JP4295382B2 - 板紙原紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は板紙原紙に関し、特にプレス加工によって所定の形状に成形される収納容器としての紙容器を製造するための板紙原紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄処理における環境問題等から用途に応じて、プラスチック容器に代えて紙をプレス成形した紙容器が注目されている。
図8は、このような紙容器の外観形状を示す斜視図であり、例えばアルミ箔製のガスレンジ用マットを収納するためのものである。
【0003】
図を参照して、紙製の成形容器63は、中央部に円形形状に形成され、その上面が平坦な突出部22と、突出部22の外周縁から斜め外方に延びる傾斜部23と、傾斜部23の外周縁に接続するやや下方に凹んだ底部24と、底部24の外周縁に接続され、外方に向かって上方に延びる立上り部25と、立上り部25の外周縁に接続され、ほぼ平坦な平坦部26と、平坦部26の外周縁に接続され、外方へほぼ水平方向に延びるフランジ部27とから構成されている。
【0004】
尚、平坦部26は、そのコーナ部に対してその4辺部からやや下がった形状となっており、このためその下がった部分とフランジ部27との間には垂直立上り部28が形成されている。
また、成形容器63の突出部22の中央部を除いて全面に放射状に罫線64が形成されている。これは後述するように成形容器63を板紙原紙からプレス加工した際にその成形性を向上し、不要なシワを吸収して容器の外観性能を向上させるため、板紙原紙の段階で押圧成形された線条が加工後に表面に表れているものである。
【0005】
図9は、図8に示した成形容器63を成形する際のプレス工程を概略的に示したものである。
図を参照して、図9の(1)に示されているように、シート状の板紙原紙65が上部型部材35と下部型部材36との間に設置される。上部型部材35には下方に突き出る凸部37が形成されており、下部型部材36には凸部37に対応した下方に凹んだ凹部38が形成されている。
【0006】
そして図9の(2)に示されているように、上部型部材35と下部型部材36とが接近して板紙原紙65はプレス成形される。凸部37と凹部38との形状によって、図8で示した傾斜部23、底部24、立上り部25及び平坦部26の部分が所定の形状に形成される。
図9の(3)は、プレス成形される前の板紙原紙65の端部32の位置とプレス成形されて成形容器63となった時の外周縁(端部32)との関係を示した図である。
【0007】
図9の(2)で示されたように、板紙原紙65は凸部37及び凹部38のプレスによって形成される隙間に沿うようにして変形する。即ち、この成形方法によって、板紙原紙65の端部32は幅Dだけ、内方に向かって引き込まれる(寄び込まれる)ことになる。
図10は、上述したように板紙原紙65に前もって押圧成形された線条の断面構造を説明した図である。
【0008】
図10の(1)に示しているように、線条67は板紙原紙65の表面から裏面方向に向かって所定幅で突き出た形状に押圧成形されている。
図10の(2)は、板紙原紙65が上部型部材35及び下部型部材36によって加圧されて成形容器63が成形されたときの線条の状態を示した図である。図9の(3)に戻って、上述したように、板紙原紙65の端部32はプレス成形によって内方へDの幅だけ引き込まれることになる。従って、板紙原紙65のコーナー部39については左右から押し縮められるように成形されることになる。即ち、板紙原紙65の線条67は、特にコーナ部では図10の(2)に示されているように、左右から縮められる方向に力が加わると共に上下からも圧縮される方向に力が加わる。従って、線条67は、成形容器63においてはその裏面が押し潰されたような折シワ68となり、その上面には罫線64となって表れることになる。
【0009】
このようにして、プレス成形による不規則なシワの発生を線条を前もって形成することによって防止し、規則的な罫線64及び折シワ68を容器の表面及び裏面に残すことによって容器の美観を向上させていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような紙容器は容器として使用する際には美観も向上して特に問題はないが、紙製である点を利点としてこの容器の外面に模様や収容物の説明を印刷しようとすると問題を生じる。
