以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。図1はパチンコ1機を示す正面図であり、図2は本体枠及び前面枠を開放した状態のパチンコ機を示す斜視図であり、図3はパチンコ機1の裏面構成を示す背面図である。
[1.パチンコ機の構成]
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ機1は、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5(ガラス扉)等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面一側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。また、本体枠3は、前枠体8、遊技盤装着枠9、及び機構装着枠10を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前側に形成された前枠体8は、外枠2前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。なお、本実施形態では、パチンコ機1の正面を視認する視線方向を前側(前面側)とし、これとは反対側(例えば、前枠体8に対する本体枠3側)を後側(背面側)とする。
また、本体枠3は、合成樹脂材によって一体に形成されると共に、前面側に遊技盤装着枠9が背面側に機構装着枠10がそれぞれ形成されている。これによって、合成樹脂製の本体枠3は、従来の前枠(内枠、前面枠等と呼ばれることがある)と、機構板(裏機構板、裏セット板等と呼ばれることがある)との機能を兼ね備えている。
前枠体8の後部に一体的に形成された遊技盤装着枠9には、遊技盤4が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。また、遊技盤装着枠9の左側部には、係合突部33が上下に2つ形成され、遊技盤装着枠9の右側部には、係合凹部36(図26参照)が上下に2つ形成されている。また、遊技盤4の盤面(前面)の左側部には係合突部33と対応する係止穴34が上下に2つ形成され、遊技盤4の盤面の右側部には係合凹部36と対応する係合フック35が上下に2つ形成されている。係合フック35は、遊技盤4と遊技盤装着枠9とを係脱可能に係止する。
また、遊技盤4の盤面には、外レールと内レールとを備えた案内レール11が設けられている。また、遊技盤装着枠9よりも下方に位置する前枠体8の前側下部の一側寄りには、下部スピーカ14が装着されている。また、前枠体8前面の下部領域内の上側部分には、遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く発射レール15が傾斜状に装着されている。一方、前枠体8前面の下部領域内の下側部分には、下前面部材16が装着されている。下前面部材16前面のほぼ中央には、下皿17が設けられ、片側寄りには操作ハンドル18が設けられている。
また、図2に示すように、本体枠3(前枠体8)のヒンジ機構7が設けられる側とは反対側となる開放側の後面には、外枠2に対して本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対して前面枠5を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置19が装着されている。施錠装置19は、外枠2に設けられた閉止具20に係脱可能に係合して本体枠3を閉鎖状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック21と、前面枠5の開放側の後面に設けられた閉止具22に係脱可能に係合して前面枠5を閉鎖状態に施錠する上下複数の扉施錠フック23とを備えている。
しかして、シリンダー錠24の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで、本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に鍵が回動操作されることで、扉施錠フック23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように、前枠体8及び下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出して配置されている。左へ回動すると前面枠5が解錠され、右へ回動すると反対枠3が解錠される。
なお、シリンダー錠24には、図示しない基準板が設けられており、鍵が挿入され、前面枠5の解錠方向、つまり左へ回動されると、この基準板も鍵とともに回動する。この基準板は、解錠操作が行われると、後述する解錠スイッチ24aとしての透過型フォトインターラプタにより、検出される。この透過型フォトインターラプタの検出領域である凹部に、この基準板が入り込むこと、その検出信号が後述する役物制御基板115の役物CPU116に入力される。一方、施錠操作するときは、基準板が凹部から出て行き、施錠された状態では、凹部に基準板が入り込まない。
なお、本実施例では、時計回り方向に鍵を回動操作することで外枠2に対して本体枠3が解錠され、反時計回り方向に鍵を解錠操作することで本体枠3に対して前面枠5が解錠される。このように、回動操作の方向を異ならせるだけで、本体枠3又は前面枠5のいずれかを解錠させることができる。また、施錠装置19は、本体枠3を閉塞状態に施錠したときに、鍵以外の外部操作によって本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されないように本体枠施錠フック21をロックするロック機構をさらに備えている。しかして、本体枠3を閉塞状態に施錠したときには、ロック機構により本体枠施錠フック21がロックされる。また、本体枠施錠フック21よりも外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙に近い側(図2において右側方)にリブが突設形成され、当該リブにより本体枠施錠フック21が外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙から針金等を差し込んで直接本体枠施錠フック21を操作しようとしてもリブに当接する。従って、外枠2と本体枠3(前面枠3)との間隙から針金等により本体枠3を不正に解錠する不正行為を防止することができる。
本体枠3前面の一側には、ヒンジ機構25によって前面枠5が前方に開閉可能に装着されている。前面枠5は、扉本体フレーム26、上皿28を備えて構成されている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材によって構成され、前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。扉本体フレーム26のほぼ中央には、後述する遊技盤4の遊技領域12を前方から透視可能なほぼ円形状の開口窓30が形成されている。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられ、該窓枠31には、透明板32が装着されている。
なお、本実施例では、遊技盤4の下方にシリンダー錠24を配置し、遊技盤4の右方に配置された施錠装置19を薄型化することで、遊技盤4に形成された遊技領域12の面積を従来よりも拡大することができ、遊技者の視認に対する興趣を高めることができる。また、遊技領域12を拡大することで、遊技領域12の中央部分に後述するセンターユニット40が配置されても、該センターユニット40の下方に配置された可変入賞装置70に遊技球を誘導し難いとの印象を与えることがない。また、遊技領域12の拡大に合わせて前面枠8の開口窓30も拡大され、該前面枠8の剛性が低下することとなるが、上皿28を一体的に構成する前面枠8とすることで、前面枠8の剛性の低下を抑制している。
扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、下部に上皿28が前面枠8と一体的に設けられ、左右両側部に枠ランプ27が、上部に上部スピーカ29が装着されている。なお、枠ランプ27は、後述する画像表示装置42(図柄表示手段、画像表示手段)にて実行される演出の演出態様に応じて点灯・消灯制御され、上部スピーカ29及び上述した下部スピーカ14は、画像表示装置42にて実行される演出の演出態様に応じて複数種類の音出力態様の音出力制御が実行される。このように、画像表示装置42にて実行される演出に同期して枠ランプ27の点灯・消灯制御、上部スピーカ29及び下部スピーカ14の音出力制御、を実行することにより演出効果を高め、遊技者の興趣を向上させるためのものである。また、上部スピーカ29及び下部スピーカ14では、不正行為が実行されたことを報知する警告音、遊技に関するエラー状態が発生したことを報知する情報音、等の出力も行われる。
次に、本体枠3の裏面構成について説明すると、図3に示すように、本体枠3の裏面上側には、遊技島に設置される球揚送装置から供給される遊技球を貯留する球タンク140と、球タンク140と払出装置109とを接続し、球タンクに貯留される遊技球を流下せしめるタンクレール141と、が配置されている。なお、タンクレール141によって球タンク140と接続される払出装置109は、ユニット状に形成され、タンクレール141からの遊技球を受け入れて遊技球の払い出しを指示する信号に基づいて所定個数の遊技球を払い出す。
また、タンクレール141の下方には、基板等が内蔵される基板保護カバー142が設けられている。なお、基板保護カバー142は、タンクレール141から落下した球によってこれら基板類が損傷するのを防止すると共に、各基板への不正行為を防止する役割を担っている。また、基板保護カバー142は、パチンコ機1の背面側に張り出しており、その下方に主基板101が配置されている。また、主基板101の遊技盤4背面側にはサブ統合基板111(図5に符号のみ記載)が配置されている。しかして、主基板101及びサブ統合基板111の上方がパチンコ機1の背面側に張り出した基板保護カバー142によって覆われ、タンクレール141から落下した球によって主基板101及びサブ統合基板111が損傷するのを防止している。
また、本体枠3の裏面下側一側に発射装置135が取り付けられている。この発射装置135は、発射レール15に送られた球を発射する発射ハンマーと、発射ハンマーに往復回動動作を付与する発射モータ等を集約して設けることにより構成され、操作ハンドル18と関連付けられている。また、発射装置135の右側方には、払出基板105が設けられている。払出基板105は、主基板101からの遊技球の払い出しを指示する信号を受信したことに基づいて払出装置109を駆動制御する。
[2.遊技盤の構成部材]
次に、遊技盤4に設けられる各種構成部材及び装置について説明する。図4は遊技盤4を示す正面図である。
上述した案内レール11の内側には、遊技領域12が区画形成され、遊技領域12の中央部分には、センターユニット40が配設されている。なお、センターユニット40の正面左上部、及び、左右下端部には、遊技球が通過可能な通路が形成されると共に遊技球が通過したことに基づいて揺動する揺動通路部材43(球通過部)が設けられている。また、センターユニット40の正面右上部には、遊技盤4の前面に対して略水平(略平行)に回転駆動制御される回転役物61が設けられている。本実施形態では、回転役物61は作動時においては常に時計回りに回転駆動される。
さらに、センターユニット40には、前記回転役物61の背面内部に図示しない球通過経路が形成されると共に、前記回転役物61の左側方に球通過経路の入口40aが、前記回転役物61の右側方に球通過経路の出口40bが設けられている。また、センターユニット40における回転役物61の下部には、遊技球が通過可能な通路が形成された球通路部材49(球通過部)が設けられている。
また、センターユニット40の正面左上部(センターユニット40の正面左上部に設けられた揺動通路部材43の上方)には、発光体(本実施形態では、LED)の点灯制御により普通図柄の変動表示を行う普通図柄表示器44が設けられている。本実施形態では、普通図柄表示器44に内蔵されるLEDを赤色と、緑色と、に交互に点灯することにより普通図柄を変動表示し、所定期間経過後に赤色、又は、緑色、の一方で停止表示することにより普通図柄の表示結果を導出する。
また、普通図柄表示器44の右上方には、複数個の発光体(本実施形態では、4個のランプ)により構成され、点灯・消灯制御される普図始動記憶LED48が設けられている。また、普図始動記憶LED48の下方には、遊技状態に応じて発光体(本実施形態では、LED)を点灯制御する状態表示LED45が設けられている。普通図柄表示器44、普図始動記憶LED48及び状態表示LED45の前面には各々に対応した装飾レンズカバーが設けられている。
また、センターユニット40の中央後方には、画像表示装置42が視認可能に設けられている。なお、本実施形態では、画像表示装置42は、左・中・右の3つの領域を有し、各領域にて各々が識別可能な複数種類の装飾図柄の変動表示を行うものである。また、画像表示装置42には、装飾図柄とは異なる演出画像も表示制御される。
また、画像表示装置42の上方には、パチンコ機1前下方に光照射する上部ランプ88が設けられ、その一部が視認可能となっている。上部ランプ88は、画像表示装置42にて実行される演出と同期して点灯・消灯制御され、画像表示装置42にて表示制御される内容の演出効果を高めるためのものである。
また、画像表示装置42の上方左右方向略中央には、特別図柄表示器41が視認可能に設けられている。なお、特別図柄表示器41は、複数個の発光体(本実施形態では、4個のLED)によって構成され、これらの発光体を所定の態様で点灯・消灯制御することにより特別図柄を変動表示し、特別図柄の表示結果として所定の態様でLEDを点灯するものである。また、特別図柄表示器41の左側方には、複数個の発光体(本実施形態では、「○」及び「×」が付された2個のLED)により構成され、点灯・消灯制御される大当り種類表示LED46が設けられている。
また、画像表示装置42の前方下部には、センターユニット40の左上部に設けられた揺動通路部材43及びセンターユニット40の回転役物61の下部に設けられた球通路部材49によって誘導された遊技球が転動可能なステージ50(球転動面)が設けられている。
また、センターユニット40の一部を構成すると共に、センターユニット40の外縁を形成する前面装飾体80(装飾部材)が設けられている。しかして、前面装飾体80には、上述した揺動通路部材43、球通路部材49が設けられると共に、普通図柄表示器44、普図始動記憶LED48、及び状態表示LED45に対応する装飾レンズカバーが設けられている。
さらに、前面装飾体80の下縁部には、前記ステージ50の一部を構成する排出ステージ80a(球転動面)が形成されている。排出ステージ80aは、パチンコ機1手前方向に所定の角度で傾斜してステージ50上を転動する遊技球を遊技領域12に排出可能にする。
また、前面装飾体80は、遊技領域12における遊技球の流下を規制するように遊技盤4の盤面から前方に所定の厚みを有してなり、遊技領域12を流下してきた遊技球が前面装飾体80の外壁に接触することで、前面装飾体80の左右両側の一方に誘導されると共に、前記画像表示装置42の視認及び回転役物61の回転駆動を妨げないように遊技球の進入を阻止している。
しかして、前面装飾体80の外壁の一部には、前記球通過経路の入口40a、球通路部材49の入口、及び左上部に設けられた揺動通路部材43の入口、が形成されている。
センターユニット40の左側方には、ゲート74が設けられている。ゲート74には、ゲート74を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ74a(図7参照)が設けられている。なお、上述した普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示は、ゲート74を遊技球が通過し、ゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されたことに基づいて開始される。つまり、ゲートスイッチ74aによる遊技球の検出に応じて普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示が許可される。
また、センターユニット40の中央下方には、可変入賞装置70が配設されている。可変入賞装置70は、上方から遊技球が入賞可能な第1始動口72(始動入賞口)と、第1始動口72の下方に設けられた第2始動口73(始動入賞口)と、第1始動口72に入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ70a(図5に符号のみ記載:始動検出手段)と、第2始動口73に入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ70b(図5に符号のみ記載)と、を備えている。また、第2始動口73の両側には、ソレノイド71aにより下部を支点として回動可能な一対の可動片71が設けられている。第2始動口73は、通常、上方に位置する第1始動口72と、第2始動口73の両側に位置する可動片71により塞がれて遊技球が入賞不可能な閉塞状態となっており、ソレノイド71aを可動して可動片71を回動させ、遊技球が左右方向から入賞可能な開放状態に制御する。また、第1始動口72に遊技球が入賞し、始動口スイッチ70aによって検出されたことに基づいて所定数(例えば、3個)の遊技球の払い出しが行われ、第2始動口73に遊技球が入賞し、始動口スイッチ70bによって検出されたことに基づいて所定数(例えば、4個)の遊技球の払い出しが行われる。
なお、前記前面装飾体80の下縁部に形成された排出ステージ80aは、可変入賞装置70の真上に位置しており、これによって排出ステージ80aから排出された遊技球は、第1始動口72及び第2始動口73に入賞し易くなっている。但し、排出ステージ80aの球排出部分は、遊技球の直径寸法に比べて幅広に形成されている。このため、排出ステージ80aでの遊技球の排出部分によって第1始動口72又は第2始動口73に遊技球が入賞する割合が様々に異なるようになっている。つまり、排出ステージ80aから排出された遊技球が第1始動口72及び第2始動口73に入賞し易い構成とは、遊技球がステージ50上を転動(後述する円形誘導部54上での転動を含む)することなく第1始動口72又は第2始動口73に入賞する場合に比べて入賞し易いことをいい、排出ステージ80aから排出された遊技球は、必ずしも第1始動口72又は第2始動口73に入賞するものではない。
また、前面装飾体80の左右下端部に設けられる揺動通路部材43に遊技球が進入することにより、可変入賞装置70が配設する遊技領域12の中央方向に遊技球を誘導可能になる。つまり、前面装飾体80の正面左上部に設けられた揺動通路部材43及び前記球通路部材49によって遊技球がステージ50に誘導されなかった場合にも、前面装飾体80の左右下端部に位置する揺動通路部材43に遊技球が進入することにより可変入賞装置70が配設する遊技領域12の中央方向に誘導されるため、遊技領域12の中央方向に遊技球が誘導されない場合に比べて第1始動口72及び第2始動口73への入賞率が高まる。なお、揺動通路部材43は、遊技球が通過したときに遊技盤4の前面表面上に垂直に突出した回転軸を中心として左右に揺動する。このように、遊技球が通過したときに揺動通路部材43が左右に揺動するため、遊技球の通過を確認できると共に、遊技に変化を与えることができ、遊技者を飽きさせないようにすることができる。
このように、揺動通路部材43に遊技球が進入することによりステージ50上に遊技球を誘導するか、又は、可変入賞装置70が配設する遊技領域の中央方向に遊技球を誘導するため、揺動通路部材43に遊技球が進入したときに第1始動口72及び第2始動口73への入賞に対する期待感を高めることができる。
可変入賞装置70の下方には、大入賞口開閉装置75(大入賞口装置)が配設されている。大入賞口開閉装置75は、内部に所定の領域の大入賞口を有している。また、大入賞口は、その入口が横長長方形状に形成され、大入賞口開閉装置75は、大入賞口の入口の前面に設けられ、ソレノイド76aにより下部を支点として回動可能な前面扉76と、大入賞口に入賞した遊技球を検出するカウントスイッチ75a(図5に符号のみ記載)と、を備えている。なお、大入賞口開閉装置75は、通常、前面扉76が起立し、大入賞口の入口を塞ぐことで遊技球が入賞不可能な閉塞状態に制御され、ソレノイド76aを可動し、前面扉76の下部を支点としてパチンコ機1手前方向に回動させ、遊技球が入賞可能な開放状態に制御する。また、大入賞口に遊技球が入賞し、カウントスイッチ75aによって検出されたことに基づいて所定数(例えば、14個)の遊技球の払い出しが行われる。
また、大入賞口開閉装置75の下方となる遊技領域12の最下部には、遊技領域12を流下していずれの入賞口や入賞装置にも入賞しなかった遊技球を遊技領域12から排出するアウト口77が設けられている。また、遊技領域12には、上方から遊技球が入賞可能な複数の一般入賞口13も設けられ、一般入賞口13に遊技球が入賞したことに基づいて所定数の遊技球の払い出しが行われる。なお、一般入賞口13に入賞した遊技球は一般入賞口スイッチ13a(図5に符号のみ記載)によって検出され、一般入賞口13に遊技球が入賞し、一般入賞口スイッチ13aによって検出されたことに基づいて所定数(例えば、10個)の遊技球の払い出しが行われる。
なお、図示しないが、遊技盤4の遊技領域12に設けられるセンターユニット40等の各装置には複数のランプ及びLED等が設けられている(例えば、上部ランプ88等)。そして、画像表示装置42にて実行される演出の演出態様に応じてランプ及びLED等を点灯・消灯制御することにより演出効果を高めている。以下、これらのランプ及びLEDを遊技盤ランプということがある。また、図示しないが、遊技盤4の前面(遊技領域12が形成される側)には遊技球の流下方向を変化させ、遊技球の挙動を面白くする複数の障害釘が突設している。
[3.遊技]
次に、遊技盤4に設けられた各種構成部材及び装置等により実現される遊技について説明する。遊技者が操作ハンドル18を操作することによりパチンコ機1の裏面側に設けられる発射装置135によって遊技球が打ち出される。発射装置135から打ち出された遊技球は、発射レール15及び案内レール11を通って遊技領域12の上部に放出され、遊技領域12を障害釘等に衝突しながらアウト口77に向かって流下する。そして、遊技領域12を流下する遊技球がゲート74を通過し、ゲートスイッチ74aによって検出されると、普通図柄表示器44で普通図柄の変動表示(LEDが緑色と赤色とで交互に点灯表示)が開始される。
なお、ゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されると、所定範囲の普通図柄当り判定乱数を更新するカウンタから普通図柄当り判定乱数を抽出する。そして、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示を開始するときに、普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとするか否かの判定を行い、変動表示の結果、判定結果に応じた態様(本実施形態では、当りであれば赤色の点灯表示、はずれであれば緑色の点灯表示)でLEDを停止表示する。
また、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示を実行中に遊技球がゲート74を通過し、ゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されたことに基づいて抽出された普通図柄当り判定乱数は、所定個数(本実施形態では、4個)まで記憶可能とされ、記憶される普通図柄当り判定乱数の個数は普図始動記憶LED48の点灯個数によって表示される。具体的には、普図始動記憶LED48は、ゲート74の通過が有効である(普通図柄の始動記憶数が4未満のとき)ときにゲートスイッチ74aにより遊技球を検出する毎にLEDを1つ点灯させ、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示を開始する毎に点灯しているLEDを1つ消灯させる。
本実施形態では、普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとする判定がなされた場合には、普通図柄の変動表示を開始して、所定期間経過後に赤色に点灯した状態で停止表示した後、ソレノイド71aを可動することにより可動片71を回動させて可変入賞装置70を所定期間開放状態に制御する。一方、普通図柄当り判定乱数に基づいてはずれとする判定がなされた場合には、普通図柄の変動表示を開始して、所定期間経過後に緑色に点灯した状態で停止表示し、可変入賞装置70を開放状態に制御しない。具体的には、普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとする判定がなされた場合には、普通図柄の変動表示を開始して、所定期間経過後に赤色に点灯した状態で停止表示した後、ソレノイド71aを可動して第2始動口73の可動片71を所定時間(例えば、0.5秒)開放する。そして、所定期間経過したときに再びソレノイド71aを可動して可動片71を閉塞する。一方、普通図柄当り判定乱数に基づいてはずれとする判定がなされた場合には、普通図柄の変動表示を開始して、所定期間経過後に緑色に点灯した状態で停止表示した後、可動片71を開放する制御を行わず第2始動口73に遊技球が入賞不可能な閉塞状態に制御されるが、第1始動口72は遊技球を入賞可能な状態となっている。
また、第1始動口72、又は、第2始動口73に遊技球が入賞し、始動口スイッチ70a及び始動口スイッチ70bにより遊技球が検出されると、特別図柄表示器41で特別図柄の変動表示を開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態、及び、特別図柄及び装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示器41で特別図柄の変動表示が開始されると共に、画像表示装置42で装飾図柄の変動表示が開始される。特別図柄、及び、装飾図柄の変動表示は所定期間経過後に停止され、停止時の特別図柄が特定の表示態様(大当りとなる複数の発光体の点灯の組み合わせ:大当り図柄)である場合には、装飾図柄の停止図柄(左・中・右の装飾図柄全てが停止した状態)も特定の表示態様(同一の装飾図柄の組み合わせ:大当り図柄)となり、「大当り遊技状態」の制御を開始する。
つまり、ソレノイド76aを駆動し、大入賞口の入口を塞いでいる前面扉76の下部を支点としてパチンコ機1手前方向に回動させて大入賞口開閉装置75を開放状態に制御し、所定時間(例えば、30秒)、あるいは所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口に入賞してカウントスイッチ75aによって検出されるまで大入賞口を開放した状態に維持する。その後、ソレノイド76aを駆動し、前面扉76の下部を支点として起立させて大入賞口の入口を塞ぎ、大入賞口開閉装置75を閉塞状態に制御する。そして、大入賞口開閉装置75を開放状態に制御してから閉塞状態に制御するまでの開閉サイクル(以下、これをラウンドともいう)を15回繰り返し実行(15ラウンド実行)したときに大当り遊技状態を終了させる。このように、大当り遊技状態に制御された場合には、大入賞口が開放され、該開放された大入賞口に遊技球を入賞させることで、第1始動口72及び第2始動口73に遊技球を入賞させるよりも短時間で多量の遊技球を獲得可能であるため、遊技者の興趣を高めることができる。
なお、本実施形態では、左・中・右の装飾図柄は、左装飾図柄→右装飾図柄→中装飾図柄の順に停止するように制御される。装飾図柄の停止図柄とは、左・中・右の装飾図柄の変動表示を開始して中装飾図柄80bが停止表示されることにより左・中・右の装飾図柄全てが停止表示された状態の図柄の組み合わせをいう。
また、停止時の特別図柄が特定の表示態様のうちさらに特別態様(確変大当りとなる複数の発光体の点灯の組み合わせ)である場合には、装飾図柄の停止図柄も特別態様(非確変図柄:本実施形態では、同一の奇数図柄の組み合わせ:確変図柄)となり、大当り遊技状態に制御した後、次に大当り遊技状態となる確率が高くなる(本実施形態では、確率変動状態では1/70、確率変動状態以外では、1/490)。つまり、確率変動状態という遊技者にさらに有利な状態になる。確率変動状態では、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を停止表示するまでの変動時間と、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示を開始してから普通図柄を停止表示するまでの変動時間と、を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示の結果が「当り」となる確率を高める制御、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示の結果「当り」となったことに基づいて開放される可動片71の開放時間を通常状態よりも延長する制御(本実施形態では、通常状態では、0.5秒、時短状態及び確率変動状態では、0.8秒)、可変入賞装置70が開放状態にされる開放回数を通常状態よりも増加させる制御(本実施形態では、通常状態では、1回、時短状態及び確率変動状態では、3回)、等の時短制御も行われる。
また、停止時の特別図柄が特定の表示態様のうち特別態様とは異なる非特別態様(非確変大当りとなる複数の発光体の点灯の組み合わせ)である場合には、装飾図柄の停止図柄も非特別態様(本実施形態では、同一の偶数図柄の組み合わせ:非確変図柄)となり、大当り遊技状態に制御した後、特別図柄表示器41にて所定回数(本実施形態では、100回)の特別図柄の変動表示が実行されるまで特別図柄の変動時間と、普通図柄の変動時間と、を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示の結果「当り」となったことに基づいて開放される可動片71の開放時間を通常状態よりも延長する制御、可変入賞装置70が開放状態にされる開放回数を通常状態よりも増加させる制御、等の時短制御が実行される。時短状態では、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示が所定回数実行されるまでは、第2始動口73への入賞確率が増加し、所定期間での特別図柄の変動表示の実行回数を増加させることができるため遊技者に有利な状態となる。また、上述した確率変動状態では、時短制御に加えて、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示の結果が「当り」となる確率が高められるため時短状態よりもさらに遊技者に有利な状態となる。なお、通常状態とは、上述した確率変動状態、及び、時短状態、以外の状態である。
なお、上述したように、本実施形態では、第1始動口72に遊技球が入賞し、始動口スイッチ70aによって検出されたときに3個、第2始動口73に遊技球が入賞し、始動口スイッチ70bによって検出されたときに4個、の遊技球が払い出される。第1始動口72は、上述したように、常に上方から遊技球を入賞可能であることから、遊技球の入賞に対する払出個数が多すぎると始動口(第1始動口72及び第2始動口73)への入賞を(運営者側の不利益解消等により)抑制されてしまい、結果的に抽選遊技(大当り遊技状態とするか否かの判定)の期待が減ることで遊技者に不快感を与えてしまう。また、払出個数が少なすぎると抽選遊技に必要とする遊技球の数が増大してしまい、結果的に過度の投資が必要となり遊技者に不利益を与えてしまう。一方、第2始動口73は、後述する時短状態及び確率変動状態においては遊技者に有利な遊技を提供するものであり、可動片71の開放時間及び開放回数の延長制御を行うようにし、該第2始動口73への入賞確率を増加させている。しかし、遊技球の入賞に対する払出個数が少なすぎると、発射球に対して払出数が少なくなり、有利な遊技状態にも関わらず遊技球が減ることで遊技者に不快感を与えてしまう。これらの事象を考慮し、第1始動口72及び第2始動口73それぞれの払出個数(3,4個)が設定されている。
また、特別図柄表示器41における特別図柄の表示結果と、画像表示装置42における装飾図柄の表示結果と、は対応している。つまり、特別図柄表示器41及び画像表示装置42にて特別図柄及び装飾図柄の変動表示を開始するときに大当りとしない判定がなされた場合には、特別図柄表示器41にて特定の表示態様とは異なるはずれ状態となる態様でLEDを点灯させて特別図柄を停止表示すると共に、画像表示装置にて特定の表示態様とは異なるはずれ状態となる表示結果(はずれ図柄:大当り図柄以外の図柄、本実施形態では、少なくとも2種類以上の識別情報(図柄)の組み合わせ)を導出する。
また、画像表示装置42にて変動表示される装飾図柄は特別図柄表示器41にて変動表示される特別図柄とは異なる演出用の図柄であり、特別図柄表示器41にて行われる変動表示の内容を演出用の装飾図柄を用いてより演出効果を高めて遊技者に表示するものである。つまり、特別図柄表示器41におけるLEDが特定の表示態様で点灯表示された場合には大当り遊技状態に移行制御するが、万が一、画像表示装置42にて装飾図柄の表示結果が特定の表示態様となっても特別図柄表示器41におけるLEDが特定の表示態様で点灯表示されない場合には大当り遊技状態に移行制御されない。
また、本実施形態では、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数として「15回」が設定された1種類の大当り遊技状態に制御可能であるが、大当り遊技状態として遊技者に付与される利益が異なる複数種類の大当り遊技状態に制御可能に構成してもよい。例えば、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数が異なる複数種類の大当り遊技状態に制御するように構成してもよい。この場合には、大当り判定乱数に基づいて大当りとする判定がなされた後、大当り遊技状態にて実行するラウンド数を決定するようにしてもよいし、大当り判定乱数に基づいて異なるラウンド数が設定された複数種類の大当り遊技状態のうちいずれかに制御するか否かの判定を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、状態表示LED45が上述した確率変動状態にて赤色に点灯制御され、上述した時短状態にて緑色に点灯制御される。そして、時短状態及び確率変動状態を終了したとき、つまり、通常状態への制御を開始したとき、及び、大当り遊技状態に制御されたときに状態表示LED45を消灯する。
