算した画像を重複させる大きさ(OA4、OB4、OC4)を考慮し、要求時間内で超解像処理が行われるように、かつ、画質が劣化しないように分割方法を検討する。
図14を使って、画像のサイズがXである入力画像での分割範囲の決定法を示す。ここでは、実施の形態1と同様に、より大きな処理領域を優先して選択する例で説明する。この例では、入力画像の両端では、劣化範囲を考慮しない例で説明する。このため、入力画像の左端を含む分割実行範囲1では、左端の劣化範囲を考慮しない。同様に、分割した領域が入力画像の右端を含む場合も、分割した領域の右端に劣化範囲を考慮しない。
まず、実施の形態1と同様に、画像分割サイズがCである分割実行範囲1と分割実行範囲2の画像分割サイズを決定していく。ここでは、実行時間から、実施の形態1と同様に分割実行範囲1と分割実行範囲2で画像分割サイズCが選択されたとする。
このあとの分割実行範囲の重ね方が実施の形態1と異なっている。実施の形態2では、重複領域どうしが重なるように、分割実行範囲1と分割実行範囲2を重ねる。重複領域は、分割実行範囲1または分割実行範囲2において、画質の劣化しない範囲の任意の位置とすることができる。この例では、画像の左端から、大きい処理領域を割り当てていく例で説明しているので、実行時間の効率も考慮して画像を分割する。すなわち、分割実行範囲2の左側の劣化範囲に隣接するように、重複領域を設けたのち、分割実行範囲1と分割実行範囲2の重複領域を重ねる。ここでは、分割実行範囲1と分割実行範囲2の画像分割サイズはCであるため、重複領域の大きさは同じくOC4である。
もし、分割実行範囲1と分割実行範囲2の画像分割サイズが異なり、重複させる領域のサイズが異なる場合は、決定された重複させる領域のサイズが大きいほうのサイズで重複領域を設け、画像を重複させる。重複領域の左端を合成位置1、右端を合成位置2とする。合成位置1と合成位置2の間の領域で、分割実行範囲1と分割実行範囲2の画質が劣化しない領域が重なる。
このように、画像サイズがXである入力画像を、要求時間を満たすように画像分割サイズを決定して順次分割していくのであるが、図14の分割実行範囲3の右側に生じた領域において、分割実行範囲4を設ける際に、この画像のサイズをCと選択しても要求時間を満たすが、これまでの分割実行範囲1と分割実行範囲2のように処理領域を割り当てた方法では、画像の端にぴったりと一致しない場合には、次のようにする。まず、分割実行範囲4の右端を入力画像の右端とぴったり一致させる。
次に、分割実行範囲3の右側の劣化範囲に隣接するように、重複領域を設ける。重複領域の左端を合成位置5、右端を合成位置6とし、分割実行範囲4においても、合成位置5と合成位置6に含まれる領域を画質が劣化しない範囲で重複した合成用の処理領域(重複領域)と考える。また、分割実行範囲3と分割実行範囲4は、分割実行範囲4の画質が劣化しない部分と劣化する部分の境界と合成位置5間でも画質が劣化しない部分が重なるが、分割実行範囲4の対応する部分を合成に用いない範囲と考えることとする。
なお、分割実行範囲4についても、分割実行範囲2、分割実行範囲3と同様に、要求時間を満たせない時には、画像分割サイズBか画像分割サイズAにする。
以上のような処理によって、全ての領域で、画質が劣化する範囲を用いることのないように、画像を分割することができる。
次に、図12を用いて重複型分割領域合成部11の動作を説明する。
まず、STEP4−A−1で、超解像処理部5から、分割した処理領域での超解像結果が重複型分割領域合成部11に送られる。また、重複型分割実行領域決定部9から、分割領域を合成する位置(合成位置)の情報が重複型分割領域合成部11に送られる。
重複型分割領域合成部11では、重複領域(画質が劣化しない範囲で重複した合成用の処理領域)と非重複領域で異なる合成処理を行う。そのため、まず、STEP4−A−2で超解像処理結果の領域を、重複領域と非重複領域に分類する。そして、重複領域の場合はSTEP4−A−3へ、非重複領域の場合はSTEP4−A−6へ進む。
重複領域の場合は、STEP4−A−3で、重複領域での散乱点の数が等しい場合と異なる場合に分類する。等しい場合はSTEP4−A−4へ、異なる場合はSTEP4−A−5へ進む。
STEP4−A−4では、重複領域でかつ散乱点の数が等しい場合の合成処理を行う。
STEP4−A−5では、重複領域でかつ散乱点の数が異なる場合の合成処理を行う。
STEP4−A−6では、非重複領域に対する合成処理を行う。この領域においては、処理結果をそのまま最終的な処理結果としてそのまま採用する。
STEP4−A−7では、全ての領域に対して合成処理が終了したかを判定し、終了していなければSTEP4−A−2〜STEP4−A−6の処理を繰り返す。
