JP4304382B2 - 耐汚染性に優れた高反射性表面処理板 - Google Patents

耐汚染性に優れた高反射性表面処理板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として建築物の屋根、壁など、建築用材料として使用される高反射性表面処理板に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅等の地震災害対策として、構造強化とともに屋根材の軽量化が望まれている。屋根材としては、日本瓦の他に、新窯業系の材料からなる屋根材、金属屋根材等があるが、金属屋根材は、日本瓦に比べて重量が約1/10、新窯業系瓦に比べても約1/3と軽量である。しかし、金属屋根材は太陽光による熱が屋根裏に容易に伝達し、室内が暑くなるという問題点があった。
【0003】
熱の伝達を抑制するために、金属屋根材の裏面に断熱材を貼合する方法があるが、金属板を成形後した後に断熱材を貼合するという手順を採るために、製造工程が煩雑なことや、材料コストが高いためにイニシャルコストが高いという問題があった。また、遮熱断熱塗料を塗装する方法もあるが、この塗料は、顔料として真空バブルを多数包含するセラミックスを利用するもので、非常に厚く塗装する必要があるなどの制約があり、一般用途には適さない。
【0004】
特開昭58−124159号公報には、アルミニウム、銅、黄銅などの金属微粉末とバインダーからなる塗料で塗膜を形成した太陽熱集熱器用反射板が開示されている。この反射板は、りん片状の金属粉を混入させた塗料を用いることにより、高い太陽光反射率を実現するものである。しかしながら、外界に浮遊するほこりや排気ガスなどが表面に付着し汚れが生じると太陽光の反射率が著しく低下し、輻射熱の吸収が増大する問題があった。
【0005】
空気共存下で酸化チタン(TiO2 )や酸化亜鉛(ZnO)等の半導体に、そのバンドギャップよりも大きいエネルギーを持つ光が照射されると、これらの半導体は励起されてn型半導体となり有機物の分解作用を示す。このことは光触媒作用として知られており(「表面」Vol.25 No.8、頁477〜495、(1987))、これらの光触媒機能を有する粒子(以下、単に「光触媒粒子」と記す)は有害物質等の分解、除去などに応用されている。また、光触媒粒子は、紫外線の照射を受けると水に対する接触角が0度に近い超親水性表面を形成することも知られている(「Nature」Vol.388、頁431、(1997))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点を解決し、屋根材などの建材用外装材に要求される性能のうち、表面に汚れが付着し難く、太陽光に対するすぐれた反射性を長期にわたって維持できる高反射性表面処理板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)および(2)に記載の耐汚染性に優れた高反射性表面処理板にある。
【0008】
(1)表面に、窒化ホウ素粒子を含み、残部が実質的に有機樹脂からなり、厚さが3〜200μmである反射層と、その上の光触媒層とを有することを特徴とする耐汚染性に優れた高反射性表面処理板。
【0009】
(2) 光触媒層が、酸化チタンと結晶質のチタン酸ジルコニウムとの結合体を含有するものであることを特徴とする上記(1)に記載の耐汚染性に優れた高反射性表面処理板。
【0010】
建築物の屋根、壁などには、耐食性や景観性から、各種のめっき金属板や塗装金属板が用いられる場合が多い。用途によってはプラスチックスなども用いられる。本発明の高反射性表面処理板は、これらの金属板やプラスチックス等(以下、単に「基板」と記す)の表面に、太陽光からの輻射エネルギーに対する反射特性に優れた無機セラミックス粒子と有機樹脂を含有する塗膜(以下、単に「反射層」とも記す)を設けて、太陽光からの熱エネルギーの伝搬を防止する。
【0011】
大気圏を通過してきた太陽光の輻射エネルギーは、主として0.2〜2.5μmの領域の短波長の電磁波として伝搬される。そのエネルギーを熱として吸収して温度が上昇した物体からは、これよりも長波長の電磁波としてエネルギーが放射される。たとえば、物体表面温度が80〜100℃に加熱された面から放散される放射エネルギーは2.5〜20μmの赤外域にある。効率の良い反射板を構成するためには、輻射エネルギーの反射能が大きく(吸収能が小さく)、かつ、反射板からのエネルギー放射率が高いものがよい。つまり、太陽光を反射する面は、波長2.5μm以下の輻射に対する反射率が1に近く、また、その表面からの波長2.5μm以上のエネルギーの放射率が1に近い特性を持っていることが望ましい。本発明の表面処理板では、上記のような分光性能を有する反射性に富む粒子を塗料に含有させて有機樹脂をバインダーとして塗膜をその表面に形成させる。
