JP4305010B2 - フィトスフィンゴシン類縁体およびその製法 - Google Patents
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- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
- Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプロテインキナーゼC阻害、細胞増殖、細胞分化など様々な生体内情報伝達に関与しているスフィンゴ脂質の細胞内での挙動を解明するために必要なフィトスフィンゴシン類縁体およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
スフィンゴミエリンの代謝物であるスフィンゴ脂質が、細胞死、細胞分化、プロテインキナーゼC阻害、など様々な生体内情報伝達に関与していることから大きな注目を集めている。そして、多くの研究者により、これら脂質の関係する現象の解明が積極的に行われている。そのスフィンゴ脂質の1つであるフィトスフィンゴシンは主に酵母細胞に存在し、哺乳動物細胞に存在しシグナル分子として知られているスフィンゴシンに対応しており、多くの研究が行われている。しかしながら、フィトスフィンゴシンの細胞内での存在場所や現象発現に至る経路などの情報は十分に得られていない。
現在、この代謝機構を解明するものとして、C6−NBDフィトスフィンゴシンやC12−NBDフィトスフィンゴシンという化合物が市販されているが、これは副鎖であるアシル基に蛍光標識基ユニットがあり、この部分は加水分解酵素により切断されるため、フィトスフィンゴシンが代謝されたフィトスフィンゴシン−1−リン酸の細胞内の局在場所や代謝物の挙動を解明するためには有用ではない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、下記式(12)で表される代謝をうけない主鎖に蛍光標識基を導入した化合物である新規フィトスフィンゴシン類縁体の合成に成功した。
また、特開平10−87677で開示した下記式(14)で示される3−ベンジル−4−アルコキシカルボニル−2−オキサゾリジノンから容易に得られる式(1)で表される化合物を原料に用いて、本発明のフィトスフィンゴシン類縁体が効率よく合成できることを見出した。
【0004】
光学活性な化合物を合成する際、操作が簡便で収率がよく、しかも光学純度が高く保持されることが肝要である。このような要望に合致する製造法として、化学変換しやすいキラル中間体を合成し、この化合物を経て目的物を製造するという手法がある。この方法で重要な点は、このキラル中間体が操作の点で取り扱い易いうえに、安価でかつ大量に入手可能な物質のことである。本発明に係る化合物は光学異性体として存在する場合が多く、本発明方法はこれらの要望を満たした方法でもある。
【0005】
即ち、本発明は、蛍光標識基部位をもつフィトスフィンゴシン類縁体およびその製造法、特に効率的製造法を提供することにある。
【化32】
(式中、Xは炭素数1〜15を有するアルキル基を意味し、P1は水酸基の保護基を意味する)
【0006】
本発明の化合物(12)の製造法につき以下に詳細に説明する。
その製造工程は以下のスキーム1で示される。
スキーム1
【化33】
(上記式中、Xは炭素数1〜15を有するアルキル基、Zは蛍光標識基、P1は水酸基の保護基をそれぞれ意味する。またR1およびR2は、同一または異なって水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基を意味し、R1およびR2は隣接する炭素原子と共に炭素数3〜6のシクロアルキル環を形成してもよい。)
【0007】
式(1)で表される化合物の炭素炭素二重結合をエポキシ化することにより式(2)で表される化合物が得られる。
エポキシ化に使用する試薬としては、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、モノペルオキシフタル酸、トリフルオロ過酢酸、過酢酸等の過酸、ジメチルジオキシラン等の過酸化物、バナジウム、モリブテン、タングステン、チタン等の金属触媒の存在下でのt−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。後で述べるが、不斉エポキシ化反応を行う場合、光学活性な酒石酸ジアルキルを用いたシャープレスの不斉エポキシ化反応やサレン−マンガン錯体を用いたジェイコブセンの不斉エポキシ化反応を行えばよい。
使用する溶媒としてはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒、水媒体並びにこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は−78℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは−78℃から25℃である。
【0008】
式(2)で表される化合物のエポキシを位置選択的に開環することにより式(3)で表される化合物が得られる。
反応としては、水素雰囲気下での接触還元、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等を用いたヒドリド還元が好ましく挙げられるが、より好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウムである。使用する溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。
反応温度は、−100℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは−78℃から25℃である。
【0009】
一般式(3)で表される化合物の水酸基保護基P1を除去することにより一般式(4)で表される化合物が得られる。保護基に応じて常法により除去できるが、例えば、保護基P1がテトラヒドロピラニル基の場合、酸性イオン交換樹脂、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホネート等の有機酸等を用いて脱保護してよい。
使用する溶媒としてはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒、水媒体並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは0℃から25℃である。