重複型分割領域合成部11の処理の一例を説明する。
重複型分割領域合成部11では、重複領域(画質が劣化しない範囲で重複した合成用の処理領域)と非重複領域で異なる合成処理を行う。また、重複領域の場合に、重複領域での散乱点の数が等しい場合と異なる場合によって異なる。そのため、それぞれの場合に対する処理に分けて説明する。
まず、重複領域でかつ散乱点の数が等しい場合のSTEP4−A−4での合成方法の1例を示す。
図15のように、処理対象画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2に分割して超解像処理を実行し、超解像結果を重複領域で合成する例で説明する。ここでは、各重複領域の散乱点の数が等しく、分割実行範囲1の重複領域では散乱点Aと散乱点Bと散乱点Cが検出され、分割実行領域2の重複領域では散乱点Dと散乱点Eと散乱点Fが算出されたとする。
このとき、まず、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点E、散乱点Cと散乱点Fを順に対応付ける。すなわち、これらが同一の散乱点と仮定する。
次に、対応する散乱点の位置および振幅をそれぞれ平均して散乱点を算出し、得られた散乱点を最終的な重複合成領域での散乱点として出力する。すなわち、散乱点Aと散乱点Dの情報から1つの散乱点Gを算出し、散乱点Bと散乱点Eの情報から1つの散乱点Hを算出し、散乱点Cと散乱点Fの情報から1つの散乱点Iを算出する。最終的に、3つの散乱点G、H、Iが算出される。
次に、重複領域でかつ散乱点の数が異なる場合のSTEP4−A−5での合成方法の1例を示す。ここでは、散乱点数が多いほうが正解に近いと仮定する例で説明する。図16のように、処理対象画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2に分割して超解像処理を実行し、超解像結果を重複領域で合成する例で説明する。ここでは、各重複領域の散乱点の数が異なり、分割実行範囲1には散乱点Aと散乱点Bと散乱点Cが算出され、分割実行領域2には散乱点Dと散乱点Eが算出されたとする。
このとき、分割実行領域1で検出された散乱点の数は3つ、分割実行領域2で検出された散乱点の数は2つである。よって、散乱点の数が多く検出された分割実行領域1の結果を、最終的な重複合成領域での散乱点として出力する。すなわち、最終的に、3つの散乱点A、B、Cが出力される。
次に、STEP4−A−6での非重複領域に対する合成処理であるが、この領域においては、処理結果をそのまま採用する。
この装置の効果を説明するため、課題となる例に本装置を適用した例を示す。
例えば、図17のように、本来1つの散乱点が検出されるべき画像を分割して超解像処理を行う場合を考える。この例では、与えられた処理対象画像を分割せずに超解像処理を実行すると、要求された時間内で処理を終了することができないため、処理対象画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2に分割して超解像処理を実行し、超解像結果を重複領域で合成する例で説明する。超解像処理では、センサの分解能以上の解像度を実現するため、様々な推定法か拡張法を用いる。
このため、画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2の2つの領域に分割して超解像処理を実行した場合、同じ散乱点がお互いに同じ位置に検出される保証はない。例えば、図17のように画質が劣化しない範囲で重複した合成用の処理領域(重複領域)を設けるように画像を複数の処理領域に分割したとする。ここで、分割実行範囲1で、本来検出される位置よりも左側に検出され、分割実行範囲2で、本来検出される位置よりも右側に検出されることもある。この場合に、重複領域で分割実行範囲1と分割実行範囲2で検出された散乱点を単純に足し合わせると、2つの散乱点が検出される結果となり、多重検出の問題が生じる。
これに対し、図18に示すように、この実施の形態2では、分割実行範囲1と分割実行範囲2で検出された散乱点が同一のものであるとして、2つの散乱点の位置とピークを平均し、1つの散乱点を結果として算出するので、検出される散乱点は1つとなり、得られる超解像画像に多重検出の問題は生じない。このように、重複領域において分割して超解像処理を行った画像を合成する時に、合成による散乱点の消失や多重検出を改善することができる。
この実施の形態2によれば、画像を領域が重なるように複数の処理領域に分割し、各処理領域での超解像結果を、散乱点の消失や多重検出の問題が生じないように合成するように構成したので、画像を合成する際に生じ得る散乱点の消失や多重検出の問題を改善し、超解像画像を出力できる効果を奏する。