【0012】
反射層の表面が汚染されると反射能が劣化する。表面処理板を屋外で使用する場合、水濡れ性の悪い疎水性の表面に付着した水濡れ性の悪い有機物に徐々に汚れが付着し、汚染物として認識される。したがって汚染を防ぐためには、表面に汚染物が付着しないようにしかつ表面の水濡れ性を良くすることが有効である。
【0013】
本発明の表面処理板では、反射層の上に光触媒粒子を保持させ、その光触媒反応により有機物を分解させる。さらに、反射層の表面を親水性の表面にして、汚染物が付着しても降水時に洗い流される。これらの作用を活用して反射層の反射性を永続的に良好な状態に維持する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に述べる。
【0015】
反射層:反射層に含有させる反射性に富む無機セラミックス粒子としては、2.5μm以下の波長の輻射に対する反射率が0.7以上であるものが好ましい。この反射率が0.7に満たない場合には、反射層における太陽光の反射が不十分になる。より好ましくは0.8以上である。
【0016】
これらの性能を有する無機セラミックス粒子としては、コージェライト(2MgO・2Al23・5SiO)、ジルコニア(ZrO2 )、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al23)、窒化ホウ素(hBN、cBN)などの無機セラミックス粒子が好適である。これらの粒子の波長が0.3〜2.5μmの領域の反射率は市販の可視・紫外線吸収スペクトル測定器を用いて測定することができ、波長が2.5μm以上の領域の放射率は市販のフーリエ変換型赤外分光強度計を用いて測定することができる。反射性に富む無機セラミックス粒子は、上記の粒子の内の1種を用いればよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
反射性に富む無機セラミックス粒子の大きさは質量中位径で30μm以下とするのが好ましい。さらに、反射層の厚さの35%以下の大きさのものが望ましい。粒径が小さいほど太陽光に対する遮蔽性に優れるからである。より好ましくは15μm以下である。
【0018】
太陽光に対する反射性は上記の無機セラミックス粒子の含有量が多いほど向上する。このため、反射層の重量に対して30重量%以上とするのが好ましい。反射性に富む無機セラミックス粒子の含有量がこれに満たない場合には太陽光に対する遮蔽性が不十分になる場合がある。より好ましくは50重量%以上である。反射性に富む無機セラミックス粒子の含有量が90重量%を超えると塗膜としての凝集強度や基板との密着性が低下する。このため、その含有量の上限は90重量%とするのが好ましい。
【0019】
有機樹脂は、上記の反射性に富む無機セラミックス粒子を保持するバインダーとしての作用をする。この樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂などの各種有機樹脂の内のいずれかの樹脂を用いることができる。バインダー樹脂は、上記の樹脂の中の1種を用いればよいが、2種以上を混合して用いてもよい。有機樹脂は、無機セラミックスに対するバインダー効果を確保するために、反射層の重量に対して10重量%以上含有させるのがよい。70重量%含有させるとバインダーとしての効果が飽和するので、その上限は70重量%とするのがよい。
【0020】
残部が実質的に有機樹脂からなる、との意味は、反射層には、上述の反射性に富む無機セラミックス粒子と有機樹脂以外に、例えばシリカ、チタニアまたはアルミナのような体質顔料や、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、エポキシ系化合物等の架橋剤などを含有させても構わないことを意味する。これにより、基板表面とバインダーである有機樹脂との密着性を向上させたり、塗膜自体の凝集強度を増すことができる。また、屈折率が有機樹脂のそれに近い顔料であれば、これらを反射層に含有させても可視光に対する透明性に対する影響が少ないので、基板の塗装の色調が維持できる。
【0021】
反射層の厚さは3〜200μmとするのが好ましい。反射層の厚さが3μmに満たない場合には反射性に劣る。反射層の厚さの上限は特に限定されないが、厚すぎると加工性が劣化するので100μm以下が好ましい。
【0022】