【0010】
得られた式(4)で表される化合物の2つの2級水酸基を酸の存在下アセタール化剤で保護することにより式(5)で表される化合物が得られる。
使用する酸としては、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホンネート、カンファースルホン酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸、三フッ化ホウ素等のルイス酸が好ましく挙げられる。
アセタール化剤としては、例えば式(5)においてR1=R2=Hの場合はホルムアルデヒドを、R1=R2=フェニルの場合はベンゾフェノンを、R1、R2が隣接する炭素と共に6員環を形成する化合物の場合はシクロヘキサノンを用いればよい。また、R1=R2=メチルの場合はアセタール化剤としてアセトン、2,2−ジメトキシプロパン、2−メトキシプロペンを使用することが特に好ましい。溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられ、アセタール化剤を溶媒として用いることもできる。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは0℃から25℃である。
【0011】
式(5)で表される化合物の1級水酸基をスルホニル化またはハロゲン化を行うことで脱離基に変え、続いて金属アジド化合物と反応させることにより式(6)で表される化合物が得られる。
スルホニル化は有機溶剤中、塩基存在下、式(5)で表される化合物とスルホニル化剤とを反応させて行うことができる。
スルホニル化剤としては、トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、無水メタンスルホン酸等が挙げられる。スルホニル化の使用量は基質に対して1当量以上でよく、好ましくは1〜5当量である。
使用する溶媒としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒ならびにこれらの混合溶媒等が挙げられる。
また、使用する塩基としてはトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等の3級アミンが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
反応温度は−100℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは−5℃から25℃である。
【0012】
ハロゲン化は溶媒中、式(5)で表される化合物とハロゲン化剤とを反応させて行う。ハロゲン化剤としては、三塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、五塩化リン、五臭化リン、四ヨウ化二リン、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、ジフェニルトリクロロホスホラン、ジフェニルトリブロモホスホラン、トリフェニルホスフィンジクロロニド、トリフェニルホスフィンジブロモニド、ホスホン酸トリフェニルジクロロニド、ホスホン酸トリフェニルジブロモニド、ホスホン酸トリフェニルジヨードニド等のハロゲン化リン化合物;塩化チオニル、臭化チオニル、塩化スルフリル等のハロゲン化硫黄化合物;ベンジルクロリド−ホスホン酸トリフェニル、ヨウ化メチル−ホスホン酸トリフェニル、四塩化炭素−トリオクチルホスフィン、四塩化炭素−トリフェニルホスフィン、四臭化炭素−トリフェニルホスフィン等の有機ハロゲン化物と有機リン化合物との混合物;塩化N,N−ジメチルクロロホルミウム、臭化N,N−ジメチルクロロホルミウム等のヴィルスマイヤー試薬等が挙げられる。ハロゲン化剤の使用量は基質に対して1当量以上でよく、好ましくは1〜2当量である。
使用する溶媒としてはハロゲン化剤に不活性な溶媒なら何ら限定されるものではない。例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒ならびにこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、ハロゲン化剤そのものを溶媒として使用することもできる。
反応温度は−100℃から溶媒の還流温度までで、より好ましくは−5℃から25℃である。
【0013】
金属アジド化合物との反応であるが、使用する試薬としてはアジ化ナトリウムが挙げられる。
使用する溶媒としてはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体並びにこれらの混合溶媒等が挙げられるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒である。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは25℃から溶媒の還流温度である。
【0014】
式(6)で表される化合物のアミノ基を保護することにより式(7)で表される化合物が得られる。 アミノ基の保護基としては公知のアミノ基の保護基はいずれも使用できるが、好ましくはメトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジル基等が挙げられ、特に好ましいのはt−ブトキシカルボニル基である。使用する塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール等の3級アミンが挙げられる。また、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等の触媒を用いることにより反応時間が短縮される。
使用する溶媒としてはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体並びにこれらの混合溶媒等が挙げられるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒である。
反応温度は−78℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは0℃から25℃である。
【0015】