この実施の形態2では、図14の分割実行範囲3と分割実行範囲4を重複させて分割した例のように、重複領域を画質が劣化する範囲(劣化範囲)に隣接するように設けたが、重複領域は、重複させる2つの画像の画質が劣化しない範囲内であれば、任意の位置に設定可能である。
この実施の形態2では、重複領域を重複範囲計算手段で決定した大きさで設けるようにしたが、この大きさはある画像サイズに対して必要最小限重複させなければならない領域の大きさであるので、よりも大きい重複領域を設けるように画像を重複させて分割することも可能であり、同様の効果を得ることができる。
この実施の形態2では、各重複領域を構成する分割実行範囲の数が2つとなるように画像を分割した例で説明したが、3つ以上の分割実行範囲を用いて各重複領域を構成するように画像を複数の処理領域に分割するようにしてもよい。この時には、重複領域で散乱点の数が違う時に、多数決をとって散乱点の個数を決定するような実装も可能となる。ただし、要求時間を満たす範囲で領域の大きさを選択し、劣化範囲を含まないよう画像を分割しなければならないことは同様である。
この実施の形態2では、重複型分割領域合成部11の重複領域でかつ散乱点の数が等しい場合の処理STEP4−A−4において、対応する散乱点の位置および振幅をそれぞれ平均して散乱点を算出したが、対応する散乱点うち、ピークの大きい散乱点を最終的な重複合成領域での散乱点として出力するようにしても同様の効果を得ることができる。
図19のように、処理対象画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2に分割して超解像処理を実行し、超解像結果を重複領域で合成する例で説明する。ここでは、各重複領域の散乱点の数が等しいと仮定し、分割実行範囲1には散乱点Aと散乱点Bと散乱点Cが算出され、分割実行領域2には散乱点Dと散乱点Eと散乱点Fが算出されたとする。
まず、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点E、散乱点Cと散乱点Fを対応する候補として選択する。次に、対応する散乱点うち、ピークの大きい散乱点を最終的な重複合成領域での散乱点として出力する。すなわち、散乱点のピークに関して、散乱点A>散乱点D、散乱点B>散乱点E、散乱点C<散乱点Fであるとすると、最終的に、3つの散乱点A、B、Fを散乱点として出力する。
この実施の形態2では、重複型分割領域合成部11の重複領域でかつ散乱点の数が異なる場合の処理STEP4−A−5において、対応する散乱点の位置および振幅をそれぞれ平均して散乱点を算出したが、検出された散乱点が少ない領域の処理結果を選択するようにしても同様の効果を得ることができる。
図20のように、分割実行範囲1と分割実行範囲2があり、これを重複領域で合成する例で説明する。ここでは、各重複領域の散乱点の数が異なると仮定し、分割実行範囲1には散乱点Aと散乱点Bと散乱点Cが検出され、分割実行領域2には散乱点Dと散乱点Eが検出されたとする。
このとき、分割実行範囲1で検出された散乱点の数は3つ、分割実行範囲2で検出された散乱点の数は2つである。よって、検出された散乱点の数が少ない分割実行領域2の結果を、最終的な重複合成領域での散乱点として出力する。すなわち、最終的に、2つの散乱点D、Eが検出される。
この実施の形態2では、重複型分割領域合成部11により最終的な重複領域の散乱点を算出する際に、各重複領域で検出された散乱点の全てを合成処理に用いる候補として扱ったが、合成処理を行う前に、各重複領域で得られた散乱点から、散乱点の振幅がある基準よりも大きいもののみを候補として挙げるような処理を追加することによっても、同様の効果を得ることができる。
図21のように、分割実行範囲1と分割実行範囲2があり、これを重複領域で合成する例で説明する。ここでは、分割実行範囲1には散乱点Aと散乱点Bと散乱点Cが検出され、分割実行領域2には散乱点Dと散乱点Eと散乱点Fが検出されたとする。
このとき、ピーク(散乱点の振幅)に対してある基準値を設ける。この基準値よりも大きい散乱点が、散乱点A、散乱点C、散乱点D、散乱点Fであるとする。
このとき、散乱点A、散乱点C、散乱点D、散乱点Fを候補として考え、合成処理を行い、超解像画像を得る。
実施の形態3。
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
図22は、この発明の実施の形態3によるSAR画像超解像装置を示す構成図である。