また、本実施形態では、大当り遊技状態の実行中に上述した大当り種類表示LED46を点灯する。具体的には、大当り遊技状態の種類に応じて、大当り種類表示LED46の「○」が付された左側のLEDと、「×」が付された右側のLEDと、のいずれか一方、又は、両方を点灯する。本実施形態では、1種類の大当り遊技状態にのみ制御可能であるため、大当り種類表示LED46を点灯制御しても効果を奏しないが、複数種類の大当り遊技状態に制御可能に構成した場合には、複数種類の大当り遊技状態に対応して大当り種類表示LED46を点灯・消灯制御することにより大当り遊技状態の種類を把握することができる。
例えば、複数種類の大当り遊技状態として、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数として「7回」が設定された第1大当り遊技状態と、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数として「15回」が設定された第2大当り遊技状態と、を実行可能な構成とした場合に、第1大当り遊技状態の実行中に大当り種類表示LED46の右側のLED(「×」が付されたLED)を点灯させ、第2大当り遊技状態の実行中に大当り種類表示LED46の左側のLED(「○」が付されたLED)を点灯させる制御を実行するようにしてもよい。このように、本実施形態におけるパチンコ機1は、複数種類の大当り遊技状態に制御可能な遊技機にも対応可能に構成される。
[4.主基板グループ及び周辺基板グループ]
次に、遊技盤4の背面側に取り付けられる主基板グループ及び周辺基板グループについて説明する。図5は主基板グループ及び周辺基板グループのブロック図であり、図6は周辺基板グループのブロック図である。
[4―1.主基板グループ]
主基板グループは、図5に示すように、主基板101及び払出基板105によって構成されている。
[4―1―1.主基板]
主基板101は、図5に示すように、中央演算装置としてのCPU102(特典付与決定手段)と、読み出し専用メモリとしてのROM103と、読み書き可能メモリとしてのRAM104と、を備えている。CPU102は、ROM103に格納されている遊技制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御する共に、周辺基板グループ、払出基板105、に送信する信号を作成したりする。また、RAM104には、主基板101で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
なお、主基板101には、ゲートスイッチ74a、始動口スイッチ70a,70b、カウントスイッチ75a、一般入賞口スイッチ13a、等からの検出信号が入力される。そして、CPU102は、これら入力された検出信号に応じた処理を実行する。つまり、入力された検出信号に基づいてソレノイド71a,76a、特別図柄表示器41、普通図柄表示器44、特図始動記憶ランプ47(発光部材)、普図始動記憶LED48、状態表示LED45、大当り種類表示LED46、等へ駆動信号を出力する。さらに、払出基板105に入賞に応じた遊技球の払い出しを指示する信号を出力する。
[4―1―2.払出基板]
払出基板105は、図5に示すように、中央演算装置としての払出CPU106と、読み出し専用メモリとしての払出ROM107と、読み書き可能メモリとしての払出RAM108と、を備えている。なお、上述した始動口スイッチ70a,70b、カウントスイッチ75a、一般入賞口スイッチ13a、等により遊技球が検出されたときに、各スイッチから検出信号が主基板101に入力され、検出信号が入力されたことに基づいて主基板101に搭載されるCPU102から払出基板105に遊技球の払い出しを指示する信号が送信される。そして、払出基板105は、主基板101から受信した信号を処理し、払出装置109(払出モータ)に駆動信号を出力する。駆動信号が入力されたことに基づいて払出装置109により遊技球の払い出しが行われる。
また、払出基板105には、遊技球を遊技領域12に向けて発射する発射モータを備えた発射装置135も接続される。そして、操作ハンドル18が操作されたことに基づいて発射装置135によって発射モータを駆動し遊技球を打ち出す。なお、図示しないが、操作ハンドル18には遊技者が触れていることを検知するタッチセンサが内蔵され、タッチセンサによって遊技者が触れていることを検知し、さらに操作ハンドル18が操作されたことに基づいて発射装置135により発射モータを駆動可能な状態となる。なお、下皿が満タンになったことを検出する下皿満タンスイッチを設け、下皿満タンスイッチからの検出信号が入力されたときに操作ハンドル18の操作を受付不能な状態に制御し、発射装置135による発射モータの駆動不可能な状態にしてもよい。つまり、払出装置109から払い出された遊技球は上皿28に貯留されるが、上皿28に貯留しきれない遊技球の払い出しが行われた場合には、上皿28と連通した下皿17に貯留される。この状態でさらに払出装置109からの遊技球が払い出された場合に下皿17が満タンとなったことを検出する下皿満タンスイッチによって検出信号を出力し、この検出信号が入力されたときに操作ハンドル18の操作を受付不能な状態に制御してもよい。この場合には、下皿満タンスイッチからの検出信号が入力されなくなったことに基づいて操作ハンドル18の操作を受付可能な状態へ制御するように構成してもよい。
[4−2.周辺基板グループ]
周辺基板グループは、図5に示すように、サブ統合基板111、ランプ中継基板119、役物制御基板115及び表示制御基板120によって構成される。
[4−2−1.サブ統合基板]
サブ統合基板111は、図5に示すように、中央演算装置としての統合CPU112(図柄表示制御手段)と、読み出し専用メモリとしての統合ROM113と、読み書き可能メモリとしての統合RAM114と、を備えている。また、サブ統合基板111は、音出力に関する制御を行う音源IC128と、音出力に関する読み出し専用メモリとしての音ROM127と、を備えている。統合CPU112は、統合ROM113に格納されている演出制御プログラムを実行することにより主基板101から受信された信号にもとづく処理を実行する。また、統合RAM114には、サブ統合基板111で実行される種々の処理において生成される各種データ、入出力信号、主基板101から受信した信号、等の情報が一時的に記憶される。そして、統合CPU112は、RAM114に記憶されている主基板101から受信した信号を読み出し、読み出した信号に基づいて表示制御基板120及びランプ中継基板119に信号を送信したり、音ROM127から音出力態様を読み出し、音源IC128によって、読み出した音出力態様に応じた駆動信号を上部スピーカ29、及び、下部スピーカ14に出力したり、枠ランプ27に駆動信号を出力したりする。
統合CPU112は、16ビットのマイクロプロセッサであり、その制御クロックは16メガヘルツ(以下、MHzと表記する。)である。このマイクロプロセッサは、図6に示すように、種々の演算処理を行う演算処理部112aacと、外部へ各種信号を出力する出力ポート112aopと、外部から各種信号が入力される入力ポート112aipと、が回路接続されている。
演算処理部112aacは、図6に示すように、種々の演算処理の他に、2つのシリアル部112aso,112aso’に出力するデータと、出力ポート112aopに出力するデータと、を設定し、一方、入力ポート112aipに入力された信号を取り込む。
シリアル部112asoは、図6に示すように、演算処理112aacからデータを受け取ると、このデータ(シリアルデータ(後述するコマンドデータCMD−DAT))を、転送クロックCMD−CLKと同期して、ランプ中継基板119を介して、役物制御基板115に1ビットずつ出力する(「シリアル出力」という)。一方、シリアル部112aso’は、図6に示すように、演算処理112aacからデータを受け取ると、このデータを点灯データPL−DATとして、転送クロックPL−CLKと同期して、ランプ中継基板119にシリアル出力する。なお、電源投入時には、転送クロックPL−CLKは、250kHzに設定されており、一方、転送クロックCMD−CLKは、転送クロックPL−CLKを半分にした(分周した)値、つまり125kHzに設定されている。
出力ポート112aopは、図6に示すように、シリアル出力されたシリアルデータ(コマンドデータCMD−DAT)を復元して、パラレルデータ(後述するフラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7)に変換する契機となるラッチ信号CMD―LATと、このシリアルデータがパラレルデータに変換された旨を伝える(コマンドデータCMD−DATの出力完了の旨を伝える)MODE信号と、をランプ中継基板119を介して、後述する役物制御基板115にそれぞれ出力する。また、シリアル出力されたシリアルデータ(点灯データPL−DAT)を復元して、パラレルデータ(遊技盤ランプを駆動するための駆動信号)に変換する契機となるラッチ信号PL―LATも遊技盤ランプ駆動部119gに出力する。
入力ポート112aipは、図6に示すように、役物制御基板115から出力されたACK信号及びLED―RUN信号が入力される。ACK信号は、上述した統合CPU112のシリアル部112asoからシリアル出力されたコマンドデータCMD−DATが、役物制御基板115で、その受信が完了した旨を伝える信号であり、LED―RUN信号は、役物制御基板115が正常動作している旨を伝える信号である。なお、入力ポート112aipには、図示しないDSP―RUN信号が表示制御基板120から入力されており、このDSP―RUN信号は、表示制御基板120が正常動作している旨を伝える信号である。
[4−2−2.ランプ中継基板]
ランプ中継基板119は、図6に示すように、遊技盤ランプ駆動部119gを備えている。この遊技盤ランプ駆動部119gは、図示しないデイジーチェーン接続可能な(数珠つなぎできる)シフトレジスタ119g0〜119g4を備えており、統合CPU112のシリアル部112aso’からシリアル出力されたシリアルデータ(点灯データPL−DAT)が、シフトレジスタ119g0〜119g4に1ビットずつシフトされる。そして、統合CPU112の出力ポート112aopから出力されたラッチ信号PL−LATが入力されると、このラッチ信号PL−LATを契機として、シリアルデータ(点灯データPL−DAT)をパラレルデータに変換し、遊技盤ランプを駆動する。このシフトレジスタ119g0〜119g4は、8ビット、つまり1バイトで構成されたICであり、高速動作に追従することができる。
この遊技盤ランプは、全部で35個の図示しないランプPL0〜PL34からなり、シフトレジスタ119g0の出力にはランプPL0〜PL7が、シフトレジスタ119g1の出力にはランプPL8〜PL15が、シフトレジスタ119g2の出力にはランプPL16〜PL23が、シフトレジスタ119g3の出力にはランプPL24〜PL31が、そしてシフトレジスタ119g4の出力にはランプPL32〜PL34が、それぞれ回路接続されている。
なお、統合CPU112のシリアル部112asoからシリアル出力されたコマンドデータCMD−DAT、転送クロックCMD−LAT及び統合CPU112の出力ポート112aopから出力されたラッチ信号CMD−LAT、MODE信号は、このランプ中継基板119を通過して、役物制御基板115に伝わる。以下、ランプ中継基板119を省略して説明する場合がある。
[4−2−3.役物制御基板]
役物制御基板115は、図6に示すように、中央演算装置としての役物CPU116と、読み出し専用メモリとしての役物ROM117と、読み書き可能メモリとしての役物RAM118と、外部より入力された信号からノイズ等の高周波成分を取り除くローパスフィルタ(以下、LPFと表記する。)115fと、シリアルデータ(コマンドデータCMD−DAT)をパラレルデータ(フラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7)に変換するシフトレジスタ115h,115iと、後述する回転ユニット60に搭載されたモータ63を駆動するドライバ115dと、を備えている。このLPF115fは、具体的には、コンデンサ及び抵抗器により回路構成されており、実験により得られたノイズ1μs以下をカットする定数に設定されている。
シフトレジスタ115h,115iは、デイジーチェーン接続、つまり数珠繋ぎ接続されており、統合CPU112のシリアル部112asoからシリアル出力されたシリアルデータ(コマンドデータCMD−DAT)が、LPF115fを介して、シフトレジスタ115h,115iに1ビットずつシフトされる。そして、統合CPU112の出力ポート112aopから出力されたラッチ信号CMD−LATが、LPF115fを介して、入力されると、このラッチ信号CMD−LATを契機として、シリアルデータ(コマンドデータCMD−DAT)をパラレルデータ(フラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7)に変換し、役物CPU116に出力する。なお、シフトレジスタ115h,115iは、8ビット、つまり1バイトで構成されたICであり、高速動作に追従することができる。
役物CPU116は、統合CPU112の出力ポート112aopから出力されたMODE信号が、LPF115fを介して、入力されると、所定のタイミングで、上述したパラレルデータ(フラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7)を取り込む。この取り込んだパラレルデータに基づいて、図6に示すように、ドライバ115dに励磁信号MOT0〜MOT3を出力する。また、回転役物61に搭載されたLED群61aを発光させるため、後述するRGBデータ(赤色のデータTX−R、緑色のデータTX−G及び青色のデータTX−B)を転送クロックTX−CLKと同期して、回転ユニット60に出力する。そして、LED群61aを発光させるためのラッチ信号TX−LATを回転ユニット60に出力する。
一方、役物CPU116は、回転ユニット60の回転役物61が所定の回転位置になったことを検出するPOS−IN信号が入力されている。また、役物CPU116は、解錠スイッチ24aにより検出された信号も入力される。この解錠スイッチ24aは、シリンダー錠24に鍵が挿入され、解錠操作が行われているか否かを検出する。なお、役物CPU116は、32ビットのマイクロプロセッサであり、外部クロック6.6MHzが入力されており、マイクロプロセッサの内部では、外部クロックを5逓倍した33MHz(内部動作クロック)で動作する。
[4−2−4.表示制御基板]
表示制御基板120は、図5に示すように、中央演算装置としての表示CPU121と、読み出し専用メモリとしての表示ROM122と、読み書き可能メモリとしての表示RAM123と、図示しないVDP(Video Display Processorの略)と、を備えている。この表示制御基板120は、サブ統合基板111からの信号に基づいて画像表示装置42の表示制御を行う。
[5.センターユニットのステージ]
次に、センターユニット40のステージ50の構成について説明する。図7は遊技盤4を右上方から見た斜視図であり、図8は球誘導部材65の断面図であり、図9(A)は球誘導部材65を図4のB−B平面で切った場合の断面図であり、図9(B)は球誘導部材65を図4のC−C平面で切った場合の断面図であり、図10は遊技盤4を前上方から見た斜視図であり、図11は円形誘導部54を示す縦断面図であり、図12は図4のA−A線断面図であり、図13は図4の円形誘導部54、上部レール52及び下部レール53を取り除いた状態でのD−D線断面図である。
図7に示すように、センターユニット40の左側縁部後方及び右側縁部後方(パチンコ機1背面側)には、前面装飾体80の左上部に設けられた揺動通路部材43及び前面装飾体80の右上部に設けられた球通路部材49に進入した遊技球を遊技盤4のステージ50に誘導する球誘導部材65(通路構成部材)が位置している。
また、球誘導部材65は、下流部(後述する分岐部673)が二股に分岐して遊技球をいずれか一方に誘導する分岐通路67(球通路、経路、通路本体)と、揺動通路部材43及び球通路部材49を分岐通路67に連結する連結通路66と、から構成され、揺動通路部材43及び球通路部材49に進入した遊技球は連結通路66に排出された後、連結通路66を転動して球誘導部材65の入口から分岐通路67に進入し、分岐通路67を流下して球誘導部材65の外部に排出する出口である上部誘導口68及び下部誘導口69の一方から排出される。なお、上部誘導口68及び下部誘導口69は、複数の排出口の一例である。また、上部誘導口68は、第1の排出口の一例であり、下部誘導口69は、第2の排出口の一例である。
球誘導部材65の内部は、図8に示すように、分岐通路67が遊技球1個分の幅寸法の通路形状で形成されている。また、分岐通路67は、所定の幅寸法(ステージユニット50aの幅寸法と同等又は小さい幅寸法)で屈曲形成され、遊技球をパチンコ機1の奥行方向(図示左側方向)と手前側方向(図示右側方向)とに転動させつつ流下させる屈曲部671(奥行き誘導通路部)と、略遊技球1個分の幅寸法で形成されると共に屈曲部671を流下した遊技球を略垂直に流下させる送込部672と、二股に分岐して上部誘導口68又は下部誘導口69の一方に振り分ける分岐部673(振分部)と、からなる。なお、本実施形態における分岐通路67は、少なくとも送込部672が遊技球1個分の幅寸法で形成されていればよく、屈曲部671及び分岐部673は、遊技球1個分の幅寸法で形成されていなくてもよい。
また、屈曲部671は、複数層の通路がその端部で接続した1本の球通路からなり、揺動通路部材43及び球通路部材49に進入した遊技球Q1は、連結通路66を経て、球誘導部材65の入口から分岐通路67に放出される。そして、分岐通路67に放出された遊技球Q2は、屈曲部671にてパチンコ機1の奥行方向に転動し、分岐通路67の内壁に衝突してその勢い(進入速度)を弱めると共に、流下してパチンコ機1の手前方向に誘導される。このように、本実施形態では、分岐通路67が所定の距離幅(図8において左右方向の通路幅)で屈曲形成されるため、屈曲部671内で転動する遊技球がその勢い(転動速度)が強まる前に分岐通路67の内壁に衝突してその勢いを弱まるように形成され、分岐通路67内に進入した遊技球の勢い(転動速度)を抑制したり、安定させたりできる。
なお、屈曲部671を流下して手前方向(図8において右方向))に誘導された遊技球は、再び分岐通路67の内壁に衝突して略真下(垂直)に流下して、送込部672に進入する。送込部672は、遊技球の1個分の幅寸法を有し、遊技球を規制して略真下(垂直)に流下させて分岐部673に送り込む。分岐部673には、その送込部672の奥行方向の幅の略中央に球誘導部材65の露出していない背面(ステージ50から遠い側の面)から突設される分岐部材67a(分岐振分手段、突起部材)が設けられている。そして、送込部672から送り込まれた遊技球Q3は、その中心部がこの分岐部材67aの表面と垂直に衝突(当接)し、上部誘導口68又は下部誘導口69の一方に導かれる。また、上部誘導口68に誘導された遊技球Q4は、後述する上部レール52上に落下して円形誘導部54向かって転動し、下部誘導口69に誘導された遊技球Q5は、後述する下部レール53上に落下して円形誘導部54に向かって転動する。
なお、分岐部材67aの上部表面(分岐通路67を流下する遊技球が当接する面)は、略平坦に形成され、この分岐部材67aによって分岐部673を2つの領域に分割している。このように構成することにより、分岐通路67を流下する遊技球が分岐部材67aに衝突して上部誘導口68と下部誘導口69との一方に不規則に誘導されるため、上部レール52と下部レール53との振分率が偏ることを防止できる。また、送込部672から送り込まれて分岐部材67aに当接した遊技球Q3の左右方向に遊技球1個分以上の空間を有するように(遊びを有するように)、つまり、遊技球Q3の自由度を高めるように分岐部673が形成されるため、分岐部材67aに当接した遊技球が分岐通路67内にて挟み込まれて球詰まりを生じてしまうことを防止できる。
また、分岐通路67を流下する遊技球は必然的に分岐部材67aに衝突する。また、分岐通路67にてパチンコ機1の奥行方向及び手前方向に転動して分岐通路67の内壁に衝突することによりその勢い(進入速度)を弱めるが、分岐通路67によって弱められた後の勢いが一定以上である場合であっても、分岐部材67aと衝突することによりその勢いを完全に抑制することができる。つまり、分岐通路67を流下してパチンコ機1の手前方向に誘導された遊技球は、再び分岐通路67の内壁に衝突して略真下に流下する。そして、分岐部材67aの上部に略垂直に衝突するため、その勢いを完全に止めることが可能となる。
また、本実施形態では、分岐通路67によって遊技球の勢い(流下速度)が抑制されて、分岐部材67aに衝突する以前に遊技球の勢い(流下速度)が弱まるため、分岐部材67aの負荷が軽減でき、分岐部材67aを長持ちさせることができる。さらに、本実施形態では、分岐通路67を流下する遊技球は、分岐部材67aの上部に衝突するが、分岐部材67aを幅狭縦長形状(図8において、左右方向の幅寸法が小さく、上下方向の幅寸法が大きい)の部材により形成することで分岐部材67aの耐久性を高めている。
また、分岐部材67aの上部表面の高さ位置と、上部レール52及び下部レール53の高さ位置と、を所定の幅寸法内(例えば、2cm以内)となるように分岐部材67aが設けられている。つまり、分岐部材67aに当接した遊技球Q3は、分岐部材67aから上部レール52又は下部レール53上に落下する。このとき、分岐部材67aの上部表面の高さ位置と、上部レール52及び下部レール53の高さ位置と、の差が大きい程、上部レール52及び下部レール53に与えられる衝撃が増し、上部レール52及び下部レール53が壊れ易くなる。本実施形態では、分岐部材67aの上部表面の高さ位置と、上部レール52及び下部レール53の高さ位置と、の差を小さくすることで上部レール52及び下部レール53の負荷を軽減でき、上部レール52及び下部レール53を長持ちさせることが可能となる。
また、分岐通路67を形成する球誘導部材65は、透明な合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネイト等)によって形成されている。これにより、分岐通路67内を通過する遊技球は、遊技者から視認可能な構成となっている。分岐通路67は、通路底壁、通路内側壁、及び通路外側壁から構成され、分岐通路67の通路外側壁となる球誘導部材65の壁面部65a(通路外側壁、球視認部、経路の外壁)は、図9(A)(B)に示すように(同図中には、遊技者側から見てステージ50の右側端部に位置する球誘導部材65を例示する)、ステージ50の中央側に盛り上がった湾曲面形状に形成されている。また、このような湾曲面形状の通路外側壁(壁面部65a)を有する分岐通路67の屈曲部671は、図9(A)に示すように、その通路外側壁がパチンコ機1の正面位置となる遊技者から視認できるようにステージ50の奥行き幅方向(前後方向)に対して若干の傾斜角(なめらかな曲面)を持って延設されている。言い換えれば、ステージ50の奥行き幅に対する前後方向及び左右方向に遊技球を誘導する分岐通路67の屈曲部671は、正面から見て下流側(送込部672との連通側)が上流側(連結通路66との連通側)に比べて外側に位置するように通路の延設方向が設定されている。これにより、屈曲部671内を流下する遊技球は、その流下に伴って徐々に外側に誘導されるようになっている。従って、屈曲部671内を複数の遊技球が通過する場合、屈曲部671の下流側を通過する遊技球R1は、屈曲部671の上流側を通過する遊技球R2に比べて外側に位置することとなり、正面視で遊技球R1,R2同士が完全に重なり合うことがない。なお、実施形態の構成によれば、奥行き誘導通路部を一つの通路部で形成する(複数の通路部を繋ぎ合わせたような構成とは違う)ので、スムーズに遊技球を誘導することができる。
また、分岐通路67における湾曲面形状の通路外側壁(壁面部65a)には、前述した上部誘導口68及び下部誘導口69が穿設されるものであるが、壁面部65aがステージ50の奥行き幅方向(前後方向)に対してなめらかな曲面を持って延設されることで、各誘導口68,69についても、その開口部分がパチンコ機1の正面位置となる遊技者から視認できるようになっている。つまり、正面から見て分岐部材67aを境として外側部分には下部誘導口69の開口部分が視認でき、分岐部材67aを境として内側部分には上部誘導口68の開口部分が視認できる。このため、図9(B)に示すように、分岐部材67aによって下部誘導口69側に振り分けられた遊技球R3は、分岐部材67aを境として正面視で外側に位置する開口(下部誘導口69)から排出される一方、分岐部材67aによって上部誘導口68側に振り分けられた遊技球R4は、分岐部材67aを境として正面視で内側に位置する開口(上部誘導口68)から排出されることになり、遊技球がいずれの誘導口68,69から排出されるかが明確に認識できるようになっている。
なお、上部誘導口68から排出される遊技球は、後述の上部レール52を介して円形誘導部54に誘導され、下部誘導口69から排出される遊技球は、後述の下部レール53を介して円形誘導部54に誘導されるものであるが、上部レール52を流下した遊技球は、下部レール53を流下した遊技球に比べて勢いよく円形誘導部54に送り込まれることで後述の案内通路58に入り易くなり、結果として始動口(第1始動口72)に入賞し易い構成となっている(詳細については後述する)。従って、上部誘導口68から遊技球が排出されるか、あるいは下部誘導口69から遊技球が排出されるかによって、その後、遊技球が始動口(第1始動口72)に入賞し易いか否かが大まかに判断できる。このため、上記したような遊技球がいずれの誘導口68,69から排出されるかが明確に認識できる構成は、ステージ50上(上部レール52、下部レール53、円形誘導部54を含む)での遊技球の球流れの興趣をより一層高めるようになっている。なお、円形誘導部54は、環状転動許容手段の一例である。円形誘導部54の表面は、転動面の一例である。上部レール52、下部レール53、及び円形誘導部54は、上段球転動面の一例である。一方、ステージ50及び球受けステージ80aは、下段球転動面の一例である。また、上部レール52、下部レール53、及び円形誘導部54は、レール形状の通路の一例である。上部レール52及び円形誘導部54は、第1の誘導通路の一例であり、下部レール53及び円形誘導部54は、第2の誘導通路の一例である。上部レール52及び下部レール53は、受入レールの一例である。円形誘導部54は、送込レールの一例である。
また、透明な合成樹脂材料によって形成された球誘導部材65(分岐通路67)の背面側には、複数のLED95が実装されたLED基板94(光照射手段)が設けられている。そして、LED95の発光は、分岐通路67の背面側から透明な球誘導部材65を透してステージ50中央側に照射されることで、分岐通路67を含む球誘導部材65全体を光装飾するようになっている。また、分岐通路67を通過する遊技球は、LED95の発光によって分岐通路67内のいずれの部分を通過中であるかが遊技者からより見易くなっている。
また、図7及び図10に示すように、センターユニット40には、前面装飾体80の下部外壁から奥行方向に所定の幅を有するステージ50が画像表示装置42の前下方に位置するように設けられている。なお、ステージ50は、前面装飾体80の左上部に設けられた揺動通路部材43及びセンターユニット40の回転役物61の下部に設けられた球通路部材49から導入された遊技球が転動可能な領域を形成している。また、ステージ50の表面は、パチンコ機1手前方向に所定の角度で傾斜し、ステージ50上を転動する遊技球をパチンコ機1手前方向に排出するように構成されている。
また、ステージ50の中央部には、遊技球1個分の通路形状をなす案内通路58(誘導通路)が形成されている。また、案内通路58は、ステージ50の下方に下り、そこから前面側へ屈曲して延びて前面装飾体80の下部外壁中央に形成された放出口51(球排出部)と接続される。放出口51は、前面装飾体80の下部外壁における可変入賞装置70の真上に形成され、案内通路58に填り込んだ遊技球が放出口51へと誘導されて放出口51から真下に放出されることにより第1始動口72に入賞し易くなる。なお、放出口51は、前面装飾体80の下縁部に形成された排出ステージ80aの下方(排出ステージ80aに比べて第1始動口72に近い位置)に配置される共に、案内通路58と連通した遊技球1個分の開口形状に形成されている。このため、放出口51から排出された遊技球は、高い確率(ほぼ100%に近い確率)で第1始動口72に入賞し易くなっている。
また、ステージ50の表面には、ステージ50上部表面から所定の高さ(本実施形態では、遊技球の直径寸法以上の高さ)を有する複数の支持部材57が突出形成されている。そして、ステージ50の左右方向略中央部に突出形成される複数の支持部材57の上部には中空円形状の(環状の球誘導通路の形状をなす)円形誘導部54がパチンコ機1手前方向に所定の角度で傾斜するように載置される。なお、円形誘導部54は、外周及び内周に沿って円形誘導部54の表面から上方に突出形成される壁部54a(球誘導通路としての両側壁部分:突部)を有し、外周及び内周の壁部54aによって囲まれた溝部54b(球誘導通路としての底面部分)を有する。また、支持部材57は、円柱形状をなすと共に、その断面の直径寸法が遊技球の直径寸法よりも小さい値で形成されている。これにより、ステージ50上を転動する遊技球は、支持部材57の裏面側で停留することなく、パチンコ機1手前方向に排出されるようになっている。
また、円形誘導部54の溝部54bは、所定の幅(本実施形態では、遊技球の直径寸法より広い幅)を有し、遊技球の転動が可能である。本実施形態では、遊技球の直径寸法よりも十分に広い幅を有するように溝部54bが形成され、円形誘導部54における遊技球の自由度を高めることで、円形誘導部54における遊技球の転動それぞれに変化を持たせることができる。また、本実施形態では、円形誘導部54の外周及び内周の壁部54aは円形誘導部54の上部表面から上方に遊技球の直径寸法よりも小さい高さを有するように突出形成され、円形誘導部54の溝部54bを転動する遊技球の略全体が視認可能となっている。
なお、本実施形態では、円形誘導部54をパチンコ機1手前方向に所定の角度で傾斜するように載置するが、円形誘導部54の外周に沿って壁部54aが突出形成されるため、円形誘導部54の溝部54bを転動する遊技球は外周と接触して内側に弾かれ、円形誘導部54からパチンコ機1手前方向に落下しない。つまり、壁部54aは、円形誘導部54からの遊技球の落下を防止する落下防止手段である。また、本実施形態では、壁部54aを遊技球の直径寸法よりも小さい高さを有するように突出形成することで溝部54bを転動する遊技球を視認可能としているが、壁部54aを透明樹脂(例えば、ABS樹脂等のアクリル樹脂等)で形成することにより、壁部54aを円形誘導部54(溝部54b)の上部表面からの高さを遊技球の直径寸法以上となる高さで突出形成してもよい。
また、円形誘導部54の内周の壁部54aは、その一部が切り取られた切欠部を有する。本実施形態では、円形誘導部54の内周奥側の一部に穿設された切欠部54cと、内周手前側の一部に穿設された切欠部54dとを有し、内周手前側の切欠部54dは内周奥側の切欠部54cよりも広範囲に亘って壁部54aが切り取られ、内周手前側の切欠部54dに対応する溝部54b(溝部54bにおける内周手前側の切欠部54dのパチンコ機1の手前側に位置する部分)はパチンコ機1奥側に傾斜し、内周手前側の切欠部54d方向に遊技球を排出する。また、円形誘導部54は、その中空部の下方に案内通路58が位置するように載置され、円形誘導部54の奥側の切欠部54cと案内通路58とを連結する上部誘導路55が形成されると共に、円形誘導部54の手前側の切欠部54dの一部と案内通路58とを連結する下部誘導路56が形成されている。
また、円形誘導部54の奥行方向の奥位置の左右両部には、ステージ50に突出形成される支持部材57の上部に載置し、球誘導部材65の上部誘導口68と、円形誘導部54と、を橋掛けする上部レール52が連結し、円形誘導部54の奥行方向の手前位置の左右両部には、ステージ50に突出形成される支持部材57の上部に載置し、球誘導部材65の下部誘導口69と、円形誘導部54と、を橋掛けする下部レール53が連結される。なお、上部レール52及び下部レール53の上流端は、前記分岐部材67aを挟んで近接設置している(図7参照)。
また、上部レール52及び下部レール53は、図11に示すように、それぞれ誘導通路の両側壁部分を形成する棒状のレール部材59a(棒状部材)と、誘導通路の底面部分を形成して上部レール52及び下部レール53の強度を増加させると共にレール部材59aの間隔を一定に保たせる枕木部材59bと、を有している。なお、本実施形態では、レール部材59aの間隔が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように枕木部材59bが遊技球の直径寸法よりも小さい幅で形成され、上部レール52及び下部レール53を転動する遊技球は、レール部材59aに挟持されつつ流下する。従って、上部レール52及び下部レール53を転動する遊技球が視認可能となる。
また、上部レール52及び下部レール53は、上部誘導口68及び下部誘導口69から円形誘導部54に向けて所定の下り傾斜を有するように設けられる。また、本実施形態では、遊技球がレール部材59aに挟持されて流下するため、進行方向、つまり、円形誘導部54に流下する方向以外への転動が規制され、一方向、つまり、円形誘導部54に流下する方向への転動が許可される。
また、上部レール52及び下部レール53の下流部(円形誘導部54に近い側)は、転動する遊技球が円形誘導部54の曲率に沿って送り込まれるように湾曲している。このため、上部レール52及び下部レール53を転動する遊技球は、その勢いを殺すことなく円形誘導部54に遊技球を誘導される。
なお、レール部材59aの間隔を遊技球の直径寸法以上として枕木部材59b上を遊技球が転動するように構成してもよく、この場合には、レール部材59aを枕木部材59bの上部表面から遊技球の直径寸法よりも小さい程度の高さを有するように突出形成することで、枕木部材59bを転動する遊技球が視認可能としてもよいし、レール部材59aを透明樹脂(例えば、ABS樹脂等のアクリル樹脂等)により形成することによりレール部材59aの高さに制限されることなく遊技球を視認可能となるように構成してもよい。
また、本実施形態では、ステージ50上部表面から遊技球の直径寸法以上の高さを有する複数の支持部材57に円形誘導部54、上部レール52、及び、下部レール53が載置されるため、円形誘導部54、上部レール52、及び、下部レール53を転動する遊技球と、ステージ50上を転動する遊技球と、が接触しない。このため、円形誘導部54、上部レール52、及び、下部レール53を転動する遊技球がステージ50上を転動する遊技球によって弾かれてステージ50上に落下し、円形誘導部54、上部レール52、及び、下部レール53を転動しているときの始動口(第1始動口72及び第2始動口73)への入賞率よりも低くなることによって遊技者の興趣が低下することを防止できる。