式(7)で表される化合物のオキサゾリジノン環を加水分解して開環することにより式(8)で表される化合物が得られる。用いる塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。塩基の使用量は、基質に対して1〜3当量、好ましくは1〜1.5当量である。
使用する溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体並びにこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は−78℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは0℃から25℃である。
【0016】
式(8)で表される化合物のアジドを還元することにより式(9)で表される化合物が得られる。
還元の方法としては水素雰囲気下、溶媒中での接触還元またはトリフェニルホスフィンを用いる方法が挙げられる。メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体並びにこれらの混合溶媒等が挙げられるが、好ましくはテトラヒドロフラン−水である。反応温度は0℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは25℃から溶媒の還流温度である。
【0017】
式(9)で表される化合物に蛍光標識基(Z)を含む試薬を反応させることにより式(10)で表される化合物が得られる。
蛍光標識基を含む試薬としては、基質(9)のアミノ基と反応する置換基(例えばハロゲンなど)を有する蛍光標識基ユニットを含む化合物なら、何ら限定されない。例えば4−クロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール、4−フルオロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール、9−ブロモアントラセン、ダンシルクロリド等が挙げられる。
この場合、使用する塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール等の3級アミンが挙げられる。
また、使用する溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体並びにこれらの混合溶媒等が挙げられるが、好ましくはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒である。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは0℃から50℃である。
【0018】
式(10)で表される化合物を脱アセトナイドすることにより式(11)で表される化合物が得られる。
脱アセトナイドは公知の方法で行うことができるが、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒中、希塩酸や希硫酸等の鉱酸やp−トルエンスルホン酸やピリジニウムパラトルエンスルホネート等の有機酸を用いることにより脱アセトナイドすることができる。
反応温度は−78℃から溶媒の還流温度までで、より好ましくは0℃から50℃である。
【0019】
式(11)で表される化合物の水酸基に近いほうのアミノ基を脱保護することにより、式(12)で表されるフィトスフィンゴシン類縁体が得られる。
アミノ基の脱保護は保護基に適した方法により行うことができるが、例えばt−ブトキシカルボニル基の場合、トリメチルシリルブロミド、トリメチルシリルアイオダイド等を用いることができる。
使用する溶媒としてはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度までで、好ましくは0℃から50℃である。
【0020】
また、光学活性なフィトスフィンゴミエリン類縁体は、出発物質である上記スキーム1に記載の式(1)で表される化合物に光学活性体を用い、加えて(1)から(2)の反応を不斉エポキシ化することで製造することができる。
スキーム2
【化34】
(式中、Xは炭素数1〜15を有するアルキル基を意味し、P1は水酸基の保護基を意味する。)
【0021】
式(1a)で表される化合物を不斉エポキシ化することにより式(2a)で表される化合物が得られる。
不斉エポキシ化の方法としては、先ほども述べたが光学活性な酒石酸ジアルキルを用いたシャープレスの不斉エポキシ化反応やサレン−マンガン錯体を用いたジェイコブセンの不斉エポキシ化反応を行ってよい。式(2a)で表される化合物のエポキシを位置選択的に開環することにより式(3a)で表される化合物が得られる。
反応としては、水素雰囲気下での接触還元、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等を用いたヒドリド還元が挙げられるが、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウムである。
使用する溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。
反応温度は、−78℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは−78℃から25℃である。
以後は上記スキーム1に記載の反応工程により、光学活性なフィトスフィンゴシン類縁体を合成できる。
【0022】
なお、本発明の対象である式(12)で表されるフィトスフィンゴシン類縁体には3つの不斉炭素が存在するが、これらの立体構造をNMRにより決定する際、試料を次の操作により処理することができる。
【化35】
(上記式中、Xは炭素数1〜15を有するアルキル基、Zは蛍光標識基、P1は水酸基および1級アミノ基の保護基をそれぞれ意味する。)
【0023】
つまり、式(12)で表される化合物の3つの水酸基と1級アミノ基を同時に保護することにより式(13)で表される化合物が得られる。使用する試薬としては立体が決定できる保護基であれば何ら限定されないが好ましいのはアセチル基である。
使用する試薬としては、アセチルクロリド等のアシルクロリド、無水酢酸等の無水カルボン酸無水物が好ましく挙げられ、特に好ましいのは無水酢酸等の無水カルボン酸無水物である。
使用する溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライムジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、並びにこれらの混合溶媒等を用いてよい。