図23は、この実施の形態3によるSAR画像超解像装置のフローチャート図である。
図24は、相関型分割領域合成部12のフローチャート図である。
図22において、相関型分割領域合成部12は、超解像処理部5から得られた各処理領域での超解像結果を、重複領域での散乱点同士の相関関係を利用して処理結果を合成し、画像を合成する際に生じ得る散乱点の消失や多重検出の問題を改善し、超解像画像を出力できる。
まず、図23を使って、SAR画像超解像装置1の動作を説明する。
この実施の形態3のSTEP1は、実施の形態2のSTEP1の動作と同じであるので、説明を省略する。
この実施の形態3のSTEP2−Aは、実施の形態2のSTEP2−Aの動作と同じであるので、説明を省略する。
この実施の形態3のSTEP3は、実施の形態1のSTEP3の動作と同じであるので、説明を省略する。
STEP4−Bでは、相関型分割領域合成部12が、超解像処理部5から得た各処理領域での超解像結果を、重複領域での散乱点数どうしの相関関係を利用して処理結果を合成し、超解像画像として出力する。
次に、図24を使って、相関型分割領域合成部12の動作について説明する。
まず、STEP4−B−1で、超解像処理部5から、分割した処理領域での超解像結果が相関型分割領域合成部12に送られる。また、重複型分割実行領域決定部9から、分割領域を合成する位置(合成位置)の情報が相関型分割領域合成部12に送られる。
STEP4−B−2で、超解像処理結果の領域を、重複領域と非重複領域に分類する。そして、重複領域の場合はSTEP4−B−3へ、非重複領域の場合はSTEP4−B−7へ進む。
重複領域の場合は、まず、STEP4−B−3で、各重複領域(画質が劣化しない範囲で重複した合成用の処理領域)の散乱点の対応関係の候補を列挙する。
次に、STEP4−B−4で、対応する散乱点どうしの距離や一致度合いから、各候補に信頼度を設定する。
次に、STEP4−B−5で、もっとも信頼度が高い対応関係の候補を選択する。
次に、STEP4−B−6で、選択した候補の散乱点から最終的な重複領域での散乱点を算出し、出力する。
非重複領域の場合の処理STEP4−B−7は、実施の形態2のSTEP4−A−6の動作と同じであるので、説明を省略する。
STEP4−B−8では、全ての領域に対して合成処理が終了したかを判定し、終了していなければ処理を繰り返す。
相関型分割領域合成部12の処理の一例を説明する。
図25に示すように、処理対象画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2に分割して超解像処理を実行し、超解像結果を重複領域で合成する例で説明する。ここで、分割実行範囲1および分割実行範囲2ともに3つの散乱点が検出されたとする。図25に示すように、分割実行範囲1の散乱点をA、B、C、そして、分割実行範囲2の散乱点をD、E、Fとする。
まず、各重複領域の散乱点の対応関係の候補を列挙する。この例では、散乱点Aと散乱点D、散乱点Aと散乱点E、散乱点Aと散乱点F、散乱点Bと散乱点D、散乱点Bと散乱点E、散乱点Bと散乱点F、散乱点Cと散乱点D、散乱点Cと散乱点E、散乱点Cと散乱点F、の9とおりの組み合わせが考えられる。
次に、対応する散乱点どうしの距離や一致度合いから、各候補に信頼度を設定する。この例では、対応する散乱点の間で、ピークの大きさの差と画像上の距離の差に反比例した値を信頼度として算出する。信頼度を式で表すと、信頼度=1/(画像上の距離の差×ピークの大きさの差)となる。全ての対応関係に対して信頼度を算出し、図25に示すような判定行列を作る。判定行列は、行と列に各分割実行範囲で算出された散乱点をそれぞれ列挙し、全ての対応関係に対して信頼度が与えられたものである。
次に、判定行列から、起こり得る全ての対応関係の組み合わせに対して相関行列を作る。すなわち、各行、各列それぞれ高々1個の信頼度を選択する。選択されなかった対応関係には0を設定する。例えば、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点E、散乱点Cと散乱点Fが対応する場合や、散乱点Aと散乱点F、散乱点Bと散乱点E、散乱点Cと散乱点Dが対応する場合など、全ての対応関係の組み合わせに対して相関行列を作る。相関行列の行と列は判定行列と同じである。
次に、起こり得る全ての対応関係の組み合わせに対して作った相関行列の、値が0以外の信頼度を足しあわせ評価値とする。そして、この評価値が最も大きい対応関係の組み合わせを選択する。ここでは、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点E、散乱点Cと散乱点Fが選択されたとする。