なお、前面装飾体80の左上部に設けられた揺動通路部材43及びセンターユニット40の回転役物61の下部に設けられた球通路部材49に進入した遊技球は、球誘導部材65の連結通路66により分岐通路67に誘導される。そして、分岐通路67を流下し、上部誘導口68から上部レール52の上流端に排出された遊技球は、上部レール52上を転動して円形誘導部54の溝部54bに誘導され、下部誘導口69から下部レール53の上流端に排出された遊技球は、下部レール53上を転動して円形誘導部54の溝部54bに誘導される。このようにして、円形誘導部54に誘導された遊技球は、溝部54bを転動して円形誘導部54の切欠部54c,54dの一方から落下し、円形誘導部54から排出される。
また、円形誘導部54の内周奥側の切欠部54cから排出された遊技球は、上部誘導路55を通って案内通路58に誘導される。一方、内周手前側の切欠部54dから排出された遊技球は、下部誘導路56を通って案内通路58に誘導可能であるが、切欠部54dに対して下部誘導路56が幅狭で形成されるため、一部の遊技球は案内通路58に誘導されずにステージ50の表面に落下してパチンコ機1手前方向に転動し、排出ステージ80aから排出される。案内通路58に進入した遊技球は、前面装飾体80に形成された放出口51へと誘導されて排出される。
ここで、円形誘導部54からの遊技球の球流れについて説明する。図11に示すように、上部レール52又は下部レール53を流下した遊技球が円形誘導部54に送り込まれると、当該遊技球は、円形誘導部54上を転動することで、円形誘導部54の通路形状(環状)に沿って回転して動く。その後、遊技球の回転速度が減速すると、遊技球は、円形誘導部54に穿設された切欠部54c,54dの一方から落下して円形誘導部54から排出される。内周奥側の切欠部54cから排出される遊技球P1は、上部誘導路55を通って案内通路58に入り込み、案内通路58を通過して放出口51から再度遊技領域12に排出される。なお、放出口51は、前述したように可変入賞装置70の真上に形成されており、これによって放出口51から排出された遊技球、つまり内周奥側の切欠部54cから排出される遊技球P1は、始動口(第1始動口72)への入賞率が高く(ほぼ100%に近い確率)なっている。
次に、内周手前側の切欠部54dから排出される遊技球の球流れについて説明する。内周手前側の切欠部54dから排出される遊技球は、下部誘導路56上を流下するものと、下部誘導路56から外れてステージ50上にそのまま落下するものとに分かれる。下部誘導路56上を流下する遊技球P2は、上部誘導路55上を流下する遊技球(内周奥側の切欠部54cから排出される遊技球P1)と同様に、案内通路58に入り込み、案内通路58を通過して放出口51から再度遊技領域12に排出される。これにより、内周手前側の切欠部54dから排出されて下部誘導路56上を流下する遊技球P2は、始動口(第1始動口72)への入賞率が高く(ほぼ100%に近い確率)なっている。一方、下部誘導路56から外れてステージ50上に落下した遊技球P3は、ステージ50上をパチンコ機1手前方向に転動し、幅広の球排出部分を有する排出ステージ80aから再度遊技領域12に排出される。このため、内周手前側の切欠部54dから排出された後に下部誘導路56から外れてステージ50上に落下した遊技球P3は、放出口51から再度遊技領域12に排出される遊技球P1,P2に比べて始動口(第1始動口72又は第2始動口73)への入賞率が低くなっている。
なお、上部レール52を流下して勢いよく円形誘導部54に送り込まれた遊技球は、円形誘導部54上を勢いよく転動してそのまま上部誘導路55又は下部誘導路56に送り込まれ易くなっている。このため、上部レール52を流下した遊技球は、下部レール53を流下した遊技球に比べて案内通路58に入り易く、始動口(第1始動口72)に入賞し易い構成となっている。
ところで、上記したようなステージ50の構成において、ステージ50上を転動する遊技球は、下部誘導路56から外れてステージ50上に落下した遊技球だけではなく、障害釘との衝突によって遊技領域12からステージ50上に跳ね上がった遊技球も転動するようになっている。つまり、排出ステージ80a下方の遊技領域12を流下する遊技球が障害釘に衝突してステージ50(排出ステージ80aを含む)上に跳ね上がり、ステージ50を転動して再度排出ステージ80a(球排出部分)から遊技領域12に排出される場合がある。このため、円形誘導部54を転動した遊技球が下部誘導路56から外れてステージ50上に落下した場合には、当該遊技球(P3)がステージ50上に跳ね上がった遊技球に弾かれるときがある。従って、排出ステージ80aから第1始動口72及び第2始動口73に向けて排出される遊技球P3が跳ね上がった遊技球との衝突によって排出方向が変わり、始動口(第1始動口72又は第2始動口73)に入賞する可能性がまったくない方向に排出される事態を生じる場合がある。これに対して、円形誘導部54を転動した遊技球が上部誘導路55又は下部誘導路56を通った後に案内通路58を介して放出口51から遊技領域12に排出される場合、当該遊技球(P1,P2)は、ステージ50上に跳ね上がった遊技球に弾かれることなく、遊技領域12に排出される。このため、第1始動口72に向けて排出される遊技球P1,P2は、跳ね上がった遊技球と衝突することがないので、始動口(第1始動口72又は第2始動口73)に入賞する可能性がまったくない方向に遊技球P1,P2が排出される事態を生じることがない。
また、本実施形態では、上部レール52の上流端部(上部誘導口68)の高さ位置は、下部レール53(下部誘導口69)に比べて高い位置に配置されている。言い換えれば、上部レール52は、下部レール53に比べて傾斜角度が大きくとられている。このため、分岐通路67によって上部誘導口68側に分岐誘導された遊技球は、傾斜角度の大きい上部レール52上を流下することで、勢いよく円形誘導部54に送り込まれる。これに対して、分岐通路67によって下部誘導口69側に分岐誘導された遊技球は、傾斜角度の小さい下部レール53上を流下することで、勢いが抑えられて円形誘導部54に送り込まれる。従って、上部レール52上を流下した遊技球は、下部レール53上を流下した遊技球に比べて円形誘導部54上にて転動する幅(移動幅:円形誘導部54の外周に沿って転動する回転数)が大きくなる。このように、分岐通路67によって遊技球の誘導方向を分岐(上部レール52又は下部レール53)することで、円形誘導部54に送り込む遊技球の勢い(流下速度)を異ならせることができ、円形誘導部54上での球流れの態様に変化を持たせることができる。
なお、本実施形態では、円形誘導部54の奥行方向の奥位置(パチンコ機1の正面に対面する遊技者から遠い側)の上部レール52の上流端部を下部レール53の上流端部よりもステージ50表面からの高さ位置が高くなるように構成し、ステージ50の奥行方向の奥位置に配置される上部レール53上を転動する遊技球の視認を下部レール53によって妨げられないため、上部レール52を遊技球が転動した場合にも遊技者の興趣を低下させない。
また、上述したように、揺動通路部材43及び球通路部材49から進入した遊技球はその勢いが完全に抑えられて、上部誘導口68にて上部レール52又は下部誘導口69にて下部レール53の上流端に誘導される。また、上部レール52及び下部レール53が上流端(上部誘導口68及び下部誘導口69)から円形誘導部54に向けて所定の下り傾斜を有するように設けられるため、上部レール52及び下部レール53それぞれによって付勢されて遊技球が所定の勢いで円形誘導部54に送り込まれる。このため、揺動通路部材43及び球通路部材49に進入する遊技球の勢い(進入速度)に起因することなく円形誘導部54にて十分に遊技球を転動させることが可能となり、その性能を十分に発揮することができる。つまり、円形誘導部54における遊技球の転動幅は、上部レール52及び下部レール53それぞれによって付勢された勢い(転動速度)のみに起因し、揺動通路部材43及び通路部材49に進入する遊技球の勢いが弱い(進入速度が遅い)場合であってもその影響を受けて円形誘導部54での移動幅(遊技球の回転回数)が狭くならない。
なお、本実施形態では、円形誘導部54を中空円形状の部材によって形成し、円形誘導部54を転動する遊技球を切欠部54c,54dの一方から落下させることにより案内通路58又はステージ50の表面に落下させるが、円形誘導部54を複数の穴を有する円形状(中空でない)に形成し、複数の穴のうちいずれかを案内通路58と連通させ、他の穴を案内通路58と連通させないように形成するようにしてもよい。つまり、案内通路58と連通する穴に遊技球が落下したときにのみ案内通路58に遊技球が進入するようなクルーン状に円形誘導部54を形成してもよい。
また、前面装飾体の左上部に設けられた揺動通路部材43及び前面装飾体43の右上部に設けられた球通路部材49における遊技球の初速が速い場合には、円形誘導部54の溝部54bにおける遊技球の移動幅がさらに広くなるが、円形誘導部54の溝部54bに沿って周回し、上部誘導路55及び下部誘導路56に誘導される機会が増大するため、遊技者の始動口(第1始動口72又は第2始動口73)への入賞に対する期待感を向上させることができる。
また、ステージ50の上部表面には、特図始動記憶ランプ47が突出形成されている。特図始動記憶ランプ47は、図12に示すように、ステージ50上に立設された円柱形状の支柱部47aと、該支柱部47aの上端部分に設けられた点灯部47bと、を備えている。支柱部47a及び点灯部47bは、それぞれ透光性を有する合成樹脂材料によって一体成形されており、点灯部47bは、ベルを象った形状に形成され、その内部にランプが内蔵される。また、点灯部47bの後面部分(画像表示装置42と対向する側の面部分)には、反射塗料が塗布されており、その反射塗料の塗布部分(図12に示す点灯部47bの網掛け部分)がリフレクター部47cを構成している。リフレクター部47cは、内臓ランプの光を後方(画像表示装置42側)に透過することなく前方(遊技者側)に反射することで、遊技者側からの特図始動記憶ランプ47の点灯/消灯における視認性を向上するようになっている。なお、点灯部47bの後面部分にリフレクター部47cを設けることで奏し得る効果としては、特図始動記憶ランプ47の視認性の向上に加え、内臓ランプの光を後方に透過させないことで、画像表示装置42での画像表示の視認性も向上するようになっている。
また、ステージ50上の特図始動記憶ランプ47は、ステージ50の左手前部であり下部レール53よりもパチンコ機1の手前側となる位置に2つ、ステージ50の右手前部であり下部レール53よりもパチンコ機1の手前側となる位置に2つ、の合計4つ突出形成されており、これら4つの特図始動記憶ランプ47は、それぞれ先端部に象られたベル(点灯部47b)の高さが全て一致するように形成されている。つまり、正面視で左右両側からそれぞれ中央に向って下り傾斜したステージ50上において、左右両側に位置する2つの特図始動記憶ランプ47は、中央寄りに位置する2つの特図始動記憶ランプ47に比べて支柱部47aの高さが短く形成されることで、点灯部47bの高さ位置が全て一致するようになっている。また、4つの特図始動記憶ランプ47は、それぞれ正面視でステージ50の中央に寄った位置に設けられることで、始動記憶数を示す点灯が遊技者側から確認し易いようになっている。
また、上記した4つの特図始動記憶ランプ47は、前述したようにそれぞれ下部レール53よりもパチンコ機1の手前側となる位置、言い換えればステージ50(球受けステージ80aを含む)が遊技領域12に臨む一端側に突設されている。このため、遊技領域12を流下する遊技球が障害釘に衝突してステージ50(球受けステージ80aを含む)上に跳ね上がるような場合でも、跳ね上がった遊技球は、必ずしもステージ50(球受けステージ80aを含む)上に入り込むことはなく、ステージ50上の特図始動記憶ランプ47と衝突して再度遊技領域12に跳ね戻されることがある。
ところで、上記した特図始動記憶ランプ47は、遊技球の直径よりも大きい高さ寸法(ステージ50面から点灯部47bの上端までの高さ寸法)に形成される。これにより、遊技領域12から跳ね上がった遊技球が特図始動記憶ランプ47を飛び越してステージ50上に入り込むことを回避することができる。また、特図始動記憶ランプ47は、ステージ50(球受けステージ80aを含む)の遊技領域12に臨む一端部分に沿って複数(実施形態中では、4つ)並設されている。このため、本実施形態のように、ステージ50(球受けステージ80aを含む)の遊技領域12に臨む一端部分を幅広に形成した場合でも、複数の特図始動記憶ランプ47によって遊技領域12から跳ね上がった遊技球の侵入を阻止することができる。然も、4つの特図始動記憶ランプ47は、それぞれステージ50の中心線に対して左右対称となる位置に配置されており、ステージ50の左右両方向から流れ込んで跳ね上がる遊技球を均等に阻止することができる。
また、ステージ50は、その基体となる構成部材(以下、これをステージ基体89(面基体)という)が非透光性の合成樹脂材料によって形成されており、ステージ基体89の複数箇所(具体的には、図13に示すように、円形誘導部54の下方となるステージ50の中央箇所と、左右の球誘導部材65の近傍となるステージ50の両側箇所)には、透光性の合成樹脂材料からなる透光装飾部材90(透光部、透光部材)が取り付けられている。透光装飾部材90の上面は、平坦面状をなしてステージ50面の一部を構成すると共に、その形状が「池」の形を象った外周曲線形状に形成されている。なお、ステージ50の前端側(遊技者側)には、透光装飾部材90の上面とステージ基体89の上面とによって、前端側に向かって下る段差が形成される。これにより、ステージ50から遊技領域12に向かって転動する遊技球に勢いを付けることができる。
透光装飾部材90の下方には、透光装飾部材90と同様に透光性の合成樹脂材料からなる乱反射板91(乱反射部)と、ランプ基板92(発光手段)とが設けられている。乱反射板91は、透光装飾部材90の外周形状に沿った板状の部材からなり、その上面には、乱反射用の凹凸部91aが連続的に形成されている。なお、凹凸部91aは、ステージ50の中央位置を中心として放射状に連なって形成されている。また、透光装飾部材90と乱反射板91は、一体的にステージ基体89にビス止めして取り付けられる。また、透光装飾部材90の外周端部には、透光装飾部材90の下面と乱反射板91の上面(凹凸部91a)との間に所定の間隔を設けるための位置決め用のフランジ片90aが全周に亘って立設されている。ランプ基板92は、その上面に複数のランプ93が実装され、該複数のランプ93が乱反射板91の下面と当接した状態で透光装飾部材90の下方に配置される。
そして、ランプ基板92のランプ93から照射される光は、乱反射板91によって乱反射されて透光装飾部材90を下方から照明する。言い換えれば、ステージ50上の「池」を象った透光装飾部材90が部分的に光照明される。これにより、ステージ50(透光装飾部材90)上を光装飾することができると共に、ステージ50(透光装飾部材90)上を転動する遊技球は、ランプ93の光によって下方から照らされ、その視認性が向上される。なお、透光装飾部材90を下方から照明する光(ランプ93から照射される光)は、乱反射板91によって乱反射されることで、透光装飾部材90の下方を均一に照明する。
また、ランプ93から照射される光は、透光装飾部材90を透してその上方に照射される。このため、枕木を備えた線路のようなレール形状(溝部54b,59bに複数の穴が連続的に穿設された形状)をなす円形誘導部54、上部レール52、及び下部レール53に対して、ランプ93から照射される光は、溝部54b,59bの穴を通して上方に透過する。従って、円形誘導部54、上部レール52、及び下部レール53を流下する遊技球においても、ステージ50(透光装飾部材90)上を転動する遊技球と同様に、ランプ93の光によって下方から照らされ、その視認性が向上される。
[6.回転ユニットの構造]
次に、センターユニット40の正面右上部に設けられる回転役物61について説明する。図14は回転役物61を含む回転ユニット60を右上方から見た斜視図であり、図15(A)は回転ユニット60の側面図であり、図15(B)は回転ユニット60の断面図である。
また、本実施形態では、センターユニット40の正面右上部に回転役物61が設けられている。上述したように、パチンコ機1においては、遊技領域12の左上方から遊技球が打ち出される。また、一般的に、パチンコ機1にて遊技を行う遊技者は、センターユニット40の左側に遊技球を流下させて第1始動口72及び第2始動口73への遊技球の入賞を狙う。このため、本実施形態では、最も遊技者の遊技に影響を与えない遊技領域12の正面右上部に対応するセンターユニット40の正面右上部に回転役物61を設けている。
[6−1.回転ユニット]
回転ユニット60は、図14に示すように、モータ63の回転軸(モータ軸63a)の先端部に設けられた回転役物61と、回転役物61を回転駆動するモータ63と、モータ63の回転軸(モータ軸63a)が内蔵されると共に、各種基板を備えた回転役物本体62と、回転役物本体62に螺着される取付基板64と、から構成される。また、モータ軸63aの先端部には回転役物61が装着され、回転役物61の背面側にはモータ軸63aが内蔵されると共に役物制御基板115等からの信号を中継する中継基板が内蔵される回転役物本体62が位置し、さらにその背面側にモータ63が位置している。また、取付基板64が回転役物本体62に螺着され、この取付基板64に形成された取付孔64aにネジを挿入して遊技盤4の背面側に螺着する。
本実施形態における回転役物61は、前面の前面板611と、上下の側板612と、左右の側板613と、背面の底板614(図15(B)参照)と、によって直方体状(棒状ともいう)に形成される。また、底板614から前面板611までの高さ<上側の側板612から下側の側板612までの縦の長さ<左側の側板613から右側の側板613までの横の長さ、の順に長くなるように形成されている。なお、本実施形態における回転役物61は、少なくとも左側の側板613から右側の側板613までの横の長さが他の辺よりも長くなるように構成すればよく、底板614から前面板611までの高さと上側の側板612から下側の側板612までの縦の長さとが同一であってもよいし、一方が長くなるようにしてもよい。
また、上下の側板612と、左右の側板613と、背面の底板614と、は一体的に形成され、底板614から上方に開口した状態となっている。そして、開口を塞ぐように前面板611を上方から装着することにより密閉する。なお、回転役物61には、多色発光可能な発光体(LED)を、複数(本実施形態では、8個)備えた基板が内蔵されている。この基板は、多色発光可能な8個のLED(LED群61a)を発光制御するIC(後述するシフトレジスタLEDドライバ61s)と、このIC及びLED群61aに電力を供給する、2次電源としてのコンデンサ(後述するコンデンサ61c)、等が搭載されている。
本実施形態では、底板614から前面板611方向に上部が前面板611と略平行に形成されると共に、側板612、613の一方から回転役物61の内側方向に突出するように形成された複数の保持部614aが設けられている。保持部614aは、底板614から所定の高さ(前面板611方向への高さ)を有するように形成され、上述した基板が載置されるものである。また、この基板が載置されることにより回転役物61の内部領域が前面板611側と底板614側との2つの領域に分割される。後述するが、基板の背面側(基板の底板614側)にはコンデンサ、IC等が搭載され、保持部614aは、コンデンサ、ICが搭載可能となるように突出形成される。つまり、底板614からの高さは、コンデンサ、IC等が搭載可能な程度であればよい。
また、図示しないが、前面板611には、底板614及び側板611、613に形成された保持部614aに対応する位置に保持部が形成されている。底板614及び側板611、613に形成された保持部614aと前面板611に形成された保持部とは載置される基板の厚みと同程度の間隔を有するように形成される。そして、前面板611を装着していない状態で回転役物61内部に基板を挿入し、保持部614aに基板を載置する。そして、前面板611を装着することにより前面板に形成された保持部と底板614及び側板611、613に形成された保持部614aとによって基板が挟持されて固定される。さらに、底板614側から底板614、基板、前面板611、をネジで螺着して密閉することにより回転役物61が組み立てられる。また、このとき基板は回転役物61の内側周側面に当接した状態であり、底板614及び側板611、613に形成された保持部614aと前面板611に形成された保持部とによって挟持されることにより回転役物61内部にかっちりと固定されて回転役物61を回転させたときに回転役物61と一体的に回転する。
また、回転役物61の上下の側板612の底板614側及び底板614には複数の通気孔61bが設けられている。回転役物61を回転することにより通気孔61bから空気が流入し、回転役物61の内部の空気を循環する。なお、回転役物61に内蔵される基板に搭載されるLED群61a、IC、コンデンサ、等は、基板にはんだ付けされる。また、LED群61a、IC、コンデンサ、等は、動作するときに発熱し、はんだが溶けて基板から剥がれ落ちたり、接触不良を生じたりする虞がある。このため、通気孔61bを形成し、回転役物61を回転させたときに回転役物61内部の空気を循環させることによりLED群61a、IC、コンデンサ、等を冷却して温度上昇を抑えるように構成している。また、回転役物61に内蔵される基板にコンデンサを搭載して蓄電することにより、LED群61a及びICを安定して駆動できる。
[6−2.回転役物の断面図]
図15(B)には図示しないが、LED群61a、IC、コンデンサ、等を搭載した基板は、回転役物61の上下の側板612と、左右の側板613と、によって囲まれた領域と同程度の領域を有して回転役物61の内側周側面に当接し、かつ、回転役物61の前面板611に対して平行に取り付けられている。また、LED群61aは、基板の前面に搭載され、IC及びコンデンサは、基板の背面に搭載される。また、図15(B)に示すように、回転役物61の底板614の中央(底板614長手方向中央線と、底板614短手方向中央線と、の交点)にモータ63のモータ軸63aが挿入され、回転役物61の中央と、回転役物61の回転軸と、は一致している。つまり、本実施形態における回転役物61は、モータ軸63aから底板614の長手方向一端側の長さと、底板614の長手方向他端側の長さと、が同一であり、かつ、モータ軸63aから底板614の短手方向一端側の長さと、底板614の短手方向他端側の長さと、が同一である。
また、本実施形態では、LED群61aは、基板の略中央から左右の側板613の一端側の領域に基板短手方向中央線に沿って等間隔でLEDが搭載される(図4参照)。また、LED群61aが搭載される一端側の領域においてその基板背面には基板短手方向中央線に沿ってICが搭載され、LEDが搭載されない他端側の領域においてその基板背面には基板短手方向中央線に沿ってコンデンサが搭載されている。さらに、本実施形態では、ICを回転役物61の回転軸(回転役物61の中央)から基板長手方向の近い位置に設置し、コンデンサを回転役物61の回転軸(回転役物61の中央)から基板長手方向の遠い位置(回転役物61の基板長手方向端部に近い位置)に設置すると共に、基板短手方向中央線に沿って各部材を設置することにより、LED群61a及びICが搭載される一端側と、コンデンサが搭載される他端側と、の重量バランスを均等に保ち、基板の中央に基板の重心となるように構成している。なお、基板の中央は、回転役物61の中央と一致し、回転役物61の重心は基板の重心と一致する。上述したように、モータ軸63aは、回転役物61の中央に挿入され、回転役物61の中央と、回転役物61の回転軸と、は一致しているため、回転役物61の重心(回転役物61に内蔵される基板の重心)と、回転役物61の回転軸と、は一致している。
このように、本実施形態では、モータ軸63aを中心として重量バランスが均等になるように回転役物61が形成され、回転役物61の重心と、回転役物61の回転軸と、が一致するため、遠心することを防止できると共に、遠心により発生する振動を低減させることができる。さらには、モータ63を高速回転させることが可能になると共に、モータ63の急回転及び急停止させることが可能となり、ひいては、モータの脱調を防止することができる。
以上のように構成される回転ユニット60は、役物CPU116からの駆動信号に基づいてモータ63を高速で駆動することにより回転役物61を高速回転(本実施形態では、1分間に1200回転)させる。また、このときLED群61aを所定の発光パターン(例えば、発光時間、発光位置、発光色、等のパターン)で発光制御することにより複数種類の態様(例えば、花火等)の残影(残像ともいう)を表示させる。一般的にモータ63の回転速度を上げることによりきれいな残影を表示できる。本実施形態では、モータ63を1分間に600回転の回転数で回転させることによっても残影を表示することが可能であったが、よりきれいな残影を表示するためには1分間に1200回転程度の回転数が必要である。なお、モータ63の回転数を1分間に1200回転以上にすることでさらにきれいな残影を表示するように構成してもよい。
このように、本実施形態では、モータ63を高速で回転させてLED群61aを所定の発光パターンで発光制御することにより複数種類の態様の残影を表示するため、残影にて複数種類の態様を表示しない場合に比べて搭載するLEDの個数を減らすことができ、パチンコ機1の製造コストを低減できるという利点がある。しかし、残影を表示するためにはモータ63を高速で回転させなければならず、モータ63を高速で回転させることにより振動の発生及び振動の度合い(大きさ)が増大し、遊技領域12を流下する遊技球やステージ50上を転動する遊技球に影響を与える虞があった。本実施形態で用いられるパチンコ機1は、モータ63を駆動することにより発生する振動が遊技球の転動に影響を与えないようにセンターユニット40を構成する各部材の遊技盤4への取付方法を工夫している。
[7.回転ユニットの回路構成]
次に、回転ユニット60の回路構成について説明する。図16は回転ユニット60のブロック図である。
回転ユニット60は、上述したように、回転役物61、回転役物本体62及びモータ63等により構成されている。回転役物61は、図16に示すように、LED群61a、シフトレジスタLEDドライバ61s及びコンデンサ61cを備えている。LED群61aは、8個のLED(LED0〜LED7)からなり、LED0〜LED7は、赤色(R)の発光素子、緑色(G)の発光素子及び青色(B)の発光素子をそれぞれ備えており、赤色、緑色及び青色の単色による発光以外に、Rの発光素子、Gの発光素子及びBの発光素子(以下、RGBの発光素子と記載する。)を組み合わせて発光させることにより、紫色、黄色、空色、白色等の色を表現することができる。シフトレジスタLEDドライバ61sは、後述する回転役物本体62に備えた信号受信部62rから出力された信号に応じて、LED群61aを駆動する(発光させる)。コンデンサ61cは、シフトレジスタLEDドライバ61s及び信号受信部62rに2次電源として電力を供給する。
回転役物本体62は、図16に示すように、信号伝送部62t、信号受信部62r、電源供給部62p及びスリップリング62sを備えている。信号伝送部62tは、役物制御基板115から出力された各種信号(後述するRGBデータ(TX−R,TX−G,TX−B)、転送クロックTX−CLK及びラッチ信号TX−LAT)が入力されたとき、この各種信号を光通信により信号受信部62rに送信する。信号受信部62rは、この各種信号を受信し、回転役物61に備えたシフトレジスタLEDドライバ61sに出力する。上述した光通信は、信号伝送部62tに備えた図示しない赤外線LEDを発光させて、信号受信部62rに備えた図示しないフォトトランジスタに受光させることにより行う。
なお、シフトレジスタLEDドライバ61sは、Rの発光素子用のRシフトレジスタと、Gの発光素子用のGシフトレジスタと、Bの発光素子用のBシフトレジスタと、を備え、Rシフトレジスタ、Gシフトレジスタ及びBシフトレジスタ(以下、RGBシフトレジスタと記載する。)は、8ビット(1バイト)の記憶容量をそれぞれ有し、転送クロックTX−CLKに同期して、1ビットずつ、RGBデータの赤色(R)のデータTX−RをRシフトレジスタが取り込み、RGBデータの緑色(G)のデータTX−GをGシフトレジスタが取り込み、RGBデータの青色(B)のデータTX−BをBシフトレジスタが取り込む。ラッチ信号TX−LATが入力されると、このラッチ信号TX−LATを契機として、RGBシフトレジスタに取り込んだRGBデータに応じて、LED0〜LED7のそれぞれに備えたRGBの発光素子を駆動し、LED0〜LED7が発光する。
電源供給部62pは、図示しないカーボンブラシをスリップリング62sに面接触させて、このスリップリング62sを介して、信号受信部62r、シフトレジスタLEDドライバ61s及びコンデンサ61cに電力をそれぞれ供給する。このとき、コンデンサ61cは、電力を蓄電する。この「スリップリング」とは、回転体に電力を供給するため、又は電気信号を伝達するための機構であり、本実施形態では、上述したように、電力を供給するために用いられている。
モータ63は、ステッピングモータであり、96ステップで1回転する。このモータ63のモータ軸63aには、モータ63の本体側から順に、信号受信部62r、スリップリング62sが取り付けられ、そしてモータ軸63aの先端には、回転役物61が取り付けられている。信号受信部62r、スリップリング62s及び回転役物61は、モータ63の回転にともない、一体となって回転する。
信号受信部62rには遮蔽板62bが設けられ、回転役物本体62には、この遮蔽板62bを検出する透過型フォトインターラプタ62iが内蔵されている。透過型フォトインターラプタ62iの検出領域である凹部では、モータ63の回転により、遮蔽板62bが入り込み、そして出て行くという動きが繰り返し行われる。このとき、透過型フォトインターラプタ62iは、遮蔽板62bが凹部に入り込んできたことを検出すると、この検出信号(POS−IN信号)を役物制御基板115の役物CPU116に出力する。
回転役物61は、回転しながらLED群61aを発光させるため、例えば、RGBの発光素子をすべて発光させる(白色を発光させる)場合では、LED群61aで消費する電力が大きくなるため、信号受信部62r及びシフトレジスタLEDドライバ61sに供給する電力が不足することがある。このような場合には、2次電源用のコンデンサ61cにより、不足した電力を賄うため、安定した電力がシフトレジスタLEDドライバ61s及び信号受信部62rに供給される。このため、シフトレジスタLEDドライバ61sは、輝度むらの少ない状態で、LED群61aを発光させることができる。
信号受信部62r、スリップリング62s及び回転役物61は、モータ軸63aにそれぞれ固定されており、モータ63の回転にともない、一体となって回転する。このとき、一時的に、カーボンブラシがスリップリング62sから離れることがあり、電源供給部62pから供給される電力が途絶えることがある。このような場合にも、2次電源用のコンデンサ61cにより、安定した電力がシフトレジスタLEDドライバ61s及び信号受信部62rに供給される。このため、モータ63を連続回転し続けても、シフトレジスタLEDドライバ61sは、輝度むらの少ない状態で、LED群61aを発光させることができる。
[8.各部材の取付方法]
次に、センターユニット40を構成する各部材の遊技盤4への取付方法について説明する。図17は遊技盤4の前面方向から見たセンターユニット40の分解斜視図であり、図18は遊技盤4の背面方向から見たセンターユニット40の分解斜視図であり、図19は背面装飾体82を示す正面斜視図であり、図20は取付ユニット81を示す背面斜視図であり、図21(A),(B)はステージユニット50aの遊嵌凸部及び取付ユニット81の遊嵌凹部を示す断面図であり、図22は遊技盤4の背面図であり、図23は遊技盤4の背面斜視図であり、図24(A)は遊技盤4の正面図であり、図24(B)は遊技盤4を図24(A)のS−T平面で切った場合の断面図であり、図25は図24(B)の拡大図であり、図26はパチンコ機1に遊技盤4を取り付けた状態で前面枠5を取り外した状態の正面図であり、図27は遊技盤4の取付機構の拡大図であり、図28は遊技領域12の大きさを示す概略図である。
図17及び図18に示すように、本実施形態のセンターユニット40は、遊技盤4を挟んで前後に分割された前面装飾体80及びリアユニット83から構成される。具体的には、遊技盤4の前面側に前面装飾体80が位置し、この前面装飾体80は遊技盤4に対してその前面側から取り付けられる。逆に遊技盤4の背面側には、取付ユニット81(取付部材)と、背面装飾体82(装飾部材)と、回転役物61を含む回転ユニット60と、から構成されるリアユニット83が位置し、遊技盤4に対してその背面側から取り付けられる。さらに、背面装飾体82は、取付基板86(背面取付部材)と、球誘導部材65と、前記ステージ50のうち前面装飾体80の下縁部に形成された球受けステージ80aを除くステージユニット50a(転動面形成部材)と、上部装飾体87と、画像表示装置42と表示制御基板120とを含む表示ユニット85と、から構成される。
また、遊技盤4には、その合板材を厚み方向に刳り貫いた貫通孔4aが形成されている。この貫通孔4aは、遊技領域12の中央からやや上よりの範囲にかけて大きく開口しており、その開口形状は、前面装飾体80の外形にほぼ合致している。センターユニット40を構成する各部材のうち遊技盤4の前面側から取り付けられる前面装飾体80は、その中央部及び右上部が厚み方向に刳り貫かれた中空形状を有している。
なお、リアユニット83のうち最も遊技盤4に近い側に位置する取付ユニット81は、その中央から右上部にかけて厚み方向に刳り貫かれた開口部を有し、前面側に左右一対のボス孔81aが形成され、取付ユニット81の右上部に形成された開口部の背面側上方にはボス81bが形成されている。また、取付ユニット81の背面側には、複数の取付ボス81cも形成されている。さらに、取付ユニット81は、遊技盤4の背面に対向する前面がほとんどフラットな形状に成形されており、このフラットな前面が遊技盤4と接するように取り付けられる。リアユニット83が遊技盤4に取り付けられると、フラットな前面が遊技盤4の背面に密着する(但し製造誤差や歪みによる隙間は許容される)。
また、取付ユニット81のフラットな前面は、貫通孔4aには嵌め込まれないものの、その一部は貫通孔4aに対向する位置関係にある。つまり、取付ユニット81が遊技盤4に取り付けられると、その前面は部分的に貫通孔4aの内側に張り出し、貫通孔4aを通じて遊技盤4の前面側に露出される。但し、この露出する部分は前面装飾体80に覆い隠されるため、遊技者からは直接的に視認されない。