光触媒層:反射層の上の光触媒層には光触媒粒子が含有されている。この光触媒粒子としては、公知の光触媒機能を有する半導体粒子を用いることができるが、中でも、酸化チタンあるいは酸化亜鉛の半導体が、光触媒機能に優れるので好ましい。さらに、光触媒粒子として、酸化チタンと結晶質のチタン酸ジルコニウムとの結合体を含有するものがより好適である。この結合体は、結晶質のチタン酸ジルコニウムと酸化チタンを単に混合したものではなく、Ti−O−Zr結合を介して両者を一体化させたものである。酸化チタンとチタン酸ジルコニウムをこのように配することにより、酸化チタン単体の光触媒粒子を用いた場合に較べ光触媒機能を大幅に向上させることができる。
【0023】
上記の酸化チタンと結晶質のチタン酸ジルコニウムとの結合体は、例えば、チタン化合物とジルコニウム化合物との反応生成物を大気雰囲気下で焼成する等の方法で得ることができる。
【0024】
光触媒粒子の大きさは小さい方がよいが、特に限定する必要はなく通常得られる1μm以下のものでよい。光触媒粒子を構成する結晶子サイズの大きさは、5〜50nmが好ましい。結晶子サイズは、X線回折で得られるアナターゼ結晶の(101)面からの回折ピークから算出される。結晶子サイズが50nmを超えると光触媒活性が低下するので好ましくない。結晶子サイズは小さいほど光触媒活性がよいのでいくら小さくても構わないが、5nmに満たないものは通常の手段では得られない。
【0025】
光触媒層の厚さは50nm〜3μmの範囲が好ましい。光触媒層の厚さが50nmに満たない場合には十分な防汚効果が得られない。光触媒層の厚さが3μmを超えると、防汚効果が飽和するうえ表面処理板を成形する際の加工性が損なわれることがあるからである。
【0026】
光触媒粒子は光触媒層中に光触媒層の重量に対して10〜90重量%含有させるのがよい。光触媒粒子の含有量が10重量%に満たない場合には十分な防汚効果が得られない。光触媒粒子の含有量が90重量%を超えると防汚効果が飽和するうえ高価になり経済性を損なう。
【0027】
光触媒層には、上記の光触媒粒子以外に、皮膜の強度や密着性を向上させるために、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、クロム酸、クロム酸塩、リン酸、リン酸塩等を、光触媒層の重量に対して90重量%まで含有しても構わない。
【0028】
基板:反射層と光触媒層が設けられる基板の種類は特に限定される必要はなく、公知の、各種の冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等の金属板、各種のプラスチック板、これらの金属板またはプラスチック板の表面に公知の各種のめっきを施した板等を用いることができる。めっき品を基板として用いる場合は、Zn系、Al系など、公知のめっき種を電気めっき、溶融めっき、無電解めっき等の公知の方法でめっきしたものが適用できる。めっきを施した基板には、さらに防錆性向上等を目的として公知のクロメート処理や、燐酸塩化成処理が施されているものでも構わない。さらに基板としては、上述の各種の板に塗装を施したものでもかまわない。塗装の種類は任意であり、公知のロールコート、ディップコート等で塗装したものが使用できる。
【0029】
本発明の耐汚染性に優れた高反射性表面処理板の製造方法は特に限定されないが、上述の無機セラミックス粒子と有機樹脂とを溶媒に分散させて塗料組成物とし、この塗料組成物を基板表面に塗布し乾燥させて反射層を形成し、その後、光触媒粒子を分散させたゾル液をそのまま、あるいは前記のコロイド状シリカ、クロム酸塩などを添加して、塗料組成物とし、反射層の上に塗布して乾燥させて製造するのが好ましい。
【0030】
溶媒としては、水、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン等の通常用いられているものを適宜選択して用いればよい。前記塗料組成物には、合成微粉シリカ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、有機ベントナイト等の増粘剤、ポリアクリル酸およびその塩、ナフタレンスルホン酸などの分散剤、などが含まれていても構わない。塗料組成物の塗布方法は公知の方法でおこなえばよく、例えば、スプレーコート、ロールコート、カーテンフローコート、バーコート等の方法が適用できる。塗装後は、熱風オーブン、誘導加熱オーブン等公知の方法で乾燥し、公知の方法で冷却すればよい。これらの処理は、基板が金属板の場合には、一般的な2コート2ベーク方式の連続塗装金属板製造設備を用いれば効率的に製造できる。
【0031】
【実施例】