評価値が最も大きい対応関係の組み合わせを選択したのち、対応する散乱点の位置と振幅をそれぞれ平均し、最終的な散乱点を算出する。すなわち、散乱点Aと散乱点Dから散乱点Gを、散乱点Bと散乱点Eから散乱点Hを、散乱点Cと散乱点Fから散乱点Iを算出し、最終的な結果として出力する。
この装置の効果を説明するため、課題となる例に装置を適用した例を示す。
重複領域において本来3つの散乱点が検出されるべき画像を分割して超解像処理を行う場合を考える。ここでは、処理対象画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2に分割して超解像処理を実行し、超解像結果を重複領域で合成する例で説明する。画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2の2つの領域に分割して超解像処理を実行した場合、同じ散乱点がお互いに同じ位置に検出される保証はなく、例えば図26に示すように、分割実行範囲1および分割実行範囲2で、ともに3つの散乱点が異なる位置で検出されることもある。図26に示すように、分割実行範囲1で算出された散乱点をA、B、C、そして、分割実行範囲2で算出された散乱点をD、E、Fとする。この例では、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点E、散乱点Cと散乱点Fが対応づけられた場合が正解であるとする。
合成位置1と合成位置2の間には、散乱点Bと散乱点Cと散乱点Dと散乱点Eと散乱点Fが含まれ、散乱点Aは含まれない。この場合に、散乱点を順に対応付けると、散乱点Bと散乱点D、散乱点Cと散乱点Eが対応付けられることもある。この場合は、始めに仮定した正解が得られない。
これに対し、実施の形態3では、起こり得る全ての対応関係の組み合わせの中から、評価値が最も大きい対応関係の組み合わせを選択するようにしたので、散乱点Bと散乱点E、散乱点Cと散乱点Fを正しく対応付けることができる。
この実施の形態3によれば、超解像処理部から得られた処理像領域での超解像結果を、重複領域での散乱点同士の相関関係を利用して処理結果を合成し、超解像画像を出力できるように構成したので、画像を合成する際に生じ得る散乱点の消失や多重検出の問題を改善し、超解像画像を出力できる効果を奏する。
この実施の形態3では、相関型分割領域合成部12の重複領域でかつ散乱点の数が異なる場合の処理STEP4−B−6において、対応する散乱点の位置および振幅をそれぞれ平均して散乱点を算出したが、対応する散乱点のうち、ピークの大きいほうの散乱点を最終的な結果として選択するようにしても同様の効果を得ることができる。
この実施の形態3では、相関型分割領域合成部12の重複領域でかつ散乱点の数が異なる場合の処理STEP4−B−6において、対応する散乱点の位置および振幅をそれぞれ平均して散乱点を算出したが、対応する散乱点のうち、ピークの小さいほうの散乱点を最終的な結果として選択するようにしても同様の効果を得ることができる。
この実施の形態3では、相関型分割領域合成部12の最も信頼度が高い対応関係の候補を選択する処理STEP4−B−5において、ある基準で閾値を設け、算出した信頼度が閾値を超えない場合には、これらの散乱点を用いて最終的な重複領域の散乱点を算出しないようにしても同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
図27は、この発明の実施の形態4によるSAR画像超解像装置を示す構成図である。
図28は、この実施の形態4によるSAR画像超解像装置のフローチャート図である。
図29は、可変型分割領域合成部13のフローチャート図である。
図27において、可変型分割領域合成部13は、超解像処理部5から得られた各処理領域での超解像結果を考慮して、画像の合成に用いる領域(重複領域)を変化させながら画像を合成し、画像を合成する際に生じ得る散乱点の消失や多重検出の問題を改善し、超解像画像を出力できる。
まず、図28を使って、SAR画像超解像装置1の動作を説明する。
この実施の形態4のSTEP1は、実施の形態3のSTEP1の動作と同じであるので、説明を省略する。
この実施の形態4のSTEP2−Aは、実施の形態3のSTEP2−Aの動作と同じであるので、説明を省略する。
この実施の形態4のSTEP3は、データの送り先が相関型分割領域合成部12から可変型分割領域合成部13に変更されたことを除いて、実施の形態3のSTEP3の動作と同じであるので、説明を省略する。