通常このような模様等を形成する際には、板紙原紙65の状態においてその裏面に印刷することが一般的である。図10の(1)に示すように、板紙原紙65の裏面において線条67にその1部が掛かる印刷部69が印刷されたものとする。すると上述のように、線条67は図10の(2)の状態に変形するため、印刷部69の一部が折シワ68と板紙原紙65の平坦部との間に引き込まれてしまうことになる。このような状態になると、印刷部69は成形容器63の状態においてはその一部が欠けた状態となってしまい、不具合を生じる。
【0011】
また図9の(3)に示したように、成形容器63の外周縁の位置に対して板紙原紙65はその寄び込み代Dの分だけ大きなものを用意する必要がある。
さらに板紙原紙65は上述のように凸部37と凹部38との間に滑り込ませる必要があるが、紙そのものは伸縮を期待できないため、複雑な形状のものについてはプレス加工時に板紙原紙65が引っ張られて切れてしまったりして、成形が容易にできないという恐れもある。
【0012】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、プレス成形による加工が容易で複雑な形状にも対応でき、また板紙原紙の使用量を削減することができる板紙原紙を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、環状部分をプレス成形によって凹ませて容器を形成するために用いられる板紙原紙であって、環状部分の中心側部分において中心からの放射方向に対して第1の方向に傾斜する態様で全周に第1の所定間隔で設けられた複数の第1スリットと、環状部分の外方側の部分において、中心からの放射方向に対して第1の方向とは反対の周方向に傾斜する態様で全周に第2の所定間隔で設けられた複数の第2スリットとを備えたものである。
【0017】
このように構成すると、プレス成形による環状部分の内方側部分の第1のスリットによる回転移動方向と第2のスリットによる回転移動方向とは反対方向となる。
請求項2記載の発明は、環状部分をプレス成形によって凹ませて容器を形成するために用いられる板紙原紙であって、環状部分の中心側の部分において周方向に第1の所定間隔で全周に設けられた複数の第1スリットと、環状部分の外方側の部分において第1スリットの隣接する各々の間のスペースに対応する位置であって、周方向に第2の所定間隔で全周に設けられた複数の第2スリットとを備え、第1スリットの1部と第2スリットの1部とは環状部分の中心から放射方向に投影した状態で重なり合うものである。
【0018】
このように構成すると、プレス成形によって環状部分に生じる引張力は、第1スリット及び第2スリットの形成方向に対して直角方向の隙間として吸収される。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、第1スリット及び第2スリットの作用によって、環状部分の内方部分の、第2スリットの外方部分に対する実質的な回転移動量が小さくて済む。
従って、プレス加工時における型部材と板紙原紙との滑りによる破れ等の不具合が生じにくい。
【0024】
請求項2記載の発明は、第1スリット及び第2スリットの作用によって、環状部分の内方部分が回転することはない。従って、プレス加工時における型部材と板紙原紙との滑りによる破れ等の不具合が生じない。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の第1の実施の形態による紙容器の外観形状を示した斜視図である。
図を参照して、この成形容器21は図8の従来例で示した成形容器63と基本的な形状は同一であり、また同様にガスレンジ用マットを収納するための容器として用いられる。
【0027】
従って、全体の凹凸形状は図8の成形容器63と同一である。ここでは、図8の成形容器63との相違点について主に説明する。