参考例1)質量中位径が3μm、2.5μm以下の波長の輻射に対する反射率が0.75、2.5μm以上の波長の放射率が0.85の分光特性を持つ無機セラミックス粒子であるコージェライト粉末45重量部とポリエステル樹脂55重量部を、溶剤としての適量のシクロヘキサノンと共にボールミルを用いて分散混合して反射層を形成するための塗料組成物(以下、「コージェライト含有塗料」と記す)を得た。さらに、酸化チタンゾル50重量部と市販の水ガラスコーティング材を50重量部づつ配合した光触媒層を形成するための塗料組成物(以下、「酸化チタン含有コーティング剤」と記す)を得た。
【0032】
板厚が0.8mmの溶融亜鉛めっき鋼板上に、乾燥膜厚が約10μmとなるように上述のコージェライト含有塗料をロールコートし、250℃で40秒間の乾燥処理を施した。その後、上述の酸化チタン含有コーティング剤を、乾燥膜厚が1μmとなるようにディップコートして180℃で70秒間乾燥し、表面処理板(試料A)を得た。
【0033】
(比較例1)参考例1で用いたのと同様の溶融亜鉛めっき鋼板に、参考例1で用いた反射層を形成するための塗料組成物に替えて、ポリエステル樹脂と溶剤としての適量のシクロヘキサノンを含有する塗料組成物を用いて乾燥膜厚が約10μmとなるように塗装し乾燥処理を施した。その後、上述の酸化チタン含有コーティング剤を参考例1と同一の条件で処理して試料Lを得た。
【0034】
(比較例2)参考例1で用いたのと同様の溶融亜鉛めっき鋼板に、参考例1に記載したのと同一組成のコージェライト含有塗料を参考例1に記載したのと同様に塗布し乾燥処理して、基板の上に反射層のみを有する試料Mを得た。
【0035】
(比較例3)参考例1で用いたのと同様の溶融亜鉛めっき鋼板に、参考例1に記載したのと同じ組成の酸化チタン含有コーティング剤を、参考例1に記載したのと同じ条件で直接塗布し乾燥処理して基板の上に光触媒層のみを有する試料Nを得た。
【0036】
以上の処理で得られた各試料は、処理面の明度Lを色差測定器を用いてJIS−Z−8722に規定される方法に従って測定した後、3ヶ月間屋外暴露し、再度表面の明度を測定し、表面の汚れを落とさずにそのまま太陽光に対する反射性評価試験に供した。
【0037】
図4は、太陽光に対する反射性評価試験装置の断面を模式的に示す図である。保温容器6の試料積載部分以外は断熱材で熱の出入りが遮断されている。それぞれの試料は、反射層2を外部に向けて試料毎に準備される保温容器6の上面に貼り付けた。試料1の裏面には熱電対4を装着し、外部の記録計に接続して試料の温度変化が記録できるようになっている。それぞれの試料を張り付けた保温容器は、屋外で、反射層2が太陽光7に対して同一方向に同一角度になるように配置し、太陽光に曝し始めた時以降の鋼板裏面の温度上昇状況を測定した。
【0038】
各試料の暴露前後の明度の変化を表1に、反射性評価試験の結果を図1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004304382
【0040】
表1に示されているように、表面に光触媒層を有する試料AおよびNは3ケ月間の屋外暴露後も表面の明度に僅かな変化しか認められず、良好な耐汚染性が得られた。
【0041】
また、図1からわかるように、参考例1の試料Aは、比較材である試料L、MおよびNに較べて、反射性評価試験開始後の温度上昇速度が遅く、定常状態の温度も低かった。試料Mの温度上昇速度は、試料LおよびNよりも遅いが試料Aよりも早く、定常状態での温度も試料Aよりも高い。これは、屋外暴露時に付着した汚れが太陽光を吸収し鋼板裏面の温度が上昇したものである。試料LおよびNはともに反射層が無く、鋼板裏面の温度は、試料AおよびMよりも高温になった。
【0042】
(実施例2)質量中位径が5μm、2.5μm以下の波長の輻射に対する反射率が0.9、2.5μm以上の波長の放射率が0.9の分光特性を持つ窒化ホウ素を60重量部とポリウレタン系樹脂40重量部を、シクロヘキサノン:トルエン:キシレンを体積比で1:1:1の割合で混合した液で希釈し、ペイントシェーカーを用いて分散混合して乾燥固形分50重量%の反射層を形成するための塗料組成物(以下、「窒化ホウ素含有塗料」と記す)を得た。参考例1で用いたのと同様の溶融亜鉛めっき鋼板上に、乾燥膜厚が約10μmとなるように上述の窒化ホウ素含有塗料をロールコートし、240℃で40秒間の乾燥処理を施した。その上に、参考例1で記載した酸化チタン含有コーティング剤を、乾燥膜厚が1μmとなるように参考例1と同様の条件で塗布、乾燥し、本発明の表面処理板(試料B)を得た。
【0043】