また、取付ユニット81の背面に位置する背面装飾体82は、開口部を有する筐体形状に形成された取付基板86と、取付基板86の開口部下方に取り付けられるステージユニット50aと、取付基板86の開口部両端にステージユニット50a上に立設するように取り付けられた球誘導部材65と、取付基板86の開口部の背面側から取り付けられた表示ユニット85と、取付基板86の開口部上方に取り付けられた上部装飾体87と、から構成される。なお、取付基板86の筐体底面部分には、画像表示装置42の表示画面を臨設するための貫通穴が穿設されている。ステージユニット50a、球誘導部材65、及び、上部装飾体87は、それぞれ取付基板86の背面側(筐体底面の裏面側)にネジで螺着して取り付けられる。つまり、ステージユニット50aは、ステージ50以外の部分(具体的には、画像表示装置42の表示画面の外周を額縁状に装飾する額縁部50b)が取付基板86にネジで螺着される。さらに、表示ユニット85の背面側からネジを挿入して螺着して取付基板86に取り付けることで背面装飾体82が組み立てられる。なお、表示ユニット85は、画像表示装置42と、画像表示装置42を表示制御する表示制御基板120と、を一体化した部材である。
また、取付基板86における開口部の外周には、鍔状フランジ部86bが形成されており、該鍔状フランジ部86bには、取付ユニット81に形成された取付ボス81cと対応する複数のボス孔86a(取付部)が形成される。そして、取付ユニット81の取付ボス81cが取付基板86のボス孔86aに差し込まれることにより背面装飾体82の位置決めがなされると共に、取付基板86のボス孔86aの一部に取付基板86の背面側からネジを挿入して取付ユニット81と螺着することにより背面装飾体82が取付ユニット81に取り付けられる。
なお、背面装飾体82が位置決めされて取付ユニット81に取り付けられることにより球誘導部材65が取付ユニット81の開口部左右両端に、ステージユニット50aが取付ユニット81の開口部下端部に、上部装飾体87が取付ユニット81の開口部上端部に、それぞれ位置するように取り付けられる。また、ステージユニット50aは、その一部がフラットに形成され、取付ユニット81のフラットな前面と同一面となるように取り付けられている。このように、取付ユニット81の開口部の背面側には、球誘導部材65、ステージユニット50a、上部装飾体87、及び、取付基板86の開口部背面側から取り付けられる表示ユニット85の画像表示装置42、が位置する。また、ステージユニット50a及び球誘導部材65は、取付ユニット81の開口部から奥行方向奥側に所定の幅を有し、取付ユニット81の開口部の背面側には、ステージユニット50a、球誘導部材65、上部装飾体87、及び画像表示装置42によって囲まれる所定範囲の空間を有している。
ところで、上記した背面装飾体82と取付ユニット81との取り付け構造において、背面装飾体82の前端部分、具体的には図19に示すようにステージユニット50a(ステージ50)前端における左右両端部分に、取付ユニット81に対する取り付け位置規制用の遊嵌凸部96が設けられている。一方、取付ユニット81の背面側には、図20に示すように、背面装飾体82側の遊嵌凸部96と対応する遊嵌凹部97が設けられている。なお、図20中には、背面視で右側に位置するボス孔81aの上方に設けられた遊嵌凹部97のみを図示するが、背面視で左側に位置するボス孔81aの上方にも同様に遊嵌凸部96と対応する遊嵌凹部97が設けられている。そして、背面装飾体82を取付ユニット81に取り付けた状態で、遊嵌凸部96は、図21(A)に示すように、遊嵌凹部97内に若干の遊びを持って嵌合(遊嵌)される。
なお、背面装飾体82は、前述したように背面装飾体82を構成する取付基板86のボス孔86aが取付ユニット81(取付ボス81c)にネジ止めされて取り付けられるものであるが、このような構成において、背面装飾体82を構成するステージユニット50aは、直接、取付ユニット81にネジ止めされることがない。また、ステージユニット50aは、ステージ50以外の部分(額縁部50b)が取付基板86の背面側からネジで螺着して組み付けられている。このため、ステージ50の前端部分は、固定されることなく取付ユニット81の背面側に配置されることとなる。つまり、ステージユニット50aは、その後面部分がしっかりと取付基板86の下側部分にビスで螺着して取り付けられ(取付基板86の下側部分に立設され)、この状態で取付基板86が遊技盤4の背面側(取付ユニット81)にビス止めされる。また、このように取付基板86を遊技盤4の背面側に取り付けた状態で、ステージユニット50aの前端部分は、遊嵌凸部96が遊嵌凹部97に遊嵌されただけの状態(遊嵌凸部96が遊嵌凹部97との間に隙間が生じた状態)となる。但し、ステージユニット50aの後面部分の螺着により、ステージユニット50aの取付状態における安定性は確保されている。
そこで、上記したステージ50前端の左右両端部分に設けられた遊嵌凸部96を取付ユニット81の遊嵌凹部97に遊嵌することで、ビス止めされないステージ50の取り付け位置を規制するようになっている。つまり、背面装飾体82を取付ユニット81に取り付けた状態において、ステージユニット50aのステージ50部分は、直接的に取付基板86及び取付ユニット81にネジ止めされることがないので、ネジの締め付けによってステージ50に歪みが生じることを回避でき、結果として、ステージ50上で設計と違う偏った方向に遊技球を誘導することを回避できる。然も、ステージ50の前端部分は、遊嵌凸部96が取付ユニット81の遊嵌凹部97に遊嵌されることで、ステージ50に外力が加わった場合(例えば、組み付け時にステージ50の上面を押さえ込む等)でも、ステージ50面に生じる歪を最小限に押さえ込むことができ、外力によってステージ50が破損するのを防止するようになっている。具体的には、ステージ50に外力が加わらない通常の取り付け状態では、遊嵌凸部96と遊嵌凹部97との間には若干の隙間が生じて相互間で作用し合うことはないが、ステージ50に外力が加わってステージ50面に歪が生じた状態では、図21(B)に示すように、遊嵌凸部96の上端又は下端が遊嵌凹部97と当接することで(図21(B)中には、遊嵌凸部96の下端が遊嵌凹部97と当接した場合を例示)、それ以上ステージ50面が押し上げられたり又は押し下げられることを回避する。
また、上述したように、回転ユニット60は、回転役物61と、モータ63と、回転役物本体62と、取付基板64と、から構成される。また、回転役物本体62には、取付ユニット81に形成されたボス81bに対応してボス孔62aが形成される。そして、取付ユニット81のボス81bが回転役物本体62のボス孔62aに差し込まれることにより回転ユニット60の位置決めがなされる。このとき、回転役物本体62は回転ユニット60の位置決めをする役割を担うが、回転ユニット60自体は回転役物本体62に取り付けられない。本実施形態では、回転ユニット60の取付基板64に形成された取付孔64aにネジを挿入して遊技盤4の背面に直接螺着することにより回転ユニット60が遊技盤4に固着される(図22及び図23参照)。また、遊技盤4に回転ユニット60が固着されるときには、モータ63のモータ軸63aが遊技盤4の背面に対して略垂直な状態となるように取り付けられる。
なお、リアユニット83を組み立てるには、まず、回転ユニット60の回転役物61を取付ユニット81の開口部から挿入して取付ユニット81の開口部の右上部から前方に突出させ、さらに、取付ユニット81の背面側に形成されたボス81bを回転役物本体62のボス孔62aに差し込む。この状態で、取付ユニット81の背面側から取付ユニット81の取付ボス81cを取付基板86のボス孔86aに差し込むと共に、その一部のボス孔86aに取付基板86の背面側からネジを挿入して取付ユニット81と螺着することによりリアユニット83が組み立てられる。また、背面装飾体82の取付基板86の右上部が削り取られ、取付ユニット81の右上部に回転ユニット60を配置可能としている。つまり、取付基板86の右上部を削り取ることにより回転ユニット60を挿入する空間が形成され、リアユニット83に回転ユニット60を構成部材として備えることが可能となる。
このようにして組み立てられたリアユニット83では、回転ユニット60が取付ユニット81に螺着されていないため、回転ユニット60が外れてしまう虞がある。本実施形態では、取付基板86の削り取られた右上部の背面側に上方に突出形成された滑落防止部材84を備えている。この滑落防止部材84は、リアユニット83を組み立てたときに、回転ユニット60の回転役物本体62の背部に位置し、回転役物本体62と接触することにより回転ユニット60の滑落を防止するものである。なお、回転ユニット60及び取付ユニット81を遊技盤4に螺着したときには、滑落防止部材84と、回転役物本体62と、は接触しない。
遊技盤4の前面側から取り付けられる前面装飾体80は、その前後方向でみると遊技盤4に対向する後半分の部位(連結挿入部)が貫通孔4a内にすっぽり填り込む形状に成形されており、前面装飾体80は、その後半分の部位を貫通孔4a内に嵌め込んだ状態で遊技盤4に取り付けられるものとなっている。前面装飾体80の後半分の部位は、その前後方向でみた厚みがちょうど遊技盤4の厚みとほぼ同じに設定されている。このため前面装飾体80が遊技盤4に取り付けられると、その後半分の部位は遊技盤4の背面に肌合わせされる(いわゆる面一の状態)。
さらに、前面装飾体80には、後半分の部位から後方に向けて突出するボス80bが形成されている(挿入連結部)。ボス80bは前面装飾体80の下部位置に2本形成されており、いずれも貫通孔4aを通じて遊技盤4の前面側から挿入されると、遊技盤4の背面からさらに後方に突出する。このボス80bは、前面装飾体80及びリアユニット83が遊技盤4に対して前後から取り付けられると、貫通孔4aを通じてリアユニット83にまで達し、取付ユニット81のボス孔81aに差し込まれることにより取付ユニット81と相互に位置決めされるものである。このように、本実施形態では、遊技盤4の前面側から取り付けられる前面装飾体80と、遊技盤4の背面側から取り付けられる取付ユニット81と、が相互に位置決めするように構成されるため、遊技盤4への取り付けが容易になる。
一方、前面装飾体80が遊技盤4に取り付けられた状態で、その前半分の部位は遊技盤4の前面側に突出する。この前半分の部位は、その厚みが例えば案内レール11等とほぼ同じに設定されている。このため、前面装飾体80が遊技盤4に取り付けられると、その前半分の部位は遊技領域12内で盤面から手前に突出し、それによって遊技球の流下を誘導・案内する存在となる。
以上のように構成される前面装飾体80と、リアユニット83と、をそれぞれネジで遊技盤4に螺着することによりセンターユニット40が組み立てられる。なお、前面装飾体80の開口部と、取付ユニット81の開口部と、はその大きさが略等しくなるように形成され、前面装飾体80とリアユニット83とが相互に位置決めされてセンターユニット40が組み立てられることにより前面装飾体80の開口部と、取付ユニット81の開口部と、が合致する。なお、上述したように、取付ユニット81の開口部の背面側には、球誘導部材65、ステージユニット50a、上部装飾体87、及び、取付基板86の開口部背面側から取り付けられる表示ユニット85の画像表示装置42、が位置するため、センターユニット40においては、その前面側から球誘導部材65、ステージユニット50a、上部装飾体87、及び、取付基板86の開口部背面側から取り付けられる表示ユニット85の画像表示装置42、が視認可能な状態となっている。
なお、上述したように、ステージユニット50aは、その一部がフラットに形成されて取付ユニット81のフラットな前面と同一面となるように取り付けられ、前面装飾体80の下端部と当接してステージ50を形成している。また、前記上部装飾体87は、画像表示装置42周りの装飾性を高めると共に、不透明な樹脂で形成されてパチンコ機1の背部を視認不可能にする目隠しとしての機能を奏するものである。また、前面装飾体80及びリアユニット83を遊技盤4に取り付けることにより、回転役物61が前面装飾体80の開口部の右上部を突き抜けて遊技盤4の前方に突出し、遊技者から直接的に視認可能な状態となる。つまり、回転役物61は、前面装飾体80に覆い隠されることなく遊技盤4の前面側に露出し、遊技者から直接的に視認可能な状態となっている。
なお、回転ユニット60は、取付基板64に形成された取付孔64aにネジを挿入して遊技盤4の背面に直接螺着することにより遊技盤4に固着される。また、本実施形態では、取付基板64は遊技盤4の背面側から見て上方と左側との二股に分れ、その遊技盤4の背面に接する部分に取付孔64aとしてそれぞれに3つの孔が形成されている。遊技盤4に螺着するときにはそのうち1つの孔を用いて遊技盤4の背面側から見て上方と左側との2箇所をネジで螺着する。回転ユニット60を不具合等により交換する際には、以前に遊技盤4の背面にネジを螺着した孔が形成され、再び回転ユニット60を固着することが困難である。このため、取付孔64aの他の孔を用いてネジで螺着することにより回転ユニット60を遊技盤4に螺着することを可能としている。つまり、取付孔64aは、予備の孔を備えている。
図24(B)に示すように、本実施形態では、ステージ50が遊技盤4の背面からさらに奥行方向(パチンコ機1奥行方向)に所定の幅を有し、このステージ50の奥行方向の端部位置に画像表示装置42が位置している。つまり、遊技盤4からさらに背面側に奥まった位置に画像表示装置42が設けられている。また、回転ユニット60は、遊技盤4に対してモータ軸63aが略垂直となるように取り付けられ、回転役物61が遊技盤4の表面よりも前方に突出して設けられる。また、回転役物61は、センターユニット40の右上部に配置される。
このように回転役物61は、画像表示装置42と所定距離(センターユニット40に設けられたステージ50を挟み込む距離)だけ離れて設置されているため、表示が重なり合う位置が遊技者の視線の位置により異ならせることが出来る。
例えば、どの位置から見ても回転ユニット60の表示と画像表示装置42の表示が重複する表示領域で、特定の位置から遊技者が見た場合にのみ、当落に関係する情報などが視認できるようにするなど、奥行きがあるセンターユニット40において、表示装置同士に間に所定距離があることで行なえる従来に無い演出が可能となると共に、遊技者は、表示を見るために見る位置を変化させるなど、さらなる遊技性を遊技者に提供することが出来る。
また、回転ユニット60は、その一部が取付ユニット81と接する(遊嵌している)が、他の部分は、取付ユニット81及び背面装飾体82と接しない。具体的には、図25に示すように、回転ユニット60の回転役物本体62に形成されたボス孔62aに取付ユニット81に形成されたボス81bが差し込まれることにより取付ユニット81と回転ユニット60とが接した状態ではあるが、他の部分は、図24(B)において上下左右方向及び前後方向にずれた状態で回転ユニット60と接していない。
上述したように、ステージ50に設けられた案内通路58に填り込んだ遊技球は第1始動口72及び第2始動口73に入賞し易くなるため、ステージ50が振動してしまうとステージ50上に設けられた各部材(円形誘導部54、上部レール52、下部レール53、等)に振動が伝播し、案内通路58へ填り込もうとする遊技球の転動に影響を与え、第1始動口72及び第2始動口73への入賞に影響が生じ、遊技者に不利な状態となる虞がある。
本実施形態では、回転ユニット60を直接遊技盤4に螺着し、ステージ50が螺着される背面装飾体82及び背面装飾体82が螺着される取付ユニット81に螺着しないため、回転ユニット60にてモータ63を駆動することにより発生する振動の取付ユニット81、背面装飾体82及び前面装飾体80への伝播を低減できる。ひいては、第1始動口72及び第2始動口73への入賞に影響を与えないように構成することができる。
なお、遊技盤4の背面側から取り付けられる取付ユニット81及び背面装飾体82は、合成樹脂等により形成されて軽いものとなる。このため、取付ユニット81及び背面装飾体82に回転ユニット60を螺着して駆動した場合には、回転ユニット60を駆動することにより発生する振動が伝播し易い。また、背面装飾体82には、ステージ50の一部を構成し、第1始動口72及び第2始動口73への入賞に関わるステージユニット50aが含まれるため、背面装飾体82に振動が伝播することによりステージ50にも振動が伝播し、遊技者に不利となる虞がある。
それに対して、一般に、遊技盤4は板自体が重いことに加えて、上述した主基板グループ及び周辺基板グループの各種基板が設けられると共に画像表示装置42等の各種装置が取り付けられるため重いものとなる。このように、遊技盤4が重いものであるために回転ユニット60を遊技盤4に取り付けて駆動した場合には、回転ユニット60を駆動することにより発生する振動が遊技盤4に伝播し難い。さらには、回転ユニット60によって発生する振動が遊技盤4を経由して取付ユニット81、背面装飾体82、及び、前面装飾体80へ伝播し難い。
また、本実施形態では、回転ユニット60の回転役物本体62に形成されたボス孔62aに取付ユニット81に形成されたボス81bが差し込まれることにより取付ユニット81と回転ユニット60とが接した状態ではあるが、回転ユニット60が遊技盤4に螺着されて振動が抑止されるためボス81bから取付ユニット81に振動が伝播しない。このように、本実施形態では、遊技盤4に直接回転ユニット60を螺着し、取付ユニット81及び背面装飾体82に螺着しないことで取付ユニット81及び背面装飾体82への振動の伝播を低減させることが可能となる。
なお、本実施形態では、回転ユニット60の回転役物本体62に形成されたボス孔62aに取付ユニット81に形成されたボス81bが差し込まれることにより取付ユニット81と回転ユニット60との一部が接するように構成しているが、ボス孔62a及びボス81bを設けないように構成することにより取付ユニット81と回転ユニット60とが接しないように構成してもよい。この場合には、回転ユニット60の位置決めがない状態となるが、遊技盤4の背面に取付孔64aに対応した位置決め用の印(例えば、孔、マーク、等)を設けることにより正常な取付位置に回転ユニット60を取り付けられるように構成してもよい。
また、本実施形態では、回転ユニット60を駆動することにより発生する振動を抑止するために遊技盤4をパチンコ機1に取り付ける方法についても工夫している。
図26に示すように、遊技盤装着枠9の左側部上下に2つ形成された係合突部33と、遊技盤4の盤面(前面)の左側部上下に2つ形成された係止穴34と、により遊技盤4の左側部が係止され、遊技盤装着枠9の右側部上下に2つ形成された係合凹部36と、遊技盤4の盤面の右側部上下に2つ形成された係合フック35と、により遊技盤4の右側部が係合される。
なお、係合フック35は、係合凹部36と係止可能なLOCK位置と、退避するUNLOCK位置と、の2つの位置において遊技盤4と遊技盤装着枠9とを係脱可能に係止する。図27に示すように、係合フック35は、合成樹脂材によって横方向に長尺に形成され、その長手方向の一端部には、遊技盤装着枠9の係合凹部36に係脱可能に係合して遊技盤4を固定する係止部35aが一体に形成されている。また、係合フック35は、上下部に突設された軸部35dを有し、格納凹部39には、軸部35dを挟持するレール(図示しない)が形成され、軸部35dを格納凹部39のレール内でスライドさせることによって係合フック35を図示左右方向への移動を可能とする。しかして、軸部35dを軸として係止部35aがパチンコ機1の手前方向に位置するように係合フック35を回転させることにより格納凹部39内に嵌め込まれる。
さらに、係合フック35の長手方向の係止部35aが設けられていない他端部には、格納凹部39に拘束されている係止フック35の抜け出しを防止する逆止部35eが設けられている。逆止部35eは、格納凹部39に設けられる図示しない逆止突起と係合し、軸部35dを軸として係止部35aがパチンコ機1の奥方向に位置するように回転することが防止されると共に、係合フック35を格納凹部39内に確実に拘束する。なお、逆止部35eを図示右側方向に押圧することで逆止部35eと逆止突起との係合が解除され、係合フック35を移動可能な状態とすることができる。
また、逆止部35eの図示右側方には、係合フック35を進退動作させてLOCK並びにUNLOCK操作するハンドル部35bが一体に形成されている。このハンドル部35bは略四角環状に形成されている。しかして、ハンドル部35bを操作して係合フック35をLOCK位置に移動させることにより係止部35aが遊技盤4の外側に突出して係合凹部36と係止可能な状態となり、ハンドル部35bを操作して係合フック35をUNLOCK位置に移動させることにより係止部35aが遊技盤4の外側に突出することなく退避して係合凹部36と係止不可能な状態となる。
また、本実施例において、遊技盤4に設けられた格納凹部39と係合フック35とは、LOCK位置と、UNLOCK位置との2位置において係合フック35の進退動作が規制される。つまり、係合フック35は、格納凹部39の上下部に位置して遊技盤4に凹設された第1規制凹部39a及び第2規制凹部39bに係合可能に係合フック35の上下部に突設されたピン状の規制凸部35cを備えている。そして、第1規制凹部39aと規制凸部35cとが対応する位置に係合フック35を移動してハンドル部35bを押圧して逆止部35eと逆止突起とを係合させることにより第1規制凹部39aに規制凸部35cが嵌込まれて係合し、係合フック35がLOCK位置に拘束されて図示左右方向への移動が規制される。一方、第2規制凹部39bと規制凸部35cとが対応する位置に係合フック35を移動してハンドル部35bを押圧して逆止部35eと逆止突起とを係合させることにより第2規制凹部39bに規制凸部35cが嵌め込まれて係合し、係合フック35がUNLOCK位置に拘束されて図示左右方向への移動が規制される。
なお、係合フック35のハンドル部35bを押圧して軸部35dを軸として係止部35aがパチンコ機1の手前方向に位置するように係合フック35を回転させることにより係合凹部36に挿入した係止部35aは、係合凹部36を図示手前方向に押圧する。これにより遊技盤4が遊技盤装着枠9内にパチンコ機1の奥方向に押圧されて遊技盤装着枠9にかっちりと固定される。つまり、遊技盤4の左側部に形成された係止穴34を遊技盤装着枠9の左側部に形成された係合突部33に当接させた後、遊技盤4の左側部を回転軸として回転させて遊技盤4を遊技盤装着枠9に嵌め込むことで係止穴34と係合突部33とを係合すると共に、遊技盤4の右側部に形成される係合フック35を操作して規制凸部35cが第2規制凹部39bに嵌め込まれて係合することで係合フック35がUNLOCK位置に拘束された状態から、規制凸部35cが第1規制凹部39aに嵌め込まれて係合することで係合フック35がLOCK位置に拘束された状態に移動し、係止部35aが遊技盤4の外側に突出して遊技盤装着枠9に形成された係合凹部36と係止すると共に遊技盤4をパチンコ機1の奥方向に押圧することにより遊技盤4が遊技盤装着枠9に固定されて係止される。
さらに、遊技盤4の左下部には、係止フック38が形成され、遊技盤装着枠9の左下部には係止フック38と対応する付勢ロック部37が設けられている。遊技盤4を遊技盤装着枠9に装着した場合には付勢ロック部37が係止フック38を下方に付勢して係止する。なお、付勢ロック部37によって係止フック38を下方に付勢することにより遊技盤4に下方への付勢力を作用しつつ係止することができる。これにより遊技盤4が遊技盤装着枠9の下縁部と密着して下方に押圧固定される。
このように、本実施形態では、遊技盤4の左側部を係合突部33と係止穴34とにより係合すると共に、係合凹部36に係止部35aが挿入されて係止すると共に遊技盤4をパチンコ機1の奥方向に押圧することにより遊技盤4が遊技盤装着枠9にかっちりと固定されて係止される。なお、本実施形態では、係止フック38と付勢ロック部37とにより遊技盤4を下方に押圧固定することによりさらにかっちりと遊技盤4を遊技盤装着枠9に固定することができる。また、遊技盤装着枠9は、本体枠3に一体形成されるため、遊技盤装着枠9に遊技盤4が固定されるということは、遊技盤4がパチンコ機1に固定されるということを意味する。また、パチンコ機1は、遊技場に設置される際、複数の遊技機が配列する遊技島に外枠2が釘付け等により装着されて、パチンコ機1が振動しないようにしている。つまり、遊技盤4、遊技盤4とパチンコ機1、遊技盤4とパチンコ機1と遊技島、のいずれかによって構成される伝播抑制手段により回転役物61のモータ63により発生する振動の伝播が抑制され、遊技盤4を確実に固定して振動の発生を抑止でき、遊技盤4表面を流下する遊技球の転動に影響を与えない。
さらに、本実施形態では、回転役物61が遊技領域12の右上側に位置するように取り付けられ、その近傍に係合フック35が位置し、上述したように係合フック35と係合凹部36とにより遊技盤4がかっちりと固定される。このため、近傍に位置する固定部材としての係合フック35及び係合凹部36によりモータ63により発生する振動が抑制されると共に、モータ63により発生する振動の伝播が抑制される。なお、固定部材として係止フック及び付勢ロック部37の近傍に回転役物61を位置するように取り付けることによりモータ63により発生する振動を抑制すると共に、モータ63により発生する振動の伝播を抑制するように構成してもよい。一方、遊技領域12の左側方に回転役物61が位置するように取り付けられた場合には、近傍に固定部材としての係合フック35及び係合凹部36が位置しないため、モータ63により発生する振動を抑制する効果が薄くなり、モータ63により発生する振動の伝播を抑制されない。つまり、係合フック35及び係合凹部36では遊びがないように係合するが、係合突部33及び係止穴34では若干の遊びを有するように係止されるため、振動の伝播を抑制する効果が薄い。
また、このようにパチンコ機1に固定された遊技盤4に回転役物61を直接螺着した場合には、遊技盤4に回転ユニット60からの振動が伝播し難く、回転役物61を回転させた場合に発生する振動が抑止されて遊技領域12を流下する遊技球の転動に影響しない。さらに、振動が抑止されることにより遊技盤4からステージ50への振動の伝播が低減され、ステージ50上の遊技球の転動に影響を与えない。ひいては、第1始動口72及び第2始動口73への入賞に影響を与えない。また、回転ユニット60の振動が抑止されることにより取付ユニット81と回転ユニット60とが接する部分から取付ユニット81に振動が伝播することが防止される。
なお、本実施形態における回転ユニット60は、回転役物61の回転範囲が画像表示装置42の前後方向の一部と重なるように遊技盤4と略水平に回転役物61を回転駆動する。具体的には、回転役物61は、画像表示装置42の前方にて回転駆動され、回転駆動されることによって回転役物61の長手方向の長さの4分の1程度が画像表示装置42の一部を覆う位置を通過する。このように構成することにより、画像表示装置42に注目している遊技者にも回転役物61が駆動されたことを認識させ易くなり、さらに、画像表示装置42にて実行される演出と回転役物61の回転駆動制御とをより密接に同期させて実行することが可能となる。また、回転役物61が画像表示装置42の前方に浮き出てくるような印象を与えることができると共に、パチンコ機1の前後方向の立体感を出すことができる。なお、画像表示装置42が回転役物61によって覆われる領域は、画像表示装置42の全領域の25%以下が望ましい。
また、モータ63を駆動していない状態では、初期位置(本実施形態では、図24に示す回転役物61の停止位置)として画像表示装置42の一部を覆わないような位置に停止し、モータ63を駆動して回転役物61を回転駆動した場合にもモータ63を停止させるときには回転役物61が初期位置となるように停止させる。このように構成することにより回転役物61を回転駆動していない状態で回転役物61の背面側に位置する画像表示装置42の一部が視認できない状態になることを防止できる。
また、本実施形態では、役物制御基板115に搭載される役物ROM117には、回転役物61の回転態様及びLED群61aの発光態様が記された複数の発光パターンが記憶されている。そして、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始するとき(画像表示装置42にて装飾図柄の変動表示を開始するとき)にサブ統合基板111からランプ中継基板119を介して受信した信号に基づいて役物ROM117に記憶される複数種類の発光パターンのうちいずれかを選択し、選択した発光パターンに基づいてモータ63及びLED群61aに駆動信号を出力する。つまり、特別図柄表示器41における特別図柄の変動表示及び画像表示装置42における装飾図柄の変動表示と同期して回転役物61を所定の発光パターンで回転駆動すると共に、回転役物61の内部に設けられるLED群61aを所定の発光パターンで発光制御する。回転役物61を所定の発光パターンで回転駆動すると共に回転役物61の内部に設けられるLED群61aを所定の発光パターンで発光制御することにより、画像表示装置42の前方に所定の態様の残影が表示される。
このため、画像表示装置42に注目している遊技者に回転役物61が駆動されたことをより認識させ易くなると共に、回転役物61にて表示される残影にも注目させることが可能となる。また、複数種類の態様の残影が画像表示装置42に表示される画像よりも前方に浮き出てくるように表示されるため、遊技者に更なるインパクトを与えることができる。
なお、回転役物61にて表示される残影の背部に位置する画像表示装置42が透視可能な状態となっている。つまり、本実施形態では、回転役物61を画像表示装置42の前方に画像表示装置42の一部を覆うように回転駆動するが、上述したように、回転役物61がモータ63により高速回転するため、回転役物61が画像表示装置42の一部を覆うように通過する時間が短くなり、回転役物61の背面側の画像表示装置42を透視することができる。なお、回転役物61を回転駆動する際に背面側の画像表示装置42を透視可能な状態にするには、回転役物61の回転速度を1分間に700回転以上とすることが望ましい。
また、本実施形態では、表面の長手方向中央から一端側にのみLED群61aが搭載された直方体状の回転役物61により残影を表示している。なお、LED群61aを回転役物61の表面の長手方向一端から長手方向他端に亘って搭載するように構成してもよく、この場合には、モータの回転速度を本実施形態の回転速度(1分間に1250回転)よりも遅くしても(例えば、1分間に600回転)きれいな残影を表示することが可能であるが、LED群61aの個数が増加することにより表示される残影の明るさ(所定位置での輝度)が増大し、残影の背面側に位置する画像表示装置42の表示が見難くなるという問題が発生する。また、回転役物61の回転速度をさらに遅くすることにより残影の明るさを減少させることが可能であるが、回転役物61の回転速度を遅くすることにより回転役物61によって背面側の画像表示装置42の一部を覆う時間が長くなり、画像表示装置42の一部が視認できないという不具合が生じる。
また、上述したように、本実施形態では、直方体状の回転役物61の中央と、回転役物61の回転軸と、を一致させることにより回転役物61の中央を回転軸として回転させるようにしているが、回転役物の長手方向端部に遊技盤4と略垂直にモータ軸を挿入して回転役物の長手方向端部を中心として回転させると共にLEDを発光制御することにより残影を表示することも可能ではある。ところが、モータ軸と重心とが一致していないため、モータにかかる負荷が増大し、モータを高速回転させることが困難であると共に、急回転及び急停止させることが困難である。また、遠心が発生し、振動が増大してしまう。このように、モータを高速回転できないため、きれいな残影を表示できない。これらの問題点は、回転役物の重量を減らすことにより解決することが可能であるが、回転役物の重量を減らすことにより搭載可能なLEDの個数や種類(単色発光)が限られ、多彩な演出を実行できない。
また、回転役物の長手方向端部に遊技盤4と垂直にモータ軸を挿入して回転役物の長手方向端部を中心として往復駆動すると共にLEDを発光制御することにより残影を表示する(例えば、LEDを取り付けたメトロノーム等の振り子式の機械)ことも可能ではあるが、一方に駆動した状態から他方に駆動させるときに一端停止させなければならないため、一端停止した部分における残影の明るさ(所定位置での輝度)が増大してしまう。また、急回転及び急停止を繰り返し実行するため、モータを高速回転させることが困難であると共に、モータにかかる負荷が増大する。また、遠心が発生し、振動が増大してしまう。このように、モータを高速回転できないため、きれいな残影を表示できない。これらの問題点は、回転役物の重量を減らすことにより解決することが可能であるが、回転役物の重量を減らすことにより搭載可能なLEDの個数や種類(単色発光)が限られ、多彩な演出を実行できない。
また、ドラムやリール等の中心部に遊技盤4と略水平に設けられたモータ軸を挿入してドラム及びリール等の中心部を中心として回転駆動すると共に、ドラム及びリール等の表面に設けられたLEDを発光制御することにより残影を表示することも可能ではあるが、ドラム及びリールの一部しか視認できず、回転する領域の全てで残影を表示することができない。さらに、ドラム及びリール等の一部が遊技盤4の背部に入り込んだ状態で設置され、遊技島にパチンコ機1を取り付けた場合には遊技盤4の背部の領域に制限があるため、ドラム及びリール等の大型化が困難であった。つまり、パチンコ機1を遊技島に取り付けたときに背中合わせになるパチンコ機1同士が接しない程度の領域しかパチンコ機1の背面の領域を使用できないため、ドラム及びリールを大型化することが困難である。
また、ドラム及びリール等を画像表示装置42の前方に画像表示装置42の一部が覆われるように設置した場合には、画像表示装置42の一部が常にドラム及びリールによって覆われる状態となるため、ドラム及びリールによって覆われる領域が視認不可能な状態になってしまう。本実施形態では、モータ63のモータ軸63aが遊技盤4の表面に対して略垂直に設けられてこのモータ軸63aを回転軸として回転役物61を遊技盤4と略水平に回転駆動させるため、回転役物61の回転する領域全てが視認可能となり、回転役物61の回転する領域全てで残影を表示することができる。また、回転役物61の大きさが遊技盤4の背部の領域と関係しないため、回転役物61の大型化が容易である。
なお、本実施形態で用いられるランプは、発光体の一例であり、それらに限定されるものではない。つまり、本実施形態でLEDを用いて構成した装置をランプによって構成してもよいし、他の発光体を用いて構成してもよい。