STEP4−Cでは、可変型分割領域合成部13が、超解像処理部5から得た各処理領域での超解像結果を、重複型分割実行領域決定部9で保持する合成位置の情報を参照して、超解像結果を考慮して重複領域(画像の合成に用いる領域)を変化させながら画像を合成し、超解像画像として出力する。
次に、図29を用いて可変型分割領域合成部13の動作を説明する。
可変型分割領域合成部13は、図29に示すように、実施の形態3の相関型分割領域合成部12に、超解像結果から合成に用いる重複領域を決定する処理STEP4−C−2を追加したものである。STEP4−C−2以外の処理は実施の形態3の相関型分割領域合成部12と同じであるので、ここでは、説明を簡単にするため、STEP4−C−2についてのみ説明する。
STEP4−C−2では、超解像処理部5から得た、分割した処理領域での超解像結果を考慮して、動的重複領域(実施の形態4での重複領域を他の実施の形態と区別するため、以後動的重複領域とする)を変化可能な範囲(可変重複範囲)で決定する。ここで、可変重複範囲は、実施の形態2において、重複範囲計算部10で重複領域の大きさとして算出されたサイズの領域である。
その後の処理は実施の形態3と同じである。
可変型分割領域合成部13の処理の一例を説明する。
図30に示すように、超解像処理対象の画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2の2つの領域に分割して処理を行った場合を考える。ここでは、各可変重複領域の散乱点の数が異なると仮定し、分割実行範囲1の可変重複範囲には散乱点Aと散乱点Bが検出され、分割実行領域2の可変重複範囲には散乱点Cと散乱点Dと散乱点Eが検出されたとする。この時、2つの可変重複領域には、散乱点Aと散乱点Bと散乱点Cと散乱点Dと散乱点Eがある。
まず、超解像処理部5から得た、分割した処理領域での超解像結果を考慮して、動的重複領域を変化可能な範囲(可変重複範囲)で最適な位置を決定する。
例えば、比較的散乱点同士の距離が近い散乱点Aと散乱点Bと散乱点Dと散乱点Eを含むように動的重複領域を決定し、次に分割実行範囲2の散乱点Cを含むように動的重複領域を変化させるかどうかを考える。この場合、分割実行範囲1で算出された全ての散乱点はすでに全てが画像の合成に用いられることが決定されており、分割実行範囲2においても同じ数の散乱点が合成に用いられることになっている。また、他の4つの散乱点が比較的近くにあるのに対して散乱点Cだけはある程度離れている。以上のことを考慮して、散乱点Cを含まないように動的合成位置を決定する。
図30のように動的重複領域が決定されたとする。動的重複領域には、散乱点Aと散乱点Bと散乱点Dと散乱点Eが含まれる。
次に、決定した動的重複領域をもとに、画像の合成を行うための準備を行う。まず、分割実行範囲1の、動的重複領域よりも右側にある領域を、画像の合成に用いないこととする。また、分割実行範囲2の、動的重複領域よりも左側にある領域を、画像の合成に用いないこととする。これにより、動的重複領域と非重複領域が定義される。
次に、実施の形態3で示した合成処理方法を用いて、動的重複領域では相関を利用して画像を合成し、非重複領域は超解像処理結果をそのまま採用する。また、動的重複領域よりも右側にある非重複領域においては、分割実行範囲2の超解像処理結果が利用される。重複領域においては、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点Eが対応するとしてそれぞれの位置と振幅を平均して新しい散乱点Fと散乱点Gが算出される。
この装置の効果を説明するため、課題となる例に装置を適用した例を示す。
図31のように、処理対象画像を分割実行範囲1と分割実行範囲2に分割して超解像処理を実行し、超解像結果を重複領域で合成する例で説明する。ここで、分割実行範囲1の可変重複範囲では散乱点Aと散乱点Bと散乱点Cが算出され、分割実行範囲2の可変重複範囲には散乱点Dと散乱点Eが算出されたとする。この例では、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点Eが対応づけられた場合が正解であるとする。
まず、画像を合成する範囲を適当に決定する場合の1例を示す。例えば、図31のような重複領域(固定)で画像の合成を行う場合も考えられる。この場合、合成処理に用いられる散乱点は、分割実行範囲1では散乱点Bと散乱点C、分割実行範囲2では散乱点Dと散乱点Eである。そのため、この領域で合成処理を行った場合、散乱点Bと散乱点D、および散乱点Cと散乱点Eが誤って対応付けられることも起こり得る。このとき、合成処理により得られる超解像画像には、散乱点Aと、散乱点Bと散乱点Dの位置と振幅を平均して算出された散乱点と、散乱点Cと散乱点Eの位置と振幅を平均して算出された散乱点の3つが得られてしまう。