(実施例3)結晶質のチタン酸ジルコニウム10重量部と酸化チタン90重量部を混合し、大気中で500℃で2時間焼成した後粉砕し、水に分散させて固形分が10重量%のスラリを作製した。このスラリを水酸化ナトリウムを用いてpH10に調整し、オートクレーブで150℃で3時間水熱処理を施した。その後、濃度60%の硝酸を加えてpH7に調整し、ろ過してチタン酸ジルコニウム−酸化チタン結合体を得た。このチタン酸ジルコニウム−酸化チタン結合体に市販の水ガラス系コーティング剤を固形分で50重量%となるように混合し、光触媒層を形成するための塗料組成物(以下、「チタン酸ジルコニウム−酸化チタン系コーティング剤」と記す)を得た。参考例1で使用したのと同様の溶融亜鉛めっき鋼板上に、窒化ホウ素含有塗料を乾燥膜厚10μmとなるように実施例2と同様の方法で塗布し、乾燥した上に、上記のチタン酸ジルコニウム−酸化チタン系コーティング剤を乾燥膜厚が1μmとなるようにロールコートし、180℃で60秒間乾燥させて本発明の表面処理板(試料C)を得た。
【0044】
(比較例4)参考例1で使用したのと同様の溶融亜鉛めっき鋼板上に、窒化ホウ素含有塗料を乾燥膜厚10μmとなるように実施例2と同様の方法で塗布し、235℃で70秒間乾燥し、反射層のみを有する試料Pを得た。
【0045】
(比較例5)
実施例4と同じ基板上に直接、チタン酸ジルコニウム−酸化チタン系コーティング剤を乾燥膜厚が1μmとなるように塗布し、180℃で60秒間乾燥して基板の上に光触媒層のみを有する試料Rを得た。
【0046】
試料A、B、C、PおよびRから幅150mm、長さ300mmの試験片を切りだし、各試験片の表裏面に温度測定用の熱電対を取り付け、それぞれを図4に示すように保温容器6の上面に張りつけた。これらを、ビルの屋上に南向きに同一方向に同一角度で試験表面(反射層や光触媒層を有する面)が日射に曝されるように設置し、6月から11月の間の6ケ月間屋外暴露した。暴露期間毎日正午に、簡易可搬式色差測定器による試験表面の明度の測定と、試験片の表裏面間の温度差(以下、「△T」と記す)の測定をおこない、それぞれ1ケ月間の平均値を求めて耐汚染性と日射に対する反射性を評価した。日射に対する反射性は、△Tが大きいほど優れていると判断した。
【0047】
図3に各試験片の明度の推移を示した。図3に示されているように、表面に光触媒層を有する試料A、B、CおよびRの試験表面は優れた耐汚染性を示した。中でも光触媒粒子としてチタン酸ジルコニウム−酸化チタン系コーティング剤を使用した試料CおよびRの耐汚染性は特に良好であった。表面に光触媒層を有さない試料Pの試験表面は暴露期間中に次第に汚れが堆積した。
【0048】
図2に各試験片の△Tの推移を示した。図2に示されているように、本発明が規定する範囲の反射層を有する試料は良好な遮熱性を示した。特に、反射層に反射性と放射性に優れた窒化ホウ素系塗料組成物を使用した試料BおよびCは、コージェライトを用いた試料Aに比較してさらに優れた遮熱性を示した。光触媒層にチタン酸ジルコニウム−酸化チタン系塗料組成物を用いた試料Cでは、試料Bに比較してさらに汚れが付着し難く、長期間安定して優れた遮熱性を示した。これに較べて、反射層に窒化ホウ素系塗料組成物を使用したが光触媒層を設けなかった試料Pは、暴露開始直後の遮熱性は優れていたが暴露期間中に表面に汚れが付着し、次第に遮熱性が悪くなった。反射層を設けないで基材の上に直接、チタン酸ジルコニウム−酸化チタン系塗料組成物からなる光触媒層を設けた試料Rの遮熱性は好ましくなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の耐汚染性に優れた高反射性表面処理板は、軽量であることに加えて、表面が汚染され難く、太陽光に対する優れた遮熱性をメンテナンスフリーで長期にわたって維持できる。また、生産性が高いので安価に供給することができる。本発明の表面処理板は上記の特性を有しており、特に、屋根材や壁材などの建材用外装材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理板と比較例の遮熱性測定結果を示す図である。
【図2】屋外暴露後の試験片表裏面間の温度差の推移を示す図である。
【図3】屋外暴露後の試験表面の明度の推移を示す図である。
【図4】表面処理板の性能を測定するための装置の断面図である
【符号の説明】
1・・・試料、2・・・光触媒層、3・・・反射層、4・・・基板、5・・・熱電対、6・・・保温容器、7・・・記録計、8・・・太陽光。

Claims (2)

  1. 表面に、窒化ホウ素粒子を含み、残部が実質的に有機樹脂からなり、厚さが3〜200μmである反射層と、その上の光触媒層とを有することを特徴とする耐汚染性に優れた高反射性表面処理板。
  2. 光触媒層が、酸化チタンと結晶質のチタン酸ジルコニウムとの結合体を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に優れた高反射性表面処理板。
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