また、回転役物61の内部に設けられたLED群61aの前方に位置する前面板611の一部を半透明にすることでLED群61aの個々の発光が目立たないようにしてもよい。つまり、本実施形態では、個々のLED群61aによる発光の点(ドット)で複数種類の態様が表示されるが、LED群61aの前方に位置する前面板611の一部を半透明にすることで直接LED群61aが視認不可能になり、さらに、それぞれのLED群61aによる発光が前面板611の半透明部分で干渉し、一面にむらなく表示されて滑らかな態様を表示できる。
また、本実施形態では、サブ統合基板111からランプ中継基板119を介して受信した信号に基づいてモータ63及びLED群61aを駆動するが、回転役物61を回転させる時期はこれに限られない。例えば、パチンコ機1への電力供給を開始してから継続してモータ63を駆動して回転役物61を回転駆動した状態とし、電力供給を停止したことに基づいてモータ63の駆動を停止して回転役物61を停止した状態としてもよい。なお、回転役物61を回転させるとき、及び、回転役物61の回転を停止させるとき、に最も振動の発生が大きくなる。このため、パチンコ機1への電力供給がなされている間、継続して回転役物61を回転駆動した状態とすることにより振動の発生が抑止され、ステージ50上を転動する遊技球の転動、及び、遊技領域12を流下する遊技球の転動に影響を与えない。
また、本実施形態における回転役物61は、棒状の部材によって形成されるが、少なくとも遊技盤4の前面に対して略水平に回転駆動されるものであればその形状は問わない。例えば、扇風機の羽根のような形状であってもよい。
また、本実施形態では、回転役物61に搭載されるLED群61aを8個としているが、回転役物61の中央に回転軸を挿入し、回転役物61の回転軸と回転役物61の重心とが一致するように構成すれば、搭載されるLEDの個数は問わない。また、回転役物61の回転軸と回転役物61の重心とが一致しない場合に、回転役物61の背面側(底板614の外側)の所定の位置にネジ等を螺着することにより微調整し、重量バランスを均等に保つようにしてもよい。
なお、回転役物61の回転速度の変化によって複数種類の演出を実行可能に構成してもよく、例えば、1分間に600回転の回転速度と、1分間に1200回転の回転速度と、1分間に1800回転の回転速度と、に回転駆動可能に回転ユニット60を構成し、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始するとき(画像表示装置42にて装飾図柄の変動表示を開始するとき)に大当りとする判定がなされたときに速い回転速度で回転役物61を駆動する割合を高め、はずれとする判定がなされたときに遅い回転速度で回転役物61を駆動する割合を高めるように構成することにより、速い回転速度で回転役物61が回転駆動されたときに大当り期待度(大当りとなる割合)が高くなるように構成してもよい。
また、回転役物61を時計回りと反時計回りとのいずれにも回転駆動可能に回転ユニット60を構成し、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始するとき(画像表示装置42にて装飾図柄の変動表示を開始するとき)に大当りとする判定がなされたときに一方の回転方向(例えば、反時計回り)に駆動する割合を高め、はずれとする判定がなされたときに他方の回転方向(例えば、時計回り)に駆動する割合を高めるように構成することにより、一方の回転方向(例えば、反時計回り)に回転駆動したときに大当り期待度が高くなるように構成してもよい。
ところで、本実施形態に係る遊技領域12は、従来の一般的な遊技領域の大きさに比べて大きく設定されている。具体的に、従来の一般的な遊技領域では、最大横幅寸法がほぼ394mmに設定され、高さ寸法が396mmに設定される。これに対して、本実施形態に係る遊技領域12は、図28に示すように、最大横幅寸法W1がほぼ431mmに設定され、高さ寸法H1が417mmに設定されている。このため、横幅寸法W2が196mm、高さ寸法H2が119mmの大きめの表示画面を有する画像表示装置42を遊技領域12のほぼ中央に配置すると共に、画像表示装置42の右上部分に長さ寸法Lが116mmの回転役物61を配置した本実施形態の構成においても、センター役物(センターユニット40)の左右側方における球通過領域の横幅寸法W3としてほぼ60mmの領域を確保することができる。つまり、遊技領域12内に大きめのセンター役物を配置した本実施形態の構成においても、センター役物の左右側方の球通過領域を充分にとることができ、遊技領域12内での遊技球の球流れに対して支障を来たすことがない。
また、本実施形態の構成によれば、分岐通路67は、装飾部材(前面装飾体80及び背面装飾体82)の側部に配置される。このため、装飾部材の側部の横幅を大きくとることなく(画像表示装置42を大きめの表示画面を有する構成とした場合でも、分岐通路67を備えたセンター役物自体を極端に大型化することなく)、分岐通路67内での遊技球の誘導距離を長くとることができ、ひいては球流れに対する興趣を向上することができる。また、センター役物(画像表示装置42及び装飾部材)は、遊技領域12のほぼ中央位置に配置される。このため、センター役物の左右側方における遊技領域12、つまりセンター役物の左右側方の球通過領域を充分にとることができ、遊技領域12内での遊技球の球流れに対して支障を来たすことがない。
[9.主基板の各種制御処理]
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて実行される種々の制御処理について説明する。図29は始動入賞処理の一例を示すフローチャートであり、図30は更新される乱数を示す一覧表であり、図31は特別図柄処理の一例を示すフローチャートであり、図32は大当り判定処理の一例を示すフローチャートであり、図33は変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、これらの各処理は、主基板101に搭載されるCPU102がROM103に格納されており、所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)に繰り返し行われる。
[9―1.始動入賞処理]
発射装置135により打ち出され、遊技領域12の上部から下部に向かって流下する遊技球が第1始動口72又は第2始動口73に入賞すると、図29に示す始動入賞処理が実行される。この始動入賞処理が開始されると、主基板101のCPU102は、まず第1始動口72及び第2始動口73に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS1)。具体的には、始動口スイッチ70a,70bから検出信号が出力されたか否かを判別し、始動口スイッチ70a,70bからの検出信号が出力された場合には入賞した(YES)と判別し、始動口スイッチ70a,70bからの検出信号が出力されなければ入賞しない(NO)と判別する。そして、第1始動口72及び第2始動口73に遊技球が入賞したと判別したときには、各種乱数(例えば、後述する大当り判定乱数、確変判定乱数、リーチ判定乱数、変動表示パターン乱数、等)を取得し、RAM104に設けられている保留球数カウンタの値が上限値となる4よりも小さいか否かを判別する(ステップS2)。保留球数カウンタが上限値未満であれば(YES)、保留記憶格納処理を実行する(ステップS3)。
保留記憶格納処理では、保留球数カウンタに値1を加算する処理と、保留球数カウンタの加算に伴って特図始動記憶ランプ47の点灯表示態様(点灯表示させるランプの個数)を変更する処理と、取得した乱数値をRAM104に設けられた始動入賞記憶の保存領域に保留球数カウンタのカウント値に対応させて記憶する処理と、を行う。なお、ステップS1において第1始動口72及び第2始動口73に遊技球が入賞していない場合には以下の処理を実行することなく始動入賞処理を終了する。また、ステップS2において保留球数が上限値以上の場合にはステップS1で取得した乱数値を破棄し、以下の処理を実行することなく始動入賞処理を終了する。なお、ステップS1で第1始動口72及び第2始動口73に遊技球が入賞したと判別したときに各種乱数を取得せずに、ステップS2で保留球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に、各種乱数を取得してもよい。
ここで、主基板101に搭載されるCPU102により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で更新される各種乱数には、図30に示すように、大当り判定乱数、確変判定乱数、リーチ判定乱数、変動表示パターン乱数、及び、普通図柄当り判定乱数等がある。大当り判定乱数は、大当り遊技状態を発生させるか否かを判定(大当り判定)するための乱数である。確変判定乱数は、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定された場合に、後述する確変判定テーブルに設定される判定値と合致するか否かに基づいて大当り遊技状態終了後に確率変動状態に制御する確変大当りとするか否かを判定(確変判定)するための乱数である。リーチ判定乱数は、大当り判定において大当り遊技状態を発生させないと判定された場合に、リーチ態様を伴うはずれとするか否かを判定(リーチ判定)するための乱数である。変動表示パターン乱数は、特別図柄表示器41に表示されている特別図柄及び装飾図柄の変動表示パターンを決定するための乱数である。普通図柄当り判定乱数は、普通図柄の表示結果を当りとするか否かを判定(普通図柄当り判定)するための乱数である。なお、主基板101で更新される乱数は、上記したものに限られず、大当り判定乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる大当り判定乱数の初期値を決定するための乱数等もある。
また、上述した大当り判定乱数、確変判定乱数、リーチ判定乱数、及び、変動表示パターン乱数は、前記始動入賞処理のステップS1で取得され、ステップS3でRAM104に設けられた始動入賞記憶の保存領域に保留球数カウンタのカウント値に対応させて記憶される。また、普通図柄当り判定乱数は、遊技球がゲート74を通過し、ゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されたときに取得され、RAM104に記憶される普通図柄当り判定用乱数の個数が上限値(本実施形態では、4個)未満であれば、RAM104に格納される。
[9―2.特別図柄処理]
次に、特別図柄処理が開始されると、主基板101のCPU102は、図31に示すように、保留球数カウンタの値が値0であるか否かを判別する(ステップS11)。保留球数カウンタの値が値0のときは、RAM104に大当り判定乱数が記憶されていない、つまり、特別図柄の変動表示を開始させるための条件が成立していないと判断し、そのまま後述のステップS15へ移行する。一方、保留球数カウンタの値が0でないときは、特別図柄の変動表示を開始させるための条件が成立していると判断し、特別図柄(装飾図柄)の変動表示を開始することが可能であるか否か、つまり、大当り遊技中でない状態、及び、特別図柄の変動表示中でない状態であるか判別する(ステップS12)。特別図柄(装飾図柄)の変動表示を開始することが可能でない場合には、ステップS15へ移行する。
ステップS12で特別図柄(装飾図柄)の変動表示を開始することが可能な場合には、保留記憶移行処理を実行する(ステップS13)。保留記憶移行処理では、保留球数カウンタを1減算する処理と、RAM104に設けられた始動入賞記憶の保存領域に記憶される各種乱数をシフトした後、始動入賞記憶の保存領域のうち保留記憶カウンタの0に対応する保存領域に保存される各種乱数(大当り判定乱数等)を読み出す処理と、を行う。つまり、始動入賞記憶の保存領域にて保留球数カウンタのn(n=1、2、3、4)に対応する保存領域に記憶されている各種乱数を始動入賞記憶の保存領域における保留球数カウンタのn−1(n=0、1、2、3)に対応する保存領域に記憶させる。
その後、特別図柄変動処理(ステップS14)、特別図柄変動中処理(ステップS15)、情報出力処理(ステップS16)、及び、大当り遊技処理(ステップS17)、を順次実行する。特別図柄変動処理(ステップS14)では、後述する大当り判定処理及び変動表示パターン設定処理を行うと共に、変動表示パターン設定処理で決定された変動表示パターンに基づいて特別図柄及び装飾図柄の変動制御を各々開始し、変動時間を変動タイマに設定する処理を行う。特別図柄変動中処理(ステップS15)では、特別図柄表示器41における特別図柄の変動表示が開始されている場合には、変動タイマに設定された変動時間を監視し、変動タイマに設定された変動時間が経過(変動タイマがタイムアップ)したときに特定図柄及び装飾図柄の変動表示を停止(確定表示)する処理を各々行う。情報出力処理(ステップS16)では、特別図柄変動処理(ステップS14)及び特別図柄変動中処理(ステップS15)で決定される特別図柄の変動表示に関わる駆動信号を特別図柄表示器41に出力すると共に、装飾図柄の変動表示に関わる各種情報をサブ統合基板111に送信する処理を行う。大当り遊技処理(ステップS17)では、後述する大当りフラグがON状態であるか否かを判別して、ON状態であれば、当りの種類(確変大当り、非確変大当りのいずれか)に応じた態様で大当り遊技状態の制御、つまり、大入賞口開閉装置75を所定回数開放状態に制御して大入賞口を開放させる。
[9―3.大当り判定処理]
次に、大当り判定処理が開始されると、主基板101のCPU102は、図32に示すように、後述するステップS37でセットされる確変状態フラグがON状態であるか否かを判別する(ステップS31)。確変状態フラグがON状態であれば、確変時大当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS32)、確変状態フラグがON状態でなければ(OFF状態であれば)、非確変時大当り判定テーブル(図示しない)を選択する(ステップS33)。なお、確変時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち14個の判定値が設定され、大当りとなる確率である大当り確率が1/70となっている。一方、通常時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち2個の判定値が設定され、大当り確率が1/490となっている。
そして、ステップS32,33で選択した確変時大当り判定テーブル、又は、通常時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS13の保留記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値と、が一致するか否かによって、大当りとするか否かを判定する(ステップS34)。ステップS32,33で選択した確変時大当り判定テーブル、又は、通常時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS13の保留記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値(当該変動表示を開始する大当り判定乱数の値)と、が一致することに基づいて大当りとすると判定したときには、大当りフラグをON状態とした後に(ステップS35)、所定の判定値が設定された確変判定テーブル(図示しない)に基づいて確変大当りとするか否かを判定する(ステップS36)。具体的には、ステップS13の保留記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値と、確変判定テーブルに設定されている判定値と、が一致するか否かに基づいて確変大当りとするか否か判定する。なお、本実施形態では、確変突入率(大当りのうち確変大当りとする割合)が2/3となるように、つまり、0〜8までの9個の確変判定乱数のうち6個の判定値が確変判定テーブルに設定されている。
ステップS36で、確変判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS13の保留記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値と、が一致したことに基づいて確変大当りと判定されたときには、確変状態フラグをON状態(但し、確変状態フラグが既にON状態であれば、ON状態を継続する)とし(ステップS37)、大当りを確変大当りとしない(非確変大当りとする)ことが判定されていれば、確変状態フラグをOFF状態(但し、確変状態フラグが既にOFF状態であれば、OFF状態を継続する)とする(ステップS38)。一方、ステップS34で大当りとしない(はずれとする)と判定されたときには、以下の処理を実行することなく処理を終了する。なお、大当りフラグ及び確変状態フラグのON/OFF状態は、RAM104に記憶される。また、大当りフラグ及び確変状態フラグのOFF状態では値0がセットされ、大当りフラグ及び確変状態フラグのON状態では値1がセットされる。
[9―4.変動パターン設定処理]
次に、変動表示パターン設定処理が開始されると、主基板101のCPU102は、図33に示すように、今回の変動表示の結果、大当りとするか否か、つまり、大当り判定処理のステップS36でセットされる大当りフラグがON状態であるか否かを判別する(ステップS41)。大当りフラグがON状態であれば、大当り図柄を導出する態様が示された大当り時変動表示パターンテーブル(図示しない)を選択する(ステップS42)。一方、大当りフラグがON状態でなければ(OFF状態であれば)、所定の判定値が設定されたリーチ判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS13の保留記憶移行処理で読み出したリーチ判定乱数の値と、が一致するか否かによって、リーチとするか否かを判定する(ステップS44)。なお、リーチ判定テーブルでは、リーチ確率(リーチ態様とする割合)が1/12.5となるように、つまり、0〜24までの25個のリーチ判定乱数のうち2個の判定値がリーチ判定テーブルに設定されている。
ステップS44でリーチ態様とすると判定されたときには、リーチ態様を伴うはずれ図柄を導出する態様が示されたリーチ時変動表示パターンテーブル(図示しない)を選択し(ステップS45)、ステップS44でリーチ態様としないと判定されたときには、リーチ態様を伴わないはずれ図柄を導出する態様が示されたはずれ時変動表示パターンテーブル(図示しない)を選択する(ステップS46)。そして、ステップS42,45,46で選択された大当り時変動表示パターンテーブル、リーチ時変動表示パターンテーブル、又は、はずれ時変動表示パターンテーブルのいずれか1つの変動表示パターンテーブルに設定されている判定値と、ステップS13の保留記憶移行処理で読み出した変動表示パターン乱数の値と、が一致する変動表示パターンに決定する(ステップS43)。
なお、はずれ時変動表示パターンテーブルは、後述する通常変動の変動表示パターンのみ設定されるテーブルと、通常変動よりも変動時間が短い短縮変動の変動表示パターンのみ設定されるテーブルと、を有し、上述した時短制御が実行されている場合には、短縮変動の変動表示パターンのみ設定されるテーブルが選択され、時短制御が実行されていない場合には、通常変動の変動表示パターンのみ設定されるテーブルが選択される。つまり、時短制御が実行されていない場合には、通常変動の変動表示パターンに決定され、時短制御が実行されている場合には、短縮変動の変動表示パターンに決定される。
次いで、ステップS43で決定した変動表示パターンを指定する表示用コマンドとして変動表示パターンコマンドをセットする(ステップS47)。ステップS47で変動表示パターンコマンドをセットすることにより、情報出力処理(ステップS16)でサブ統合基板111に送信される。また、情報出力処理(ステップS16)で変動表示パターンコマンドをサブ統合基板111に出力するときに、特別図柄表示器41に駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。なお、サブ統合基板111では、変動表示パターンを受信したことに基づいて装飾図柄の変動表示を開始するための制御を行う。
また、特別図柄の変動時間は、サブ統合基板111に送信される変動表示パターンに含まれる演出時間とほぼ一致して設定されており、ステップS43では特別図柄の変動時間に応じた演出時間を有する変動表示パターンに決定される。なお、特別図柄の変動時間と変動表示パターンに含まれる演出時間とは、一致していなくてもよい。また、ステップS43では、特別図柄の変動時間を主基板101に搭載されるRAM104に設けられた変動タイマにセットする処理も行われる。この変動タイマは、情報出力処理(ステップS16)で変動パターンコマンドをサブ統合基板111に送信するときにスタートし、特別図柄変動中処理(ステップS15)で変動タイマがタイムアウトしたときに特別図柄表示器41に駆動信号を出力して特別図柄の変動表示をCPU102により停止制御させると共に、サブ統合基板111に装飾図柄の変動表示停止を指示する表示用コマンドを送信する。なお、サブ統合基板111では、装飾図柄の変動表示停止を指示する表示用コマンドを受信したことに基づいて装飾図柄を停止表示するための制御を行う。
また、CPU102は、確変状態フラグがセットされているか否か確認し(ステップS48)、確変状態フラグがセットされているときには、確変大当りであることを示す表示用コマンドである確変大当りコマンドをセットする(ステップS49)。ステップS49により確変大当りコマンドをセットすることにより、変動表示パターンコマンドと共にサブ統合基板111に送信される。これによりサブ統合基板111に搭載される統合CPU112に確変大当りとなることを認識させることが可能となる。
[10.サブ統合基板の各種制御処理]
次に、主基板101から各種コマンドを受け取るサブ統合基板111の各種処理について説明する。図34はサブ統合側リセット処理の一例を示すフローチャートであり、図35はサブ統合側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図36はサブ統合側コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図37はサブ統合側コマンド受信終了割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[10−1.サブ統合側リセット処理]
まず、サブ統合側リセット処理が開始されると、サブ統合基板111の統合CPU112は、図34に示すように、サブ統合側初期設定処理を行う(ステップS50)。このサブ統合側初期設定処理は、サブ統合基板111の統合CPU112を初期化する処理と、リセット後のウエイトタイマ(表示制御基板120が定常処理を実行可能になる期間のウエイト)を設定する処理等が行われる。なお、このサブ統合側初期設定処理中では割り込みが禁止されており、サブ統合側初期設定処理のあと割り込みが許可される。続いて、16ms経過フラグSTが値1であるか否かを判定する(ステップS52)。
この16ms経過フラグSTは、後述する2msごと(2msのタイマ割り込み)に処理される2msタイマ割り込み処理で16msを計測するフラグであり、16ms経過したとき値1、16ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS52で16ms経過フラグSTが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、16ms経過フラグSTを値0にセットし(ステップS54)、16ms処理中フラグSPに値1をセットする(ステップS56)。この16ms処理中フラグSPは、後述する16msの定常処理を開始するとき値1、終了するとき値0にそれぞれ設定される。続いて、16msの定常処理を行う(ステップS58)。この16msの定常処理は、主基板101が出力したコマンドを解析するコマンド解析処理と、後述する演出コマンドを作成する処理と、演出コマンドを役物制御基板115へシリアル出力する処理と、遊技盤ランプに点灯データをシリアル出力する処理と、16msの定常処理が行われているか監視するウオッチドックタイマ処理等を行う。続いて、16ms処理中フラグSPに値0(16msの定常処理の終了)にセットし(ステップS59)、再びステップS52に戻り、16ms経過フラグSTが値1になるごとに、つまり16ms経過ごとに上述したステップS54〜ステップS59を繰り返し行う。一方、ステップS52で16ms経過フラグSTが値1でない(16ms経過フラグSTが値0)とき、つまり16ms経過していないときには、16ms経過フラグSTが値1になるまで、つまり16ms経過するまでステップS52の判定を繰り返し行う。
[10−2.サブ統合側タイマ割り込み処理]
次に、サブ統合側タイマ割り込み処理が開始されると、サブ統合基板111の統合CPU112は、図35に示すように、2msタイマ割り込み処理を行う(ステップS60)。この2msタイマ割り込み処理は、表示制御基板120及び役物制御基板115が、正常に動作しているか否かを判定する信号をサンプリングする処理等を行う。
続いて、2ms更新カウンタSCに値1を加算する(ステップS62)。この2ms更新カウンタSCは、このサブ統合側タイマ割り込み処理が行われた回数をカウントするカウンタであり、2ms更新カウンタSCの値1は2msの時間に相当する。続いて、2ms更新カウンタSCが値8、つまり16ms(=2ms更新カウンタSC×2ms)であるか否かを判定する(ステップS64)。16msであるときには、16ms経過フラグSTに値1をセットし(ステップS66)、16ms処理中フラグSPが値0、つまり図34に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS58の16msの定常処理が行われているか否かを判定する。16ms処理中フラグSPが値0であるとき、つまり16msの定常処理が行われていないときには、作業領域のバックアップを行い(ステップS70)、このルーチンを終了する。この作業領域のバックアップは、図34に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS58の16msの定常処理で処理した情報を作業領域上に設けられたコピー領域にコピーする。一方、ステップS64で16ms経過していないとき又はステップS68で16msの定常処理中に情報の設定がなかったときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、2ms更新カウンタSCは、初期値として値0がセットされており、ステップS66で16ms経過フラグSTが値1にセットされると、初期値にセットされる。
[10−3.サブ統合側コマンド受信割り込み処理]
次に、サブ統合側コマンド受信割り込み処理が開始されると、サブ統合基板111の統合CPU112は、図36に示すように、主基板101からのコマンドを受信開始する信号(以下「WR信号」という。)と、主基板101からの各種基板をセレクトする信号(以下「SEL信号」という。)と、がともに値1であるか否かを判定する(ステップS80)。主基板101のCPU102は、最初にサブ統合基板111に対応するSEL信号を値1、そしてWR信号を値1にそれぞれセットすることにより、サブ統合基板111にコマンドを出力する。
このコマンドは、1パケット4ニブルにより構成されている。この「ニブル」とは、4ビットを意味し、2ニブルでは8ビット(1バイト)、つまり4ニブルでは16ビット(2バイト)となる。1ニブルのデータの抽出は、WR信号が値0から値1に立ち上がって(「アップエッジ」という。)、所定時間(例えば、20〜50マイクロ秒(以下、μsと表記する。)保持された後、WR信号が値1から値0に立ち下がる(「ダウンエッジ」という。)ことにより行われ、1パケットでは合計4回行われる。
ステップS80でWR信号とSEL信号とがともに値1であるとき、つまり主基板101のCPU102がサブ統合基板111にコマンドを出力するときには、コマンド受信処理を行い(ステップS82)、このルーチンを終了する。このコマンド受信処理は、受信した1ニブル分のコマンド(4分割されたコマンドのうち1つ)をサブ統合基板111の統合RAM114に設けたリングバッファに格納する。この「リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているかのように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを格納し、バッファの最後まできたら最初に戻って格納する。リングバッファに格納したあと、続いて、バッファライトカウンタを値1加算する。このバッファライトカウンタは、コマンド受信処理を行うごとに値1ずつ加算されるため、1パケット(4ニブル)を格納するとバッファライトカウンタは値4になる。
一方、ステップS80でSEL信号とWR信号とがともに値0であるとき、つまり主基板101のCPU102がサブ統合基板111にコマンドを出力しないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、主基板101からサブ統合基板111へのコマンド出力時には、上述したようにWR信号のアップエッジからダウンエッジまでの所定時間(例えば、20〜50μs)、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)が一定に保持されているが、ノイズの影響により信号が乱れ、コマンドを正常に受信できないこともある。そこで、このノイズ対策として、サブ統合基板111の統合CPU112は、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信する。そして、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているときには、上述したステップS80でWR信号とSEL信号とがともに値1であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信し、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致するまで判定を繰り返し行う。
[10−4.サブ統合側コマンド受信終了割り込み処理]
次に、サブ統合側コマンド受信終了割込み処理が開始されると、サブ統合基板111の統合CPU112は、図37に示すように、WR信号とSEL信号とがともに値0であるか否かを判定する(ステップS90)。主基板101のCPU102は、サブ統合基板111にコマンドの出力が完了すると、WR信号に値0をセットした後、SEL信号を値0にセットする(ダウンエッジ)。ステップS90でWR信号とSEL信号とがともに値0であるとき、つまり主基板101のCPU102がサブ統合基板111にコマンドの出力が完了したときには、コマンド受信終了処理を行い(ステップS92)、このルーチンを終了する。このコマンド受信終了処理は、図36に示したサブ統合側コマンド受信割り込み処理で加算されたバッファライトカウンタを値0にする。コマンドを正常に受信できたときには、1パケット4ニブルであるため、バッファライトカウンタは値4になる。また、1パケット分の受信を行えなかったとき、つまりバッファライトカウンタが値4未満のときには、受信したコマンドを破棄する。
一方、ステップS90でWR信号とSEL信号とがともに値0でないとき、つまり主基板101のCPU102がサブ統合基板111にコマンドの出力が完了していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、上述したように、ノイズ対策として、サブ統合基板111の統合CPU112は、SEL信号を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号と一致しているときには、上述したステップS90でWR信号とSEL信号とがともに値0であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致するまで判定を繰り返し行う。
なお、図36に示したサブ統合側コマンド受信割り込み処理、図37に示したサブ統合側コマンド受信終了割り込み処理、図35に示したサブ統合側タイマ割り込み処理におけるステップS60の2msタイマ割り込み処理、そして図34に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS58の16msの定常処理の順で各処理の優先順位が設定されている。
[11.役物制御基板の各種制御処理]
次に、サブ統合基板111から各種の演出コマンドを受け取る役物制御基板115の各種処理について説明する。図38は役物制御側リセット処理の一例を示すフローチャートであり、図39は48msタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図40は役物制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図41は役物側タイマ割り込み設定処理の一例を示すフローチャートであり、図42は加速タイマ割り込み設定処理の一例を示すフローチャートであり、図43は減速タイマ割り込み設定処理の一例を示すフローチャートである。
[11−1.役物制御側リセット処理]
まず、役物制御側リセット処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図38に示すように、役物制御側初期設定処理を行う(ステップS100)。この役物制御側初期設定処理では、役物制御基板115の役物CPU116を初期化する処理等が行われる。続いて、48ms経過フラグGTが値1であるか否かを判定する(ステップS102)。この48ms経過フラグGTは、後述する48msごと(48msのタイマ割り込み)に処理される48msタイマ割り込み処理で48msを計測するフラグであり、48ms経過したとき値1、48ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS102で48ms経過フラグGTが値1であるとき、つまり48ms経過したときには、48ms経過フラグGTを値0にセットし(ステップS104)、48msの定常処理を行う(ステップS108)。
この48msの定常処理は、コマンドを受信するコマンドデータ受信処理と、コマンドを受信完了の旨を伝える信号を出力するACK信号出力処理と、受信したコマンドを解析するコマンド解析処理と、受信したコマンドに応じたRGBデータスケジューラの開始位置をセットするRGBデータスケジューラの開始位置設定処理と、48msの定常処理が行われているか監視するウオッチドックタイマのクリア処理等を行う。再びステップS102に戻り、48ms経過フラグGTが値1になるごとに、つまり48ms経過ごとに上述したステップS104〜ステップS108を繰り返し行う。一方、ステップS102で48ms経過フラグGTが値1でない(48ms経過フラグGTが値0)とき、つまり48ms経過していないときには、48ms経過フラグGTが値1になるまで、つまり48ms経過するまでステップS102の判定を繰り返し行う。