使用する塩基としてはトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等の3級アミンが挙げられるが、好ましくはピリジンであり、これは溶媒としても使用できる。
反応温度は、−78℃から溶媒の還流温度まででよく、より好ましくは0℃から25℃である。
【0024】
以下に実施例を示すが、これに限定されるものではない。なお、実施例中の略記号THPはテトラヒドロピラニル基、N−Bocはターシャリーブトキシカルボニル基、NBDは7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール基を表す。
【実施例】
実施例1
エポキシド体(22)の合成
4Å モレキュラーシーブ(2.68 g)、ジクロロメタン(36.3 mL)縣濁液に−20℃で(+)−酒石酸ジエチル(0.75 mL, 4.36mmol)、チタニウムテトライソプロポキシド (0.86 mL, 2.90 mmol)を加え10分間攪拌した後、1.3M t−ブチルヒドロペルオキシドのトルエン溶液 (22.3mL, 29.0 mmol)、アルコール体(21)(5.36 g, 14.5 mmol)の塩化メチレン(36.3 mL)溶液を加え徐々に0℃まで昇温した。反応終了後、反応混合物を濾過し、そのろ液に硫酸鉄、クエン酸飽和水溶液を加え0℃で30分間攪拌した。クロロホルムで抽出を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 40% to 67% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、エポキシド体(22)とそのジアステレオマーの混合物 (8:1) を得た(5.48 g, 97.9%)。
【化36】
【0025】
実施例2
ジオール体(23)の合成
エポキシド(22)とそのジアステレオマーの混合物(2.25 g, 5.84 mmol)のトルエン(29.2 mL)溶液を−78℃で1M ジイソブチルアルムニウムヒドリドのトルエン溶液(29.2 mL, 29.2 mmol)を滴下し徐々に0℃まで昇温した。8時間攪拌した後、2N塩酸で中和し、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 75% to 80% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、ジオール体(23)とそのジアステレオマーの混合物を得た(1.46 g, 64.6%)。
【化37】
【0026】
実施例3
トリオール体(24)の合成
ジオール(23)とそのジアステレオマーの混合物(1.46 g, 3.77mmol)のメタノール(18.9 mL)溶液にイオン交換樹脂(DoweX 50W−X8、439 mg)を加え、室温で14時間攪拌した後、反応混合物を濾過後、ろ液を減圧濃縮した。その残さを酢酸エチル−メタノールで再結晶を行い、トリオール体(24) (383 mg, 33.4%)を得た。
【化38】
[≡]D 24.0 6.00 (c=0.776, CH3OH)
IR (KBr disk): 3464, 3351, 3285, 2917, 1742, 1699, 1470, 1252, 1074, 1030 cm-1
1H NMR (CD3OD, 400MHz) δ: 4.46 (dd, J = 6.10, 8.79 Hz, 1H), 4.39 (dd, J = 8.79, 8.79 Hz, 1H), 4.11 (ddd, J = 2.68, 6.10, 6.10 Hz, 1H), 3.53 (dd, J = 6.83, 6.83 Hz, 1H), 3.41 (m, 2H), 1.68 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.32 (m, 14H);
13C NMR (CD3OD, 100MHz) δ:162.73, 75.68, 73.63, 67.22, 63.01, 55.45, 34.77, 33.66, 30.83, 30.74, 30.69, 30.60, 26.94, 26.60 .
【0027】
実施例4
アセトナイド体(25)の合成
トリオール体(24) (140 mg, 0.46 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.3 mL)溶液に0℃で、2,2−ジメトキシプロパン (0.17 mL, 1.38 mmol)、カンファースルホン酸 (54 mg, 0.23 mmol)を加え、室温にて5時間攪拌した。その後反応混合物を0℃に冷やし、水を加え5分間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 50% to 67% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、アセトナイド体(25) (155 mg, 98%)を得た。
【化39】
[≡]D 24.8 ≡9.47 (c=0.835, CHCl3)
IR (KBr disk): 3287, 2924, 2857, 1748, 1723, 1397, 1233, 1051 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ:6.05 (d, J = 13.91 Hz, 1H), 4.45 (dd, J = 8.78, 8.78 Hz, 1H), 4.41 (dd, J = 5.86, 9.03 Hz, 1H), 4.18 (m 1H ), 4.00 (dd, J = 5.85, 7.56 Hz, 1H), 3.89 (m, 1H), 3.64 (t, J = 5.12 Hz, 2H), 1.80 (brd, J = 4.88 Hz,1H), 1.60-1.30 (m, 24H) ;
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ:160.12, 108.36, 79.06, 76.81, 67.71, 62.96, 51.66, 32.71, 29.44, 29.37,29.33, 29.29, 27.74, 26.63, 25.66, 25.24 .