突出部22の外周縁に接続する傾斜部23の全周には、突出部22側から外方へ反時計方向回りに螺旋状に延びる複数の第1スリット16が所定間隔で形成されている。また、底部24の外周縁に接続する立上り部25の全周には、底部24から外方へ時計方向回りに螺旋状に延びる複数の第2スリット17が所定間隔で形成されている。さらに、平坦部26に接続する垂直立上り部28とフランジ部27との間には第3スリット18が全体として4ケ所形成されている。
【0028】
このように成形容器21には多数の第1スリット16、第2スリット17及び第3スリット18が形成されているが、ガスレンジ用マット等を収納するものであるため、隙間となるそれらの開口は特に問題とはならない。
図2は、図1の成形容器21をプレス成形するための打ち抜き板紙原紙の外観形状を示した図である。
【0029】
なお、板紙原紙は、例えば、白板紙、コートボール紙、合成紙等から構成されており、又、使用目的に応じて、樹脂フィルムを板紙に貼り合わせたものや、樹脂コーティングした板紙等を用いることもできる。
図を参照して、板紙原紙15の外周は四隅が丸く仕上げられた四角形状であり、その外周サイズAは成形容器21の外周サイズAと同一となっている。従って、この実施の形態による板紙原紙15にあっては、従来の板紙原紙のように成形容器21の外周寸法より寄び込み代を加えた大きさで準備する必要はない。また、板紙原紙15の裏面には各種の印刷模様を付すことができる。
【0030】
板紙原紙15の中心から所定距離離れた位置に成形容器21の底部24に対応する円環状部分19が位置する。この円環状部分19の中心方向には半径(中心からの放射)方向Rに対して反時計方向回りに傾斜する複数の第1スリット16が所定間隔おきに形成されている。一方、円環状部分19の外方側には、半径方向Rに対して時計方向回りに傾斜した第2スリット17が所定間隔で全周に設けられている。また、第2スリット17と板紙原紙15の外辺側との間の部分に第3スリット18が4ケ所形成されている。尚、第1スリット16及び第2スリット17の形成個数は、図1で示した成形容器21のものに比べて数が多いが、図1においては、それらの構成を明確にするために簡略化して図示したものである。
【0031】
図3は、図2で示された第1スリット16及び第2スリット17のプレス成形時における変形について説明するための図である。
図3の(1)を参照して、所定幅W1 の成形部分31に対して、プレス成形によって上下方向に引張力が生じたものとする。そして、この引張力が生じる方向に対して、第1スリット16(17)が角度θの傾斜で形成されているものとする。すると成形部分31は、この引張力によって図3の(2)に示されているように変形する。即ち、第1スリット16はこの引張力によって隙間を生じ、全体として舟形の開口形状となる。これによって成形部分31の上下方向の幅W1 はW2 に変化し、この部分があたかも伸長したように変形する。実際上は紙の部分では伸長は生じないと考えられるため、この幅の増加は、第1スリット16の隙間の拡大によるものである。そこで、この第1スリット16の隙間の広がりを寸法的に確認してみる。
【0032】
まず引張力の生じる方向と同一方向に2つの軸X1 及びX2 を考えてみる。軸X1 においては2本の第1スリット16を横切るものであり、軸X2 は1本の第1スリット16を横断するものである。軸X1 において、成形部分31の上端と第1スリット16までの距離をL1 、上方の第1スリット16と下方の第1スリット16との距離をL2 とし、下方の第1スリット16と成形部分31の下端との距離をL3 とする。そして図3の(2)に示されているようにプレス成形後における上方の第1スリット16のX1 方向の距離をS1 とし、下方の第1スリット16のX1 の方向の距離をS2 とする。紙の寸法L1 、L2 及びL3 はプレス成形の前後も変化しないものとすると、
W1 =L1 +L2 +L3
W2 =L1 +S1 +L2 +S2 +L3 =W1 +S1 +S2 ・・・(1)
となる。
【0033】
即ち、成形部分31の上下方向の延びは第1スリット16の隙間のX1 方向の広がりS1 及びS2 によって吸収されることになる。
同様に軸X2 においては、
W1 =L4 +L5
W2 =L4 +S3 +L5 =W1 +S3 ・・・(2)
となる。
【0034】