[11−2.48msタイマ割り込み処理]
次に、48msタイマ割り込み処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図39に示すように、48ms経過フラグGTを値1にセットし(ステップS115)、このルーチンを終了する。このように、48msタイマ割り込み処理では、固定時間割り込みタイマとして、48msごとに、48ms経過フラグGTを値1にセットする。そして、この48ms経過フラグGTの値が値1にセットされたことを契機として、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理が行われる。
[11−3.役物制御側タイマ割り込み処理]
次に、役物制御側タイマ割り込み処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図40に示すように、センサ履歴作成処理を行う(ステップS120)。このセンサ履歴作成処理は、回転役物61の原点位置を検出するセンサから、その検出信号をサンプリングして、原点位置を判定するために用いる履歴の作成を行う。ステップS120のセンサ履歴作成処理に続けて、役物側タイマ割り込み設定処理を行う(ステップS122)。この役物側タイマ割り込み設定処理は、後述するように、回転役物61を回転させるモータ63の状態を、加速する状態(加速状態)、定速度に回転する状態(定速度の回転状態)又は減速する状態(減速状態)のいずれかにするため、割り込みタイマを設定する。ステップS122の役物側タイマ割り込み設定処理に続いて、RGBフラグRGB−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS124)。
このRGBフラグRGB−FLGは、回転役物61を回転させながら回転役物61に備えたLED群61aを発光させる演出を行う(「回転演出」という。)とき値1、回転演出を行わないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS124でRGBフラグRGB−FLGが値1であるとき、つまり回転演出を行うときには、回転役物表示処理を行う(ステップS126)。この回転役物表示処理は、後述するように、LED群61aにRGBデータの信号を出力し、LED群61aを発光させ、残像効果による演出を行う。
一方、ステップS124でRGBフラグRGB−FLGが値1でないとき(値0であるとき)、つまり回転演出を行わないとき、又はステップS126の回転役物表示処理に続いて、モータ制御処理を行い(ステップS128)、このルーチンを終了する。このモータ制御処理は、後述するように、ステップS122で設定された割り込みタイマが発生するごとに、役物制御基板115のドライバ115dに励磁信号MOT0〜MOT3を出力して、モータ63の回転制御を行う。
[11−4.役物側タイマ割り込み設定処理]
次に、役物側タイマ割り込み設定処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図41に示すように、モータ状態フラグMS−FLGを調べる(ステップS130)。このモータ状態フラグMS−FLGは、回転役物61を回転させるモータ63が停止状態にあるとき値0、モータ63が加速状態にあるとき値1、モータ63が定速度の回転状態にあるとき値2、そしてモータ63が減速状態にあるとき値3にそれぞれ設定されている。
ここで、役物CPU116は、後述するように、サブ統合基板111からシリアル出力された演出コマンドに基づいて、回転演出を開始するコマンド(「回転演出開始コマンド」という。)を受け取ったときにはモータ状態フラグMS−FLGを値1、回転演出を停止するコマンド(「回転演出停止コマンド」という。)を受け取ったときにはモータ状態フラグMS−FLGを値3にそれぞれセットする。
役物CPU116は、回転演出開始コマンドを受け取ると、モータ状態フラグMS−FLGを値0から値1にセットし、停止状態から加速状態に移る。その後、加速状態から定速度の回転状態に移ると、モータ状態フラグMS−FLGを値1から値2にセットする。この定速度の回転状態に、回転演出停止コマンドを受け取ると、モータ状態フラグMS−FLGを値2から値3にセットし、定速度の回転状態から減速状態に移る。その後、モータ63が停止状態になると、モータ状態フラグMS−FLGを値3から値0にセットする。
ステップS130でモータ状態フラグMS−FLGが値0のとき、つまりモータ63が停止状態にあるときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS130でモータ状態フラグMS−FLGが値1のとき、つまりモータ63が加速状態にあるときには、加速設定処理を行い(ステップS132)、このルーチンを終了する。この加速設定処理は、後述するように、モータ63を加速させる割り込みタイマの設定を行う。一方、ステップS130でモータ状態フラグMS−FLGが値2のとき、つまりモータ63が定速度の回転状態にあるときには、RGBフラグRGB―FLGを値1にセットし(ステップS134)、このルーチンを終了する。ステップS134でRGBフラグRGB―FLGが値1にセットされることにより、つまりモータ63が定速度の回転状態のときには、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS126の回転役物表示処理が行われ、回転役物61に備えたLED群61aが発光し、残像効果による演出が行われる。
一方、ステップS130でモータ状態フラグMS−FLGが値3のとき、つまりモータ63が減速状態にあるときには、減速設定処理を行い(ステップS136)、このルーチンを終了する。この減速設定処理は、後述するように、モータ63を減速させる割り込みタイマの設定を行う。
[11−4−1.加速タイマ割り込み設定処理]
次に、加速タイマ割り込み設定処理について説明する。この加速タイマ割り込み設定処理は、モータ63を定速度の回転まで加速させるときに行われ、モータ63を加速させる割り込みタイマの設定を行う。加速タイマ割り込み設定処理では、役物制御基板115の役物CPU116が、モータ63を加速する図示しない加速テーブルから減算値Vsを読み込み、この読み込んだ減算値Vsに基づいて、可変時間割り込みタイマTmをセットする。そして、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS128のモータ制御処理で、可変時間割り込みタイマTmが発生するごとに、役物制御基板115のドライバ115d(図6参照)に励磁信号MOT0〜MOT3を出力し、モータ63の回転制御を行う。なお、加速テーブルは、役物制御基板115の役物ROM117に予め記憶されている。
加速タイマ割り込み設定処理が開始されると、役物CPU116は、図42に示すように、加速ポインタAPが加速テーブルの先頭アドレスを示しているか否かの判定を行う(ステップS140)。この加速ポインタAPは、上述した加速テーブルの減算値Vsのアドレスを指示するものであり、減算初期値として、加速テーブルの先頭アドレスが設定されている。この先頭アドレスの示す減算値Vsには、値0が設定されている。ステップS140で加速ポインタAPが加速テーブルの先頭アドレスを示しているときには、可変時間割り込みタイマTmにタイマ初期値をセットする(ステップS142)。このタイマ初期値は、モータ63の回転開始時、モータ63を脱調させない値が設定されている。本実施形態では、タイマ初期値として、4.0msが設定されている。
一方、ステップS140で加速ポインタAPが加速テーブルの先頭アドレスを示していないときには、加速ポインタAPの示すアドレスから減算値Vsを読み出し(ステップS144)、この読み出された減算値Vsを、可変時間割り込みタイマTmから減算する。そして、この減算結果を、可変時間割り込みタイマTmに再びセットし(ステップS146)、このセットされた可変時間割り込みタイマTmが0.5msであるか否かの判定を行う(ステップS148)。この判定は、モータ63を定速度の回転状態にする割り込みタイマが設定されたか否かを判定する。この定速度の回転状態では、後述するように、モータ63が定速度(1250rpm)で回転する。
ステップS148で可変時間割り込みタイマTmが0.5msでないとき、つまりモータ63を定速度の回転状態にする割り込みタイマが設定されていないときには、又はステップS142のあと、加速ポインタAPを1つすすめ(ステップS150)、このルーチンを終了する。ステップS150で加速ポインタAPが1つすすむことにより、次の減算値Vsのアドレスがセットされる。
ここで、ステップS140〜ステップS150までを具体的に説明すると、ステップS140で加速ポインタAPが加速テーブルの先頭アドレスを示しているときには、ステップS142でタイマ初期値4.0msが可変時間割り込みタイマTmにセットされ、ステップS150で加速ポインタAPを1つすすめ、このルーチンを終了する。
4.0ms経過すると、このルーチンが開始され、加速ポインタAPは先頭アドレスから1つすすんでいるため、ステップS144でこの加速ポインタAPの示すアドレスから減算値Vs(例えば、0.1ms)を読み出す。そして、ステップS146でこの読み出した減算値Vs(0.1ms)を、可変時間割り込みタイマTm(このとき、タイマ初期値4.0msがセットされている。)から減算し、この減算結果3.9ms(=Tm−Vs、4.0ms−0.1ms)を、再び可変時間割り込みタイマTm(このとき、減算結果3.9ms)にセットする。ステップS148で可変時間割り込みタイマTmが0.5msであるか否かを判定し、ステップS150で加速ポインタAPを1つすすめ、このルーチンを終了する。
今度は、3.9ms経過すると、このルーチンが開始され、ステップS144でこの加速ポインタAPの示すアドレスから減算値Vs(例えば、0.1ms)を読み出し、ステップS146でこの読み出した減算値Vs(0.1ms)を、可変時間割り込みタイマTm(このとき、減算結果3.9msがセットされている。)から減算し、この減算結果3.8ms(=Tm−Vs、3.9ms−0.1ms)を、再び可変時間割り込みタイマTm(このとき、減算結果3.8ms)にセットする。ステップS148で可変時間割り込みタイマTmが0.5msであるか否かを判定し、ステップS150で加速ポインタAPを1つすすめ、このルーチンを終了する。
このように、可変時間割り込みタイマTmが0.5msになるまで、ステップS140〜ステップS150を繰り返し行う。
一方、ステップS148で可変時間割り込みタイマTmが0.5msであるとき、つまりモータ63を定速度の回転状態にする割り込みタイマが設定されたときには、モータ状態フラグMS−FLGを値2にセットし(ステップS152)、このルーチンを終了する。
ステップS152でモータ状態フラグMS−FLGが値2にセットされることにより、モータ63が定速度の回転状態にあることが、図41に示した役物側タイマ割り込み設定処理におけるステップS130で認識される。そして、同処理におけるステップS134でRGBフラグRGB―FLGが値1にセットされることにより、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS126の回転役物表示処理が行われ、回転役物61に備えたLED群61aが発光し、残像効果による演出が行われる。
このように、加速タイマ割り込み設定処理が開始されると、加速テーブルに従って、上述した例では、可変時間割り込みタイマTmがタイマ初期値4.0ms、3.9ms、3.8ms、・・・、そして0.5msへと、可変時間の割り込みタイマが次々に設定される。
[11−4−2.減速タイマ割り込み設定処理]
次に、減速タイマ割り込み設定処理について説明する。この減速タイマ割り込み設定処理は、モータ63の定速度の回転を減速するときに行われ、モータ63を減速させる割り込みタイマの設定を行う。減速タイマ割り込み設定処理では、役物制御基板115の役物CPU116が、モータ63を減速する図示しない減速テーブルから加算値Vaを読み込み、この読み込んだ加算値Vaに基づいて、可変時間割り込みタイマTmをセットする。そして、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS128のモータ制御処理で、可変時間割り込みタイマTmが発生するごとに、役物制御基板115のドライバ115d(図6参照)に励磁信号MOT0〜MOT3を出力し、モータ63の回転制御を行う。なお、減速テーブルは、上述した加速テーブルと同様に、役物制御基板115の役物ROM117に予め記憶されている。
減速タイマ割り込み設定処理が開始されると、役物CPU116は、図43に示すように、減速ポインタDPが上述した減速テーブルの先頭アドレスを示しているか否かの判定を行う(ステップS160)。この減速ポインタDPは、減速テーブルの加算値Vaのアドレスを指示するものであり、減速初期値として、減速テーブルの先頭アドレスが設定されている。この先頭アドレスの示す加算値Vaには、値0が設定されている。ステップS160で減速ポインタDPが減速テーブルの先頭アドレスを示しているときには、可変時間割り込みタイマTmにタイマ初期値をセットする(ステップS162)。
ステップS162でセットされた可変時間割り込みタイマTmは、図42に示した加速タイマ割り込み設定処理におけるステップS152で、モータ63が定速度の回転状態にあるときの可変時間割り込みタイマTm(0.5ms)と同値であり、この値をタイマ初期値としている。
一方、ステップS160で減速ポインタDPが減速テーブルの先頭アドレスを示していないときには、減速ポインタDPの示すアドレスから加算値Vaを読み出し(ステップS164)、この読み出された加算値Vaを、可変時間割り込みタイマTmに加算し、この加算結果を、可変時間割り込みタイマTmに再びセットし(ステップS166)、このセットされた可変時間割り込みタイマTmが4.0msであるか否かの判定を行う(ステップS168)。この判定は、モータ63を徐行状態にするタイマ割り込みが設定されたか否かを判定する。この「徐行状態」とは、後述するように、モータ63を減速させて、所定の回転数(4.0ms/1ステップ、約156rpm)で徐行回転させる状態である。この徐行回転しているときには、回転役物61(モータ63)の原点位置を検出して、徐行回転から減速して、回転役物61(モータ63)が指定位置(原位置)に停止する。
ステップS168で可変時間割り込みタイマTmが4.0msでないとき、つまりモータ63を徐行状態にする割り込みタイマが設定されていないときには、又はステップS162のあと、減速ポインタDPを1つすすめ(ステップS170)、このルーチンを終了する。ステップS170で減速ポインタDPが1つすすむことにより、次の加算値Vaのアドレスがセットされる。
ここで、ステップS160〜ステップS170までを具体的に説明すると、ステップS160で減速ポインタDPが減速テーブルの先頭アドレスを示しているときには、ステップS162でタイマ初期値0.5msが可変時間割り込みタイマTmにセットされ、ステップS170で減速ポインタDPを1つすすめ、このルーチンを終了する。
0.5ms経過すると、このルーチンが開始され、減速ポインタDPは先頭アドレスから1つすすんでいるため、ステップS164でこの減速ポインタDPの示すアドレスから加算値Va(例えば、0.1ms)を読み出し、ステップS166でこの読み出した加算値Va(0.1ms)を、可変時間割り込みタイマTm(このとき、タイマ初期値0.5msがセットされている。)から加算し、この加算結果0.6ms(=Tm+Vs、0.5ms+0.1ms)を、再び可変時間割り込みタイマTm(このとき、加算結果3.9ms)にセットする。ステップS168で可変時間割り込みタイマTmが4.0msであるか否かを判定し、ステップS170で減速ポインタDPを1つすすめ、このルーチンを終了する。
今度は、0.6ms経過すると、このルーチンが開始され、ステップS164でこの減速ポインタDPの示すアドレスから加算値Va(例えば、0.1ms)を読み出し、ステップS166でこの読み出した加算値Va(0.1ms)を、可変時間割り込みタイマTm(このとき、加算結果0.6msがセットされている。)から加算し、この加算結果0.7ms(=Tm+Vs、0.6ms+0.1ms)を、再び可変時間割り込みタイマTm(このとき、加算結果0.7ms)にセットする。ステップS168で可変時間割り込みタイマTmが4.0msであるか否かを判定し、ステップS170で減速ポインタDPを1つすすめ、このルーチンを終了する。
このように、可変時間割り込みタイマTmが4.0msになるまで、ステップS160〜ステップS170を繰り返し行う。
一方、ステップS168で可変時間割り込みタイマTmが4.0msであるとき、つまりモータ63を徐行状態にする割り込みタイマが設定されているときには、モータ状態フラグMS−FLGを値0にセットし(ステップS172)、このルーチンを終了する。
なお、ステップS172でモータ状態フラグMS−FLGが値0にセットされることにより、モータ63が停止状態にあることが、図41に示した役物側タイマ割り込み設定処理におけるステップS130で認識される。
このように、減速タイマ割り込み設定処理が開始されると、減速テーブルに従って、上述した例では、可変時間割り込みタイマTmがタイマ初期値0.5ms、0.6ms、0.7ms、・・・、そして4.0msへと、可変時間の割り込みタイマが次々に設定される。
なお、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理、そして図39に示した48msタイマ割り込み処理の順で優先順位が設定されている。
[12.遊技盤ランプへの点灯データの出力]
次に、遊技盤ランプへの点灯データの出力について説明する。図44は点灯データPL−DATをシリアル出力するタイミングを示すタイミングチャートである。この点灯データのシリアル出力は、図34に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS58の16msの定常処理の一処理として行われる。
サブ統合基板111の統合CPU112は、図6に示したように、シリアル部112aso’からランプ中継基板119に備えた遊技盤ランプ駆動部119gへ点灯データPL−DATをシリアル出力する。このとき、統合CPU112は、図44に示すタイミングチャートに従って点灯データPL−DATをシリアル出力する。
この点灯データPL−DATは、図44(a),(b)に示すように、転送クロックPL−CLKに同期してサブ統合基板111の統合CPU112に備えるシリアル部112aso’からシリアル出力される。このとき、点灯データPL−DATは、最上位ビットから最下位ビットまでを1ビットずつ順にシリアル出力される。なお、転送クロックPL―CLKは、上述したように、250kHzに設定されており、クロック幅T0が2μsとなる。
ここで、シリアル出力される点灯データPL−DATは、遊技盤ランプ駆動部119gに備えた、図示しないシフトレジスタ119g0、119g1、119g2、119g3、そして119g4の順に1ビットずつシフトされる。上述したように、シフトレジスタ119g0〜119g4は、8ビットのシフトレジスタであり、デイジーチェーン接続されている。このため、シリアル部112aso’からシリアル出力される最初の点灯データは、シフトレジスタ119g4にシフトされる。なお、上述したように、遊技盤ランプは、全部で35個のランプ(PL0〜PL34)からなり、点灯データPL−DATは、シフトレジスタ119g0にランプPL0〜PL7が、シフトレジスタ119g1にランプPL8〜PL15が、シフトレジスタ119g2にランプPL16〜PL23が、シフトレジスタ119g3にランプPL24〜PL31が、そしてシフトレジスタ119g4にランプPL32〜PL34が、それぞれシフトされる。このシフトレジスタ119g4には、ランプPL32〜PL34の点灯データPL−DATがシフトされるが、シフトレジスタ119g4の上位5ビットには、ランプが回路接続されていないため、無効データ(本実施形態では値0)がシフトされる。
このように、点灯データPL−DATは、8ビットのシフトレジスタ119g0〜119g4にシフトされるため、50ビット(=8ビット×5つのシフトレジスタ)の情報となる。この50ビットの点灯データPL−DATをシフトレジスタ119g0〜119g4にシフトさせる時間は、転送クロックPL−CLKが250kHzであるため、200μs(=50ビット×1/(250×1000)s)となる。
シリアル出力部112aso’は、点灯データPL−DATのシリアル出力を終了すると、送信終了フラグが値0から値1に立ち上がる(アップエッジする)。この送信終了フラグは、統合CPU112に内蔵されたレジスタに記憶されている。図44(c),(d)に示すように、点灯データPL−DATのシリアル出力が終了すると、送信終了フラグがアップエッジし(タイミングt0)、サブ統合基板111の統合CPU112に備える出力ポート112aopは、ラッチ信号PL−LATを出力する(ラッチ信号PL−LATをアップエッジする)。そして、T1時間(本実施形態では、3μs)経過後、このラッチ信号PL−LATを値1から値0に立ち下げる(ダウンエッジする)。
ここで、出力ポート112aopから出力されたラッチ信号PL−LATがシフトレジスタ119g0〜119g4に入力されると、シフトレジスタ119g0〜119g4にシフトされたシリアルデータとしての点灯データPL−DATは、このラッチ信号PL−LATを契機として、パラレルデータに変換される。このパラレルデータは、遊技盤ランプ(ランプPL0〜PL34)に一度に出力されると、このパラレルデータに応じて、ランプPL0〜PL34が点灯する。
このように、遊技盤ランプ(ランプPL0〜PL34)への点灯データPL−DATの出力は、図34に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS58の16msの定常処理が行われるごとに、毎回、実行される。このため、仮にノイズの影響により、点灯データPL−DATばけのような事態が生じても、次の16msの定常処理が行われるときには、点灯データPL−DATの出力が実行されることにより、復旧することができる。
[13.演出コマンド]
サブ統合基板111の統合CPU112は、主基板101から各種コマンドを受信すると、上述したように、リングバッファに格納する。そして、サブ統合基板111の統合CPU112は、このリングバッファに格納されているコマンドに基づいて、センターユニット40の画像表示装置42で表示させる演出を決定する。このとき、回転役物61で行う演出コマンドも作成される。この演出コマンドは、図34に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS58の16msの定常処理の一処理として行われる演出コマンドを作成する処理で作成される。
演出コマンドは、回転役物61を回転させながら演出(回転演出)を行う回転演出開始コマンド及び回転演出を停止させる回転演出停止コマンドから構成され、回転演出開始コマンド→演出中→回転演出停止コマンドになる。なお、「演出中」とは、回転演出開始コマンドに応じた回転演出が行われていることを意味する。
回転演出開始コマンド及び回転演出停止コマンドは、回転役物61のLED群61aを発光させる各種演出パターンに対応する1バイトからなるモード情報と、このモード情報に付加情報等を示す1バイトからなるステータス情報と、によりそれぞれ構成され、2バイトの情報を有する(上位1バイトにステータス情報、下位1バイトにモード情報)。回転演出開始コマンドのステータス情報には40H(Hは16進数を表す。)及び回転演出停止コマンドのステータス情報には4FH、がそれぞれ設定されている。なお、回転演出停止コマンドのモード情報には01Hが設定されており、ステータス情報と併せると、回転演出停止コマンドは4F01Hとなる。
なお、作成された演出コマンドは、演出コマンド送信用の演出コマンド送信用リングバッファに格納される。後述するように、サブ統合基板111の統合CPU112は、この演出コマンド送信用リングバッファに格納されている演出コマンドを読み出して、役物制御基板115にシリアル出力する。
[14.演出コマンドの送信及び受信]
次に、演出コマンドの送信及び受信について説明する。図45は演出コマンドをシリアル出力するタイミングを示すタイミングチャートであり、図46は演出コマンドのシリアル通信時における各種信号の様子を示すタイミングチャートであり、図47はコマンドデータ正常受信時における各種信号の様子を示すタイミングチャートであり、図48はコマンドデータ受信処理の一例を示すフローチャートであり、図49はACK信号出力処理の一例を示すフローチャートである。コマンドデータ受信処理及びACK信号出力処理は、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理の一処理として行われる。
[14−1.演出コマンドの送信]
サブ統合基板111の統合CPU112は、上述した演出コマンド送信用リングバッファに格納されている演出コマンドを読み出し、この演出コマンドを、サブ統合基板111から役物制御基板115へシリアル出力する。このとき、サブ統合基板111の統合CPU112は、図45に示すタイミングチャートに従って演出コマンドをシリアル出力する。このシリアル出力は、上述したサブ統合基板111の統合CPU112に備えるシリアル部112asoにより行われる。演出コマンドを構成する回転演出開始コマンド及び回転演出停止コマンドは、上述したように、ステータス情報及びモード情報から構成されており、シリアル出力部112asoにより、ステータス情報及びモード情報が別々にシリアル出力される。このとき、シリアル出力部112asoは、ステータス情報及びモード情報にフラグFLG0,FLG1を併せてシリアル出力する。このフラグFLG0,FLG1及びステータス情報又はモード情報を受信する役物制御基板115の役物CPU116は、フラグFLG0,FLG1の値に基づいて、ステータス情報及びモード情報を識別する。
[14−1―1.回転演出開始コマンドの送信]
次に、一例として、回転演出開始コマンドを、サブ統合基板111から役物制御基板115にシリアル出力する場合について説明する。サブ統合基板111の統合CPU112は、図45(a)〜(c)に示すように、第1期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0を値1、フラグFLG1を値0にそれぞれセットする。このフラグFLG0,FLG1に回転演出開始コマンドの上位1バイト、つまりステータス情報を併せた情報(後述するコマンドデータCMD−DAT)をシリアル出力する。この第1期間内に、役物制御基板115の役物CPU116は、シリアル出力された情報を取り込み、この取り込んだ情報のフラグFLG0,FLG1に基づいて、ステータス情報を識別する。この第1期間を終えて、次の第2期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0,FLG1を値0にセットする。このとき、役物制御基板115へシリアル出力を行わない。この第2期間を終えて、次の第3期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0,FLG1に値1をそれぞれセットする。このフラグFLG0,FLG1に回転演出開始コマンドの下位1バイト、つまりモード情報を併せた情報(後述するコマンドデータCMD−DAT)をシリアル出力する。この第3期間内に、役物CPU116は、シリアル出力された情報を取り込み、この取り込んだ情報のフラグFLG0,FLG1に基づいて、モード情報を識別する。この第3期間を終えて、次の第4期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0,FLG1を値0にそれぞれセットする。このとき、上述した第2期間と同様に、役物制御基板115へシリアル出力を行わない。
このように、ステータス情報をシリアル出力するときにはフラグFLG0が値1、フラグFLG1が値0にそれぞれセットされ、一方、モード情報をシリアル出力するときにはフラグFLG0,FLG1に値1がそれぞれセットされる。なお、回転演出停止コマンドもまた、回転演出開始コマンドと同様に、フラグFLG0,FLG1の値がセットされ、サブ統合基板111から役物制御基板115へステータス情報及びモード情報が別々にシリアル出力される。
次に、一例として、サブ統合基板111の統合CPU112が回転演出開始コマンドのステータス情報をシリアル出力する場合について、具体的に説明する。統合CPU112は、上述したように、第1期間において回転演出開始コマンドのステータス情報を、サブ統合基板111から役物制御基板115へシリアル出力する。このとき、ステータス情報にフラグFLG0,FLG1を併せたコマンドデータCMD―DATをシリアル出力する。このコマンドデータCMD―DATは、上位1バイトに含まれるフラグFLG0,FLG1と、下位1バイトのステータス情報と、から構成され、2バイトの情報となる。この上位1バイトの最下位ビットD0にはフラグFLG1の値、D1にはフラグFLG0の値、D2〜最上位ビットD7には無効データ(本実施形態では、値0)がそれぞれ割り振られている。上述したように、回転演出開始コマンドのステータス情報をシリアル出力するとき、フラグFLG0が値1、フラグFLG1が値0にセットされ、ステータス情報は40Hとなるため、コマンドデータCMD―DATの上位1バイトは02H、下位1バイト40Hとなる(コマンドデータCMD−DATは0240Hとなる)。
このコマンドデータCMD−DATは、図46(a),(b)に示すように、転送クロックCMD−CLKに同期してサブ統合基板111の統合CPU112に備えるシリアル部112asoからシリアル出力される。このとき、コマンドデータCMD−DATは、最上位ビットから最下位ビットまでを1ビットずつ順にシリアル出力される。このため、コマンドデータCMD−DATの上位1バイトは、値0,値0,値0,値0,値0,値0,フラグFLG0の値(ステータス情報の場合では、値1)そしてフラグFLG1の値(ステータス情報の場合では、値0)の順で1ビットずつシリアル出力される。これに続けて下位1バイトがD7,D6,D5,D4,D3,D2,D1そしてD0(回転演出開始コマンドのステータス情報の場合では、D7:値0,D6:値1,D5:値0,D4:値0,D3:値0,D2:値0,D1:値0,D0:値0)の順で1ビットずつシリアル出力される。なお、転送クロックCMD―CLKは、上述したように、125kHzに設定されており、クロック幅T2が4μsとなる。
ここで、シリアル出力されるコマンドデータCMD−DATは、役物制御基板115のLPF(ローパスフィルタ)115fを介して、役物制御基板115のシフトレジスタ115h,115iに1ビットずつシフトされる。上述したように、シフトレジスタ115h,115iは、8ビットのシフトレジスタであり、デイジーチェーン接続されている。このため、サブ統合基板111からシリアル出力されたコマンドデータCMD−DATの上位1バイトはシフトレジスタ115hを介してシフトレジスタ115iにシフトされる。一方、下位1バイトはシフトレジスタ115hにシフトされる。回転演出開始コマンドのステータス情報をシリアル出力する場合では、シフトレジスタ115iにはフラグFLG0,FLG1がシフトされ、シフトレジスタ115hにはステータス情報である40Hがシフトされる。
コマンドデータCMD−DATは、上述したように、2バイト、つまり16ビットの情報であり、この16ビットのコマンドデータCMD−DATをシフトレジスタ115h,115iにシフトさせる時間は、転送クロックCMD−CLKが125kHzであるため、128μs(=16ビット×1/(125×1000)s)となる。
シリアル出力部112asoは、コマンドデータCMD−DATのシリアル出力を終了すると、送信終了フラグが値0から値1に立ち上がる(アップエッジする)。この送信終了フラグは、統合CPU112に内蔵されたレジスタに記憶されている。図46(c),(d)に示すように、コマンドデータCMD−DATのシリアル出力が終了すると、送信終了フラグがアップエッジし(タイミングt1)、サブ統合基板111の統合CPU112に備える出力ポート112aopは、ラッチ信号CMD−LATを出力する(ラッチ信号CMD−LATをアップエッジする)。そして、T3時間(本実施形態では、4μs)経過後、このラッチ信号CMD−LATを値1から値0に立ち下げる(ダウンエッジする)。
ここで、出力ポート112aopから出力されたラッチ信号CMD−LATが、LPF115fを介して、シフトレジスタ115h,115iに入力されると、シフトレジスタ115h,115iにシフトされたシリアルデータとしてのコマンドデータCMD−DATは、このラッチ信号CMD−LATを契機として、パラレルデータに変換される。このパラレルデータは役物CPU116に一度に出力される。具体的には、シフトレジスタ115hはCMD−D0,CMD−D1,・・・,CMD―D7の信号を役物CPU116に一度に出力し、一方、シフトレジスタ115iはフラグFLG0,FLG1の信号を役物CPU116に一度に出力する(図6参照)。なお、シフトレジスタ115iには、フラグFLG0,FLG1以外にも、無効データ(値0)がシフトされているが、ラッチ信号CMD−LATが入力されて、この無効データがパラレルデータに変換されても、この変換された無効データが役物CPU116に出力されないよう、回路構成されている。
出力ポート112aopは、図46(e)に示すように、ラッチ信号CMD−LATをダウンエッジしてからT4時間(本実施形態では、8μs)経過後、MODE信号を出力する(MODE信号をアップエッジする)。このMODE信号は、シリアルデータとしてのコマンドデータCMD−DATがパラレルデータに変換された旨(シリアル送信中であるか否か)を伝える信号であり、統合CPU112は、第1期間経過後、フラグFLG0及びMODE信号をそれぞれダウンエッジする。なお、出力ポート112aopから出力されたMODE信号は、LPF115fを介して、役物CPU116に入力されている。
このように、次のラッチ信号CMD−LATがシフトレジスタ115h,115iに入力されないかぎり、今回ラッチ信号CMD―LATを契機としてパラレルデータに変換されたフラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7は、役物CPU116にそれぞれ出力されたままの状態として維持される。このため、後述するコマンドデータ受信処理により、役物CPU116は、サブ統合基板111からシリアル出力されたシリアルデータとしてのコマンドデータCMD−DATを、パラレルデータとして、フラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7を受信する。