【0028】
実施例5
アジド体(26)の合成
アセトナイド体(25)(792 mg, 2.31 mmol)のテトラヒドロフラン(11.5 mL)溶液に0℃でトリエチルアミン(1.04 mL, 6.92 mmol)、メタンスルホニルクロリド(0.27 mL, 3.46 mmol)を順次加え、20分間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣へN,N−ジメチルホルムアミド(11.5 mL)、アジ化ナトリウム(750 mg, 11.5 mmol)を順次加えた後、50℃に昇温し3時間攪拌した。反応混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 20% to 25% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、アジド体(26)(738 mg, 86.8%)を得た。
【化40】
[≡]D 24.0 ≡6.94 (c=1.021, CHCl3)
IR (KBr disk): 3274, 2917, 2857, 2095, 1746, 1719, 1233, 192, 1051 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ:7.27 (m, 1H), 4.45 (dd, J = 8.30, 9.02 Hz, 1H), 4.41 (dd, J = 5.85, 9.02 Hz, 1H), 4.18 (ddd, J = 5.36, 5.61, 7.66 Hz 1H ), 4.00 (dd, J = 5.85, 7.56 Hz, 1H), 3.89 (m, 1H), 3.26 (t, J = 6.84 Hz, 2H), 1.72-1.29 (m, 24H) ;
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ:160.11, 108.37, 79.09, 76.82, 67.73, 51.67, 51.46, 29.38, 29.32, 29.09, 28.79, 27.76, 26.68, 25.25 .
【0029】
実施例6
N−Boc体(27)の合成
アジド体(26)(738 mg, 2.00 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10.0 mL)溶液に0℃で4−N,N−ジメチルアミノピリジン(122 mg, 1.00 mmol)、トリエチルアミン(0.45 mL, 3.00 mmol)、二炭酸ジ−t−ブチル(655 mg, 3.00 mmol)を順次加え、3時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 11% to 20% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、N−Boc体(27)(925 mg, 98.5%)を得た。
【化41】
[≡]D 24.0 ≡63.48 (c=1.042, CHCl3)
IR (Neat): 3437, 2932, 2857, 2097, 1823, 1798, 1721, 1333, 1260, 1209, 1161, 1080 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ:4.53 (dd, J =7.32, 7.32 Hz, 1H), 4.45 (dd, J = 6.34, 6.34 Hz, 1H), 4.26 (m 3H ), 3.26 (t, J = 6.83 Hz, 2H), 1.65-1.29 (m, 33H) ;
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ:152.06, 149.60, 108.57, 84.03, 76.28, 75.40, 62.57, 55.69, 51.44, 29.73, 29.46, 29.37, 29.33, 29.08, 28.79, 28.01, 26.83, 26.66, 26.08, 24.50 .
【0030】
実施例7
アルコール体(28)の合成
N−Boc体(27)(925 mg, 1.97 mmol)のメタノール(0.99 mL)溶液に炭酸セシウム(322 mg, 0.987 mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、中和した後、減圧濃縮を行い、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 20% to 25% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、アルコール体(28)(820 mg, 93.8%)を得た。
【化42】
[≡]D 24.0 9.83 (c=0.543, CHCl3)
IR (Neat): 3360, 2928, 2930, 2857, 2097, 1698, 1524, 1368, 1248, 1171, 1046 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ:4.96 (d, J =8.44 Hz, 1H), 4.17 (m, 1H), 4.08 (dd, J = 6.10, 6.10 Hz, 1H), 3.84 (m 1H ), 3.77 (m, 1H), 3.69 (ddd, J =3.66, 7.07, 10.73, 1H), 3.25 (t, J = 6.83 Hz, 2H), 2.33 (br, 1H), 1.67-1.28 (m, 33H) ;
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ:155.39, 108.07, 79.73, 78.17, 77.83, 63.80, 51.47, 51.06, 29.51, 29.41, 29.20, 29.12, 28.81, 28.33, 27.60, 26.68, 25.26 .