従って、軸X2 においては成形部分31の上下方向の延びは第1スリット16の隙間のX2 方向の広がりS3 によって吸収されていることになる。
また、上式(1) 及び(2) から
S1 +S2 =S3
となっており、これは軸X1 における第1スリット16の各々の隙間の大きさが、軸X2 における第1スリット16の隙間の大きさに比べて小さいことを意味している。従ってこれを応用して、引張力の発生する方向にさらに多くのスリットが横断するように隣接するスリットを密に形成すれば、各々のスリットの隙間の広がりが小さくて済むことになる。
【0035】
なお、上記のように引張力はスリットの隙間で吸収されるため、隣接するスリット同士の少なくとも一部は引張力方向に投影した場合に重なり合う様に配置する必要がある。
図4は、図2で示した板紙原紙15をプレス成形した際の変化を模式的に示した図である。
【0036】
図4の(1)に示されているように、上部型部材35の凸部37と下部型部材36の凹部38とによって成形される部分、即ち引張力が生じる部分を成形部分31a及び31bとする。尚、板紙原紙15の成形部分31aには第2スリット17が形成されており、成形部分31bには第1スリット16が形成されているものとする。
【0037】
この状態で、上部型部材35及び下部型部材36によって板紙原紙15を上下方向から加圧すると、板紙原紙15は図4の(2)に示されたような形状に変化する。このとき成形部分31aにおいては、図3で示したように第2スリット17が形成されているため、凸部37及び凹部38の押圧部分に沿って実質上延びる。同様に板紙原紙15の成形部分31bにおいても第1スリット16が形成されているため、凸部37及び凹部38の押圧部分に沿って実質上延びる。従って、板紙原紙15の端部32の位置はプレス成形の前後においても変わらずその位置を保持したままで成形される。
【0038】
このようにプレス成形によって板紙原紙15に生じる引張力は、第1スリット16及び第2スリット17によって吸収されることになる。従って、板紙原紙15は従来のように内方に向かって収縮されることはないため、不要なシワの発生が防止される。これによって、板紙原紙15の裏面に形成された印刷内容が、成形容器21において欠ける恐れがない。なお、第3スリット18についても、隙間が拡大することによって引張力を吸収するが、その両端部に切込みが形成されているため、より大きな引張力を吸収することができる。
【0039】
図3に戻って、次に第1スリット16の形成方向による成形部分31の移動について検討してみる。図3の(1)に示されているように、プレス加工前の第1スリット16の中央部の両側の対向部分に点P1 及び点P2 を取ってみる。これらの点はプレス成形後には図3の(2)に示すような位置に移動する。従って成形部分31はプレス成形によって矢印K方向に変形、移動することになる。即ち、成形部分31の下端は上端に対して、図で言えば下方向でかつ右方向に移動して引張力を吸収することになる。
【0040】
このようなスリットの形成方向による成形部分31の変形、移動を考慮して、図2に示す板紙原紙15のプレス成形による変形について検討してみる。円環状部分19の内方部分の第1スリット16は半径Rに対して反時計方向回りに傾斜して形成されているため、第1スリット16の内方側部分、即ち図1で言えば突出部22の部分が矢印X方向に回転移動し、かつ紙面を貫通する方向に移動することになる。
【0041】
一方、円環状部分19の外方部分に形成された第2スリット17は半径方向Rに対して時計方向回りに傾斜しているため、第2スリット17の内方側の部分はプレス成形によって矢印Y方向に回転移動し、かつ紙面を貫通する方向に移動することになる。このX方向とY方向とは反対方向であるため、これらの移動が相殺され、結果として第1スリット16の内方側部分の第2スリット17の外方側部分に対する移動量は小さくて済む。従って、上部型部材35及び下部型部材36で板紙原紙15を加圧した際に、第1スリット16の内方側部分の上部型部材35及び下部型部材36に対する回転方向の滑りは小さくて済み、プレス成形がスムーズに行われる。
【0042】
図5は、この発明の第2の実施の形態による紙容器の外観形状を示した斜視図である。