これに対し、本装置では、画像の合成に用いる領域(重複領域)を変化せることができる。すなわち、各処理領域での超解像結果を考慮して、画像を合成するのに最適な範囲が、図32のような動的重複領域であることを決定する。この場合、散乱点Aと散乱点D、散乱点Bと散乱点Eを同一の散乱点として正しく対応付けることができる。このように、重複領域において分割実行した画像を合成する時に、画像を合成するのに最適な範囲を決定できる。
この実施の形態4によれば、超解像処理部から得られた処理像領域での超解像結果を考慮して、画像を合成するのに最適な範囲を決定できるように構成したので、画像を合成する際に生じ得る散乱点の消失や多重検出の問題を改善し、超解像画像を出力できる効果を奏する。
この実施の形態4では、実施の形態3における相関型分割領域合成部12の処理にSTEP4−C−2の処理を追加した例で説明したが、実施の形態2における重複型分割領域合成部11の処理にSTEP4−C−2の処理を追加した場合も同様の効果を得ることができる。
この実施の形態4では、可変重複範囲として実施の形態2の重複領域を使用したが、可変重複範囲用に大きめのサイズを算出させるようにすることも可能であり、同様の効果を得ることができる。
この発明の実施の形態1によるSAR画像超解像装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1によるSAR画像超解像装置の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態1による分割実行領域決定部の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態1による実行時間予測部が予め保持している情報の一例を示す図である。 この発明の実施の形態1による劣化範囲計算部が予め保持している情報の例を示す図である。 この発明の実施の形態1による分割実行領域決定部の分割方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態1によるSAR画像超解像装置の効果を説明する図である。 この発明の実施の形態1によるSAR画像超解像装置の効果を説明する図である。 この発明の実施の形態2によるSAR画像超解像装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態2によるSAR画像超解像装置の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割実行領域決定部の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割領域合成部の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態2による重複範囲計算部が予め保持している情報の一例を示す図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割実行領域決定部の分割方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態2によるSAR画像超解像装置の効果を説明する図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態2による重複型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態3によるSAR画像超解像装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態3によるSAR画像超解像装置の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態3による相関型分割領域合成部の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態3による重複型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態3によるSAR画像超解像装置の効果を説明する図である。 この発明の実施の形態4によるSAR画像超解像装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態4によるSAR画像超解像装置の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態4による可変型分割領域合成部の動作手順を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態4による可変型分割領域合成部の合成方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態4によるSAR画像超解像装置の効果を説明する図である。 この発明の実施の形態4によるSAR画像超解像装置の効果を説明する図である。