【0031】
実施例8
アミン体(29)の合成
アルコール体(28)(794 mg, 1.79 mmol)のテトラヒドロフラン(16.1 mL)溶液に水(1.8 mL)、トリフェニルホスフィン(706 mg, 2.69 mmol)を順次加えた後、60℃に昇温し3時間攪拌した。反応混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 13% to 25% methanoal in chloroform)により分離・精製し、アミン体(29)(709 mg, 94.9%)を得た。
【化43】
[≡]D 24.0 8.34 (c=0.873, CHCl3)
IR (KBr disk): 3362, 2928, 1686, 1528, 1368, 1173 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ:7.80 (d, J =7.80 Hz, 1H), 4.16 (m, 1H), 4.08 (dd, J = 6.10, 6.10 Hz, 1H), 3.83 (dd, J =2.69, 10.74, 1H ), 3.76 (m, 1H), 3.69 (dd, J =3.17, 10.97, 1H), 2.69 (t, J = 6.83 Hz, 2H), 2.12 (brs, 3H), 1.56-1.28 (m, 33H) ;
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ:155.39, 108.00, 77.93, 77.84, 63.52, 51.09, 42.01, 33.40, 29.50, 29.44, 29.39, 29.14, 28.33, 27.64, 26.80, 26.67, 25.32 .
【0032】
実施例9
NBD体(30)の合成
アミン体(29)(648 mg, 1.56 mmol)のテトラヒドロフラン(7.80 mL)溶液に0℃でトリエチルアミン(0.35 mL, 2.33 mmol)、4−クロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(466 mg, 2.33 mmol)を順次加えた後、室温に昇温し1時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 25% to 50% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、NBD体(30)(666 mg, 73.9%)を得た。
【化44】
[≡]D 25.0 2.70 (c=0.888, CHCl3)
IR (KBr disk): 3343, 2930, 1698, 1586, 1304, 1169, 1044 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ:8.49 (d, J =8.78 Hz, 1H), 6.44 (brs, 1H), 6.18 (d, J =8.78 Hz, 1H), 4.98 (d, J =9.27 Hz, 1H), 4.17 (m, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.84 (m, 1H ), 3.78 (m, 1H), 3.70 (ddd, J =3.66, 7.07, 10.98, 1H), 3.50 (t, J = 7.07 Hz, 1H), 3.49 (t, J = 7.07 Hz, 1H), 2.39 (brs, 1H), 1.81(ddd, J =7.32, 7.32, 14.64, 2H) 1.57-1.29 (m, 35H) ;
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ:155.45, 144.24, 144.13, 143.94, 136.53, 108.08, 98.47, 79.74, 78.19, 77.81, 63.78, 51.09, 43.99, 29.46, 29.31, 29.20, 29.09, 28.45, 28.32, 27.57, 26.87, 26.66, 25.25 .
【0033】
実施例10
脱アセトナイド体(31)の合成
NBD体(30)(578 mg, 1.00 mmol)のメタノール(5.00 mL)溶液に0℃で2N塩酸水溶液(2.00 mL)を加えた後、室温に昇温し3.5時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 50% to 75% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、脱アセトナイド体(31)(446 mg, 82.9%)を得た。
【化45】
[≡]D 25.0 6.11 (c=0892, CHCl3)
IR (KBr disk): 3339, 2928, 1688, 1588, 1304, 1171cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ:8.48 (d, J =8.79 Hz, 1H), 6.69 (brs, 1H), 6.18 (d, J = 8.79 Hz, 1H), 5.43 (d, J = 8.30 Hz, 1H), 3.89-3.65 (m, 5H), 3.51 (t, J = 6.35 Hz, 1H), 3.50 (t, J =6.59, 1H), 3.31 (brs,1H), 1.94 (brs, 2H), 1.81 (m, 2H), 1.68-1.28 (m, 25H) ;
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ:156.46, 144.25, 144.11, 143.93, 136.66, 123.52, 98.53, 80.10, 76.18, 72.89, 61.90, 52.90, 44.03, 32.98, 29.39, 29.32, 29.23, 29.21, 29.03, 28.34, 26.82, 25.73 .