図を参照して、この成形容器51は平坦な円形形状からなる底部52と、底部52の外周縁に接続され、斜め外方に立ち上がる立上り部53と、立上り部53の外周縁に接続され上部が丸みを帯びた上縁部54と、上縁部54の外周縁に接続されほぼ水平方向に延びるフランジ部55とから構成されている。そして板紙原紙から成形容器51を形成する際に大きな引張力が生じる箇所、即ち立上り部53、上縁部54及び上縁部54に複数の第1スリット41、第2スリット42、第3スリット43及び第4スリット44が各々円周方向に所定間隔で多数形成されている。
【0043】
図6は、図5の成形容器51をプレス成形するための板紙原紙の外観形状を示した図である。
図を参照して、板紙原紙40は円板形状を有しており、中心軸に近い方から円周方向に所定間隔でもって複数の第1スリット41が形成され、その外方に向かって第2スリット42、第3スリット43及び第4スリット44が同心円上に所定間隔で形成されている。尚第1スリット41と第3スリット43とは板紙原紙40の中心軸から同一外方方向に位置しており、第2スリット42と第4スリット44とは第1スリット41の隣接する各々の間のスペースであって、板紙原紙40の中心位置から同一外方方向に位置している。そして第1スリット41及び第3スリット43と第2スリット42及び第4スリット44とは、プレス成形による引張力を吸収するため板紙原紙40の中心から外方(放射方向)に向かって投影(J部分)した場合、ある幅で重なり合うように位置している。
【0044】
図7は、図6に示されたスリットのプレス成形時における変形について説明するための図である。
図7の(1)を参照して、成形部分61に対して上下方向にプレス成形による引張力が生じるものとする。この実施の形態においては、引張力に対して直角方向に第1スリット41(42,43)と第2スリット42(43,44)とが形成されている。このように第1スリット41及び第2スリット42が形成された成形部分61にプレス成形による引張力が生じると、成形部分61は図7の(2)に示されているように変形する。即ち第2スリット42は下方向にその隙間が広がった舟形形状の開口に変形する。この場合軸X1 におけるプレス成形の前後における寸法関係は、
W1 =L1 +L2 +L3
W2 =L1 +S1 +L2 +S2 +L3 =W1 +S1 +S2
となる。従って先の実施の形態と同様に軸X1 における引張力は第2スリット42の隙間S1 と下方の第1スリット41の隙間S2 によって吸収されることになる。
【0045】
同様に軸X2 においては、
W1 =L4 +L5
W2 =L4 +S3 +L5 =W1 +S3
となる。従って軸X2 における引張力は1つの第2スリット42の隙間S3 によって吸収されることになる。これによって、成形容器51には不要なシワが発生することはなく、板紙原紙40の裏面に形成された場合の印刷内容が成形容器51において欠けることはない。
【0046】
次にプレス成形による成形部分61の上端に対する下端の移動について検討してみる。先の実施の形態と同様に第1スリット41の中央部の両側の部分に点P1 及び点P2 を取ってみる。すると、図7の(2)に示されているように点P1 と点P2 とは、第1スリット41の隙間が拡大されるにつれて上下方向に移動する。この場合、第1スリット41は引張力の方向に対して直角方向に形成されているため、点P1 と点P2 は図で言えば上下方向にのみ移動する。即ち、矢印Kの方向に成形部分61の下端は、成形部分61の上端に対して移動することになる。
【0047】
この成形部分61の変形内容を考慮して図6の第1スリット41のプレス成形による変形を検討してみる。結果として、第1スリット41の内方側部分、即ち図5で言えば底部52に相当する部分は、第1スリット41、第2スリット42、第3スリット43、第4スリット44が全て半径方向に対して直角方向に形成されているため、その移動は板紙原紙40の中心に向かう矢印Z方向に移動することになる。実際には、第1スリット41の内方側部分は、紙面を貫通する方向に移動する。従って、第1スリット41の内方側部分は先の実施の形態のように円周方向に回転移動する恐れはなく、結果としてプレス成形時における型部材と板紙原紙40との回転方向の滑りはなくスムーズな成形加工が可能となる。