なお、図45に示した第3期間では、第1期間と同様に、統合CPU112は、回転演出開始コマンドのモード情報を、サブ統合基板111から役物制御基板115へシリアル出力する。このとき、モード情報にフラグFLG0,FLG1を併せたコマンドデータCMD―DATをシリアル出力する。このシリアル出力されるコマンドデータCMD―DATは、上位1バイトに含まれるフラグFLG0,FLG1と、下位1バイトのモード情報と、から構成され、2バイトの情報となる。この上位1バイトの最下位ビットD0にはフラグFLG1の値、D1にはフラグFLG0の値、D2〜最上位ビットD7には無効データ(本実施形態では、値0)がそれぞれ割り振られている。上述したように、回転演出開始コマンドのモード情報をシリアル出力するとき、フラグFLG0,FLG1が値1にそれぞれセットされ、モード情報は、例えば単語「PUSH」を回転役物61で回転演出させる場合では0FHとなるため、コマンドデータCMD―DATの上位1バイトは03H、下位1バイト0FHとなる(コマンドデータCMD−DATは030FHとなる)。
このコマンドデータCMD−DATは、上述したように、転送クロックCMD−CLKに同期してシリアル部112asoからシリアル出力され、コマンドデータCMD−DATの上位1バイトは、値0,値0,値0,値0,値0,値0,フラグFLG0の値(モード情報の場合では、値1)そしてフラグFLG1の値(モード情報の場合では、値1)の順で1ビットずつシリアル出力される。これに続けて下位1バイトがD7,D6,D5,D4,D3,D2,D1そしてD0(回転演出開始コマンドのモード情報の場合では、D7:値0,D6:値0,D5:値0,D4:値0,D3:値1,D2:値1,D1:値1,D0:値1)の順で1ビットずつシリアル出力される。このとき、上述したように、コマンドデータCMD−DATの上位1バイトはシフトレジスタ115hを介してシフトレジスタ115iにシフトされ、下位1バイトはシフトレジスタ115hにシフトされる。回転演出開始コマンドのモード情報をシリアル出力する場合では、シフトレジスタ115iにはフラグFLG0,FLG1がシフトされ、シフトレジスタ115hにはモード情報である0FHがシフトされる。
コマンドデータCMD−DATは、上述したように、2バイト、つまり16ビットの情報であり、この16ビットのコマンドデータCMD−DATをシフトレジスタ115h,115iにシフトさせる時間は、転送クロックCMD−CLKが125kHzであるため、128μs(=16ビット×1/(125×1000)s)となる。
シリアル出力部112asoは、コマンドデータCMD−DATのシリアル出力を終了すると、上述したように、送信終了フラグがアップエッジするため、出力ポート112aopは、ラッチ信号CMD−LATを出力し(ラッチ信号CMD−LATをアップエッジし)、T3時間経過後、このラッチ信号CMD−LATをダウンエッジする。ラッチ信号CMD−LATを契機として、シフトレジスタ115h,115iにシフトされたシリアルデータとしてのコマンドデータCMD−DATは、パラレルデータに変換される。このパラレルデータ(フラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7)は役物CPU116に一度に出力される。
出力ポート112aopは、ラッチ信号CMD−LATをダウンエッジしてからT4時間経過後、シリアルデータとしてのコマンドデータCMD−DATがパラレルデータに変換された旨を伝えるMODE信号を出力する(MODE信号をアップエッジする)。そして、統合CPU112は、第3期間経過後、フラグFLG0,FLG1及びMODE信号をそれぞれダウンエッジする。
このとき、図47(a)〜(e)に示すように、192ms以内に、役物制御基板115から、ステータス情報及びモード情の受信が完了した旨を伝えるACK信号がサブ統合基板111の統合CPU112に備える入力ポート112aipに入力される。この192ms以内にACK信号の入力がないときには、同じステータス情報及びモード情報を、上述したように、役物制御基板115に再度シリアル出力する。このリトライとしてのシリアル出力は、1度のみ行われる。なお、役物制御基板115から出力されるACK信号は、後述するACK信号出力処理により行われ、ACK信号を出力する(ACK信号をアップエッジする)と、48ms後に、ACK信号をダウンエッジする。
[14−1―2.回転演出停止コマンドの送信]
次に、回転演出停止コマンドを、サブ統合基板111から役物制御基板115にシリアル出力する場合について説明する。上述した回転演出開始コマンドをシリアル出力する場合と同様であるため、ここでは、図45(a)〜(c)を参照して、その概要を説明する。
サブ統合基板111の統合CPU112は、図45(a)〜(c)に示すように、第1期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0を値1、フラグFLG1を値0にそれぞれセットする。このフラグFLG0,FLG1に回転演出停止コマンドの上位1バイト、つまりステータス情報(上述した回転停止コマンドのステータス情報は4FH)を併せた情報(このとき、コマンドデータCMD−DATは、024FHとなる。)をシリアル出力する。この第1期間内に、役物制御基板115の役物CPU116は、シリアル出力された情報(コマンドデータCMD−DAT:024FH)を取り込み、この取り込んだ情報のフラグFLG0,FLG1に基づいて、ステータス情報を識別する。この第1期間を終えて、次の第2期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0,FLG1を値0にセットする。このとき、役物制御基板115へシリアル出力を行わない。この第2期間を終えて、次の第3期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0,FLG1に値1をそれぞれセットする。このフラグFLG0,FLG1に回転演出停止コマンドの下位1バイト、つまりモード情報(上述した回転停止コマンドのモード情報は01H)を併せた情報(このとき、コマンドデータCMD−DATは、0301Fとなる。)をシリアル出力する。この第3期間内に、役物CPU116は、シリアル出力された情報(コマンドデータCMD−DAT:0301H)を取り込み、この取り込んだ情報のフラグFLG0,FLG1に基づいて、モード情報を識別する。この第3期間を終えて、次の第4期間(本実施形態では、96msの期間)では、フラグFLG0,FLG1を値0にそれぞれセットする。このとき、上述した第2期間と同様に、役物制御基板115へシリアル出力を行わない。
なお、役物制御基板から、回転停止コマンドのステータス情報(4FH)及びモード情報(01F)の受信が完了した旨を伝えるACK信号がサブ統合基板111の統合CPU112に備える入力ポート112aipに入力される。
[14−2.演出コマンドの受信]
サブ統合基板111からシリアル出力された演出コマンド(コマンドデータCMD−DAT)は、遊技盤ランプの点灯データPL−DATの転送クロックPL−CLK(250kHz)の半分、つまり125kHzで転送されて、役物制御基板115に備えたローパスフィルタLPF115fを介して、シリアルデータからパラレルデータに変換されて、役物CPU116で受信される。このとき、役物CPU116は、コマンドデータ受信処理を行う。このコマンド受信処理は、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理の一処理として行われる。このため、役物CPU116は、48msの割り込みごとに(「ポーリング」という。)コマンドデータCMD−DATを取り込む。
コマンドデータ受信処理が開始されると、役物CPU116は、図48に示すように、MODE信号が値1か否かを判定する(ステップS180)。この判定は、図45に示した第1期間又は第3期間において、シリアルデータ(コマンドデータCMD−DAT)からパラレルデータに変換されたフラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7が役物CPU116に出力されている状態であるか否かを判定する。第1期間又は第3期間においてパラレルデータが役物CPU116に出力された状態であるときには、MODE信号が値1に設定される。一方、第1期間又は第3期間においてパラレルデータが役物CPU116に出力されていない状態であるとき又は第2期間及び第4期間では、MODE信号が値0に設定される。
ステップS180でMODE信号が値1のとき、つまり第1期間又は第3期間においてパラレルデータが役物CPU116に出力された状態であるときには、このパラレルデータ、フラグFLG0,FLG1及びCMD−D0〜CMD―D7を取り込み(ステップS182)、フラグFLG0が値1、フラグFLG1が値0であるか否かを判定する(ステップS184)。この判定は、フラグFLG0が値1、フラグFLG1が値0のとき、ステータス情報と識別され、フラグFLG0,FLG1が値1のとき、モード情報と識別される。ステップS184でフラグFLG0が値1、フラグFLG1が値0であると判定されたとき、つまりステータス情報であると識別されたときには、ステップS182で取り込んだCMD−D0〜CMD―D7をステータス情報としてコマンド受信リングバッファに格納し(ステップS186)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS184でフラグFLG0が値1、フラグFLG1が値0でないと判定されたとき、つまりステータス情報でないと識別されたときには、フラグFLG0,FLG1が値1であるか否かを判定する(ステップS188)。ステップS188でフラグFLG0,FLG1が値1であると判定されたとき、つまりモード情報であると識別されたときには、ステップS182で取り込んだCMD−D0〜CMD―D7をモード情報としてコマンド受信リングバッファに格納し(ステップS190)、受信完了フラグACK−FLGを値1にセットし(ステップS192)、このルーチンを終了する。この受信完了フラグACK−FLGは、サブ統合基板111からのステータス情報及びモード情報を役物CPU116が受信し、その受信が完了したことを表すフラグであり、受信を完了したとき(受信完了)には値1、受信を完了していないとき(受信未完了)には値0がそれぞれ設定されている。なお、受信完了フラグACK−FLGは、初期値として値0、つまり受信未完了が設定されている。
一方、ステップS188でフラグFLG0,FLG1が値1でないと判定されたとき、つまりモード情報でないと識別されたときには、無効フラグINV−FLGに値1をセットし(ステップS194)、このルーチンを終了する。この無効フラグINV−FLGは、受信したコマンドデータCMD−DATが無効なデータであるか否かを表し、無効なデータであるときを値1、無効でない(有効な)データであるときを値0にそれぞれ設定されている。具体的には、フラグFLG0,FLG1がそれぞれ値0であるとき、フラグFLG0が値0且つフラグFLG1が値1のときには、無効フラグINV−FLGに値1がセットされる。なお、無効フラグINV−FLGは、初期値として値0、つまり有効なデータであると設定されている。一方、ステップS180でMODE信号が値1でないとき、つまり第1期間又は第3期間においてパラレルデータが役物CPU116に出力されていない状態であるとき又は第2期間及び第4期間のときには、そのままこのルーチンを終了する。
なお、このコマンドデータ受信処理において受信した各種のステータス情報及びモード情報は、コマンド受信リングバッファから取り出され、この取り出されたステータス情報及びモード情報は、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理の一処理として行われるコマンド解析処理により、正当性の判断が行われたあと、正当なものであれば専用バッファに格納され、後述するRGBデータスケジューラに渡される。
次に、ACK信号出力処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図49に示すように、無効フラグINV−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS200)。上述したように、無効フラグINV−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり受信したコマンドデータCMD−DATが有効なデータであるときには、受信完了フラグACK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS202)。上述したように、受信完了フラグACK−FLGが値1のとき、つまりステータス情報及びモード情報の受信が完了したときには、受信完了の旨を伝えるACK信号をサブ統合基板111へ出力し(アップエッジし、ステップS204)、受信完了フラグACK−FLGを初期値に戻し(ステップS206)、このルーチンを終了する。一方、ステップS202で受信完了フラグACK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまりステータス情報及びモード情報の受信が未完了のときには、ACK信号を出力せず(ダウンエッジし、ステップS208)、このルーチンを終了する。このステップS208では、前回の割り込み、つまり48ms前に、ステップS204でACK信号を出力した場合には、今回の割り込みで、ACK信号をダウンエッジする。一方、ステップS200で無効フラグINV−FLGが値1であるとき、つまり受信したコマンドデータCMD−DATが無効なデータであるときには、無効フラグINV−FLG初期値に戻し(ステップS210)、このルーチンを終了する。
このように、役物制御基板115の演出コマンドのポーリングは、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理が行われるごとに、毎回、実行される。役物制御基板115は、サブ統合基板111からの演出コマンドがシリアル出力されたという事実を判定すると、演出コマンドを取り込む。そして、この取り込んだ演出コマンドに基づいて、回転ユニット60に、一連の画像を続けて表示させる。このため、上述した16msごとに毎回更新される、遊技盤ランプへの点灯データPL−DATとは異なるため、シリアル出力された演出コマンドを、役物制御基板115に備えるローパスフィルタLPF115fに入力させることにより、ノイズの影響による演出コマンドのデータばけを回避することができる。また、転送クロックCMD−CLKを遊技盤ランプの点灯データPL−DATの転送クロックPL−CLKの半分にすることにより、LPF115fでデータの欠落を防止することができる。
[15.モータの回転制御]
次に、回転役物61の回転制御について説明する。図50(a)はモータの回転開始から回転停止までのモータ速度調整を表す図であり、図50(b)は定速度の回転におけるモータ63への励磁信号を表す励磁シーケンスである。
[15−1.回転役物の回転位置]
回転ユニット60は、図16に示したように、回転役物61、回転役物本体62及びモータ63等により構成されており、このモータ63は、96ステップで1回転するステッピングモータである。モータ63のモータ軸63aには、モータ63の本体側に信号受信部62r等が取り付けられ、モータ軸63aの先端には、回転役物61が取り付けられている。信号受信部62r、回転役物61は、モータ63の回転にともない、一体となって回転する。このため、回転役物61は、モータ63と同期した回転となる(一周96分割となる)。回転役物61の回転位置は、モータ63のステップ数を基準として値0〜値95(96分割)で管理され、モータ63が1ステップ回転することにより、値1が加算される。この値0〜値95には、回転役物61に備えたLED群61aを発光させるRGBデータがそれぞれ対応付けられている。LED群61aは、値0から値95までに対応付けられたRGBデータに応じて、順に発光する。なお、この値0に対応付けられたRGBデータに応じて、LED群61aが発光するときの回転役物61の回転位置を「論理原点」という。
ここで、上述したように、信号受信部62rには遮蔽板62bが設けられており、回転役物本体62には、この遮蔽板62bを検出する透過型フォトインターラプタ62iが内蔵されている。この透過型フォトインターラプタ62iの検出領域である凹部では、上述したように、モータ63の回転により、遮蔽板62bが入り込み、そして出て行くという動きが繰り返し行われる。このとき、透過型フォトインターラプタ62iは、遮蔽板62bが凹部に入り込んできたことを検出すると、回転役物61の回転位置が回転原点にあると認識される。この「回転原点」とは、回転役物61の回転位置を管理する基準となる回転位置であり、また、回転役物61の回転位置を指定位置(原位置)で停止させる基準ともなる回転位置である。この「指定位置(原位置)」とは、具体的には、12時の位置から時計回りに45度回転させた位置(モータ63を12ステップ回転させた位置)が、遮蔽板62bが凹部に入り込む(遮蔽板62bが検査領域を遮蔽開始する)位置に設定されており、この位置からモータ63を3ステップ更に回転させた位置、つまり12時の位置から時計回りに15ステップ(=12ステップ+3ステップ)回転させた位置である。遮蔽板62bの幅は、モータ63を6〜7ステップ回転させたとき、遮蔽板62bが凹部に入り込み、そして出て行く程度に設定されている。
なお、検出領域の凹部に、遮蔽板62bが入り込んできたか否かの判定は、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS120のセンサ履歴作成処理に基づいて行われる。このセンサ履歴作成処理は、上述した可変時間割り込みタイマTmが発生するごとに行われる。例えば、回転役物61による回転演出が完了し、回転役物61を停止させるとき、つまりモータ63を停止させるときには、モータ63を高速回転から減速して、徐行回転させる。このとき、透過型フォトインターラプタ62iが、割り込みタイミングごとにサンプリングした結果を、8ビットのシフトレジスタに順次格納し、その履歴が「00000011B(「B」は、ビット情報を表す。)」(透過型フォトインターラプタ62iの遮蔽時にビットが値1)になったとき、役物CPU116は、回転役物61の回転位置が回転原点に達したことを認識する。
[15−2.モータ制御処理]
モータ63の駆動は、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS128のモータ制御処理により行われる。このモータ制御処理は、図41に示した役物側タイマ割り込み設定処理で設定された可変時間の割り込みタイマが発生するごとに行われる。
役物制御基板115の役物CPU116は、上述したように、サブ統合基板111からシリアル出力された演出コマンドに基づいて、回転演出を開始するコマンド(回転演出開始コマンド)を受け取ったときにはモータ状態フラグMS−FLGに値1、回転演出を停止するコマンド(回転演出停止コマンド)を受け取ったときにはモータ状態フラグMS−FLGを値3にそれぞれセットする。回転演出開始コマンドを受け取ったときには、図41に示した役物側タイマ割り込み設定処理におけるステップS132の加速タイマ割り込み設定処理を行い、一方、回転演出停止コマンドを受け取ったときには、同処理におけるステップS136の減速タイマ割り込み設定処理を行う。
モータ制御処理が開始されると、役物CPU116は、図50(a)に示すように、モータ63の停止状態から加速して1s以内に定速度の回転となる状態(加速状態)に制御し(図50(a)の領域A)、この定速度の回転を所定時間維持した状態(定速度の回転状態)に制御し(図50(a)の領域B)、その後減速して1s以内に停止する状態(減速状態)に制御する(図50(a)の領域C)、台形制御を行う。
[15−2−1.加速状態]
加速状態の領域Aでは、図42に示した加速タイマ割り込み設定処理で設定される割り込みタイマ(可変時間の割り込みタイマ)に従って、役物制御基板115の役物CPU116は、ステップパルスとして、励磁信号MOT0〜MOT3を役物制御基板115のドライバ115dに出力し、モータ63の回転制御を行う。具体的には、役物制御基板115の役物ROM117に予め記憶された加速テーブル(図示しない)に従って、モータ63の回転制御が行われる。
役物CPU116は、回転演出開始コマンドを受け取ると、停止状態から加速状態へモータ63の回転制御を行う。このとき、例えば、モータ63のステップパルス幅を4.0msに設定する(図42に示した加速タイマ割り込み設定処理のステップS142)。この4.0msは、上述したように、モータ63の回転開始時、モータ63を脱調させないステップパルス幅であり、このステップパルス幅からモータ63の加速を開始する。4.0ms経過すると、ステップパルス幅を3.9msに設定する(同処理のステップS146)。3.9ms経過すると、ステップパルス幅を3.8msに設定する(同処理のステップS146)。そして、このステップパルス幅が0.5msになるまで、加速テーブルに従って、ステップパルス幅の設定を繰り返し行う(同処理のステップS140〜ステップS150)。
このステップパルス幅が4.0msから3.9ms、3.8ms、・・・、そして0.5msと、短くなることにより、単位時間当たりのモータ63に出力されるステップパルスが多くなる。つまりモータ63に出力されるステップパルスの速度が速くなると、このステップパルスに応じて、モータ63が加速され、高速回転する。ステップパルス幅が0.5msになると(同処理のステップS152)、モータ63は定速度の回転状態となる。このとき、モータ状態フラグMS−FLGが値2にセットされ、図41に示した役物側タイマ割り込み設定処理におけるステップS134で、RGBフラグRGB―FLGが値1にセットされる。このRGBフラグRGB―FLGが値1にセットされることにより、回転役物61に備えたLED群61aを発光させる準備が整う。
[15−2−2.定速度の回転状態]
定速度の回転状態の領域Bでは、ステップパルス幅が0.5msとなり、役物CPU116は、0.5msごとに、ステップパルスとして、励磁信号MOT0〜MOT3をドライバ115dに出力し、モータ63の回転制御を行う。上述したように、モータ63は96ステップで1回転するため、この領域Bにおけるモータ63の回転速度は、1250(=60s/(0.5ms×96ステップ))rpmとなる。領域Bでは、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS126の回転役物表示処理が行われる。この回転役物表示処理では、後述するRGBデータ出力により、0.5msという極めて短い期間内に、回転役物61に備えたLED群61aにRGBデータを出力し、LED群61aを発光させ、残像効果による演出を行う。
[15−2−3.減速状態]
減速状態の領域Cでは、図43に示した減速タイマ割り込み設定処理で設定される割り込みタイマ(可変時間の割り込みタイマ)に従って、役物制御基板115の役物CPU116は、ステップパルスとして、励磁信号MOT0〜MOT3を役物制御基板115のドライバ115dに出力し、モータ63の回転制御を行う。具体的には、役物制御基板115の役物ROM117に予め記憶された減速テーブル(図示しない)に従って、モータ63の回転制御が行われる。
役物CPU116は、回転演出が終了し、回転演出停止コマンドを受け取ると、定速度の回転状態から停止状態へモータ63の回転制御を行う。このとき、モータ63のステップパルス幅を0.5msに設定する(図43に示した減速タイマ割り込み設定処理のステップS162)。この0.5msは、上述したように、領域Bにおいて、モータ63が定速度の回転状態にあるときのステップパルス幅(0.5ms)であり、このステップパルス幅からモータ63の減速を開始する。0.5ms経過すると、例えば、ステップパルス幅を0.6msに設定する(同処理のステップS166)。0.6ms経過すると、ステップパルス幅を0.7msに設定する(同処理のステップS166)。そして、このステップパルス幅が4.0msになるまで、減速テーブルに従って、ステップパルス幅の設定を繰り返し行う(同処理のステップS160〜ステップS170)。このステップパルス幅が0.5msから0.6ms、0.7ms、・・・、そして4.0msと、長くなることにより、単位時間当たりのモータ63に出力されるステップパルスが少なくなる。つまりモータ63に出力されるステップパルスの速度が遅くなると、このステップパルスに応じて、モータ63が減速され、低速回転(徐行回転)する。ステップパルス幅が4.0msになると(同処理のステップS172)、モータ63は徐行状態となる。この徐行状態では、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS120のセンサ履歴作成処理により、回転役物61の回転位置が回転原点に達したことを認識すると、徐行回転から減速して、回転役物61(モータ63)を指定位置(原位置)に停止させる。
なお、役物制御基板115のドライバ115dは、役物CPU116により出力されたステップパルスとしての励磁信号MOT0〜MOT3が入力されると、この励磁信号に応じて、モータ63の各相(φ1,φ2,φ3,φ4)に励磁電流のスイッチングを行う。例えば上述した定速度回転時における領域Bでは、図50(b)に示すように、ステータスコイルの1相のみに励磁電流を流し、0.5msごとに、φ1→φ2→φ3→φ4→φ1→・・・と、順に励磁電流を流す。これにより、モータ63は定速度回転(1250rpm)となる。
[15―3.モータの状況把握]
役物制御基板115の役物CPU116は、上述した可変時間割り込みタイマTmが発生するごとに、モータ63の回転状況の把握をPOS−IN信号に基づいて行っている。例えば、このPOS−IN信号をカウントして、モータ63の回転速度を把握し、モータ63がステップパルスに追従しているか否か、つまり脱調を起こしているか否か、を認識する。また、上述したPOS−IN信号の入力論理レベルが所定時間内(例えば、モータ63の20回転するときの時間)に値1にならないときには、モータ63の不具合として認識する。この不具合には、モータ63の駆動電源の断線、モータ63に励磁信号MOT0〜MOT3を伝えるコネクタが外れている等がある。なお、モータ63が指定位置(原位置)に停止した状態が続くときには、役物CPU116は、図16に示したドライバ115dに励磁信号MOT0〜MOT3を出力せず、モータ63の発熱を抑えている。
このように、可変時間割り込みタイマTmが発生するごとに、モータ63が脱調しているか否かの判定を行うことができるため、モータ63の回転状況を把握することができる。
[16.RGBデータの出力制御]
次に、回転役物61に備えるLED群61aを発光させる制御について説明する。図51はRGBデータスケジューラの開始位置設定処理の一例を示すフローチャートであり、図52はRGBデータ出力処理の一例を示すフローチャートであり、図53はRGBデータ送信時の各種信号の様子を示すタイミングチャートである。RGBデータスケジューラの開始位置設定処理は、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理の一処理として行われ、RGBデータ出力処理は、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS126の回転役物表示処理の一処理として行われる。
[16−1.RGBデータスケジューラの開始位置設定処理]
RGBデータスケジューラの開始位置設定処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図51に示すように、上述した専用バッファに格納された演出コマンドに対応するRGBデータのデータテーブルが圧縮されたものであるか否かの判定を行う(ステップS220)。LED群61aで演出するRGBデータのデータテーブルは、上述したように、演出コマンドごとに役物ROM117にそれぞれ記憶されている。このRGBデータのデータテーブルは、データテーブルをそのままの状態で記憶すると記憶容量が大きくなるものについては、圧縮した状態で記憶されている。これにより、役物ROM117に記憶するデータテーブルの容量を小さくしている。ステップS220で演出コマンドに対応するRGBデータのデータテーブルが圧縮されたものであると判定されたときには、役物ROM117から圧縮されたRGBデータのデータテーブルを読み出し(ステップS222)、この圧縮されたRGBデータのデータテーブルを復元し、役物RAM118に格納する(ステップS224)。そして、この格納されたRGBデータのデータテーブルの先頭アドレスをRGBデータスケジューラの開始位置にセットし(ステップS226)、このルーチンを終了する。一方、ステップS220で演出コマンドに対応するRGBデータのデータテーブルが圧縮されたものでないと判定されたとき、つまり非圧縮のRGBデータのデータテーブルと判定されたときには、役物ROM117に記憶されたRGBデータのデータテーブルの先頭アドレスをRGBデータスケジューラの開始位置にセットし(ステップS228)、このルーチンを終了する。
なお、役物RAM118には、圧縮されたデータテーブルの復元用として、2フレーム分の記憶容量を有するバッファ(「ダブルバッファ」という。)が設けられている。ここで「1フレーム」とは、回転役物61が1回転するときに必要となるRGBデータの記憶容量である。具体的には、上述したように、回転役物61は、1回転を96分割にされており、この回転役物61の回転位置ごとに、LED群61aを発光させるRGBデータが対応付けられている。この96分割分のRGBデータの記憶容量が1フレームとなる。ステップS224で復元されたRGBデータのデータテーブルは、ダブルバッファのうち1つのバッファに格納され、ステップS226でこのバッファに格納されたRGBデータのデータテーブルの先頭アドレスがRGBデータスケジューラの開始位置にセットされる。そして、後述するRGBデータ出力処理により、バッファに格納されたRGBデータのデータテーブルが読み出される。今回、ステップS224で格納されたバッファと異なるもう1つのバッファには、次回、復元用としてRGBデータのデータテーブルが格納される。このように、ダブルバッファの各バッファには、RGBデータのデータテーブルが交互に格納される。
[16−2.RGBデータ出力処理]
次に、RGBデータ出力処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図52に示すように、LED群61aのn番目のLEDを示すLEDカウンタnに値0をセットする(ステップS230)。このLED群61aは、上述したように、回転役物61の円弧側から回転軸に向かうにつれて一列にLED0,LED1,・・・,LED7が配設される。ステップS230に続いて、図51で示したRGBデータスケジューラの開始位置設定処理でセットされたRGBデータスケジューラの開始位置(先頭アドレス)におけるRGBデータを、0番目のLED、つまりLED0のRGBデータとして読み出す(ステップS232)。ステップS232で読み出したRGBデータ(赤色のデータTX−R,緑色のデータTX−G及び青色のデータTX−B)を回転ユニット60の信号伝送部62tに出力する(ステップS234)。そして、所定の時間(本実施形態では、17.6μs)経過後、クロック信号TX−CLKを値0から値1に立ち上げる(アップエッジする、ステップS236)。
続いて、所定の時間(本実施形態では、11μs)経過後、クロック信号TX−CLKを値1から値0に立ち下げ(ダウンエッジし、ステップS238)、LEDカウンタnが値7であるか否かを判定する(ステップS240)。この判定は、LED群61aを構成するすべてのLEDのRGBデータを回転ユニット60の信号伝送部62tに出力したか否かを判定する。ステップS240ですべてのLEDのRGBデータを出力していないときには、RGBデータスケジューラを1つすすめる(ステップS242)。具体的には、RGBデータスケジューラの示すアドレスを1つすすめる。そして、LEDカウンタnを値1だけ、インクリメントし(ステップS244)、再びステップS232に戻り、RGBデータスケジューラの示すアドレスからRGBデータを読み出し、ステップS234で読み出したRGBデータを回転ユニット60の信号伝送部62tに出力し、ステップS236で所定の時間経過後、クロック信号TX−CLKをアップエッジし、ステップS238で所定の時間経過後、クロック信号TX−CLKをダウンエッジし、LEDカウンタnが値7になるまで、ステップS242、ステップS244、そしてステップS232〜ステップS238を順次繰り返し行う。
一方、ステップS240でLEDカウンタnが値7になったとき、つまりすべてのLEDのRGBデータを回転ユニット60の信号伝送部62tに出力したときには、ラッチ信号TX−LATをアップエッジし(ステップS246)、所定の時間(本実施形態では、11μs)経過後、ラッチ信号TX−LATをダウンエッジし(ステップS248)、このルーチンを終了する。
次に、上述したRGBデータ出力処理が行われるときの各種信号について説明する。図53に示すように、このRGBデータ出力処理が開始され、LED群61aのLED0のRGBデータが回転ユニット60の信号伝送部62tに出力されると、図53(b)〜(d)に示すRGBデータのTX−RとしてR0,TX−GとしてG0及びTX−BとしてB0がそれぞれ出力される(図52に示したRGBデータ出力処理のステップS234)。出力されてからT5時間(本実施形態では、17.6μs)経過後、図53(a)に示すクロック信号TX−CLKをアップエッジし(図52に示したRGBデータ出力処理のステップS236)、T6時間(本実施形態では、11μs)経過後、クロック信号TX−CLKをダウンエッジする(図52に示したRGBデータ出力処理のステップS238)。このLED0のRGBデータが信号伝送部62tに出力されると、信号伝送部62tは、光通信により、信号受信部62rにLED0のRGBデータを出力する。そして、これを受信した信号受信部62rは、回転役物61に搭載されたシフトレジスタLEDドライバ61sに出力する(図16参照)。
このシフトレジスタLEDドライバ61sは、上述したように、RGBデータのTX−R,TX−G及びTX−Bごとに8ビットのシフトレジスタをそれぞれ有しており、クロック信号TX−CLKに応じて、RGBデータを各シフトレジスタに取り込む。そしてラッチ信号TX−LATを契機として、例えば、LED0には(R0,G0,B0)のRGBデータ、LED5には(R5,G5,B5)のように、各シフトレジスタのnビットに取り込まれたRGBデータがn番目のLEDに出力される。