【0034】
実施例11
NBD−フィトスフィンゴシン(32)の合成
脱アセトナイド体(31)(230 mg, 0.426 mmol)のメタノール(2.1 mL)溶液に、室温でトリメチルシリルブロミド (0.28 mL, 2.13 mmol)を滴下し、1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を逆相HPLCにより分離・精製し、NBD−フィトスフィンゴシン(32)(171 mg, 88.6%)を得た。
【化46】
[≡]D 25.0 ≡1.79 (c=0.699, CH3OH)
IR (KBr disk): 3341, 2926, 2855, 1588, 1298, 1269 cm-1
1H NMR (CD3OD, 400MHz) δ: 8.49 (d, J = 8.78 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 9.03 Hz, 1H), 3.94 (dd, J = 3.42, 11.47 Hz, 1H), 3.77 (dd, J = 8.54, 11.47 Hz, 1H), 3.57-3.44 (m, 5H), 1.81-1.32 (m, 18H);
13C NMR (CD3OD, 100MHz) δ:146.66, 145.79, 145.53, 138.56, 122.77, 99.59, 73.37, 73.36, 58.82, 56.45, 44.84, 35.38, 30.77, 30.69, 30.60, 30.34, 29.28, 28.04, 26.23 .
【0035】
実施例12
テトラアセチル体(33)の合成
NBD−フィトスフィンゴシン(32)(49 mg, 0.112 mmol)のピリジン(0.56 mL)溶液に0℃で無水酢酸(0.22 mL)を加えた後、室温に昇温し3時間攪拌した。飽和硫酸銅水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 25% to 20% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、テトラアセチル体(33)(50 mg, 91.2% for 2steps)を得た。
【化47】
[≡]D 24.5 17.33 (c=0.745, CHCl3)
IR (Neat): 3322, 2930, 1742, 1586, 1302, 1252, 1046 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 8.49 (d, J = 8.54 Hz, 1H), 6.54 (t, J = 4.88 Hz, 1H), 6.18 (d, J = 8.54 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 9.52 Hz, 1H), 5.11 (dd, J = 3.17, 8.05 Hz 1H), 4.95 (dt, J = 3.17, 9.76 Hz, 1H), 4.49 (m, 1H), 4.30 (dd, J = 4.88, 11.46 Hz 1H), 4.03 (dd, J = 3.17, 11.71 Hz 1H), 3.51 (t, J = 6.83 Hz 1H), 3.49 (t, J = 7.07 Hz 1H), 2.08 (s, 3H), 2.05 (s, 6H), 2.02 (s, 3H) 1.20-1.85 (m, 18H);
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 98.8, 67.6, 63.0, 62.3, 32.8, 30.7, 29.7, 29.5, 29.45, 29.40, 29.3, 26.2, 25.7, 25.5, 19.6.
Claims (4)
- 式(1)
で表される化合物の炭素炭素二重結合をエポキシ化することにより式(2)
で表される化合物を得、位置選択的にエポキシドを開環することにより式(3)
で表される化合物を得、水酸基の脱保護をすることにより式(4)
で表される化合物を得、隣接する2つの水酸基をアセタール化することにより式(5)
で表される化合物を得、水酸基をアジドに変え、式(6)
で表される化合物を得、アミノ基を保護することにより式(7)
で表される化合物を得、オキサゾリジノン環を加水分解して開環することにより式(8)
で表される化合物を得、アジドを還元し、式(9)
で表される化合物を得、これに蛍光標識基を有する試薬を反応させ、ついで必要に応じ保護基を脱離させることを特徴とする式(10)、(11)または(12)
で表されるフィトスフィンゴシン類縁体またはその水酸基もしくはアミノ基が保護された化合物の製法。 -
で表される化合物の水酸基をアジドに変え、式(6)
で表される化合物を得、アミノ基を保護することにより式(7)
で表される化合物を得、これに蛍光標識基を有する試薬を反応させ、ついで必要に応じ保護基を脱離させることを特徴とする式(10)、(11)または(12)
で表されるフィトスフィンゴシン類縁体またはその水酸基もしくはアミノ基が保護された化合物の製法。
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