【0048】
尚、上記の実施の形態におけるスリットはいわゆる隙間の無い切れ目として用いられているが、本願発明のスリットの概念には、隙間の狭い切欠も含むものである。
又、上記の実施の形態においては、成形容器毎に直線状や曲線状の斜めスリット、直交スリットのみを用いているが、成形容器の形状に合わせてこれらのスリットを組合わせて使用しても良いことは言うまでもない。
【0049】
更に、上記の実施の形態では、スリットは円環状部分に形成されているが、例えば、凹み部が直方体形状の成形容器等によっては、対応するほぼ四角環状部分の直線状部分やコーナ部分に形成してもよい。
更に、上記の実施の形態では、板紙原紙には従来例で示した線条が形成されていないが、線条とスリットとを組み合わせて使用しても良い。
【0050】
更に、上記の実施の形態では、一枚の板紙原紙から一つの容器を形成しているが、板紙原紙の収縮がない利点を生かして、一枚の板紙原紙から複数の容器を一度のプレス成形で成形することも可能である。
更に、上記の実施の形態では、底面に平坦面を有する皿形の容器を対象としているが、そのような平坦面を有しない、例えば半球形状の容器を形成することも可能である。
【0051】
更に、上記の実施の形態では、通常の収納容器を前提としているが、プレス成形時にスリットに隙間が発生する点を利用して、通気性を要求される、例えば芳香剤容器や殺虫剤容器として本容器を用いることも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態による成形容器の外観形状を示した斜視図である。
【図2】図1に示した成形容器のための板紙原紙の外観形状を示した図である。
【図3】図2で示されたスリットのプレス成形における変形動作を説明するための図である。
【図4】図2の板紙原紙をプレス加工した際の変形動作を説明するための図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態による成形容器の外観形状を示した斜視図である。
【図6】図5に示した成形容器のための板紙原紙の外観形状を示した図である。
【図7】図6で示されたスリットのプレス成形における変形動作を説明するための図である。
【図8】従来の成形容器の外観形状を示した斜視図である。
【図9】図8の成形容器を形成するためのプレス成形時の板紙原紙の変形動作を説明するための図である。
【図10】図9で示された板紙原紙に形成された線条のプレス成形による変形内容を説明するための図である。
【符号の説明】
15・・・板紙原紙
16・・・第1スリット
17・・・第2スリット
18・・・第3スリット
19・・・円環状部分
21・・・成形容器
35・・・上部型部材
36・・・下部型部材
40・・・板紙原紙
41・・・第1スリット
42・・・第2スリット
43・・・第3スリット
44・・・第4スリット
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (2)
- 環状部分をプレス成形によって凹ませて容器を形成するために用いられる板紙原紙であって、
前記環状部分の中心側の部分において中心からの放射方向に対して第1の方向に傾斜する態様で全周に第1の所定間隔で設けられた複数の第1スリットと、
前記環状部分の外方側の部分において、中心からの放射方向に対して前記第1の方向とは反対の周方向に傾斜する態様で全周に第2の所定間隔で設けられた複数の第2スリットとを備えた、板紙原紙。 - 環状部分をプレス成形によって凹ませて容器を形成するために用いられる板紙原紙であって、
前記環状部分の中心側の部分において、周方向に第1の所定間隔で全周に設けられた複数の第1スリットと、
前記環状部分の外方側の部分において、前記第1スリットの隣接する各々の間のスペースに対応する位置であって、周方向に第2の所定間隔で全周に設けられた第2スリットとを備え、
前記第1スリットの1部と前記第2スリットの1部とは前記環状部分の中心からの放射方向に投影した状態で重なり合う、板紙原紙。
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