LED0〜LED7までのRGBデータが回転ユニット60の信号伝送部62tに出力されると、図53(e)に示すラッチ信号TX−LATをアップエッジし、T8時間(本実施形態では、11μs)経過後、ラッチ信号TX−LATをダウンエッジする。このラッチ信号TX−LATのアップエッジを契機として、シフトレジスタLEDドライバ61sはRGBデータをLED0〜LED7にそれぞれ一度に出力し、LED0〜LED7がRGBデータに応じて発光する。
このRGBデータ出力処理は、モータ63が定速度回転しているときに行われる。上述したように、モータ63が1250rpmで定速度回転するときには、ステップパルス幅が0.5msとなるため、モータ63は、500μs(=0.5ms)ごとにステップパルスが出力される。この500μsという極めて短い時間の中で、LED0〜LED8のRGBデータが役物制御基板115から回転役物61のシフトレジスタLEDドライバ61sに出力される。このため、RGBデータを取り込むシフトレジスタLEDドライバ61sへのクロック信号TX−CLKの周期は、本実施形態では、約35kHzに設定されており、クロック信号TX−CLKがアップエッジしてダウンエッジするまでのT6時間が11μs、ダウンエッジしてアップエッジするまでのT7時間が17.6μsにそれぞれ設定されている。このクロック信号TX−CLKに基づいて、役物制御基板115の役物CPU116からシフトレジスタLEDドライバ61sにLED0〜LED7のRGBデータが出力される総時間は、(11+17.6)μs×LED8個分で228.8μsとなり、500μs以内にRGBデータの出力が完了する。
[17.回転位置のリフレッシュ]
次に、回転役物61で行われる回転演出を開始するとき、回転原点から開始するか、又は論理原点から開始するかを選択する処理について説明する。図54は温度上昇によるドリフトにより検出信号が変化する様子を示すタイミングチャートであり、図55は回転原点判別処理の一例を示すフローチャートであり、図56は論理原点判別処理の一例を示すフローチャートであり、図57は原点リフレッシュ処理の一例を示すフローチャートであり、図58はRBGデータのデータテーブルの一例である。回転原点判別処理及び論理原点判別処理は、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS126の回転役物表示処理の一処理として行われ、原点リフレッシュ処理は、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理の一処理として行われる。
[17―1.温度上昇によるドリフト]
回転役物61で回転演出が行われるとき、モータ63は定速度の回転状態にある。このとき、モータ63は、上述したように、可変時間割り込みタイマTmが0.5msに設定されている。つまり、0.5msごとにステップパルスがモータ63に出力される。モータ63は、96ステップで1回転するステッピングモータであるため、1ステップ当たり3.75度回転し、48ms(=0.5ms×96ステップ)で1回転する。
モータ63が回転を開始すると、このモータ63の回転にともなって、回転受信部62r、スリップリング62s及び回転役物61が一体となって回転する。このため、回転役物61はモータ63と同期した回転となる。回転役物61の回転位置は、モータ63のステップ数を基準として値0〜値95(96分割)で管理され、モータ63が1ステップ回転することにより、値1が加算される。上述したように、回転役物61の回転位置の値0は、回転役物61による回転演出を開始ときの基準であり、論理原点を表す。
回転受信部62rに設けた遮蔽板62bは、モータ63の回転により、回転役物本体62に内蔵された透過型フォトインターラプタ62iの検出領域である凹部に入り込み、そして出て行く動作を繰り返し行う。この透過型フォトインターラプタ62iは、遮蔽板62bが凹部に入り込んできたことを検出すると、その検出信号をサンプリングした結果(遮蔽時にビットが値1)を、8ビットのシフトレジスタに順次格納し、その履歴が「00000011B(「B」は、ビット情報を表す。)」になったとき、役物制御基板115の役物CPU116は、回転役物61の回転位置が回転原点に達したことを認識する。
パチンコ機1が設置される島内の温度は、パチンコ機1を構成する各種の制御機器、駆動物及び球循環器等の稼働状況に応じて、上昇する。このため、回転役物本体62に内蔵された透過型フォトインターラプタ62iは、この温度上昇の影響を受けて、遮蔽板62bが凹部に入り込んできたことを検出すると、その検出信号の波形に変化が現れる(温度上昇による「ドリフト」という)。具体的には、図54(a)に示すように、透過型フォトインターラプタ62iが温度上昇による影響を受けていないとき(ドリフトなし)の検出信号の波形を実線で示し、一方、透過型フォトインターラプタ62iが温度上昇による影響を受けているとき(ドリフトあり)の検出信号の波形を2点鎖線で示す。ここで、この検出信号は、図16に示したPOS−IN信号として役物CPU116に入力される。このとき、その検出信号の電圧がしきい電圧VIH-MIN以上であるときには入力論理レベルが値1となり、役物CPU116は、遮蔽板62bが凹部に入り込んできていることを認識し、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS120のセンサ履歴作成処理で、検出信号をサンプリングし、履歴を作成する。そして、この履歴に基づいて、回転役物61の回転位置が回転原点に達したことを認識する。なお、このしきい電圧VIH-MINは、本実施形態では、役物CPU116の制御電圧VDD(例えば、3.3V)の3分の2(例えば、2.2V)に設定されている。
透過型フォトインターラプタ62iが温度上昇による影響を受けていないとき、つまりドリフトなしのPOS−IN信号が役物CPU116に入力されるときには、遮蔽板62bが凹部に入り込むと、図54(a)及び(b)に示すように、その検出信号の波形が速やかに立ち上がるため、遮蔽板62bを検出してから0.5ms期間内、つまり次の可変時間割り込みタイマTmが発生するまでに、検出信号の電圧がしきい電圧VIH-MINとなり(ポイントLa)、入力論理レベルが値1となる(タイミングt2)。この0.5ms期間を終え、次の可変時間割り込みタイマTmの発生時に、役物CPU116は、POS−IN信号の入力論理レベルが値1であることを認識し、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS120のセンサ履歴作成処理で、POS−IN信号をサンプリングし(タイミングt3)、その履歴が「00000011B」になったとき、回転役物61の回転位置が物回転原点に達したことを認識する(タイミングt4)。
一方、透過型フォトインターラプタ62iが温度上昇による影響を受けているとき、つまりドリフトありのPOS−IN信号が役物CPU116に入力されるときには、遮蔽板62bが凹部に入り込むと、図54(a)及び(c)に示すように、その検出信号の波形が緩やかに立ち上がるため、遮蔽板62bを検出してから0.5msの期間内、つまり次の可変時間割り込みタイマTmが発生するまでに、検出信号の電圧がしきい電圧VIH-MINとならず、この0.5msの期間を超えて、次の可変時間割り込みタイマTmの発生後から0.5msの期間内で、検出信号の電圧がしきい電圧VIH-MINとなり(ポイントLb)、入力論理レベルが値1となる(タイミングt5)。そして、更に次の可変時間割り込みタイマTmの発生時に、役物CPU116は、ようやくPOS−IN信号の入力論理レベルが値1であることを認識し、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS120のセンサ履歴作成処理で、POS−IN信号をサンプリングし(タイミングt6)、その履歴が「00000011B」になったとき、回転役物61の回転位置が回転原点に達したことを認識する(タイミングt7)。
このように、透過型フォトインターラプタ62iが温度上昇による影響を受けているとき(ドリフトあり)では、温度上昇による影響を受けていないとき(ドリフトなし)に比べて、検出信号の波形の立ち上がりに違いがあるため、役物CPU116は、POS−IN信号の入力論理レベルが値1であることを認識するまで、つまり回転原点を認識するまでに、0.5msという可変時間割り込みタイマTm分だけ遅れることになる。したがって、モータ63は、1ステップだけ回転し、回転原点にズレが生じる。
[17―2.リフレッシュフラグの設定]
回転役物61が1回転するときに必要となるRGBデータの記憶容量(1フレーム)は、ヘッダ情報及びRGBデータのデータテーブルにより構成されている。このヘッダ情報には、回転役物61の回転位置のリフレッシュフラグREF−FLG等がある。このリフレッシュフラグREF−FLGは、回転役物61の回転原点を基準にして回転演出を行う(補正する)とき値1、回転役物61の論理原点を基準にして回転演出を行う(補正しない)とき値0にそれぞれ設定されている。
モータ63が脱調を起こしているときには、回転役物61の回転位置を回転原点に復帰させる制御等が考えられる。しかしながら、脱調していない場合であっても、透過型フォトインターラプタ62iが温度上昇による影響を受けるとき(ドリフトあり)には、上述したように、検出信号の波形の立ち上がりが緩やかになるため、回転原点にズレが生じる。
上述したように、島内の温度上昇により、回転役物61の回転原点の検出は、1ステップ分遅れが生じ、1ステップ行き過ぎたところで回転原点を検出することになる。例えば、回転役物61により静止画像を残像効果により演出する最中に、温度上昇による影響を受けると、回転原点のズレにより、この残像(静止画像)が回転方向に傾く。このとき、遊技者は、静止画像であるがゆえ、違和感を受ける。一方、例えば、単語「PUSH」をセンターユニット40に向かって右側から左側へ、文字「P」、文字「U」、文字「S」、そして文字「H」と順に移動させる動画像を残像効果により演出するときには、右から左に動く残像に興味が惹き、残像が回転方向に一瞬傾いても、遊技者は違和感を受けない。
このため、上述したヘッダ情報には、1フレームごとに、回転役物61の回転原点を基準にして回転演出を行う(補正する)タイミングが予め設定されている。具体的には、回転演出中の1フレーム(上述したLED群61aを発光させるRGBデータのデータテーブル)が、次回の回転演出される1フレーム(RGBデータのデータテーブル)と同一であるとき、つまり次回、同一の残像効果による演出が行われる(静止画像である)ときには、次回の1フレームのステータス情報には、リフレッシュフラグREF−FLGを値0に設定し、回転役物61の論理原点を基準にして回転演出を行う(補正しない)。つまりこの間、回転原点を無視してLED群61aにRGBデータが出力される。これにより、表示される残像(静止画像)が傾くのを防止することができる。
一方、回転演出中の1フレーム(RGBデータのデータテーブル)が、次回の回転演出される1フレーム(RGBデータのデータテーブル)と同一でないとき、つまり次回、同一の残像効果による演出が行われていない(動画像である)ときには、次回の1フレームのステータス情報には、リフレッシュフラグREF−FLGを値1に設定し、回転役物61の回転原点を基準にして回転演出を行う(補正する)。これにより、表示された残像の動き(動画像)に興味を惹かすことができる。したがって、表示される残像が傾いても、遊技者は違和感を受けない。また、回転原点のズレを補正するタイミングとして、積極的に利用することもできる。
このように、回転原点を基準にして回転演出を行う(補正する)タイミングは、1フレームごとにステータス情報としてRGBデータのデータテーブルと併せて持たせることにより、行うことができる。なお、回転原点を基準にして回転演出を行う(補正する)タイミングは、後述する原点リフレッシュ処理において行われる。
[17―3.回転原点判別処理]
次に、回転原点判別処理について説明する。この表示原点判別処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図55に示すように、POS−IN信号をサンプリングした履歴を読み出す(ステップS250)。この履歴は、上述したように、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS120のセンサ履歴作成処理で作成され、具体的には、サンプリングした結果を8ビットのシフトレジスタに順次格納することにより作成される。ステップS250でこの履歴を読み出すと、つまり8ビットのシフトレジスタの情報を読み出すと、遮蔽板62b(回転役物61の回転位置)が回転原点に達しているか否かを判定する(ステップS252)。この判定は、8ビットのシフトレジスタに格納されている情報に基づいて行われる。上述したように、回転役物61の回転位置が回転原点に達しているときには、8ビットのシフトレジスタに「00000011B」が格納されている。
ステップS252で回転体役物61の回転位置が回転原点であるとき、つまり8ビットのシフトレジスタに「00000011B」が格納されているときには、後述する原点リフレッシュ処理を行い(ステップS254)、このルーチンを終了する。この原点リフレッシュ処理では、後述するように、ヘッダ情報に基づいて、回転原点又は論理原点のいずれかを選択する処理を行う。一方、ステップS252で回転役物61の回転位置が回転原点に達していないとき、つまり8ビットのシフトレジスタに「00000011B」が格納されていないときには、回転位置カウンタRCに値1を加算し(ステップS256)、このルーチンを終了する。
この回転位置カウンタRCは、回転役物61の回転位置を管理するカウンタであり、回転原点判別処理が行わるごとに、値1ずつ加算される。回転位置カウンタRCの値0は、回転役物61の回転位置が回転原点にあることを表す。なお、上述したように、回転役物61はモータ63と同期して回転するため、モータ63と同様に、回転位置カウンタRCは、回転役物61の回転位置を値0〜値95(96分割)で管理する。
[17―4.論理原点判別処理]
次に、論理原点判別処理について説明する。この論理原点判別処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図56に示すように、回転位置カウンタRCが値96であるか否かを判定する(ステップS260)。この判定は、回転役物61の回転位置が論理原点に達したか否かを判別するために行われる。回転位置カウンタRCは、上述したように、回転役物61の回転位置を値0〜値95(96分割)で管理する。回転位置カウンタRCは、値0(回転原点)からカウント開始し、回転役物61が1回転すると、値96(論理原点)になる。ステップS260で回転位置カウンタRCが値96であるとき、つまり回転役物61の回転位置が論理原点に達したときには、後述する原点リフレッシュ処理を行い(ステップS262)、このルーチンを終了する。この原点リフレッシュ処理では、後述するように、ヘッダ情報に基づいて、回転原点又は論理原点のいずれかを選択する処理を行う。一方、ステップS260で回転位置カウンタRCが値96でないとき、つまり回転役物61の回転位置が論理原点に達していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[17―5.原点リフレッシュ処理]
次に、原点リフレッシュ処理について説明する。この原点リフレッシュ処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図57に示すように、1フレームのヘッダ情報を読み出し(ステップS270)、この読み出したヘッダ情報に基づいて、動画像であるか静止画像であるかを判定する(ステップS272)。この判定は、ヘッダ情報に含まれるリフレッシュフラグREF−FLGの値に応じて行われる。このリフレッシュフラグREF−FLGは、上述したように、動画像であるとき値1、静止画像であるとき値0とそれぞれ設定されている。ステップS272でリフレッシュフラグREF−FLGが値1のとき、つまり動画像であるときには、回転原点を基準にする(ステップS274)。この回転原点を基準にして、図52に示したRGBデータ出力処理が行われる。これにより、回転役物61に備えたLED群61aが発光し、残像効果による演出が行われる。
なお、ステップS274では、回転位置カウンタRCが値0にセットされている。これは、論理原点を判別するための回転位置カウンタRCをリセットするために行われる。つまり、この回転原点を基準にして、論理原点を判別するための回転位置カウンタRCのカウントが開始される。また、上述したように、LED群61aは、回転役物61の回転位置である値0から値95までに対応付けられたRGBデータに応じて、値0、つまり論理原点から順に発光する。このように、本実施形態では、論理原点からLED群61aが発光し、残像効果による演出が行われる。このため、この論理原点を、回転原点を基準としたり、又は回転位置カウンタRCの値96を基準としたりすることにより、LED群61aが発光開始する回転役物61の回転位置を変化させている。
一方、ステップS272でリフレッシュフラグREF−FLGが値0のとき、つまり静止画像であるときには、論理原点を基準にする(ステップS276)。この論理原点を基準にして、図52に示したRGBデータ出力処理が行われる。これにより、回転役物61に備えたLED群61aが発光し、残像効果による演出が行われる。
ここで、残像効果による演出が動画像であるときに基準にする回転原点と、静止画像であるときに基準にする論理原点とについて、図58を用いて具体的に説明する。図58に示すように、RGBデータのデータテーブルは、フレーム0〜フレーム49までは、2.4s(=48ms×50フレーム)間、動画像(図58中の「A」は、フレームが動画像であることを意味する。)が設定されている。このフレーム0〜フレーム49までは、フレーム0、フレーム1、そしてフレーム49と順に、フレームごとの回転原点を基準にして(図57に示した原点リフレッシュ処理におけるステップS274)、図52に示したRGBデータ出力処理が開始される。つまり動画像では、フレームごとに更新される回転原点が基準となる。
フレーム49に続いて、フレーム50〜フレーム74までは、1.2s(=48ms×25フレーム)間、静止画像(図58中の「B」は、フレームが静止画像であることを意味する。)が設定されている。このフレーム50、フレーム51、そしてフレーム74までの全フレームは、フレーム50の1つ前、動画像であるフレーム49の回転原点から1回転したときの論理原点を基準にして(図57に示した原点リフレッシュ処理におけるステップS276)、図52に示したRGBデータ出力処理が開始される。つまり静止画像では、動画像と異なり、フレームごとに更新される回転原点が基準とならず、静止画像が始まる1つ前、動画像であるフレームの回転原点から1回転したときの論理原点が、静止画像が連続する間、共通の基準となる。
なお、フレーム74に続いて、フレーム75〜では、動画像であるため、フレーム75、フレーム76、・・・と順に、フレームごとの回転原点を基準にして(図57に示した原点リフレッシュ処理におけるステップS274)、図52に示したRGBデータ出力処理が開始される。つまり静止画像に続いて動画像が始まるときでも、フレームごとに更新され回転原点が基準となる。
このように、静止画像では、静止画像が始まる1つ前、動画像であるフレームの回転原点から1回転したときの論理原点(回転位置カウンタRCが値96)が、静止画像が連続する間、共通の基準となるため、この期間に、上述した温度上昇によるドリフトが生じ、回転原点がズレても、表示される残像(静止画像)が傾かない。一方、動画像では、フレームごとに更新される回転原点が基準となっても、遊技者は、表示された残像の動き(動画像)に興味を惹き、表示される残像が傾いても、違和感を受けない。このため、本実施形態では、動画像において、回転原点のズレを積極的に補正している。
[18.解錠操作監視処理]
次に、解錠操作監視処理について説明する。この解錠処理監視処理は、本体枠3と前面枠5と施錠するシリンダー錠24に鍵が挿入され、前面枠5側の解錠操作が行われた場合に、安全確保のため、回転体役物61を停止させる処理を行う。図59は解錠操作監視処理の一例を示すフローチャートである。この解錠操作監視処理は、図38に示した役物制御側リセット処理におけるステップS108の48msの定常処理の一処理として行われる。
解錠操作監視処理が開始されると、役物制御基板115の役物CPU116は、図59に示すように、解錠スイッチ24aからの検出信号があるか否かを判定する(ステップS280)。この判定は、上述したように、シリンダー錠24に設けた基準板(図示しない)が解錠スイッチ24aとしての透過型フォトインターラプタにより、検出されたか否かにより行う。この検出信号は、具体的には、透過型フォトインターラプタの検出領域である凹部に基準板が入り込んできたとき、解錠操作が行われた状態にあるとして値0、一方、凹部に基準板が入り込んでいないとき、解錠操作が行われていない状態にあるとして値1がそれぞれ設定されている。
ステップS280で検出信号が値1であるとき、つまり解錠操作が行われていない状態にあるときには、そのままこのルーチンを終了する。解錠操作が行われていない状態にあるときには、つまり前面枠5が施錠状態にあるため、回転役物61は、回転演出を続ける。一方、ステップS280で検出信号が値0であるとき、つまり解錠操作が行われた状態にあるときには、回転役物停止処理を行い(ステップS282)、このルーチンを終了する。
この回転役物停止処理は、回転役物62が回転しながら演出(回転演出)を行っているか否かに関わらず、回転役物61を指定位置(原位置)に停止させる処理を行う。前面枠5が本体枠3から開放されているときには、役物CPU116は、解錠操作が行われた状態にあると判断し、モータ状態フラグMS−FLGを値0に、強制的にセットする。そして、解錠操作が行われていない状態にあると判断するまで、つまり前面枠5が施錠状態になるまでは、モータ状態フラグMS−FLGの書き換えを禁止する。
モータ63の加速状態(モータ状態フラグMS−FLGが値1のとき)及び定速度の回転状態(モータ状態フラグMS−FLGが値2のとき)において、役物CPU116は、モータ状態フラグMS−FLGを値3にセットすることにより、上述した回転演出停止コマンドに対応するプログラム(以下、単に回転停止プログラムという。)を実行する。この回転停止プログラムが実行されることにより、モータ63は減速状態になる。また、加速状態から減速状態、又は定速度の回転状態から減速状態になるとき、役物CPU116は、どちらも回転停止プログラムを実行し、処理の共通化を図っている。
なお、役物CPU116は、モータ状態フラグMS−FLGが値3であるとき、つまり減速状態にあるときには、そのまま回転停止プログラムを継続する。そして、この回転停止プログラムを終了すると、モータ状態フラグMS−FLGを値0にセットする。このとき、回転役物61は指定位置(原位置)に停止する。モータ63の停止状態において、役物CPU116は、解錠操作が行われていない状態にあると判断するまで、つまり前面枠5が施錠状態になるまでは、モータ状態フラグMS−FLGの書き換えを禁止し、モータ63の停止状態を維持させる。
このように、役物CPU116は、この回転演出停止プログラを実行すると、回転役物61を回転させるモータ63を、図50(a)の領域Cに示したように、減速させて1s以内に停止させる。シリンダー錠24に鍵を挿入したとき、回転役物が回転演出を行っていても、解錠操作してから前面枠5が開放されるまでには、1秒近くかかる。このため、モータ63は、その回転速度が十分に減速された状態又は停止された状態になる。例えば、盤面に配設された障害釘と障害釘との間に、偶発的に遊技球が引っかかり、この遊技球の上に次々と遊技球が乗って、ぶどう状に遊技球の塊ができたときには、このトラブルを解消するために、店員が前面枠5をうっかり開けた場合でも、回転役物61が停止状態にあるため、回転役物61の周辺にある遊技球を跳ね飛ばす危険性がない。
また、上述した保留球数が残っていて、回転役物61が回転演出を行う場合でも、回転役物61は停止状態にされている。したがって、解錠操作しても、回転役物61が常に停止状態にあるため、安全性を確保することができる。
なお、上述した定速度の回転状態(1250rpm)では、役物CPU116は、図40に示した役物制御側タイマ割り込み処理におけるステップS126の回転役物表示処理及びステップS128のモータ制御処理を行う。このため、上述したように、モータ63が1ステップ回転するごとに、つまり0.5ms(定速度の回転状態における可変時間割り込みタイマTm)ごとに、LED群61aにRGBデータが出力される。このように、0.5ms期間内では、役物CPU116の稼働率が非常に大きくなる(処理が過密になる)。そこで、48ms(固定時間割り込みタイマ)ごとに、解錠操作の有無を判断する処理を行うことにより、0.5ms期間内における役物CPU116の負荷を抑えることができる。したがって、役物CPU116は、0.5ms期間内では、回転役物表示処理及びモータ制御処理に専念することができる。
[19.演出]
次に、回転役物61の行う回転演出について説明する。図60は回転役物61の行う回転演出の一例を示す演出であり、図61は図60に示す回転役物61の行う回転演出のつづきを示す演出である。
図60(a),(b)及び図61(c),(d)に示すセンターユニット40の画像表示装置42では、画像表示装置42の中央左方には装飾図柄150a、中央右方には装飾図柄150cが表示され、中央よりやや上方では装飾図柄150bが表示される。装飾図柄150a,150cは、変動表示が開始されるまでは不透明の態様で表示されており、変動表示が開始されると、画像表示装置42の上方から下方に向けて高速変動に移行される過程において、背景画像が見通せるように半透明の態様に変更される。そして、停止表示される前に、低速変動に移行される過程において、再び不透明の態様に戻される。一方、装飾図柄150bは、画像表示装置42の表示領域における図示しない中心線(鉛直方向の仮想垂線)を中心として、回動表示される。この装飾図柄150bは、回動表示が開始されるまでは不透明の態様で表示されており、高速変動に移行される過程において、背景画像が見通せるように半透明の態様に変更される。そして、停止表示される前に、低速変動に移行される過程において、再び不透明の態様に戻される。また、画像表示装置42の中央よりやや下方には、キャラクタ150IC,150MCの二人組が表示制御されている。
上述したように、回転役物61が定速度になると回転役物61に搭載されたLED群61aにより種々の回転演出を行う。図60(a),(b)及び図61(c),(d)は、このLED群61aを発光させて、単語「PUSH」を表示させたときのものである。この単語「PUSH」を表示する回転演出は、センターユニット40に向かって右側から左側へ、文字「P」、文字「U」、文字「S」、そして文字「H」と順に移動することにより行われる。LED61aによる回転演出が開始されると、文字「P」が右側から左側へ徐々に移動する態様で表示されはじめる。
図60(a)に示す表示150fでは、まず文字「P」の一部が右側に表示され、文字「P」が左側へ徐々に移動する。この移動にともない、文字「P」の全体が表示される態様となる。図60(b)に示す表示150gでは、文字「P」が右側から左側へ徐々に移動し、この移動にともない、文字「P」に続けて文字「U」、そして文字「S」が順に表示される。このとき、文字「U」及び文字「S」も文字「P」と同様に、文字の一部が右側に表示され、文字が左側へ徐々に移動する。この移動にともない、文字全体が表示される態様となる。図61(c)示す表示150hでは、文字「P」及び文字「U」が左側へ移動し終えたため、文字「P」及び文字「U」は表示されていない。文字「P」、文字「U」、そして文字「S」が右側から左側へ徐々に移動し、この移動にともない、文字「S」に続けて文字「H」が表示される。このとき、文字「H」も文字「P」、文字「U」及び文字「S」と同様に、文字の一部が右側に表示され、文字が左側へ徐々に移動する。この移動にともない、文字全体が表示される態様となる。図61(d)示す表示150iでは、文字「P」、文字「U」、そして文字「S」が左側へ移動し終えたため、文字「P」、文字「U」及び文字「S」は表示されていない。文字「H」が右側から左側へ徐々に移動し、この移動により、文字「H」は左側に表示される。その後、文字「H」は、文字「P」、文字「U」及び文字「S」と同様に、文字全体が左側へ移動し終えると、単語「PUSH」は表示されなくなる。
なお、LED群6aは、上述したように、役物制御基板115からRBGデータの出力に応じて発光する。このため、赤色(R)、緑色(G)そして青色(B)を組み合わせて、さまざまな色態様で上述した単語「PUSH」を表示することができる。例えば、文字「P」は赤色、文字「U」は緑色、文字「S」は青色、文字「H」は赤色と青色とを組み合わせて紫色で表示することができる。また、単語「PUSH」を上段、中段そして下段の3段階に分けて、上段には赤色、中段には緑色そして下段には青色で表示することもできる。
以上説明した本実施形態のパチンコ1によれば、主基板101と、サブ統合基板111と、役物制御基板115と、回転ユニット60と、を備えている。主基板101は、遊技の進行に基づいて、サブ統合基板111に各種コマンドを出力する。この各種コマンドが入力されるサブ統合基板111は、各種コマンドに基づいて、役物制御基板115に演出コマンドを出力する。この演出コマンドが入力される役物制御基板115は、この演出コマンドに基づいて、回転ユニット60の制御を行う。回転ユニット60は、8個のLED(LED0〜LED7)からなるLED群61aを備えた回転役物61と、この回転役物61を回転させるモータ63と、を備えている。回転役物61は、モータ63により1ステップ単位で駆動されて回転し、モータ63の1ステップごとにLED群61aを発光させて、残像効果による演出(回転演出)を行う。
モータ63が回転を開始すると、このモータ63の回転にともなって、回転受信部62r、回転役物61等が一体となって回転する。このため、回転役物61はモータ63と同期した回転となる。回転役物61の回転位置は、モータ63のステップ数を基準として値0〜値95(96分割)で管理される。回転受信部62rに設けた遮蔽板62bは、モータ63の回転により、回転役物本体62に内蔵された透過型フォトインターラプタ62iの検出領域である凹部に入り込み、そして出て行く動作を繰り返し行う。この透過型フォトインターラプタ62iは、遮蔽板62bが凹部に入り込んできたことを検出すると、その検出信号をPOS−IN信号として役物制御基板115に出力する。
このPOS−IN信号が入力される役物制御基板115は、図55に示した回転原点判別処理を行い、回転役物61の回転位置が回転原点に達した否かを判別する。また、図56に示した論理原点判別処理を行い、回転役物61の回転位置が論理原点に達した否かを判別する。そして、図57に示した原点リフレッシュ処理を行い、フレームのヘッダ情報に含まれるリフレッシュフラグREF−FLGに基づいて、回転原点判別処理で判別された回転原点又は論理原点判別処理で判別された論理原点のいずれかを選択する。
モータ63が定速度の回転状態(図50(a)の領域B、1250rpm)になると、役物制御基板115は、図58に示したRGBデータのデータテーブル(演出コマンド)からフレームのヘッダ情報を読み出す。そして、このヘッダ情報に含まれるリフレッシュフラグREF−FLGに基づいて、リフレッシュフラグREF−FLGが値1のとき、つまりフレームが動画像であるときには、フレームごとに更新される回転原点を基準にして、図52に示したRGBデータ出力処理が開始される。これにより、回転役物61に備えたLED群61aが発光し、残像効果による演出が行われる。
一方、リフレッシュフラグREF−FLGが値0のとき、つまり静止画像であるときには、静止画像が始まる1つ前、動画像であるフレームの回転原点から1回転したときの論理原点を、静止画像が連続する間、共通の基準にして、図52に示したRGBデータ出力処理が開始される。これにより、回転役物61に備えたLED群61aが発光し、残像効果による演出が行われる。
このように、静止画像では、静止画像が始まる1つ前、動画像であるフレームの回転原点から1回転したときの論理原点が、静止画像が連続する間、共通の基準となるため、この期間に、透過型フォトインターラプタ62iの検出信号(POS−IN信号)が温度上昇による影響を受けて、その信号が変化して(温度上昇によるドリフトが生じて)、回転原点がズレても、表示される残像(静止画像)が傾かない。一方、動画像では、フレームごとに更新される回転原点が基準となっても、遊技者は、表示された残像の動き(動画像)に興味を惹き、表示される残像が傾いても、違和感を受けない。したがって、温度上昇によるドリフトが生じた場合でも、遊技者に違和感を与えない。
ここで、回転役物61で回転原点を基準にして静止画像の演出を行っているときには、上述したように、温度上昇によるドリフトが生じると、回転原点がズレ、静止画像が傾く。この傾きを元に戻すために、補正として、論理原点を基準にして静止画像の演出を行うと、静止画像の傾きはなくなるが、この補正により、補正前の静止画像が傾いていた向きとは反対の向きに、静止画像が回転させられる。つまり補正することにより、静止画像が回転させられ、返って遊技者に違和感を与えることになる。しかしながら、回転役物61は、回転軌道上の平面全体で残像効果による演出を行うため、この平面上で補正しなければ、静止画像は傾いた状態のままとなる。そこで、動画像の演出を行うときに限って、フレームごとに更新される回転原点を基準にすることにより、遊技者は、表示された残像の動き(動画像)に興味を惹き、表示される残像が傾いても、違和感を受けない。したがって、動画像の演出を行うときには、補正するタイミングとして好ましく、かつ、補正が行われていることを遊技者に気付かれない、という絶大な効果が得られる。
また、透過型フォトインターラプタ62iは、遮蔽板62bが凹部に入り込んできたことを検出すると、その検出信号(POS−IN信号)をサンプリングした結果(遮蔽時にビットが値1)を、8ビットのシフトレジスタに順次格納し、その履歴が「00000011B(「B」は、ビット情報を表す。)」になったとき、役物制御基板115の役物CPU116は、回転役物61の回転位置が回転原点に達したことを認識(判別)する。このため、ノイズによる誤検出を防ぐことができ、確実に回転原点を認識(判別)することができる。
更に、回転役物61は、回転軌道上の平面全体で残像効果による演出を行うため、回転軌道上の平面全体がキャンバスとなり、残像効果による多彩な演出を行うことができる。
[20.別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの)などにも適用することができる。