符号の説明
1 SAR画像超解像装置、 2 分割実行領域決定部、 3 実行時間予測部、 4 劣化範囲計算部、 5 超解像処理部、 6 分割領域合成部、 7 画像データと要求時間と計測条件、 8 超解像画像データ、 9 重複型分割実行領域決定部、 10 重複範囲計算部、 11 重複型分割領域合成部、 12 相関型分割領域合成部、 13 可変型分割領域合成部。

Claims (4)

  1. 信号処理を施して電波画像の解像度を向上させるSAR画像超解像装置において、
    上記画像を複数の処理領域に分割して超解像処理を実行する時の超解像処理にかかる実行時間を予測する実行時間予測手段と、
    上記画像の分割時に上記それぞれの処理領域の両端で発生する散乱点の消失あるいは偽像の発生などの画質が劣化する範囲を、予め保持する画像の分割サイズと画質が劣化する範囲との関係を示す情報に基づいて、上記それぞれの処理領域に分割される画像の分割サイズに応じて特定する劣化範囲計算手段と、
    上記実行時間予測手段で予測した超解像処理の実行時間および上記劣化範囲計算手段で特定した画質の劣化の範囲に基づき、当該実行時間が超解像処理の目標実行時間を超えず、かつ上記各処理領域における上記画質の劣化する範囲が当該処理領域の隣の処理領域における上記画質の劣化する範囲を含まない領域と重なるように、上記分割される処理領域の一部を互いに重複させて、画像を複数の処理領域に分割する分割実行領域決定手段と、
    上記分割実行領域決定手段で分割した処理領域ごとに上記超解像処理を行う超解像処理手段と、
    上記超解像処理手段から得られる分割した処理領域ごとの超解像結果における、上記画質が劣化する範囲を含まないそれぞれの領域を合成し、超解像画像を出力する分割領域合成手段と、
    を備えたことを特徴とするSAR画像超解像装置。
  2. 信号処理を施して電波画像の解像度を向上させるSAR画像超解像装置において、
    上記画像を複数の処理領域に分割して超解像処理を実行する時の超解像処理にかかる実行時間を予測する実行時間予測手段と、
    上記画像の分割時に上記それぞれの処理領域の両端で発生する散乱点の消失あるいは偽像の発生などの画質が劣化する範囲を、予め保持する画像の分割サイズと画質が劣化する範囲との関係を示す情報に基づいて、上記それぞれの処理領域に分割される画像の分割サイズに応じて特定する劣化範囲計算手段と、
    上記劣化範囲計算手段により特定された上記画質が劣化する範囲を含まない範囲で、上記画像を重複する複数の合成用の処理領域に分割する際に、処理領域の大きさを決定する基準となる処理領域の重複範囲を特定する重複範囲計算手段と、
    上記実行時間予測手段で予測した上記超解像処理の実行時間および上記劣化範囲計算手段で特定した画質の劣化の範囲および上記重複範囲計算手段で特定した重複範囲に基づき、当該実行時間が超解像処理に対する目標実行時間を超えず、かつ上記各処理領域における上記重複範囲が当該処理領域の隣の処理領域における上記重複範囲と重なるように、上記分割される処理領域の一部を互いに重複させて、画像を複数の処理領域に分割する重複型分割実行領域決定手段と、
    上記重複型分割実行領域決定手段で分割する処理領域ごとに上記超解像処理を行う超解像処理手段と、
    上記超解像処理手段から得られ、重複を設けるように分割された各処理領域での超解像結果における、上記画質が劣化する範囲を含まないそれぞれの領域を合成し、超解像画像を出力する重複型分割領域合成手段と、
    を備えたことを特徴とするSAR画像超解像装置。
  3. 上記重複型分割領域合成手段は、上記超解像処理手段から得られ、重複を設けるように分割された各処理領域での超解像結果を、上記重複範囲での散乱点相互の相関関係を利用して合成し、上記超解像画像として出力することを特徴とする請求項2記載のSAR画像超解像装置。
  4. 上記重複型分割領域合成手段は、上記超解像処理手段から得られ、重複を設けるように分割された各処理領域での超解像結果を、上記画像の合成に用いる領域を変化させながら合成し、上記超解像画像として出力することを特徴とする請求項2記載のSAR画像超解像装置。
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